JP2001181829A - アーク式蒸発源 - Google Patents

アーク式蒸発源

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JP2001181829A
JP2001181829A JP37254899A JP37254899A JP2001181829A JP 2001181829 A JP2001181829 A JP 2001181829A JP 37254899 A JP37254899 A JP 37254899A JP 37254899 A JP37254899 A JP 37254899A JP 2001181829 A JP2001181829 A JP 2001181829A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 陰極冷却機構等を有するアーク式蒸発源にお
いて、アークスポットが陰極の蒸発面外へ移動すること
を抑制することができるようにする。 【解決手段】 このアーク式蒸発源30aは、陰極32
の蒸発面33の周りを囲むものであって、少なくとも前
部に円錐状の斜面76を有しており、かつ陰極冷却機構
36の先端部に固定された先細リング74を備えてい
る。この先細リング74の斜面76では、磁気コイル5
2の作る磁力線54との成す角が蒸発面33に向かって
鋭角となるので、アークスポットが斜面76に移行して
もすぐに元の蒸発面33に戻される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば工具、機
械部品、金型、外装部品等の基体の表面に、陰極物質ま
たは当該陰極物質の窒化物、酸化物等から成る薄膜を形
成して、当該基体の耐摩耗性、摺動性、耐焼き付き性、
装飾性等を向上させること等に用いられるものであっ
て、アーク放電によって陰極を溶解させて陰極物質を蒸
発させるアーク式蒸発源に関し、より具体的には、アー
ク放電のアークスポット(陰極点)が陰極の蒸発面外へ
移動することを抑制する手段に関する。
【0002】
【先行技術】陰極の有効利用および交換頻度の低減が可
能であり、かつ長時間に亘って成膜速度を一定に保つこ
とのできるアーク式蒸発源が同一出願人によって先に提
案されている(特願平11−231384号)。これを
図4を参照して説明する。
【0003】このアーク式蒸発源30は、例えばこの例
のように、アーク式イオンプレーティング装置を構成す
るものであって陽極を兼ねる真空容器2の壁面に、基体
6に向けて取り付けて使用される。22は絶縁物であ
る。
【0004】このアーク式蒸発源30は、軸方向の長さ
が直径よりも大きい(例えば2倍以上の)円柱状の陰極
32と、この陰極32を、矢印Aに示すように、当該陰
極32の軸に沿って前方に(即ち基体6側に)送り出す
陰極送り機構48と、陰極32の少なくとも側面を冷媒
(例えば冷却水)40によって直接冷却する陰極冷却機
構36と、陰極32の先端の蒸発面33付近に、当該陰
極32の軸に沿う方向の磁力線54を発生させる磁気コ
イル52とを備えている。53はコイル励磁電源であ
る。
【0005】磁気コイル52の近くの部材は、当該磁気
コイル52が作る磁力線54を乱さないために、非磁性
材から成る。
【0006】陰極32は、成膜しようとする膜の種類に
応じた所望の材料(例えば金属、合金、カーボン等)か
ら成る。
【0007】陰極32は、この例では支持軸46の先端
部に支持されており、この支持軸46を介して、陰極送
り機構48によって前方に送り出される。陰極送り機構
48は、手動式でも動力式でも良い。アーク放電用のア
ーク電源24からの陰極32への給電は、この例では支
持軸46を経由して行われる。アーク起動用のトリガ電
極は図示を省略している(図1においても同様)。
【0008】陰極冷却機構36は、この例では、上記陰
極32をその蒸発面33を外に出した状態で収納する陰
極収納容器38を備えており、その中に冷媒40が流さ
れる。この冷媒40によって、この例では、陰極32の
側面および底面(蒸発面33と反対側の面)を直接冷却
することができる。42、44はOリングシール、39
はフランジ、56は絶縁物である。
【0009】磁気コイル52は、陰極32の周囲に巻か
れており、この例では、コイル収納容器50内に収納さ
れている。抵抗器70は、アーク放電が陰極32とコイ
ル収納容器50との間で起こることを防止して、アーク
を広げる働きをする。
【0010】ガス吹付け機構58については後述する。
【0011】このアーク式蒸発源30によれば、陰極3
2の蒸発面33と真空容器2との間にアーク放電を生じ
させて、このアーク放電によって蒸発面33を局所的に
溶解させて、蒸発面33から一部イオン化された陰極物
質34を蒸発させることができる。それによって、蒸発
面33の前方に配置した基体6の表面に、陰極物質34
から成る薄膜、または陰極物質34と反応性ガス(例え
ば後述する反応性ガス62)とが反応してできる化合物
から成る薄膜を形成することができる。
【0012】しかもこのアーク式蒸発源30によれば、
磁気コイル52によって、陰極32の蒸発面33に上記
のような磁力線54を発生させることによって、アーク
放電のアークスポット72の位置を陰極32の蒸発面3
3内に制限することができ、しかも当該蒸発面33内で
アークスポット72が万遍無く移動するようになるの
で、蒸発面33を片寄ることなく一様に消耗させること
ができる。
【0013】更に、陰極32の消耗に応じて、陰極送り
機構48によって陰極32を前方に送り出すことができ
るので、陰極32が消耗してもその蒸発面33における
磁力線54の状態を、当初と同じ状態にほぼ一定に保つ
ことができ、これも蒸発面33を一様に消耗させること
に寄与する。
【0014】このアーク式蒸発源30によれば、軸方向
に長い円柱状の陰極32を、上記のような作用によって
一様に消耗させることができるので、陰極32の大部分
を、従来例よりも大きな割合で、有効に利用することが
できる。従って、陰極32の有効利用および交換頻度の
低減が可能である。
【0015】しかも、陰極32の消耗に応じて、陰極送
り機構48によって陰極32を前方に送り出すことがで
きるので、蒸発面33と基体6との間の距離を一定に保
つことが可能になる。従って、長時間に亘って成膜速度
を一定に保つことができる。
【0016】更に、陰極32の少なくとも側面を冷媒4
0によって直接冷却する陰極冷却機構36を備えている
ので、軸方向に長い円柱状の陰極32であっても、しか
もその消耗状況に影響されることなく安定して、陰極3
2の蒸発面33を効果的に冷却することができる。その
結果、蒸発面33の温度上昇を抑制して、アークスポッ
ト72の溶融プールを浅くすることができるので、蒸発
面33から粗大粒子(ドロップレット)が発生すること
を防止して、平滑性の良好な薄膜を基体6の表面に形成
することが可能になる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上記アーク式蒸発源3
0は、基本的には、磁力線54によってアークスポット
72を陰極32の蒸発面33内に制限することが可能で
あるけれども、何らかの原因で、希に、アークスポット
72が、例えば矢印Bに示すように、陰極32の蒸発面
33から外れて、陰極32と同電位の陰極収納容器38
側へ移動することのあることが分かった。移動したアー
クスポット72は、自然に元の蒸発面33へ戻ることも
あるし、更に陰極収納容器38の奥へ移動することもあ
る。いずれにしても、アークスポット72が蒸発面33
外へ移動すると、その間は、陰極32から目的とする陰
極物質34が蒸発しなくなる。
【0018】そこでこの発明は、上記のようなアーク式
蒸発源を更に改善して、アークスポットが陰極の蒸発面
外へ移動することを抑制することができるようにするこ
とを主たる目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】この発明のアーク式蒸発
源は、前記陰極の蒸発面の周りを囲むものであって、少
なくとも前部に円錐状の斜面を有しており、かつ前記陰
極冷却機構の先端部に固定された先細リングを備えてい
ることを特徴としている。
【0020】磁力線中におけるアークスポットは、磁力
線との成す角が鋭角の方向に進む性質を有していること
が、この技術分野において知られている。この発明は、
この性質を利用するものである。
【0021】即ち、前記磁気コイルは陰極の蒸発面にほ
ぼ垂直な磁力線を発生させるので、この蒸発面の周りを
囲む上記先細リングの斜面では、当該磁力線が当該斜面
と成す角は、陰極の蒸発面側において鋭角となる。従っ
て、何らかの原因でアークスポットが陰極の蒸発面から
外れてその周りを囲む先細リングの斜面へ移動したとし
ても、当該斜面ではアークスポットは、磁力線に対して
鋭角の方向に、即ち陰極の蒸発面の方向に移動する性質
を有しているので、アークスポットはすぐに元の蒸発面
に戻る。このような作用によって、アークスポットが陰
極の蒸発面外へ移動することを抑制することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に係るアーク式
蒸発源の一例を示す断面図である。図2は、図1中の先
細リング周りを拡大して示す斜視図であり、図3はその
拡大断面図である。図4に示した先行例と同一または相
当する部分には同一符号を付し、以下においては当該先
行例との相違点を主に説明する。
【0023】このアーク式蒸発源30aは、前記陰極3
2の蒸発面33の周りを囲む先細リング74を備えてい
る。この先細リング74は、その少なくとも前部に(蒸
発物質34の蒸発方向側に)、先細となった円錐状の斜
面76を有しており、前記陰極冷却機構36の(より具
体的にはその陰極収納容器38の)先端部に固定されて
いる。
【0024】より具体的にはこの例では、陰極収納容器
38の先端の開口部をこの先細リング74で蓋をする構
造を採用しており、これによって、先細リング74の後
面78を、陰極収納容器38内に供給される前記冷媒4
0によって直接冷却するようにしている。陰極32は、
この先細リング74の穴を貫通しており、その状態で陰
極送り機構48によって前述した矢印A方向に直進可能
である。陰極32が、先細リング74を貫通する部分、
および、先細リング74と陰極収納容器38との間の部
分には、冷媒40の漏れを防止するパッキン80および
82が設けられている。
【0025】先細リング74の斜面76は、先細リング
74の大部分を占めるものが好ましい。そのようにする
方が、アークスポット72が当該斜面76に移行して来
ても、斜面76の領域が広いのでアークスポット72が
斜面76から外れることはなく、従ってより確実にアー
クスポット72を蒸発面33へ戻すことができるからで
ある。
【0026】先細リング74の斜面76は、この例のよ
うに直線的なテーパー状(換言すれば完全な円錐状)で
なくても良く、凹または凸の曲線状でも良いし、若干凹
凸があっても良く、その効果は大きくは変わらない。
【0027】先細リング74の材質は、金属、カーボン
等の導電物であることが好ましく、陰極32と同材質の
導電物であることがより好ましい。その理由は後述す
る。これらの場合、先細リング74は陰極32と同電位
に保つものとする。この例では、前述したように先細リ
ング74を陰極収納容器38の先端部に固定することに
よって、陰極収納容器38ひいては陰極32と同電位に
保っている。
【0028】先細リング74は、絶縁物製でも良い。そ
の場合、初めは(即ち下記のようにして表面が導電性に
なる前は)当該先細リング74には電流が流れないか
ら、その斜面76にアークスポット72は移動して来な
い。但し、先細リング74の代わりに単なる絶縁物リン
グを設ければ良いかと言うと、それではうまく行かな
い。
【0029】なぜなら、当該アーク式蒸発源30aの運
転に伴って、蒸発面33の近傍にある先細リング74あ
るいは絶縁物リングの表面にも陰極物質34が不可避的
に付着して導電膜が形成され、これらの表面は導電性と
なる。そうなると、これらの表面は陰極32と同電位に
なり、これらの表面へアークスポット72が移行して来
ることがある。その場合、単なる絶縁物リングでは、そ
の表面へ移行して来たアークスポット72を元の蒸発面
33へ戻す作用は奏しない。これに対して、この先細リ
ング74の場合は、表面が導電性となったときは、先細
リング74が導電物製の場合と同様の作用を奏する。
【0030】この作用を図3を参照して説明する。一般
的に磁力線中におけるアークスポットは、磁力線との成
す角が鋭角の方向に進む性質を有していることが、この
技術分野において知られている。この発明は、この性質
を利用するものである。
【0031】即ち、前記磁気コイル52は陰極32の蒸
発面33付近に、当該陰極32の軸35に沿う方向の磁
力線54を発生させるので、この蒸発面33の周りを囲
む上記先細リング74の斜面76では、当該磁力線54
が当該斜面76と成す角αは、図示のように、陰極32
の蒸発面33側において鋭角となる。なお、上記磁力線
54の軸35に沿う方向とは、例えば、蒸発面33付近
において陰極32の軸35に平行またはほぼ平行な方向
であるけれども、必ずしもそれでなくても良い。例え
ば、陰極32の蒸発面33付近において集束または発散
する方向のものでも良い。要は、上記角αが鋭角となる
ものであれば良い。
【0032】従って、何らかの原因でアークスポット7
2が陰極32の蒸発面33から外れてその周りを囲む先
細リング74の斜面76へ移動したとしても、当該斜面
76ではアークスポット72は、磁力線54に対して鋭
角αの方向に、即ち陰極32の蒸発面33の方向に移動
する性質を有しているので、矢印Cに示すようにアーク
スポット72はすぐに元の蒸発面33に戻る。このよう
な作用によって、アークスポット72が陰極32の蒸発
面33外へ移動することを抑制することができる。
【0033】磁気コイル52による磁界の強さは、陰極
32の蒸発面33付近で、例えば、数エルステッド〜数
千エルステッドで良く、この程度あれば、アークスポッ
ト72を陰極33へ戻す作用をさせることができる。
【0034】このアークスポット72を元に戻す作用
は、先細リング74が導電物製の場合も、絶縁物製の先
細リング74の表面が上記のようにして導電性になった
場合も、いずれの場合も同様に奏する。
【0035】但し、アークスポット72が先細リング7
4の斜面76に移行して来るとアークスポット72によ
って先細リング74は加熱されるので、一般的に熱的に
破損しやすい絶縁物で先細リング74を形成するより
も、一般的に熱伝導率が高くて熱的に破損されにくい金
属、カーボン等の導電物で先細リング74を形成する方
が好ましい。
【0036】また、先細リング74を陰極32と同材質
の導電物で形成しておくと、仮にアークスポット72に
よってその表面が蒸発させられたとしても、それは陰極
32から蒸発する陰極物質34と同材質であるから、異
物が蒸発しないことになる。従って、基体6の表面に形
成する膜に異物が混入することを防止することができ
る。この理由から、先細リング74を陰極32と同材質
の導電物で形成するのがより好ましい。
【0037】但し、基体6の表面に形成する膜に多少の
異物が混入しても良い場合もあり、その場合は、先細リ
ング74を例えばステンレス鋼のような安価な金属で形
成しても良い。
【0038】先細リング74の斜面76は蒸発面33に
近いために加熱されやすく、アークスポット72が移行
して来ると更に加熱されるため、先細リング74の少な
くとも一部を冷媒によって直接冷却する構造を採用する
のが好ましい。例えばこの例のように、先細リング74
の少なくとも後面78を陰極冷却機構36の冷媒40に
よって直接冷却する構造を採用しても良い。これは先細
リング74が導電物製の場合も絶縁物製の場合も同様で
ある。このようにすれば、先細リング74の過熱による
変形や破損を防止することができるので、当該アーク式
蒸発源30aのより長時間の安定運転が可能になる。
【0039】先細リング74にアークスポット72が滞
在するのは、アークスポット72が陰極32の蒸発面3
3から外れたときのみであり、アークスポット72はす
ぐさま蒸発面33に戻されるので、先細リング74のア
ークスポット72による消耗速度は陰極32に比べて遙
かに遅い。従って、先細リング74を頻繁に交換する必
要はない。
【0040】なお、この例のように、陰極32を構成す
る物質と反応して化合物を作る反応性ガス62を陰極3
2の蒸発面33付近に吹き付けるガス吹付け機構58を
設けても良い。
【0041】このガス吹付け機構58は、この例では、
上記反応性ガス62を供給するガス源60と、この反応
性ガス62を導くガス配管64とを備えている。反応性
ガス62は、例えば、窒素、炭素、酸素等を含むガスで
ある。より具体例を挙げれば、窒素ガスである。
【0042】このようなガス吹付け機構58を設けてお
くことによって、陰極32の蒸発面33付近に反応性ガ
ス62を吹き付けながらアーク放電を生じさせることが
できる。その結果、反応性ガス62と陰極32を構成す
る物質とが化合して元の陰極物質よりも融点の高い化合
物が蒸発面33に形成されること等によって、蒸発面3
3にアークスポット72が多数できてアーク電流が多く
のアークスポット72に分散される。それによって、個
々のアークスポット72から蒸発する陰極物質34は細
かなものとなるので、粗大粒子(ドロップレット)の発
生を一層効果的に抑制することができる。従って、平滑
性の一層良好な薄膜形成が可能になる。
【0043】
【実施例】直径50mm、長さ120mmのCr 製(純
度99.9%)の陰極32と、内径50mm、外径90
mm、斜面76の角度が45度のCr 製(純度99.9
%)の先細リング74とを有する上記構造のアーク式蒸
発源30aを、アーク式イオンプレーティング装置に取
り付けて、成膜処理を行った。基体6には高速度工具鋼
を用いた。即ち、アーク式イオンプレーティング装置の
真空容器2内を5×10-3Pa程度まで真空排気した
後、ガス吹付け機構58から反応性ガス62として窒素
ガスを400sccm流し、真空容器2内を約2.6P
aに維持し、アーク式蒸発源30aにおいてアーク放電
を生じさせて約100Aのアーク電流を維持しながら2
0時間の成膜処理を行った。
【0044】そして上記の成膜処理を複数回繰り返して
試験を行ったが、蒸発面33のアークスポット72が陰
極冷却機構36の陰極収納容器38へ移行するようなト
ラブルは全く起こらず、安定して成膜を行うことができ
た。
【0045】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、上記の
ような先細リングを設けたことによって、何らかの原因
でアークスポットが陰極の蒸発面から外れてその周りを
囲む先細リングの斜面へ移行したとしても、当該斜面を
通る磁力線との関係で、アークスポットはすぐに元の蒸
発面に戻るので、アークスポットが陰極の蒸発面外へ移
動することを抑制することができる。従って、より安定
した蒸発動作を実現することができ、ひいてはこのよう
なアーク式蒸発源を用いた成膜作用をより安定させるこ
とができる。
【0046】しかも、このアーク式蒸発源は、先行例と
同様、軸方向の長さが直径よりも大きい円柱状の陰極を
備えており、しかも陰極を単に軸方向に長い円柱状にし
ただけではなく、当該陰極を前方に送り出す陰極送り機
構と、当該陰極の少なくとも側面を冷却する陰極冷却機
構と、当該陰極の蒸発面に上記のような磁力線を発生さ
せる磁気コイルとを備えているので、従来のアーク式蒸
発源に比べて、陰極の有効利用および交換頻度の低減が
可能であり、かつ長時間に亘って成膜速度を一定に保つ
ことができる。
【0047】その結果、陰極の交換頻度を少なくするこ
とができるので、陰極交換の手間を省くことができる。
また、このアーク式蒸発源を用いた成膜装置の休止頻度
が少なくなるので、生産性も向上する。更に、陰極の無
駄が少なくなるので、陰極に要するコストを低減するこ
とができる。しかも、長時間に亘って成膜速度を一定に
保つことができるので、成膜速度の再現性が向上すると
共に、基体に形成する膜厚の均一性も向上する。
【0048】更に、陰極の少なくとも側面を冷媒によっ
て直接冷却する陰極冷却機構を備えているので、軸方向
に長い円柱状の陰極であっても、しかもその消耗状況に
影響されることなく安定して、陰極の蒸発面を効果的に
冷却することができる。その結果、蒸発面の温度上昇を
抑制して、アークスポットの溶融プールを浅くすること
ができるので、蒸発面から粗大粒子が発生することを防
止して、平滑性の良好な薄膜形成が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るアーク式蒸発源の一例を示す断
面図である。
【図2】図1中の先細リング周りを拡大して示す斜視図
である。
【図3】図1中の先細リング周りを拡大して示す断面図
である。
【図4】アーク式蒸発源の先行例を示す断面図である。
【符号の説明】
30a アーク式蒸発源 32 陰極 33 蒸発面 36 陰極冷却機構 40 冷媒 48 陰極送り機構 52 磁気コイル 54 磁力線 74 先細リング 76 斜面

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アーク放電によって陰極を溶解させて陰
    極物質を蒸発させるアーク式蒸発源であって、軸方向の
    長さが直径よりも大きい円柱状の陰極と、当該陰極をそ
    の軸に沿って前方に送り出す陰極送り機構と、前記陰極
    の少なくとも側面を冷媒によって直接冷却する陰極冷却
    機構と、前記陰極の先端の蒸発面付近に当該陰極の軸に
    沿う方向の磁力線を発生させる磁気コイルとを備えるア
    ーク式蒸発源において、前記陰極の蒸発面の周りを囲む
    ものであって、少なくとも前部に円錐状の斜面を有して
    おり、かつ前記陰極冷却機構の先端部に固定された先細
    リングを備えていることを特徴とするアーク式蒸発源。
  2. 【請求項2】 前記先細リングは、導電物から成り、前
    記陰極と同電位に保たれている請求項1記載のアーク式
    蒸発源。
  3. 【請求項3】 前記先細リングの少なくとも一部を前記
    陰極冷却機構の冷媒によって直接冷却する構造を有して
    いる請求項1または2記載のアーク式蒸発源。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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