JP4056680B2 - 成膜装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、配線層その他の膜をプラズマビームを用いて形成するための成膜装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の配線用の成膜装置として、例えば特開2000−064028号公報に開示のイオンプレーティング装置がある。このイオンプレーティング装置では、圧力勾配型のプラズマガンからのプラズマビームをハースに導き、ハース中の成膜材料である金属を溶融するとともに蒸発・イオン化し、このように蒸発・イオン化した蒸着物質をハースと対向して配置された基板の表面に付着させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような成膜装置では、溶融した成膜材料からスプラッシュと呼ばれる液滴状の飛散物が発生し、成膜面に付着する場合がある。このようなスプラッシュは、平坦で均一な成膜を困難にするだけでなく、成膜面に形成された穴や溝等を塞いでボイドその他の配線不良の原因となる。
【0004】
そこで、本発明は、スプラッシュの発生を低減して、高品質の配線用膜の形成を可能にする成膜装置及び成膜方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の成膜装置は、プラズマビームを成膜室中に供給するプラズマ源と、成膜室中に配置されプラズマビームを導くとともに、膜材料を収容可能な容器状の材料蒸発源を有するハースと、成膜の対象である基板を成膜室中にハースに対向して支持する支持部材とを備え、材料蒸発源の内面は、膜材料に対して所定以上の濡れ性を有することを特徴とする。
【0006】
この場合、材料蒸発源の内面が膜材料に対して所定以上の濡れ性を有するので、材料蒸発源から蒸発した膜材料が材料蒸発源の内壁で凝縮して再度液化した場合であっても、膜材料の液滴が材料蒸発源の内壁に付着してある程度のサイズになって落下するといった現象が繰返されないので、かかる液滴の落下に主に起因すると考えられるスプラッシュの発生を効果的に防止できる。
【0007】
なお、「所定以上の濡れ性を有する」とは、液体である膜材料の、固体である材料蒸発源に対する接触角θが90度以下、つまり浸漬ぬれを起こすことを意味する。
【0008】
この接触角は、好適には60度以下であることが望ましい。もちろん接触角θが0度である、拡張ぬれを起こす場合であっても問題はない。これに対して接触角が90度以上180度以下の場合付着ぬれを起こし、スプラッシュが発生しやすくなる。このように付着ぬれが生じる場合、例えばパラフィン紙に水滴を置いたような状態となり、球状の液滴を生じ、液滴は重力により容易に移動することになる。
【0009】
図6は、濡れ性と接触角の関係を説明する参考図である。固相と液相の付着の強さ、すなわち2層を付着面で引き離すに必要な仕事Waは
Wa=γs+γl−γi=γl(1+COSθ)
ここで、γs=固体/気体の界面張力
γl=液体/気体の界面張力
γi=固定/液体の界面張力
で表される。つまり、接触角θが小さいほど、付着力が強くぬれが良くなることが分かる。
【0010】
上記装置の好ましい態様では、材料蒸発源の内面が、W、Mo、及びTaの少なくとも1つを含む高融点金属材料で形成される。この場合、材料蒸発源の内面がCu等の膜材料に対して良好な濡れ性を有するので、これらの膜材料の成膜に際してスプラッシュの発生を効果的に防止できる。
【0011】
また、上記装置の好ましい態様では、材料蒸発源の本体が、カーボンで形成され、当該本体の内面がW、Mo、及びTaの少なくとも1つを含む高融点金属材料で被覆される。この場合、カーボン製の本体に形成した凹部の内面を上記高融点金属材料でコーティングすることが可能であり、カーボン製の本体に形成した凹部に上記高融点金属材料で形成したボート状の容器をはめ込むことも可能である。
【0012】
また、上記装置の好ましい態様では、材料蒸発源の本体が、W、Mo、及びTaの少なくとも1つを含み内面を形成する被覆部材とは異なる高融点金属材料で形成される。
【0013】
また、上記装置の好ましい態様では、材料蒸発源が、本体と被覆部材とを真空中で加熱処理して相互拡散させることによって形成される。この場合、材料蒸発源が2層構造の容器であっても、破損や変形が生じることを防止でき、材料蒸発源の寿命を長くすることができる。
【0015】
また、上記装置の好ましい態様では、ハースの周囲に環状に配置された磁石、又は磁石及びコイルからなりハースの近接した上方の磁界を制御する磁場制御部材をさらに備え、プラズマ源が、アーク放電を利用した圧力勾配型のプラズマガンである。この場合、磁場制御部材によってハースに入射するプラズマビームをカスプ状磁場で修正してより均一な厚みの膜を形成することができる。
【0016】
また、本発明の成膜方法は、成膜室中に陽極として配置された材料蒸発源に向けてプラズマビームを供給しつつ材料蒸発源から膜材料である金属を蒸発させて、成膜室中に材料蒸発源に対向して配置された基板の表面に付着させる成膜方法であって、材料蒸発源の内面を膜材料に対して所定以上の濡れ性を有する材料で形成する。
【0017】
この場合、材料蒸発源の内面が膜材料に対して所定以上の濡れ性を有するので、材料蒸発源から蒸発した膜材料が材料蒸発源の内壁で凝縮して再度液化した場合であっても、膜材料の液滴が材料蒸発源の内壁に付着してある程度のサイズになって落下するといった現象が繰返されないので、かかる液滴の落下に主に起因すると考えられるスプラッシュの発生を効果的に防止できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態の成膜装置の全体構造を概略的に説明する図である。この成膜装置は、成膜室である真空容器10と、真空容器10中にプラズマビームPBを供給するプラズマ源であるプラズマガン30と、真空容器10内の底部に配置されてプラズマビームPBの流れを制御する陽極部材50と、真空容器10上部に配置されて基板Wを保持する保持機構60と、これらの動作を統括制御する主制御装置80とを備える。
【0019】
プラズマガン30は、DCアーク放電を利用してプラズマビームPBを発生する圧力勾配型のプラズマガンであり、その本体部分は、真空容器10の側壁に設けた筒状部12に、後述する一対の中間電極41、42を介して装着されている。この本体部分は、陰極31によって一端が閉塞されたガラス管32からなる。ガラス管32内には、モリブデンMoで形成された円筒33が陰極31に固定されて同心状に配置されており、この円筒33内には、LaB6で形成された円盤34とタンタルTaで形成されたパイプ35とが内蔵されている。ガラス管32と筒状部12との間に設けた一対の中間電極41、42は、これらガラス管32及び筒状部12と同軸に直列して配置されている。一方の第1中間電極41内には、プラズマビームPBを収束するための環状永久磁石44が内蔵されている。他方の第2中間電極42内にも、プラズマビームPBを収束するための電磁石コイル45が内蔵されている。なお、筒状部12の周囲には、陰極31側で発生して第1及び第2中間電極41、42まで引き出されたプラズマビームPBを真空容器10内に導くステアリングコイル47が設けられている。
【0020】
プラズマガン30の動作は、ガン駆動装置48によって制御されている。このガン駆動装置48は、陰極31への給電をオン・オフしたりこれへの供給電圧等を調整することができ、さらに第1及び第2中間電極41、42、電磁石コイル45、及びステアリングコイル47への給電を調整する。このようなガン駆動装置48によって、真空容器10中に供給されるプラズマビームPBの状態が制御される。
【0021】
プラズマガン30の最も内心側に配置されるパイプ35は、プラズマビームPBのもととなるAr等のキャリアガスをプラズマガン30中に導入するためものであり、流量計37及び流量調節弁38を介してガス供給源39に接続されている。流量計37によって検出されたキャリアガスの流量は主制御装置80で監視されており、流量調節弁38によるキャリアガスの流量調整等に利用される。なお、真空容器10のプラズマガン30に対向する側面には、真空容器10内を適当な圧力に減圧するため、真空ゲート76を介して排気ポンプ77が取り付けられている。
【0022】
真空容器10中の下部に配置された陽極部材50は、プラズマビームPBを下方に導く主陽極であるハース51と、その周囲に配置された環状の補助陽極52とからなる。
【0023】
このうちハース51は、熱伝導率の良い導電性材料で形成されるとともに接地された真空容器10に図示を省略する絶縁物を介して支持されている。このハース51は、陽極電源装置58によって適当な正電位に制御されており、プラズマガン30から出射したプラズマビームPBを下方に吸引する。なお、ハース51は、プラズマガン30からのプラズマビームPBが入射する中央上部に、形成された凹部にルツボ状の材料蒸発源であるハースライナーすなわちハース本体53を有している。ハース本体53内部には、膜材料である銅等の金属が融液状となって溜まっている。
【0024】
図2は、ハース本体53の構造等を説明する側方断面図である。ハース本体53は、外形が円柱状の容器であり、銅製のハース51の上部に形成された凹部51aに収容されている。
【0025】
ハース51上部に形成された凹部51aの底部下方には、冷却媒体を供給するためのキャビティ51bが形成されている。このキャビティ51bには、図示を省略するポンプや配管を介して水等の冷却媒体が連続的に供給されており、ハース本体53が過熱されることを防止している。
【0026】
ハース本体53は、上部に膜材料である銅等の溶融金属MMを収容する凹部53aを有し、銅等の溶融金属MMに対して良好な濡れ性を有するとともに導電性を有する高融点金属で形成されている。具体的には、ハース本体53をW、Mo、Ta等のいずれか、或いはこれらの合金とすることができる。この場合、ハース本体53の凹部53aの内面が溶融金属MMに対して良好な濡れ性を有するので、ハース本体53から蒸発した膜材料が凹部53aの内壁で凝縮して再度液化した場合であっても、凹部53aの内壁に膜材料の液滴がほとんど形成されず、スプラッシュの発生を効果的に防止できる。
【0027】
図1に戻って、陽極部材50を構成する補助陽極52は、ハース51の周囲にこれと同心に配置された環状の容器により構成されている。この環状容器内には、フェライト等で形成された環状の永久磁石55と、これと同心に積層されたコイル56とが収納されている。これら永久磁石55及びコイル56は、磁場制御部材であり、ハース51の直上方にカスプ状磁場を形成する。これにより、ハース51に入射するプラズマビームPBの向き等を修正することができる。
【0028】
補助陽極52内のコイル56は電磁石を構成し、陽極電源装置58から給電される。この場合、励磁されたコイル56における中心側の磁界の向きは、永久磁石55により発生する中心側の磁界と同じ向きになるように構成される。陽極電源装置58は、コイル56に供給する電流を変化させることができ、ハース51に入射するプラズマビームPBの向きの微調整が可能になる。
【0029】
補助陽極52の容器も、ハース51と同様に熱伝導率の良い導電性材料で形成される。この補助陽極52は、ハース51に対して図示を省略する絶縁物を介して取り付けられている。陽極電源装置58は、補助陽極52に印加する電圧を変化させることによってハース本体53の上方の電界を補助的に制御できるようになっている。つまり、補助陽極52に適当なタイミングで適当な電位を与えることにより、プラズマビームPBの供給をハース本体53から補助陽極52に切り換えたり、或いは逆に補助陽極52からハース本体53に切り換える切換制御が任意のタイミングで可能になる。
【0030】
真空容器10中の上部に配置される保持機構60は、ハース51の上方において成膜面を下側にして基板Wを保持するための支持部材である基板ホルダ61と、この基板ホルダ61上部に固定されて基板Wを裏面側から温度調節する温度調節装置62とを備える。基板ホルダ61は、真空容器10に対して絶縁された状態で基板電源装置68から給電されており、ゼロ電位の真空容器10に対して適当な電位にバイアスされている。温度調節装置62は、温調制御装置69によって制御されており、温調制御装置69は、温度調節装置62に内蔵したヒータに給電し、或いは内蔵した配管に冷却媒体を供給して、温度調節装置62更には基板ホルダ61を所望の温度に保持する。
【0031】
なお、図示していないが、真空容器10の保持機構60近傍には基板Wを搬出搬入するためのゲート機構を設けている。
【0032】
以下、図1の成膜装置の動作について説明する。この成膜装置においては、プラズマガン30の陰極31と真空容器10内のハース51との間で放電が生じ、これによりプラズマビームPBが生成される。このプラズマビームPBは、ステアリングコイル47と補助陽極52内の永久磁石55とにより決定される磁界に案内されてハース51に到達する。ハース本体53に収納された蒸発物質(膜材料)は、プラズマビームPBにより加熱され蒸発物質としてハース本体53から出射する。この蒸発物質は、プラズマビームPBによりイオン化され、基板Wの下面に付着して銅等からなる膜が形成される。この際、ハース本体53の凹部53aの内面がこれに溜まった溶融金属MMに対して良好な濡れ性を有するので、ハース本体53から蒸発した膜材料が凹部53aの内壁で凝縮して再度液化した場合であっても、凹部53aの内壁に膜材料の液滴がほとんど形成されず、成膜後の基板Wにはスプラッシュに起因する粒状の欠陥がほとんど発生しない。
【0033】
図3は、ハース本体53でのスプラッシュ抑制を説明する図である。図3(a)は本実施形態の成膜装置に組み込まれるハース本体53中の溶融金属MMの状態を説明する側方断面図であり、図3(b)は従来型のハース本体153の場合を説明する側方断面図である。
【0034】
図3(a)に示す場合、ハース本体53が銅等の溶融金属MMに対して良好な濡れ性を有するタングステン等の高融点金属で形成されているので、凹部53aの内壁における溶融金属MMの接触角が鋭角となっており、凹部53aの内壁に蒸発した溶融金属MMの粒子状の液滴が形成されない。
【0035】
一方、図3(b)に示す場合、ハース本体153が銅等の溶融金属MMに対して濡れ性を有しないカーボン(グラファイト)で形成されているので、凹部153aの内壁における溶融金属MMの接触角が鈍角となっている。この場合、凹部153aの内壁で蒸発した溶融金属MMが凝縮し、ここに粒子状の液滴DRが形成される。そして、溶融金属MMの液滴DRがある程度のサイズになると、液滴DRが下方に溜まった溶融金属MM上に落下するといった現象が繰返される。ここで、溶融金属MMはプラズマビームPBから直接エネルギーを与えられており上記のような液滴DRよりも高温であると考えられる。よって、ある程度のサイズの液滴DRが温度差のある溶融金属MM中に落下すると、これが原因となって溶融金属MM表面からスプラッシュと呼ばれる液滴状の飛散物が発生し、図1に示す基板Wの成膜面に付着すると考えられる。
【0036】
以下の表は、図3(a)、(b)に対応する一対のハース本体を用いた場合のスプラッシュ発生量を比較するものである。なお、以下の例において実施例のハース本体53は、タングステンロッドから切削加工により切り出して形成したものであり、比較例のハース本体153は、グラファイトを切削加工して形成したものである。
図3(a)に示すようなタングステン製のハース本体(ライナー)53を用いた場合、基板Wの成膜面に形成される粒子状欠陥は、10個/cm2程度以下の低水準となっている。一方、図3(b)に示すようなグラファイト製のハース本体(ライナー)153を用いた場合、基板Wの成膜面に形成される粒子状欠陥は、凹部153aの内壁の高さhの増大(液面の低下)に伴って400個/cm2以上となる。なお、基板Wの成膜面に観察される粒子状欠陥のうち10個/cm2程度は他の原因で発生するパーティクルであり、タングステン製のハース本体53ではスプラッシュ発生量が皆無であることが分かる。
【0037】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態の成膜装置について説明する。第2実施形態の成膜装置は、第1実施形態の装置を変形したものであり、以下では変更部分について説明する。
【0038】
図4は、第2実施形態の成膜装置に組み込まれるハース本体253の構造を概略的に説明する図である。このハース本体253は、カーボンで形成され上側に凹部253gを有する本体253bと、本体253bの凹部253gにはめ込まれて凹部253gの内面を被覆するボート253cとからなる。このうちボート253cは、内部に収容する銅等の溶融金属MMに対して濡れ性を有するW、Mo、Ta等からなる。このハース本体253では、蒸発した膜材料がボート253cの内壁253hで凝縮して再度液化した場合であっても、ボート253cの内壁253hに膜材料の液滴がほとんど形成されず、成膜後の基板Wにはスプラッシュに起因する粒状の欠陥がほとんど発生しない。
【0039】
この実施形態についても、ハース本体253によるスプラッシュ抑制を確かめるため、上記表と同様の実験を行ったが、上記表と同様にタングステン製のボート253cを用いたハース本体253ではスプラッシュ発生量が皆無であることが分かった。
【0040】
〔第3実施形態〕
図5は、第3実施形態の成膜装置の要部構造を概略的に説明する図である。第3実施形態の成膜装置は、図4に示す第2実施形態に係るハース本体253の構造を変更したものである。
【0041】
このハース本体353は、モリブデンやタンタル等の特定の高融点金属で形成され上側に凹部353gを有する本体353bと、タングステン等の上記と異なる高融点金属で形成され本体353bの凹部353gにはめ込まれて内面を被覆する被覆部材353cとからなる。さらに、本体353bと被覆部材353cとは、真空中で加熱処理して相互拡散させることによって一体化されて2層構造の容器となっている。このハース本体353では、蒸発した膜材料が被覆部材353cの内壁で凝縮して再度液化しても、ボート353cの内壁に膜材料の液滴がほとんど形成されず、成膜後の基板Wにはスプラッシュに起因する粒状の欠陥がほとんど発生しない。
【0042】
この場合も、ハース本体353によるスプラッシュ抑制を確かめるため、上記表と同様の実験を行ったが、上記表と同様にタングステン製の高融点金属で形成したハース本体353ではスプラッシュ発生量が皆無であることが分かった。
【0044】
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えばハース本体53の形状は、溶融金属MMを収容することができる限り、任意のものとすることができる。
【0045】
また、ハース本体53、253、353は、タングステン等の高融点金属に限るものではなく、本体をグラファイトで形成し、内面を高融点金属で被覆したものとできる。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の成膜装置によれば、材料蒸発源の内面が膜材料に対して所定以上の濡れ性を有するので、材料蒸発源から蒸発した膜材料が材料蒸発源の内壁で凝縮して再度液化した場合であっても、膜材料の液滴が材料蒸発源の内壁に付着してある程度のサイズになって落下するといった現象が繰返されないので、かかる液滴の落下に主に起因すると考えられるスプラッシュの発生を効果的に防止できる。
【0047】
また、本発明の成膜方法によれば、材料蒸発源の内面が膜材料に対して所定以上の濡れ性を有するので、材料蒸発源から蒸発した膜材料が材料蒸発源の内壁で凝縮して再度液化した場合であっても、膜材料の液滴が材料蒸発源の内壁に付着してある程度のサイズになって落下するといった現象が繰返されないので、かかる液滴の落下に主に起因すると考えられるスプラッシュの発生を効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の成膜装置の全体構造を説明する平面図である。
【図2】図1の装置に組み込まれるハースの構造を説明する側方断面図である。
【図3】(a)は、実施例のハース本体を示し、(b)は比較例のハース本体を示す。
【図4】第2実施形態の成膜装置に組み込まれるのハース本体の構造を説明する側方断面図である。
【図5】第3実施形態の成膜装置に組み込まれるのハース本体の構造を説明する側方断面図である。
【図6】濡れ性と接触角の関係を説明する図である。
【符号の説明】
10 真空容器
30 プラズマガン
47 ステアリングコイル
48 ガン駆動装置
50 陽極部材
51 ハース
51a 凹部
53 ハース本体
53a 凹部
60 保持機構
80 主制御装置
MM 溶融金属
PB プラズマビーム
W 基板
Claims (6)
- プラズマビームを成膜室中に供給するプラズマ源と、
前記成膜室中に配置され前記プラズマビームを導くとともに、膜材料を収容可能な容器状の材料蒸発源を有するハースと、
成膜の対象である基板を前記成膜室中に前記ハースに対向して支持する支持部材とを備え、
前記材料蒸発源の内面は、W及びMoのいずれか1つの高融点金属材料で形成され、
前記膜材料は、Cuであることを特徴とする成膜装置。 - 前記材料蒸発源の本体は、カーボンで形成され、当該本体の内面は、W及びMoのいずれか1つの高融点金属材料で被覆されることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
- 前記材料蒸発源の本体は、W、Mo、及びTaのいずれか1つの高融点金属材料、又は、W、Mo、若しくはTaの合金であって、前記内面を形成する被覆材料とは異なる材料で形成されることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
- 前記材料蒸発源は、前記本体と前記被覆部材とを真空中で加熱処理して相互拡散させることによって形成されることを特徴とする請求項3記載の成膜装置。
- 前記ハースの周囲に環状に配置された磁石、又は磁石及びコイルからなり前記ハースの近接した上方の磁界を制御する磁場制御部材をさらに備え、前記プラズマ源は、アーク放電を利用した圧力勾配型のプラズマガンであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項記載の成膜装置。
- 成膜室中に陽極として配置された材料蒸発源に向けてプラズマビームを供給しつつ前記材料蒸発源から膜材料である金属を蒸発させて、成膜室中に前記材料蒸発源に対向して配置された基板の表面に付着させる成膜方法であって、
前記材料蒸発源の内面が、W及びMoのいずれか1つの高融点金属材料で形成されており、
前記材料蒸発源に収納される膜材料を、Cuとすることを特徴とする成膜方法。
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