JP4064641B2 - クリップ及びクリップの取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車などの車体、パネル、ビームなどに、電線、ホース、チューブなどの線状体を取付けるためのクリップ及びクリップの取付構造において、部品点数が削減化されると共に、取付作業性の向上が図られたクリップおよびこれの取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は、従来のワイヤハーネスとオープナケーブルとが相手取付体へ組付けられた状態の一形態を示す外観斜視図である。
まず、ワイヤハーネス2について簡単に説明すると、ワイヤハーネス2は一般に自動車などの電気回路のうち高圧回路と始動回路以外の配線が束ねられたものを言うが、ここでは自動車の組立てラインにおいて電線2aなどの組付けが簡単にできるようにするために、電線2aを含む配線類が集束テープ2bなどにより一つにまとめられた組配線のものを指す。
【0003】
次にオープナケーブル3について、これが使用される一例としてフューエルリッド・オープナを用いて説明する。リッドは蓋(ふた)を意味し、フューエルリッド・オープナは燃料タンクの蓋のフューエルリッドロックが解除される装置を指す。一般に運転席の近くにオープナレバーが設けられ、これが操作されるとオープナケーブル3のチューブ3b内に挿通されたケーブル3aが引張られて、このケーブル3aに繋げられた蓋のロックが外れるような機構となっている。
【0004】
台板52の両側の部分にワイヤハーネス2がテープ4によって固定されている。そして、ワイヤハーネス2が取付けられた台板52は、所定の取付部により相手取付体51に固定されている。このようにワイヤハーネス2は、台板52及びテープ4を介して相手取付体51に備え付けられている。
【0005】
また、台板52に略C型形状をした保持部品53が設けられている。このC型形状をした保持部品53にオープナケーブル3が嵌め込まれることで、オープナケーブル3は相手取付体51に組付けられている。
このように、従来、ワイヤハーネス2とオープナケーブル3とは、個別に相手取付体51に組付けられていた。
【0006】
また、周辺技術について見れば、実開平1−41179号が開示されている。実開平1−41179号公報は、ワイヤハーネス等の線条体に沿わされて固定される電線保持具の改良に関するものが紹介されており、特に位置決めが容易で、且つ、線条体の固定も容易に行える電線保持具に関するものについて記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のワイヤハーネス2やオープナケーブル3の取付構造にあっては、ワイヤハーネス2やオープナケーブル3などの各線状体が多重に配策される場合、所定の径のケーブルによって、これを取付けるための所定の各取付クリップが選択されるため、部品点数や、部品の種類が多くなると言った問題があった。
【0008】
詳しく説明すると、図8に示されるオープナケーブル3の直径に対応して、相手取付体51にC型形状をした保持部品53が取付けられている。しかし、このC型形状をした保持部品53は、オープナケーブル3が取付けられるために、相手取付体51にオープナケーブル3専用のものとして組付けられたものである。
【0009】
このように、ワイヤハーネス2が取付けられた台板52とは別部品として、オープナケーブル3専用のC型形状をした保持部品53を、相手取付体51に個別に設ける必要性があった。さらに、台板52やC型形状をした保持部品53が、相手取付体51に組付けられるための各種多数の取付孔などが、相手取付体51へ設けられる必要性もあった。
【0010】
そして、従来のワイヤハーネス2やオープナケーブル3の取付構造においては、多くの取付用部品が用いられてあり、部品点数を少しでも減らすことによって、相手取付体51を含むこれの周辺部位の軽量化、小型化が図られることが望まれていた。また、各種の多くの部品を管理するために、煩雑な管理作業なども必要とされており、さらに、自動車メーカでの組立ラインにおいて、多くの取付用部品が相手取付体51へ組付けられるための作業も必要とされ、前記各種部品および各作業が削減されて省力化が図られることが渇望されていた。
【0011】
本発明は、上記した点に鑑み、自動車メーカでの流れ作業ラインで、ワイヤハーネス、オープナケーブル、ウォッシャホース、オプションハーネスなどの各線状体が多重に配策される部位において、部品点数が削減化されると共に、組付け作業性の向上が図られたクリップおよびこれの取付構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のクリップは、クリップ本体と該クリップ本体に係止される可動ロック体とで構成され、該クリップ本体は、線状体を載置する基板部と、該線状体を巻付けるバンド状係止部と、記可動ロック体のロック係止部に対応したロック係合部を備え、前記可動ロック体は前記クリップ本体のバンド係止部とは別体に設けられるとともに該可動ロック体には、前記クリップ本体の前記バンド状係止部に沿って移動可能なバンド係合部と、前記クリップ本体の前記ロック係合部に対応したロック係止部が設けられ、前記バンド係合部の挿通孔の内部には、前記クリップ本体のバンド状係止部の外周面に設けられた係止突起に対応する係合突起が設けられ、前記可動ロック体を形成する基部に設けられた収容部は、入口から出口にかけて貫通しており、前記可動ロック体の基部の挿通孔に前記クリップ本体のバンドクランプ部が挿通されるようになっている。
上記構成により、多重に配策される線状体の径寸法、サイズに関係なく、細いサイズから太いサイズの各線状体を一つに束ねて容易に固定することができる。これにより、部品点数の削減化を図ることが可能となり、また、組付け作業性に優れたものとなる。
【0013】
また、請求項2記載のクリップは、請求項1記載のクリップにおいて、前記クリップ本体の前記基板部の外面側に、相手取付体の固定部位に対応した取付部が設けられたことを特徴とする。
上記構成により、線状体を相手取付体に保持させる際に、クリップを構成するクリップ本体の取付部を相手取付体の固定部位に固定させればよく、このようにすることで線状体は相手取付体に容易で迅速に保持される。
【0014】
また、請求項3記載のクリップは、請求項1又は2記載のクリップにおいて、前記クリップ本体の基板本体の両側に、前記線状体がテープ巻きにより取付けられる一対の固定部が設けられて、前記基板部が形成されたことを特徴とする。
上記構成により、クリップを構成するクリップ本体と線状体は確実に固定される。これにより、クリップが取付けられた線状体を相手取付体に保持させる作業は、容易で迅速に行われるものとなる。
【0015】
また、本発明の請求項4記載のクリップの取付構造は、請求項2記載のクリップの前記取付部に対応して、前記固定部位が設けられた前記相手取付体を備えるクリップの取付構造であり、前記線状体が取付けられた該クリップの前記クリップ本体の前記取付部が該相手取付体の該固定部位に取付けられ、該クリップに他の線状体が備えられ、該クリップ本体の前記ロック係合部と前記可動ロック体の前記ロック係止部が嵌合され、且つ、該クリップ本体の前記バンド状係止部と該可動ロック体の前記バンド係合部が締着されることで、該クリップを介して該相手取付体に該線状体および該他の線状体が保持されたことを特徴とする。
上記構成により、線状体を相手取付体に保持させる際に、クリップを構成するクリップ本体の取付部を相手取付体の固定部位に固定させればよく、このようにすることで線状体は相手取付体に容易で迅速に保持される。さらに、多重に配策される線状体の径寸法、サイズに関係なく、細いサイズから太いサイズの各線状体を一つに束ねて容易に固定することができる。これにより、部品点数の削減化を図ることが可能となり、また、組付け作業性に優れたものとなる。
【0016】
また、請求項5記載のクリップの取付構造は、請求項4記載のクリップの取付構造において、前記クリップ本体に基板本体が設けられると共に、該基板本体の両側に一対の固定部が設けられて該クリップ本体に基板部が形成され、該基板部に前記線状体が載置され、該クリップ本体に形成された該基板部の該一対の固定部で、該線状体と該クリップ本体がテープの巻付けにより固定されたことを特徴とする。
上記構成により、クリップを構成するクリップ本体と線状体は確実に固定される。これにより、クリップが取付けられた線状体を相手取付体に保持させる作業は、容易で迅速に行われるものとなる。
【0017】
また、請求項6記載のクリップの取付構造は、請求項4又は5記載のクリップの取付構造において、前記相手取付体として自動車に組付けられるビームが用いられ、前記線状体としてワイヤハーネスが用いられ、前記他の線状体としてオープナケーブルが用いられたことを特徴とする。
上記構成により、従来、自動車の組立作業の際に、自動車のビーム部位に、ワイヤハーネスやオープナケーブルをそれぞれ取付けると言った組立作業を行うには、比較的、手間や時間がかかると言う問題があったが、自動車に組付けられるビームや、この自動車に取付けられるワイヤハーネスやオープナケーブルに本発明が採用されると、自動車の組立作業が容易となり自動車の製造工程が迅速化される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係るクリップ及びクリップの取付構造の一実施形態について、図1〜図7と共に説明する。クリップ及びクリップの取付構造の一例として、自動車に組付けられるビーム1、ワイヤハーネス2、オープナケーブル3を用いて説明した。また、前記従来の各物品と同じ呼び名の部分には、それらに付された符号と同一の符号を付し、その形状や構造などについての詳細な説明を省略した。
【0019】
図1は、本発明に係るクリップ及びこれの取付構造の一実施形態を示す分解斜視図である。図2は、同じくクリップ及びこれの取付構造の一実施形態を示す側面図である。図3は、同じくクリップ及びこれの取付構造の一実施形態を示す縦断面図である。
【0020】
図4(a)は図3のA部拡大図、図4(b)は図3のB部拡大図である。詳しく説明すると、図4(a)は、クリップ本体のロック係合部を形成する可撓連結部と可動ロック体の突出片に設けられたロック突起が係止された状態を示す拡大断面図、図4(b)は、クリップ本体のバンド状係止部に設けられた係止突起と可動ロック体の挿通孔内に設けられた係合突起が係止された状態を示す拡大断面図である。
【0021】
図5(a)はクリップ本体を示す拡大斜視図であり、図5(b)はバンド状係止部を示す部分拡大図である。図6は、可動ロック体の拡大斜視図である。図7(a)は、クリップに設けられたクランプが相手取付体の固定部へ組付けられる前の状態を示す拡大説明図、図7(b)はクリップに設けられたクランプが相手取付体の固定部へ組付けられている状態を示す拡大説明図、図7(c)はクリップに設けられたクランプが相手取付体の固定部へ組付けられた状態を示す拡大説明図である。
【0022】
まず図5(a)をもとに、クリップの各方向について説明する。
クリップ本体10の基板部11を基準にして、クリップ本体10の基板部11からバンド状係止部13すなわちバンドクランプ部13が伸びている方向を後側11dとし、これと反対方向のクリップ本体10の基板部11から、ロック係合部14へと続く支持片14a′が設けられている方向を前側11cとする。
【0023】
また図1および図5(a)から分るように、略湾曲形状にカールされるクリップ本体10のバンド状係止部13の内周面13e側に相当する面もしくはこれに続く面を内面11e側とし、クリップ本体10のバンド状係止部13の外周面13f側に相当する面もしくはこれに続く面を外面11f側とする。
【0024】
また、クリップ本体10の基板部11を中心として、この基板部11にクランプ15が設けられた方向を下側とし、これと反対側の方向、例えば、クリップ本体10を形成するロック係合部14の挿入口14eが開かれている方向を上側とする。このように前後方向と上下方向が設定されることにより自ずと左右方向が定められる。
【0025】
なお、この明細書における「前後」、「内外」、「上下」、「左右」の定義は便宜上のものであり、必ずしもクリップ及びクリップの取付構造の実使用時の方向と一致するものではない。例えば自動車への線状体の配策部位や線状体の組立工程において、自動車に取付けられるワイヤハーネス2やオープナケーブル3などの線状体2,3は自動車のあらゆる方向に配策されている。本発明の目的が損なわれないのであれば、本発明のクリップ及びクリップの取付構造は、いかなる方向で固定されるものであってもよい。
【0026】
この明細書で言う電線とは、絶縁被覆体やエナメル材などで保護された導体や、導体だけで他に被覆されていない状態のものを含め、これらを総称して指す。電線2aとして使用されるケーブルについて簡単に説明すると、このケーブルは芯線とも呼ばれ、絶縁被覆体やエナメル材などで保護された1本の導体、又は、絶縁被覆体やエナメル材などで保護された複数の導体からなる。
【0027】
ワイヤハーネスについて説明する。ワイヤハーネス2は、集束テープ2bまたは可撓性を有する防水用チューブなどによって、電気的に接続されるケーブルなどの電線2aが1つになるようにして束ねられたものであり、このようにしてワイヤハーネス2が構成されている。
【0028】
ワイヤハーネスは自動車などの電気回路のうち高圧回路と始動回路以外の配線が束ねられたものを言う場合もあるが、ここでは特に規定されない。ワイヤハーネスは、これが取付けられる自動車の種類、形式、グレードなどに応じ、自動車メーカの組立てラインすなわち流れ作業ラインにおいて電線などの組付けが簡単にできて便利であるようにするために、予め電線メーカで電線などの配線類が一つにまとめられた組配線のものを言う。自動車用電線はその殆どがハーネス化されている。
【0029】
自動車の始動、充電、照明などのための車内配線用のものは低圧電線と呼ばれ、エンジンの点火装置に用いられるものは高圧電線と呼ばれている。例えば、低圧電線に架橋ポリエチレン製の耐熱電線や架橋ビニル製の耐熱電線が用いられ、高圧電線にゴム絶縁でシース、耐油、耐オゾン性に優れたクロロプレンが用いられる。これらの電線は、使用される部位により、常に振動を受けたり、高温、寒冷、機械油、風雨などに曝される。しかし、このような厳しい要求特性の条件下であっても、自動車用電線などの自動車用部品は安定した性能が維持されるように要求されている。
【0030】
ワイヤハーネス2を構成するケーブルなどの電線2aは、主に導体と絶縁被覆体とから構成されて芯線を形成するものである。このような電線2aが束ねられて構成されるワイヤハーネス2は、自動車などに取付けられる際に必要な部位が折り曲げられる。
【0031】
そのため導体の材質は、通電性が良好であるばかりでなく繰り返しの折り曲げにも耐えうるように可撓性を有するものが好ましく、そのような金属線として軟銅線などの銅系電線などが挙げられる。また、ケーブルは複数の導体が束ねられると共に適度にねじられて、強度などに優れた芯線の状態となっている。さらに細いサイズが維持されつつ銅線などの金属線からなる導体の表面の絶縁性をより高くするために、エナメル材の被覆された導体が、ワイヤハーネス2の電線2aに用いられてもよい。
【0032】
そして、導体を保護する絶縁被覆体やチューブもまた、前記で説明したように繰り返しの折り曲げに耐えうる性質を有する絶縁材料で形成されることが好ましく、例えば可撓性の絶縁材料であることが望ましい。そのような材質として、例えば、塩化ビニル系ポリマー、ポリエチレン系ポリマーなどの熱可塑性樹脂材もしくはゴム材、又はこれらの混合材などが挙げられる。また必要に応じて絶縁材料に各種の充填材が添加されてあってもよい。これらの絶縁被覆材が例えば押出成形される際に、これと共にダイの押出孔の部分に銅線などの前記導体が通されることにより、絶縁被覆体と導体とが複合化されて、ワイヤハーネス2などの電線が構成される。
【0033】
このようなワイヤハーネス2は、自動車の形状に合せられるようにして必要部位が折り曲げられて自動車の所定の部位に取付けられ、このようにして自動車の各部品・装置間の電気的な接続が為される。なお、必要に応じて他の電気回路なども合わせて接続できるように、ケーブルおよびドレイン線のほかに、さらにダミー線がワイヤハーネス2に設けられていてもよい。
【0034】
ワイヤハーネス2が用いられて、車内に備えられる非防水コネクタなどを介して各電気関連部品が通電可能に接続される。またワイヤハーネス2の途中の部分からドレイン線が分岐され、ドレイン線の一端に端子が取付けられると共に、ねじなどで端子が車体のフレーム、ビームなどに取付けられる。ビームは、細長い形のもので幾つかの点で支えられ曲げの力が働く部材を言う。このようにしてドレイン線が車体に取付けられることにより、ドレイン線はアースとしての機能を果たすようにして、車体に通電可能に接続される。
【0035】
ワイヤハーネスとして、例えば、フラット電線からなる回路体、丸導体のリボン電線からなる回路体、フレキシブルプリント回路体(FPCと略称する)、フレキシブルフラット回路体(FFCと略称する)などが挙げられる。
【0036】
フレキシブルプリント回路体(FPC)は、絶縁シートに銅箔などの金属箔より形成される複数の回路導体が印刷されて並設された可撓性の印刷配線板である。フレキシブルプリント回路体の回路導体が、他のものと接触されて電気的なショートなどの不具合が発生されないようにするために、フレキシブルプリント回路体の回路導体は、絶縁シートとこの絶縁シート上の保護層によって守られている。
【0037】
一方、フレキシブルフラット回路体(FFC)は、薄い条材、細い単線またはエナメル線より構成される複数の回路導体が絶縁シートに並設されたものである。このようにワイヤハーネスは、複数のケーブルや芯線が束ねられて構成されるものであったり、複数の回路導体が並設されているものなどでもよく、いかなる形態のワイヤハーネスが用いられてもよい。
【0038】
また、複数のケーブルが束ねられてハーネス化されたもの以外に、例えば電線と光ファイバとが複合化されてハーネス化されたものであったり、さらに光ファイバが束ねられて構成されたものであったり、ワイヤハーネスの付加部品であるオプションハーネスや、ウォッシャホース等のホース・チューブ類などと言った線状体であってもよく、ハーネス化されたものとして、あらゆる形態の線状体が採用可能である。また必要に応じてワイヤハーネスなどの線状体にグロメットなどの他の付加部品が取付けられてあってもよい。
オープナケーブル3については、上述した通りのものであるので、ここでは、オープナケーブル3に関する説明は省略した。
【0039】
図1〜図3の如く、クリップ本体10に可動ロック体20が係止されてクリップ5が構成されている。
また、図1および図5(a)の如く、クリップ本体10は、ワイヤハーネス2が載置される基板部11と、ワイヤハーネス2、オープナケーブル3などの各線状体2,3(図1〜図3)を巻付け、且つ、複数の係止突起13bが設けられたバンド本体13aから形成されるバンドクランプ部13と、可動ロック体20のロック係止部22に対応して嵌合されるロック係合部14を備えるものである。
【0040】
図5(a)に示されるように、クリップ本体10を形成する基板本体11aの後面11dの略中心部位から、バンドクランプ部13のバンド本体13aが後側へ向けて延長されている。そして、図5(a)に示されるバンドクランプ部13のバンド本体13aの外周面13f側に設けられた多数の連続した係止突起13bは、図4(b)および図5(b)に示されるように、係止面13cと傾斜摺接面13dから形成されるものである。
【0041】
ワイヤハーネス2、オープナケーブル3、チューブなどの各種線状体の表面が、前記バンドクランプ部13のバンド本体13aに設けられた多数の係止突起13bによって損傷されないようにするために、前記多数の係止突起13bは、バンドクランプ部13のバンド本体13aの外周面13f側に設けられている(図1〜図3、図5)。
【0042】
なお、バンドクランプ部13のバンド本体13aの外周面13f側に設けられた前記多数の連続した係止突起13に置き換えて、バンドクランプ部13のバンド本体13aの外周面13f側もしくは内周面13e側に、多数の連続した係止溝(図示せず)が設けられてもよく、良好に係止・係合が為されるものであれば、バンド状係止部13の形状は、いかなる形状のものであってもよい。
【0043】
また、図5(a)に示されるクリップ本体10の基板部11の外面11f側であり、且つ、クリップ本体10の基板部11の略中心部位に、図1に示される自動車のビーム1の貫通孔1aに対応したクランプ15が設けられている。クランプについて簡単に説明すると、クランプは、ワイヤハーネスなどの線状体を車に取付けるために使用される部品を指し、孔差込み、ボルト締め、ブラケット差込み、フランジ差込み等の各種のタイプが挙げられる。
【0044】
図1〜3,図5,図7に示されるクランプ15は、孔差込みタイプのものである。図5(a)に示されるように、クランプ15の支持部15bが、クリップ本体10の基板部11の外面11f側から下側に向けて形成されている。このクランプ15の支持部15bの先に開閉可能な傘部15cが設けられ、この傘部15cを形成する一対の係止羽根15fが係止・係合の際に重要な働きをする。
【0045】
また、図5(a)に示されるクリップ本体10の基板本体11aの左右両側11bに、図1に示されるワイヤハーネス2などの線状体2が、テープ巻きにより取付けられる一対のテープ固定部12,12′すなわちテープ巻き部が設けられて基板部11が形成されている。クリップ本体10の基板部11の内面11eとなる部位に、ワイヤハーネス2が載置された後に、クリップ本体10のテープ固定部12,12′の外面11f側から、テープ4によってワイヤハーネス2とクリップ本体10が巻付けられて両者は固定される(図1〜図3参照)。
【0046】
図5(a)に示されるように、クリップ本体10を形成するバンドクランプ部13の先端部13gの周辺近傍部は、このバンドクランプ部13が可動ロック体20のバンド係合部21と締着される際に(図2)、指などでつかまれて引張られるためのつまみ部13gとして機能する部位である。
【0047】
可動ロック体20のバンド係合部21に、クリップ本体10のバンドクランプ部13が嵌め込まれて、クリップ5の仮組付け(図1参照)が行われた後に、可動ロック体20がクリップ本体10から取外されないようにするために、バンドクランプ部13のバンド本体13aのうち、係止突起13bが設けられていないバンドクランプ部13の終端部すなわち先端部13gの近傍に折曲げ部13h(図2参照)が設けられている。
【0048】
このようにすることで、図1に示されるように、クリップ本体10と可動ロック体20が仮組付け状態であっても、クリップ本体10と可動ロック体20は分離されることはない。これにより、仮組付け状態のクリップ5から不用意に可動ロック体20が抜け落ちてしまうことや、仮組付け状態のクリップ5から故意に可動ロック体20が抜取られて、クリップ本体10と可動ロック体20から構成されるクリップ5のうち、可動ロック体20が見失われてしまうと言った不具合の発生を未然に防止できるものと期待される。
【0049】
また、図5(a)に示されるように、クリップ本体10を形成する基板本体11aの前面11cの略中心部位から、前側に向けて延びると共に直ぐに直角上向きに曲がる支持片14a′の延長先に、この支持片14a′を含むロック係合部14が設けられている。
【0050】
ロック係合部14は、主に、ロック係合部本体14aと、ロック孔14bと、ロック突起収容部14fを備えるものである。また、ロック孔14bは可撓連結片14dや支持片14a′などにより囲まれて形成されたものである。図4(a)および図5(a)に示されるように、ロック係合部14の可撓連結片14dの水平に形成された下面は、ロック係合面14cとしての機能を果すものである。
【0051】
図5(a)に示される可撓連結片14dのロック係合面14cの下部周辺部の空間部分がロック突起収容部14fに相当する。
また、ロック係合部14の挿入口14eの周辺近傍に、ガイド突出部14g,14g′が形成されている。
【0052】
クリップ本体10のロック係合部14に設けられた可撓連結部14dは、可動ロック体20のロック係止部22が、クリップ本体10のロック係合部14に嵌合される際であったり、そのような嵌合状態が解除される際に適度に撓まれる。これにより、容易で迅速な係止・係合、または、これの解除を行うことができるものである。
【0053】
図6に示される可動ロック体20の突出片22aおよびロック突起22bから形成される突出部22が、図5(a)に示されるクリップ本体10を形成するロック係合部14のロック孔14bを介して、ロック突起収容部14fまで容易で迅速に挿入されるために、図5(a)から分るように、ロック係合部14のガイド突出片14g,14g′に、テーパガイド面14h,14h′(図4(a))が設けられている。
【0054】
また、図6の如く、可動ロック体20に、クリップ本体10のバンドクランプ部13に沿って移動可能な基部21すなわちバンド係合部21と、クリップ本体10のロック係合部14に対応して嵌合される突出部22すなわちロック係止部22が設けられている。可動ロック体20を形成するバンド係合部21の挿通孔21aの内部に係合突起21bが設けられている。
【0055】
図6に示される可動ロック体20を形成するバンド係合部21の挿通孔21aの内部に設けられた係合突起21bは、図5に示されるクリップ本体10のバンド状係止部13の外周面13fに設けられた係止突起13bに対応して設けられたものである。図4(b)および図6に示されるように、可動ロック体20を形成する基部21の収容部21a内に設けられた係合突起21bは、係合面21cと傾斜摺接面21dから形成されている。
【0056】
また図6に示されるように、可動ロック体20を形成する基部21に設けられた収容部21aは、入口21eから出口21fにかけて貫通されたものとなっている。図6に示される可動ロック体20を形成する基部21に設けられた挿通孔21aに、図5に示されるクリップ本体10のバンドクランプ部13が通されて、図1に示されるように、可動ロック体20がクリップ本体10に取付けられる。
【0057】
その際に、図5に示されるクリップ本体10のバンドクランプ部13の先端部13gは、図6に示される可動ロック体20の基部21に設けられた挿通孔21aの後側の入口21eから挿入される。さらに、図5に示されるクリップ本体10のバンドクランプ部13の外周面13f側に設けられた複数の係止突起13bが、図6に示される可動ロック体20の基部21の上側に向けられるようにして、バンドクランプ部13は基部21の挿通孔21aの入口21eより挿入される。
【0058】
可動ロック体20の基部21の前側より下側に向けて形成された突出部22すなわちロック係止部22は、突出片22aとロック突起22bから形成されている。可動ロック体20の突出部22の前面に設けられたロック突起22bは、ロック係止面22cと、摺接面22dと、傾斜摺接面22eと、一対の側面22fから形成されている。
【0059】
また、図6に示される可動ロック体20の突出片22aおよびロック突起22bから形成される突出部22が、図5(a)に示されるクリップ本体10を形成するロック係合部14のロック孔14bを介して、ロック突起収容部14fまで容易で迅速に挿入されるために、図6に示されるように、可動ロック体20の突出片22aの左右両側と、この突出片22aの下部に、テーパガイド面22g,22hが設けられている。
【0060】
次に本発明のクリップの取付構造に関して詳しく説明する。
図1〜図3の如く、クリップ5はクリップ本体10と可動ロック体20が組合わされて構成されるものである。
【0061】
クリップ本体10について説明すると、ワイヤハーネス2、オープナケーブル3などの線状体2,3を巻付け、且つ、複数の係止突起13bが設けられたバンド本体13aから形成されるバンド状係止部13と、可動ロック体20のロック係止部22に対応したロック係合部14と、自動車のビーム1の貫通孔1aに対応したクランプ15を備えるものである。
【0062】
可動ロック体20について説明すると、クリップ本体10のバンドクランプ部13に設けられた係止突起13bに対応し内部に係合突起21bが設けられた挿通孔21aを備えるバンド係合部21と、クリップ本体10のロック係合部14に対応したロック係止部22を備えるものである。
【0063】
クリップ5は、まずクリップ本体10のロック係合部14に可動ロック体20のロック係止部22が嵌合され、その後、クリップ本体10のバンド状係止部13と可動ロック体20のバンド係合部21が締着されて使用されるものである。なお、クリップ本体10のロック係合部14と可動ロック体20のロック係止部22や、クリップ本体10のバンド状係止部13と可動ロック体20のバンド係合部21に、解除機構などの付加機構が設けられてもよい。
【0064】
また、そのような複雑な機構は省略されて、前記これらの係止・係合手段は、いわゆる嵌め殺しの状態とされてもよく、本発明のクリップに用いられる係止・係合手段は、良好な係止・係合が行われるものであれば、いかなる係止・係合手段が採用されても何ら問題はない。
【0065】
また、前記クリップ5のほかに、クリップ5に取付けられるワイヤハーネス2およびオープナケーブル3と、クリップ5のクリップ本体10に設けられたクランプ15に対応して、貫通孔1aが設けられたビーム1などの取付母材が図1〜図3に示されている。
【0066】
まず、ワイヤハーネス2が取付けられたクリップ5のクリップ本体10のクランプ15が、ビーム1の貫通孔1aに差込まれて取付けられる。そして、図2および図3に示されるように、クリップ5にオープナケーブル3が備えられた後に、クリップ本体10のロック係合部14と可動ロック体20のロック係止部22が嵌合される。その際に、クリップ本体10を形成するロック係合部14の可撓連結片14dと、可動ロック体20を形成する突出部22のロック突起22bが引掛ることで両者の係止が行われる(図3)。
【0067】
このような係止・嵌合状態について図4(a)と共に詳しく説明すると、クリップ本体10を形成するロック係合部14の可撓連結片14dの下側に設けられたロック係合面14cと、可動ロック体20を形成する突出部22のロック突起22bのロック係止面22cが引掛ることで両者の係止が為されている。
【0068】
その後、クリップ本体10のバンド本体13aが折曲げられて形成されたつまみ部13gが指などでつかまれて、クリップ本体10のバンド本体13aが矢印P方向に引張られる。このようにして、クリップ本体10のバンドクランプ部13と可動ロック体20のバンド係合部21が締着される(図2,図3)。その際に、クリップ本体10を形成するバンドクランプ部13のバンド本体13aに設けられた係止突起13bと、可動ロック体20を形成する基部21内に設けられた係合突起21bが引掛ることで両者の締着が行われる。
【0069】
このような締着状態について図4(b)と共に詳しく説明すると、クリップ本体10を形成するバンドクランプ部13のバンド本体13aに設けられた係止突起13bの係止面13cと、可動ロック体20を形成する基部21の挿通孔21a内に設けられた係合突起21bの係合面21cとが当接されることにより、両者の締着が為される。
これにより、クリップ本体10と可動ロック体20から構成されるクリップ5を介して、ビーム1にワイヤハーネス2およびオープナケーブル3が保持される。
【0070】
このようにすれば、クリップ本体10に可動ロック体20が係止されるクリップ5が用いられて、二重に配策されるワイヤハーネス2とオープナケーブル3が、自動車のビーム1に保持されるものであるから、二重に配策されるワイヤハーネス2およびオープナケーブル3の径寸法、サイズに関係なく、細いサイズから太いサイズのワイヤハーネス2や、オープナケーブル3などを一つに束ねて容易に固定することができる。これにより、部品点数の削減化を図ることが可能となり、また、組付け作業性に優れたものとなる。
【0071】
さらに、クリップ5を構成するクリップ本体10に、自動車のビーム1に設けられた貫通孔1aに対応したクランプ15が設けられてあるから、ワイヤハーネス2およびオープナケーブル3を自動車のビーム1に保持させる際に、クリップ5を構成するクリップ本体10のクランプ15を、自動車のビーム1の貫通孔1aに嵌合させて固定すればよく、このようにすることで、ワイヤハーネス2とオープナケーブル3は自動車のビーム1に容易で迅速に保持されることとなる。
【0072】
また、クリップ本体10に基板本体11aが設けられると共に、基板本体11aの左右両側11bに一対のテープ固定部12,12′が設けられてクリップ本体10に基板部11が形成され、基板部11にワイヤハーネス2が載置され、クリップ本体10に形成された基板部11の一対のテープ固定部12,12′で、ワイヤハーネス2とクリップ本体10がテープ4の巻付けにより固定されている。
【0073】
このようにすれば、クリップ5を構成するクリップ本体10の基板本体11aの左右両側11bに、ワイヤハーネス2がテープ巻きにより取付けられる一対のテープ固定部12,12′が設けられて基板部11が形成され、この基板部11に載置されたワイヤハーネス2は、テープ4によってクリップ本体10を形成する基板本体11aの一対のテープ固定部12,12′に取付けられるものであるから、クリップ5を構成するクリップ本体10とワイヤハーネス2は確実に固定される。これにより、クリップ5が取付けられたワイヤハーネス2を自動車のビーム1に保持させる作業は、容易で迅速に行われるものとなる。
【0074】
図1〜図3,図5(a)に示されるクリップ本体10に設けられた取付部15すなわちクランプ15の形状やその動作について、図7(a)〜図7(c)と共に説明する。
【0075】
図7(a)の如く、クリップ本体10の基板部11の外面11f側に立設されたクランプ15は、平板形状をした基板本体11aの外面11fの平面部分から略垂直に伸ばされるようにして設けられている。そして前記クランプ15は、平板形状をした基板本体11aの外面11f近傍部の根元部15aと、クランプ15が相手係合孔へ取付けられて係止される際に重要な働きをする傘部15cと、前記根元部15aから前記傘部15cまでを結ぶ支持部15bを備えている。
【0076】
クランプ15が相手取付体1の貫通孔1aへ差込まれた際に、クランプ15の根元部15aに応力集中が発生されることを回避させるために、クランプ15の支持部15bの根元部15aに曲面からなる肉盛り部が設けられている。また、同様な理由から、クランプ15の支持部15bの先端部15から左右両側へ延びる一対の係止羽根15fの付根部位にも、曲面からなる肉盛り部が設けられている。
【0077】
図1〜図3,図5(a),図7から分るように、クランプ15の支持部15bは略直方体の形状をしたものである。この略直方体をしたクランプ15の支持部15bは、この支持部15bの下部近傍の途中から一対の傾斜段部が設けられて前記直方体が狭められ、さらに、前記傾斜段部から球状面に近似した曲面部位が形成されて、クランプ15の先端部15gへと続いている。
【0078】
クランプ15に形成された傘部15cについて詳しく説明すると、この傘部15cは、球状面に近似した曲面部位を形成する先端部15gと、これに続く緩やかな曲面部分が外側の面に設けられた一対の係止羽根15fと、このクランプ15が相手係合孔すなわち貫通孔1aへ取付けられた際に、相手係合孔からクランプ15が容易に抜出されずに確実に係止されるための着座部15eと、この着座部15eから基板部11の外面11fに向けて設けられ、且つクランプ15が相手係合孔から容易に抜出されないための働きをする係止片15dとから形成されている。
【0079】
このクランプ15がビーム1に設けられた貫通孔1aに嵌合された後に、リサイクルなどの理由で、再度、ワイヤハーネス、オープナケーブルなどの線状体がビーム1から取外される際に、クリップ5の取付けられた前記線状体が容易にビーム1から取外されるために、クランプ15の係止羽根15fに設けられた着座部15eは僅かに傾斜されたテーパガイド面として形成されている。すなわち、クランプ15が貫通孔1aに完全に嵌め込まれた状態において、クランプ15の係止羽根15fに設けられた着座部15eは、テーパガイド面としての機能も果す傾斜面として形成されている。
【0080】
また、クランプ15の係止羽根15fに設けられた係止片15dは、支持部15bと略平行となるようにして、着座部15eから平板形状をした基板部11の外面11fに向けて突出されている。このようにすることで、クリップ本体10に設けられたクランプ15は確実にビーム1の貫通孔1aに係止される。
【0081】
前述したように、クランプ15の着座部15eに、確実な係止と着脱可能な機能が兼ね備えられたものであることが好ましいが、クランプ15として確実な係止が行われるものであれば、いかなる形状のクランプが用いられてもよい。
【0082】
図7(a)に示されるクリップ本体10の基板部11の内面11e側に、ワイヤハーネスなどの線状体がテープ等により取付けられる。
そして、図7(a)に示されるクリップ本体10に設けられたクランプ15が、下向きの矢印方向に沿って動かされて、ビーム1の貫通孔1aに完全に嵌合される(図7(c)参照)。
【0083】
クリップ本体10に設けられたクランプ15が、ビーム1の貫通孔1aに嵌合される過程において、図7(b)に示されるように、クランプ15の係止羽根15fを含む傘部15cは閉じ方向に弾性変形される。その際に、図7(b)の状態においてクランプ15を下側から眺めると、支持部15bと一対の係止羽根15fに設けられた曲面部位の稜線は、略真円状となるように設定されている。
【0084】
その後、図7(c)に示されるように、クリップ本体10に設けられたクランプ15は略元の姿勢の状態に弾性復帰される。クリップ本体10に設けられたクランプ15の一対の着座部15eが、ビーム1の貫通孔1aの内壁周辺部に嵌り込み、これによりクリップ本体10に設けられたクランプ15がビーム1から不用意に外れてしまうと言うこともなく、確実にクリップ5はビーム1に保持される。
【0085】
クリップ5を構成するクリップ本体10と可動ロック体20は、射出成形が可能な合成樹脂であり、且つ、熱可塑性的な性質を有する合成樹脂などにより形成されている。図5(a)に示されるように、一対のテープ固定部12,12′を含む基板部11、バンドクランプ部13、ロック係合部14、クランプ15などの各部位から形成されるクリップ本体10全体が、一種類の射出成形が可能な合成樹脂であり、また、一種類の熱可塑性的な性質を有する合成樹脂で形成されると、部品点数が減らされ、これに伴って各部品の管理にかけられる手間や工数が削減され、結果として価格の低減化が図られることになり好ましい。
【0086】
このような射出成形が可能な合成樹脂であり、また、熱可塑性的な性質を有する合成樹脂として、例えば、ポリプロピレン樹脂(PPと略称する)、ポリアミド樹脂(PAと略称する)などが挙げられ、必要に応じて合成樹脂に各種の充填材が添加されてあってもよい。本発明の実施の形態の一例に用いられたクリップ本体10と可動ロック体20は、ポリプロピレン樹脂(PP)から形成され、成形性、剛性、耐熱性、衝撃強さ、耐電圧、耐アーク性などの電気的特性などと言った点で優れたものである。
【0087】
クリップ5の取付方法、取付工順について簡単に説明する。
図1に示されるように、ワイヤハーネス2をクリップ5の基板部11の左右両側11bに設けられた一対の固定部12,12′に、テープ4によりワイヤハーネス2が取付けられる。その際に、クリップ本体10の前側に設けられたロック係合部14と、クリップ本体10のバンド状係止部13すなわちバンドクランプ部13に取付けられた可動ロック体20とをロックさせずに、開放された状態いわゆるフリーの状態のままで、クリップ5が取付けられたワイヤハーネス2が自動車メーカに納品される。
【0088】
そして、図1から分るように、自動車メーカの流れ作業ラインにおいて、ワイヤハーネス2に取付けられているクリップ5のクランプ15が、車体側のビーム1に設けられた貫通孔1aに嵌め込まれることで、ワイヤハーネス2は自動車の車体側の所定の部位に取付けられる。
【0089】
その後、図1〜図3に示されるように、自動車メーカの流れ作業ラインにおいて、オープナケーブル3などと言った他の線状体3が、ワイヤハーネス2に取付けられたクリップ5のバンド状係止部13の内部に収められるようにして取付けられる。
【0090】
その後、図2および図3に示されるように、クリップ5のバンド状係止部13の端部に設けられたつまみ部13gが、指などで矢印のP方向へ引張られることで、クリップ本体10と可動ロック体20は確実に締着される。このようにして、オープナケーブル3などの他の線状体3が、ワイヤハーネス2と共にクリップ5によって車体側のフレーム、ビーム1などの相手取付体1に確実に固定される。
【0091】
本発明のクリップの取付構造として、例えば、自動車のクラスタなどのインストルメントパネル周辺部、通常のドア、スライドドア、リヤ用ドア、ドアトリムなどのドア周辺部、ガーニッシュ周辺部、リヤパッケージトレイ周辺部などに適用されてもよく、また自動車以外に各種電機製品などに使用されることも可能である。このように本発明のクリップの取付構造を、あらゆる箇所に適用させれば、上述した各種多様な線状体などを、容易で迅速に相手取付体に組付けることが可能となる。
【0092】
上記各種の取付例や上記各種の線状体のなかでも、相手取付体1として自動車に組付けられるビーム1が用いられ、線状体2としてワイヤハーネス2が用いられ、他の線状体3としてオープナケーブル3が用いられるとよい。
【0093】
従来、自動車の組立作業の際に、自動車のビーム1部位に、ワイヤハーネス2やオープナケーブル3をそれぞれ取付けると言った組立作業を行うには、比較的、手間や時間がかかると言う問題があったが、自動車に組付けられるビーム1や、この自動車に取付けられるワイヤハーネス2やオープナケーブル3に本発明が採用されると、自動車の組立作業が容易となり自動車の製造工程の迅速化を図ることが可能となる。また、組立工程が迅速化されることにより、人件費、管理費などが削減され、結果として自動車の価格の低減化を図ることも可能となる。
【0094】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1又は請求項4記載の発明によれば、クリップ本体に可動ロック体が係止されるクリップが用いられて、多重に配策されるケーブル、チューブなどの線状体が相手取付体に保持されるものであるから、多重に配策される線状体の径寸法、サイズに関係なく、細いサイズから太いサイズの各線状体を一つに束ねて容易に固定することができる。これにより、部品点数の削減化を図ることが可能となり、また、組付け作業性に優れたものとなる。
【0095】
また、請求項2又は請求項4記載の発明によれば、クリップを構成するクリップ本体に相手取付体の固定部位に対応した取付部が設けられてあるから、線状体を相手取付体に保持させる際に、クリップを構成するクリップ本体の取付部を相手取付体の固定部位に固定させればよく、このようにすることで線状体は相手取付体に容易で迅速に保持される。
【0096】
また、請求項3又は請求項5記載の発明によれば、クリップを構成するクリップ本体の基板本体の両側に、線状体がテープ巻きにより取付けられる一対の固定部が設けられて基板部が形成され、基板部に載置された線状体はテープによってクリップ本体を形成する基板本体の一対の固定部に取付けられるものであるから、クリップを構成するクリップ本体と線状体は確実に固定される。これにより、クリップが取付けられた線状体を相手取付体に保持させる作業は、容易で迅速に行われるものとなる。
【0097】
また、請求項6記載の発明によれば、従来、自動車の組立作業の際に、自動車のビーム部位に、ワイヤハーネスやオープナケーブルをそれぞれ取付けると言った組立作業を行うには、比較的、手間や時間がかかると言う問題があったが、自動車に組付けられるビームや、この自動車に取付けられるワイヤハーネスやオープナケーブルに本発明が採用されると、自動車の組立作業が容易となり自動車の製造工程の迅速化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るクリップ及びこれの取付構造の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】 同じくクリップ及びこれの取付構造の一実施形態を示す側面図である。
【図3】 同じくクリップ及びこれの取付構造の一実施形態を示す縦断面図である。
【図4】 図4(a)は図3のA部拡大図、図4(b)は図3のB部拡大図である。
【図5】 (a)はクリップ本体を示す拡大斜視図であり、(b)はバンド状係止部を示す部分拡大図である。
【図6】 可動ロック体の拡大斜視図である。
【図7】 (a)はクリップに設けられたクランプが相手取付体の固定部へ組付けられる前の状態を示す拡大説明図、(b)はクリップに設けられたクランプが相手取付体の固定部へ組付けられている状態を示す拡大説明図、(c)はクリップに設けられたクランプが相手取付体の固定部へ組付けられた状態を示す拡大説明図である。
【図8】 従来のワイヤハーネスとオープナケーブルとが相手取付体へ組付けられた状態の一形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 相手取付体(ビーム)
1a 固定部位(貫通孔)
2 線状体(ワイヤハーネス)
2a 電線
2b 集束テープ
3 他の線状体(オープナケーブル)
3a ケーブル
3b チューブ
4 テープ
5 クリップ
10 クリップ本体
11 基板部
11a 基板本体
11b 両側
11c 前側(前面)
11d 後側(後面)
11e 内面
11f 外面
12,12′ 固定部(テープ固定部)
13 バンド状係止部(バンドクランプ部)
13a バンド本体
13b 係止突起
13c 係止面
13d 傾斜摺接面
13e 内周面
13f 外周面
13g 先端部(つまみ部)
13h 折曲げ部
14 ロック係合部
14a ロック係合部本体
14a′ 支持片
14b ロック孔
14c ロック係合面
14d 可撓連結部(可撓連結片)
14e 挿入口
14f ロック突起収容部
14g,14g′ ガイド突出部(ガイド突出片)
14h,14h′ テーパガイド面
15 取付部(クランプ)
15a 根元部
15b 支持部
15c 傘部
15d 係止片
15e 着座部
15f 係止羽根
15g 先端部
20 可動ロック体
21 バンド係合部(基部)
21a 挿通孔(収容部)
21b 係合突起
21c 係合面
21d 傾斜摺接面
21e 入口
21f 出口
22 ロック係止部(突出部)
22a 突出片
22b ロック突起
22c ロック係止面
22d 摺接面
22e 傾斜摺接面
22f 側面
22g,22h テーパガイド面

Claims (6)

  1. クリップは、クリップ本体と該クリップ本体に係止される可動ロック体とで構成され、該クリップ本体は、線状体を載置する基板部と、該線状体を巻付けるバンド状係止部と、記可動ロック体のロック係止部に対応したロック係合部を備え、前記可動ロック体は前記クリップ本体のバンド係止部とは別体に設けられるとともに該可動ロック体には、前記クリップ本体の前記バンド状係止部に沿って移動可能なバンド係合部と、前記クリップ本体の前記ロック係合部に対応したロック係止部が設けられ、前記バンド係合部の挿通孔の内部には、前記クリップ本体のバンド状係止部の外周面に設けられた係止突起に対応する係合突起が設けられ、前記可動ロック体を形成する基部に設けられた収容部は、入口から出口にかけて貫通しており、前記可動ロック体の基部の挿通孔に前記クリップ本体のバンドクランプ部が挿通されるようになっていることを特徴とするクリップ。
  2. 前記クリップ本体の前記基板部の外面側に、相手取付体の固定部位に対応した取付部が設けられたことを特徴とする請求項1記載のクリップ。
  3. 前記クリップ本体の基板本体の両側に、前記線状体がテープ巻きにより取付けられる一対の固定部が設けられて、前記基板部が形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載のクリップ。
  4. 請求項2記載のクリップの前記取付部に対応して、前記固定部位が設けられた前記相手取付体を備えるクリップの取付構造であり、前記線状体が取付けられた該クリップの前記クリップ本体の前記取付部が該相手取付体の該固定部位に取付けられ、該クリップに他の線状体が備えられ、該クリップ本体の前記ロック係合部と前記可動ロック体の前記ロック係止部が嵌合され、且つ、該クリップ本体の前記バンド状係止部と該可動ロック体の前記バンド係合部が締着されることで、該クリップを介して該相手取付体に該線状体および該他の線状体が保持されたことを特徴とするクリップの取付構造。
  5. 前記クリップ本体に基板本体が設けられると共に、該基板本体の両側に一対の固定部が設けられて該クリップ本体に基板部が形成され、該基板部に前記線状体が載置され、該クリップ本体に形成された該基板部の該一対の固定部で、該線状体と該クリップ本体がテープの巻付けにより固定されたことを特徴とする請求項4記載のクリップの取付構造。
  6. 前記相手取付体として自動車に組付けられるビームが用いられ、前記線状体としてワイヤハーネスが用いられ、前記他の線状体としてオープナケーブルが用いられたことを特徴とする請求項5又は6記載のクリップの取付構造。
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