JP4063948B2 - 船外機の取り扱い用ハンドル構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、船外機の取り扱い用ハンドル構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、小型船舶の船尾部に推進装置として船外機を取り外し可能に取付けることが行なわれている。この船外機は、船体に取付けた状態で航走状態では下端部のプロペラを水中に没入させ、停泊時にはプロペラを水面上に上げるためにチルトアップさせ、さらに不使用時には船体から取り外して保管するため、チルトアップ操作や持ち運びのためのキャリングハンドルが設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構造では、チョークレバーおよびストップスイッチを操作する際に、チルトアップ操作や持ち運びのためのキャリングハンドルが邪魔になっていた。
【0004】
この発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、チョークレバーおよびストップスイッチを操作する際に、チルトアップ操作や持ち運びのためのキャリングハンドルが邪魔にならない船外機の取り扱い用ハンドル構造を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、船外機の頭部のカウリングの外周部の前側半分を形成し、握り部が前方に突出するキャリングハンドルが設けられ、上記カウリングの一側部にステアリングハンドルが設けられ、上記握り部の両側部の内、ステアリングハンドル側にストップスイッチが設けられ、反ステアリングハンドル側にチョークレバーが設けられているものである。
【0006】
請求項2の発明は、上記船外機の頭部のカウリングの外周部の後側半分を形成する傾動ハンドルが設けられ、この傾動ハンドルと上記キャリングハンドルとで、船外機の頭部を覆うカウリングの外周部に、ほぼ全長に亘って環状にハンドルが形成されているものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
図9は船外機を船体に取付けた状態の側面図であり、図において船外機100はアッパーカウリング91とロワーカウリング92とからなるカウリング9内にエンジンなどの上部構造が収納され、ロワーカウリング92の下側にアッパーケーシング93とロワーケーシング94とが順次連結され、エンジンのクランクシャフトに連結されたドライブシャフトがアッパーケーシング93とロワーケーシング94との内部で下端部まで延び、下端部のプロペラ95に連結されている。
【0008】
また、上記ブラケットスイベル930にはブラケット99が設けられ、このブラケット99の先端部にはチルト軸97を介してクランプブラケット96が取付けられ、このクランプブラケット96が船体のトランサム101の上端部に取付けられて、クランプハンドル98で締め付けられることにより固定されている。
【0009】
そして、この状態で船外機100をチルト軸97回りに回転させることにより、仮想線で示すようにプロペラ95を水面上に上昇させる(チルトアップさせる)ことができると共に、カウリング9の側部から前方に突出させて設けたステアリングハンドル90により、船外機100を図示しない垂直な軸回りに回転させる(操舵する)ことができるようにしている。
【0010】
図1は船外機上部構造の平面配置図、図2は図1の矢印P方向の側面図、図3は図1の矢印S方向の側面図、図4は図1のA−A線断面を左側に、図2のB−B線断面を右側に示す船外機上部構造の正面図である。
【0011】
図1〜図4に示すように、エンジンのシリンダボディ1にはその後側(図1、図2の右側)にシリンダヘッド11が結合され、さらにその後側にシリンダヘッドカバー12が結合され、シリンダボディ1の前側にはフューエルタンク4が配置され、また下部にはオイルパン14が形成されている。
【0012】
また、シリンダボディ1の上側にはマニュアルスタータ3が配置され、このスタータ3用のスタータハンドル30がアッパーカウリング91の前方に突出している。上記マニュアルスタータ3の後側にはシリンダヘッド11の上側にキャブレター7が配置され、このキャブレター7は、平面視においてエンジンのシリンダ方向に対して傾斜して配置されている。上記ステアリングハンドル90の基部は、アッパーケーシング93に固定された取付け部材(ステアリングブラケット)8により固定されてアッパーカウリング91の前側に突出して形成されている。
【0013】
上記キャブレター7の一側部にはサイレンサー72が結合されてその吸気パイプ71が下方に延び、その下端部に吸気口が下向きに開口している。上記キャブレター7の他側部にはインテークマニホールド73が結合され、このインテークマニホールド73は、U字形に湾曲してその下側のシリンダヘッド11に導かれている。
【0014】
上記船外機100の頭部には、この頭部を覆うカウリング9の外周部にほぼ全周に亘って環状に形成されたハンドル5,6が設けられ、このハンドル5,6には船外機100の前方および後方に握り部50,60が形成されている。すなわち、このハンドル5,6は、船外機100のカウリング9の外周部の前側の半分を形成する平面形状U字形のキャリングハンドル(前側ハンドル)5とカウリング9の外周部の後側の半分を形成する平面形状U字形の傾動ハンドル(後側ハンドル)6とから構成され、各ハンドル5,6は、船外機100の頭部の両側部でそれぞれ固定されている。
【0015】
上記キャリングハンドル5は、図6に示すように形成されている。すなわち、キャリングハンドル5は、両側部53,54とそれらを連続させる湾曲した握り部50とが平面形状U字形にプラスチックによって一体に形成され、握り部50は筒状に形成され、両側部53,54はそれぞれ内側に開口するU字形断面形状に形成されている。
【0016】
この握り部50は、図6(c)(d)および図9に示すように、船外機100の鉛直姿勢において重心位置101とほぼ同一水平面上に位置するように下方に湾曲して形成されている。上記両側部53,54には船外機100の頭部の両側部に結合するためのボルト穴57,58がそれぞれ一対ずつ形成され、図4に示すように左舷側(図1矢印P側)では後述の取付け部材8に対してボルト穴57を通してボルト51を締め付けることにより固定させるようにし、右舷側(図1矢印S側)ではシリンダボディ1に対してボルト穴58を通してボルト52を締め付けることにより固定させるようにしている。
【0017】
上記握り部50の両側部には前後方向に貫通する取付け用穴55,56が形成され、上記取付け用穴55にはストップスイッチ15が取付けられ、取付け用穴56にはチョークレバー16が取付けられるようにしている。
【0018】
図1から明らかなように、カウリング9の幅方向の中心線CLを参照すれば、上記ストップスイッチ15は、ステアリングハンドル90側に設けられ、上記チョークレバー16は、エンジンのサイレンサー72やキャブレター7などの吸気関連部品が配置された側で、かつ反ステアリングハンドル90側に設けられている。また、フューエルタンク4は、チョークレバー16とストップスイッチ15との間に位置させている。
【0019】
上記傾動ハンドル6は、図7に示すように形成されている。すなわち、傾動ハンドル6は、両側部63,64とそれらを連続させる湾曲した握り部60とが平面形状U字形にプラスチックによって一体に形成され、握り部60は筒状に形成され、両側部63,64はそれぞれ内側に開口するU字形断面形状に形成されている。
【0020】
この握り部60は、図7(c)(d)および図9に示すように、船尾部の人がアッパーカウリング91の上方から握り部60に容易に手をかけることができるように、後方ほど高くなるように湾曲して形成されている。上記両側部63,64には船外機100の頭部の両側部に結合するためのボルト穴67,68がそれぞれ一対ずつ形成され、左舷側では後述の取付け部材8に対してボルト穴68を通してボルト61を締め付けることにより固定させるようにし、右舷側ではシリンダボディ1に対してボルト穴67を通してボルト62を締め付けることにより固定させるようにしている。
【0021】
上記取付け部材8は、図8に示すように形成されている。すなわち、取付け部材8は、中心穴80を有するボス部81とその両側方に延びる翼部83,84と、下方に延びる取付け部82とがアルミダイカストによって一体に形成されてなり、この取付け部82は、図8(b)(d)および図4に示すように内側に傾斜して形成されている。
【0022】
そして、取付け部82の下端部には一対のボルト穴85が形成され、図4に示すように左舷側でアッパーケーシング93の上部一側部に対して上記ボルト穴85を通してボルト850を締め付けることにより取付け部材8を固定させるようにしている。上記翼部83,84にはそれぞれ一対のボルト穴86,87が形成され、このボルト穴86には上記ボルト61が締め付けられて上記傾動ハンドル6の一端部が固定され、ボルト穴87には上記ボルト51が締め付けられて上記キャリングハンドル5の一端部が固定されるようにしている。
【0023】
このような取付け部材8を利用することにより、右舷側におけるような取付け部がない左舷側においても、傾動ハンドル6およびキャリングハンドル5の基部をそれぞれ保持することを可能にしている。上記中心穴80には、図1に示すように、上記ステアリングハンドル90の基部が嵌入されることにより取付けられるようにしている。
【0024】
なお、キャリングハンドル5および傾動ハンドル6の取付け部では、図5に示すように、ロワーカウリング92の両側部をそれぞれ幅方向に凹入させてその部分にキャリングハンドル5および傾動ハンドル6を沿わせるようにし、これによってハンドル5,6の幅が最小限になるようにしている。
【0025】
上記実施形態においては、傾動ハンドル6とキャリングハンドル5とによって環状のハンドルがカウリング9の周囲で全方向に突出しているために、船外機100を保管する際などに、船外機100の頭部が地上に直接当たることを防止して頭部を保護することになる。
【0026】
また、船外機100を船体に取付けるため、および船体から取り外して保管する際などにしばしば持ち運びが必要となるが、その際には、図10に示すように、人103がキャリングハンドル5の握り部50を持つと、その真下に船外機100の重心位置101が位置することになって船外機100が水平状態に保たれ、このため持ち運びが容易になる。
【0027】
さらに、船外機100の頭部のカウリング9の外周部の前側半分を形成し、握り部50が前方に突出するキャリングハンドル5が設けられ、上記カウリング9の一側部にステアリングハンドル90が設けられ、上記握り部50の両側部の内、ステアリングハンドル90側にストップスイッチ25が設けられ、反ステアリングハンドル90側にチョークレバー16が設けられているため、それらの前側の船尾部の人がチョークレバー16およびストップスイッチ25を操作する際に邪魔になるものがなく、操作しやすいという利点がある。
【0028】
【発明の効果】
請求項1または請求項2の発明では、船外機の頭部のカウリングの外周部の前側半分を形成し、握り部が前方に突出するキャリングハンドルが設けられ、上記カウリングの一側部にステアリングハンドルが設けられ、上記握り部の両側部の内、ステアリングハンドル側にストップスイッチが設けられ、反ステアリングハンドル側にチョークレバーが設けられているため、それらの前側の船尾部の人がチョークレバーおよびストップスイッチを操作する際に邪魔になるものがなく、操作しやすいという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施形態を示す船外機上部構造の平面配置図である。
【図2】 図1の矢印P方向の側面図である。
【図3】 図1の矢印S方向の側面図である。
【図4】 図1のA−A線断面を左側に、図2のB−B線断面を右側に示す船外機上部構造の正面図である。
【図5】 キャリングハンドルの取付け部を示す図1のC−C線断面図である。
【図6】 傾動ハンドルの説明図であり、(a)は正面図、(b)はその平面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図である。
【図7】 キャリングハンドルの説明図であり、(a)は正面図、(b)はその平面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図である。
【図8】 ハンドル取付け部材の説明図であり、(a)は取付け部材の正面図、(b)はその左側面図、(c)は(a)の中央縦断面図、(d)は(a)の平面図、(e)は(a)の背面図である。
【図9】 船外機を船体に取付けた状態の側面図であり、チルトアップさせた状態を仮想線で示している。
【図10】 船外機を持ち運ぶ状態を示す側面説明図である。
【符号の説明】
5 キャリングハンドル
9 カウリング
15 ストップスイッチ
16 チョークレバー
50 握り部
90 ステアリングハンドル
Claims (2)
- 船外機の頭部のカウリングの外周部の前側半分を形成し、握り部が前方に突出するキャリングハンドルが設けられ、上記カウリングの一側部にステアリングハンドルが設けられ、上記握り部の両側部の内、ステアリングハンドル側にストップスイッチが設けられ、反ステアリングハンドル側にチョークレバーが設けられていることを特徴とする船外機の取り扱い用ハンドル構造。
- 上記船外機の頭部のカウリングの外周部の後側半分を形成する傾動ハンドルが設けられ、この傾動ハンドルと上記キャリングハンドルとで、船外機の頭部を覆うカウリングの外周部に、ほぼ全長に亘って環状にハンドルが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の船外機の取り扱い用ハンドル構造。
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