JP4054404B2 - 新規多糖誘導体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な多糖誘導体、更に詳しくは、水溶液としたとき透明性に優れ、金属塩の共存や温度の変化による水溶液粘度の変化が少なく、良好な流動性を示す新規多糖誘導体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築材料、水溶性塗料、化粧品、トイレタリー製品、外用医薬品等の重要な構成成分の一つとして、種々のセルロースエーテル類が、増粘剤、ゲル化剤、賦形剤、エマルジョン安定剤、凝集剤として広く利用されている。このようなセルロースエーテルとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース等の水溶性非イオン性セルロースエーテル、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のイオン性セルロースエーテルなどが市販され、用いられている。
【0003】
これらセルロースエーテル類は、カーボポール等のポリアクリル酸系の増粘剤に比べて無機金属塩類、有機金属塩類共存系での水溶液の粘度安定性には比較的優れてはいるものの、同一水溶液濃度での増粘性が低く、しかも、増粘剤あるいは分散安定剤として製品に配合した場合、温度変化に伴う粘度変化が大きいという欠点があった。
【0004】
これに対し、例えば特開昭55-110103号公報、特開昭56-801号公報等には、非イオン性水溶性セルロースエーテルの一部に炭素数10〜24の長鎖アルキル基を導入した疎水化非イオン性セルロース誘導体が、水に少量混和して比較的高い増粘性を示すことが開示されている。また特開平3-12401号公報、特開平3-141210号公報、特開平3-141214号公報、特開平3-218316号公報等に見られるように、これらのアルキル置換セルロース誘導体を外用医薬品、化粧品等に応用しようとする試みがなされている。しかし、これらアルキル置換セルロース誘導体は、上記セルロースエーテル類に比べて優れた増粘性を示すものの、水溶性に乏しく製品に配合する際、均一に溶解させるのに長時間を要したり、あるいは経日的な粘度安定性が悪いなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
建築材料や水溶性塗料等に用いられる理想的な増粘剤としては、容易に溶解し、高い分散安定化能を有し、かつ建築材料の流動性を損なわないことや共存する金属塩、界面活性剤その他の添加物や、温度、pHの変化による粘度への影響が少ないこと、微生物抵抗に優れることなどが挙げられる。しかし、上記のセルロースエーテル類やアルキル置換セルロース誘導体は、これらの要求性能の全てを十分に満たすものではなかった。
【0006】
従って、本発明は、粘度が無機金属塩、有機金属塩、温度、pH等の影響を受けにくく、しかも建築材料等に使用した場合、良好な流動性を示し、かつ分散安定性を発揮する新規多糖誘導体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意研究を行った結果、多糖類のヒドロキシル基の水素原子を、特定のスルホン酸基を含む置換基で置換し、所望により更にポリオールポリグリシジルエーテル類で架橋した新規多糖誘導体が、水溶性に優れ、しかも無機金属塩、有機金属塩、pH、温度等の影響を受けにくく安定な増粘性を示し、かつ優れた分散安定化作用を示し、更に建築材料や水溶性塗料等に使用した場合、良好な分散安定性と流動性を併せ持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子の一部又は全てが、(A)ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜5のスルホアルキル基又はその塩(置換基(A))で置換されており、該置換基(A)による構成単糖残基当たりの平均置換度が0.01〜2.0であることを特徴とする新規多糖誘導体及びその製造方法を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子の一部又は全てが、(A)ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜5のスルホアルキル基又はその塩(置換基(A))で置換されており、該置換基(A)による構成単糖残基当たりの平均置換度が0.01〜2.0であって、更に残存するヒドロキシル基がポリオールポリグリシジルエーテル類(ここで、該ポリオールポリグリシジルエーテルはそのヒドロキシル基上に置換基(A)が置換していてもよい)により架橋されていることを特徴とする多糖誘導体及びその製造方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の新規多糖誘導体は、多糖類又はその誘導体としてセルロース類を用いた場合を例に挙げれば、その繰返し単位は次のような一般式で示されるか、又はそのポリオールポリグリシジルエーテル類による架橋物として例示される。
【0011】
【化1】
【0012】
〔式中、Rは同一又は異なって、(1):水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等、(2):ヒドロキシル基が置換してもよいスルホアルキル基(A)から選ばれる基を示し、Aは同一又は異なって、炭素数2〜4のアルキレン基を示し、a、b及びcは、同一又は異なって0〜10の数を示す。AO基、R基、a、b及びcは、繰り返し単位内で又は繰り返し単位間で同一でも異なってもよいが、置換基(A)の構成単糖残基当たりの置換度は、平均して0.01〜2.0であり、残部は基(1)である。〕
【0013】
本発明の多糖誘導体においては、上記一般式で表されるくり返し単位におけるRとして、ヒドロキシル基が置換していてもよいスルホアルキル基(A)を含むが、ただし、同一のくり返し単位中に必ず(A)が存在しなくてもよい。一分子全体として見た時に、(A)が置換基として導入されていればよい。その置換度が平均して、くり返し単位1個あたり0.01〜2.0である。残りのRは前記水素、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等である。
【0014】
ヒドロキシル基が置換してもよいスルホアルキル基(A)としては、2-スルホエチル基、3-スルホプロピル基、3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基、2-スルホ-1-(ヒドロキシメチル)エチル基等が挙げられ、安定面や製造面より3-スルホ-2-ヒドロキシプロピル基が好ましい。これら置換基(A)は、その全てあるいは一部がNa、K等のアルカリ金属、Ca、Mg等のアルカリ土類金属類、アミン類等の有機カチオン基、アンモニウムイオンなどとの塩となっていてもよい。これら置換基(A)は、多糖分子に直接結合しているヒドロキシル基の水素原子のみならず、多糖分子に結合しているヒドロキシエチル基やヒドロキシプロピル基のヒドロキシル基の水素原子と置換してもよい。これら置換基(A)による置換度は、構成単糖残基当たり0.01〜2.0の範囲内で、適宜調整できるが、構成単糖残基当たり0.01〜0.5の範囲が好ましい。
【0015】
また、ポリオールポリグリシジルエーテル類により架橋された本発明多糖誘導体は、前記くり返し単位中のヒドロキシル基の一部がポリオールポリグリシジルエーテル類によって架橋されたものである。該架橋基の例としては、下記に示す基及び下記式中のヒドロキシル基上に前記置換基(A)が置換した基が挙げられる。
【0016】
【化2】
【0017】
(式中、m及びnはそれぞれm=2〜500、n=2〜20の数を示し、矢印はこの部分が糖残基のヒドロキシル基の酸素原子と結合していることを示す)
【0018】
また該架橋基は、多糖誘導体の分子内架橋であっても、分子間架橋でもよいが、主に分子間架橋であるのが好ましい。架橋率、すなわち、架橋されているヒドロキシル基の比率は、増粘性及び水に対する溶解性の点から、架橋前の化合物の全ヒドロキシル基の0.001〜5%が好ましく、0.001〜1%が特に好ましい。
【0019】
本発明多糖誘導体のうち、置換基(A)を有する化合物は、例えば多糖類又はその誘導体を、(a)ビニルスルホン酸、ヒドロキシル基が置換していてもよいハロC1〜C5アルカンスルホン酸及びそれらの塩から選ばれるスルホン化剤と反応させる(スルホン化反応)ことにより製造される。
【0020】
また、ポリオールポリグリシジルエーテル類で架橋された化合物は、例えば多糖類又はその誘導体を、(a)ビニルスルホン酸、ヒドロキシル基が置換していてもよいハロC1〜C5アルカンスルホン酸及びそれらの塩から選ばれるスルホン化剤、並びに(b)ポリオールポリグリシジルエーテル類と反応させることにより製造される。ここで、スルホン化剤との反応(スルホン化反応)と、ポリオールポリグリシジルエーテル類との反応(架橋反応)とは、同時に行ってもよいが、スルホン化反応後架橋反応を行ってもよいし、また架橋反応後スルホン化反応を行ってもよい。ここで、スルホン化反応と架橋反応を同時に行うか、又は架橋反応後スルホン化反応を行った場合には、架橋ポリオールポリグリシジルエーテルのヒドロキシル基上にスルホン化が生起し、置換基(A)が置換する。
【0021】
本発明に用いられる多糖類又はその誘導体としては、セルロース、グアーガム、スターチ、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルメチルスターチ等が挙げられ、なかでもセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、特にヒドロキシエチルセルロースが好ましい。また、これらの多糖類のメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等の置換基は、単一の置換基で置換されたものでもよいし、複数の置換基で置換されたものでもよく、その構成単糖残基当たりの置換度は0.1〜10、特に0.5〜5が好ましい。また、これら多糖類又はその誘導体の重量平均分子量は、1万〜1000万、更に10万〜500万、特に50〜200万の範囲のものが好ましい。
【0022】
以下、スルホン化反応と架橋反応に分けて説明する。なお、前述のように架橋化物として多糖誘導体を得る時は、架橋化反応とスルホン化反応はいずれを先に行ってもよく、また同時に行ってもよい。
【0023】
〈スルホン化反応〉
多糖類又は架橋化多糖類のスルホン化反応は、多糖類又は架橋化多糖類を適当な溶媒に溶解又は分散させて、スルホン化剤と反応させることにより行われる。
【0024】
スルホン化剤のうち、ヒドロキシル基が置換していてもよいハロC1〜C5アルカンスルホン酸における置換ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。スルホン化剤としては、ビニルスルホン酸、3-ハロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、3-ハロプロパンスルホン酸が好ましく、これらスルホン化剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。スルホン化剤の使用量は、多糖類又はその誘導体へのスルホン酸基の所望する導入量によって適宜調整できるが、通常、多糖類又は架橋化多糖類の構成単糖残基当たり、0.01〜10.0当量が好ましい。
【0025】
スルホン化反応は、必要に応じてアルカリ存在下で行うのが好ましく、かかるアルカリとしては特に限定されないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等が挙げられ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が好ましい。アルカリの使用量は、用いるスルホン化剤に対して1.0〜3.0モル倍量、特に1.05〜1.5モル倍量が良好な結果を与え、好ましい。
【0026】
溶媒としては、低級アルコール、例えばイソプロピルアルコール、tert-ブチルアルコール等が挙げられる。また、多糖類又は架橋化多糖類とスルホン化剤との反応性を高める目的で、低級アルコールに対し、0.1〜100重量%、更に好ましくは1〜50重量%の水を加えた混合溶媒を用いて反応を行ってもよい。
【0027】
反応温度は0〜150℃、特に30〜100℃の範囲が好ましい。反応終了後は、酸を用いてアルカリを中和する。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸を用いることができる。また途中で中和することなく次の反応を行ってもよい。
【0028】
このようにして得られたスルホン化多糖類を続いて架橋化反応に用いる場合には、中和せずそのまま用いることができるほか、必要に応じろ過などにより分別したり、熱水、含水イソプロピルアルコール、含水アセトン溶媒等で洗浄して未反応のスルホン化剤や中和等により副生した塩類を除去して使用することもできる。なお、既にスルホン化反応の前に架橋化反応を行っている場合は、ろ過などによる分別後、必要に応じて洗浄、中和等を行った後、乾燥して本発明の新規多糖誘導体を得ることができる。
【0029】
〈架橋反応〉
多糖類又はスルホン化多糖類の架橋反応は、無溶媒か又は多糖類又はスルホン化多糖類を適当な溶媒に溶解又は分散させて、ポリオールポリグリシジルエーテル類と反応させることにより行われる。
【0030】
ポリオールポリグリシジルエーテル類の使用量は、多糖類又はその誘導体への所望する架橋度によって適宜調整できるが、架橋前の化合物の全てのヒドロキシル基に対して0.001〜20モル%、特に0.001〜5モル%が好ましい。
【0031】
架橋反応は、アルカリ触媒存在下又は酸触媒存在下何れの条件でも行うことができるが、スルホン化反応を共通したアルカリ触媒を用いることで、両反応を途中で精製単離することなく、連続もしくは同時に行える。
【0032】
かかるアルカリとしては特に限定されないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等が挙げられ、なかでも水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が好ましい。アルカリの使用量は、用いる架橋化剤に対して0.01〜1.0モル倍量が良好な結果を与え、好ましいが、スルホン化反応と併用する場合には、スルホン化反応のアルカリ使用量に合わせてもよい。
【0033】
本反応は無溶媒でも行えるが、スルホン化多糖類を用いるか又は、スルホン化を同時に行う際や又、多糖類の架橋化反応から続けてスルホン化を行う際には、多糖類の反応性を向上する目的から溶媒を用いることが望ましい。
【0034】
溶媒としては、低級アルコール、例えばイソプロピルアルコール、tert-ブチルアルコール等が挙げられる。また、多糖類又はスルホン化多糖類と架橋化剤との反応性を高める目的で、低級アルコールに対し、0.1〜100重量%、更に好ましくは1〜50重量%の水を加えた混合溶媒を用いて反応を行ってもよい。
【0035】
反応温度は0〜150℃、特に30〜100℃の範囲が好ましい。反応終了後は、酸を用いてアルカリを中和する。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸を用いることができる。また途中で中和することなく次の反応を行ってもよい。
【0036】
このようにして得られた架橋化多糖類を続いてスルホン化反応に用いる場合には、中和せずそのまま用いることができるほか、必要に応じろ過などにより分別したり、熱水、含水イソプロピルアルコール、含水アセトン溶媒等で洗浄して未反応の架橋化剤や中和等により副生した塩類を除去して使用することもできる。なお、既に架橋反応の前にスルホン化反応を行っている場合は、ろ過などによる分別後、必要に応じて洗浄、中和等を行った後、乾燥して本発明の新規多糖誘導体を得ることができる。
【0037】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
実施例1
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP100MH,ユニオンカーバイド社製)30g,70%イソプロピルアルコール(水30%)300g及び48%水酸化ナトリウム水溶液2.1gを加えてスラリー液を調製し、ちっ素雰囲気下室温で30分間攪拌した。これに3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム(東京化成品)6.14gを加え、更に48%NaOH 2.59gを加え、50℃で3時間、攪拌した。放冷後、反応液を塩酸で中和し、生成物をろ別した。生成物を70%イソプロピルアルコール(水30%)340gで2回洗浄し、次いでイソプロピルアルコール150gで2回洗浄後、減圧下70℃で8時間乾燥し、スルホン化多糖(本発明品1)24.1gを得た。
得られたスルホン化多糖のスルホン化度は、コロイド滴定法により0.143であった。
【0039】
実施例2
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP100MH,ユニオンカーバイド社製)30g、70%イソプロピルアルコール(水30%)300g及び48%水酸化ナトリウム水溶液2.1gを加えてスラリー液を調製し、ちっ素雰囲気下室温で30分間攪拌した。これに3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム(東京化成品)1.54gを加え、更に48%NaOH 0.64gを加え、50℃で3時間、攪拌した。放冷後、反応液を塩酸で中和し、生成物をろ別した。生成物を70%イソプロピルアルコール(水30%)340gで2回洗浄し、次いでイソプロピルアルコール150gで2回洗浄後、減圧下70℃で8時間乾燥し、スルホン化多糖(本発明品2)23.5gを得た。
得られたスルホン化多糖のスルホン化度は、コロイド滴定法により0.029であった。
【0040】
実施例3
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP100MH,ユニオンカーバイド社製)30g、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(SR-2EG, 阪本薬品製)1.0g、70%イソプロピルアルコール(水30%)300g及び48%水酸化ナトリウム水溶液2.1gを加えて70℃で10時間攪拌した。これに3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム(東京化成品)6.14gを加え、更に48%NaOH 2.59gを加え、50℃で3時間、攪拌した。放冷後、反応液を塩酸で中和し、生成物をろ別した。生成物を70%イソプロピルアルコール(水30%)340gで2回洗浄し、次いでイソプロピルアルコール150gで2回洗浄後、減圧下70℃で8時間乾燥し、架橋化スルホン化多糖(本発明品3)26.2gを得た。
得られたスルホン化多糖のスルホン化度は、コロイド滴定法により0.101であった。
【0041】
実施例4
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた500mlのガラス製セパラブル反応容器に重量平均分子量約150万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP100MH,ユニオンカーバイド社製)30g、70%イソプロピルアルコール(水30%)300g及び48%水酸化ナトリウム水溶液2.1gを加えてスラリー液を調製し、ちっ素雰囲気下室温で30分間攪拌した。これにポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(SR-8EG, 阪本薬品製)1.5g、3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム(東京化成品)3.00gを加え、更に48%NaOH 2.59gを加え、70℃で12時間、攪拌した。放冷後、反応液を塩酸で中和し、生成物をろ別した。生成物を70%イソプロピルアルコール(水30%)340gで2回洗浄し、次いでイソプロピルアルコール150gで2回洗浄後、減圧下70℃で8時間乾燥し、スルホン化多糖(本発明品4)20.8gを得た。
得られたスルホン化多糖のスルホン化度は、コロイド滴定法により0.077であった。
【0042】
試験例1 モルタル流動性、分散安定性試験
以下の処方でモルタルを調製し、調製時の骨材分散安定性を目視により、また流動性(フロー)をフロー距離(JIS R 5201)により測定した。
【0043】
【表1】
【0044】
尚、比較品として、本発明品に代えてヒドロキシエチルセルロース(HEC-QP100MH)を用いたモルタルを調製した。表2に結果を示す。
【0045】
流動性は、以下の基準により評価した。
フロー距離:
60cm以上・・・・・・・・・良好
55cm以上60cm未満・・・・・やや良好
55cm未満・・・・・・・・・不十分
【0046】
【表2】
【0047】
表2から明らかなように、本発明の新規多糖誘導体は、高いイオン強度下でも優れた溶解性と分散安定性及び良好な流動性を発揮でき、増粘分散剤として優れた性能を有している。
【0048】
【発明の効果】
本発明の新規多糖誘導体は、塩類の共存下でも優れた分散安定性と良好な流動性を与えることから建築材料、水溶性塗料、土壌改質材や化粧品、トイレタリー製品、外用医薬品として広く利用することができる。
Claims (5)
- 多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子の一部又は全てが、(A) 3- スルホ -2- ヒドロキシプロピル基又はその塩(置換基(A))で置換されており、該置換基(A)による構成単糖残基当たりの平均置換度が0.01〜2.0であることを特徴とする多糖誘導体。
- 多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子の一部又は全てが、(A) ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜5のスルホアルキル基又はその塩(置換基(A))で置換されており、該置換基(A)による構成単糖残基当たりの平均置換度が0.01〜2.0であって、更に残存するヒドロキシル基がポリオールポリグリシジルエーテル類(ここで、該ポリオールポリグリシジルエーテルはそのヒドロキシル基上に前記置換基(A)が置換していてもよい)により架橋されていることを特徴とする多糖誘導体。
- 多糖類又はその誘導体が、セルロース、グアーガム、スターチ、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム及びヒドロキシプロピルメチルスターチからなる群より選ばれるものである請求項1又は2記載の多糖誘導体。
- 多糖類又はその誘導体を、(a) 3- ハロ -2- ヒドロキシプロパンスルホン酸又はその塩と反応させることを特徴とする請求項1記載の多糖誘導体の製造方法。
- 多糖類又はその誘導体を、(a)ビニルスルホン酸、ヒドロキシル基が置換していてもよいハロC1〜C5アルカンスルホン酸及びそれらの塩から選ばれるスルホン化剤、並びに(b)ポリオールポリグリシジルエーテル類と反応させることを特徴とする請求項2記載の多糖誘導体の製造方法。
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