JP3546019B2 - 成膜方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上にAl配線を形成するための成膜方法及び装置に関し、特にプラズマを用いてガラス基板上にAl膜を形成する成膜方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板上にAl配線を形成するために実用化されている成膜方法として、ターゲット材料であるAlをAr等でスパッタして成膜材料を基板上に堆積するスパッタ法がある。例えば、液晶ガラス基板上にAl配線を形成する場合、ガラス基板上にSiOを成膜したものを準備し、その上にAl膜をスパッタ法を用いて堆積し、このようにして得たAl膜をパターニングする。
【0003】
しかし、上記のような成膜方法によって形成したAl配線では、以下のような問題がある。
【0004】
第1に、配線パターンの形成工程である配線層のエッチング工程中における温度上昇や、配線形成後の温度上昇により、配線の表面からヒロックと呼ばれる突起状の粒が成長し、隣接する配線とショートする問題がある。この現象は、ストレスマイグレーションによって引き起こされると考えられている。すなわち、Al配線内に圧縮応力が存在する場合、この圧縮応力を緩和するように粒界から盛り上がりが生じ、やがてヒロックに発達すると言われている。
【0005】
第2に、配線内に高い電流密度で電流を流し続けると、ボイドが発生し、やがて断線に至るという問題がある。この現象は、エレクトロマイグレーションによって引き起こされると考えられている。すなわち、細いAl配線にある程度以上の電流密度で電流を流すと、電子の衝撃によって電子の流れ方向にAl原子が移動し、やがてボイドが生じて断線の原因となる。
【0006】
以上のような問題を回避するため、▲1▼AlにCu、Nd、Hf、B等の微量金属を添加したターゲットをスパッタしてストレスマイグレーション等に対する耐性を高めたり、▲2▼Al膜のパターニング後にAlパターンの表面を陽極酸化してヒロックやボイドの発生を抑制したり、▲3▼Al膜上にMo等の保護金属層をコートしてストレスマイグレーション等に対する耐性を高めることが行われている。これらは、ヒロック等の発生を抑制するため、単独で、或いはいくつかを組み合わせて用いられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Al合金系のスパッタターゲットは高価であり、成膜に要するコストを上昇させることになる。また、陽極酸化の工程や保護金属層の形成工程を増やすことも、成膜コストの上昇を招く。
【0008】
そこで、本発明は、ストレスマイグレーションやエレクトロマイグレーションの発生を抑制することができるAl配線膜の成膜方法及び装置であって、高価な材料を用いず、簡単な工程でAl配線膜を形成することができる成膜方法及び装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の成膜方法は、成膜対象である基板の表面をAr等の不活性ガスのプラズマにさらすとともに、膜材料であるアルミニウムをプラズマによってイオン化して基板の表面に入射させる成膜方法であって、成膜に際して基板に入射するアルミニウムイオンのエネルギーは、30から90eVであることを特徴とする。
【0010】
上記成膜方法では、成膜に際して基板に入射するアルミニウムイオンのエネルギーが30から90eVであるので、アルミニウムイオンが既に堆積したアルミニウム層に適度なエネルギーを与えてこれを活性化し、高い配向性を有するアルミニウム膜を成長させることができる。なお、アルミニウムイオンのエネルギーが30eV以下では、上記のような効果が得られず、アルミニウムイオンのエネルギーが90eV以上では、折角付着したアルミニウムがアルミニウムイオンによるスパッタで飛ばされるので成膜レートが下がる。
【0011】
また上記成膜方法では、成膜に際して適度なエネルギーの不活性ガスのイオンが基板に入射するので、不活性ガスイオンが下地層(例えば基板自体や基板表面に予め形成されたバリア層)の表面に付着した汚染物質等を除去して下地層の表面を浄化するとともに、下地層とアルミニウムの密着性や付着性に対応する濡れ性を良好なものとする。さらに、不活性ガスイオンが既に堆積したアルミニウム層に適度なエネルギーを与えてこれを活性化するので、いっそう配向性の良いアルミニウム膜を成長させることができる。なお、不活性ガスイオンが基板に入射するエネルギーは、アルミニウムをイオン化するプラズマエネルギーに対応して90eV程度以下と考えられる。
【0012】
上記成膜方法において、基板の近傍におけるプラズマイオンの密度は、1010から1011個/cmの範囲とする。プラズマイオンの密度が1010個/cm以下では、上記したプラズマイオンによる下地層表面の浄化、濡れ性の改善、既に付着したアルミニウム層の活性化といった効果が不十分となり、プラズマイオンの密度が1011個/cm以上では、基板温度が上昇して基板にダメージを与えるなどの不都合が生じる。
【0013】
また、上記成膜方法の好ましい態様では、基板の近傍の真空度が1.3×10−2Paから1.3×10−1Paであることを特徴とする。この場合、プラズマイオンを基板の近傍に確実に供給することができる。なお、基板の近傍の真空度が1.3×10−2Pa以下では、上記の効果が得られず、基板の近傍の真空度が1.3×10−1Pa以上では、ガス粒子との衝突による散乱のためにアルミニウムイオンが基板に入射しにくくなる。
【0014】
また、上記成膜方法の好ましい態様では、基板は、少なくとも表面がアモルファス層であることを特徴とする。この場合、表面がアモルファス層であっても、高い配向性と密着性とを有するアルミニウム層を形成することができる。
【0015】
また、上記成膜方法の好ましい態様では、成膜室中に配置されるとともに膜材料であるアルミニウムを収容する材料蒸発源を有するハースに向けてプラズマ源からのプラズマビームを供給することによって、成膜室中でハースに対向配置された基板に材料蒸発源から蒸発したアルミニウムを堆積させることを特徴とする。この場合、プラズマビームでアルミニウムを蒸発させつつ蒸発したアルミニウムをプラズマビームを通過させてイオン化し、イオン化したアルミニウムイオンで成膜を行うイオンプレーティングが可能になる。
【0016】
なお、ハースの周囲に環状に配置された磁石、又は磁石及びコイルからなる磁場制御部材を用いて、ハースの近接した上方の磁界を制御することができ、さらに、プラズマ源は、アーク放電を利用した圧力勾配型のプラズマガンとすることができる。この場合、磁場制御部材によってハースに入射するプラズマビームの形状を修正してより均一な厚みの膜を形成することができる。
【0017】
また、本発明の成膜装置では、成膜対象である基板の表面に不活性ガスのプラズマを供給するプラズマ供給手段と、膜材料であるアルミニウムを前記プラズマ供給手段からのプラズマを介してイオン化しつつ前記基板の表面に入射させる膜材料供給手段とを備える成膜装置であって、基板に入射するアルミニウムイオンのエネルギーは、30から90eVであることを特徴とする。
【0018】
上記成膜装置では、プラズマでイオン化されて基板に入射するアルミニウムイオンのエネルギーが30から90eVであるので、上記成膜方法の場合と同様に、アルミニウムイオンが既に堆積したアルミニウム層に適度なエネルギーを与えてこれを活性化し、高い配向性を有するアルミニウム膜を成長させることができる。また本成膜装置では、適度なエネルギーの不活性ガスのイオンが基板に入射するので、不活性ガスイオンが下地層の表面に付着した汚染物質等を除去して下地層の表面を浄化するとともに、下地層とアルミニウムの密着性や付着性に対応する濡れ性を良好なものとし、さらに、不活性ガスイオンが既に堆積したアルミニウム層を活性化するので、いっそう配向性の良いアルミニウム膜を成長させることができる。
【0019】
また、上記成膜装置の好ましい態様では、プラズマ供給手段は、基板を収容する成膜室中にプラズマビームを供給するプラズマ源を有し、膜材料供給手段は、成膜室中に配置されて材料蒸発源を有するとともに、この材料蒸発源にプラズマビームを導くハースを有し、成膜装置が、ハースに対向して基板を支持する支持部材をさらに備えることを特徴とする。この場合、アルミニウムイオンを被着させて成膜を行うイオンプレーティングが可能になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態である成膜装置の全体構造を概略的に説明する図である。
【0021】
この成膜装置は、成膜室である真空容器10と、真空容器10中にプラズマビームPBを供給するプラズマ源であるプラズマガン30と、真空容器10内の底部に配置されてプラズマビームPBの流れを制御する陽極部材50と、真空容器10上部に配置されて基板WAを保持する保持機構60と、真空容器10に不活性ガスであるArを適当に供給して基板WA近傍の雰囲気圧を調節するガス供給機構80と、これらの動作を統括制御する主制御装置90とを備える。
【0022】
プラズマガン30は、特開平8−232060号公報等に開示の圧力勾配型のプラズマガンであり、その本体部分は、真空容器10の側壁に設けられた筒状部12に装着されている。この本体部分は、陰極31によって一端が閉塞されたガラス管32からなる。ガラス管32内には、モリブデンMoで形成された円筒33が陰極31に固定されて同心に配置されており、この円筒33内には、LaBで形成された円盤34とタンタルTaで形成されたパイプ35とが内蔵されている。ガラス管32の両端部のうち陰極31とは反対側の端部と、真空容器10に設けた筒状部12の端部との間には、第1及び第2中間電極41、42が同軸で直列に配置されている。一方の第1中間電極41内には、プラズマビームPBを収束するための環状永久磁石44が内蔵されている。第2中間電極42内にも、プラズマビームPBを収束するための電磁石コイル45が内蔵されている。なお、筒状部12の周囲には、陰極31側で発生して第1及び第2中間電極41、42まで引き出されたプラズマビームPBを真空容器10内に導くステアリングコイル47が設けられている。
【0023】
プラズマガン30の動作は、ガン駆動装置48によって制御されている。このガン駆動装置48は、陰極31への給電をオン・オフしたりこれへの供給電圧等を調整することができ、さらに第1及び第2中間電極41、42、電磁石コイル45、及びステアリングコイル47への給電を調整する。このようなガン駆動装置48によって、真空容器10中に供給されるプラズマビームPBの強度や分布状態が制御される。
【0024】
なお、プラズマガン30の最も内心側に配置されるパイプ35は、プラズマビームPBのもととなるアルゴンArをキャリアガスとしてプラズマガン30中に導入するためものであり、ガス供給機構80に接続されている。
【0025】
真空容器10中の下部に配置された膜材料供給手段である陽極部材50は、プラズマビームPBを下方に導く主陽極であるハース51と、その周囲に配置された環状の補助陽極52とからなる。
【0026】
前者のハース51は、熱伝導率の良い導電性材料で形成されるとともに接地された真空容器10に図示を省略する絶縁物を介して支持されている。このハース51は、陽極電源装置58によって適当な正電位に制御されており、プラズマガン30から出射したプラズマビームPBを下方に吸引する。なお、ハース51は、プラズマガン30からのプラズマビームPBが入射する中央上部に形成された凹部に、ルツボ状の材料蒸発源であるハースライナー53を有している。ハースライナー53には、膜材料であるアルミニウムAlが収容されており、プラズマビームPBによって加熱されて溶融し、Alの蒸発粒子を発生する。
【0027】
後者の補助陽極52は、ハース51の周囲にこれと同心に配置された環状の容器により構成されている。この環状容器内には、フェライト等で形成された環状の永久磁石55と、これと同心に積層されたコイル56とが収納されている。これら永久磁石55及びコイル56は、磁場制御部材であり、ハース51の直上方にカスプ状磁場を形成する。これにより、ハース51に入射するプラズマビームPBの向き等を修正することができる。
【0028】
補助陽極52内のコイル56は電磁石を構成し、陽極電源装置58から給電される。この場合、励磁されたコイル56における中心側の磁界の向きは、永久磁石55により発生する中心側の磁界と同じ向きになるように構成される。陽極電源装置58は、コイル56に供給する電流を変化させることができ、ハース51に入射するプラズマビームPBの向きの微調整が可能になる。
【0029】
補助陽極52の容器も、ハース51と同様に熱伝導率の良い導電性材料で形成される。この補助陽極52は、ハース51に対して図示を省略する絶縁物を介して取り付けられている。陽極電源装置58は、補助陽極52に印加する電圧変化させることによってハースライナー53の上方の電界を補的に制御できるようになっている。すなわち、補助陽極52の電位をハース51よりも高くすると、プラズマビームPBもこれに引き寄せられてハース51へのプラズマビームPBの供給が減少する。一方、補助陽極52の電位を真空容器10と同じにすると、プラズマビームPBがハース51に引き寄せられてハースライナー53が加熱される。
【0030】
真空容器10中の上部に配置される保持機構60は、ハース51の上方において成膜面を下側にして基板WAを保持するための支持部材である基板ホルダ61と、この基板ホルダ61上部に固定されて基板WAを裏面側から温度調節する温度調節装置62とを備える。基板ホルダ61は、真空容器10に対して絶縁された状態で基板電源装置68から給電されており、ゼロ電位の真空容器10に対して適当な電位にバイアスすることができる。これにより、基板WAに入射するイオンのエネルギーをある程度の精度で調節することができる。温度調節装置62は、温調制御装置69によって制御されており、温調制御装置69は、温度調節装置62に内蔵したヒータに給電し、或いは内蔵した配管に冷却媒体を供給して、温度調節装置62更には基板ホルダ61を所望の温度に保持する。
【0031】
ガス供給機構80に設けたガス供給源81からの供給ラインは、プラズマガン30にプラズマの元となるArを供給するため、流量計83及び流量調節弁84を介してパイプ35に接続されている。流量計83によって検出されたキャリアガスの流量は、主制御装置90で監視されており、流量調節弁84によるキャリアガスの流量調整等に利用される。
【0032】
ガス供給源81からの供給ラインは、真空容器10に雰囲気ガスを補助的に供給するため、流量調節弁85及び流量計86を介して真空容器10に直接接続されている。また、真空容器10のプラズマガン30に対向する側面には、真空容器10内を適宜減圧するため、真空ゲート87を介して排気ポンプ88が取り付けられている。雰囲気圧センサ89によって検出された真空容器10中のガス圧や、流量計86によって検出された雰囲気ガスの流量は、主制御装置90で監視されており、流量調節弁85による雰囲気ガス供給量や排気ポンプ88による排気量の調整、すなわち真空容器10の雰囲気圧の制御に利用される。
【0033】
以上の装置において、プラズマガン30に設けた陰極31に対する保持機構60に設けた基板ホルダ61の電位を調節することにより、基板WAに入射するArイオンのエネルギーをある程度所望の範囲(具体的には90eV以下)に設定することができる。また、陽極部材50に設けたハース51に対する保持機構60に設けた基板ホルダ61の電位を調節することにより、基板WAに入射するAlイオンのエネルギーをある程度所望の範囲(具体的には30から90eV)に設定することができる。
【0034】
図2は、図1に示す成膜装置を用いた成膜工程を含む配線形成プロセスを説明する図である。
【0035】
まず、図2(a)に示すように、液晶用ガラス基板GPを準備し、この液晶用ガラス基板GP上にCVD等を用いて400Å程度のSiO層ILを形成する。このSiO層ILは、アモルファス層であり、ガラス基板GPからNa等のアルカリ金属が拡散することを防止するバリア層として機能する。成膜されたSiO層ILは、弗酸処理によって表面が150Å程度エッチングされてクリーニングされ、蒸留水等で洗浄後に乾燥させる。
【0036】
次に、図2(b)に示すように、図1に示す成膜装置を用いてSiO層IL上に3000〜5000Å程度のAl配線層MLを形成する。
【0037】
Al配線層MLの成膜時には、真空容器10内の真空度を1.3×10−2〜3.3×10−1Pa程度とし、プラズマガン30の陰極31と真空容器10内のハース51との間で100A程度の放電を生じさせる。これにより、Arイオン等を含むプラズマビームPBを生成する。このプラズマビームPBは、ステアリングコイル47と補助陽極52内の永久磁石55等とにより決定される磁界に案内されてハース51に到達する。ハース51上部のハースライナー53は、プラズマビームPBにより加熱され、ハースライナー53に収容された蒸発金属が溶融して金属の蒸気が安定して出射する。この蒸気は、プラズマビームPBによりイオン化され、負電圧が印加された基板WAの表面に付着して被膜が形成される。
【0038】
Al配線層MLの成膜に際しては、ハース51の電位、真空容器10内の真空度等を調節することにより、基板WAに入射するAlイオンの運動エネルギーを30〜90eVとする。さらに、基板ホルダ61の電位等を調節することにより、基板WAに入射するプラズマイオンすなわちArイオンの運動エネルギーを例えば10〜70eVとする。
【0039】
以上のような条件設定により、基板WAに入射したArイオン等が下地層であるSiO層ILの表面に付着した汚染物質等を除去してSiO層ILの表面を浄化するとともに、SiO層ILの濡れ性を良好なものとすることができ、さらに、このようなArイオンやAlイオンは、既に堆積したAl配線層MLの表面を活性化して表面で既に付着したAlを拡散させる。
【0040】
このように、SiO層ILの表面に付着した汚染物質等を除去することで、成膜初期の核形成を外乱の少ない状況で行なうことができ、高い配向性を示すAl配線層MLを得ることができる。配向性の高いAl配線層MLは、結晶方向が揃っており粒界が少ないので、ストレスマイグレーションによるヒロック等の欠陥の発生確率を極めて小さくすることができ、エレクトロマイグレーションによるボイド等の発生確率も同様に小さくすることができる。また、SiO層ILの濡れ性を良好なものとすることで、Al配線層MLの密着性を向上させることができる。さらに、Al配線層ML表面を活性化しつつ成膜することで、よりエネルギーの低い(111)面の配列を優勢にすることができ、Al配線層MLの配向性をさらに改善することができる。
【0041】
また、成膜に際しては、基板WAの近傍におけるArイオンの密度を、プラズマガン30の陰極31に供給する電流やパイプ35に供給するArの量の調節等により、1010から1011個/cmとする。Arイオンの密度をこの程度に設定することにより、上記したArイオンによる下地層表面の浄化、濡れ性の改善、既に付着したAl配線層MLの活性化といった効果をより適切に発揮させることができる。またこの際、基板WAの近傍の真空度は、例えば5.3×10−2〜1.3×10−1Paとする。これにより、Arイオンを基板WAの近傍に確実に供給することができる。
【0042】
なお、上記のような成膜前に、図1の成膜装置内で基板WAの表面をクリーニングすることもできる。このクリーニングに際しては、真空容器10内の真空度を1.3×10−1Pa程度とし、プラズマガン30とハース51との間で約2分間20A程度の放電を生じさせる。このようなクリーニングにより、得られるAl配線層MLの配向性がさらに向上することが実験的に確かめられている。
【0043】
次に、図2(c)に示すように、フォトリソグラフィ技術を利用したドライ若しくはウェットエッチング処理を行って、形成したAl配線層MLを適宜パターニングする。
【0044】
次に、図2(d)に示すように、陽極酸化法を用いて、パターニングされたAl配線層MLの表面を酸化して、Alからなる被覆層CLを形成する。このような被覆層CLは、Al配線層MLを覆うので、ヒロックの発生を確実に防止することができる。
【0045】
図3及び図4は、図1の成膜装置による成膜時に基板WAに入射するAlイオンのエネルギー分布を具体的に計測した実験結果を示すグラフである。ここで、横軸はAlの入射エネルギーを示し、縦軸はAlの入射量に対応する検出強度を示す。
【0046】
図3(a)は、真空容器10の雰囲気圧が5.3×10−2Paである場合のAlイオンのエネルギー分布を示し、図3(b)は、真空容器10の雰囲気圧が8.0×10−2Paである場合のAlイオンのエネルギー分布を示し、図3(c)は、真空容器10の雰囲気圧が1.1×10−1Paである場合のAlイオンのエネルギー分布を示す。図4(a)は、真空容器10の雰囲気圧が1.3×10−1Paである場合のAlイオンのエネルギー分布を示し、図4(b)は、真空容器10の雰囲気圧が2.4×10−1Paである場合のAlイオンのエネルギー分布を示す。
【0047】
以上のグラフから明らかなように、圧力の増加に伴い、Alイオンのエネルギー分布が低い方にシフトする。これは、真空度が悪くなるほど、Alイオンの衝突が増大するとともにハース51電位が下がるためと考えられる。つまり、図1の装置において、真空容器10の雰囲気圧を概ね1.310−2〜1.3×10−1Pa(10−4Torr台に相当)の真空に設定することで、基板WAに入射するAlイオンのエネルギーを30〜90eVとできることが分かる。
【0048】
図5は、図1の成膜装置で成膜したAl配線層MLに発生する突起の具体的数量を説明するグラフである。ここで、横軸は成膜後の熱処理温度を示し、縦軸は膜厚1500ÅのAl配線層MLの表面に形成される突起の密度を示す。真空容器10の雰囲気圧を5.3×10−2Paとした場合に発生する突起密度は「■」印や「▲」印で示してある。なお、▲印で示した場合には、成膜前にクリーニング工程を設けており、■印で示した場合には、成膜前のクリーニングを行なっていない。グラフには、比較例も「●」印で示している。この比較例では、成膜中の基板WAにプラズマイオンが入射しないようにし、基板WAに入射するAlイオンのエネルギーを30eV以下にした。具体的には、上記のような環境を簡易に実現できるマグネトロンスパッタ法を便宜的に用いて、基板WA上にAl配線層を形成した。
【0049】
グラフからも明らかなように、真空容器10の雰囲気圧を5.3×10−2Pa程度として基板WAに入射するAlイオンのエネルギーを30〜90eV程度とした本実施例の場合、Al配線層MLに発生する突起密度が極めて減少することが分かる。Al配線層MLに発生した突起はボイドに成長する可能性があるので、実施例のように突起密度を低くすることにより、Al配線層MLにボイドが発生することを抑制できる。なお、図示していないが、真空容器10の雰囲気圧を2.7×10−1Paとして、Alイオンのエネルギーが20〜30eVの範囲をかなり含むものとした別の比較例の場合、Al配線層MLに発生する突起密度は、■印と●印の間になる。
【0050】
図6は、図1の成膜装置で成膜したAl配線層MLの具体的な配向性を説明するグラフである。横軸は回折角を示し、縦軸は回折強度を示す。グラフからも明らかなように、真空容器10の雰囲気圧を5.3×10−2Paとして基板WAに入射するAlイオンのエネルギーを30〜90eV程度とした本実施例の場合、(111)面に高いピークが現れ、Al配線層MLが極めて高い配向性を有する。一方、成膜中の基板WAにプラズマイオンが入射しないようにし、基板WAに入射するAlイオンのエネルギーを30eV以下にした比較例の場合には、(111)面のピークが小さくなり、Al配線層の配向性が低下したことが分かる。
【0051】
図7は、図1の成膜装置で成膜したAl配線層MLの配向性を説明する別のグラフである。真空容器10の雰囲気圧を5.3×10−2Paとして基板WAに入射するAlイオンのエネルギーを30〜90eV程度とした本実施例の場合、(111)面に高いピークが現れ、Al配線層MLが極めて高い配向性を有する。一方、真空容器10の雰囲気圧を2.7×10−1Paとして、Alイオンのエネルギーが20〜30eVの範囲をかなり含むものとした比較例の場合には、(111)面のピークが小さくなり、Al配線層の配向性が低下することが分かる。
【0052】
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、プラズマビームの元となる不活性ガスとしてArガスを用いているが、他のKr、Xe等の希ガスを用いてプラズマビームを形成したり、成膜に際しての雰囲気ガスとすることができる。
【0053】
また、上記実施形態では、Al配線層の形成について説明したが、図1の成膜装置によって得られるAl膜は、高性能の光学部品の作製に応用することができる。すなわち、スパッタ法等の通常の成膜法によって形成されたAl膜よりも大きな粒径を持ち、表面粗さが抑えられることが実験的に確かめられているので、このようなAl膜を予め準備した任意の表面形状のガラス部材に成膜すれば、高反射率で高精度の光学部品を提供することができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明の成膜方法によれば、基板に入射するアルミニウムイオンのエネルギーが30から90eVであるので、アルミニウムイオンが既に堆積したアルミニウム層に適度なエネルギーを与えてこれを活性化し、高い配向性を有するアルミニウム膜を成長させることができる。また本成膜方法では、成膜に際して適度なエネルギーの不活性ガスのイオンが基板に入射するので、プラズマイオンが下地層の表面に付着した汚染物質等を除去して下地層の表面を浄化するとともに、下地層とアルミニウムの密着性や付着性に対応する濡れ性を良好なものとし、さらに、プラズマイオンが既に堆積したアルミニウム層を活性化するので、いっそう配向性の良いアルミニウム膜を成長させることができる。
【0055】
また、本発明の成膜装置によっても、上記成膜方法と同様に、高い配向性を有するアルミニウム膜を成長させることができ、下地層とアルミニウムの密着性や付着性に対応する濡れ性を良好なものとし、いっそう配向性の良いアルミニウム膜を成長させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る成膜装置の構造を説明する図である。
【図2】(a)〜(d)は、図1の成膜装置を利用した配線形成を説明する工程図である。
【図3】(a)〜(c)は、成膜時に基板に入射するAlイオンのエネルギー分布を示すグラフである。
【図4】(a)、(b)は、成膜時に基板に入射するAlイオンのエネルギー分布を示すグラフである。
【図5】Al配線層に発生する突起数を説明するグラフである。
【図6】Al配線層の配向性を比較するグラフである。
【図7】Al配線層の配向性を比較する別のグラフである。
【符号の説明】
10 真空容器
30 プラズマガン
31 陰極
48 ガン駆動装置
50 陽極部材
51 ハース
58 陽極電源装置
60 保持機構
68 基板電源装置
80 ガス供給機構
88 排気ポンプ
89 雰囲気圧センサ
90 主制御装置
GP 液晶用ガラス基板
ML Al配線層
PB プラズマビーム
WA 基板

Claims (6)

  1. 成膜対象である基板の表面を不活性ガスのプラズマにさらすとともに、膜材料であるアルミニウムをプラズマによってイオン化して前記基板の表面に入射させる成膜方法であって、
    成膜に際して前記基板に入射するアルミニウムイオンのエネルギーは、30から90eVであることを特徴とする成膜方法。
  2. 前記基板の近傍の真空度が1.3×10−2Paから1.3×10−1Paであることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
  3. 前記基板は、少なくとも表面がアモルファス層であることを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか記載の成膜方法。
  4. 成膜室中に配置されるとともに前記膜材料であるアルミニウムを収容する材料蒸発源を有するハースに向けてプラズマ源からのプラズマビームを供給することによって、前記成膜室中で前記ハースに対向配置された前記基板に前記材料蒸発源から蒸発したアルミニウムを堆積させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載の成膜方法。
  5. 成膜対象である基板の表面に不活性ガスのプラズマを供給するプラズマ供給手段と、膜材料であるアルミニウムを前記プラズマ供給手段からのプラズマを介してイオン化しつつ前記基板の表面に入射させる膜材料供給手段とを備える成膜装置であって、
    前記基板に入射するアルミニウムイオンのエネルギーは、30から90eVであることを特徴とする成膜装置。
  6. 前記プラズマ供給手段は、前記基板を収容する成膜室中にプラズマビームを供給するプラズマ源を有し、前記膜材料供給手段は、前記成膜室中に配置されて材料蒸発源を有するとともに、当該材料蒸発源に前記プラズマビームを導くハースを有する成膜装置であって、前記ハースに対向して前記基板を支持する支持部材をさらに備えることを特徴とする請求項5記載の成膜装置。
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