JP4064097B2 - 二重ビード付の配管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は配管に関するものである。特に、熱交換器等に形成されている接続穴に管端部が挿入され、その状態で抜止め部材が熱交換器等に固定されることによって接続穴から抜止めされる配管に関する。
【0002】
【従来の技術】
給湯器等では、ポンプに配管を抜止した状態で接続すること、あるいは熱交換器に配管を抜止めした状態で接続すること等がしばしば必要とされる。この明細書では、ポンプや熱交換器等の、配管が接続される部材を相手側部材という。
ポンプや熱交換器等の相手側部材に接続穴を設けておき、その接続穴に配管の端部を挿入し、その状態で抜止め部材を相手側部材に固定することによって、配管を相手側部材に抜止めして接続する構造を図6〜図8に示す。図6に示されているように、相手側部材112に形成されている接続穴114は、接続面113に開口する開口部116を有している。開口部116の全周には、断面が皿状のテーパ117が形成されている。テーパ117が形成されていると、後述する配管130の管端部132を接続穴114に挿入する操作が容易になる。
接続穴114の径は、開口部116に近い大径部114aと、その奥側の小径部114bで構成されている。大径部114aと小径部114bとの間には、段状の段部114cが形成されている。相手側部材112の接続面113には、スクリュウ穴118が2つ形成されている。
【0003】
接続穴114に挿入される配管130は、図7に示されているように、管端部132にビード133が形成されている。ここでいうビードとは、配管の管壁が半径方向外側に膨出した壁であり、配管130を周方向に一巡している。ビードは半径方向に膨出しているために、軸方向に当接面を提供する。図の場合、ビード133の図示右側の面がO(オー)リング136に軸方向から当接して、Oリング136が管端138から抜け出すことを防止する。
ビード133の外径は、接続穴114の大径部114aの内径よりも僅かに小さい寸法とされている。そのビード133よりも管端138から遠い側の離れた位置に、リング135が固定されている。リング135は、配管130がカシメられて形成される膨出部134がリング135の内面に当接することで配管130に固定される。配管130に固定されたリング135の外径は、接続穴114の大径部114aの内径よりも僅かに小さい寸法とされている。このように構成されているので、ビード133とリング135との間には周方向に延びる溝139が形成される。この溝139に、弾性体で製作されているドーナツ状のOリング136が装着される。
【0004】
図8に示すように、接続穴114に配管130を接続する際には、接続穴114に管端部132を挿入する。するとビード133が段部114cに当接する。管端部132が接続穴114に挿入された状態で、中央に円形状の穴が開口している円盤状のプレート142を接続面113に押し当て、2本のスクリュウ143をスクリュウ穴118にねじ込み、プレート142を相手側部材112に固定する。相手側部材112に取付けられたプレート142は、配管130に固定されているリング135と当接して、配管130が接続穴114から抜出るのを禁止する。配管130が相手側部材120に接続された状態で、Oリング136は変形して接続穴114の大径部114aの内面に密着する。Oリング136が変形して大径部114aの内面に密着すると、配管130内を流れる流体が外部に洩れることが防止される。
【0005】
ビード133の外径は接続穴114の大径部114aの内径よりも僅かに小さい寸法とされており、実際上大径部114aの内面に当接し、配管130が接続穴114の中で径方向のガタつくことを防止する。また、リング135の外径も、接続穴114の大径部114aの内径よりも僅かに小さい寸法とされているので、実際上大径部114aの内面に当接し、配管130が接続穴114の中で径方向のガタつくことを防止する。ビード133とリング135が接続穴114の中で径方向のガタつくことが防止されているので、Oリング136の形状が一定に保たれ、Oリング136によるシール効果が長期にわたって確保される。
リング135の軸方向の長さはテーパ117の軸方向長さよりも長く、リング135がプレート142に当接して抜止めされた状態で、リング135はテーパ117を超えてその奥側まで入り込み、大径部114aの内面と当接する。
リング135の軸方向長さがテーパ117の軸方向長さよりも短くて、リング135がプレート142に当接して抜止めされた状態で、リング135がテーパ117の存在範囲にとどまり、大径部114aにまで入り込めないと、リング135がテーパ117のなかでガタつき、Oリング136の形状が不安定となり、シール効果が破られる可能性が高くなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の理由から、リング135の軸方向長さを確保する必要が有り、このために、従来の配管では、配管130とは別の部材であるリング135を用いていた。しかしながら、従来の配管では、配管130とは別の部材であるリング135を配管130に固定する必要があるので、製作コストが高く、外れる可能性があった。また、多くの場合に、配管とリングを異種の金属で形成することから、製品廃棄時に材料別に分離するのが大変で、リサイクルに適しないという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、Oリングの形状を安定させるための形状を、配管材料自体で、安価な製作コストで実現することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用と効果】
請求項1に記載の配管は、相手側部材に形成されているとともに開口部の全周に亘ってテーパが形成されている接続穴に管端部が挿入され、その状態で抜止め部材が相手側部材に固定されることによって接続穴から抜止めされる、二重ビード付の配管に関する。その配管の管端部には、その接続穴の内径よりも僅かに小さな外径を持つ大径ビードと、その大径ビードよりも管端から遠い側に設けられた小径のビードが形成さており、その小径側のビードが前記抜止め部材に当接して抜止めされるときに、大径ビードはテーパよりも奥に入り込んで接続穴の内面に当接することを特徴とする。
接続穴の内径よりも僅かに小さな外径を持っており接続穴内面に実際上当接する大径ビードよりも管端から遠い側にもう1つのビードが形成されていると、管端から遠い側のビードが抜け止め部材に当接して抜止めされるときに、管端に近い側のビードはテーパよりも奥に入り込んで接続穴の内面に当接する。管端に近い側の大径ビードの外周がテーパを超えて入り込んで接続穴内面と当接すると、管端部が接続穴の中で径方向にガタつくことが防止される。ビードは配管材料の一部を使って容易に成形加工することができる。このため、製作コストを安く押さえることができる。当然に、抜け落ちることはなく、製品廃棄時に分離する必要もない。
【0009】
請求項1に記載の配管において、前記大径ビードよりも管端に近い側であって前記大径ビードから離れた位置にさらにもう1つのビードが設けられていることことが好ましい(請求項2)。
このような構成によれば、ビードとビードの間に周方向に伸びる溝が形成され、その溝にシール部材を装着することで、配管を接続穴から引き抜いたときに、接続穴にシール部材が残ってしまうことを防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の配管に係る実施の形態を図1〜図4を参照しながら説明する。なお、本実施の形態の相手側部材の接続穴は、図6を用いて説明した従来構造と同じなので、その説明は省略する。また以下の相手側部材の説明では、図6と同じ符号を参照する。
図1、図2に示されているように、断面が円形の配管30の管端部32には、半径方向に膨出して周方向に一様に延びるよう3つのビード(33、42、43)が形成されている(以下の説明では、管端44側から、管端側ビード33、ガタ防止ビード42、抜止めビード43と呼ぶ)。管端側ビード33とガタ防止ビード42は軸方向に離れて配置されおり、両者間に溝39を形成している。ガタ防止ビード42と抜止めビード43は軸方向に隣接して配置されている。管端側ビード33とガタ防止ビード42は同径であり、相手側部材112に形成されている接続穴114の内径よりも僅かに小さい。管端側ビード33とガタ防止ビード42は接続穴114に挿入できるともに、その径の差が小さいので管端側ビード33とガタ防止ビード42は接続穴114の中で径方向にがたつくことがない。抜止めビード43の外径は、管端側ビード33とガタ防止ビード42の外径よりも小さく、接続穴114と干渉することはない。また、管端44の径は、接続穴114の小径部114bの径よりも僅かに小さい寸法とされている。
【0011】
接続穴114に配管30を接続する際には、最初に、弾性体で製作されているOリング36を、その径が大きくなるように引き伸ばし、管端側ビード33を乗り越えるようにして溝39に装着する。溝39に装着されたOリング36の径は接続穴114の大径部114aの径よりも大きな寸法となる。また、円盤状のプレート51を用意する。プレート51は、中央に円形状の穴51aが開口されているとともに、スクリュウ装着用である2つの穴51bも開口されている。
そして、図3に示されているように、配管30の管端部32を相手側部材112の接続穴114に挿入する。管端部32を接続穴114に挿入すると、管端44が接続穴114の小径部114bに差し込まれ、管端側ビード33が段部114cに当接する。この状態で、プレート51の穴51bを介してスクリュウ48をスクリュウ穴118にねじ込み、プレート51を相手側部材112の接続面113に固定する。接続面113に固定されたプレート51は、抜止めビード43と当接する。
このように、管端側ビード33が段部114cに当接し、抜止めビード43がプレート51と当接すると、配管30の接続穴114に対する軸方向の動きが拘束される。また、Oリング36は、変形して大径部114aの内面に密着する。Oリング36が大径部114aの内面に密着すると、配管30内を流れる流体が外部に洩れることが防止される。
【0012】
図4によく示されているように、ガタ防止ビード42はプレート51に当接している抜止めビード43よりも管端44側に設けられているので、テーパ117よりも奥側に配置されて大径部114aの内面と当接する。ガタ防止ビード42と管端側ビード33が大径部114aの内面と当接すると、配管30に径方向のガタが生じることが防止されてその接続が確実に行われる。
【0013】
上述した配管30の管端部32は、成形が容易なビード(33、42、43)が設けられているのみであり、従来では必要とされたリング135のような別部品は取付けられていない。このために生産コストが安い。廃棄時に分別する必要もない。またガタ防止ビード42や抜け止めビード43が配管30から抜けることもない。
【0014】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0015】
従って、例えば、以下に記載するように構成することもできる。
(1)ガタ防止ビードと抜止めビードは、必ずしも隣接して配置される必要はなく、軸方向に離れて配置されてもよい。
このように構成されていても、ガタ防止ビードの外周を接続穴の内面に当接させることができる。
(2)ガタ防止ビードと抜止めビードとの間にさらにビードを形成してもよい。このような構成によれば、ガタ防止ビードをより接続穴の奥に配置することができる。
(3)図5に示されているように、管端側ビードを設けない構成とすることもできる。
このように構成しても、配管に径方向のガタが生じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る配管の管端部の外形図。
【図2】本発明の実施の形態に係る配管の管端部の断面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る配管が接続穴に接続された状態の断面図。
【図4】本発明の実施の形態に係る配管が接続穴に接続された状態の要部の拡大図。
【図5】本発明の別の実施形態の配管管端部の外形図。
【図6】従来の技術と本発明の実施の形態に係る相手側部材の接続穴の断面図。
【図7】従来の技術に係る配管の管端部の断面図。
【図8】従来の技術に係る配管が接続穴に接続された状態の断面図。
【符号の説明】
30:配管
32:管端部
33:管端側ビード
36:Oリング
39:溝
42:ガタ防止ビード
43:抜止めビード
44:管端
48:スクリュウ
51:プレート、51a:穴、51b:穴
112:相手側部材
113:接続面
114:接続穴、114a:大径部、114b:小径部、114c:段部
116:開口部
117:テーパ
118:スクリュウ穴
130:配管
132:管端部
133:ビード
134:膨出部
135:リング
136:Oリング
138:管端
139:溝
142:プレート
Claims (2)
- 相手側部材に形成されているとともに開口部の全周に亘ってテーパが形成されている接続穴に管端部が挿入され、その状態で抜止め部材が相手側部材に固定されることによって接続穴から抜止めされる配管であり、
管端部には、その接続穴の内径よりも僅かに小さな外径を持つ大径ビードと、その大径ビードよりも管端から遠い側に設けられた小径のビードが形成さており、その小径側のビードが前記抜止め部材に当接して抜止めされるときに、大径ビードはテーパよりも奥に入り込んで接続穴の内面に当接することを特徴とする二重ビード付の配管。 - 前記大径ビードよりも管端に近い側の前記大径ビードから離れた位置にさらにビードが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の配管。
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