JP4055422B2 - エンジンのトルク制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車等に搭載されるエンジンに関し、特に、エンジンが発生すべき目標トルクを演算し、これを実現すべく燃料噴射量等を制御するトルク制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
運転者のアクセル操作や外部負荷等に基づいて、実際にエンジンに発生させるべきエンジントルクを演算し、これを目標トルクとして、エンジンからこの目標トルクが生じるように燃料噴射量等を制御するトルク制御装置(エンジントルクデマンド(ETD)システム)が考案されている。特開平10−325348号公報には、アイドル−非アイドル状態に拘わらずエンジントルクデマンド制御を継続できるトルク制御装置が開示されている。このものでは、運転者の要求に対応するアクセル開度に基づいて演算される要求トルクの他、アイドル状態で目標アイドル回転数を維持するために必要なトルクに相当するトルク増加分を加味して、エンジンの発生すべき目標トルクを演算している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の要求トルクは、一般的にはアクセル開度が大きくなるに従って大きくなり、アクセル全開時にエンジン自体の限界値である最大エンジントルク又はこれに相当する値となるように設定される。一方、上記のトルク増加分は、エアコン等の補機類を駆動するためにエンジン外部から加わる外部負荷トルク等を含んでおり、一般的には常に0より大きい値である。従って、仮に要求トルクとトルク増加分とを単に加算して目標トルクとした場合、アクセル開度が全開よりも小さい所定のアクセル開度において、目標トルクが最大エンジントルクを越えてしまう。目標トルクが最大エンジントルクを越えても、実際にエンジンが発生するエンジントルクが最大エンジントルクを越えることはないので、上記所定のアクセル開度よりもアクセル開度が大きい状況では、アクセル開度が変化しても実際のエンジントルクは増減しない所謂トルクの頭打ち現象が生じ、運転者に体感上の大きな違和感を与えることとなって、運転性が良くない。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、上述したトルクの頭打ち現象を生じることなく、アクセル開度に応じてエンジントルクを滑らかに変化させることができる新規なエンジンのトルク制御装置を提供することを主たる目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るエンジンのトルク制御装置は、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、少なくとも上記アクセル開度に基づいて、要求されるエンジンの要求トルクを演算する要求トルク演算手段と、所定のアイドル状態において目標アイドル回転数を維持するために必要なエンジントルクに相当するトルク増加分を演算するトルク増加分演算手段と、を有し、上記トルク増加分補正手段が、上記アクセル開度又は要求トルクの変化に対する上記トルク増加分の変化に所定の遅れをもたせる遅れ手段を含んでいる。そして、上記アクセル開度又は上記要求トルクが大きくなると上記トルク増加分が小さくなるように、このトルク増加分を補正するトルク増加分補正手段を有し、このトルク増加分補正手段による補正後の補正トルク増加分と上記要求トルクとに基づいて、エンジンの発生すべき目標トルクを演算する(目標トルク演算手段)。
【0006】
【発明の効果】
本発明によれば、上述したトルクの頭打ち現象を生じることなく、アクセル開度に応じてエンジントルクを滑らかに変化させることができ、快適な運転性を提供することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図2は、本発明に係るエンジンのトルク制御装置が適用されるエンジンシステムの一例を示す構成図である。この図に示すように、シリンダブロック8の内部には、シリンダ9が形成されるとともに、このシリンダ9に摺動可能に嵌合したピストン11によって燃焼室10が画成されている。この燃焼室10には、吸気ポート6および排気ポート7が接続されており、それぞれを開閉する吸気弁13および排気弁14が設けられている。また、上記燃焼室10内に直接燃料を噴射するように、シリンダ9上部に、電磁式燃料噴射弁15が装着されている。上記吸気ポート6の上流側には、吸気コレクタ部5aを介して吸気通路5が接続されている。
【0008】
上記吸気通路5には、吸入空気量を検出する例えば熱線式のエアフロメータ1が設けられている。この吸気通路5において吸入空気量を調整するスロットル弁4は、車両のアクセルペダルには直接連係しておらず、DCモータやパルスモータ等からなるアクチュータ30によって、その開度が電子制御される構成となっている。またアイドル時の吸入空気量制御のために、上記スロットル弁4をバイパスする補助空気通路2を備え、この補助空気通路2の流量を制御する補助空気量制御バルブ3が設けられている。なお、アクチュータ30によるスロットル弁4の吸入空気量制御の精度を高めることにより、補助空気通路2および補助空気量制御バルブ3を省略することも可能である。
【0009】
燃焼室10の中央に配置された点火プラグ16は、コントローラ19からの指令により点火を行う。また排気ポート7の下流側には、排気中の酸素濃度から空燃比を検出する空燃比センサ17が配置されている。また、21はクランク軸に対し取り付けられたクランク角度センサ(エンジン回転数検出手段)であり、クランク角位置や機関回転速度の検出に用いられる。また、図2中には示していないが、運転者の要求を検知するためにアクセル操作量すなわちアクセル開度を検出する、例えばポテンショメータなどからなるアクセル操作量センサ(アクセル開度検出手段)、エンジンの温度条件を検出する冷却水温センサ、吸気温度を検出する吸気温センサ、スロットル弁4下流の圧力を検出する吸気管圧センサなどの種々のセンサを備えている。
【0010】
これらの種々のセンサ類の検出信号は、コントローラ19に入力される。コントローラ19は、I/OインターフェスやCPU,ROM,RAM等からなり、ROM上に格納された後述するプログラムを実行することにより、本発明の所定の機能を実現する。
【0011】
図1は、本発明に係るトルク制御装置の一実施例を示すブロック構成図である。このトルク制御装置は、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段101と、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段102と、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段103と、検出されたアクセル開度及びエンジン回転数に基づいて、運転者により要求されるエンジンの要求トルクを演算する要求トルク演算手段104と、検出されたエンジン回転数及び運転状態に基づいて、要求トルク以外にエンジンに加える必要のあるエンジンのトルク増加分を演算するトルク増加分演算手段105と、アクセル開度(又は要求トルク)が大きくなるとトルク増加分が小さくなるように、トルク増加分を補正するトルク増加分補正手段106と、補正後の補正トルク増加分と要求トルクとに基づいて、エンジンの発生すべき目標トルクを演算する目標トルク演算手段107と、この目標トルクに相当するエンジントルクを発生させるエンジントルク実現手段108と、を有している。
【0012】
アクセル開度検出手段101は、例えば上記のアクセル操作量センサであり、エンジン回転数検出手段102は、例えば上記のクランク角度センサ21である。運転状態検出手段103により検出される運転状態の信号には、変速機のシフトポジション信号、エアコンリレー信号、ラジエータファンリレー制御信号、パワーステアリングスイッチ信号等が含まれる。要求トルク演算手段104は、検出されるアクセル開度及びエンジン回転数をパラメータとして、予めコントローラ19のROMに格納されている図3に示すような要求トルク設定マップを参照することにより、要求トルクを演算する。この要求トルクは、アクセル開度が全閉(0%)のときには0又はこれに近い値となり、アクセル開度が全開(100%)のときにはエンジンが発生可能な限界値である最大エンジントルク又はこれに近い値となるように設定される。
【0013】
トルク増加分演算手段105は、図4に示すように、検出される運転状態から外部負荷トルクを演算する外部負荷トルク演算手段111と、所定のアイドル状態において実エンジン回転数を目標アイドル回転数へ近づけるフィードバック制御によるフィードバック補正トルクを演算するフィードバック補正トルク演算手段112と、これら演算された外部負荷トルクとフィードバック補正トルクとを加算してトルク増加分を演算するトルク加算手段113と、を有している。従って、次式(1)に示すように、上記のトルク増加分tTe2[Nm]は、外部負荷トルクtTe_a[Nm]とフィードバック補正トルクtTe_b[Nm]との和であり、所定のアイドル状態において目標アイドル回転数を維持するために必要なエンジントルクに相当する。
【0014】
【数1】
tTe2 = tTe_a + tTe_b …(1)
図5は、外部負荷トルク演算手段111による外部負荷トルクの演算処理の流れを示すフローチャートである。先ず、S(ステップ)1で変数tmpを0にリセットする。S2aで変速シフトポジションがDレンジと判定されれば、S2bへ進み、tmpにconst_Dを加算する。以下同様に、シフトポジションがRレンジの場合、tmpにconst_Rを加算する(S3a,S3b)。エアコンリレー制御信号がONの場合、tmpにconst_ACを加算する(S4a,S4b)。ラジエータファンリレー制御信号がONの場合、tmpにconst_RFを加算する(S5a,S5b)。パワーステアリングスイッチ信号がONの場合、tmpにconst_PSを加算する(S6a,S6b)。そしてS7では、tmpを外部負荷トルクtTe_aへ代入する。
【0015】
上記のconst_D,const_R,const_AC,const_RF,const_PSは、実験等により予め求められてコントローラ19のROMへ格納される。const_Dは、アクセル全閉時(典型的にはアイドル状態)に変速シフトポジションをNレンジからDレンジへ切り換えた場合にエンジン回転数の落ち込みが生じないようにするために増加する必要のあるエンジントルクに相当する。const_Rは、アクセル全閉時に変速ポジションをNレンジからRレンジへ切り換えた場合にエンジン回転数の落ち込みが生じないようにするために増加する必要のあるエンジントルクに相当する。const_ACは、アクセル全閉時にエアコンリレーをOFFからONに切り換えた場合にエンジン回転数の落ち込みが生じないようにするために増加する必要のあるエンジントルクに相当する。const_RFは、アクセル全閉時にラジエータファンリレーをOFFからONに切り換えた場合にエンジン回転数の落ち込みが生じないようにするために増加する必要のあるエンジントルクに相当する。const_PSは、アクセル全閉時にパワーステアリングスイッチをOFFからONに切り換えた場合にエンジン回転数の落ち込みが生じないようにするために増加する必要のあるエンジントルクに相当する。
【0016】
なお、上記の外部負荷トルクには、必要に応じて、車両に搭載されるバッテリを充填するために必要なトルク等も含まれる。
【0017】
フィードバック補正トルク演算手段112では、アイドル状態において、エンジン回転数検出手段102により検出される実際のエンジン回転数を目標アイドル回転数へ近づける周知のフィードバック制御によって、エンジントルクの増減分であるフィードバック補正トルクを、例えば次式(2)〜(4)を用いて演算する。
【0018】
【数2】
Figure 0004055422
【0019】
なお、上記のkp,ki,Nsetは定数として与えても良いし、運転状態に応じて変化させても良い。Δtは定数として与える。
【0020】
上記のフィードバック補正トルクは、アイドルスピードコントロールのために増減するトルクに相当し、一般的には、目標アイドル回転数と実エンジン回転数との差ΔNeに基づいてPI制御で求められる。P分(ΔNe×Kp)は、ΔNeが0になると0になるが、I分はアイドル回転数を維持するためのエンジントルクなので、定常的には正の値となる。従って、アイドルスピードコントロールから抜けて非アイドル状態へ移行しても、フィードバック補正トルクは、典型的にはI分で決まる正の値となる。
【0021】
トルク増加分補正手段106では、先ずアクセル開度に基づいて補正ゲインKhoseiを演算する。例えば、アクセル開度と補正ゲインとの関係を表す図6の設定マップを参照して補正ゲインを設定する。この図6に示すように、補正ゲインは、アクセル開度が0%近傍の低開度域41では、アクセル開度が100%近傍の高開度域42では、両者41,42の間の中開度域43ではアクセル開度が大きくなるに従って(比例して)徐々に小さくなっている。次いで、次式(5)に示すように、トルク増加分tTe2[Nm]に補正ゲインKhosei[Nm]を乗じることにより、補正後の補正トルク増加分hTe2Nm]演算する。
【0022】
【数3】
hTe2 = Khosei × tTe2 …(5)
従って、補正トルク増加分hTe2は、図7に示すように、補正ゲインに対応して、アクセル開度が0%近傍の低開度域44ではトルク増加分tTe2と等しくなり、アクセル開度が100%近傍の高開度域45では0となり、それ以外の中開度域46では、アクセル開度が大きくなるに従って(比例して)徐々に小さくなる。
【0023】
目標トルク演算手段107では、上記の補正トルク増加分と要求トルクとに基づいて、目標トルクを演算する。具体的には、次式(6)に示すように、要求トルクtTe1に補正トルク増加分hTe2を単に加算することにより目標トルクtTeを演算する。
【0024】
【数4】
tTe = tTe1 + hTe2 …(6)
エンジントルク実現手段108では、燃料噴射量等を制御することにより、目標トルクに相当するエンジントルクを発生させる。エンジン回転数及び目標トルクと設定される燃料噴射量との関係の一例を図8に示す。この燃料噴射量に応じて上記の燃料噴射弁15が駆動制御される。
【0025】
図9及び図10は、比較例としてのトルク制御装置のブロック構成図及び特性図である。この比較例では、要求トルク演算手段104で要求トルクが演算され、トルク増加分演算手段105でトルク増加分が演算され、目標トルク演算手段107で要求トルクとトルク増加分とを加算することにより目標トルクが演算され、エンジントルク実現手段108により目標トルクに追従するようにエンジントルクを発生させる。つまり、この比較例は、本実施例の要部をなすトルク増加分補正手段106のない構成となっている。
【0026】
このような比較例では、図10に示すように、アクセル開度が全開よりも小さい所定のアクセル開度APO1において、目標トルクが最大エンジントルクを越えてしまう。目標トルクが最大エンジントルクを越えても、実際にエンジンが発生するエンジントルクが最大エンジントルクを越えることはないので、上記所定のアクセル開度APO1よりもアクセル開度が大きい状況では、運転者がアクセル開度を変化させても車両駆動力として実質的に用いられる実エンジントルク(エンジン出力軸から実質的に出力されるエンジントルク;つまり目標トルクからトルク増加分を差し引いたエンジントルク)は増減しない上記のトルクの頭打ち現象を招いてしまい、運転者に体感上の大きな違和感を与えることとなり、運転性が良くない。
【0027】
例えば、トルク増加分が30Nmで、最大エンジントルク(アクセル開度が100%のときの要求トルクに相当)が240Nmであったとすると、最大エンジントルクに対するトルク増加分の割合は百分率で12.5%となる。ここで、アクセル開度に対するエンジントルク特性は、通常、低開度側の傾き(変化)が大きい。従って、アクセル開度が87.5%(100%−12.5%)よりも低開度側のアクセル開度APO1で、目標トルクが最大エンジントルクに達し、上記のトルク頭打ち現象を生じてしまう。
【0028】
これに対し、本実施例においては、図7に示すように、アクセル開度に応じて要求トルクが大きくなるとトルク増加分が小さくなり、特に、アクセルの高開度域45では0となるように、トルク増加分を補正しているために、比較例のようにアクセル開度が全開となる前に目標トルクが最大エンジントルクを越えることがない。つまり、エンジントルクの頭打ちを生じることがなく、アクセル全開までアクセル開度の増加に応じて実エンジントルク(目標トルクからトルク増加分を差し引いたエンジントルクに相当)が滑らかに増加する。従って、アクセル高開度域におけるトルク頭打ち現象を生じることがなく、運転者に違和感を与えることがないので、快適な運転性を提供することができる。
【0029】
また、アクセル開度が0%近傍の低開度域44、つまり発生可能なエンジントルクに充分な余裕のあるアイドル域〜低負荷域においては、上記のように補正ゲインが1であり、補正後の補正トルク増加分hTe2が補正前のトルク増加分tTe2と等しい値に保持される。このため、アクセル開度に応じた要求トルクの変化が過不足なく目標トルクへ反映され、要求トルクに追従してエンジントルクを良好に増減することが可能で、運転性が更に向上する。
【0030】
更に本実施例では、上述した特開平10−325348号公報のものと同様、アイドル,非アイドル状態に拘わらず、アイドル時に必要なトルク増加分を加味して目標トルクを設定しているため、アイドル,非アイドル状態に拘わらず同じトルクデマンド制御により制御系を構成でき、アイドル−非アイドル状態間の状態遷移時に制御の連続性を確保することができ、制御の切換段差等による運転性の諸問題の発生を回避できる。
【0031】
図11及び図12を参照して、仮に上記のトルク増加分を、動的な遅れを設けることなく設定した場合、図11に示すように、アクセル開度が急激(ステップ的)に増加する場合、例えばアイドル時にアクセルを急激に踏み込んだような場合、アクセルの踏み込み直後に補正ゲインが1から0へ変化することに起因して、図12に示す本実施例に比して実際のエンジントルクが一旦落ち込んでから増加するこのようなエンジントルクの落ち込みを防止するために、好ましくは図12に示すように、アクセル開度の変化に対するトルク増加分の変化に、実際のエンジントルクの応答遅れに応じた所定の遅れをもたせる(遅れ手段)。例えばアクセル開度が図12に示すように急激に増加しても、トルク増加分は比較的長い時間をかけて緩やかに減少するように、トルク増加分を補正する。これにより、上述したようなエンジントルクの落ち込みを解消することができ、運転者に違和感を与えることがないので、更に快適な運転性を提供することができる。
【0032】
図13は、一般的な参考例としてのトルク制御の特性図を示している。この参考例においては、アイドル時には、アクセル開度が0%であっても、電製スロットルを微少な開度ΔTVOだけ開けることによって、アイドル回転数を維持するためのトルクΔTe1を発生する。上記のΔTVOは常に目標スロットル開度に加算されるが、スロットル開度が大きい領域では、このΔTVOに対応するエンジントルクの増加分ΔTe2は、アイドル時におけるトルク増加分ΔTe1に比して微少である。従って、高負荷側でΔTVOを0へ向けて積極的に小さくしなくとも、このΔTVOによるエンジントルクの増加が抑制され、本発明のようにアクセル開度が大きい高負荷側ほどトルク増加分が小さくなるように補正するものと見かけ上同じ動作を実現できる。
【0033】
また、常にΔTVOを加算する上記の参考例では、アイドル状態から急に高負荷状態へ移行しても、ΔTVOによるエンジントルク増加分は、ΔTe1からΔTe2へ直ぐに減少するわけではなく、スロットル開度操作に対してエンジントルクが応答するまでの遅れ(空気の遅れ)にしたがって徐々に減少していく。この参考例と過渡的にも実質的に同じ動作を行い得るように、本発明に係る構成では、図12に示すように、アイドル状態から高負荷状態へ急激に移行するような場合に、トルク増加分を徐々に減少させるように、トルク増加分の変化に遅れをもたせ、アイドルから抜けた直後に実エンジントルクが減少するトルクの落ち込みを解消している。
【0034】
このような遅れを持たせる場合の演算方法の一例として、上記の(5)式で求めていた補正トルク増加分hTe2を中間パラメータRとし、このRに対し、次式(7)に示すような時定数τの一時遅れ処理をしたものを補正トルク増加分hTe2として演算する。
【0035】
【数5】
Figure 0004055422
【0036】
なお、時定数τは、エンジントルク応答時定数に相当し、近似的に一定値としても良く、あるいは図14に示すようなエンジン回転数の関数として与えても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエンジンのトルク制御装置の一実施例を示すブロック構成図。
【図2】本発明が適用されるエンジンシステムの一例を示す構成図。
【図3】アクセル開度及びエンジン回転数から要求トルクを演算するための特性図。
【図4】トルク増加分演算手段の一例を示すブロック構成図。
【図5】外部負荷トルク演算手段の演算処理の流れを示すフローチャート。
【図6】トルク増加分補正手段による演算に用いられる補正ゲインを演算するための特性図。
【図7】上記実施例に係るアクセル開度に対するエンジントルク特性を示す特性図。
【図8】目標トルクから燃料噴射量を演算するための特性図。
【図9】比較例に係るトルク制御装置を示すブロック構成図。
【図10】比較例に係るアクセル開度に対するエンジントルク特性を示す特性図。
【図11】補正ゲインを遅れなく演算した場合のタイミングチャート。
【図12】補正ゲインに遅れを持たせた場合のタイミングチャート。
【図13】参考例に係るスロットル開度に対するエンジントルク特性を示す特性図。
【図14】補正ゲインに遅れを持たせる場合に用いる時定数を演算するための特性図。
【符号の説明】
101…アクセル開度検出手段
104…要求トルク演算手段
105…トルク増加分演算手段
106…トルク増加分補正手段
107…目標トルク演算手段

Claims (4)

  1. アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
    少なくとも上記アクセル開度に基づいて、要求されるエンジンの要求トルクを演算する要求トルク演算手段と、
    所定のアイドル状態において目標アイドル回転数を維持するために必要なエンジントルクに相当するトルク増加分を演算するトルク増加分演算手段と、
    上記アクセル開度又は上記要求トルクが大きくなると上記トルク増加分が小さくなるように、このトルク増加分を補正するトルク増加分補正手段と、
    このトルク増加分補正手段による補正後の補正トルク増加分と上記要求トルクとに基づいて、エンジンの発生すべき目標トルクを演算する目標トルク演算手段と、を有し、
    上記トルク増加分補正手段が、上記アクセル開度又は要求トルクの変化に対する上記トルク増加分の変化に所定の遅れをもたせる遅れ手段を含むエンジンのトルク制御装置。
  2. 上記トルク増加分演算手段は、エンジンに対して外部から加わる外部負荷トルクを演算する外部負荷トルク演算手段と、所定のアイドル状態において実エンジン回転数を目標アイドル回転数へ近づけるフィードバック制御によるフィードバック補正トルクを演算するフィードバック補正トルク演算手段と、を有し、これら外部負荷トルクとフィードバック補正トルクとにより上記トルク増加分を演算する請求項に記載のエンジンのトルク制御装置。
  3. 上記外部負荷トルク演算手段は、変速機のシフトポジション信号、エアコンリレー信号、ラジエータファンリレー制御信号、パワーステアリングスイッチ信号の少なくとも一つに基づいて、上記外部負荷トルクを演算する請求項に記載のエンジンのトルク制御装置。
  4. 上記補正トルク増加分は、アクセル開度が0%近傍の低開度域では上記トルク増加分と等しく、アクセル開度が100%近傍の高開度域では0であり、アクセル開度の中開度域では、アクセル開度が大きくなるに従って小さくなる請求項1〜のいずれかに記載のエンジンのトルク制御装置。
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