JP4058913B2 - 印刷媒体の変形を考慮した印刷 - Google Patents

印刷媒体の変形を考慮した印刷 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷媒体上にドットを形成して画像を記録する印刷技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータの出力装置として、数色のインクを印刷ヘッドから吐出して印刷を行うカラープリンタが普及している。このプリンタでは、1つの画素に複数のドットを重ねて形成することによって所望の色彩を再現している。また、濃度の異なるインクを用いて大きさの異なるドットを印刷媒体上に形成することによって階調の表現が行われている。最近のこのようなプリンタにおいては、濃度の低いインクをより多く使用する傾向にある。そのため、所望の濃度の色彩を表現するためには、印刷媒体に多量のインクが打ちこまれることとなる。
【0003】
このように印刷媒体に多量のインクが打ちこまれ、これが印刷媒体に染み込むと、いわゆるコックリング(印刷媒体のたわみ)が発生する場合がある。このコックリングは印刷ヘッドと印刷媒体の接触の原因となるので、これを防止するために、印刷ヘッドと印刷媒体との間の距離を十分に空けることが望まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、印刷ヘッドと印刷媒体との間の距離を大きくすると、インク滴の飛行距離が長くなるので、ドットの形成位置の精度が悪くなるという問題があった。一方、コックリングによる印刷媒体のたわみの量は、印刷媒体の種類その他の印刷環境に応じて異なる。このため、従来は、最も印刷媒体のたわみの大きい印刷環境においても印刷ヘッドと印刷媒体の接触を回避できるように、印刷ヘッドと印刷媒体を支持するプラテン表面との間の距離(プラテンギャップ)を大きくすることが行われていた。ところが、このことは、他の印刷環境においては、プラテンギャップが必要以上に大きいことを意味し、これがドットの形成位置の精度の悪化の原因となっているという問題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、印刷ヘッドと印刷媒体との接触を回避しつつ、印刷画像の品質の向上させる技術を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明は、インク滴を吐出する複数のノズルが設けられた印刷ヘッドを主走査方向に走査しつつ印刷媒体上にインクを吐出する印刷装置であって、前記印刷媒体を前記複数のノズルと向かい合うように支持するプラテンと、印刷媒体のたわみ量に関するたわみ情報に応じて、前記印刷ヘッドと前記プラテンの少なくとも一方を相対的に移動させることにより、前記印刷ヘッドと前記プラテンとの間の距離であるプラテンギャップを調整するプラテンギャップ調整部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の印刷装置では、印刷媒体のたわみ量に関するたわみ情報に応じて、印刷ヘッドが有する複数のノズルと向かい合うように印刷媒体を支持するプラテンと印刷ヘッドの少なくとも一方を相対的に移動させることにより、プラテンギャップが調整されるので、印刷媒体のたわみ量を考慮した必要最小限の量にプラテンギャップ調整することが可能となり、ドットの形成位置の精度を向上させて印刷画像の品質の向上させることができる。
【0008】
上記印刷装置において、前記たわみ情報は、与えられた印刷媒体の種類を表す情報を含むのが好ましい。
【0009】
こうすれば、たとえば、コックリングによる印刷媒体のたわみが小さい専用紙については、専用紙を想定した小さなプラテンギャップで印刷を行うことができるので、印刷画像の品質を向上させることができる。一方、コックリングによる印刷媒体のたわみが大きい普通紙については、普通紙を想定した大きなプラテンギャップにより、印刷ヘッドと印刷媒体の接触を防止できる。このように、この構成では、印刷媒体の種類に応じた適切なプラテンギャップで印刷を行うことが可能となる。
【0010】
なお、印刷媒体の種類を表す情報の生成は、このような情報をユーザが印刷装置へ直接入力することによって行なっても良いし、印刷媒体の種類を自動的に特定できる装置を印刷装置に装備することによって行っても良い。
【0011】
上記印刷装置において、さらに、ユーザに対し、パラメータとして印刷媒体の種類を含む印刷モードの選択を許容する印刷モード選択部を備え、前記プラテンギャップ調整部は、前記選択された印刷モードに応じて、前記プラテンギャップを調整するようにするのが好ましい。
【0012】
こうすれば、印刷媒体の種類を表す情報を、印刷装置に簡易に入力することができる。
【0013】
上記印刷装置において、さらに、与えられた印刷対象画像を予め定められた所定の面積の評定領域に分割して、各評定領域に吐出されるインク量を算出するとともに、前記インク量の最大値を算出するインクデューティ算出部を備え、前記プラテンギャップ調整部は、前記インク量の最大値に応じて、前記プラテンギャップを調整するようにするのが好ましい。
【0014】
こうすれば、印刷媒体に吐出される単位面積当たりのインク量(インクデューティ)が多いために印刷媒体のたわみが大きいことが予想される場合には、プラテンギャップを大きくし、逆の場合には、プラテンギャップを小さくすることができる。たとえば、写真の印刷ではプラテンギャップ大きくし、テキストの印刷ではプラテンギャップを小さくすることができる。このように、この構成では、インクデューティから予想される印刷媒体のたわみ量に応じた適切なプラテンギャップの調整を行うことが可能となる。
【0015】
なお、印刷媒体のたわみ量の予測は、印刷媒体に吐出される単位面積当たりのインク量に加えて、印刷装置の周囲の湿度を考慮して行うのが好ましい。印刷装置の周囲の湿度も印刷媒体のたわみ量に影響を与えるからである。なお、湿度は、印刷装置が直接計測しても良いし、ユーザに入力させるようにしても良い。
【0016】
上記印刷装置において、前記インクデューティ算出部は、前記印刷対象画像を主走査方向と平行な区分線で複数の調整領域に分割して、各調整領域毎に前記インク量の最大値を決定し、前記プラテンギャップ調整部は、各調整領域毎に、前記インク量の最大値に応じて、前記プラテンギャップを調整するようにするのが好ましい。
【0017】
こうすれば、たとえば、印刷画像の一部にのみベタ領域があるときのように、各調整領域毎に予測される印刷媒体のたわみ量が異なる場合に、各調整領域毎に別個にプラテンギャップの調整を行うことが可能となる。この構成は、特に、1つのページに写真領域とテキスト領域とが混在するDTP印刷において顕著な効果が得られる。
【0018】
上記印刷装置において、前記プラテンギャップ調整部は、隣接する調整領域の境界近傍において前記プラテンギャップを調整する際に、連続して行われる2つの主走査の間に実施される前記プラテンギャップの調整における調整量を所定の範囲内に制限するようにするのが好ましい。
【0019】
プラテンギャップの量の急激な変化は画質の劣化の要因となり得るので、こうすれば、この急激な変化を抑制することにより画質をさらに向上させることができるという利点がある。
【0020】
上記印刷装置において、さらに、前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の表面との間のクリアランスを計測するクリアランス計測部を備え、前記プラテンギャップ調整部は、前記クリアランスに応じて、前記プラテンギャップを調整するようにするのが好ましい。
【0021】
こうすれば、印刷媒体に生じたたわみによって変動する印刷ヘッドと印刷媒体の表面との間の距離に応じて、プラテンギャップを調整することができるので、印刷ヘッドと印刷媒体の接触を確実に防止できるとともに、プラテンギャップを必要最小限まで小さくすることができるという利点がある。
【0022】
上記印刷装置において、前記クリアランス計測部は、前記プラテン上に支持される前記印刷媒体の平面に対して平行な方向に光を射出する発光部と、前記発光部から射出された光を受ける受光部とを有し、前記印刷媒体のたわみによる前記光の遮蔽状態に応じて、前記クリアランスを計測するようにするのが好ましい。
【0023】
こうすれば、印刷媒体に接触することなく、印刷ヘッドと印刷媒体の表面との間のクリアランスを計測することができるという利点がある。
【0024】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、たとえば、印刷方法の態様で実現することもできる。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.装置の構成:
B.第1実施例の印刷処理:
C.第2実施例の印刷処理:
D.第3実施例の印刷処理:
E.第4実施例の印刷処理:
F.変形例:
【0026】
A.装置の構成:
図1は、本発明の一実施例としての印刷システムの構成を示すブロック図である。この印刷システムは、印刷制御装置としてのコンピュータ90と、印刷部としてのカラープリンタ20と、を備えている。なお、カラープリンタ20とコンピュータ90の組み合わせを、広義の「印刷装置」と呼ぶことができる。
【0027】
コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム95が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ96が組み込まれており、アプリケーションプログラム95からは、これらのドライバを介して、カラープリンタ20に転送するための印刷データPDが出力されることになる。アプリケーションプログラム95は、処理対象の画像に対して所望の処理を行い、また、ビデオドライバ91を介してCRT21に画像を表示する。
【0028】
アプリケーションプログラム95が印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ96が、画像データをアプリケーションプログラム95から受け取り、これをカラープリンタ20に供給するための印刷データPDに変換する。図1に示した例では、プリンタドライバ96の内部には、解像度変換モジュール97と、色変換モジュール98と、ハーフトーンモジュール99と、ラスタライザ100と、色変換テーブルLUTと、印刷モード選択部101と、プラテンギャップ決定部102と、が備えられている。
【0029】
解像度変換モジュール97は、アプリケーションプログラム95が扱っているカラー画像データの解像度(即ち、単位長さ当りの画素数)を、プリンタドライバ96が扱うことができる解像度に変換する役割を果たす。こうして解像度変換された画像データは、まだRGBの3色からなる画像情報である。色変換モジュール98は、色変換テーブルLUTを参照しつつ、各画素ごとに、RGB画像データを、カラープリンタ20が利用可能な複数のインク色の多階調データに変換する。
【0030】
色変換された多階調データは、例えば256階調の階調値を有している。ハーフトーンモジュール99は、インクドットを分散して形成することにより、カラープリンタ20でこの階調値を表現するためのハーフトーン処理を実行する。ハーフトーン処理されて生成されたハーフトーンデータは、ラスタライザ100によりカラープリンタ20に転送すべきデータ順に並べ替えられ、最終的な印刷データPDとして出力される。なお、印刷データPDは、各主走査時のドットの記録状態を示すラスタデータと、副走査送り量を示すデータと、プラテンギャップ決定部102により決定されたプラテンギャップ量とを含んでいる。なお、印刷モード選択部101およびプラテンギャップ決定部102の機能については後述する。
【0031】
なお、プリンタドライバ96が有する4つのモジュール97〜100は、印刷データPDを生成する機能を実現するためのプログラムに相当する。プリンタドライバ96の機能を実現するためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で供給される。このような記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0032】
図2は、カラープリンタ20の概略構成図である。カラープリンタ20は、紙送りモータ22によって印刷媒体Pを副走査方向に搬送する副走査送り機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ30をプラテン26の軸方向(主走査方向)に往復動させる主走査送り機構と、キャリッジ30に搭載された印刷ヘッドユニット60(「印刷ヘッド集合体」とも呼ぶ)を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御するヘッド駆動機構と、これらの紙送りモータ22,キャリッジモータ24,印刷ヘッドユニット60および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。制御回路40は、コネクタ56を介してコンピュータ90に接続されている。
【0033】
印刷媒体Pを搬送する副走査送り機構は、紙送りモータ22の回転をプラテン26と用紙搬送ローラ(図示せず)とに伝達するギヤトレインを備える(図示省略)。また、キャリッジ30を往復動させる主走査送り機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ30を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ30の原点位置を検出する位置センサ39とを備えている。
【0034】
摺動軸34は、摺動軸移動モータ35によって、上下方向に移動することが可能である。この上下の移動により、印刷ヘッドユニット60は、プラテン26に対して相対的に移動し、印刷ヘッドユニット60とプラテン26との間の距離であるプラテンギャップを調整することができる。プラテンギャップの調整は、印刷データPDに含まれるプラテンギャップ量に応じて行われる。
【0035】
図3は、制御回路40を中心としたカラープリンタ20の構成を示すブロック図である。制御回路40は、CPU41と、プログラマブルROM(PROM)43と、RAM44と、文字のドットマトリクスを記憶したキャラクタジェネレータ(CG)45とを備えた算術論理演算回路として構成されている。この制御回路40は、さらに、外部のモータ等とのインタフェースを専用に行なうI/F専用回路50と、このI/F専用回路50に接続され印刷ヘッドユニット60を駆動してインクを吐出させるヘッド駆動回路52と、モータ駆動回路54とを備えている。モータ駆動回路54は、紙送りモータ22、キャリッジモータ24、および摺動軸移動モータ35を駆動する。なお、摺動軸移動モータ35、モータ駆動回路54、およびプラテンギャップ決定部102(図1)は、特許請求の範囲におけるプラテンギャップ調整部として機能する。
【0036】
I/F専用回路50は、パラレルインタフェース回路を内蔵しており、コネクタ56を介してコンピュータ90から供給される印刷データPDを受け取ることができる。カラープリンタ20は、この印刷データPDに従って印刷を実行する。なお、RAM44は、ラスタデータを一時的に格納するためのバッファメモリとして機能する。
【0037】
印刷ヘッドユニット60は、印刷ヘッド28を有しており、また、インクカートリッジを搭載可能である。なお、印刷ヘッドユニット60は、1つの部品としてカラープリンタ20に着脱される。すなわち、印刷ヘッド28を交換しようとする際には、印刷ヘッドユニット60を交換することになる。
【0038】
図4は、印刷ヘッド28の下面におけるノズル配列を示す説明図である。印刷ヘッド28の下面には、ブラックインクを吐出するためのブラックインクノズル群KD と、濃シアンインクを吐出するための濃シアンインクノズル群CD と、淡シアンインクを吐出するための淡シアンインクノズル群CL と、濃マゼンタインクを吐出するための濃マゼンタインクノズル群MD と、淡マゼンタインクを吐出するための淡マゼンタインクノズル群ML と、イエローインクを吐出するためのイエローインクノズル群YD とが形成されている。
【0039】
なお、各ノズル群を示す符号における最初のアルファベットの大文字はインク色を意味しており、また、添え字の「D 」は濃度が比較的高いインクであることを、添え字の「L 」は濃度が比較的低いインクであることを、それぞれ意味している。
【0040】
各ノズル群の複数のノズルは、副走査方向SSに沿って一定のノズルピッチk・Dでそれぞれ整列している。ここで、kは整数であり、Dは副走査方向における印刷解像度に相当するピッチ(「ドットピッチ」と呼ぶ)である。本明細書では、「ノズルピッチはkドットである」とも言う。このときの単位[ドット]は、印刷解像度のドットピッチを意味している。副走査送り量に関しても同様に、[ドット]の単位を用いる。
【0041】
各ノズルには、各ノズルを駆動してインク滴を吐出させるための駆動素子としてのピエゾ素子(図示せず)が設けられている。印刷時には、印刷ヘッド28が主走査方向MSに移動しつつ、各ノズルからインク滴が吐出される。
【0042】
なお、各ノズル群の複数のノズルは、副走査方向に沿って一直線上に配列されている必要はなく、例えば千鳥状に配列されていてもよい。なお、ノズルが千鳥状に配列されている場合にも、副走査方向に測ったノズルピッチk・Dは、図4の場合と同様に定義することができる。この明細書において、「副走査方向に沿って配列された複数のノズル」という文言は、一直線上に配列されたノズルと、千鳥状に配置されたノズルと、を包含する広い意味を有している。
【0043】
以上説明したハードウェア構成を有するカラープリンタ20は、紙送りモータ22により用紙Pを搬送しつつ、キャリッジ30をキャリッジモータ24により往復動させ、同時に印刷ヘッド28のピエゾ素子を駆動して、各色インク滴の吐出を行い、インクドットを形成して用紙P上に多色多階調の画像を形成する。
【0044】
B.第1実施例の印刷処理:
図5は、本発明の実施例における印刷処理の手順を示すフローチャートである。ステップS101では、ユーザがコンピュータ90に印刷を指示する。また、ステップS102において、CRT21に表示された印刷用ダイアログボックス内の「プロパティボタン」(図示省略)をクリックすると、印刷モード選択部101(図1)が、図6に示すプロパティ設定画面をCRT21上に表示させる。
【0045】
ユーザは、このプロパティ設定画面内において、印刷モードを規定する種々のパラメータを指定することが可能である。図6の印刷モードの基本設定画面は、種々のパラメータを指定するためのメニューを有し、これには用紙種類メニューPMが含まれている。用紙種類メニューPMは、普通紙、インクジェットプリンタ専用紙等の用紙一覧の中から一つを選択するためのプルダウンメニューである。
【0046】
なお、ユーザは、印刷モードの詳細設定画面において、これ以外の他のパラメータも設定することが可能であるが、以下ではこの他のパラメータについては説明を省略する。
【0047】
図5のステップS103において、ユーザが印刷媒体の種類を設定し、印刷の開始を指示すると、ステップS104において、プラテンギャップ決定部102(図1)が、設定された印刷モードに応じてプラテンギャップ量を決定する。
【0048】
図7は、ステップS104におけるプラテンギャップ量決定方法の例を示す説明図である。この第1実施例では、図7(a)に示すように、印刷媒体の種類のみに基づいてプラテンギャップ量が決定される。
【0049】
図7(a)に示すように、印刷媒体の種類は、普通紙、専用紙、写真用紙、およびOHPシートを含んでいる。この第1実施例では、プラテンギャップ決定部102は、印刷媒体が普通紙の場合には、プラテンギャップ量を1100μmに決定する。この決定は、図7(a)(b)に示すように、紙厚が100μ、印刷媒体のたわみ量が900μmであることを前提として、隙間が100μm残るように設定されている。同様にして、専用紙その他の印刷媒体についてもプラテンギャップ量の決定が行われる。
【0050】
図5のステップS105では、プリンタドライバ96が、ステップS104において決定されたプラテンギャップ量の情報を含む印刷データPDを生成する。印刷データPDは、コンピュータ90(図1)からコネクタ56を介して制御回路40(図3)のI/F専用回路50に送られる。
【0051】
CPU41は、プラテンギャップ量を印刷データPDから取り出して、現状のプラテンギャップ量との比較を行う。この比較の結果、印刷データPDから取り出されたプラテンギャップ量と現状のプラテンギャップ量との間に相違がある場合には、CPU41は、モータ駆動回路54に対して、印刷データPDから取り出されたプラテンギャップ量の情報とともに制御指令を送る。モータ駆動回路54は、このプラテンギャップ量を目標値として、摺動軸移動モータ35を制御する。なお、現状のプラテンギャップ量は、摺動軸移動モータ35に接続されたエンコーダの値から推定される。ただし、プラテンギャップをギャップセンサで測定した値を用いても良い。
【0052】
このように、本実施例では、ユーザに選択された印刷媒体の種類に応じて、プラテンギャップの調整が行われる。この結果、たとえば、専用紙のようなコックリングによるたわみが小さい印刷媒体の印刷においては、プラテンギャップを小さくすることができる。プラテンギャップが小さいと、ドットの位置精度が向上するので、高画質な印刷を行うことができるという利点がある。
【0053】
なお、きれいな印刷を行うことが望まれる用紙(たとえば、専用紙や光沢紙)は、一般に、コックリングによるたわみが小さい傾向がある。したがって、上記実施例は、きれいな印刷が望まれる場合に顕著な効果が現れるという好ましい特質もある。
【0054】
また、印刷媒体のたわみ量の予測は、印刷媒体に吐出される単位面積当たりのインク量に加えて、印刷装置の周囲の湿度を考慮して行うのが好ましい。印刷装置の周囲の湿度も印刷媒体のたわみ量に影響を与えるからである。なお、湿度は、印刷装置が直接計測しても良いし、ユーザに入力させるようにしても良い。
【0055】
C.第2実施例の印刷処理:
図8は、本発明の第2実施例におけるプラテンギャップ量の決定方法の例を示す説明図である。第1実施例におけるプラテンギャップ量決定方法との相違点は、プラテンギャップ量を決定するためのパラメータに最大インクデューティが加えられている点である。ここで、インクデューティとは、印刷媒体に吐出される単位面積当たりの全インク量を表す値であり、たとえば、インクデューティ100%とは全ての画素にドットが形成されている状態を示し、インクデューティ120%とは全ての画素のドットが形成された上に20%の画素にドットが重ねて形成されている状態を示している。最大インクデューティとは、与えられた印刷画像におけるインクデューティの最大値である。なお、この第2実施例は、プラテンギャップ量の決定方法を除いて第1実施例と同一である。
【0056】
この第2実施例では、図8の表に示すように、最大インクデューティは0〜60%と61%〜120%とに区分されている。なお、この印刷装置では、インクデューティが120%以下に制限されているものと仮定している。ここで普通紙の場合について調べてみると、最大インクデューティが0〜60%のときには、最大たわみ量として600μmが予測されている。この結果、プラテンギャップ量は、紙厚100μmと最小隙間100μmを加えることにより、800μmと決定できる。同様にして、この表を用いて、他の印刷媒体と最大インクデューティについても、適切なプラテンギャップ量を決定することができる。具体的な処理は、以下のようにして行われる。
【0057】
図9は、本発明の第2実施例におけるプラテンギャップ量の決定手順を示すフローチャートである。ステップS201では、プラテンギャップ決定部102(図1)は、ハーフトーンモジュール99からハーフトーン処理されて生成されたハーフトーンデータを取得する。このハーフトーンデータを取得するのは、ハーフトーンデータは各画素におけるドットの形成状態を表しているので、各画素に吐出されるインク量の算出に使用することができるからである。
【0058】
ステップS202では、プラテンギャップ決定部102は、ハーフトーンデータを予め定められた、複数の画素を含む所定の面積の評定領域に分割し、各評定領域に吐出されるインク量を算出する。この評定領域としては、たとえば、100画素×100画素の矩形の領域が用いられる。所定の面積の評定領域に分割するのは、ある程度広い領域で多量にインクが吐出されたときにコックリングが生じることを考慮したものである。
【0059】
ステップS203では、プラテンギャップ決定部102は、各評定領域毎に吐出されたインク量のうち最大値を決定し、この最大値を評定領域の面積で割ることにより最大インクデューティを算出する。プラテンギャップ決定部102は、図8の表に従って、この最大インクデューティに応じてプラテンギャップ量を決定する(ステップS204)。なお、最大インクデューティを基準に判断するのは、印刷画像のすべての領域において、印刷ヘッドユニット60が印刷媒体に接触しないようにプラテンギャップ量を設定するためである。
【0060】
このように、本実施例では、印刷モードパラメータの設定においてユーザに選択された印刷媒体の種類と、インクデューティの最大値とに応じて、プラテンギャップの調整が行われる。この結果、たとえば、テキストの印刷のようにインクの吐出量が小さい印刷において、プラテンギャップを小さくすることができるので、このような印刷において輪郭をきれいにすることができるという利点がある。
【0061】
なお、この実施例では、プラテンギャップ決定部102が特許請求の範囲におけるインクデューティ算出部として機能している。
【0062】
D.第3実施例の印刷処理:
図10は、本発明の第3実施例における印刷画像とプラテンギャップの関係を示す説明図である。図10(a)は印刷画像の一例を示し、図10(b)はこの印刷画像の印刷におけるプラテンギャップの量を示す。図10(a)には、1ページ分の印刷画像と、この画像中においてインクが吐出される3つの領域Z1、Z2、Z3とが示されている。第1の領域Z1にはインクデューティ100%のベタ印刷が行われ、また、第2の領域Z2にはインクデューティ10%のテキスト印刷が、第3の領域Z3にはインクデューティ80%の写真印刷がそれぞれ行われているものと仮定する。なお、他の領域は、空白でありインクが吐出されないものとする。
【0063】
図11は、本発明の第3実施例におけるプラテンギャップ量の決定手順を示すフローチャートである。ステップS301では、プラテンギャップ決定部102は、各調整領域において、各評定領域に吐出されるインク量から最大インクデューティを求める。ここで、調整領域とは、主走査方向と平行な区分線で区分された印刷対象画像の領域をいい、この第3実施例ではプラテンギャップの調整は各調整領域毎に行われる。
【0064】
図12は、印刷画像における調整領域と評定領域の関係を示す説明図である。図12に示す調整領域は、副走査方向に隣接する複数の調整領域のうちの1つを取り出したものであり、分かりやすくするために現実のものよりも副走査方向の幅を大きくしてある。調整領域が主走査方向と平行な区分線で区分されている理由は、印刷が印刷ヘッドを主走査方向に走査しつつ行われることを考慮したものである。この調整領域には、複数の評定領域が含まれており、このうちの最大インクデューティが算出される。最大インクデューティを求める方法は、1頁毎ではなくて各調整領域毎に行われる点を除き、第2実施例に示す方法と同一である。
【0065】
ステップS302では、プラテンギャップ決定部102は、各調整領域毎の最大インクデューティから、各調整領域において印刷ヘッドと印刷媒体の接触を回避するために必要なプラテンギャップ要求量を決定する。この決定は、第2実施例と同様に図8の表に従って行われる。
【0066】
ステップS303では、プラテンギャップ決定部102は、各調整領域毎に算出されたプラテンギャップ要求量から、各主走査におけるプラテンギャップ量を決定する。この決定は、各主走査において印刷ヘッド28が印刷媒体に接触しないように、印刷ヘッド28下面の副走査方向の幅を考慮して行われる。具体的には、以下のようにして決定される。
【0067】
たとえば、図10(a)の印刷画像において、図10(b)に示すように、印刷ヘッド28が相対的に副走査方向に移動していくものとすると、以下に示すようにプラテンギャップが調整される。なお、印刷媒体は、前述のように普通紙であるものと仮定している。
(1)印刷ヘッド28の下面の少なくとも一部が印刷媒体の端部上にあるときは、プラテンギャップは2000μmに調整される。2000μmに調整される理由は、印刷媒体の端部のそりによって印刷媒体が印刷ヘッド28に接触しないようにするために、印刷媒体の端部におけるプラテンギャップ要求量が2000μmに設定されているからである。
(2)印刷ヘッド28の下面が印刷媒体の端部上から外れ、ベタ印刷が行われている領域Z1上にあるときは、プラテンギャップは1100μmに調整される。この量は、ベタ印刷部におけるインクデューティ100%に基づいて、図8の表から求めたものである。
(3)印刷ヘッド28の下面がベタ印刷が行われている領域Z1上から外れ、テキスト印刷が行われている領域Z2上にあるときは、プラテンギャップは800μmに調整される。この量は、テキスト印刷部におけるインクデューティ10%に基づいて、図8の表から求めたものである。
(4)印刷ヘッド28の下面の少なくとも一部が写真印刷が行われている領域Z3上に入ると、テキスト印刷が行われている領域Z2上にあるか否かに拘わらず、プラテンギャップは1100μmに調整される。印刷ヘッド28の下面の一部と印刷媒体との接触を避けるためである。
(5)印刷ヘッド28の下面の少なくとも一部が印刷媒体の端部上に入ると、プラテンギャップは2000μmに調整される。
このように、各主走査におけるプラテンギャップ量は、その主走査において印刷ヘッド28の下面に複数の調整領域がある場合には、各調整領域のプラテンギャップ要求量のうちの最大値として決定される。
【0068】
このように、この第3実施例では、インクの吐出量が印刷画像の領域毎にまちまちの場合において、各調整領域毎にプラテンギャップを調整できるので、たとえば、写真とテキストとが混在するようなDTPの印刷において、顕著な効果を得ることができる。
【0069】
ただし、隣接する調整領域の境界近傍においてプラテンギャップを調整する際には、連続して行われる2つの主走査の間に実施されるプラテンギャップの調整における調整量を所定の範囲内に制限するようにするのが好ましい。プラテンギャップ量の急激な変化は画質の劣化の要因となり得るので、段階的に調整することで、この急激な変化を抑制することにより画質をさらに向上させることができるからである。
【0070】
図13は、このような方法で調整を行うプラテンギャップ量の調整方法の一例を示す。この例は、図13(b)に示すように、ある領域(たとえば写真領域)から他の領域(たとえばテキスト領域)に、段階的に移行するための遷移領域がある点で図10に示す例と異なる。この遷移領域においては、制限された所定の範囲内の調整量で段階的にプラテンギャップの調整が行われる。なお、この例では、最大100μmの範囲内に、連続する主走査の合間の調整量が予め制限されていると仮定している。また、プラテンギャップの調整は、必ずしも各主走査毎に行う必要はなく、たとえば、2回の主走査に1回の割合で行っても良い。
【0071】
具体的には、図13に示すように、印刷ヘッド28の下面が印刷媒体の端部上から外れ、ベタ印刷が行われている領域Z1上に移行するときは、プラテンギャップの調整は、各主走査が終了する毎に100μmずつプラテンギャップを小さくすることによって行われる。一方、印刷ヘッド28の下面が写真印刷が行われている領域Z3上に近づくと、プラテンギャップの調整は、各主走査が終了する毎に100μmずつプラテンギャップを大きくすることによって行われる。この結果、印刷ヘッド28の下面の一部が写真印刷が行われている領域Z3上に入ったときには、プラテンギャップ量は、1100μmとなっている。
【0072】
なお、本実施例では、印刷モードパラメータや最大インクデューティだけでなく、印刷画像中の領域の区分にも基づいて印刷に使用されるプラテンギャップ量を決定する点で第2実施例と相違する。このため、第1、2実施例では、決定されたプラテンギャップの量は、そのページの印刷画像の全体にわたって使用されるが、この第3実施例では、印刷画像中の領域の区分に応じて、プラテンギャップの量が変更されうる点で第1、2実施例と異なる。
【0073】
E.第4実施例の印刷処理:
図14は、印刷媒体のたわみを検知するたわみ検知部を備えるプリンタの機構部の構成を示す説明図である。第4実施例は、プリンタの機構部にたわみ検知部46を備え、この検知結果に応じて、プラテンギャップが調整される点で前述の各実施例と異なる。
【0074】
たわみ検知部46は、キャリッジ30を摺動可能に保持する摺動軸34を支持する支柱37に備えられている。印刷媒体のたわみの検知は、たわみ検知部46が有する発光素子46aからプラテン26に平行に射出されたレーザ光Lが、印刷媒体により遮蔽されて受光素子46bの出力が低下するのを検出することにより行われる。発光素子46aは、外径が1mm以下の原光束を射出するレーザダイオードである。図14に示す光束Lは、この原光束の照射範囲よりも開口面積が狭い図示しない収束用開口を用いて原光束を細くしたものである。なお、図14から分かるように、印刷ヘッド28の下面と光束Lとの間の位置関係は固定されており、摺動軸移動モータ35の駆動により一体として移動する。
【0075】
なお、レーザ光Lは、プラテンギャップに対して十分に小さいビーム径が得られる場合には、図14に示すように、印刷ヘッド28の下面と印刷媒体Pとの間に射出されるのが望ましいが、印刷ヘッド28の近傍に配置しても良い。ただし、この場合には、印刷ヘッド28に対して副走査方向の下流側(インク吐出後の側)に配置するのが好ましい。印刷ヘッド28に対して副走査方向の下流側においてたわみ量が大きいからである。
【0076】
図15は、たわみ検知部の受光素子出力と制御内容の関係を示す説明図である。なお、この図におけるクリアランスは、印刷ヘッド28の下面と、レーザ光Lのビーム内における印刷媒体の頂点との間の隙間の量を意味する。
【0077】
まず、CPU41(図3)は、印刷用紙(印刷媒体)の給紙の前に受光素子46bの出力に応じて第1、第2の閾値を設定し、これらの閾値をメモリ44に記録する。図15に示すように、第1の閾値は、前述のクリアランスの最小値として設定されており、受光素子出力がこの値以下になると印刷ヘッド28を上昇するための制御が行われる。第2の閾値は、前述のクリアランスの最大値として設定されており、受光素子出力がこの値以上になると印刷ヘッド28を下降するための制御が行われる。なお、この例では、最小値は前述の最小隙間として100μmが選択され、最大値は最小値に100μm加えたものとして決定されている。この決定は、制御系の精度やプラテンギャップ量が印刷画質に与える影響を考慮して行うのが好ましい。
【0078】
印刷用紙の給紙が開始されると、CPU41は、印刷時において受光素子46bの出力を監視する。CPU41は、受光素子46bの出力が第1の閾値より小さくなったら、モータ駆動回路54に対して、印刷ヘッド28を上昇するように(プラテン26から離すように)指令する。この指令に応じて、モータ駆動回路54は、摺動軸移動モータ35を制御して摺動軸34の支柱37を上昇させることによって印刷ヘッド28を印刷媒体から離す。
【0079】
一方、CPU41は、受光素子46bの出力が第2の閾値より大きくなったら、モータ駆動回路54に対して、印刷ヘッド28を下降するように(プラテン26に近づけるように)指令する。この指令に応じて、モータ駆動回路54は、摺動軸移動モータ35を制御して摺動軸34の支柱37を下降させることによって印刷ヘッド28を印刷媒体に近づける。なお、本実施例では、たわみ検知部46、CPU41、およびメモリ44が、特許請求の範囲におけるクリアランス計測部として機能している。
【0080】
このように、この第4実施例では、印刷媒体に生じた現実のたわみを光により検知して、これに応じてプラテンギャップを調整することができる。したがって、印刷ヘッドと印刷媒体の接触を確実に防止できるとともに、プラテンギャップを必要最小限まで小さくすることができるという利点がある。
【0081】
なお、この実施例では、印刷媒体のたわみ量の計測にレーザ光を使っているが、超音波や触診針その他の手段を用いても良い。一般に、本発明に利用するクリアランス計測部は、印刷ヘッド28と印刷媒体Pの表面との間に十分な隙間が存在するか否かを検出できるものであればよい。
【0082】
F.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0083】
F−1.上記実施例では、印刷媒体の種類は、印刷モードの選択によって特定されているが、印刷媒体の種類を自動的に特定する手段を印刷装置に装備することによって特定されるようにしても良い。一般に、印刷媒体の種類を表す情報が与えられるような構成であればよい。
【0084】
なお、印刷媒体の種類を自動的に特定する手段としては、たとえば、専用紙や普通紙の光反射率の相違に基づいて反射光を識別して特定する光特定手段や予め記録媒体やその包装材に付されたバーコードを読み取ることによって特定するバーコード読み取り手段、ICリーダーを用いて特定する手段がある。このような手段は、印刷媒体の種類の特定にユーザの操作を必要としないという利点があり、印刷モードの選択によって特定する手段は、簡易な構成で実現できるという利点がある。
【0085】
F−2.上記実施例では、印刷モードの選択によって特定された印刷媒体の種類等の情報によって予想される印刷媒体のたわみ量や、光を使って現実に計測されたたわみ量に応じて、プラテンギャップが調整されている。しかし、プラテンギャップの調整は、たとえば、ユーザにより印刷装置に入力されたたわみ量に応じて行っても良い。一般に、本発明において使用されるたわみ情報は、印刷の際におけるたわみの量を特定できるものであれば良い。
【0086】
F−3.上記実施例では、印刷ヘッドを移動させることによりプラテンギャップの大きさを調整しているが、プラテンを移動させることにより調整しても良い。一般に、本発明に使用されるプラテンギャップ調整部は、印刷ヘッドとプラテンの少なくとも一方を相対的に移動させることにより、プラテンギャップの大きさを調整するものであれば良い。
【0087】
F−4.この発明は、ドラムプリンタにも適用できる。尚、ドラムプリンタでは、ドラム回転方向が主走査方向、キャリッジ走行方向が副走査方向となる。また、この発明は、インクジェットプリンタのみでなく、一般に、複数のノズル列を有する記録ヘッドを用いて印刷媒体の表面に記録を行うドット記録装置に適用することができる。
【0088】
F−5.上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図1に示したプリンタドライバ96の機能の一部または全部を、プリンタ20内の制御回路40が実行するようにすることもできる。この場合には、印刷データを作成する印刷制御装置としてのコンピュータ90の機能の一部または全部が、プリンタ20の制御回路40によって実現される。
【0089】
本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例として印刷システムの構成を示すブロック図。
【図2】プリンタの構成を示す説明図。
【図3】カラープリンタ20における制御回路40の構成を示すブロック図。
【図4】印刷ヘッド28の下面におけるノズル配列を示す説明図。
【図5】本発明の第1実施例における印刷処理手順を示すフローチャート。
【図6】CRT21上に表示された印刷モードの基本設定画面の一例を示す図。
【図7】ステップS104におけるプラテンギャップ量の決定方法の例を示す説明図。
【図8】本発明の第2実施例におけるプラテンギャップ量の決定方法を示す説明図。
【図9】本発明の第2実施例におけるプラテンギャップ量の決定手順を示すフローチャート。
【図10】本発明の第3実施例において処理の対象とする画像データの一例。
【図11】本発明の第3実施例におけるプラテンギャップ量の決定手順を示すフローチャート。
【図12】印刷画像における調整領域と評定領域の関係を示す説明図。
【図13】本発明の第3実施例におけるプラテンギャップ量の調整方法の他の例。
【図14】印刷媒体のたわみを検知するたわみ検知部を備えるプリンタの機構部の構成を示す説明図。
【図15】たわみ検知部の受光素子出力と制御内容の関係を示す説明図。
【符号の説明】
20…カラープリンタ
21…CRT
22…紙送りモータ
24…キャリッジモータ
26…プラテン
28…印刷ヘッド
30…キャリッジ
32…操作パネル
34…摺動軸
35…摺動軸移動モータ
36…駆動ベルト
37…支柱
38…プーリ
39…位置センサ
40…制御回路
41…CPU
44…RAM
46…検知部
46a…発光素子
46b…受光素子
50…I/F専用回路
52…ヘッド駆動回路
54…モータ駆動回路
56…コネクタ
60…印刷ヘッドユニット
80…インクデューティ
90…コンピュータ
91…ビデオドライバ
95…アプリケーションプログラム
96…プリンタドライバ
97…解像度変換モジュール
98…色変換モジュール
99…ハーフトーンモジュール
100…ラスタライザ
101…印刷モード選択部
102…プラテンギャップ決定部
120…インクデューティ

Claims (2)

  1. インク滴を吐出する複数のノズルが設けられた印刷ヘッドを主走査方向に走査しつつ印刷媒体上にインクを吐出する印刷装置であって、
    前記印刷媒体を前記複数のノズルと向かい合うように支持するプラテンと、
    前記印刷ヘッドと前記プラテンの少なくとも一方を相対的に移動させることにより、前記印刷媒体上に吐出されるインク量の増加によって増大する前記印刷媒体の前記プラテンからのたわみに起因する前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の接触を回避するように、前記印刷ヘッドと前記プラテンとの間の距離であるプラテンギャップを主走査の合間に調整するプラテンギャップ調整部と、
    与えられた印刷対象画像を予め定められた所定の面積の評定領域に分割して、各評定領域に吐出されるインク量を算出し、前記算出されたインク量の最大値を算出するインクデューティ算出部と、
    を備え、
    前記インクデューティ算出部は、前記印刷対象画像を主走査方向と平行な区分線で複数の調整領域に分割して、各調整領域毎に前記インク量の最大値を決定し、
    前記プラテンギャップ調整部は、各調整領域毎に、前記インク量の最大値に応じて、前記プラテンギャップを調整し、
    前記プラテンギャップ調整部は、前記インク量の最大値が比較的に大きな調整領域から前記インク量の最大値が比較的に小さな調整領域に前記印刷ヘッドが移行する場合には、前記インク量の最大値が比較的に小さな調整領域において所定の範囲内の調整量で前記プラテンギャップを段階的に小さくし、一方、前記インク量の最大値が比較的に小さな調整領域から前記インク量の最大値が比較的に大きな調整領域に前記印刷ヘッドが移行する場合には、前記調整量を所定の範囲内に制限するとともに、前記インク量の最大値が比較的に大きな調整領域におけるプラテンギャップを確保するために、前記インク量の最大値が比較的に小さい調整領域において予め段階的に大きくするための遷移領域を設定している印刷装置。
  2. インク滴を吐出する複数のノズルが設けられた印刷ヘッドと、印刷媒体を前記複数のノズルと向かい合うように支持するプラテンとを用いて、主走査方向に走査しつつ前記印刷媒体上にインクを吐出する印刷方法であって、
    前記印刷ヘッドと前記プラテンの少なくとも一方を相対的に移動させることにより、前記印刷媒体上に吐出されるインク量の増加によって増大する前記印刷媒体の前記プラテンからのたわみに起因する前記印刷ヘッドと前記印刷媒体の接触を回避するように、前記印刷ヘッドと前記プラテンとの間の距離であるプラテンギャップを主走査の合間に調整するプラテンギャップ調整工程と、
    与えられた印刷対象画像を予め定められた所定の面積の評定領域に分割して、各評定領域に吐出されるインク量を算出し、前記算出されたインク量の最大値を算出するインクデューティ算出工程と、
    を備え、
    前記インクデューティ算出工程は、前記印刷対象画像を主走査方向と平行な区分線で複数の調整領域に分割して、各調整領域毎に前記インク量の最大値を決定する工程を含み、
    前記プラテンギャップ調整工程は、各調整領域毎に、前記インク量の最大値に応じて、前記プラテンギャップを調整する工程を含み、
    隣接する調整領域の境界近傍において前記プラテンギャップを調整する際に連続して行われる2つの主走査の間に実施される前記プラテンギャップの調整における調整量は、所定の範囲内に制限されており、
    前記プラテンギャップ調整工程は、
    前記インク量の最大値が比較的に大きな調整領域から前記インク量の最大値が比較的に小さな調整領域に前記印刷ヘッドが移行する場合には、前記インク量の最大値が比較的に小さな調整領域において所定の範囲内の調整量で前記プラテンギャップを段階的に小さくする工程と、
    前記インク量の最大値が比較的に小さい調整領域から前記インク量の最大値が比較的に大きな調整領域に前記印刷ヘッドが移行する場合には、前記調整量を所定の範囲内に制限するとともに、前記インク量の最大値が比較的に大きな調整領域におけるプラテンギャップを確保するために、前記インク量の最大値が比較的に小さい調整領域において予め段階的に大きくするための遷移領域を設定する工程と、
    を含む印刷方法。
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