JP4051726B2 - 酸性水性アルミナゾルの製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子顕微鏡観察によると、一辺が10〜30nmを有する矩形板状1次粒子が端面−端面間で凝結することにより形成される、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状の2次粒子を含有する安定な酸性水性アルミナゾルの製造法に関する。
そして、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物のコロイド粒子を含有する安定な酸性水性アルミナゾルの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
既に種々の製造法で、種々のアルミナ水和物のコロイド粒子が製造されている。これら製造されたコロイド粒子は、結晶構造としてベーマイト構造又は擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物、非晶質ともいわれる無定形を有するアルミナ水和物などがほとんどであり、そしてその形状としては、板状、リボン状、紡錘状、針状、繊維状などを有することが知られている。
【0003】
特開昭 54-116398号公報、同 55-23034 号公報、同 55-27824 号公報などには、塩基性アルミニウム塩に酸やアルカリを反応させることにより、又は酸性アルミニウム塩にアルカリを反応させることにより得られるアルミナゲルを、酸で解膠することにより、 ベーマイト構造を有すアルミナ水和物の板状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾルを製造する方法が開示されている。
【0004】
特開昭 55-116622号公報には、不完全結晶化の及び(又は)無定形の構造を示す活性アルミナの粉末を9以下のpHを有する水性媒体中で、120〜225℃の温度で処理することにより、板状、リボン状、繊維状などの各種の形状を示すベーマイト構造を有するアルミナ水和物の粒子の懸濁液の製造法が開示されている。
【0005】
特開昭 58-176123号公報には、アルミン酸アルカリに炭酸ガスを反応させることにより得られる無定形ヒドロキシ炭酸アルミニウムゲルを酸、塩基、塩又はそれらの混合物の溶液と混合し、その混合物の媒質のpHを11以下として、90℃以下の温度で、少なくとも5分間以上加熱し、その後90〜250℃の温度で処理することにより、板状、リボン状及び繊維状の形状を示し、擬ベーマイト及びベーマイト構造を有するアルミナ水和物の粒子の懸濁液の製造法が開示されている。
【0006】
ビー・イー・ヨルダス(B.E.YOLDAS)の論文「アメリカン・セラミック・ソサイエティ・ブレティン、第54巻、3号、289頁(1975年)」(Amer.Ceram.Soc.Bull.,54 [3] 289 (1975))には、アルミニウムアルコキシドを水で加水分解した後、得られたスラリーを酸で解膠するアルミナゾルの製造法が開示されている。この方法は、加水分解条件として温度は75℃で、水はアルミニウムアルコキシド1モルに対して、約100モルの水を採用することと、そして解膠条件として温度80℃以上で、解膠剤として塩酸、硝酸などを採用することを特徴としている。得られるゾルは、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物の板状コロイド粒子を含有する透明水性アルミナゾルである。
【0007】
特公昭 40-14292 号公報及び特開昭 60-166220号公報には、有機酸の水溶液と金属アルミニウム粉末とを加熱下反応させることにより、無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾルの製造法が開示されている。特開平 5-24824号公報には、塩酸等の酸の水溶液と金属アルミニウムとを反応させてアルミナ水和物のコロイド粒子を生成させる際、微量のケイ酸イオン及び微量の硫酸イオンを共存させることによって、太さの5〜10倍の程度の長さを有する2次粒子の水性アルミナゾルの製造法が開示されている。この2次粒子は無定形アルミナ水和物の微細繊維状1次粒子の集合体よりなっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、種々の方法により、得られるアルミナ水和物のコロイド粒子は、ベーマイト構造、擬ベーマイト構造又は無定形を有するアルミナ水和物がほとんどであり、そしてその形状として、板状、リボン状、紡錘状、針状、繊維状などを有することが知られている。
アルミナ水和物のコロイド粒子が安定に分散した水性アルミナゾルは、繊維及び紙などの表面処理、精密鋳造、各種耐火物のバインダー、触媒の製造などに用いられている。
【0009】
それぞれの用途に応じて、水性アルミナゾルの粘度及び特有のチクソトロピー性の要求物性が異なり、より改良された水性アルミナゾルの提供が望まれている。
本発明は従来の水性アルミナゾルにはない粘度及びチクソトロピー性を有する水性アルミナゾルを簡易にかつ効率よく製造する方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1製造法である、電子顕微鏡観察によると、一辺が10〜30nmを有する矩形板状1次粒子が端面−端面間で凝結することにより形成される、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状の2次粒子を含有する安定な酸性水性アルミナゾルの製造法は、下記の工程(A)、(B)及び(C):
(A)無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾルに、アルカリを添加することにより、9〜12のpHを有する反応混合物を生成させる工程、
(B)(A)工程で得られた当該反応混合物を110〜250℃の温度で水熱処理することにより、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を含有する水性懸濁液を生成させる工程、及び
(C)(B)工程で得られた当該水性懸濁液を、限外濾過法にて水と酸とを添加して脱塩処理することにより、3〜6のpHを有する酸性水性アルミナゾルを形成させる工程、
からなる。
【0011】
次に、本発明の第2製造法である、電子顕微鏡観察によると、一辺が10〜30nmを有する矩形板状1次粒子が端面−端面間で凝結することにより形成される、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状の2次粒子を含有する安定な酸性水性アルミナゾルのベーマイト構造を有するアルミナ水和物の製造法は、下記の工程(a)、(b)及び(c):
(a)無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾルに、アルカリを添加することにより、9〜12のpHを有する反応混合物を生成させる工程、
(b)(a)工程で得られた当該反応混合物を110〜250℃の温度で水熱処理することにより、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を含有する水性懸濁液を生成させる工程、及び
(c)(b)工程で得られた当該水性懸濁液に、水素型酸性陽イオン交換樹脂と水酸型強塩基性陰イオン交換樹脂とを接触させることにより、3〜6のpHを有する酸性水性アルミナゾルを形成させる工程、
からなる。
【0012】
次に、本発明の第3製造法である、電子顕微鏡観察によると、一辺が10〜30nmを有する矩形板状1次粒子が端面−端面間で凝結することにより形成される、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状の2次粒子を含有する安定な酸性水性アルミナゾルのベーマイト構造を有するアルミナ水和物の製造法は、下記の(A’)、(B’)、(C’)及び(D’):
(A’)無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾルに、アルカリを添加することにより、9〜12のpHを有する反応混合物を生成させる工程、
(B’)(A’)工程で得られた反応混合物を、ケーク濾過法にて水を添加して脱塩処理することにより、9〜12のpHを有する脱塩処理反応混合物を形成させる工程、
(C’)(B’)工程で得られた当該脱塩処理反応混合物を110〜250℃の温度で水熱処理することにより、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を含有する水性懸濁液を生成させる工程、及び
(D’)(C’)工程で得られた当該水性懸濁液に酸を添加することにより、3〜6のpHを有する酸性水性アルミナゾルを形成させる工程、
からなる。
【0013】
そして、本発明の第4製造法では、上記の三つの製造法で得られる安定な酸性水性アルミナゾルを機械的分散処理後、濃縮することを特徴とする高濃度かつ安定な酸性水性アルミナゾルの製造法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の第1製造法において、(A)工程に用いられる無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾルとしては、公知の製造法により容易に得られ、市販の工業薬品としても入手することができる。その例としては前に引用した従来から知られている水性アルミナゾルの製造法によって得られる水性アルミナゾルを挙げることができる。
【0015】
この原料となる水性アルミナゾルとしては、ゲルを形成していないものであれば良く、数mPa・sの低い粘度を有するものから数十万mPa・sの高い粘度を有するものまで使用することができる。特に2〜30重量%の Al2O3濃度及び2〜7のpHを有する水性アルミナゾルが好ましい。またアルカリの添加方法によっては、ゲル状物質の塊の生成や粘度の上昇を引き起こすため、アルカリの添加時は予め水性アルミナゾルの Al2O3濃度を2〜4重量%にすることが更に好ましい。
【0016】
そして、この原料となる水性アルミナゾルとしては、水性アルミナゾル中の無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子成分の Al2O3量100部に対して Al2O3量5〜200部の塩基性アルミニウム塩及び(又は)アルミニウム正塩を溶解さたせた水性アルミナゾルも包含される。この水性アルミナゾルにおいても、本発明の目的が達成される。
【0017】
用いられる塩基性アルミニウム塩及び(又は)アルミニウム正塩は公知の製造法により容易に得られ、市販の工業薬品としても入手することができる。塩基性アルミニウム塩としては、水溶性の塩基性アルミニウム塩として、塩基性塩化アルミニウム、塩基性硝酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム及び塩基性乳酸アルミニウムなどが挙げられる。また用いられるアルミニウム正塩としては、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、及び酢酸アルミニウムなどが挙げられる。
【0018】
塩基性アルミニウム塩及び(又は)アルミニウム正塩の溶解量比を増加さたせた水性アルミナゾルを使用することにより、水熱処理で得られるベーマイト構造を有するアルミナ水和物の矩形板状1次粒子径を増加させることができる。 同じく、本発明の目的が達成される限り、任意の成分、例えば水性アルミナゾルの安定性を維持している陰イオンなどを含有することができる。
【0019】
(A)工程の反応混合物は、原料となる水性アルミナゾルに、9〜12のpH、好ましくは9〜11のpHを示すような量のアルカリを添加することにより得られる。得られる反応混合物は水性スラリーとなっている。
この添加されるアルカリとしては、アルカリ金属水酸化物塩、アルカリ土類金属水酸化物塩、アルミン酸アルカリ金属塩、アルミン酸アルカリ土類金属塩、水酸化アンモニウム、水酸化第4級アンモニウム、水酸化グアニジン、アミン類などが挙げられる。アルカリ金属水酸化物塩としての水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化セシウムなどが好ましく,特に水酸化ナトリウムが好ましい。なお、反応混合物に副生成物として、不溶性塩が生成するアルカリは当然除かれる。
【0020】
このアルカリの添加により、反応混合物中にアルミナ水和物の巨大なゲル化物の生成を防ぐために、アルカリの濃度として、0.01〜20重量%の水溶液、好ましくは1〜5重量%の水溶液が使用される。同じく、アルカリの添加は徐々に添加することが好ましい。
(B)工程では、(A)工程の終了後、好ましくは直ちに、この(A)工程で得られた反応混合物を水熱処理するのが好ましい。(A)工程で得られた反応混合物は長時間放置すると、反応混合物はゲル状物と水溶液とに固液分離するため、好ましくない。この水熱処理により、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を含有する水性懸濁液が得られる。
【0021】
透過型電子顕微鏡の観察によると、一辺が10〜30nmを有する矩形板状1次粒子が端面−端面間で凝結することにより形成される、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状の2次粒子が凝集している。また、この水性懸濁液の動的光散乱法粒径分布を測定すると、600〜1400nmの流体力学的平均粒径を有する粒子群が認められる場合と、50〜400nmの流体力学的平均粒径を有する粒子群と600〜1400nmの流体力学的平均粒径を有する粒子群とが認められる場合がある。透過型電子顕微鏡の観察結果との対比より、50〜400nmの流体力学的平均粒径を有する粒子群は一辺が10〜30nmを有する矩形板状1次粒子(コロイド粒子)が端面−端面間で凝結することにより形成される、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状の2次粒子群(コロイド粒子群)であり、600〜1400nmの流体力学的平均粒径を有する粒子群は2次粒子の高次構造凝集物群と判断される。この水性懸濁液中では、2次粒子の高次構造凝集物の存在比率が高い。
【0022】
(B)工程の水熱処理は温度は110〜250℃で行うことができるが、装置の腐食や耐圧構造による装置費用を考慮すると120〜160℃で行うのが好ましい。
水熱処理において、より高温を選択することにより、水熱処理で得られる矩形板状コロイド1次粒子径及びその板状粒子の厚さをより増加させることができる。
【0023】
(B)工程の水熱処理装置としては、公知の装置である撹拌機付オートクレーブや流通式管状反応器などの高圧設備を使用する。
(C)工程では、(B)工程で得られた当該水性懸濁液を限外濾過法にて処理する。その処理方法には、限外濾過法の変法であるダイアフィルトレーション法(diafiltration process) を採用する。ダイアフィルトレーション法においては、水の添加により(A)工程で添加したアルカリの除去と、酸の添加により水性アルミナゾルの安定剤である酸の含有量の調整ができ、アルカリを除去することを目的とする脱塩処理を円滑に進められる。
【0024】
なお、限外濾過法を用い、アルカリを限外濾過膜透過液側に抜くことで、分離精製を行う場合、回分式操作では水性アルミナゾルに必ずアルカリが残ってしまう。そこで、採用するダイアフィルトレーション法では、水性アルミナゾル側に水と酸を添加して、3〜6のpHを有する酸性水性アルミナゾルを形成させながら、限外濾過膜の透過液量を増していくことにより、アルカリの除去率を上げて、効率よく脱塩処理を進めることとなる。
【0025】
その脱塩処理は、酸性水性アルミナゾルの Al2O3濃度が10重量%基準で、電気伝導度が1000μS/cm以下となるまで、好ましくは700〜100μS/cmとなるまで行う。目的とする酸性水性アルミナゾルの Al2O3濃度が異なる場合、Al2O3濃度と電気伝導度との相関は、上記記載 Al2O3濃度10重量%基準の電気伝導度との相関に正比例するとして計算して良い。そして脱塩処理温度は、通常10〜60℃であり、常温でよい。
【0026】
(C)工程では、酸として、硝酸、塩酸、硫酸、過塩素酸、酢酸、蟻酸、乳酸などが使用することができる。
(C)工程では、ダイアフィルトレーション法の操作方式は回分式及び連続式を採用することができる。そして、ダイアフィルトレーション法の装置は、クロスフロー方式が好ましい。
【0027】
使用する限外濾過膜は、市販の工業製品として得られる分画分子量として6千から20万の限外濾過膜が使用できる。また、クロスフローフィルトレーション法( cross-flow filtration process)にて利用される、精密濾過膜上にコロイド粒子からなるゲル層を形成させたダイナミック膜(限外濾過膜)も使用できる。
【0028】
そして、目的とする Al2O3濃度として最大20重量%となるまで、ダイアフィルトレーション法及び(又は)限外濾過法にて濃縮することができる。
本発明は、第2製造法によることができる。第2製造法は、第1製造法の変法である。
第2製造法の(a)、及び(b)工程には前記(A)及び(B)工程と同様の操作が用いられる。しかし、(c)工程の操作は前記の(C)工程と異なる操作法が用いられる。
【0029】
その(c)工程では、(b)工程で得られた当該水性懸濁液を、水素型酸性陽イオン交換樹脂及び水酸型強塩基性陰イオン交換樹脂にて接触処理する。
(c)工程では、水素型酸性陽イオン交換樹脂の接触処理により(a)工程で添加したアルカリを除去する。そして水酸型強塩基性陰イオン交換樹脂の接触処理により、酸性水性アルミナゾルの安定剤である酸の含有量を調整する。
【0030】
水素型酸性陽イオン交換樹脂としては、市販されている強酸性陽イオン交換樹脂及び(又は)弱酸性陽イオン交換樹脂を酸にてイオン交換処理及び水洗処理して使用する。そして、除去しようとする(a)工程で添加したアルカリ量に対し、当量ではなく約3倍当量にあたる水素型酸性陽イオン交換樹脂量を使用するのが好ましい。その接触処理法は、通常樹脂を充填したカラムに被処理液を下向流若しくは上向流で通液する方法、又は被処理液中に樹脂を添加し撹拌保持した後、樹脂を濾別する方法が採用できる。また接触処理液温度は、通常10〜60℃であり、常温でよい。
【0031】
水酸型強塩基性陰イオン樹脂としては、市販されている強塩基性陰イオン樹脂を水酸化ナトリウム水溶液にてイオン交換処理及び水洗処理して使用する。その使用する樹脂量は、脱アルカリ処理された酸性水性アルミナゾル中の過剰の酸を除去するのが目的であり、3〜6のpHを有する酸性水性アルミナゾルが得られればよい。その接触処理方法は被処理液中に樹脂を添加し撹拌保持した後、樹脂を濾別する方法が簡便で採用できる。また接触処理液温度は、通常10〜60℃であり、常温でよい。
【0032】
得られた3〜6のpHを有する酸性水性アルミナゾルは、目的とする Al2O3濃度として最大20重量%となるまで、公知の濃縮方法である減圧濃縮法、限外濾過法などにて濃縮することができ、安定な酸性水性アルミナゾルが得られる。
本発明は、第3製造法によることができる。第3製造法も、第1製造法の変法である。
【0033】
第3製造法の(A’)は前記(A)工程と同様の操作が用いられる。(B’)工程操作は、前記(A’)工程で得られた反応混合物の脱塩工程である。次に続く(C’)工程は、前記(B)工程と同様の操作であり、(D’)工程は前記(C)工程の操作と異なる操作法が用いられる。
(B’)工程では、(A’)工程で得られた当該反応混合物をケーク濾過法にて処理する。その処理方法には、ケーク濾過法において、クロスフローフィルトレーション法(cross-flow filtration process) を採用することが好ましい。
【0034】
(B’)工程では、水の添加により(A’)工程で添加したアルカリにより生成した塩の脱塩処理を行う。また9〜12のpHを維持するために、アルカリを必要に応じて加える脱塩処理反応混合物に加えることもある。
なお、ケーク濾過法を用い、アルカリをケーク濾過膜透過液側に抜くことで、分離精製を行う場合、回分式操作では反応混合物に必ず塩が残ってしまう。そこで、クロスフローフィルトレーション法では、反応混合物側に水とアルカリを添加して、9〜12のpHを有する脱塩処理混合物を形成させながら、ケーク濾過膜の透過液量を増していくことにより、塩の除去率を上げて、効率よく脱塩処理を進めることができる。
【0035】
その脱塩処理は、脱塩処理混合物の Al2O3濃度が4重量%基準で、電気伝導度が500μS/cm以下となるまで、好ましくは300〜100μS/cmとなるまで行う。目的とする脱塩処理混合物の Al2O3濃度が異なる場合、Al2O3濃度と電気伝導度との相関は、上記記載 Al2O3濃度4重量%基準の電気伝導度との相関に正比例するとして計算して良い。そして脱塩処理温度は、通常10〜60℃であり、常温でよい。
【0036】
(B’)工程では、必要に応じて加えて良いアルカリとして、アルカリ金属水酸化物塩、アルカリ土類金属水酸化物塩、アルミン酸アルカリ金属塩、アルミン酸アルカリ土類金属塩、水酸化アンモニウム、水酸化第4級アンモニウム、水酸化グアニジン、アミン類などが挙げられる。アルカリ金属水酸化物塩としての水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化セシウムなどが好ましく,特に水酸化ナトリウムが好ましい。なお、脱塩処理反応混合物に副生成物として、不溶性塩が生成するアルカリは当然除かれる。
【0037】
(B’)工程では、クロスフローフィルトレーション法の操作方式は回分式及び連続式を採用することができる。好ましい工業的装置として、チェコスロバキア国立有機合成研究所で開発された連続式ロータリフィルタープレスが挙げられる。(詳しくは、K. Michel and V. Gruber, Chemie-Ingenieur-Technik 43, 380 (1971) 及び F. M. Tiller, Filtration & Separation 15, 204 (1978)などに記載されている。)
ケーク濾過には、公知の濾布が使用できる。濾布としては、精密濾過膜がより好ましい。その精密濾過膜としては、市販の工業製品として得られる公称孔径0.05μmから10μmの精密濾過膜が使用できる。
【0038】
(C’)工程では、前記(B)工程と同様の操作が行われる。この(C’)工程では、(B’)工程の終了後、好ましくは直ちに、この(B’)工程で得られた反応混合物を水熱処理するのが好ましい。(B’)工程で得られた反応混合物は長時間放置すると、反応混合物はゲル状物と水溶液とに固液分離するため、好ましくない。この水熱処理により、第1製造法の(B)工程と同じくベーマイト構造を有するアルミナ水和物を含有する水性懸濁液が得られる。
【0039】
(D’)工程では、酸の添加により解膠処理が行われる。前記(C)工程では、水と酸の添加が必須であったが、第3製造法では、(B’)工程で既に過剰の塩類が除去されているので、酸の添加のみでも酸性水性アルミナゾルを得ることができる。また、必要に応じて、第1製造法における限外濾過法による脱塩処理又は第2製造法によるイオン交換樹脂による処理を実施し、酸性水性アルミナゾル中の電解質濃度を調整することができる。
【0040】
(D’)工程では、酸として、硝酸、塩酸、硫酸、過塩素酸、酢酸、蟻酸、乳酸などが使用することができる。
ここで、(C)工程、(c)工程及び(D’)工程において、得られた3〜6のpHを有する酸性水性アルミナゾルの動的光散乱法粒径分布を測定すると、50〜400nmの流体力学的平均粒径を有する粒子群が認められる場合と、50〜400nmの流体力学的平均粒径を有する粒子群と600〜1400nmの流体力学的平均粒径を有する粒子群とが認められる場合がある。但し、この酸性水性アルミナゾル中では、600〜1400nmの流体力学的平均粒径を有する粒子群である2次粒子の高次構造凝集物の存在比率は小さい。
【0041】
よって、(C)工程及び(c)工程における酸添加及び脱塩処理、並びに(D’)工程における酸添加処理により、2次粒子の高次構造凝集物が2次粒子(コロイド粒子)へと解膠したものと考えられる。
本発明の第4製造法は、前記の第1製造法、第2製造法又は第3製造法で得られる安定な酸性水性アルミナゾルを機械的分散処理後、濃縮することを特徴とする高濃度かつ安定な酸性水性アルミナゾルの製造法である。
【0042】
この方法では、前記の第1製造法、第2製造法又は第3製造法で得られた当該安定な酸性水性アルミナゾルを機械的分散処理することにより、酸性水性アルミナゾル中に微量存在する2次粒子の高次構造凝集物が破砕されとともに、形成された2次粒子の端面−端面間結合が切断され2次粒子の伸長方向の長さが短くなり、よりゾルの分散性が向上するため、高濃度かつ安定な酸性水性アルミゾルを得ることが可能となる。
【0043】
機械的分散処理とは、媒体ミル処理、コロイドミル処理、高速剪断撹拌処理及び高圧衝撃分散処理が挙げられる。媒体ミル処理に使用される具体的装置としては、ボールミル、アトライター、サンドミル及びビーズミルなどが挙げられる。コロイドミル処理に使用される具体的装置としては、コロイドミル、ストーンミル、ケーデーミル及びホモジナイザーなどが挙げられる。高速剪断撹拌処理に使用される具体的装置としては、商品名としてハイスピードディスパーサー、ハイスピードインペラー及びデイゾルバーと呼ばれているものが挙げられる。高圧衝撃分散処理に使用される具体的装置としては、高圧ポンプを使用した高圧衝撃分散機及び超音波高圧衝撃分散機が挙げられる。また機械的分散処理液温度は、通常10〜60℃であり、常温でよい。
【0044】
機械的分散処理した酸性水性アルミナゾルは、目的とする Al2O3濃度として最大30重量%となるまで、公知の濃縮方法である減圧濃縮法、限外濾過法などにて濃縮することができ、高濃度かつ安定な酸性水性アルミナゾルが得られる。
ここで、高濃度かつ安定な酸性水性アルミナゾルの動的光散乱法粒径分布を測定すると、50〜400nmの流体力学的平均粒径を有する粒子群が認められる場合と、10〜30nmの流体力学的平均粒径を有する粒子群と50〜400nmの流体力学的平均粒径を有する粒子群とが認められる場合がある。透過型電子顕微鏡の観察結果との対比より、10〜30nmの流体力学的平均粒径を有する粒子群は一辺が10〜30nmを有する矩形板状1次粒子群であり、50〜400mの流体力学的平均粒径を有する粒子群は一辺が10〜30nmを有する矩形板状1次粒子(コロイド粒子)が端面−端面間で凝結することにより形成される、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状の2次粒子群(コロイド粒子群)と判断される。
【0045】
(A)工程、(a)工程及び(A’)工程において、アルカリを添加することにより得られる9未満のpHを有する反応混合物では、次工程の水熱処理を実施しても目的とするベーマイト構造を有するアルミナ水和物を含有する酸性水性アルミナゾルを得ることはできない。一方過剰のアルカリを添加することにより得られた12を超えるpHを有する反応混合物では、目的とするベーマイト構造を有するアルミナ水和物を含有する水性アルミナ懸濁液が得られる。しかし、(C)工程、(c)工程及び(B’)工程のアルカリ除去処理においては、過剰のアルカリも除去せざるを得ず、好ましくない。よって、アルカリの添加によって得られる反応混合物は9〜11のpHを有することがより好ましい。
【0046】
(B)工程、(b)工程及び(C’)工程において、反応混合物を110℃未満の温度で、水熱処理すると、水性懸濁液中において無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子からベーマイト構造を有するアルミナ水和物の矩形板状1次粒子への結晶構造の生成に長時間を要して、好ましくない。一方、250℃を超える水熱処理では、装置的に急冷設備、超高圧容器などを必要とするので好ましくない。
【0047】
(C)工程、(c)工程工程及び(D’)工程において、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を含有する水性懸濁液は酸の添加及び(又は)懸濁液中のアルカリ由来の電解質を除去されることにより、安定な水性アルミナゾルとなる。そして、当該ゾルは、安定剤としての酸の添加によりpHを3〜6に、好ましくは3.5〜5.5に調整されることによりゾルとしての安定性が向上する。よって、 Al2O3濃度として最大20重量%迄の任意の Al2O3濃度の安定な酸性水性アルミナゾルが得られる。このゾルは、密閉状態で50℃で1ヶ月の保存でもゲル化することなく安定である。
【0048】
本発明の第4製造法で得られた高濃度かつ安定な酸性水性アルミナゾルは、 Al2O3濃度として最大30重量%迄の任意の Al2O3濃度の高濃度かつ安定な酸性水性アルミナゾルが得られる。このゾルは、密閉状態で50℃で1ヶ月の保存でもゲル化することなく安定である。
本発明で得られるアルミナ水和物のコロイド粒子は、110℃で乾燥後1100℃迄の示差熱分析により、1.0〜1.2のH20/Al2O3モル比を有することと、粉末X線回折法結果より、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物のコロイド粒子と同定される。
【0049】
本発明で得られる安定な酸性水性アルミナゾル及び高濃度かつ安定な酸性水性アルミナゾルは、透過型電子顕微鏡観察によると、コロイド粒子は一辺が10〜30nmを有する矩形状1次粒子が端面−端面間で凝結することにより形成される、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状(リボン状)の2次粒子である。その1次粒子及び2次粒子の厚さは2.5〜7.5nmである。
【0050】
なお、本発明において採用した分析方法は下記の通りである。
(1)組成分析
(i) Al2O3濃度 重量法(500℃焼成残分)
(ii) Na20濃度 原子吸光光度法(前処理は塩酸溶解処理)
(iii) 酢酸濃度 中和滴定法
(2)pH測定
pH計 M−8AD((株)堀場製作所製)を用いて測定した。
(3)電気伝導度
電気伝導度計 CM−30S((株)東亜電波工業製)を用いて測定した。
(4)動的光散乱法粒径
動的光散乱法粒径測定装置 コールターN4(登録商標)(コールター社製)を用いて測定した。測定解析法はキュムラント法を採用し、液中の流体力学的平均粒径を測定した。
【0051】
(測定条件) 溶媒 純水(25℃)
(5)動的光散乱法粒径分布
動的光散乱法粒径測定装置 コールターN4(登録商標)(コールター社製)を用いて測定した。測定解析法はS.D.P.法(マルチモーダル解析プログラム)を採用し、液中での流体力学的粒径分布を測定した。各々の粒子群(モード)における流体力学的平均径が測定結果として得られる。
【0052】
(測定条件) 溶媒 純水(25℃)
(6)比表面積(BET法)
予め所定の条件で乾燥した試料を窒素吸着法比表面積計 MONOSORB MS−16型(QUANTACHROME社製)を用いて測定した。
(7)透過型電子顕微鏡観察
試料を純水で希釈後、銅メッシュ上の親水化処理済カーボン被膜コロジオン膜に試料を塗布して、乾燥させ観察試料を準備した。透過型電子顕微鏡 H−500((株)日立製作所製)にて、その観察試料の電子顕微鏡写真を撮影して、観察した。
(8)示差熱分析
示差熱分析装置 TG/DTA320U(セイコー電子工業(株)製)を用いて測定した。
【0053】
Figure 0004051726
(9)粉末X線回折
X線回折装置 JEOL JDX−8200T(日本電子(株)製)を用いて、測定した。
【0054】
【実施例】
実施例1
市販の無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾル481.7g(アルミナゾル−200(商標)、日産化学工業(株)製、 Al2O3濃度10.2重量%、酢酸2.7重量%)に水1926.7gを加え、強く撹拌した中に5重量%のNaOH濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液184gを約10分で添加し、更に30分間撹拌を続けた。そして反応混合物(pH9.27、 Al2O3濃度1.90重量%)を得た。
【0055】
この反応混合物2300gをガラスライニング処理ステンレス製オートクレーブ容器に仕込み、140℃で12時間水熱処理を行った。得られた水性懸濁液は、pH6.68、電気伝導度6340μS/cmを示し、 Al2O3濃度1.90重量%であった。この水性懸濁液の動的光散乱法粒径分布を測定すると、178nmの流体力学的平均粒径(標準偏差21nm)を有する粒子群と950nmの流体力学的平均粒径(標準偏差120nm)を有する粒子群とが認められた。
【0056】
この水性懸濁液を取り出した後、その水性懸濁液全量に純水5400gと酢酸6.0gとを加えて撹拌し、pH5.12に調製した後、限外濾過膜(分画分子量5万)を取り付けた撹拌機付自動連続加圧濾過装置にて、脱塩、濃縮して酸性水性アルミナゾル350gを得た。
得られた酸性水性アルミナゾルはpH4.70、 Al2O3濃度12.5重量%、Na20濃度287重量ppm 、電気伝導度803μS/cm、粘度180 mPa・s、酢酸濃度0.22重量%であり、動的光散乱法粒径247nm、110℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積142m2 /g、300℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積145m2 /gを示した。
【0057】
得られた酸性水性アルミナゾルの動的光散乱法粒径分布を測定すると、240nmの流体力学的平均粒径(標準偏差57nm)を有する粒子群のみが認められた。透過型電子顕微鏡観察によると、得られた酸性水性アルミナゾルに含有されるアルミナ水和物のコロイド粒子は1次粒子が一辺10〜20nmを有する矩形板状粒子よりなり、その1次粒子が端面−端面間で凝結して、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状(リボン状)の2次粒子を形成していた。その1次粒子及び2次粒子の厚さは2.5〜7.5nmであった。
【0058】
また、その酸性水性アルミナゾルを110℃で乾燥した粉体を1100℃迄熱分析すると、そのアルミナ水和物のコロイド粒子は1.13のH20/Al2O3モル比を有することと、同じくその110℃で乾燥した粉体の粉末X線回折法結果(第1表)より、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物と同定できた。この酸性水性アルミナゾルは、密閉状態で50℃で1カ月保持した後でもゲル化することはなく安定であった。
【0059】
【表1】
Figure 0004051726
実施例2
市販の無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾル450.0g(アルミナゾル−200(商標)、日産化学工業(株)製、 Al2O3濃度10.7重量%、酢酸3.16重量%)に水1767.0gを加え、強く撹拌した中に4.9重量%のNaOH濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液211.5gを約10分で添加し、更に3時間撹拌を続けた。そして反応混合物(pH10.05、 Al2O3濃度1.98重量%)を得た。
【0060】
この反応混合物2300gをガラスライニング処理ステンレス製オートクレーブ容器に仕込み、140℃で18時間水熱処理を行った。得られた水性懸濁液は、pH8.38、電気伝導度7955μS/cmを示し、 Al2O3濃度1.98重量%であった。
この水性懸濁液を取り出した後、その水性懸濁液全量に純水4467gと酢酸10.5gとを加えて撹拌し、pH4.89に調製した後、限外濾過膜(分画分子量5万)を取り付けた撹拌機付自動連続加圧濾過装置にて、脱塩、濃縮して酸性水性アルミナゾル364gを得た。
【0061】
得られた酸性水性アルミナゾルはpH4.34、 Al2O3濃度12.0重量%、Na20濃度292重量ppm 、電気伝導度290μS/cm、粘度168 mPa・s、酢酸濃度0.26重量%であり、動的光散乱法粒径264nm、110℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積135m2 /g、300℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積136m2 /gを示した。透過型電子顕微鏡観察によると、得られた酸性水性アルミナゾルに含有されるアルミナ水和物のコロイド粒子は1次粒子が一辺10〜20nmを有する矩形板状粒子よりなり、その1次粒子が端面−端面間で凝結して、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状(リボン状)の2次粒子を形成していた。このゾルを密閉状態で50℃で1カ月保持した後でもゲル化することはなく安定であった。
【0062】
実施例3
実施例2と同様に反応混合物の調製を行い、反応混合物2428.5g(pH10.05、 Al2O3濃度1.98重量%)を得た。
この反応混合物2300gをガラスライニング処理ステンレス製オートクレーブ容器に仕込み、140℃で12時間水熱処理を行った。得られた水性懸濁液は、pH7.59、電気伝導度7955μS/cmを示し、 Al2O3濃度1.98重量%であった。
【0063】
この水性懸濁液を取り出した後、その水性懸濁液全量を水素型陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−120B(登録商標)、ローム・アンド・ハース社製)300mlの充填カラムに通液し、その後その通液処理物に水酸型強塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410(登録商標)、ローム・アンド・ハース社製)190gを投げ込み、pH4.03に調製した後、減圧濃縮して酸性水性アルミナゾル320gを得た。
【0064】
得られた酸性水性アルミナゾルはpH4.11、 Al2O3濃度13.5重量%、Na20濃度310重量ppm 、電気伝導度402μS/cmであり、動的光散乱法粒径670nm、110℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積160m2 /g、300℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積165m2 /gを示した。透過型電子顕微鏡観察によると、得られた酸性水性アルミナゾルに含有されるアルミナ水和物のコロイド粒子は1次粒子が一辺10〜20nmを有する矩形板状粒子よりなり、その1次粒子が端面−端面間で凝結して、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状(リボン状)の2次粒子を形成していた。また、この酸性水性アルミナゾルを密閉状態で50℃で1カ月保持した後でもゲル化することはなく安定であった。
【0065】
実施例4
市販の無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾル500.0g(アルミナゾル−200(商標)、日産化学工業(株)製、 Al2O3濃度10.2重量%、酢酸2.7重量%)に水1800gを加え、強く撹拌した中に5重量%のNaOH濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液203gを約10分で添加し、更に30分間撹拌を続けた。そして、反応混合物(pH10.02、 Al2O3濃度2.04重量%)を得た。
【0066】
この反応混合物2300gをガラスライニング処理ステンレス製オートクレーブ容器に仕込み、140℃で18時間水熱処理を行った。得られた水性懸濁液は、pH7.88、電気伝導度7105μS/cmを示し、 Al2O3濃度2.05重量%であった。
この水性懸濁液を取り出した後、その水性懸濁液全量を水素型陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−120B(登録商標)、ローム・アンド・ハース社製)300mlの充填カラムに通液し、その後その通液処理物に水酸型強塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410(登録商標)、ローム・アンド・ハース社製)190gを投げ込み、pH4.33に調製した後、減圧濃縮して酸性水性アルミナゾル311gを得た。
【0067】
得られ酸性水性アルミナゾルはpH4.09、 Al2O3濃度14.5重量%、Na20濃度301重量ppm 、電気伝導度464μS/cm、粘度320 mPa・s、酢酸濃度0.29重量%であり、動的光散乱法粒径374nm、110℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積138m2 /g、300℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積139m2 /gを示した。透過型電子顕微鏡観察によると、得られた酸性水性アルミナゾルに含有されるアルミナ水和物のコロイド粒子は1次粒子が一辺10〜20nmを有する矩形板状粒子よりなり、その1次粒子が端面−端面間で凝結して、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状(リボン状)の2次粒子を形成していた。また、この酸性水性アルミナゾルを密閉状態で50℃で1カ月保持した後でもゲル化することはなく安定であった。
【0068】
実施例5
実施例4と同様に反応混合物の調製を行い、反応混合物2503g(pH10.05、 Al2O3濃度2.04重量%)を得た。
この反応混合物2300gをガラスライニング処理ステンレス製オートクレーブ容器に仕込み、140℃で24時間水熱処理を行った。得られた水性懸濁液は、pH7.98、電気伝導度7330μS/cm、 Al2O3濃度2.04重量%であった。
【0069】
この水性懸濁液を取り出した後、その水性懸濁液全量を水素型陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−120B(登録商標)、ローム・アンド・ハース社製)300mlの充填カラムに通液し、その後通液したゾルに水酸型強塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410(登録商標)、ローム・アンド・ハース社製)180gを投げ込み、pH4.10に調製した後、減圧濃縮して酸性水性アルミナゾル343gを得た。
【0070】
得られた酸性水性アルミナゾルはpH4.01、 Al2O3濃度13.0重量%、電気伝導度501μS/cmであり、動的光散乱法粒径380nm、110℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積133m2 /g、300℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積135m2 /gを示した。透過型電子顕微鏡観察によると、得られた酸性水性アルミナゾルに含有されるアルミナ水和物のコロイド粒子は1次粒子が一辺10〜20nmを有する矩形板状粒子よりなり、その1次粒子が端面−端面間で凝結して、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状(リボン状)の2次粒子を形成していた。また、この酸性水性アルミナゾルを密閉状態で50℃で1カ月保持した後でもゲル化することはなく安定であった。
【0071】
実施例6
実施例4で得られた酸性水性アルミナゾル800g(pH4.09、 Al2O3濃度14.5重量%)をコロイドミル(AS−3型ホモジナイザー(商標)、(株)日本精機製作所製)を用いて10000回転で2時間の機械的分散処理を行い、その後減圧濃縮して高濃度の酸性水性アルミナゾル574gを得た。
【0072】
得られた酸性水性アルミナゾルはpH4.21、 Al2O3濃度20.2重量%であり、動的光散乱法粒径189nm、110℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積136m2 /g、300℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積137m2 /gを示した。得られた酸性水性アルミナゾルの動的光散乱法粒径分布を測定すると、181nmの流体力学的平均粒径(標準偏差22nm)を有する粒子群のみが認められた。透過型電子顕微鏡観察によると、得られた酸性水性アルミナゾルに含有されるアルミナ水和物のコロイド粒子は1次粒子が一辺10〜20nmを有する矩形板状粒子よりなり、その1次粒子が端面−端面間で凝結して、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状(リボン状)の2次粒子を形成していた。また、このゾルを密閉状態で50℃で1カ月保持した後でもゲル化することはなく安定であった。
【0073】
実施例7
実施例4で得られた酸性水性アルミナゾル400gを、媒体として直径1〜1.5mmのガラス製ビーズ350gを有するサンドミル(1AG6H型サンドグラインダー(商標)、アイメックス(株)製)を用いて1500回転で1時間の機械的分散処理を行い、その後減圧濃縮して高濃度の酸性水性アルミナゾル260gを得た。
【0074】
得られた酸性水性アルミナゾルはpH4.19、 Al2O3濃度20.1重量%であり、動的光散乱法粒径211nm、110℃で乾燥したもののBET法による比表面積136m2 /g、300℃で乾燥したもののBET法による比表面積137m2 /gを示した。透過型電子顕微鏡観察によると、得られた酸性水性アルミナゾルに含有されるアルミナ水和物のコロイド粒子は1次粒子が一辺10〜20nmを有する矩形板状粒子よりなり、その1次粒子が端面−端面間で凝結して、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状(リボン状)の2次粒子を形成していた。また、このゾルを密閉状態で50℃で1カ月保持した後でもゲル化することはなく安定であった。
【0075】
実施例8
実施例2で得られた酸性水性アルミナゾル4000gを多連式超音波高圧衝撃分散機(MUS600T−3型超音波ホモジナイザー(商標)、(株)日本精機製作所製)を用いて室温で400ml/分の流速で3回繰り返し機械的分散処理を行い、その後減圧濃縮して高濃度の酸性水性アルミナゾル1890gを得た。
【0076】
得られた酸性水性アルミナゾルはpH4.52、 Al2O3濃度25.3重量%、電気伝導度491μS/cm、粘度1093mPa・sであり、動的光散乱法粒径139nm、110℃で乾燥したもののBET法による比表面積139m2 /g、300℃で乾燥したもののBET法による比表面積141m2 /gを示した。得られた酸性水性アルミナゾルの動的光散乱法粒径分布を測定すると、17.1nmの流体力学的平均粒径(標準偏差4nm)を有する粒子群と134nmの流体力学的平均粒径(標準偏差34nm)を有する粒子群とが認められた。透過型電子顕微鏡観察によると、得られた酸性水性アルミナゾルに含有されるアルミナ水和物のコロイド粒子は1次粒子が一辺10〜20nmを有する矩形板状粒子よりなり、その1次粒子が端面−端面間で凝結して、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状(リボン状)の2次粒子とその1次粒子を確認した。また、このゾルを密閉状態で50℃で1カ月保持した後でもゲル化することはなく安定であった。
【0077】
実施例9
市販の無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾル500.0g(アルミナゾル−200(商標)、日産化学工業(株)製、 Al2O3濃度10.2重量%、酢酸2.7重量%)と、塩基性酢酸アルミニウム水溶液445g(塩基性塩化アルミニウム溶液を希釈した後、酢酸型強塩基性陰イオン交換樹脂を用いたイオン交換にて調製した塩基性酢酸アルミニウム水溶液: Al2O3濃度5.73重量%、酢酸3.0重量%)に水2830gを加え、強く撹拌した中に5重量%のNaOH濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液380gを約10分で添加し、30分間撹拌を続けた。そして反応混合物(pH9.96、 Al2O3濃度1.84重量%)を得た。
【0078】
この反応混合物2300gをガラスライニング処理ステンレス製オートクレーブ容器に仕込み、140℃で18時間水熱処理を行った。得られた水性懸濁液は、pH8.03、電気伝導度8150μS/cmを示し、 Al2O3濃度1.84重量%であった。
この水性懸濁液を取り出した後、その水性懸濁液全量を水素型陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−120B(登録商標)、ローム・アンド・ハース社製)300mlの充填カラムに通液し、その後その通液処理物に水酸型強塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410(登録商標)、ローム・アンド・ハース社製)220gを投げ込み、pH4.10に調製した後、減圧濃縮して酸性水性アルミナゾル289gを得た。
【0079】
得られた酸性水性アルミナゾルはpH4.22、 Al2O3濃度14.0重量%、電気伝導度411μS/cmであり、動的光散乱法粒径390nm、110℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積115m2 /g、300℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積117m2 /gを示した。透過型電子顕微鏡観察によると、得られた酸性水性アルミナゾルに含有されるアルミナ水和物のコロイド粒子は1次粒子が一辺15〜25nmを有する矩形板状粒子よりなり、その1次粒子が端面−端面間で凝結して、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状(リボン状)の2次粒子を形成していた。また、このゾルを密閉状態で50℃で1カ月保持した後でもゲル化することはなく安定であった。
【0080】
実施例10
市販の無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾル800g(アルミナゾル−200(商標)、日産化学工業(株)製、 Al2O3濃度10.2重量%、酢酸2.7重量%)に水2895gを加え、強く撹拌した中に5重量%のNaOH濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液305gを約10分で添加し、更に30分間撹拌を続けた。そして反応混合物(pH9.55、 Al2O3濃度2.04重量%)を得た。
【0081】
この反応混合物2300gをガラスライニング処理ステンレス製オートクレーブ容器に仕込み、120℃で18時間水熱処理を行った。得られた水性懸濁液は、pH7.50、電気伝導度6790μS/cmを示し、 Al2O3濃度2.04重量%であった。
この水性懸濁液を取り出した後、その水性懸濁液全量に純水7123gと酢酸4.0gとを加えて撹拌し、pH3.88に調製した後、限外濾過膜(分画分子量5万)を取り付けた撹拌機付自動連続加圧濾過装置にて、脱塩、濃縮して酸性水性アルミナゾル360gを得た。
【0082】
得られた酸性水性アルミナゾルはpH4.10、 Al2O3濃度12.5重量%、電気伝導度360μS/cmであり、動的光散乱法粒径319nm、110℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積173m2 /g、300℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積270m2 /gを示した。透過型電子顕微鏡観察によると、得られた酸性水性アルミナゾルに含有されるアルミナ水和物のコロイド粒子は1次粒子が一辺10〜20nmを有する矩形板状粒子よりなり、その1次粒子が端面−端面間で凝結して、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状(リボン状)の2次粒子を形成していた。また、このゾルを密閉状態で50℃で1カ月保持した後でもゲル化することはなく安定であった。
【0083】
実施例11
実施例10と同様に反応混合物の調製を行い、反応混合物4000g(pH9.55、 Al2O3濃度2.04重量%)を得た。
この反応混合物2300gをガラスライニング処理ステンレス製オートクレーブ容器に仕込み、160℃で18時間水熱処理を行った。得られた水性懸濁液は、pH7.20、電気伝導度6900μS/cmを示し、 Al2O3濃度2.04重量%であった。
【0084】
この水性懸濁液を取り出した後、その水性懸濁液全量に純水7450gと酢酸3.80gとを加えて撹拌し、pH3.92に調製した後、限外濾過膜(分画分子量5万)を取り付けた撹拌機付自動連続加圧濾過装置にて、脱塩、濃縮して酸性水性アルミナゾル281gを得た。
得られた酸性水性アルミナゾルはpH4.30、 Al2O3濃度16.0重量%、電気伝導度602μS/cmであり、動的光散乱法粒径420nm、110℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積88m2 /g、300℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積95m2 /gを示した。透過型電子顕微鏡観察によると、得られた酸性水性アルミナゾルに含有されるアルミナ水和物のコロイド粒子は1次粒子が一辺10〜20nmを有する矩形板状粒子よりなり、その1次粒子が端面−端面間で凝結して、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状(リボン状)の2次粒子を形成していた。また、このゾルを密閉状態で50℃で1カ月保持した後でもゲル化することはなく安定であった。
【0085】
実施例12
実施例2と同様に反応混合物の調製を行い、反応混合物4550g(pH10.05、電気伝導度6800μS/cm、 Al2O3濃度1.98重量%)を得た。この反応混合物に液量が一定になるように水を加えながら、公称孔径0.2μmの精密濾過膜を取り付けた撹拌機付自動連続加圧濾過装置を用いて循環しながら脱塩した。脱塩処理反応混合物はpH9.24、電気伝導度18.35μS/cm、 Al2O3濃度3.7重量%であった。
【0086】
この脱塩処理反応混合物2435gを強く攪拌した中に5重量%のNaOH濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液4.7gを約5分で添加し、更に1時間攪拌を続けた。そして反応混合物(pH9.94、電気伝導度153.6μS/cm、 Al2O3濃度3.7重量%)を得た。
この脱塩処理反応混合物2300gをガラスライニング処理ステンレス製オートクレーブ容器に仕込み、140℃で8時間水熱処理を行った。得られた水性懸濁液は、pH9.14、電気伝導度239μS/cmを示し、 Al2O3濃度3.7重量%であった。
【0087】
この水性懸濁液を取り出した後、その水性懸濁液全量に68重量%の酢酸濃度を有する酢酸水溶液0.7gを加えて撹拌し、pH6.90に調製した後、限外濾過膜(分画分子量5万)を用いて脱塩、濃縮して濃縮水性懸濁液925gを得た。
得られた濃縮水性懸濁液に、68重量%の酢酸濃度を有する酢酸水溶液1.6gを加えて撹拌し、pH4.36に調製した。この得られた酸性水性アルミナゾルは電気伝導度206μS/cm、 Al2O3濃度9.2%であり、動的光散乱法粒径233nm、110℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積150.2m2 /g、300℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積170.3m2 /gを示した。
【0088】
得られた酸性水性アルミナゾルをコロイドミル(AS−3型ホモジナイザー(商標)、(株)日本精機製作所製)を用いて10000回転で2時間の機械的分散処理を行い、酸性水性アルミナゾル920gを得た。
得られた酸性水性アルミナゾルはpH4.45、 Al2O3濃度9.2重量%であり、動的光散乱法粒径178nmを示した。得られた酸性水性アルミナゾルの動的光散乱法粒径分布を測定すると、178nmの流体力学的平均粒径(標準偏差23nm)を有する粒子群のみが認められた。透過型電子顕微鏡観察によると、得られた酸性水性アルミナゾルに含有されるアルミナ水和物のコロイド粒子は1次粒子が一辺10〜20nmを有する矩形板状粒子よりなり、その1次粒子が端面−端面間で凝結して、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状(リボン状)の2次粒子を形成していた。また、このゾルを密閉状態で50℃で1カ月保持した後でもゲル化することはなく安定であった。
【0089】
比較例1
塩基性酢酸アルミニウム水溶液856.5g(塩基性塩化アルミニウム溶液を希釈した後、酢酸型強塩基性陰イオン交換樹脂を用いたイオン交換にて調製した塩基性酢酸アルミニウム水溶液: Al2O3濃度5.73重量%、酢酸3.0重量%)に水1597.4gを加え撹拌した中に5重量%のNaOH濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液335gを約10分で添加し、更に30分間撹拌を続けた。そして反応混合物(pH9.55、 Al2O3濃度1.76重量%)を得た。
【0090】
この反応混合物2300gをガラスライニング処理ステンレス製オートクレーブ容器に仕込み、140℃で12時間水熱処理を行った。得られた水性懸濁液は、pH6.37、電気伝導度10000μS/cmを示し、 Al2O3濃度1.76重量%であった。
この水性懸濁液を取り出した後、その水性懸濁液全量に純水4000gと酢酸2gとを加えて撹拌した後、限外濾過膜(分画分子量5万)を取り付けた撹拌機付自動連続加圧濾過装置にて、脱塩、濃縮して酸性水性アルミナゾルゾル259gを得た。
【0091】
得られた酸性水性アルミナゾルはpH5.10、 Al2O3濃度15重量%であり、110℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積70m2 /g、300℃で乾燥した粉体のBET法による比表面積80m2 /gを示した。透過型電子顕微鏡観察によると、得られた酸性水性アルミナゾルに含有されるアルミナ水和物のコロイド粒子は長軸径40〜50nmの紡錘状粒子であり、その粒子が個々に独立して分散していた。また3日間室温で静置したところコロイド粒子の沈降が認められた。
【0092】
比較例2
市販のベーマイト構造を有するアルミナ水和物の六角板状粒子及び矩形板状粒子を含有する水性アルミナゾル(アルミナゾル−520、日産化学工業(株)製、 Al2O3濃度20重量%、硝酸3重量%、粘度9.8mPa・s、六角板状粒子及び矩形板状粒子の長軸径20〜30nm)300gに水2700gを加え撹拌した中に5重量%のNaOH濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液29gを約10分で添加し、30分間撹拌を続けた。そして反応混合物(pH10.3、 Al2O3濃度1.98重量%)を得た。
【0093】
この反応混合物2300gをガラスライニング処理ステンレス製オートクレーブ容器に仕込み、140℃で12時間水熱処理を行った。得られた水性懸濁液は、pH10.39、電気伝導度1485μS/cm、 Al2O3濃度1.98重量%であった。
この水性懸濁液とり出した後、その水性懸濁液全量に純水6000gと酢酸12gとを加えて撹拌し、pH5.11に調製した後、限外濾過膜(分画分子量5万)を取り付けた撹拌機付自動連続加圧濾過装置にて、脱塩、濃縮して酸性水性アルミナゾル215gを得た。
【0094】
得られた酸性水性アルミナゾルのpHは4.55であった。透過型電子顕微鏡観察によると、得られた酸性水性アルミナゾルに含有されるアルミナ水和物のコロイド粒子は長軸径40〜50nmの六角板状粒子及び矩形板状粒子であり、その粒子が個々に独立して分散していた。
比較例3
市販の無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾル481.7g(商品名アルミナゾル−200、日産化学工業(株)製、 Al2O3濃度10.2重量%、酢酸2.7重量%)に水1926.7gを加え、強く撹拌した中に5重量%のNaOH濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液134gを約10分で添加し、更に30分間撹拌を続けた。そして反応混合物(pH8.30、 Al2O3濃度1.93重量%)を得た。
【0095】
この反応混合物2300gをガラスライニング処理ステンレス製オートクレーブ容器に仕込み、140℃で12時間水熱処理を行った。得られた水性懸濁液は、pH6.38、電気伝導度6190μS/cmを示し、 Al2O3濃度1.93重量%であった。
この水性懸濁液を取り出した後、その水性懸濁液全量に純水5400gと酢酸1.5gとを加えて撹拌し、pH5.22とした後、限外濾過膜(分画分子量5万)を取り付けた撹拌機付自動連続加圧濾過装置にて、脱塩、濃縮して酸性水性アルミナゾルゾル304gを得た。
【0096】
得られた酸性水性アルミナゾルはpH4.18、 Al2O3濃度14.0重量%、電気伝導度803μS/cmであり、動的光散乱法粒径340nmを示した。透過型電子顕微鏡観察によると、得られた酸性水性アルミナゾルに含有されるアルミナ水和物のコロイド粒子は1次粒子が一辺10〜20nmを有する矩形板状粒子よりなり、その1次粒子が端面−端面間で凝結して、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状(リボン状)の2次粒子を形成しているものと、繊維状コロイド粒子とが混在していた。このゾルを密閉状態で50℃で1カ月保持した後でもゲル化することはなく安定であった。
【0097】
比較例4
市販の無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾル481.7g(商品名アルミナゾル−200、日産化学工業(株)製、 Al2O3濃度10.2重量%、酢酸2.7重量%)に水1926.7gを加え、強く撹拌した中に5重量%のNaOH濃度を有する水酸化ナトリウム水溶液184gを約10分で添加し、30分間撹拌を続けた。そして反応混合物(pH9.27、 Al2O3濃度1.90重量%)を得た。
【0098】
この反応混合物2300gをガラスライニング処理ステンレス製オートクレーブ容器に仕込み、100℃で18時間水熱処理を行った。得られた水性懸濁液は、pH6.58、電気伝導度6840μS/cmを示し、 Al2O3濃度1.90重量%であった。
この水性懸濁液を取り出した後、その水性懸濁液全量を水素型陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−120B(登録商標)、ローム・アンド・ハース社製)300mlの充填カラムに通液し、その後通液したゾルに水酸型強塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−410(登録商標)、ローム・アンド・ハース社製)289gを投げ込み、pH4.10に調製した後、減圧濃縮して酸性水性アルミナゾル397gを得た。
【0099】
得られた酸性水性アルミナゾルはpH5.10、 Al2O3濃度10.5重量%、電気伝導度3150μS/cmであり、動的光散乱法粒径293nmを示した。透過型電子顕微鏡観察によると、得られた酸性水性アルミナゾルに含有されるアルミナ水和物のコロイド粒子は繊維状粒子のままであった。
【0100】
【発明の効果】
本発明によって得られる安定な酸性水性アルミナゾル及び高濃度かつ安定な酸性水性アルミナゾルは、従来の水性アルミナゾルに比較すると、例えば市販のベーマイト構造を有するアルミナ水和物の分散性の高い六角板状粒子及び(又は)矩形板状粒子を含有する水性アルミナゾルと、市販のベーマイト構造を有するアルミナ水和物のチクソトロピー性の高い繊維状粒子を含有する水性アルミナゾルとの中間的挙動をするため、種々の用途に従来得られなかった改良をもたらす。 組成物をつくるために従来のアルミナゾルに加えられた成分は、本発明のアルミナゾルに対しても加えることができる。それは、シリカゾル、アルキルシリケートの加水分解液、その他の金属酸化物ゾル、水溶性樹脂、樹脂エマルジョン、増粘剤、消泡剤、界面活性剤、耐火物粉末、金属粉末、顔料、カップリング剤などが挙げられる。
【0101】
従来から用いられている種々の塗料成分と共に本発明のアルミナゾルを配合することにより、無機塗料、耐熱塗料、防食塗料、無機−有機複合塗料などを調製することができる。本発明のアルミナゾルを含有する塗料から形成された乾燥塗膜にはピンホールが少なく、クラックも殆ど見られない。この理由は、塗膜形成において、アルミナゾルに含有されるの50〜300nmの細長い形状(リボン状)の2次粒子は一般のコロイド粒子に見られる塗膜中での偏析現象を起こさず、塗膜中内に2次粒子による架橋構造を形成するためと考えられる。
【0102】
本発明のアルミナゾルを含有するこれら塗料、接着剤などは、種々の基材、例えば、ガラス、セラミックス、金属、プラスチックス、木材、繊維、紙などの表面に適用することができる。
本発明のアルミナゾルは、通常のガラス繊維、セラミック繊維、その他の無機繊維などのフェルト状物に含浸させることもできる。
【0103】
本発明のアルミナゾルは2次粒子が50〜300nmの細長い形状を有するため、多層配線半導体デバイスにおける層間絶縁膜、及びアルミニウム、銅、タングステン又はそれらの合金のようなメタル配線の表面研磨、及び基材例えば磁気記録媒体用ディスクの上に設けられたNi−P等のメッキ層の表面研磨剤としても有用である。
【0104】
本発明のアルミナゾルは、高い安定性を示し、その媒体の除去によって終局的にゲルに変わる性質を有するが、このゾルに含有される2次粒子は50〜300nmの細長い形状(リボン状)を有するので、このゾルがゲル化する際に、又は硬化後には、このゾルに由来する独特の性質を示す。上記用途の他にも種々の用途に有用であることは容易に理解されよう。

Claims (4)

  1. 下記の(A)、(B)及び(C):
    (A)無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾルに、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化セシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリを添加することにより、9〜12のpHを有する反応混合物を生成させる工程、
    (B)(A)工程で得られた当該反応混合物を110〜250℃の温度で水熱処理することにより、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を含有する水性懸濁液を生成させる工程、及び
    (C)(B)工程で得られた当該水性懸濁液を、限外濾過法にて水と酸とを添加して Al 2 O 3 濃度が10重量%基準で電気伝導度が1000μS/cm以下となるまで脱塩処理することにより、3〜6のpHを有する酸性水性アルミナゾルを形成させる工程、
    からなる、電子顕微鏡観察によると、一辺が10〜30nmを有する矩形板状1次粒子が端面−端面間で凝結することにより形成される、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状の2次粒子を含有する安定な酸性水性アルミナゾルの製造法。
  2. 下記の(a)、(b)及び(c):
    (a)無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾルに、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化セシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリを添加することにより、9〜12のpHを有する反応混合物を生成させる工程、
    (b)(a)工程で得られた当該反応混合物を110〜250℃の温度で水熱処理することにより、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を含有する水性懸濁液を生成させる工程、及び
    (c)(b)工程で得られた当該水性懸濁液に、水素型酸性陽イオン交換樹脂と水酸型強塩基性陰イオン交換樹脂とを接触させることにより、3〜6のpHを有する酸性水性アルミナゾルを形成させる工程、
    からなる、電子顕微鏡観察によると、一辺が10〜30nmを有する矩形板状1次粒子が端面−端面間で凝結することにより形成される、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状の2次粒子を含有する安定な酸性水性アルミナゾルの製造法。
  3. 下記の(A’)、(B’)、(C’)及び(D’):
    (A’)無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾルに、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化セシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリを添加することにより、9〜12のpHを有する反応混合物を生成させる工程、
    (B’)(A’)工程で得られた反応混合物を、ケーク濾過法にて水を添加して Al 2 O 3 濃度が4重量%基準で電気伝導度が500μS/cm以下となるまで脱塩処理することにより、9〜12のpHを有する脱塩処理反応混合物を形成させる工程、
    (C’)(B’)工程で得られた当該脱塩処理反応混合物を110〜250℃の温度で水熱処理することにより、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を含有する水性懸濁液を生成させる工程、及び
    (D’)(C’)工程で得られた当該水性懸濁液に酸を添加することにより、3〜6のpHを有する酸性水性アルミナゾルを形成させる工程、
    からなる、電子顕微鏡観察によると、一辺が10〜30nmを有する矩形板状1次粒子が端面−端面間で凝結することにより形成される、一平面内のみに伸長を有する50〜300nmの細長い形状の2次粒子を含有する安定な酸性水性アルミナゾルの製造法。
  4. 請求項1、請求項2又は請求項3に記載の製造法で得られる安定な酸性水性アルミナゾルを機械的分散処理後、濃縮することを特徴とする高濃度かつ安定な酸性水性アルミナゾルの製造法。
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