JP4055343B2 - シリコン半導体基板の熱処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、シリコン単結晶から得られる集積回路を形成させるためのシリコン半導体用基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体の集積回路などデバイスに用いられるシリコン半導体用基板(ウェーハ)は、主にチョクラルスキー法(CZ法)によるシリコン単結晶から製造されている。CZ法は、石英るつぼ内の溶融したシリコンに種結晶を浸けて引上げ、単結晶を成長させるもので、このシリコン単結晶の引上げ育成過程にて様々な微量の不純物が混入してくる。それら不純物の中で最も多いのは、石英るつぼから混入してくる酸素である。溶融シリコン中に溶け込んでいる酸素は、育成されるシリコン単結晶中に取り込まれ、凝固直後の高温では十分固溶しているが、冷却するにつれて溶解度が急速に減少するので、通常単結晶中には過飽和な状態で存在している。
【0003】
この単結晶から採取したウェーハ中で過飽和に固溶した酸素は、その後のデバイスの製造工程における熱履歴により酸化物として析出してくるが、その析出物はデバイスが形成されるいわゆる活性化領域に生じると、他の不純物と同様にデバイスの性能を阻害する。しかしながらその反面、シリコン基板内部に生じた析出物はBMD(Bulk Micro Defect)とも呼ばれ、デバイスの製造過程でウェーハに侵入しその性能を劣化させる、金属不純物を捕獲するゲッタリング源として有効に作用する。この析出物がゲッタリング源として効果的に作用するためには、ある程度以上の量存在する必要があるが、その存在密度は高くなり過ぎると基板の機械的強度が低下するなどの難点が生じてくる。
【0004】
デバイスを製造する過程において、ウェーハ表面近傍のデバイスが形成される領域すなわち活性化領域は無欠陥とし、内部にはゲッタリング源の析出物を生じさせる熱処理サイクルが提案されている。その代表的なものは
(a) 非酸化性雰囲気中にて、1100℃以上の高温で8〜76時間加熱する酸素の外方拡散処理をおこなって、表面に低酸素層すなわちDZ(denuted Zone)と呼ばれる無欠陥層となる部分を形成させ、次いで
(b) 600〜750℃の低温で加熱することにより、バルク内に有効な析出核を形成させた後、
(c) 1000〜1150℃の中温あるいは高温で熱処理し、SiO2の析出物を成長させて、そこにゲッタリング源となるBMDを形成させる、
という高−低−高(または中)サイクルと呼ばれている処理方法である。しかし、この処理方法は多大の時間を要し、生産性がよくないという大きな問題点がある。
【0005】
これに対してデバイスの形成に先立ち、ハロゲンランプなどによる光の照射でウェーハに短時間の急速昇降温焼鈍(RTA:Rapid Thermal Annealing)処理を施すことにより、その後の製造プロセスにおける熱履歴で生じてくる酸素析出物の分布を制御する方法が提案されている。
【0006】
たとえば、米国特許第5401669号の発明では、窒素または窒素を含む雰囲気中で1175〜1275℃の温度に3〜60秒保持後、5℃/秒以上の冷却速度で冷却する処理をおこなう。また米国特許第5994761号の発明では、酸化雰囲気中での加熱により表面に数十オングストロームの酸化被膜を付けた後、窒素またはアルゴンなど不活性雰囲気中で1150〜1300℃の温度に1〜60秒保持し、5〜200℃/秒の冷却速度で冷却している。
【0007】
このような処理を施した後、さらに不活性雰囲気中にて800℃で4時間加熱および1000℃にて16時間加熱のようなデバイスの製造過程と同様な熱処理を施すと酸素析出物が析出してくる。その分布は、表層の活性化領域には析出がなく内部には多く析出し、前述の高−低−高(または中)サイクルと同様な結果がえられるというものである。
【0008】
しかし、上記米国特許第5401669号の発明の場合、短時間の処理で高密度の酸素析出物を生成できるが、十分な厚さのDZが安定して得られないようであり、米国特許第5994761号の発明では、DZが確保できても内部の析出物が多くなりウェーハ強度が低下するおそれのあることや、表面の酸化膜を処理後除去しなければならない等の問題があるように思われる。
【0009】
表面の活性化領域には十分なDZがあり、内部にはゲッタリング源が多量に存在するというすぐれた形態のウェーハを、短時間のRTA処理により実現させるこの方法は、デバイス用ウェーハの製造工程の合理化に極めて望ましいと考えられるが、安定してこのようなウェーハを生産するには改良すべき点が多く残されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、シリコンウェーハの酸素析出物分布の制御を目的とした急速昇降温熱処理において、表面には十分な厚さのDZが形成され、このDZに近接してゲッタリング源となる高密度の酸素析出物ないしはBMDが生じ、かつ内部には酸素析出物が多くないウェーハを安定して得るための熱処理方法の提供にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、シリコンウェーハの表面部におけるDZの形成、および内部におけるBMDの形成に対するRTAの効果について種々検討を行った。まず、アルゴンまたは窒素雰囲気中にてシリコン単結晶から採取したウェーハの急速昇降温焼鈍処理をおこない、その後アルゴン雰囲気中にて酸素化物析出処理を施した結果、表面近傍は析出物がすくなく、中心部には析出物の多いものが得られることが確認できた。そして、特に昇温後の冷却速度を変えることにより、表面近くにできた析出物のない層すなわちDZの厚さが変化し、内部の析出物の発生量も変化することがわかった。
【0012】
これら酸素析出物は、デバイス形成の活性化領域となる表面から30〜40μmまでの深さには存在せず、その直ぐ下の部分に多量に存在し、中心部には少ないという分布はが望ましいと考えられる。これは、表面直下に十分な厚さのDZと、それに近接して多数のゲッタリング源があり、そしてDZから離れた中心部ではゲッタリング効果は期待できないので、そこには機械的強度を低下させる析出物は少ない方がよいからである。
【0013】
ウェーハを熱処理する場合、デバイスを形成させる側の表面で生じる現象は、裏面側の表面でも同様に生じる。したがって、ウェーハの厚さ方向を横軸にとり酸素析出物の量または析出密度を縦軸にとってその分布を見ると、横方向両端の表面部のDZを除く内部では、M字形になっていることが望ましいといえる。また、このようにウェーハの厚さ方向の析出物分布が、厚さ方向の中心位置に対して対象形であることは、析出物形成により何らかの状態変化があったとしても、ウェーハの反りなどの問題が生じない利点がある。
【0014】
そこで、表面部には十分なDZが形成され、かつ内部の酸素析出物がM字形分布となるような、急速昇降温焼鈍処理条件があり得るのかどうかさらに検討を進めることにした。その結果、酸素量のやや多い単結晶によるウェーハを用い、急速昇降温焼鈍の昇温速度を制御し、加熱後の冷却速度を管理することにより、M字形の分布が実現できることが明らかになったのである。このM字形分布を得るための加熱後の最適冷却速度は、処理に用いる雰囲気によって異なり、アルゴン雰囲気の場合は冷却をできるだけ速くする必要があり、窒素雰囲気ではおそくしなければならない。
【0015】
以上のような検討から、諸条件の限界を明らかにし本発明を完成させた。本発明の要旨は次のとおりである。
(1) 酸素濃度が11〜17×1017atoms/cm3のシリコン単結晶より採取した基板用素材を用い、アルゴン雰囲気中で昇温速度を10〜30℃/秒として1100〜1300℃に加熱し、50℃/秒以上の冷却速度にて冷却することを特徴とする、表面に厚さ10μm以上の無欠陥層を有し、かつ酸素析出物密度が厚さ中心部は低く表面の無欠陥層に近い方は高い、シリコン半導体用基板の急速昇降温熱処理方法。
(2) 酸素濃度が11〜17×1017atoms/cm3のシリコン単結晶より採取した基板用素材を用い、窒素を含む雰囲気中で昇温速度を10〜30℃/秒として1100〜1300℃に加熱し、1〜25℃/秒の冷却速度にて冷却することを特徴とする、表面に厚さ10μm以上の無欠陥層を有し、かつ酸素析出物密度が厚さ中心部は低く表面の無欠陥層に近い方は高い、シリコン半導体用基板の急速昇降温熱処理方法。
【0016】
ここで、上記の処理方法により十分なDZとM字形析出物分布の得られる理由を考えてみる。
【0017】
ウェーハ中に存在する酸素は拡散速度が速くなく、これをDZ形成のために十分排除しようとすれば、前述の高−低−高(または中)サイクルのように、高温での長時間加熱を必要とする。RTA処理のような短時間処理では、シリコン中の酸素の拡散などによる排除は十分には進まず、この処理におけるDZは、酸素が存在していても有害な析出物となって出現することが抑止された層であると考えられる。
【0018】
凝固時にシリコン単結晶中に取り込まれた酸素は、温度の低下により過飽和の状態で固溶しているので、なにか安定して存在できる場(サイト)があれば、そこにまず酸化物の核のようなものが発生し、一旦核ができればそこへ優先的に凝集して析出物が形成されていく。このようなサイトとしては単結晶に存在する空孔が最適であり、空孔が一つだけでなく複数個合体すれば、より容易に析出物の形成核を発生させ得ると推定される。したがって、酸化物析出の熱サイクルに先立っておこなうRTA処理の目的は、析出サイトとなるウェーハ中の空孔分布の制御であるということができる。
【0019】
シリコン単結晶中の空孔は、単結晶育成時シリコンの溶融液が凝固する過程で大量に取り込まれる。そのときシリコンの結晶格子間原子も同時に取り込まれるが、空孔の数の方がはるかに多い。これら空孔と格子間原子とは凝固後の冷却の過程で、拡散していったり合体消滅したりして大幅に減少する。しかし、このときに導入された空孔や格子間原子は、単結晶から切り取られたウェーハにもまだ多量に残存している。空孔と格子間原子とは放射線などの照射によって生じたフレンケル対のようにほぼ同数ではなく、凝固過程に由来しているため、空孔の数の方が圧倒的に多いのである。
【0020】
シリコン単結晶から切り出されたままのウェーハの状態では、空孔と格子間原子の濃度はウェーハの厚さ方向に対して、いずれもそれぞれほぼ同一である。このウェーハが加熱され約700℃を超えて空孔や格子間原子が容易に動けるようになると、これらは表面への拡散や衝突合体によりさらに減少していく。
【0021】
空孔や格子間原子は表面に達すると消失すると考えられるので、表面近くでは濃度が大きく低下し、それによって生じる濃度差により、内部から表面へ向けてのいわゆる外方拡散が起きる。一方内部においては、その温度に応じて動きまわる空孔と格子間原子とは、フレンケル対が消滅するように合体減少が進む。
【0022】
シリコン結晶中におけるこれらの移動は、一般的に格子間原子(シリコン)が空孔に比し速いと考えられている。したがって通常のゆっくりした加熱や冷却では、表面側は低く内部の中心は高いという濃度分布の状態で、空孔の濃度と格子間原子の濃度との差は縮まることなく、両者とも減少していくと考えられる。
【0023】
ところがRTAのような急速加熱処理の場合、加熱時にはウェーハ表面の方が内部より速く温度が上昇する。格子間原子や空孔は温度が高いほど活発に動き回るので、温度の低い内部では拡散や消滅があまり進まない間に、表面部では外方拡散が急速に進行し、しかも格子間原子の方が速やかに動くので、格子間原子と空孔の濃度差がどんどん拡大していく。その結果として、内部が表面と同じ温度に到達した時点においては、厚さ方向の表面から中心部へ向けての濃度勾配は、空孔に比して格子間原子のそれがはるかに大きなものになってしまう。このようにして昇温過程でできた濃度勾配の差は、温度保持の段階に至っても容易には解消されないのではないかと思われる。
【0024】
この状態から冷却されると、当然ながら外方拡散と対の合体消滅とが同時に進行しつつ温度が低下していくが、生じた濃度勾配の違いから表面に近い方が中心部よりも空孔の残存密度が高いものとなる。このようにして、表面直下では空孔の外方拡散と酸素の外方拡散も加わるのでDZが形成され、DZからさらに内部へ入ると、上述のような空孔のM字形分布が得られることになる。
【0025】
しかしながら、冷却速度が遅くなると、高温に滞在する時間が長くなり、外方拡散が進行することによって空孔が減少して行き、十分なM字形分布が得られなくなってしまう。したがって、アルゴン雰囲気中でRTA処理をおこなってM字形の酸素析出物分布を得ようとすれば、冷却を急速におこなわなければならないのである。
【0026】
前述の昇温速度は、速くしすぎると表面と内部の温度差が生じている時間が短くなってしまい、前述の空孔と格子間原子の濃度勾配の差が十分大きくなるための時間が不足してしまう。そして、遅くしすぎると空孔の外方拡散が進行して濃度が低下してしまい、これもM字形分布形成や、酸素析出物を十分な量得るための核が不足してしまう。これが前述のように昇温速度に最適範囲が存在する理由ではないかと思われる。
【0027】
当初、RTA処理の間に起きる空孔や格子間原子の挙動は、雰囲気がアルゴンであっても窒素であっても大きくは違わないと思われた。しかしながら窒素雰囲気中でRTA処理をおこない、M字形分布を得ようとすれば、冷却速度を遅くする必要がある。同じ条件のウェーハを、雰囲気のみアルゴンまたは窒素に変えて同じ加熱冷却条件でRTA処理し、酸素析出処理をおこなってみると、窒素雰囲気とした方が、はるかに多くの酸素析出物を発生する。たとえば、冷却速度を同じ25℃/秒としたとき、ウェーハ中心部の酸素析出物密度は、アルゴン雰囲気中RTAでの場合に比し2〜3倍以上高い。
【0028】
アルゴン雰囲気とのこのような違いは、窒素雰囲気とした場合に、とくに高温域において表面に窒化膜が形成され、それによって空孔が発生する可能性があるためと思われる。表面にて空孔が生じこれがシリコン結晶中に注入されると、表面近傍での濃度低下によって生じる外方拡散が大きく阻害される。しかし、格子間原子はこのような影響を受けないので、前述のアルゴン雰囲気にてRTAをおこなった場合と同様な挙動を示す。したがって、アルゴン雰囲気と同じ冷却速度で冷却すれば、空孔の残存が多くなりすぎ、十分なDZの形成や、析出核のM字形分布が得られなくなってしまう。
【0029】
冷却時には窒化物形成はなくなり、空孔の注入もなくなるので、冷却速度を遅くすれば、その間に空孔の外方拡散が進行し、空孔が少なくなって、十分なDZの形成および析出核のM字形分布が得られるようになってくる。また、冷却時間が長くなることにより、酸素の外方拡散もさらに進行すると考えられる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法において、ウェーハの酸素濃度は11〜17×1017atoms/cm3とする。これは11×1017atoms/cm3未満の場合、DZに近い部分の酸素析出物ないしはBMDの量が不足し、17×1017atoms/cm3を超える場合はBMDの発生量が多くなりすぎ、ウェーハの機械的性質が劣化するおそれがあるからである。
【0031】
急速昇降温焼鈍(RTA)の加熱時の昇温速度は、10〜30℃/秒とする。これは、DZに近い部分のBMD量を増してM字形分布に近づけ、よりゲッタリング効果を増すためである。急速昇温時、表面が内部より温度が高い温度勾配が生じ、それによってBMDの析出核の分布がM字形に近い形に変化する。しかし昇温速度が遅ければ温度勾配不十分でこの効果が得られず、速すぎれば温度勾配の生じている時間が不十分でやはりこの効果が得られない。したがって昇温速度は10〜30℃/秒とするのが望ましい。
【0032】
加熱温度、すなわちこのRTA処理の最高到達温度は1100〜1300℃とする。温度が1100℃未満では、析出核のM字形への分布変化が不十分であり、1300℃を超えるとBMDの生成が不足し、いずれの場合もRTA処理の効果が得られなくなる。
【0033】
所定温度に到達後の保持時間は、昇温速度が上記のように規制されれば短くてもよいが、10〜600秒とするのが好ましい。これはウェーハ全体の温度の均一性を配慮すれば、少なくとも10秒程度の保持が必要なためであり、600秒を超える保持では、空孔の外方拡散が進みすぎ、内部の酸素析出物が少なくなりすぎるおそれがあるからである。なお点欠陥の均一分布までも十分にするためには、望ましくは60秒超600秒までとするのがよい。
【0034】
保持温度からの冷却速度は、RTA処理の雰囲気ガスとしてアルゴン、ヘリウムなど希ガスを用いる場合には50℃/秒以上とし、窒素ガスないしは窒素を含むガスを用いる場合は1〜25℃/秒とする。なお温度が低下してくると冷却速度の影響はなくなってくるので、ウェーハが700℃を下回る温度に達すれば、それ以降は冷却速度を制御しなくてもよい。
【0035】
アルゴン、ヘリウムなどの希ガスを用いる場合、50℃/秒以上で冷却する。冷却速度が50℃/秒を下回ると、M字形は維持できても、BMDの量が少なくなってしまうおそれがある。また、冷却速度が早くなっていくとBMDが多くなり過ぎることもあるので、200℃/秒程度までに止めておくのが好ましい。
【0036】
雰囲気ガスとして窒素を用いる場合は、上記冷却速度は1〜25℃/秒とする。この場合、冷却速度が25℃を超えるようになると、BMDの発生量が多くなりすぎ、目的とするM字形の分布が得られなくなるばかりでなく、ウェーハの強度も低下してしまう。一方、1℃/秒を下回る冷却速度にすると、BMDはM字形の分布にはなるが、その密度が低くなりすぎ、十分な効果が得られなくなる。またM字形分布は、冷却速度を遅くするほうが明瞭に現れ、厚さ方向中央部の析出密度の低下をはっきりさせるには1〜5℃/秒とするのが望ましい。
【0037】
なおこの場合の雰囲気ガスとしては窒素のみでもよいが、貴ガスを90%以下の範囲で混合した雰囲気を用いてもよい。またいずれの雰囲気にしても、水分や酸素などの不純成分はできるだけ少なくすることが望ましい。
【0038】
【実施例】
〔実施例1〕
酸素濃度が14×1017/cm3の単結晶から採取した厚さ700μmの素材ウェーハを用い、ハロゲンランプの光源を用いた急速加熱冷却処理装置により、アルゴン雰囲気中にてRTA処理をおこなった。1280℃に60秒で昇温し(昇温速度:21℃/秒)、その温度に120秒保持後冷却を開始した。700℃までの冷却速度を、5、25、50または70℃/秒の4種に変えたウェーハを作製し、これらのウェーハはアルゴン雰囲気中にて800℃、4時間および1000℃、16時間の析出処理をおこなった後、断面を研磨してライトエッチングをおこない、光学顕微鏡観察により析出物の深さ方向の分布を測定した。
【0039】
図1に測定結果を示す。この図から明らかなように、冷却速度が25℃/秒の場合、析出物密度は小さく、M字形分布が得られていない。これに対し、冷却速度が50℃/秒または70℃/秒では、析出物密度は高くM字形に分布していることがわかる。また50℃/秒の場合よりも70℃/秒の方が内部の析出物密度が大きく、冷却速度を速くするのが好ましいことを示している。
【0040】
〔実施例2〕
実施例1と同じ素材ウェーハを用い、同じ装置にて窒素雰囲気としてRTA処理をおこなった。加熱条件は実施例1と同様にしたが、保持時間は70秒とした。冷却速度は1、3、5、25、50または70℃/秒と変えて6種のウェーハを得た。これらを実施例1と同様アルゴン雰囲気中にて800℃、4時間および1000℃、16時間の析出処理をおこない、析出物分布の深さ方向分布を測定した。
【0041】
図2に測定結果を示す。実施例1のアルゴン雰囲気では析出物のM字形分布は、50℃/秒以上の冷却速度で得られたが、窒素雰囲気の場合、この50℃/秒以上では中央部の析出密度が高く、その上表面部も高くなって十分なDZが得られていない。これに対し25℃/秒の冷却速度ではM字形分布となり、さらに5℃/秒、3℃/秒、1℃/秒と遅くすれば、十分なDZとそれに接近して析出物密度の高い部分があり、中央部は析出物密度が低いという典型的なM字形分布となっている。
【0042】
【発明の効果】
本発明の急速昇降温熱処理をおこなえば、デバイスを製造する過程における熱処理過程において、十分な厚さのDZが形成され、このDZに近接してゲッタリング源となる高密度の酸素析出物ないしはBMDが生じ、かつ内部には酸素析出物が多くない結果をもたらすシリコンウェーハを容易に得ることができる。従来、このようなウェーハは、高温の長時間にわたる熱処理と、さらに温度を変えた熱処理によってようやく得られていたが、本発明の適用により短時間の処理にて同様な効果を得ることができ、半導体デバイス製造の生産性向上、コスト合理化に寄与する効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】雰囲気をアルゴンとし、急速昇降温焼鈍を冷却速度を変えておこなったウェーハの、酸素析出物析出密度の深さ方向分布測定結果を示す図である。
【図2】雰囲気を窒素とし、急速昇降温焼鈍を冷却速度を変えておこなったウェーハの、酸素析出物析出密度の深さ方向分布測定結果を示す図である。

Claims (2)

  1. 酸素濃度が11〜17×1017atoms/cm3のシリコン単結晶より採取した基板用素材を用い、アルゴン雰囲気中で昇温速度を10〜30℃/秒として1100〜1300℃に加熱し、50℃/秒以上の冷却速度にて冷却することを特徴とする、表面に厚さ10μm以上の無欠陥層を有し、かつ酸素析出物密度が厚さ中心部は低く表面の無欠陥層に近い方は高いシリコン半導体用基板の急速昇降温熱処理方法。
  2. 酸素濃度が11〜17×1017atoms/cm3のシリコン単結晶より採取した基板用素材を用い、窒素を含む雰囲気中で昇温速度を10〜30℃/秒として1100〜1300℃に加熱し、1〜25℃/秒の冷却速度にて冷却することを特徴とする、表面に厚さ10μm以上の無欠陥層を有し、かつ酸素析出物密度が厚さ中心部は低く表面の無欠陥層に近い方は高いシリコン半導体用基板の急速昇降温熱処理方法。
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