JP3708985B2 - アルカリ性アルミナゾルおよびその製造方法 - Google Patents

アルカリ性アルミナゾルおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、結晶性のアルミナ微粒子が分散したアルミナゾルに関し、特に、アルカリ領域において安定性に優れたアルミナゾルおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
アルミナゾルおよびその製造方法に関しては、従来より種々のものが知られている。例えば、特開昭59−78925号公報には、擬ベーマイト結晶からなる酸性アルミナゾルが開示され、また、特開昭53−112299号公報には、ベーマイト態結晶格子を有する酸性アルミナゾルが開示されている。
また、特公平3−52410号公報によれば、アルミナ水和物からなるアルカリ性アルミナゾルも公知である。
【0003】
しかしながら、上記ゾルは、従来、慣習的にアルミナゾルと呼ばれているが、実際にはゾル状態の水酸化アルミニウムであって、その分散質は酸化アルミニウム(アルミナ)ではなくて、水酸化アルミニウム(アルミナ水和物)である。
而して、現在のところ、分散質が実質的に酸化アルミニウムからなる安定なアルカリ性アルミナゾルは未だ知られていない。
【0004】
【発明の目的】
本発明の目的は、粒度分布がシャープな結晶性アルミナ(酸化アルミニウム)微粒子を分散質とし、安定性に優れたアルカリ性のアルミナゾルおよびその製造方法を提供することにある。
【0005】
【発明の構成】
第1の発明に係るアルカリ性アルミナゾルは、アルミナ微粒子が、γ、η、δ、ρ、χ、θ、κ、およびα形から選ばれた単一または複数の結晶からなることを特徴とするものである。
【0006】
第2の発明に係るアルカリ性アルミナゾルの製造方法は、γ、η、δ、ρ、χ、θ、κ、およびα形から選ばれた単一または複数の結晶からなる陽イオン性アルミナ微粒子を含有する酸性アルミナゾルを水相中でアルカリの存在下に陰イオン交換体と接触させることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の具体的な説明】
以下、本発明を具体的に説明するが、先ず、第1の発明に係るアルカリ性アルミナゾルについて説明する。
【0008】
第1の発明において、分散質となるアルミナ微粒子(以下、コロイド粒子ということがある。)は、実質的にγ、η、δ、ρ、χ、θ、κ、およびα形から選ばれた単一または複数の結晶からなる酸化アルミニウムである。該アルミナ微粒子の結晶形は、X線回折により同定することにより、前記従来のアルミナゾルを構成する擬ベーマイト、ベーマイト、バイヤライト、ジプサイトなどのアルミナ水和物と区別することができる。
【0009】
また、本発明のアルカリ性アルミナゾル(以下、アルカリ性アルミナコロイド溶液ということがある。)を構成するアルミナ微粒子は酸化アルミニウムであるため、焼成による重量減少が少ない。即ち、本発明のアルミナゾルは、110℃から1000℃までの温度間に於けるアルミナ微粒子の重量減少が10重量%以下となる。該アルミナ微粒子の重量減少は、試料のアルミナゾルを110℃で十分に乾燥した後に試料重量(W1 )を測定し、次いで、この試料を1000℃で1時間焼成した後に試料の重量(W2 )を測定して式1により求める。該アルミナ微粒子の重量減少は、特に、8重量%以下であることが好ましい。
【0010】
【式1】
重量減少=(W1 −W2 )/W1 ×100(%)
【0011】
本発明のアルカリ性アルミナゾルを構成するアルミナ微粒子は、粒度分布が非常に狭く、平均粒子径が1〜300nm、好ましくは5〜100nmの範囲にあるので、当該アルミナゾルは透明性に優れており、アルミナ濃度0.5重量%のゾルを分光光度計で測定すると、800nmの波長における吸光度は1.0以下、好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.2以下となり、また、560nmの波長における吸光度は1.5以下、好ましくは1.0以下、更に好ましくは0.5以下となる。更に、400nmの波長における吸光度は3.0以下、好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.0以下となる。
【0012】
本発明のアルカリ性アルミナゾルは、pH8以上、好ましくはpH9〜14、更に好ましくはpH9.5〜12のアルカリ領域において非常に安定であり、アルミナ濃度を1重量%に調整した水性ゾルを遠心分離機にて1000rpmで30分間処理しても、アルミナ微粒子は沈降しない。他方、アルミナ粉末をアルカリ水に分散して得られる糊状の半固体(通常、このような半固体もゾルと呼ばれることがある。)は、アルミナ濃度を1重量%に調整して、遠心分離機にて1000rpmで30分間処理した場合に、2層に分離するので本発明のアルカリ性アルミナゾルと区別される。
【0013】
本発明のアルカリ性アルミナゾルは粘度が低く、分散安定性が極めて高いので、アルミナ濃度を高くすることができる。アルミナ濃度は、通常、1〜40重量%の範囲に調整される。また、原料として用いる酸性アルミナゾルの純度に応じて、高純度のアルカリ性アルミナゾルを得ることができる。また、アルカリ性アルミナゾル中に残存する酸の量は、通常、アルミナに対して1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下となる。
【0014】
次に、第2発明に係るアルカリ性アルミナゾルの製造方法について説明する。前記したように、本発明に係る製造方法は、単一または複数の結晶からなる陽イオン性アルミナ微粒子を含有する酸性アルミナゾルを水相中でアルカリの存在下に陰イオン交換体と接触させるものであるが、該酸性アルミナゾルとしては、例えば、本願の出願人が先に出願した特願平5−261601号に記載の酸性アルミナゾルを用いることができる。
【0015】
前記原料アルミナゾルは、特に、特願平5−261601号に記載した方法、即ち、原料アルミナ粉末として、γ、η、δ、ρ、χ、θ、κ、およびα形から選ばれた単一または複数の結晶からなるアルミナの1種または2種以上組み合わせて用い、このアルミナ粉末を水に懸濁させ、得られた懸濁液に所定量の酸を添加した後、陽イオン交換体を加えて撹拌混合し、次いで該陽イオン交換体を分離して得られる酸性アルミナゾルが好適である。
【0016】
該アルミナ粉末の粒径は、10μm以下であれば使用可能であるが、好ましくは1μm以下の小さい粒径のものが良い。このようなアルミナ粉末としては、市販されている超微粒子状酸化アルミニウムをそのまま、あるいは、更に焼成して使用することができる。粒径の大きいアルミナ粉末を用いる場合には、これを粉砕して粒径を小さくして使用するとよい。また、前記アルミナ粉末を構成するアルミナの1次粒子径は100nm以下、好ましくは50nm以下のものが望ましい。
【0017】
アルミナ粉末の懸濁液の濃度は1〜30重量%の範囲とすることが望ましく、また、該懸濁液のpHは2〜8の範囲とすることが望ましい。陽イオン交換体との撹拌混合は、アルミナ粉末の懸濁液がゾル状になるまで行われるが、通常、室温〜100℃の温度範囲で0.5〜50時間処理するとゾル状となる。なお、該アルミナ粉末に微量の塩素などの酸成分が含まれている場合には、改めて酸を添加しなくてもよい。
【0018】
上記方法で使用する酸としては鉱酸または有機酸があり、例えば、塩酸、硝酸、塩素酸、酢酸、クロル酢酸、安息香酸などの一塩基酸、硫酸などの二塩基酸、リン酸などの三塩基酸を挙げることができ、これらの酸を単独でまたは混合して用いる。アルミナゾルの製造に際して、酸の添加量は、アルミニウム(Al)1当量に対して5×10-4〜0.05当量、好ましくは、2.5×10-3〜0.025当量の範囲とするのが望ましい。
【0019】
陽イオン交換体としては、陽イオン交換能を有するものであれば使用可能であり、強酸性または弱酸性陽イオン交換樹脂の他、キレート樹脂、イオン交換膜、イオン交換フィルターなどが例示される。これらの陽イオン交換体は単独または併用して用いられ、陽イオン交換樹脂の場合、通常、1kgのアルミナ(Al2 3 )に対して1〜10リットルの割合で用いられる。
【0020】
本発明方法において、酸性アルミナゾルの濃度は1〜20重量%の範囲とすることが好ましく、陰イオン交換体との接触は、凝集したアルミナ微粒子がコロイド状になるまで行われるが、通常、室温〜100℃の温度範囲で0.5〜50時間処理すると解膠されてコロイド状となる。なお、該酸性アルミナゾルに微量のナトリウムなどのアルカリ成分が含まれている場合には、改めてアルカリを添加しなくてもよい。
【0021】
本発明で使用するアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属元素の水酸化物、アンモニア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、N−メチル−2−ピロリドン、トリメチルアミンなどの窒素化合物を挙げることができ、これらのアルカリを単独でまたは混合して用いる。アルカリ性アルミナゾルの製造に際して、アルカリの添加量は、アルミナ(Al2 3 )1モルに対して1×10-3〜0.1モル、好ましくは、5×10-3〜0.05モルの範囲とすることが望ましい。
【0022】
本発明において陰イオン交換体は、陰イオン交換能を有するものであれば使用可能であり、強塩基性または弱塩基性陰イオン交換樹脂の他、キレート樹脂、イオン交換膜、イオン交換フィルターなどが例示される。これらの陰イオン交換体は単独または併用して用いられ、陰イオン交換樹脂の場合、通常、アルミナ(Al2 3 )1kgに対して1〜20リットルの割合で用いられる。
【0023】
本発明の製造方法では、酸性アルミナゾルの安定化剤である酸が、陰イオン交換体により除去され、アルミナの等電点を通過する際、アルミナ微粒子は凝集を伴うが、アルカリ側では、アルミナとアルカリが反応してアルミニウム塩を生成し、このアルミニウム塩のアルミン酸イオンが陰イオン交換体により除去されてアルカリが再生されるので、アルミナとの反応が繰り返され、アルミナ微粒子は解膠されてコロイド粒子(微粒子)になる。この方法では、アルミナに対するアルカリの量が少なくても、アルカリが再生され繰り返しアルミナに作用するため、アルミナ微粒子の解膠を十分に行うことができる。また、得られるアルカリ性アルミナゾル中に含まれるアルミン酸塩が非常に少ないため、即ち、ゾル中の塩の含有量が少ないため、コロイド粒子は電気二重層を十分に形成し、ゾルの安定性が高い。
【0024】
他方、従来のアルミナ水和物のアルカリ性アルミナゾルの製造方法では、アルミナ水和物の酸性アルミナゾルをアルカリで解膠してコロイド粒子とするためには多量のアルカリを必要とし、アルミナの等電点を通過するためにコロイド粒子は凝集し、生成する多量の塩のために粒子の電気二重層が薄くなり、この結果、粒子同士が凝集した、分散性が低く、透明性の悪いゾルしか得られない。また、該ゾルを限外濾過膜などを用いてアルミニウム塩を洗浄して除去したゾルとするためには大量の水および長時間にわたる洗浄が必要であり、効率的でない。更に、アルミナ水和物のアルカリ性アルミナゾルの場合と同様にして、アルミナ粉末をアルカリで解膠した場合には、反応性が非常に悪いので所望のアルミナゾルが得られにくい。
【0025】
上記製造方法で得られるアルカリ性アルミナゾルは、減圧蒸留法、限外濾過法などの公知の方法により分散媒としての水を有機溶媒と置換してオルガノゾルとすることも可能である。
このような有機溶媒としては、アルコール、グリコール、エステル、ケトン、芳香族系などの溶媒を使用することができ、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、アセトン、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、などの有機溶媒を例示することができる。また、アルミナ粒子の表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、界面活性剤、高級脂肪酸エステル、およびその塩などを用いる公知の方法により表面処理することによりキシレン、トルエン、ジメチルエタンなどの低極性有機溶媒を分散媒とするゾルとすることもできる。
【0026】
本発明のアルカリ性アルミナゾルは、触媒担体としての用途以外にも、次に述べるような用途に有用である。
【0027】
(1)バインダー力が大きいので、種々の耐火物用のバインダーとして用いれば、高強度成形体を得ることができ、例えば、精密鋳造用ロストワックス法のバインダーとして用いれば、強度に優れた鋳型を得ることができる。また、セラミックシートなどの無機繊維のバインダーとして用いれば強度の優れた無機繊維が得られる。
【0028】
(2)高温での体積変化、あるいは熱膨張が少ないので、アルミナおよびアルミナを含む耐火物などに利用することができる。
【0029】
(3)コロイド粒子の硬度が高いので、種々の研磨剤、各種切削工具、あるいは、樹脂、エチルシリケートなどのアルコキシドの加水分解物などのマトリクスと併用でハードコート膜として用いた場合、優れた効果が得られる。また、研磨剤として用いれば、粒子径あるいは結晶形態の相違によって研磨速度を調整することが可能になる。
【0030】
(4)ヤング率が大きいので、電磁鋼板などの被膜組成物に添加すると、被膜の張力を大幅に向上させることができ、低鉄損電磁鋼板を得ることができる。
【0031】
(5)特に、粒度分布が狭いので、各種プラスチックやゴムのフィラーに用いた場合、機械的強度および走行安定性を大幅に向上させることができる。例えば、ポリエステルフィルムのフィラーとして用いた場合、強度が高く、平滑で耐磨耗性および易滑性に優れた二軸配向フィルムを得ることができる。
【0032】
(6)その他、インクジェット用フィルムのフィラー、製紙、繊維の表面処理剤、化粧品配合剤、潤滑剤、増粘剤、アルミニウム鋳造合金などの使用に好適である。
【0033】
【実施例】
以下に好ましい実施例を示し本発明を詳述する。
【0034】
参考例1
市販の酸化アルミニウム粉末(比表面積:110m2 /g、粉末の平均粒径:0.9μm、主結晶形:δ形、塩酸含有量(HClとして換算した量):0.4重量%)100gと純水400gとを混合し、室温で撹拌しながら、これに強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化成製、DAIAION、SK−1B)400ccを徐々に添加し、20時間撹拌を続けた後、イオン交換樹脂を取り除き、酸性アルミナコロイド水溶液を得た。
【0035】
このアルミナコロイド水溶液中に分散したコロイド粒子の平均粒径は50nmであった。得られた酸性アルミナコロイド水溶液を濃縮し、酸化物として20重量%、pH4.8のコロイド溶液とした。
【0036】
実施例1
参考例1で得た酸性アルミナゾル(固形分濃度:20重量%)100gと純水290gとを混合し、室温で撹拌しながら、これに強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化成製、DAIAION、SA−20A)200ccを徐々に加えた後、1重量%水酸化ナトリウム10gを添加し、10時間撹拌を続けた後、イオン交換樹脂を取り除き、アルカリ性アルミナコロイド水溶液を得た。
【0037】
このコロイド水溶液中に分散したコロイド粒子の平均粒子径は40nmであった。該コロイド粒子の結晶形はδ形であり、処理前の結晶形と変わらなかった。得られたアルカリ性アルミナコロイド水溶液を濃縮し、酸化物として20重量%のコロイド溶液とした。
【0038】
このようにして調製したコロイド溶液の調製条件を、下記実施例2〜6および比較例1と共に表1に示す。
また、このコロイド溶液とコロイド粒子の性状を次の方法により測定、観察し、その結果を表2と表3に夫々示す。
【0039】
(1)コロイド粒子の平均粒子径
コロイド水溶液を純水で希釈し、遠心沈降式粒度分布測定装置(堀場製作所製、CAPA−700)を用いて測定した。
【0040】
(2)コロイド粒子の粒度分布
同上の測定装置で測定した。なお、表3中の記号の意味は次の通りである。
○・・・粒度分布がシャープなもの
△・・・粒度分布がブロードなもの
×・・・粒度分布が非常にブロードなもの
【0041】
(3)コロイド粒子の変動係数
同上の測定装置で測定した。但し、変動係数(%)=(標準偏差/平均粒子径)×100である。
【0042】
(4)コロイド粒子の灼熱減量
コロイド水溶液を110℃で20時間乾燥した試料を1000℃で1時間焼成して重量減少を求めた。
【0043】
(5)コロイド粒子の結晶形
コロイド水溶液を凍結乾燥機で乾燥させた後、110℃で20時間乾燥した試料について、高出力X線回折装置(理学電機製、RINT−1400)を用いてCu管球、60KV、200mAの条件にて測定し、JCPDSのソフトを用いて結晶形の定性を行った。
【0044】
(6)コロイド粒子の粒子形状
コロイド粒子を蒸留水で希釈した試料について透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H−800)を用いて観察を行った。
【0045】
(7)コロイド溶液の吸光度
コロイド水溶液を純水で希釈してアルミナ濃度を0.5重量%とした試料について、分光光度計(日立製作所製、U−2000)にて測定した。
【0046】
(8)コロイド溶液の分散安定性
コロイド水溶液を純水で希釈してアルミナ濃度を1重量%とした試料について、小型遠心分離機(国産遠心器製、H−18)にて1000rpmで30分間遠心分離を行った。なお、表2中の記号の意味は次の通りである。
○・・・コロイド溶液が沈降分離しないもの
×・・・コロイド溶液が沈降分離するもの
【0047】
(9)コロイド溶液の経時変化
コロイド水溶液を70℃の恒温槽中で1か月間静置した試料を純水で希釈し、遠心沈降式粒度分布測定装置(堀場製作所製、CAPA−700)を用いて測定した。なお、表2中の記号の意味は次の通りである。
○・・・調製直後の平均粒子径に対して±20%以内のもの
△・・・調製直後の平均粒子径に対して±50%以内のもの
×・・・調製直後の平均粒子径に対して±50%以上のもの
【0048】
(10)コロイド溶液の粘度
コロイド水溶液を蒸留水で希釈してアルミナ濃度を10重量%とした試料について、25℃でオストワルド粘度計により測定した。
【0049】
(11)アルミナ微粉末の比表面積
コロイド水溶液を凍結乾燥機で乾燥させた後、110℃で20時間乾燥した試料について、比表面積測定装置(湯浅アイオニクス製、マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)により測定した。
【0050】
(12)アルミナコロイド粒子のゼーター電位
コロイド水溶液を蒸留水で希釈してアルミナ濃度を2重量%、pH10.5とした試料について、超音波方式ゼーター電位測定装置(Matec製、ESA−800)により測定した。
【0051】
実施例2
参考例1と同様の方法で調製した酸性アルミナゾル(固形分濃度:20重量%、平均粒子径:20nm、主結晶形:δ形)1000gと純水6800gとを50℃で撹拌しながら、これに強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化成製、DAIAION、SA−10A)2000ccを徐々に加えた後、1重量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド200gを添加し、16時間撹拌を行った。次いで、室温まで冷却した後、イオン交換樹脂を取り除き、アルカリ性アルミナコロイド水溶液を得た。このコロイド水溶液を濃縮し、酸化物として20重量%のコロイド溶液とした。
【0052】
実施例3
実施例2で得られたアルミナコロイド水溶液(固形分濃度20重量%)500gにエチレングリコール400gを加えながらロータリーエバポレータにて90℃で加熱溶媒置換を行い、酸化物として20重量%のエチレングリコールを分散媒とするアルミナコロイド溶液を得た。
このコロイド溶液を酸化物として1重量%となるよう蒸留水で希釈した後、小型遠心分離器にて1000rpmで30分間遠心分離を行ったが、コロイド粒子の沈殿は見られなかった。
【0053】
実施例4
参考例1と同様の方法で調製した酸性アルミナゾル(固形分濃度:20重量%、平均粒子径:60nm、主結晶形:γ形)1000gと純水8950gと4重量%水酸化カリウム50gとを50℃で撹拌しながら、これに強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化成製、DAIAION、SA−10A)1000ccを徐々に添加し、20時間撹拌を行った。次いで、室温まで冷却した後、イオン交換樹脂を取り除き、アルカリ性アルミナコロイド水溶液を得た。このコロイド水溶液を濃縮し、酸化物として30重量%のコロイド溶液とした。
【0054】
実施例5
実施例4で得られたアルミナコロイド水溶液(固形分濃度20重量%)500gにエチルアルコール400gを加えながら、限外濾過膜(旭化成工業製、SIP−1013)にて溶媒置換を行い、酸化物として20重量%のエチルアルコールを分散媒とするアルミナコロイド溶液を得た。
このコロイド溶液を酸化物として1重量%となるよう蒸留水で希釈した後、小型遠心分離器にて1000rpmで30分間遠心分離を行ったが、コロイド粒子の沈殿は見られなかった。
【0055】
実施例6
参考例1と同様の方法で調製した酸性アルミナゾル(固形分濃度:20重量%、平均粒子径:110nm、主結晶形:α形とθ形の混合物)100gと純水295gと1重量%水酸化リチウム5gとを50℃で撹拌しながら、これに強塩基性陰イオン交換樹脂(三菱化成製、DAIAION、SA−10A)500ccを徐々に添加し、20時間撹拌を行った。次いで、室温まで冷却した後、イオン交換樹脂を取り除き、アルカリ性アルミナコロイド水溶液を得た。このコロイド水溶液を濃縮し、酸化物として40重量%のコロイド溶液とした。
【0056】
比較例1
参考例1の酸性アルミナゾル100gと純水250gとを室温で撹拌しながら、これに1重量%水酸化ナトリウム50gを添加し、10時間撹拌を続けた。次いで、純水を加えながら、限外濾過膜(旭化成工業製、SIP−1013)にて電導度が3mS/cmになるまで洗浄した後、濃縮し、酸化物として20重量%のコロイド溶液とした。
この溶液をしばらく放置すると、凝集したアルミナコロイド粒子の沈殿が見られ、安定なコロイド水溶液が得られなかった。
【0057】
【表1】
Figure 0003708985
【0058】
【表2】
Figure 0003708985
【0059】
【表3】
Figure 0003708985
【0060】
【発明の効果】
第1発明に係るアルカリ性アルミナゾルは、結晶性のアルミナ微粒子を分散質とし、pH8以上のアルカリ領域において安定で、しかも、透明性に優れているので、前記したように、触媒担体以外の用途にも種々適用することができる。
【0061】
第2発明に係るアルカリ性アルミナゾルの製造方法は、アルカリが再生されて繰り返しアルミナに作用するため、アルミナに対するアルカリの添加量が少なくても、アルミナ微粒子の解膠を十分に行うことができ、製造プロセスとして経済的である。また、分散安定性の高いアルカリ性アルミナゾルを調製することができ、優れた製造方法であるということができる。

Claims (2)

  1. アルミナ微粒子が、γ、η、δ、ρ、χ、θ、κ、およびα形から選ばれた単一または複数の結晶からなることを特徴とするアルカリ性アルミナゾル。
  2. γ、η、δ、ρ、χ、θ、κ、およびα形から選ばれた単一または複数の結晶からなる陽イオン性アルミナ微粒子を含有する酸性アルミナゾルを水相中でアルカリの存在下に陰イオン交換体と接触させることを特徴とするアルカリ性アルミナゾルの製造方法。
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