JP2004308538A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Yoshitaka Matsuki
好孝 松木
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Abstract

【課題】手動変速機とクラッチを備えた車両では、クラッチの締結状態によって適切ななまし度合いが異なるものとなる。
【解決手段】エンジンから駆動輪への動力伝達を断続するクラッチと手動変速機とを備える。S1では、アクセル開度に基づいて基本なまし値Aを演算する。S2では、車速とエンジン回転数とに基づいてギア比を求める。S3では、ギア比から半クラッチ状態か完全締結状態かを判定する。S5,S6では、判定結果に応じて補正なまし値Bを算出する。S7では、上記の基本なまし値Aと補正なまし値Bとにより、時定数としてのなまし値Tを算出し、このなまし値Tを用いてなまし処理を行う。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、手動変速機を備えた車両の制御装置に関し、特に、アクセル開度のなまし制御の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電子式スロットル装置を備えた車両において、アクセル開度に対してスロットル開度をリニアに変化させると、アクセル開度のわずかな変化に応答してスロットル開度が過剰に変動する、いわゆるハンチング現象を起こすおそれがある。このようなハンチングを抑制・回避するために、特許文献1〜4に記載されているように、アクセル開度の変化に対するスロットル開度の変化をなまらせる(遅らせる)処理を行う技術が公知である。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−199513号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平5−321728号公報
【0005】
【特許文献3】
特開平9−158773号公報
【0006】
【特許文献4】
特開平6−74325号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
手動変速機を備えた車両では、運転者のクラッチペダルの操作によるクラッチの締結状態に応じて、エンジンから駆動輪へのトルク伝達度合いが異なる。そのため、車速、ギア位置、更にはクラッチ締結状態を含む車両運転状態によっては、なまし度合いが不適切なものとなり、レスポンスの低下を招いたり、あるいはハンチング現象を招くおそれがある。例えば、渋滞時などの半クラッチを頻繁に使う状況で、なまし度合いが大きすぎると、応答性の低下を招いていしまう。また、クラッチが完全に締結している状態でなまし度合いが小さすぎると、ハンチング現象を招くおそれがあり、運転車はアクセル操作に気を使わなくてはならなくなる。本発明は、このような課題に鑑みてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
エンジンから駆動輪への動力伝達を断続するクラッチと手動変速機とを備える。 アクセル開度を検出し、このアクセル開度に基づいて基本なまし値を演算する。この基本なまし値と補正なまし値とに基づいてなまし値を演算し、このなまし値により、機関出力トルクに対応する制御指令値のなまし処理を行う。クラッチの締結状態を判定し、このクラッチ締結状態に応じて、上記補正なまし値を演算する。
【0009】
【発明の効果】
クラッチ締結状態に応じて補正なまし値を演算しているため、クラッチ締結状態に応じてなまし処理を適切に行うことができ、運転性の向上を図ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施例に係る車両のシステム全体構成を示している。エンジン10から駆動輪12への動力伝達経路には、手動変速機14が配設されているとともに、運転者によるクラッチペダル18の操作に応じてエンジン10から駆動輪12への動力伝達を断続するクラッチ16が配設されている。エンジン10の吸気通路20には、この吸気通路20を開閉する電子制御式のスロットル22が配設されている。このスロットル22には、スロットル22を駆動するモータ部及びスロットル開度を検出するセンサ部を備えたスロットルユニット23が接続されている。
【0012】
エンジンコントロールユニット24は、各種制御処理を記憶・実行する機能を有するデジタルコンピュータである。このエンジンコントロールユニット24には、アクセルペダル26の開度を検出するアクセル開度センサ28、エンジン回転数を検出するクランク角センサ30、車速を検出する車速センサ32及びスロットル開度を検出するスロットルユニット23のセンサ部等の様々なセンサが接続されている。エンジンコントロールユニット24は、これらセンサの検出信号等に基づいて、スロットルユニット23のモータ部等の各種アクチュエータへ制御指令値を出力し、その動作を制御する。
【0013】
図8は、アクセルペダル26を急激に踏み込んだ場合のなまし処理の様子を示すタイムチャートである。なまし処理により、アクセル開度の急激な変化に対し、機関出力に対応する制御指令値である最終目標アクセル開度(あるいは最終目標アクセル開度に応じて設定される目標スロットル開度)の変化をなまらせる(遅らせる・なだらかにする)ことにより、破線Hで示すようなハンチング現象を回避することができる。
【0014】
図2は、時定数としてのなまし値Tの演算処理の流れを示すフローチャートであり、上述したエンジンコントロールユニット24により実行される。なまし値Tは、上記のなまし処理に用いられる時定数・係数であり、なまし値Tが大きいほど(1に近いほど)、実際のなまし度合い(ディレイ・遅れ)が小さくなり、なまし値Tが小さいほど(0に近いほど)、実際のなまし度合いが大きくなる関係にある。
【0015】
S(ステップ)1では、アクセル開度センサ28により検出されるアクセル開度に基づいて、基本なまし値Aを算出・演算する(基本なまし値演算手段)。基本なまし値Aは、例えば、アクセル開度センサ28により求められるアクセル開度に基づいて、図3に示すような予め設定・記憶されたテーブル・マップを参照して求められる。図3に示すように、アクセル開度が大きくなるほどなまし値Tを大きくし、実際のなまし度合いを小さくしている。この例では、アクセル開度が大きい場合(30deg以上の場合)には、基本なまし値Aを1として、なましを実質的に無くして、応答性・レスポンスの向上を図っており、かつ、アクセル開度が小さくなるほど、なまし値Tを小さくして、なまし度合いを大きくし、ハンチング現象を確実に回避して、運転性(ドライバー操作性)の向上を図っている。
【0016】
S2では、エンジン回転数と車速とに基づいて、現在のギア比(変速比)を算出する。S3では、このギア比を、図4に示すように予め設定・記憶されているクラッチ完全締結状態での各ギア比と比較して、クラッチの締結状態を判定する(判定手段)。具体的には、クラッチ16が完全締結状態であるか半クラッチ状態であるかを判定する。なお、各種誤差等を考慮して、実際には図4に示すように、クラッチ完全締結状態でのギア段1st〜5thの線に所定の幅を持たせた領域のいずれかに現在のギア比が含まれている場合に、完全締結状態であると判定する。
【0017】
半クラッチ状態と判定された場合、S4からS5へ進み、図5(a)に示す半クラッチ用設定テーブルを参照し、エンジン回転数と車速とに基づいて補正なまし値Bを算出する。完全締結状態と判定された場合、S4からS6へ進み、図5(b)に示す完全締結時用設定テーブルを参照し、エンジン回転数と車速とをパラメータとして補正なまし値Bを設定する。すなわち、クラッチの締結状態、詳しくは完全締結状態であるか半クラッチ状態であるかによって、設定の異なるテーブルを参照して補正なまし値Bを演算している(補正なまし値演算手段)。
【0018】
図5を参照して、ハンチングを有効に回避するように、エンジン回転数が小さくなるほど、補正なまし値Bを小さくしてなまし度合いを強めている。同様に、車速やギア段が小さくなるほど、補正なまし値Bを小さくしてなまし度合いを強めている。
【0019】
更に、完全締結の場合、エンジントルクの変動が直接的に車両駆動トルクの変動へと反映され、ハンチングを生じるおそれが高まるので、半クラッチの場合に比して、補正なまし値Bを小さくして、実際のなまし度合いが大きくなるように設定している。逆にいえば、半クラッチの場合、クラッチ16の滑りによってエンジントルクの変動に対する車軸トルクの変動が既になまされている状況となっており、完全締結の場合に比して、なまし度合いを小さくしても運転性に悪影響を与えるおそれが低いので、なまし度合いを相対的に小さくしている。
【0020】
S7では、基本なまし値Aと補正なまし値Bとに基づいて、最終的ななまし値Tを算出・演算する(なまし値演算手段)。すなわち、両者A,Bを乗算してなまし値Tを求めている。
【0021】
例えば図6に示すように、なまし値Tを時定数として、基本スロットル開度に1次遅れ演算処理を施して、目標アクセル開度(あるいは目標スロットル開度)を算出する。
【0022】
あるいは図7に示すように、アクセル開度特性を補正する方法で、なまし処理を行うようにしても良い。例えば、遅れ時定数Tに応じて、ベースとなる100%相当(なまし度合い0%)の開度特性aと、0%相当(なまし度合い100%)の開度特性bと、を補間演算して、目標アクセル開度を決定する。
【0023】
以上のように本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変形・変更を含むものである。例えば、上述した例では、機関出力に対応した目標アクセル開度になまし処理を適用しているが、目標スロットル開度になまし処理を適用するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る制御装置が適用された車両のシステム構成図。
【図2】本実施例に係るなまし値の演算処理の流れを示すフローチャート。
【図3】基本なまし値の設定用テーブル及びマップを示す特性図。
【図4】クラッチ締結状態の判定に用いられるギア比のマップ。
【図5】補正なまし値の設定に用いられる半クラッチ用設定テーブル(a)及び完全締結時用設定テーブル(b)。
【図6】1次遅れ処理によるなまし処理の例を示す説明図。
【図7】補間処理によるなまし処理の例を示す説明図。
【図8】本実施例に係るなまし処理を示すタイムチャート。
【符号の説明】
10…エンジン
12…駆動輪
14…手動変速機
16…クラッチ
24…エンジンコントロールユニット

Claims (5)

  1. エンジンから駆動輪への動力伝達を断続するクラッチと手動変速機とを備えた車両の制御装置であって、
    アクセル開度を検出する手段と、
    このアクセル開度に基づいて基本なまし値を演算する基本なまし値演算手段と、
    この基本なまし値と補正なまし値とに基づいて、なまし値を演算するなまし値演算手段と、
    このなまし値により、機関出力トルクに対応する制御指令値をなまし処理する手段と、
    上記クラッチの締結状態を判定する判定手段と、
    上記クラッチの締結状態に応じて、上記補正なまし値を演算する補正なまし値演算手段と、
    を有する車両の制御装置。
  2. 上記制御指令値が、目標アクセル開度である請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 上記制御指令値が、目標スロットル開度である請求項1に記載の車両の制御装置。
  4. 上記判定手段は、クラッチが完全締結状態であるか半クラッチ状態であるかを判定し、
    上記補正なまし値演算手段は、半クラッチ状態のなまし度合いを、完全締結状態のなまし度合いよりも小さくする請求項1〜3のいずれかに記載の車両の制御装置。
  5. 上記判定手段は、エンジン回転数及び車速に応じてギア比を算出し、この算出されたギア比と、予め設定された完全締結状態でのギア比、とを比較して、クラッチ締結状態を判定する請求項4に記載の車両の制御装置。
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