JP4063799B2 - ロック解除装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の荷室を上下に区画する荷室区画部材に装着されるロック解除装置に関する。
車両の後部に形成された荷室は各種大きさの物品が収容される。そこで荷室容量をより大きく確保することを要点におくと、荷室フロアはより低く保持されることが有効であり、荷物の無い場合には、車室に続く荷室を連続させて乗員の居住性を向上させ、しかも、荷室空間の美観を保持する上で、荷室フロアをフラット化し、あるいは荷室フロア側を覆うことが望ましい。
このように荷室は利用目的に応じて物品載置面を形成するフロア材等の荷室区画部材の高さを切り換えることが望ましく、この切り換えを容易化するため、荷室区画部材はその両端に退却可能に突き出す係止部材を備え、これを操作するためのロック解除装置を装着する。
例えば、ロック解除装置は荷室区画部材の物品載置面の一部に操作部材を配備し、左右端に係止部材を弾性的に突き出し付勢した状態で配備する。このようなロック解除装置では、操作部材の切り換え操作に連動して係止部材を車室内壁側の係合部より退却させ、係止状態を解除された荷室区画部材を上下移動させ、再度、移動後に係止部材を係合部に弾性的に突き出し付勢して係合させ、荷室区画部材の物品載置面を新たな高さに保持している。
例えば、実開平3−42744号公報(特許文献1)に開示されるパッケージトレイに装着されたロック解除装置は、パッケージトレイの後部中央に操作部材を設け、後部両端に一対の可動ピンを退却可能にリターンスプリングにより突き出し付勢状態で取り付けている。このロック解除装置は一対の可動ピンが車室内壁側の係合部に係合することでパッケージトレイを所定位置に支持できる。更に、ハンドルの解除操作によりリンク系を介して一対の可動ピンをリターンスプリングの弾性力に抗して車室内壁側の係合部より退却作動させ、パッケージトレイの上下移動を可能とし、所望位置へ切り換え移動できるよう構成されている。
実開平3−42744号公報
ところで、荷室区画部材に装着されるロック解除装置はその操作部材が物品載置面上の一部に配備されることより、ここに載置された物品等が操作部材に接近して係合し、操作部材を解除作動させる可能性がある。
特許文献1に記載の技術の場合、パッケージトレイの物品載置面に凹設された部位にハンドルが水平方向に揺動可能に収容されており、物品載置面上の物品の一部がハンドルの収容された凹部に侵入する可能性がある。物品の一部が凹部に侵入した状態で物品がずれると、これに応じてハンドルが解除作動し、パッケージトレイの荷室内壁との係合が外れ、パッケージトレイの物品載置面上の物品が安全に支持されない状態となる可能性がある。
本発明は以上のような課題に基づきなされたもので、目的とするところは、荷室区画部材側の操作部材が誤作動することを排除し、荷室区画部材の物品載置面上に物品を安定して支持できるロック解除装置を提供することにある。
この発明の請求項1に係るロック解除装置は、車両の荷室を区画可能な荷室区画部材の左右端近傍に嵌着された本体と、上記本体にハンドル軸を介して枢支されると共にハンドル部が上下に揺動操作されるのに応じて搖動する操作片が設けられた操作部材と、上記荷室区画部材に設けられ、且つ、略コ字状に形成された棒状部材で構成されその両端部が上記荷室区画部材の側部より突出する方向に弾性付勢力を受けると共に上記荷室区画部材を上記荷室の所望の位置に係止可能な係止部材と、上記操作部材の操作片に対向保持されることで、操作片の搖動に応じて上記係止部材を車体中央側に引き込み変位させる係合状態と該操作片に非対向に保持されることで、操作片の搖動に連動させない非係合状態とに切換可能なカム部材と、車幅方向内側位置と外側位置とにスライド操作されることで上記カム部材を係合状態と非係合状態とに切換る切換部材とから構成されたことを特徴とする。
この発明の請求項2は、請求項1記載のロック解除装置において、上記荷室区画部材に埋設されたケース部材を有し、上記操作部材は上記ケース部材の内壁に沿って該ケース部材に回動可能に設けられたハンドル部を備え、上記切換部材は上記ハンドル部の内側に配置されたことを特徴とする。
この発明の請求項3は、請求項1記載のロック解除装置において、上記係止部材が係合状態となる方向に上記カム部材に付勢力を作用する第1付勢部材を有することを特徴とする。
この発明の請求項4は、請求項1記載のロック解除装置において、上記カム部材が上記係止部材を係合状態とするとき、該カム部材の駆動に連動し上記切換部材は上記操作部材を非連動状態とすることを特徴とする。
この発明によれば、切換部材により、カム部材の駆動を操作部材の操作に連動させる連動状態より連動させない非連動状態に切換ることができるので、たとえ、操作部材が誤って揺動しても、係止部材が係合状態から非係合状態へ誤作動することを排除でき、荷室区画部材上に載置する物品を安全に載置して支持できる。しかも、常に略コ字状の係止部材を突出する方向に弾性力で付勢するので、係止部材の両端部がそれぞれ荷室の所望の位置に係止状態を安定して維持でき、この点でも荷室区画部材上に載置する物品を安全に支持できる。
更に、この発明によれば、ケース部材の内壁に沿って該ケース部材に回動可能にハンドル部を設け、ハンドル部の内側に切換部材が配置されるので、ロック解除装置のコンパクト化を図れる。
更に、この発明によれば、係止部材が係合状態となる方向に第1付勢部材が駆動部材を付勢するので、係止部材の係合状態への移動変位の容易化を図ることが出来る。
更に、この発明によれば、切換部材は係止部材が係合状態にあるとき、操作部材が非連動状態に保持されるよう設定して、操作部材の空作動が可能なように保持でき、たとえ、操作部材が誤って揺動しても、これを空作動とし、係止部材が係合状態から非係合状態へ誤作動することを排除でき、荷室区画部材上に載置する物品を安全に載置して支持できる。
図1、2には発明の一実施形態としてのロック解除装置を取り付けた荷室区画部材を荷室に配備したワゴン車Cを示した。
このワゴン車Cはフロントシート1及びリアシート2が配備された車室FRと、その後方に連続しリアシート2のシートバック3とテールゲート4との間に確保される荷室(カーゴルーム)Rとを備え、テールゲート4の開放時に荷室Rに対して荷物M0、M1(図10参照)の出し入れが可能なよう形成される。
荷室Rはその車両前後方向Xの前部がフロントカバー部材5及びその上側に位置するリアシートバック3とで区画され、その車幅方向Yの相対する左右側壁がトランクトリム6及びその下方のクオータトリム7で形成され、後部がテールエンドカバー8及びその上方のテールゲート4とで区画される。更に、荷室Rのフロアはタイヤハウス部9(図2参照)を備えたフロア部材11で形成され、上下2段のフロア面f1、f2を荷室区画部材である一対の前後カーゴボード12、13の高さを切り換えることで形成することができる。即ち、図2、10に示すように、上側の基準フロア面f1は一対の前後カーゴボード12、13が後述する上位置に保持されることで確保され、下側の下フロア面fはフロア部材11近傍に一対の前後カーゴボード12、13が保持されることで確保される。
左右側壁をなすトランクトリム6及びその下方のクオータトリム7は共に樹脂成形され、図1、2に示すように、車体後部外壁部材の内壁側を覆うように形成される。このうち、クオータトリム7はトランクトリム6の上膨出部14に連続する下膨出部19と、その後方に形成される下凹状部21とを備える。下膨出部19の主要部には前段部形成部材22が一体的に取付けられる。下凹状部21の前後縁部にはそれぞれ前後ガイドレール23、24が一体的に取付けられる。
左右の前段部形成部材22は長板状に樹脂成形された前カーゴボード12の左右端を上下位置に切り換え支持する上下屈曲段部221、222を形成される。上下屈曲段部221、222は図2に示すように、上下同一形状で段差H0だけ離れて形成され、それぞれが車体中央へ所定量突き出す前側部e1とそれより小さい突き出し量の後側部e2を形成される。
このような前カーゴボード12は車幅方向Yでの中央後縁近傍にボード引出し操作用の手かけ部材25を一体的に取付けており、この手かけ部材25に操作者が手を掛け、上下屈曲段部221、222の一方より前カーゴボード12を、後方に引出し、その上で、前カーゴボード12を他方の上下屈曲段部221、222に後方より前方に差し込むように押し込み操作することで容易に上下位置の切り換えを行える。
図2に示すように、下凹状部21の前後縁部wf、wrに設けられた前後ガイドレール23、24は硬質樹脂で成形され、それぞれが前後縁部に不図示の締結手段により一体的に取付けられ、特に、前後縁部wf、wrと前後ガイドレール23、24の荷室対向面は同一面をなすように形成され、上下移動操作時に後カーゴボード13の左右端部が垂直平面と干渉しないように形成されている。
前ガイドレール23は、図2、図9に示すように、上下に所定溝幅で直状に延びる前溝26が形成される。同前溝26の溝深さtfは図9に示すように、下端穴状受部27と上端段状受部28で大きく形成され、これらを連続させる浅底の湾曲状部dとを備える。なお、湾曲状部dの下端は下端穴状受部27より連続的に溝深さが低減するよう形成され、これにより後カーゴボード13が強制的に引き上げられた場合に後述の前後ピン部331が退却変位可能に形成されている。
後ガイドレール24は前溝26と同様に形成される後溝29と、後溝29より上方に向け二股状に延びる湾曲状分岐部31を備える。図2に示すように、湾曲状分岐部31は後溝29の主要部より上方ほど前側に偏り、上端はやや溝深さを増すように形成される。
浅底の湾曲状分岐部31の湾曲形状は、下端穴状受部27に後述の後カーゴボード13のコ字状ピン33の前端331が係合した状態で、同後カーゴボード13の後縁側を回動させた際に後ピン部332が描く軌跡に沿うように設定される。
後カーゴボード13はその本体が肉厚の長板状に樹脂成形され、これに本発明の適用されたロック解除装置43が装着される。
図3(a)、(b)に示すように、後カーゴボード13の前端縁は前カーゴボード12の後縁部に付合わされるような形状に、後端縁はテールエンドカバー8の内壁面に沿う形状に、左右側縁部はクオータトリム7の前後縁部及び前後ガイドレール23、24の荷室R対向面に所定隙間を介して沿う形状に形成される。更に、図3に示すように、後カーゴボード13はボード本体34の前後縁近傍で低壁面fdに前後嵌合溝35、36を凹状に形成される。これら前後嵌合溝35、36には補強部材である長板状のブラケット37が嵌着される。前後のブラケット37は金属性でハット型断面のビード371付の直状部材であり、それらのビード371がボード本体34側の前後嵌合溝35、36に嵌着され、しかも、各フランジ部372の複数箇所がボード本体34側にビス止めされ、これら前後ブラケット37が後カーゴボード13の剛性を強化している。
更に、図3(b)に示すように、後カーゴボード13はボード本体の低壁面fdであって、左右側端縁近傍に、コ字状ピン33を収容保持する。コ字状ピン33は前後嵌合溝35、36の方向である車幅方向Yに向け摺動可能な一対の前後ピン部331、332と、一対の前後ピン部331、332を一体結合しボード本体34の幅方向に延びる中間部333とを備え、全体は略コ字状に一体形成される。
コ字状ピン33を収容するピン受け凹部38はその前後端が前後嵌合溝35、36の内側域に重なって形成され、前後嵌合溝35、36に重なる前後ピン受け凹部381、382とこれらを連続させる中間部383とを備える。図3(a)、(b)に示すように、左右側縁近傍の前後ピン受け凹部38には樹脂製の軸受け材39に摺動可能に覆われた前後ピン部331、332が配備される。軸受け材39は主部391とフランジ部392を備え、フランジ部392は前後ガイドレール23、24に対して上下動する際にスムーズに摺接できるように比較的横幅が大きく形成される。
金属カバー部材41は軸受け材39を支持すると共にブラケット37の端部に重ね合わされ、溶着され、ブラケット37と共に後カーゴボード13のボード本体34にビス止めされている。
なお、一対の前後ピン部331、332には第2付勢部材であるコイルバネ42がそれぞれ外嵌され、各コイルバネ42はボード本体34側と前後ピン部331、332の不図示の樹脂ワッシャとの間に圧縮変形可能に装着される。これにより第2付勢部材であるコイルバネ42が一対の前後ピン部331、332を車幅方向Y外側に突き出し付勢している。これにより、前後ピン部331、332(係止部材の両端部)がそれぞれ荷室Rの所望の位置に係止状態を安定して維持でき、ボード本体34(荷室区画部材)上に載置する物品を安全に支持できる。
ボード本体34は左右のピン受け凹部38の各中間位置にコ字状ピン33を車幅方向Y内側に引き込み変位可能なロック解除装置43を左右に一対(図1参照)それぞれ装着する。
図4乃至図9に示すように、ロック解除装置43は後カーゴボード13の左右端近傍の上面(フロア面f1等)に略同一面を成す状態で環状フランジ44を係止させて嵌着される本体45と、本体45の上面側の環状凹部46(図5参照)に嵌着され、ハンドル軸47を介し上下に揺動可能に指示される操作部材であるハンドル48と、ハンドル48の中央矩形孔51に突き出す状態で嵌着される上端突部52とを備えた切換え部材であるスイッチ部材53と、スイッチ部材53の車幅方向Yの摺動に連動して前後方向Xに変位することでハンドル48の上下揺動による押圧力を受けてコ字状ピン33の中間部333を車体中央側に引き込み変位させる駆動部材であるカム部材54とを備える。
ハンドル軸47を介し本体45に枢支されたハンドル48は、図5に示すように、主部482側に対しハンドル軸47の反対側上面481を下方に押圧(符号p1参照)することで主部482側をてこ作動させて上方に揺動(符号r1参照)させることが出来る。なお、ハンドル軸47には弦巻バネ55が外嵌され、同弦巻バネ55により閉方向に付勢されている。ハンドル48の反対側上面481の裏側には一対の操作片483(図5の2点差線参照)が下方に突き出し形成されている。この一対の操作片483はカム部材54を切り換え移動操作(図5、図6の符号s2参照)するよう形成される
図6に示すように、本体45は上面側の環状凹部46及びその内側全体を概略覆う基板部56を備え、基板部56の車幅方向Yの両端の下方には所定隙間を介して基板部56側と平行な一対の相対する板状ガイドレール57(図6、図8参照)が延出形成される。
図5に示すように、基板部56はその中央膨出部561に案内突部562及び矩形ガイド孔563を形成される。案内突部562は略矩形をなし、これと矩形ガイド孔563にスイッチ部材53の対向凹部531及び対向突壁532が摺接し、スイッチ部材53を車幅方向Yに摺動可能に支持している。
図5、図7(a)に示すように、スイッチ部材53は同部材を退却位置P0(図4参照)と車幅方向Y外側のダウン位置P1とにスライド操作する膨出主部534を備える。膨出主部534は係止凹部533を上面に形成され、その裏面側であって前後方向Xの両側端にガイド突部535が一対形成され、同ガイド突部535が基板部56側に車幅方向Yに向け長く形成された一対の長溝58に嵌合することで、車幅方向Yに摺動可能に支持される。しかも、ガイド突部535は突起kを形成され、同突起kが長溝58側の2つの係合溝n(図7(b)参照)に切り換え係合するように形成される。これによりスイッチ部材53は退却位置P0とダウン位置P1とに切り換え保持可能に形成される。なお、2つの係合溝nは基板部56側の弾性支持部564に形成され、突起kと係合溝nの係合状態を弾性力により保持し、スイッチ部材53のずれを規制している。
更に、スイッチ部材53の裏面の一部には一端が基板部56の突部59に係合してスイッチ部材53を退却位置に押圧する戻しバネ61が取付けられる。しかも、スイッチ部材53はその裏面の戻しバネ61と干渉しない下向き面上に後述の移動規制ピン62が摺動可能に係合する後述の移動規制溝63が凹設されている。
図6、図8に示すように、本体45の基板部56に平行に一体的に形成された一対の板状ガイドレール57には同レールに嵌合する遊嵌溝64(図5参照)を前後方向Xの両端に形成したカム部材54が装着される。カム部材54は長片状の主枠65と、その両端の遊嵌溝64と、主枠65の側部に形成されコ字状ピン33の中間部333に当接するL型係合部651と、主枠65の両端背部より車幅方向Yに突き出す一対の突起部66及び一対の突起66部間に配備される中間突部67と、主枠65のスイッチ部材53との対向面(図5、図9で上方)より突出する弾性支持片68と、弾性支持片68の先端に突設され、スイッチ部材53の下向き面の移動規制溝63に係合する移動規制ピン62とを備える。なお、一対の突起部66は後述するようにハンドル48の各操作片483と対向して押圧力を受けた際に、L型係合部651に係合するコ字状ピン33を係合位置Q1(図9参照)より解除位置Q2に引き込み作動させることが出来る。
カム部材54は遊嵌溝64を介し一対の相対する板状ガイドレール57に支持され、車幅方向Yに沿って移動(図5、6の符号s1参照)可能に、しかも前後方向Xにも所定量摺動(図5、6の符号s2参照)可能に支持される。なお、カム部材54は基板部56側に支持された第1付勢部材である屈曲バネ69(図5、6参照)により車幅方向Y外側に押圧力を受けている。これにより、コ字状ピン33が係合位置Q1へ移動する際にカム部材54がその移動の邪魔とならないように、コ字状ピン33の移動変位の容易化を図っている。
更に、カム部材54の中間突部67は基板56側の前後方向Xの突き出しピン71(図5、図6参照)に外嵌される押圧バネ72の押圧力を受けて前後方向Xに常時押圧されるが、その移動は移動規制ピン62がスイッチ部材53の下向き面上の移動規制溝63(図7(a)参照)に係合することで規制されている。
図7(a)に示すように、スイッチ部材53の移動規制溝63は基点p1より車幅方向Yに延びる直状路r1と、直状路r1の中間点p2より屈曲して延出する分岐路r2と、分岐路r2の突端p3より車幅方向Yに延び傾斜面sに達する押圧ガイド路r3と、傾斜面sを越えた位置p4より中間点p2に戻る戻し路r4とを備える。
ここで、移動規制溝63の形成されたスイッチ部材53が戻しバネ61の押圧力を受けて退却位置P0に保持され、屈曲バネ69によりカム部材54が車幅方向Yの外側に押圧力を受けた基準状態において、カム部材54の移動規制ピン62は直状路r1の基点p1でスイッチ部材53の移動規制溝63に保持される。
この際、ハンドル48の一対の操作片483はカム部材54の中間突部とは対向しない非対向位置B0(図5(b)の2点差線参照)に保持され、ハンドル48は空作動状態に保持される。
一方、スイッチ部材53を退却位置P0より車幅方向Y外側のダウン位置P1(図4参照)にスライド操作すると、図7(a)に示すように、スイッチ部材53の裏面の移動規制溝63が車幅方向Yにずれる。この場合、カム部材54の移動規制ピン62は中間点p2と対向し、その際、カム部材54は押圧バネ72の押圧力を受けて分岐路r2側(s2方向)に移動し、カム部材54上の一対の突起部66も前後方向X(s2方向)にずれ、ハンドル48の一対の操作片483と対向する対向位置B1に移動する。
このようにスイッチ部材53を退却位置P0よりダウン位置P1に切り換えることでカム部材54を非対向位置B0より対向位置B1に移動させ、ハンドル48の引き上げ揺動操作が成されると、一対の操作片483が一対の突起部66を介しコ字状ピン33の中間部333を押圧し、係合位置Q1より解除位置Q2(図9参照)に引き込み作動させることが出来る。
なお、カム部材54が解除位置Q2に達する場合、図7(a)に示すように、カム部材54の移動規制ピン62は押圧ガイド路r3より傾斜面sを乗り越え、乗り越え位置p4に達する。この後、ハンドル48の操作が解除されると、カム部材54は屈曲バネ69により車幅方向Y外側に押圧力を受けてダウン位置P1より退却位置P0に押圧付勢され、同時にカム部材54の移動規制ピン62は乗り越え位置p4より戻し路r4を介し中間点p2を経て基点p1に戻る。この作動により、カム部材54は押圧バネ72の押圧力に抗して対向位置B1より非対向位置B0に戻ることとなる。このため、次に、スイッチ部材53が退却位置P0よりダウン位置P1に切り換え操作されない限り、ハンドル48が空作動することと成る。
このようなロック解除装置43は後カーゴボード13の左右2箇所に配備され、後カーゴボード13の左右端に装着された各コ字状ピン33をコイルバネ42の弾性力に抗して係合位置Q1より車体中央側、即ち解除位置Q2に引き込み操作するようにしている。
次に、上述のロック解除装置を装着する後カーゴボード13及び関連する前カーゴボード12の切り換え操作を説明する。
図10に示すように、荷室Rが上部フロア面f1を形成する場合、前カーゴボード12はその左右端を前段部形成部材22の上屈曲段部221に係止され、後カーゴボード13はその左右端より一対のコ字状ピン33の前後ピン部331、332が係合位置Q1に突き出し、前後ガイドレール23、24の各上端段状受部28にそれぞれ係合される。
この状態で後席側リアシートバック3が起立位置より前倒し位置(2点鎖線で示す)に保持されるとすると、リアシートバック3の上面、前後カーゴボード12、13の上面がフラットで見栄えがよくなり、車室FRと荷室Rが連続して車室FRの拡大を図り、有効利用出来る。しかも、上部フロア面f1を形成する前後カーゴボード12、13の直下に荷物M0を収容できる。
更に、このような上部フロア面f1を物品載置面とし、ここに荷物M1を載置したとする。ここで荷物M1の一部がハンドル48に係合し、例え、ハンドル48が揺動しても、スイッチ部材53が退却位置P0にあることより、ハンドル48は空作動するのみであり、一対のコ字状ピン33が係合位置Q1より退却位置Q2へ誤作動することを排除でき、物品載置面に載置する物品を安全に載置して支持できる。
次に、二点鎖線で示すように、後カーゴボード13を高さH0だけ降下させるとする。この場合、まず、後カーゴボード13上のスイッチ部材53を退却位置P0よりダウン位置P1にスライドさせる。これにより解除装置43の一対の左右のハンドル48を引き上げ揺動操作する。この時、一対の操作片483はカム部材54の一対の突起部66を押圧し、カム部材54を介しコ字状ピン33の中間部333を係合位置Q1より解除位置Q2に引き込み作動させ、前後ガイドレール23、24の各上端段状受部28より退却させる。これにより後カーゴボード13は非係合状態となり、その状態のまま、左右のハンドル48を介して支持された後カーゴボード13の物品載置面に載置する物品を支持したままでも、後カーゴボード13の左右側端を左右のそれぞれの前後ガイドレール23、24に沿って下方に降下移動でき、下端穴状受部27に対向することが出来る。この状態で左右ハンドル48を放すと、左右のコ字状ピン33の前後ピン部331、332が対向する下端穴状受部27にコイルバネ42の弾性力で突き出し係合される。
この場合、後カーゴボード13は前カーゴボード12に対して段差H0だけ降下し、荷室高さHrを比較的大きく確保でき、比較的大きな荷物M2を追加して載置できる。
なお、後カーゴボード13に荷物を載置していない場合には、図11に示すように、後カーゴボード13の左右のハンドル48を単に、空作動のままで引き上げ、後カーゴボード13を傾斜支持してから前後ガイドレール23、24の各下端段状受部27に一方のコ字状ピン33の前後ピン部331、332を嵌合させ、その上で他方のコ字状ピン33の前後ピン部331、332を他方の各下端段状受部27に嵌合させて、降下移動を迅速に簡略に行うことも出来る。
しかし、上述した後カーゴボード13の取付、取り外しは前後ピン部331、332のカーゴボードからの突き出し量や付勢力の設定に応じ可能となるものである。
更に、前カーゴボード12の手かけ部材25に操作者が手を掛け、前カーゴボード12を上屈曲段部221より引出し、下屈曲段部222に後方より差し込み操作する。この前カーゴボード12と後カーゴボード13とで下フロア面f2を比較的大きく確保でき、より大きな荷室空間を確保でき、多数の荷物の収納を可能とすることが出来る。
次に、後カーゴボード13の上面のロック解除装置43のスイッチ部材53を退却位置P0よりダウン位置P1にスライドさせ、左右のハンドル48を引き上げ、コ字状ピン33を係合位置Q1より解除位置Q2に引き込み作動させ、前後ガイドレール23、24の各下端穴状受部27より退却させる。更に連続して、左右のハンドル48と共に荷物M1を載置したままで後カーゴボード13を段差H0だけ引き上げ、各上端段状受部28に容易にそれぞれ係合させることが出来る。
なお、左右のハンドル48を空作動させて後カーゴボード13を支持し、上端段状受部28に係合する前ピン部331を支点に後端側を上方に揺動させ、後カーゴボード13の下方空間に対し荷物M0を出し入れし、再び、後カーゴボード13側を閉めるという簡易な荷物Mの出し入れ操作を容易に行うことも出来る。
このように、図1の車両に適用された車両の荷室構造では、後カーゴボード13の左右端のコ字状ピン33が係合位置Q1と解除位置Q2との間で摺動して、前後ピン部331、332を前後ガイドレール23、24の各下端穴状受部27と上端段状受部28に切り換えて係合させることで後カーゴボード13の高さ位置を上下自由に調整できる。更に、解除装置43により、孔部である下端穴状受部27と上端段状受部28と係合するコ字状ピン33を解除でき、後カーゴボード13の装着位置の移動操作を容易化出来る。
上述したように、後カーゴボード13にはコ字状ピン33を支持する孔部を凹設して、ここに嵌装するコ字状ピン33をブラケット37及びカバー部材41で覆うこととした。このため、一対のブラケット37はピン支持と後カーゴボード13(荷室区画部材)の補強の両機能を備えることができるので、部品点数を削減しながらピン部材33を確実に後カーゴボード13に支持出来る。
上述のところにおいて、本発明のロック解除装置が装着されたのは荷室の上部フロア面f1及び下部フロア面f2とを形成する後カーゴボード13に装着されるものとして説明したが、本ロック解除装置をその他の各種の荷室区画部材にも有効利用できる。
本発明の一実施形態としての車両の荷室構造が適用されたワゴン車の概略平断面図である。 図1のワゴン車の荷室の内側面図である。 図1の車両の荷室構造で用いる後カーゴボードの裏面を示し、(a)は概略分解図、(b)は要部拡大切欠斜視図である。 図1の車両の荷室構造で用いる後カーゴボード上の解除装置の斜視図である。 図1の車両の荷室構造で用いる解除装置の分解図斜視図を示し、2点差線でスイッチ部材を退却位置よりダウン位置へ切り換えた際のカム部材の移動状態を併記した図である。 図1の車両の荷室構造で用いる解除装置の裏面図である。 図1の車両の荷室構造で用いる解除装置の要部を示し、(a)はスイッチ部材の底面図で、(b)は本体の切欠底面図である。 図1の車両の荷室構造で用いる解除装置の裏面斜視図である。 図1の車両の荷室構造で用いる後カーゴボード上の解除装置の作動説明図である。 図1の車両の荷室構造における前後カーゴボードが上下の各フロア面を形成する状態を示す概略側面図である。 図1の車両の荷室構造で用いる後カーゴボードの簡略移動時の挙動を説明する図である。
符号の説明
7 クオータトリム
13 後カーゴボード(荷室区画部材)
27 下端穴状受部
28 上端段状受部
33 コ字状ピン(係止部材)
37 ブラケット(補強部材)
41 カバー部材
42 コイルバネ(第2付勢部材)
43 解除装置
48 ハンドル(操作部材)
53 切換部材(スイッチ部材53)
54 駆動部材(カム部材)
69 屈曲バネ(第1付勢部材)
Q1 係合状態(係合位置)
B0 非連動状態(非対向位置)
Q2 非係合状態(解除位置)
P0 退却位置
P1 ダウン位置
f1 上フロア面
f2 下フロア面
X 前後方向X
Y 車幅方向Y

Claims (4)

  1. 車両の荷室を区画可能な荷室区画部材の左右端近傍に嵌着された本体と、
    上記本体にハンドル軸を介して枢支されると共にハンドル部が上下に揺動操作されるのに応じて搖動する操作片が設けられた操作部材と、
    上記荷室区画部材に設けられ、且つ、略コ字状に形成された棒状部材で構成されその両端部が上記荷室区画部材の側部より突出する方向に弾性付勢力を受けると共に上記荷室区画部材を上記荷室の所望の位置に係止可能な係止部材と、
    上記操作部材の操作片に対向保持されることで、操作片の搖動に応じて上記係止部材を車体中央側に引き込み変位させる係合状態と該操作片に非対向に保持されることで、操作片の搖動に連動させない非係合状態とに切換可能なカム部材と、
    車幅方向内側位置と外側位置とにスライド操作されることで上記カム部材を係合状態と非係合状態とに切換る切換部材と、
    から構成されたことを特徴とするロック解除装置。
  2. 請求項1記載のロック解除装置において、
    上記荷室区画部材に埋設されたケース部材を有し、上記操作部材は上記ケース部材の内壁に沿って該ケース部材に回動可能に設けられたハンドル部を備え、上記切換部材は上記ハンドル部の内側に配置されたことを特徴とするロック解除装置。
  3. 請求項1記載のロック解除装置において、
    上記係止部材が係合状態となる方向に上記カム部材に付勢力を作用する第1付勢部材を有することを特徴とするロック解除装置。
  4. 請求項1記載のロック解除装置において、
    上記カム部材が上記係止部材を係合状態とするとき、該カム部材の駆動に連動し上記切換部材は上記操作部材を非連動状態とすることを特徴とするロック解除装置。
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