JP4054415B2 - 新規多糖誘導体及びその製造方法 - Google Patents

新規多糖誘導体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な多糖誘導体、詳細には水溶性に優れ、高イオン強度下において高い増粘性を示し、金属酸化物や骨材等の粉体の共存や温度変化による粘度の変化が少なく、良好な流動性を示す新規多糖誘導体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
化粧品、トイレタリー製品、外用医薬品、水溶性塗料、建築材料等の重要な構成成分の一つとして、種々のセルロースエーテル類が、増粘剤、ゲル化剤、賦形剤、エマルジョン安定剤、凝集剤として広く利用されている。このようなセルロースエーテルとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等の水溶性非イオン性セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のイオン性セルロースエーテルなどが市販され、用いられている。
【0003】
これらセルロースエーテル類は、カーボポール等のポリアクリル酸系の増粘剤に比べて無機金属塩類、有機金属塩類共存系での水溶液の粘度安定性には比較的優れてはいるものの、同一水溶液濃度での増粘性が低く、増粘剤あるいは分散安定化剤として製品に配合した場合、温度変化に伴う粘度変化が大きいという欠点があった。
【0004】
これに対し、例えば特開昭55-110103号公報、特開昭56-801号公報等には、非イオン性水溶性セルロースエーテルの一部に炭素数10〜24の長鎖アルキル基を導入した疎水化非イオン性セルロース誘導体が、少ない混和量で比較的高い増粘性を示すことが開示されている。また特開平3-12401号公報、特開平3-141210号公報、特開平3-141214号公報、特開平3-218316号公報等に見られるように、これらのアルキル置換セルロース誘導体を外用医薬品、化粧品等に応用しようとする試みがなされている。しかし、これらアルキル置換セルロース誘導体は、上記セルロースエーテル類に比べて優れた増粘性を示すものの、水溶性に乏しく製品に配合する際、均一に溶解させるのに長時間を要したり、あるいは経日的な粘度安定性が悪いなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、これらセルロースエーテル類やアルキル置換セルロース誘導体はいずれも、建築材料等に用いられる理想的な増粘剤として要求される性能、すなわち容易に溶解し、建築材料等と混合した場合に増粘効果に優れ、高い分散安定化能を有し、かつ建築材料等の流動性を損なわないこと、金属塩、界面活性剤その他の添加物の共存や、温度、pHの変化による粘度への影響が少ないこと、微生物抵抗性に優れることなどの全てを十分に満たすものではなかった。
【0006】
従って、本発明は、上記各性能を十分に満たし、特に建築材料に好適に用い得る増粘剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意研究を行った結果、多糖類のヒドロキシル基の水素原子を、特定の疎水性置換基、スルホン酸基を含む置換基及びカチオン性置換基で置換して得られる新規多糖誘導体が、水溶性に優れ、建築材料等と混合した場合に高い増粘性を示し、しかもpH、温度等の粘度への影響が少なく、かつ優れた分散安定化作用を示し、更に建築材料に使用した場合、良好な流動性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子の一部又は全てが、次の基(A)、(B)及び(C)
(A)ヒドロキシル基が置換していてもよく、またオキシカルボニル基(−COO−又は−OCO−)又はエーテル結合が挿入されていてもよい炭素数10〜43の直鎖又は分岐のアルキル基、アルケニル基又はアシル基〔該置換基(A)のヒドロキシル基の水素原子は更に置換基(A)、(B)又は(C)で置換されていてもよい〕
(B)ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜5のスルホアルキル基又はその塩〔該置換基(B)のヒドロキシル基の水素原子は更に置換基(A)、(B)又は(C)で置換されていてもよい〕
(C)下記一般式(1)で表わされる基〔該置換基(C)のヒドロキシル基の水素原子は更に置換基(A)、(B)又は(C)で置換されていてもよい〕
【0009】
【化3】
Figure 0004054415
【0010】
〔式中、D1 はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を示し、R1 、R2 及びR3 は同一又は異なってヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、X- はヒドロキシイオン、ハロゲンイオン又は有機酸イオンを示す。〕
で置換されていることを特徴とする新規多糖誘導体を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、多糖類又はその誘導体を、(a)炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有するグリシジルエーテル、エポキシド、ハライド及びハロヒドリン、並びに炭素数10〜40の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のアシル基を有するエステル、酸ハライド及びカルボン酸無水物から選ばれる疎水化剤、(b)ビニルスルホン酸、ヒドロキシル基が置換していてもよいハロC1〜C5アルカンスルホン酸及びそれらの塩から選ばれるスルホン化剤、並びに(c)下記一般式(2)
【0012】
【化4】
Figure 0004054415
【0013】
〔式中、D2 は炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基、又はヒドロキシル基が置換していてもよくかつハロゲン原子が置換した炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基を示し、R1 、R2 及びR3 は同一又は異なってヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、X- はヒドロキシイオン、ハロゲンイオン又は有機酸イオンを示す。〕
で表わされるカチオン化剤と反応させることを特徴とする多糖誘導体の製造方法を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の新規多糖誘導体は、多糖類又はその誘導体としてセルロース類を用いた場合を例に挙げれば、その繰返し単位は次のような一般式で例示される。
【0015】
【化5】
Figure 0004054415
【0016】
〔式中、Rは同一又は異なって、(1):水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等、(2):疎水性置換基(A)、(3):ヒドロキシル基が置換してもよいスルホアルキル基(B)、(4):カチオン性置換基(C)から選ばれる基を示し、Qは同一又は異なって、炭素数2〜4のアルキレン基を示し、a、b及びcは、同一又は異なって0〜10の数を示す。QO基、R基、a、b及びcは、繰り返し単位内で又は繰り返し単位間で同一でも異なってもよく、また上記置換基(A)、(B)及び(C)のヒドロキシル基は更に他の置換基(A)、(B)及び(C)で置換されていてもよい。〕
【0017】
本発明の新規多糖誘導体においては、上記一般式で表される構成単糖残基におけるRとして、疎水性置換基(A)、ヒドロキシル基が置換していてもよいスルホアルキル基(B)及びカチオン性置換基(C)を含む。ただし、同一のくり返し単位中に必ず置換基(A)、(B)及び(C)が存在しなければならないという意味ではなく、一分子全体として見た場合に、置換基(A)、(B)及び(C)が上記の平均置換度で導入されていればよい。残りのRは上記のとおり、水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等である。
【0018】
疎水性置換基(A)における炭素数10〜43のアルキル基及びアルケニル基としては、直鎖アルキル基として、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基、テトラトリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基、ヘキサトリアコンチル基、ヘプタトリアコンチル基、オクタトリアコンチル基、ノナトリアコンチル基、テトラコンチル基等が、分岐アルキル基として、メチルウンデシル基、メチルヘプタデシル基、エチルヘキサデシル基、メチルオクタデシル基、プロピルペンタデシル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルドデシル、2−ヘプチルウンデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、2−テトラデシルベヘニル基等が、アルケニル基として、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等が挙げられる。これらのうち、炭素数12〜36、特に16〜24の直鎖又は分岐のアルキル基及びアルケニル基が好ましく、また、安定性の点から、アルキル基、特に直鎖アルキル基が好ましい。疎水性置換基(A)としては、これらアルキル基及びアルケニル基のほか、これらにヒドロキシル基が置換した2−ヒドロキシアルキル基、1−ヒドロキシメチルアルキル基、2−ヒドロキシアルケニル基、1−ヒドロキシメチルアルケニル基等、エーテル結合が挿入されている2−ヒドロキシ−3−アルコキシプロピル基、2−アルコキシ−3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−3−アルケニルオキシプロピル基、2−アルケニルオキシ−3−ヒドロキシプロピル基等、1位にオキソ基が置換した1−オキソアルキル基及び1−オキソアルケニル基(すなわちアシル基)、並びにオキシカルボニル基が挿入されている基を挙げることができるが、ヒドロキシル基が置換していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルコキシプロピル基、アルケニルオキシプロピル基、及びアシル基が好ましく、特に、安定面や製造面から、2−ヒドロキシアルキル基、アルコキシヒドロキシプロピル基が好ましい。
【0019】
これら疎水性置換基(A)は、多糖分子に直接結合しているヒドロキシル基の水素原子のみならず、多糖分子に結合しているヒドロキシエチル基やヒドロキシプロピル基のヒドロキシル基の水素原子又は他の置換基(A)、(B)若しくは(C)の有するヒドロキシル基の水素原子と置換してもよい。これら疎水性置換基(A)による置換度は、構成単糖残基当たり0.0001〜1.0の範囲内で適宜調整できるが、構成単糖残基当たり0.002〜0.5の範囲が好ましい。
【0020】
ヒドロキシル基が置換してもよいスルホアルキル基(B)としては、2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホ−1−(ヒドロキシメチル)エチル基等が挙げられ、安定面や製造面より3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基が好ましい。これら置換基(B)は、その全てあるいは一部がNa、K等のアルカリ金属、Ca、Mg等のアルカリ土類金属類、アミン類等の有機カチオン基、アンモニウムイオンなどとの塩となっていてもよい。これら置換基(B)も、多糖分子に直接結合しているヒドロキシル基の水素原子のみならず、多糖分子に結合しているヒドロキシエチル基やヒドロキシプロピル基のヒドロキシル基の水素原子又は他の置換基(A)、(B)若しくは(C)の有するヒドロキシル基の水素原子と置換してもよい。これら置換基(B)による置換度は、構成単糖残基当たり0.01〜1.5の範囲内で、適宜調整できるが、構成単糖残基当たり0.01〜1.0、特に0.02〜0.5の範囲が好ましい。
【0021】
カチオン性置換基(C)におけるD1 で示されるヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、1−メチルトリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、3−メチルテトラメチレン、1,1−ジメチルトリメチレン、ヘキサメチレン、2−ヒドロキシトリメチレン、2−ヒドロキシテトラメチレン、3−ヒドロキシトリメチレン、1−ヒドロキシメチルエチレン等が挙げられ、中でも炭素数2又は3のもの、具体的にはエチレン、プロピレン、トリメチレン、2−ヒドロキシトリメチレン、1−ヒドロキシメチルエチレン等が好ましい。
【0022】
カチオン性置換基(C)におけるR1 、R2 及びR3 で表わされるヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2−ヒドロキシエチル基等が挙げられ、中でもメチル基及びエチル基が好ましい。
【0023】
カチオン性置換基(C)におけるX- で表わされるハロゲンイオンとしては塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等が、有機酸イオンとしては、CH3COO- 、CH3CH2COO- 、CH3(CH22COO- 等が挙げられる。X- としては、ヒドロキシイオン、塩素イオン及び臭素イオンが好ましい。
【0024】
これらカチオン性置換基(C)は、多糖分子に直接結合しているヒドロキシル基の水素原子のみならず、多糖分子に結合しているヒドロキシエチル基やヒドロキシプロピル基の水素原子又は他の置換基(A)、(B)若しくは(C)の有するヒドロキシル基の水素原子と置換してもよい。これらカチオン性置換基(C)による置換度は、構成単糖残基当たり0.0001〜0.5の範囲内で適宜調整できるが、構成単糖残基当たり0.01〜0.15の範囲が好ましい。
【0025】
本発明の新規多糖誘導体は、例えば多糖類又はその誘導体を、(a)炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有するグリシジルエーテル、エポキシド、ハライド及びハロヒドリン、並びに炭素数10〜40の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のアシル基を有するエステル、酸ハライド及びカルボン酸無水物から選ばれる疎水化剤、(b)ビニルスルホン酸、ヒドロキシル基が置換していてもよいハロC1〜C5アルカンスルホン酸及びそれらの塩から選ばれるスルホン化剤、並びに(c)下記一般式(2)
【0026】
【化6】
Figure 0004054415
【0027】
〔式中、D2 は炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基、又はヒドロキシル基が置換していてもよくかつハロゲン原子が置換した炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基を示し、R1 、R2 及びR3 は同一又は異なってヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、X- はヒドロキシイオン、ハロゲンイオン又は有機酸イオンを示す。〕
で表わされるカチオン化剤と反応させることにより製造することができる。
【0028】
本発明の新規多糖誘導体は、多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子を部分的に疎水化〔疎水性置換基(A)の導入〕、スルホン化〔スルホン酸基を有する置換基(B)の導入〕及びカチオン化〔カチオン性置換基(C)の導入〕することにより得られる。疎水化反応、スルホン化反応、カチオン化反応はどの順序で行ってもよく、また2つあるいは3つの全ての反応を同時に行うこともできるが、疎水化反応、カチオン化反応、スルホン化反応の順で反応を行うのが好ましい。
【0029】
本発明に用いられる多糖類又はその誘導体としては、セルロース、グアーガム、スターチ等の多糖類;これらにメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が置換した誘導体が挙げられる。これらの置換基は、構成単糖残基中に単独で又は複数の組合せで置換することができ、多糖誘導体の例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルメチルスターチ等が挙げられる。これら多糖類又はその誘導体のうち、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましく、特にヒドロキシエチルセルロースが好ましい。また、上記多糖誘導体の置換基は、ヒドロキシエチル基やヒドロキシプロピル基のヒドロキシル基に更に置換して、例えばポリオキシエチレン鎖等を形成することで、構成単糖残基当たり3.0を超える置換度も可能であり、その構成単糖残基当たりの置換度は0.1〜10.0、特に0.5〜5.0が好ましい。また、これら多糖類又はその誘導体の重量平均分子量は、1万〜1000万、10万〜500万、特に30万〜200万の範囲が好ましい。
【0030】
以下、疎水化反応、スルホン化反応及びカチオン化反応に分けて説明する。
【0031】
〈疎水化反応〉
多糖類又その誘導体の疎水化反応は、多糖類又はその誘導体を適当な溶媒に溶解又は分散させ、(a)炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有するグリシジルエーテル、エポキシド、ハライド及びハロヒドリン、並びに炭素数10〜40の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のアシル基を有するエステル、酸ハライド及びカルボン酸無水物から選ばれる疎水化剤と反応させることにより行われる。
【0032】
上記疎水化剤のうち、グリシジルエーテル、エポキシド、ハライド及びアシルハライドが特に好ましく、これら疎水化剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。疎水化剤の使用量は、多糖類又はその誘導体への疎水性置換基の所望する導入量によって適宜調整することができるが、通常、多糖類又はその誘導体の構成単糖残基当たり、0.0001〜10当量、特に0.0005〜1当量の範囲が好ましい。
【0033】
疎水化反応は、必要に応じてアルカリ存在下で行うのが好ましく、かかるアルカリとしては特に限定されないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等が挙げられ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が好ましい。アルカリの使用量は、用いる疎水化剤に対して1〜1000モル倍量、特に100〜500モル倍量が良好な結果を与え、好ましい。
【0034】
溶媒としては、低級アルコール、例えばイソプロピルアルコール、tert-ブチルアルコール等が挙げられる。多糖類又はその誘導体を膨潤させて疎水化剤との反応性を高める目的で、低級アルコールに対し、1〜50重量%、更に好ましくは2〜30重量%の水を加えた混合溶媒を用いて反応を行ってもよい。
【0035】
反応温度は0〜200℃、特に30〜100℃の範囲が好ましい。反応終了後は、必要に応じて、酸を用いてアルカリを中和することができる。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸を用いることができる。また、途中で中和することなく次の反応を行ってもよい。
【0036】
このようにして得られた疎水化多糖類を続いてスルホン化反応、カチオン化反応に用いる場合には、中和せずそのまま用いることができるほか、必要に応じろ過などにより分別したり、熱水、含水イソプロピルアルコール、含水アセトン溶媒等で洗浄して未反応の疎水化剤や中和等により副生した塩類を除去して使用することもできる。なお、既に疎水化反応の前にスルホン化反応あるいはカチオン化反応を行っている場合は、中和し、ろ過などによる分別後、必要に応じて洗浄等を行った後、乾燥して本発明の新規多糖誘導体を得ることができる。
【0037】
〈スルホン化反応〉
多糖類又はその誘導体のスルホン化反応は、多糖類又はその誘導体を適当な溶媒に溶解又は分散させて、スルホン化剤と反応させることにより行われる。
【0038】
スルホン化剤のうち、ヒドロキシル基が置換していてもよいハロC1〜C5アルカンスルホン酸における置換ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、またこれらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。スルホン化剤としては、ビニルスルホン酸、3−ハロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−ハロプロパンスルホン酸が好ましく、これらスルホン化剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。スルホン化剤の使用量は、多糖類又はその誘導体へのスルホン酸基の所望する導入量によって適宜調整できるが、通常、多糖類又はその誘導体の構成単糖残基当たり、0.01〜10当量、特に0.03〜1当量の範囲が好ましい。
【0039】
スルホン化反応は、必要に応じてアルカリ存在下で行うのが好ましく、かかるアルカリとしては特に限定されないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等が挙げられ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が好ましい。アルカリの使用量は、用いるスルホン化剤に対して1.0〜3.0モル倍量、特に1.05〜1.5モル倍量が良好な結果を与え、好ましい。
【0040】
溶媒としては、低級アルコール、例えばイソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等が挙げられる。また、多糖類又はその誘導体とスルホン化剤との反応性を高める目的で、低級アルコールに対し、0.1〜100重量%、更に好ましくは1〜50重量%の水を加えた混合溶媒を用いて反応を行ってもよい。
【0041】
反応温度は0〜150℃、特に30〜100℃の範囲が好ましい。反応終了後は、必要に応じて、酸を用いてアルカリを中和することができる。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸を用いることができる。また途中で中和することなく次の反応を行ってもよい。
【0042】
このようにして得られたスルホン化多糖類を続いて疎水化反応、カチオン化反応に用いる場合には、中和せずそのまま用いることができるほか、必要に応じろ過などにより分別したり、熱水、含水イソプロピルアルコール、含水アセトン溶媒等で洗浄して未反応のスルホン化剤や中和等により副生した塩類を除去して使用することもできる。なお、既にスルホン化反応の前に疎水化反応あるいはカチオン化反応を行っている場合は、中和し、ろ過などによる分別後、必要に応じて洗浄等を行った後、乾燥して本発明の新規多糖誘導体を得ることができる。
【0043】
<カチオン化反応>
多糖類又はその誘導体のカチオン化反応は、多糖類又はその誘導体を適当な溶媒に溶解又は分散させて、カチオン化剤と反応させることにより行われる。
【0044】
上記一般式(2)におけるD2 で示される基のうち、炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基としては2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、5,6−エポキシヘキシル基等が挙げられ、ヒドロキシル基が置換していてもよくかつハロゲン原子が置換した炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、4−クロロブチル基、6−クロロヘキシル基、2−ブロモエチル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基、1−ヒドロキシメチル−2−クロロエチル基等が挙げられる。D2 のうち好ましいものとしては、2,3−エポキシプロピル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル基等が挙げられる。これらカチオン化剤(2)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。カチオン化剤(2)の使用量は、多糖類又はその誘導体に対するカチオン性置換基(C)の所望する導入量によって適宜調整することができるが、通常、多糖類又はその誘導体の構成単糖残基当たり、0.0001〜10当量、特に0.00015〜5当量の範囲が好ましい。
【0045】
本反応は、必要に応じてアルカリ存在下で行うのが好ましく、かかるアルカリとしては特に限定されないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等が挙げられ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が好ましい。アルカリの使用量は、用いるカチオン化剤(2)に対して1.0〜3.0モル倍量、特に1.05〜1.5モル倍量の範囲が良好な結果を与え、好ましい。
【0046】
溶媒としては、低級アルコール、例えばイソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等が挙げられる。また、多糖類又はその誘導体とカチオン化剤(2)との反応性を高める目的で、低級アルコールに対し、0.1〜100重量%、更に好ましくは1〜50重量%の水を加えた混合溶媒を用いて反応を行ってもよい。
【0047】
反応温度は0〜150℃、特に30〜100℃の範囲が好ましい。反応終了後は、酸を用いてアルカリを中和することができる。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸を用いることができる。また、途中で中和することなく次の反応を行ってもよい。
【0048】
このようにして得られたカチオン化多糖類を続いて疎水化反応、スルホン化反応に用いる場合には、中和せずそのまま用いることができるほか、必要に応じ濾過などにより分別したり、熱水、含水イソプロピルアルコール、含水アセトン溶媒等で洗浄して未反応のスルホン化剤や中和等により副生した塩類を除去して使用することもできる。なお、既にカチオン化反応の前に疎水化反応あるいはスルホン化反応を行っている場合は、中和し、濾過などによる分別後、必要に応じて洗浄等を行った後、乾燥して本発明の新規多糖誘導体を得ることができる。
【0049】
本発明の多糖誘導体は、建築材料等を始めとする各種分野における増粘剤、分散安定化剤等として好適に使用することができる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
以下の実施例において、本発明の新規多糖誘導体の疎水性置換基(A)の置換度は、置換基(A)が1位にオキソ基を有しない場合(エーテルを形成している場合)には、Zeisel法(D. G. Anderson, Anal. Chem., 43, 894(1971))により定量し、置換基(A)が1位にオキソ基を有する場合(エステルを形成している場合)には、試料を酸で加水分解し中和した後ジアゾメタンでエステル化を行ってガスクロマトグラフィーで定量した。スルホアルキル基(B)の置換度は、コロイド滴定法により求めた。すなわち濃度既知の増粘剤溶液を調製し、これに撹拌下、重量既知のN/200メチルグリコールキトサン溶液(和光純薬,コロイド滴定用)を加え、更にトルイジンブルー指示薬溶液(和光純薬,コロイド滴定用)数滴加えた。これをN/400ポリビニル硫酸カリウム溶液(和光純薬,コロイド滴定用)により逆滴定し、滴定量から置換度を算出した。カチオン性置換基(C)の置換度はコロイド滴定法により求めた。すなわち濃度既知の増粘剤溶液を調製し、これに攪拌下、重量既知のN/400ポリビニル硫酸カリウム溶液(和光純薬,コロイド滴定用)を加え、更にトルイジンブルー指示薬溶液(和光純薬,コロイド滴定用)を数滴加えた。これをN/400メチルグリコールキトサン溶液(和光純薬,コロイド滴定用)により逆滴下し、滴定数から置換度を算出した。
【0052】
なお、スルホン化、カチオン化の順で反応を行い、スルホアルキル基の置換度がカチオン性置換基の置換度より小さい場合には、スルホン化反応の後、一部をとり出し洗浄等の精製、乾燥を行い、上記方法によりスルホアルキル基の置換度を算出し、カチオン化反応終了後(更に疎水化反応を行う場合は一部をとり出し)洗浄等の精製、乾燥を行った後、カチオン性置換基の置換度を求める方法に従い滴定を行い、滴定数とさきに得られたスルホアルキル基の置換度からカチオン性置換基の置換度を算出した。またスルホアルキル基の置換度がカチオン性置換基の置換度より大きい場合は、スルホアルキル基の置換度は上記方法により求めたが、カチオン性置換基の置換度に関しては、カチオン化反応終了後(更に疎水化反応を行う場合は一部とり出し)精製、乾燥を行い、スルホアルキル基の置換度を求める方法に従い滴定を行い、滴定数と先に得られたスルホアルキル基の置換度からカチオン性置換基の置換度を算出した。
また、カチオン化、スルホン化の順で反応を行い、スルホアルキル基の置換度がカチオン性置換基の置換度より小さい場合は、カチオン化反応の後、一部をとり出し、精製、乾燥を行い、上記方法によりカチオン性置換基の置換度を算出し、スルホン化反応終了後(更に疎水化反応を行う場合には一部をとり出し)精製、乾燥を行った後、カチオン性置換基の置換度を求める方法に従い滴定を行い、滴定数とさきに得られたカチオン性置換基の置換度からスルホアルキル基の置換度を算出した。またスルホアルキル基の置換度がカチオン性置換基の置換度より大きい場合は、カチオン性置換基の置換度は上記方法により求めたが、スルホアルキル基の置換度に関しては、スルホン化反応終了後(更に疎水化反応を行う場合には一部をとり出し)精製、乾燥を行い、スルホアルキル基の置換度を求める方法に従い滴定を行い、滴定数と先に得られたカチオン性置換基の置換度から、スルホアルキル基の置換度を算出した。
【0053】
以下の実施例において「置換度」とは、構成単糖残基当たりの置換基の平均数を示す。
【0054】
実施例1
(1)重量平均分子量約80万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC−QP15000H,ユニオンカーバイド社製)80g、80%イソプロピルアルコール640g及び48%水酸化ナトリウム水溶液5.5gを混合してスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間攪拌した。この溶液にステアリルグリシジルエーテル2.5gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物を濾別した。反応生成物を80%イソプロピルアルコール500gで2回、イソプロピルアルコール500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体74.3gを得た。
【0055】
(2)(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体35.0g、70%イソプロピルアルコール350g及び48%水酸化ナトリウム水溶液2.4gを混合してスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した。反応液に60%(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド70mg及び48%水酸化ナトリウム水溶液20mgを加え、50℃で1時間カチオン化を行った。更に3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム42.6g及び48%水酸化ナトリウム水溶液18.0gを加え、50℃で5時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物を濾別した。生成物を70%イソプロピルアルコール400gで3回、イソプロピルアルコール300gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、ステアリルグリセリルエーテル基、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基及び3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物1)38.3gを得た。
【0056】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体のステアリルグリセリルエーテル基の置換度は0.0031、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基の置換度は0.001、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基の置換度は0.301であった。
【0057】
実施例2
(1)重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC−QP100M,ユニオンカーバイド社製)80g、80%イソプロピルアルコール640g及び48%水酸化ナトリウム水溶液5.5gを混合してスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間攪拌した。この溶液にステアリルグリシジルエーテル0.84gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物を濾別した。反応生成物を80%イソプロピルアルコール500gで2回、イソプロピルアルコール500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体72.8gを得た。
【0058】
(2)(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体20.0g、70%イソプロピルアルコール200g及び48%水酸化ナトリウム水溶液1.37gを混合してスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した。反応液に60%(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド48mg及び48%水酸化ナトリウム水溶液14mgを加え、50℃で1時間カチオン化を行った。更に3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム4.1g及び48%水酸化ナトリウム水溶液1.73gを加え、50℃で3時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物を濾別した。生成物を70%イソプロピルアルコール400gで3回、イソプロピルアルコール300gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、ステアリルグリセリルエーテル基、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基及び3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物2)19.4gを得た。
【0059】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体のステアリルグリセリルエーテル基の置換度は0.0010、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基の置換度は0.002、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基の置換度は0.078であった。
【0060】
実施例3
(1)重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC−QP100M,ユニオンカーバイド社製)80g、80%イソプロピルアルコール640g及び48%水酸化ナトリウム水溶液5.5gを混合してスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間攪拌した。この溶液にステアリルグリシジルエーテル1.7gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物を濾別した。反応生成物を80%イソプロピルアルコール500gで2回、イソプロピルアルコール500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体73.4gを得た。
【0061】
(2)(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体20.0g、70%イソプロピルアルコール200g及び48%水酸化ナトリウム水溶液1.4gを混合してスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した。反応液に60%(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド48mg及び48%水酸化ナトリウム水溶液14mgを加え、50℃で1時間カチオン化を行った。更に3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム4.7g及び48%水酸化ナトリウム水溶液1.96gを加え、50℃で3時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物を濾別した。生成物を70%イソプロピルアルコール400gで3回、イソプロピルアルコール300gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、ステアリルグリセリルエーテル基、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基及び3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物3)19.0gを得た。
【0062】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体のステアリルグリセリルエーテル基の置換度は0.0019、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基の置換度は0.002、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基の置換度は0.105であった。
【0063】
実施例4
(1)重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC−QP100H,ユニオンカーバイド社製)80g、80%イソプロピルアルコール640g及び48%水酸化ナトリウム水溶液5.5gを混合してスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間攪拌した。この溶液にステアリルグリシジルエーテル2.5gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物を濾別した。反応生成物を80%イソプロピルアルコール500gで2回、イソプロピルアルコール500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体76.3gを得た。
【0064】
(2)(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体35.0g、70%イソプロピルアルコール350g及び48%水酸化ナトリウム水溶液2.4gを混合してスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した。反応液に60%(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド6.0g及び48%水酸化ナトリウム水溶液1.74gを加え、50℃で3時間カチオン化を行った。更に3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム3.6g及び48%水酸化ナトリウム水溶液1.51gを加え、50℃で5時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物を濾別した。生成物を70%イソプロピルアルコール400gで3回、イソプロピルアルコール300gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、ステアリルグリセリルエーテル基、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基及び3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物4)38.3gを得た。
【0065】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体のステアリルグリセリルエーテル基の置換度は0.0031、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基の置換度は0.045、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基の置換度は0.040であった。
【0066】
実施例5
(1)重量平均分子量約80万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC−QP15000H,ユニオンカーバイド社製)80g、80%イソプロピルアルコール640g及び48%水酸化ナトリウム水溶液5.5gを混合してスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間攪拌した。この溶液にステアリルグリシジルエーテル2.5gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物を濾別した。反応生成物を80%イソプロピルアルコール500gで2回、イソプロピルアルコール500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体75.3gを得た。
【0067】
(2)(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体35.0g、70%イソプロピルアルコール350g及び48%水酸化ナトリウム水溶液2.4gを混合してスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した。反応液に60%(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド10.5g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3.0gを加え、50℃で1時間カチオン化を行った。更に3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム17.2g及び48%水酸化ナトリウム水溶液7.2gを加え、50℃で5時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物を濾別した。生成物を70%イソプロピルアルコール400gで3回、イソプロピルアルコール300gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、ステアリルグリセリルエーテル基、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基及び3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物5)37.3gを得た。
【0068】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体のステアリルグリセリルエーテル基の置換度は0.0030、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基の置換度は0.13、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基の置換度は0.16であった。
【0069】
実施例6
(1)重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC−QP100MH,ユニオンカーバイド社製)80g、80%イソプロピルアルコール640g及び48%水酸化ナトリウム水溶液5.5gを混合してスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間攪拌した。この溶液にドデシルグリシジルエーテル4.82g(純度83%)を加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物を濾別した。反応生成物を80%イソプロピルアルコール500gで2回、イソプロピルアルコール500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体76.3gを得た。
【0070】
(2)(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体35.0g、70%イソプロピルアルコール350g及び48%水酸化ナトリウム水溶液2.4gを混合してスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した。反応液に60%(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド140mg及び48%水酸化ナトリウム水溶液40mgを加え、50℃で1時間カチオン化を行った。更に3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム28.3g及び48%水酸化ナトリウム水溶液12.0gを加え、50℃で3時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物を濾別した。生成物を70%イソプロピルアルコール400gで3回、イソプロピルアルコール300gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、ドデシルグリセリルエーテル基、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基及び3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物6)38.3gを得た。
【0071】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体のドデシルグリセリルエーテル基の置換度は0.0132、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基の置換度は0.002、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基の置換度は0.223であった。
【0072】
実施例7
(1)重量平均分子量約80万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC−QP1500H,ユニオンカーバイド社製)50.0g、80%イソプロピルアルコール400g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3.4gを混合してスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間攪拌した。この溶液にオクチルブロマイド40.6gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物を濾別した。反応生成物を80%イソプロピルアルコール500gで2回、イソプロピルアルコール500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体61.6gを得た。
【0073】
(2)(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体35.0g、70%イソプロピルアルコール350g及び48%水酸化ナトリウム水溶液2.3gを混合してスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した。反応液に60%(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド0.305g及び48%水酸化ナトリウム水溶液90mgを加え、50℃で1時間カチオン化を行った。更に3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム28.3g及び48%水酸化ナトリウム水溶液12.0gを加え、50℃で3時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物を濾別した。生成物を70%イソプロピルアルコール600gで3回、イソプロピルアルコール400gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、オクチルエーテル基、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基及び3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物7)24.8gを得た。
【0074】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体のオクチルエーテル基の置換度は0.296、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基の置換度は0.005、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基の置換度は0.21であった。
【0075】
実施例8
(1)重量平均分子量約40万、メチル基の置換度1.8のメチルセルロース(メトローズSM−800,信越化学工業社製)60g、90%tert−ブチルアルコール600g及び48%水酸化ナトリウム水溶液5.7gを混合してスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間攪拌した。この溶液にステアリルグリシジルエーテル3.8gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物を濾別した。反応生成物をイソプロピルアルコール500gで3回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたメチルセルロース誘導体53.6gを得た。
【0076】
(2)(1)で得られた疎水化メチルセルロース誘導体35.0g、80%tert−ブチルアルコール350g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.33gを混合してスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した。反応液に60%(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド5.6g及び48%水酸化ナトリウム水溶液1.6gを加え、50℃で3時間カチオン化を行った。更に25%ビニルスルホン酸ナトリウム72.8g及びtert−ブチルアルコール220gを加え、50℃で3時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物を濾別した。生成物を70%イソプロピルアルコール300gで3回、イソプロピルアルコール300gで4回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、ステアリルグリセリルエーテル基、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基及びスルホエチル基で置換されたメチルセルロース誘導体(本発明化合物8)33.6gを得た。
【0077】
得られたメチルセルロース誘導体のステアリルグリセリルエーテル基の置換度は0.00277、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基の置換度は0.029、スルホエチル基の置換度は0.19であった。
【0078】
実施例9
(1)重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC−QP100MH,ユニオンカーバイド社製)50g、70%イソプロピルアルコール500g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3.45gを混合してスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間攪拌した。この溶液に60%(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド7.48g及び48%水酸化ナトリウム水溶液2.16gを加え、50℃で3時間反応させてカチオン化を行った。カチオン化反応終了後、反応液を濾過し、反応生成物を濾別した。反応生成物を70%イソプロピルアルコール300gで3回、イソプロピルアルコール200gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、カチオン化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体47.6gを得た。
【0079】
(2)(1)で得られたカチオン化ヒドロキシエチルセルロース誘導体30.0g、ピリジン70g及びイオン交換水5gを混合してスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間攪拌した。この溶液を10℃以下になるまで冷却した後、ドデカン酸クロリド13.6gを滴下し、更に溶液を昇温し、90℃で5時間疎水化を行った。反応終了後、反応液を80%イソプロピルアルコール500gに加え、生じた固体を濾別し、80%イソプロピルアルコール400gで3回、イソプロピルアルコール300gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、カチオン化及び疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体28.5gを得た。
【0080】
(3)(2)で得られたカチオン化及び疎水化したヒドロキシエチルセルロース誘導体20.0g、70%イソプロピルアルコール200g及び48%水酸化ナトリウム水溶液1.4gを混合してスラリー液を調製し、窒素気流下室温で20分間攪拌した。反応液に3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム7.8g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3.3gを加え、50℃で3時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物を濾別した。生成物を70%イソプロピルアルコール600で3回、イソプロピルアルコール400gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、ドデシルエステル基、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基及び3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基で置換されたヒドロキシエチルセルロース誘導体(本発明化合物9)19.0gを得た。
【0081】
得られたヒドロキシエチルセルロース誘導体のドデシルエステル基の置換度は0.051、2−ヒドロキシ−3−トリメチルアンモニウムプロピル基の置換度は0.049、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基の置換度は0.172であった。
【0082】
比較例1
重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC−QP100MH,ユニオンカーバイド社製)をそのまま用いて比較化合物1とした。
【0083】
試験例1 増粘性試験
本発明化合物及び比較化合物各1.0gをそれぞれ200mlのイオン交換水に攪拌溶解し、室温で1昼夜放置後、各水溶液の粘度を測定した。また、本発明化合物及び比較化合物各1.0gを200mlの3.0重量%塩化ナトリウム水溶液に攪拌溶解し、室温で1昼夜放置後、各水溶液の粘度を測定した。なお、粘度はブルックフィールド粘度計(12rpm,25℃)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
Figure 0004054415
【0085】
本発明の新規多糖誘導体は、透明性の高い水溶液を与えると共に、表1から明らかなように高イオン強度下で優れた増粘性を有するものであった。
【0086】
実施例10 モルタル
以下の処方でモルタルを調製した。このモルタルは調製時の骨材の分散安定性に優れ、かつ高い流動性を有した良好なものであった。
水 350g
セメント 700g
砂 1850g
分散剤(マイティ3000s,花王社製) 11.9g
本発明化合物1 0.14g
【0087】
【発明の効果】
本発明の新規多糖誘導体は、水溶液に優れ、高イオン強度下において少量の添加で優れた増粘効果を示し、粉体の共存や温度による粘度変化が少なく、優れた分散安定化作用を有する。従って、本発明の新規多糖誘導体は、建築材料を始め、化粧品、トイレタリー製品等の増粘剤、ゲル化剤、賦形剤、エマルジョン安定剤、分散剤等として広く利用することができる。

Claims (5)

  1. 多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子の一部又は全てが、次の基(A)、(B)及び(C)
    (A)ヒドロキシル基が置換していてもよく、またオキシカルボニル基(−COO−又は−OCO−)又はエーテル結合が挿入されていてもよい炭素数10〜43の直鎖又は分岐のアルキル基、アルケニル基又はアシル基〔該置換基(A)のヒドロキシル基の水素原子は更に置換基(A)、(B)又は(C)で置換されていてもよい〕
    (B)ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜5のスルホアルキル基又はその塩〔該置換基(B)のヒドロキシル基の水素原子は更に置換基(A)、(B)又は(C)で置換されていてもよい〕
    (C)下記一般式(1)で表わされる基〔該置換基(C)のヒドロキシル基の水素原子は更に置換基(A)、(B)又は(C)で置換されていてもよい〕
    Figure 0004054415
    〔式中、D1 はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレン基を示し、R1 、R2 及びR3 は同一又は異なってヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、X- はヒドロキシイオン、ハロゲンイオン又は有機酸イオンを示す。〕
    で置換されていることを特徴とする新規多糖誘導体。
  2. 置換基(A)による構成単糖残基当たりの平均置換度が0.0001〜1.0であり、置換基(B)による構成単糖残基当たりの平均置換度が0.01〜1.5であり、置換基(C)による構成単糖残基当たりの平均置換度が0.0001〜0.5である請求項1記載の新規多糖誘導体。
  3. 置換基(A)が、ヒドロキシル基が置換していてもよく、エーテル結合が挿入されていてもよい炭素数12〜36の直鎖又は分岐のアルキル基、アルケニル基及びアシル基から選ばれる1種又は2種以上であり、置換基(B)が、2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基及び2−スルホ−1−(ヒドロキシメチル)エチル基から選ばれる1種又は2種以上であり、かつ置換基(C)のD1 がヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数2〜4の直鎖アルキレン基であり、R1 、R2 及びR3 が同一又は異なって炭素数1〜3の直鎖アルキル基である請求項1記載の新規多糖誘導体。
  4. 多糖類又はその誘導体が、セルロース、グアーガム、スターチ、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム及びヒドロキシプロピルメチルスターチからなる群より選ばれるものである請求項1〜3のいずれか1項記載の新規多糖誘導体。
  5. 多糖類又はその誘導体を、(a)炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基を有するグリシジルエーテル、エポキシド、ハライド及びハロヒドリン、並びに炭素数10〜40の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のアシル基を有するエステル、酸ハライド及びカルボン酸無水物から選ばれる疎水化剤、(b)ビニルスルホン酸、ヒドロキシル基が置換していてもよいハロC1〜C5アルカンスルホン酸及びそれらの塩から選ばれるスルホン化剤、並びに(c)下記一般式(2)
    Figure 0004054415
    〔式中、D2 は炭素数3〜6のエポキシ化アルキル基、又はヒドロキシル基が置換していてもよくかつハロゲン原子が置換した炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基を示し、R1 、R2 及びR3 は同一又は異なってヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、X- はヒドロキシイオン、ハロゲンイオン又は有機酸イオンを示す。〕
    で表わされるカチオン化剤と反応させることを特徴とする多糖誘導体の製造方法。
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