JP4051756B2 - 車間距離制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車間距離制御装置に関し、特に車間距離測定手段により測定された前車と自車との実車間距離が安全車間距離より小さくなったときに車両制動手段を作動させ該実車間距離が該安全車間距離以下にならないように制御する車間距離制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4には、上記のように実車間距離と安全車間距離との関係により車間距離制御を行う従来技術の動作概念図が示されている。
【0003】
すなわち、車間距離測定手段(図示せず)により測定された前車と自車との実車間距離▲1▼が同図(1)に示すように変動し、予め設定された安全車間距離▲2▼を下回ったとき、同図(2)に示すように時刻t1からt7の間において所定の減速度が発生されるように車両制動手段(図示せず)を制御している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような車間距離制御装置においては、実車間距離▲1▼が安全車間距離▲2▼以下になったことを検出して突然ある大きさの制動力を発生させる為、急激に制動力が掛かり乗り心地が悪くなってしまう。
【0005】
すなわち、図5に示すように、人間の制動時の挙動特性▲6▼は、まず時刻t1において制動が開始すると、時刻t2においてアクセクペダルから足が離れ、時刻t3においてブレーキペダルに足が載せられ、そして時刻t4において減速が開始される。
【0006】
そして、時刻t5において主要制動が開始され、時刻t6において制動が終了して、時刻t7において減速が終了するような特性がドライバのフィーリングに合った立ち上がり及び立ち下がり特性を有する制動動作である。
【0007】
従って、上記のような従来技術では設定された減速度の固定値をパルス状に出力している為、急激に制動力が発生してしまうとともに、制動力の解除も急激に行われる為、車両挙動に違和感が生じフィーリングも悪かった。
【0008】
このような、急激な制動力の発生を解消した従来技術として特開平4-254240号公報がある。この従来技術においては、車速センサ及び車間距離センサからの検出出力を取り込み、前車との相対速度を演算し、この演算された相対速度と車間距離センサの出力により求めた車間距離とに対応してブレーキ制御の程度を少ない段階(例えば3段階)に区分した制御テーブルを参照し、ブレーキ制御出力を演算して送出する車間距離制御装置が提案されている。
【0009】
しかしながらこのような従来技術においても、制動力が段階的に付与されるので、やはり上記のようなドライバのフィーリングに対する影響を除去することが出来ないという課題があった。
【0010】
従って本発明は、車間距離測定手段により測定された前車と自車との実車間距離が安全車間距離より小さくなったときに車両制動手段を作動させ該実車間距離が該安全車間距離以下にならないように制御手段が制御する車間距離制御装置において、制動動作を階段的に行わないようにする(連続的に変化させる)ことによりドライバのフィーリングに合った減速度を実現することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る車間距離制御装置は、該制御手段は、第1の安全車間距離と、これより小さい第2の安全車間距離を設定し、該第1及び第2の安全車間距離を、前車と自車との相対速度と予め設定した初期減速度及び最大減速度から算出し、該実車間距離が、該第1の安全車間距離より大きな値から減少して該第 1 の安全車間距離に達した時点で予め該最大減速度より小さな値に設定された該初期減速度を与え、該実車間距離が、該第1の安全車間距離と該第2の安全車間距離との間にあるときには、該初期減速度と該最大減速度との間で所定周期毎に逐次検出した該実車間距離と該相対速度に基づいて演算した該相対速度が 0 になるような所望の減速度を与え、該実車間距離が該第2の安全車間距離以下のときには該最大減速度を与えるように該車両制動手段を制御することを特徴としている。
【0012】
すなわち本発明においては、車間距離測定手段により前車と自車の実車間距離と相対速度を求める。
【0013】
そして、測定された前車と自車との実車間距離が、該第 1 の安全車間距離に、これより大きな値から減少して達した時点で予め最大減速度より小さな値に設定された初期減速度を与える。そして、該実車間距離が予め設定しておいた安全車間距離としての第1及び第2の安全車間距離の間にあるときには、この相対速度が0になるように車両制動手段を制御することにより制動力を発生させる。つまり、結果的に、時間軸でみると、相対速度が連続的に減少することになる。
【0014】
また、該実車間距離が該第2の値以下のときには危険な状態であるので所定の最大の制動力を発生させるように車両制動手段を制御する。
【0015】
このように本発明では、該初期減速度と所望減速度と最大減速度が連続性を有すると共に、制動制御を行うに際し「制動の掛け始めのショックを減少させる」とともに、その後の最大制動力あるいは制動力の解除に至るまでの間に所定周期毎に適切にその大きさが調節されて、あたかも「人間の制動時の挙動特性」に類似させて「ドライバーのフィーリングに合っ」た制動制御とすることができる。しかも、走行状況に応じた減速度をリニアに可変出来ドライバのフィーリングに合う減速度が得られる。
【0016】
なお、該制御手段は、該相対速度を0にするため、車両減速度をK・V2/2D(K:定数、V:測定時点での相対速度、D:測定時点での車間距離)に制御することができる。
【0017】
また、該制御手段は、該第1及び第2の安全車間距離を、該相対速度と予め設定した初期減速度及び最大減速度から算出することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る車間距離制御装置の一実施例を示したものである。この実施例において、1は車間距離センサを示し、車速センサ2とともにコントローラ3に接続されている。コントローラ3は更にフットブレーキ駆動回路4を介してフットブレーキ5に接続されている。
【0019】
このような実施例におけるコントローラ3に格納され且つ実行される制御プログラムのフローチャートが図2に示されており、このフローチャートを参照して以下に本発明の実施例の動作を説明する。
【0020】
まずコントローラ3は、車間距離センサ1から前車と自車との車間距離(図3の実車間距離▲1▼)と相対速度を検出する(ステップS1)。
次に、車速センサ2の出力信号から自車の車速を検出する(ステップS2)。
【0021】
次に、コントローラ3は第1及び第2の安全車間距離を算出する(ステップS3)。第1の安全車間距離は初期安全車間距離(図3▲2▼)であり、第2の安全車間距離は所望安全車間距離(同▲3▼)である。第2の安全車間距離は第1の安全車間距離より小さい値を有する。
【0022】
ここで、これらの安全車間距離の算出方法について説明する。
まず、速度v、減速度gで走行する車両がt時間で進む距離yは次式で表される。
【数1】
【0023】
そして、速度vが0となって車両停止するまでに必要な時間Tは次式で表される。
【数2】
【0024】
従って、該車両停止までに必要な距離Yは上記の式(1)及び(2)より次式により得られる。
【数3】
【0025】
ここで、ある時刻で測定した相対速度がVであるとすると、V→0となるのに必要な距離Y’は上記の式(3)から次式により求められる。
【数4】
【0026】
この式(4)において、車間距離Dがこの距離Y’より離れていれば(D>Y’)、次の計測時刻においては衝突しないことになり、距離Y’が安全車間距離に相当する。
【0027】
従って、上記の式(4)における減速度gに初期値を与えれば初期安全車間距離が求められ、また最大値を与えれば所望安全車間距離が求められる。
【0028】
次に、上記のようにして求めた安全車間距離の内、まず初期安全車間距離を実測した車間距離と比較する(ステップS4)。この結果、実測値≦初期値であるときには減速フラグを設定する(ステップS5)。これは、図3における減速開始時点t4以降(範囲b1以降)の状態を示している。実測値>初期値のときにはステップS1に戻る。
尚、このステップS4においては減速フラグが“1”である場合もS5に進む。
【0029】
ステップS5で減速フラグを設定した後、今度は実測値と所望安全車間距離とを比較する(ステップS6)。この結果、実測値≦所望値である場合にはコントローラ3は制動力を最大値Gmaxに設定する(ステップS7)。
【0030】
すなわち、図3においては、実車間距離▲1▼が初期安全車間距離▲2▼だけでなく所望安全車間距離▲3▼をも下回ったことを示しており、このような範囲aにおいては危険な状態であるので最大の減速度▲5▼(同図(2))が得られるように最大制動力Gmaxを用意する。
【0031】
一方、ステップS6において実測値>所望値であることが分かったとき、現在車両は図3に示す範囲b1か又はb2に存在することを示している。すなわち、実車間距離▲1▼は初期安全車間距離▲2▼より小さく所望安全車間距離▲3▼より大きい場合である。
【0032】
このような場合には、まず制動の掛け始めか否かを判定する(ステップS8)。これは、図3において時刻t4からt5における範囲b1における最初の状態を示しており、このような初期状態においては、上記の予め設定された初期の減速度g1を得るためのブレーキ作動量を算出する(ステップS9)。
【0033】
すなわち、このように制動の掛け始めだけ一律に初期減速度g1を発生させるのは、その後、相対車速及び車間距離に基づいて減速度を定めることにより走行条件に関わらず、まず穏やかな減速を行い、その後に最適な減速度を得る減速度を得て制動の掛け始めのショックを減少させるためである。
【0034】
ただし、このステップS8及びステップS9は図2のフローチャートが一定周期で実行されるので最初の実行周期のみこれらのステップを実行するだけであり、次の周期からはステップS8からステップS10に進んでブレーキ作動量を算出する。
【0035】
このステップS10においては、初期安全車間距離(2)と所望安全車間距離(3)の間の減速度αを、実測した車間距離Dとこの車間距離Dから求められる相対速度Vとから逆算する。
すなわち、上記の式(4)においてY’にDを代入して減速度gの式に変形すると、g=α=V2/2Dが求められる。
【0036】
この減速度gは、上記の式(4)で示したように、相対速度Vが“0”となるのに必要な減速度であり、図3における範囲b1,b2においては相対速度Vが“0”となるように連続的に制御されていることを示している。尚、α=K・V2/2Dの定数を用いて安全方向に重み付けしてもよい。
【0037】
このようにして、減速度g=V2/2Dのブレーキ作動量が算出される。
上記のステップS7及びステップS10の後、コントローラ3は自動制動解除条件が成立したか否かを判定する(ステップS11)。これは、図3(2)における時刻t6に示されたように所定の制動解除条件(加速を必要となる状態が発生したような場合)が成立したか否かを判定するものである。
【0038】
この結果、自動制動解除条件が成立した時にはステップS5で設定した減速フラグをリセットし(ステップS12)、ブレーキ作動量を0にクリアする(ステップS13)が、自動制動解除条件が成立していないときにはステップS12,S13をスキップしてステップS7,S10,S9で求めたフットブレーキの作動量をフットブレーキ駆動回路4に与えてフットブレーキ5をその作動量に対応して制御する(ステップS14)。
【0039】
このようにして、図3(2)に示すように時刻t4から減速開始して時刻t7で減速終了するまでの減速度特性▲4▼は図5に示した人間の制動時の挙動特性▲6▼に類似したものとなり、ドライバのフィーリングに合っていることが分かる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る車間距離制御装置によれば、制動力のかけ始め及び終りには相対速度及び車間距離に応じた制動力を付加するので大きな制動力が突然掛かったり急激に制動力がぬけることがなく、自然なフィーリングの制動力を得ることが出来る。
【0041】
また、制御を行っても車間距離が小さくなり危険領域に入ったときには最大制動力をかけるので危険状態を脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車間距離制御装置の実施例を示したブロック図である。
【図2】本発明に係る車間距離制御装置に用いられるコントローラに格納され且つ実行される制御プログラムのフローチャート図である。
【図3】本発明に係る車間距離制御装置の動作特性を説明するためのグラフ図である。
【図4】従来の車間距離制御装置の動作特性を説明するためのグラフ図である。
【図5】人間の制動時の挙動特性を示したグラフ図である。
【符号の説明】
1 車間距離センサ
2 車速センサ
3 コントローラ
4 フットブレーキ駆動回路
5 フットブレーキ
図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
Claims (2)
- 車間距離測定手段により測定された前車と自車との実車間距離が安全車間距離より小さくなったときに車両制動手段を作動させ該実車間距離が該安全車間距離以下にならないように制御手段が制御する車間距離制御装置において、
該制御手段は、第1の安全車間距離と、これより小さい第2の安全車間距離を設定し、該第1及び第2の安全車間距離を、前車と自車との相対速度と予め設定した初期減速度及び最大減速度から算出し、該実車間距離が、該第1の安全車間距離より大きな値から減少して該第 1 の安全車間距離に達した時点で予め該最大減速度より小さな値に設定された該初期減速度を与え、該実車間距離が、該第1の安全車間距離と該第2の安全車間距離との間にあるときには、該初期減速度と該最大減速度との間で所定周期毎に逐次検出した該実車間距離と該相対速度に基づいて演算した該相対速度が 0 になるような所望の減速度を与え、該実車間距離が該第2の安全車間距離以下のときには該最大減速度を与えるように該車両制動手段を制御することを特徴とした車間距離制御装置。 - 請求項1において、
該制御手段は、該相対速度を0にするため、車両減速度をK・V2/2D(K:定数、V:測定時点での相対速度、D:測定時点での車間距離)に制御することを特徴とした車間距離制御装置。
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