JP4936720B2 - 異方形状アルミナ水和物ゾルおよびその製造方法 - Google Patents

異方形状アルミナ水和物ゾルおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特に研磨材として有用な異方形状アルミナ水和物ゾルの効率的な製造方法およびその製造方法により得られる異方形状アルミナ水和物ゾルに関する。
アルミニウムアルコキシドを加水分解して得られる水性アルミナゾルに関して、酸の存在下で加熱解膠して、透明で低粘度のアルミナ水和物ゾルを得る製造方法が開示されている(特許文献1:特開平7−10535号公報)。
また、コロダイルベーマイト針状物に関しては、長さ100nm乃至500nmの範囲のベーマイトがアルミニウムアルコキシドを加水分解して得られる例が知られている(非特許文献1:J.Am.Cera.Soc.,74〔6〕1303−1307(1991))。
金属アルミニウムによる水性アルミナゾルの製造方法については、金属アルミニウムと有機酸から無定形繊維状のアルミナゾルを製造する方法が開示され(特許文献2:特公昭60−166220号公報)、また、珪酸イオンと硫酸根の存在下で塩酸を添加して径が20〜100μm、長さが200〜500μmの範囲に分布している束状の無定形アルミナゾルを製造する方法が開示されている(特許文献3:特開平5−24824号公報)。
アルミナ水和物を原料とする水性アルミナゾルの製造方法として、特公昭50−21319号公報(特許文献4)には、アルミナ水和物を高温で水および水蒸気に接触させてなる活性アルミナ成型体の製造方法が開示されている。また、特開昭51−74994号公報(特許文献5)には高純度の熱的に安定な活性アルミナ系触媒の単体成型品の製造方法が、特開昭61−72624号公報(特許文献6)には活性が高く、低見掛密度の分散酸化アルミニウム水和物の製造方法が、各々開示されている。
板状などの異方形状アルミナゾルの製造方法としては、特開昭54−116398号公報(特許文献7)に、所定の水溶性塩基性アルミニウム塩をアルカリにより中和して得られるアルカリゲルを所定量の有機酸存在下にて、水熱処理することによりベーマイト結晶格子を有する板状または棒状のアルミナゾルを得る製造方法が開示されている。
特開昭55−23034号公報(特許文献8)には、酸性の水溶性アルミニウム正塩などをアルカリ物質で中和して得られるアルミナゲルを所定量の一価有機酸または該有機酸の水溶性アルミニウム塩の存在下、水熱処理することにより板状または棒状のアルミナゾルを得る製造方法が開示されている。
特開昭55−27824号公報(特許文献9)には、少なくとも一方がアルミニウム化合物である、酸性物質とアルカリ性物質との液相中和反応により得られたアルミナゲルを所定の酸根/Alモル比となる量の一価の有機酸または該有機酸の水溶性アルミニウム塩の存在下、水熱処理することにより板状または棒状のアルミナゾルを得る製造方法が開示されている。
特開昭55−116622号公報(特許文献10)には、不完全結晶または無定形の構造を示す活性アルミナの粉末をpH9以下の水性媒体中で処理することにより部分的に超微細ベーマイト構造を有する各種構造のアルミナゾルを得る製造方法が開示されている。
特開昭58−176123号公報(特許文献11)には、アルミン酸アルカリと無水炭酸から生成した無定形ヒドロオキシ炭酸アルミニウム沈殿を特定条件下にて溶液を加えて加熱することにより,超純粋で均質なベ−マイトとプソイドベ−マイトを製造する方法が開示されている。
特開昭60−166220号公報(特許文献12)には、金属アルミニウムと有機酸水溶液との初期段階の反応を所定の条件下にて行った後,有機酸を添加してそのモル比を所定の値以下にして反応させることにより,結晶アルミナを含まぬ安定な無定形繊維状アルミナゾルを得る方法について開示している。
国際公開WO97/32817公報(特許文献13)には、少なくとも部分的に再水和性を有するρ−及びχ−結晶構造を示すアルミナにベーマイトより溶解度の高いアルミナを酸化物基準で0%乃至95%の範囲で混合し、少なくとも一種類の酸を含有させ、水分の存在下で、化学組成のモル比が有効な酸の和をHAとして、モル比をaAl23・bHA・cH2Oで表した場合に、a,b,cが次の関係式で表され、k=(b/a)・(b/c)かつ、k値が0.0001〜0.01の範囲に有る調製物を、70〜350℃で水熱処理してなるアルミナゾルの製造方法を開示しており、該アルミナゾルについては、分子式がAl23・1.05〜1.30H2Oで表され、直径と長さのそれぞれの重量平均値が3〜50nmと30〜3000nmの範囲にある繊維状ベーマイトからなる旨の記載がある。
特開平10−87324号公報(特許文献14)には、無定形アルミナ水和物の繊維状コロイド粒子を含有する水性アルミナゾルにアルカリを添加することにより、9〜12のpHを有する反応混合物を生成させ、次にこの反応混合物を所定範囲の温度で水熱処理することにより、ベーマイト構造を有するアルミナ水和物を含む懸濁液を生成させ、該懸濁液を脱塩処理することにより、pH3〜6の細長い形状を有する酸性水性アルミナゾルを形成させる方法を開示している。
特開平7−10535号公報 特公昭60−166220号公報 特開平5−24824号公報 特公昭50−21319号公報 特開昭51−74994号公報 特開昭61−72624号公報 特開昭54−116398号公報 特開昭55−23034号公報 特開昭55−27824号公報 特開昭55−116622号公報 特開昭58−176123号公報 特開昭60−166220号公報 国際公開WO97/32817公報 特開平10−87324号公報 J.Am.Cera.Soc.,74〔6〕1303−1307(1991)
本発明は、特に研磨材として好適な異方形状アルミナ水和物ゾルおよびその製造方法を提供するものであり、所定のアルミナ水和物ゾルを原料として、異方形状アルミナ水和物ゾルを調製することを可能とする製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る異方形状アルミナ水和物ゾルの製造方法は、pH2.2〜4.7の範囲にあり、平均粒子径が5〜20nmの範囲にあるアルミナ水和物ゾルを脱陰イオン処理してpH8〜10の範囲に調整し、次いで40〜150℃で熟成してpH9.5〜11.5とした後、60〜200℃の温度条件下pH9以上を維持しながら、該アルミナ水和物ゾルのアルミナ固形分100重量部に対して、シリカ固形分で1〜20重量部に相当する珪酸液を断続的にまたは連続的に添加することを特徴とするものである。
また、前記熟成後、アルカリ性水溶液を添加してpH9.5〜11.5に調整することが好ましい。
前記アルミナ水和物ゾルに対する前記珪酸液の添加量が、該アルミナ水和物ゾル中のアルカリ金属、第3級アンモニウム、第4級アンモニウムまたはグアニジンをMで表したときのSiO2/M2O(モル比)で30〜100の範囲となる量であることが好ましい。
前記アルミナ水和物ゾルが無定形アルミナ水和物のゾルまたは結晶性アルミナ水和物のゾルであることが好ましい。
前記アルミナ水和物ゾルが擬ベーマイト、ベーマイト、γ−アルミナ、δ−アルミナまたはα−アルミナから選ばれる1種以上のアルミナ水和物のゾルであることが好ましい。
前記熟成を10分〜72時間行うことが好ましい。
本発明に係る異方形状アルミナ水和物ゾルは前記の製造方法によって得られ、平均粒子径が5〜30nm、比表面積が80〜400m2/g、短径/長径比が0.005〜0.85の範囲にある。
本発明に係る異方形状アルミナ水和物ゾルの製造方法によれば、基本的に既存のアルミナ水和物ゾルを原料として、異方形状アルミナ水和物ゾルを製造することができ、異方形状アルミナ水和物ゾルを極めて容易に製造することができるものである。
本発明に係る異方形状アルミナ水和物ゾルは、研磨剤として優れた研磨特性を有する。特に実用上問題となるレベルのスクラッチを抑制できるものである。即ち、当該異方形状アルミナ水和物ゾルは研磨時において研磨面で粒子配列が起こり、スクラッチの少ない各種の基板研磨面を提供することができる。
[異方形状アルミナ水和物ゾルの製造方法]
原料アルミナ水和物ゾル
本発明に係る異方形状アルミナ水和物ゾルの製造方法では、平均粒子径が5〜20nmの範囲にあるアルミナ水和物微粒子が分散した、pHが2.2〜4.7の範囲にあるアルミナ水和物ゾルが原料として必要である。
アルミナ水和物ゾルの平均粒子径が5nm未満の場合、安定性が悪い。他方、20nmを越える場合は、粒子反発力が強いことと、粒子同志の反応性が低く、粒子連結がしにくいため、好ましくない。好適には、平均粒子径6〜18nmの範囲にあるアルミナ水和物の微粒子が分散したアルミナ水和物ゾルが推奨される。
アルミナ水和物ゾルのpHが2.2未満の場合は、アルミナが溶解し、不安定である。他方、4.7を越える場合は液の粘度が高くなり、凝集し、不安定である。
アルミナ水和物ゾルのpHについては、好適にはpH2.3〜4.5の範囲が推奨される。また、原料のアルミナ水和物ゾルの比表面積については、通常は80〜300m2/gの範囲にあるものが使用される。
アルミナ水和物ゾルのアルミナ固形分濃度は、通常は2〜30重量%の範囲のものが使用される。2重量%未満では、効率的に異方形状アルミナ水和物ゾルの生産を行うには不向きである。他方、30重量%を越えるとアルミナ水和物ゾルの安定性が低下し、凝集し易くなるので望ましくない。好適には、アルミナ固形分濃度が5〜20重量%の範囲にあるアルミナ水和物ゾルが使用される。アルミナ水和物ゾルの溶媒としては、通常は水系溶媒が用いられる。
原料となるアルミナ水和物ゾルについては、分散質となる微粒子が、アルミナ水和物を含むものであれば、制限されるものではない。通常は、原料となるアルミナ水和物ゾルは、分散質となるアルミナ水和物の微粒子が、擬ベーマイト、ベーマイト、γ−アルミナ、δ−アルミナまたはα−アルミナ、ギプサイト、ジアスポア、バイヤライトまたは無定形の結晶形からなるアルミナ水和物からなるものである。この種のアルミナ水和物は安価であり、化学工業用の材料としても多用されているものである。
この原料アルミナ水和物ゾルについては、その製造方法は限定されるものではなく、公知のアルミナ水和物ゾルの製造方法で調製されたアルミナ水和物ゾルを適用することができる。代表的なアルミナ水和物ゾルの製造方法としては、次の製法を挙げることができる。
1)アルミニウムアルコキシドを加水分解してなる水性アルミナ水和物ゾルの製造方法
2)アルミニウムアルコキシドを、希酸水溶液中で加水分解して得られたアルミナ1水和物(ベーマイト)を、新たに酸を加えてから水熱処理して解膠してなるアルミナ水和物ゾルの製造方法
3)金属アルミニウムと有機酸水溶液との初期段階の反応を所定の条件下にて行った後,有機酸を添加してそのモル比を所定の値以下にして反応させてなるアルミナ水和物ゾルの製造方法
脱陰イオン処理
前記原料アルミナ水和物ゾルに対して、脱陰イオン処理を行なう。脱陰イオン処理は、通常、アルミナ水和物ゾルを陰イオン交換体、望ましくは強塩基性陰イオン交換体に接触させることにより行なう。具体的には、陰イオン交換体が充填されたカラムに、アルミナ水和物ゾルを通液することにより行なわれる。
脱陰イオン処理はアルミナ水和物ゾルのpHが8〜10の範囲に入るまで行なう必要がある。このpH範囲にある場合は、負電位が発生するため安定である。陰イオン交換を経ずに、アルカリ性溶液でpH調整を行なった場合、塩が多量に発生し、凝集物が発生するが、陰イオン交換を行なった場合は、凝集物の発生が抑止され、負電位が発生するため好ましい。
pHが8未満の場合は、負電位が小さく不安定である。他方、pHが10を越える場合は、アルミナの加水分解が進み、溶解しやすいことと結晶変化を伴う異常粒子の形成が生じる結果、ゾルが不安定となるので好ましくない。脱陰イオン処理後のpH範囲として、好適には8.5〜9.7の範囲が推奨される。
この脱陰イオン処理によりSO4 2-、塩素イオン等の陰イオン等が除去される。
前記強塩基性陰イオン交換体としては公知のものが使用でき、水酸基型強塩基性陰イオン交換樹脂、Cl型陰イオン交換樹脂などが挙げられる。
熟成
脱陰イオン処理が完了したアルミナ水和物ゾルについては、40〜150℃で、好ましくは45〜98℃で、10分〜72時間静置することにより熟成させる。
脱陰イオン処理が完了した段階においては、アルミナ水和物微粒子の凝集物(ゲル状)が存在するため、熟成により、このような凝集物を熱で溶解(解膠)させることにより、アルミナ水和物微粒子を均一化させる必要がある。
熟成する際の温度については、40℃未満では、アルミナ水和物微粒子が溶解され難く、均一化を図りにくいため望ましくない。他方、150℃を超えるとアルミナ水和物微粒子の結晶化に伴い、粒子の制御が困難となり不安定であり、好ましくない。なお、前記静置時間については、好適には30分〜5時間が推奨される。
アルカリ添加
前記の通り、陰イオン交換完了時には、アルミナ水和物ゾルのpHは8〜10の範囲に調整されるが、続いて行なわれる熟成が適切に行なわれた場合、アルミナ水和物微粒子の凝集物の一部は溶解するため、通常、そのpHは低下する。しかしながら、後に行なわれる珪酸液添加による粒子成長において、pH低下によるアルミナ水和物微粒子の凝集を防ぎ、均一な粒子成長が行なわれるように、熟成終了後のアルミナ水和物ゾルにアルカリ性溶液を添加して、pHを9.5〜11.5に調整する。
pHが9.5未満の場合は、珪酸液添加によるpH低下により凝集物が発生する。他方、pHが11.5を越える場合は、珪酸液が溶解し易くなり、粒子成長が充分に行われず、好ましくない。pHは好適には9.7〜11.2の範囲が推奨される。
なお、熟成を終えた段階で、アルミナ水和物ゾルのpHが9.5を超えている場合は、必ずしもアルカリ性水溶液の添加は必要ない。
前記アルカリ性水溶液としては、珪酸液のpHを調整できるものであって、本発明の異方形状シリカゾルの生成に悪影響を与えないものであれば、制限なく使用できる。具体例としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液、有機アミン系塩類や水溶性珪酸塩の水溶液などが挙げられる。
粒子成長
pH調整が完了したアルミナ水和物ゾルに珪酸液を断続的にまたは連続的に添加することにより異方形状アルミナ水和物ゾルを調製する。
本発明製造方法において使用される珪酸液とは、水溶性珪酸塩を脱アルカリすることにより調製されるものであり、通常は珪酸塩の水溶液を陽イオン交換樹脂で処理するなどの方法で脱アルカリして得られる珪酸の低重合物の水溶液である。この種の珪酸液は、通常、pHは2〜4、SiO2/Na2Oが100〜3,000、SiO2濃度約10重量%以下、好ましくは1〜7重量%のものが、常温でのゲル化が生じ難く、比較的安定であり、実用的に原料として使用される。
前記水溶性珪酸塩としては、アルカリ金属と珪酸とからなるアルカリ金属珪酸塩、第3級アンモニウムと珪酸からなる第3級アンモニウム珪酸塩、第4級アンモニウムと珪酸からなる第4級アンモニウム珪酸塩およびグアニジンと珪酸とからなるグアニジン珪酸塩などが挙げられる。
アルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム(水硝子)、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどがあり、第3級アンモニウム珪酸塩としては珪酸トリエタノールアミン、第4級アンモニウム珪酸塩としては、珪酸テトラメタノールアンモニウム、珪酸テトラエタノールアンモニウムなどが挙げられる。
水溶性珪酸塩を原料として、珪酸液を調製する場合は、水溶性珪酸塩を水溶液にして、前記の通り脱陽イオン処理などが行なわれる。このような水溶性珪酸塩の水溶性については、通常はSiO2/M2O(モル比、Mはアルカリ金属、第3級アンモニウム、第4級アンモニウムまたはグアニジンから選ばれる)が約1〜4.5のものが好適に用いられる。また、このような水溶性珪酸塩の濃度については、格別に制限はないが、実用上は15〜35重量%のものが使用される。なお、珪酸液を添加するにあたり、適宜、更に水希釈して使用しても良い。
本発明の異方形状アルミナ水和物ゾルの製造方法においては、アルカリ性水溶液が必要により添加されてpH9.5〜11.5に調整したアルミナ水和物ゾルを60〜200℃に加熱し、同温度範囲にて、前記珪酸液を断続的にまたは連続的に添加することにより、異方形状アルミナ水和物ゾルを調製する。
前記珪酸液の添加量は、アルミナ水和物ゾルのアルミナ固形分100重量部に対して、珪酸液に含まれるシリカ固形分が1〜20重量部の範囲とすることが必要である。
1重量部未満では、アルカリ性領域で不安定である。他方、20重量部を越える場合は、アルミナゾルの異方性が損なわれることがあり、望ましくない。珪酸液に含まれるシリカ固形分の配合量については、好適には2〜15重量部が推奨される。
珪酸液の添加については、少なくとも粒子成長後のアルミナ水和物ゾルのpHが9.0以上を維持するように添加することが必要である。pH9.0以下においては、アルミナ水和物ゾルが凝集するため好ましくない。
粒子成長後のpHを9.0以上に維持するように珪酸液を添加することについては、通常はアルミナ水和物ゾル中のSiO2/M2O[Mはアルカリ金属、第3級アンモニウム、第4級アンモニウムまたはグアニジンから選ばれる](モル比)が30〜100の範囲となるように珪酸液の量を調整することにより行なうことができる。SiO2/M2Oの範囲としては、好適には40〜70の範囲が推奨される。
なお、珪酸液の予定添加量に応じて、予めアルカリ性水溶液の添加によるpH調整の段階で、前記pH範囲(9.5〜11.5)において、比較的高めのpHに調整することが推奨される。
主として混合液を安定させることを目的として、珪酸液の添加前に60〜98℃にて30分から3時間程度、熟成してから、珪酸液の添加を開始しても良い。
アルミナ水和物ゾルへの珪酸液の添加に当たっては、珪酸液を断続的にまたは連続的に添加する方法がとられる。ここで珪酸液を連続的に添加する場合であっても、珪酸液を断続的に添加する場合であっても、アルミナ水和物微粒子を成長させるために、珪酸液を徐々に添加する方法がとられる。具体的には、前記いずれの場合であっても、通常は10分から72時間かけて、好適には30分〜7時間かけて、混合液のゲル化を招かないように添加が行なわれる。
珪酸液の添加終了後は、直ちに後述する濃縮または溶媒置換等の工程を行なっても良いが、1〜3時間保持し、徐冷してから次の工程に進んでもよい。また、数時間かけて放冷することにより、常温にしてから次の工程に進んでも良い。
[異方形状アルミナ水和物ゾル]
本発明の異方形状アルミナ水和物ゾルは、前記した製造方法によって得られる非球状のアルミナ水和物微粒子が分散したゾルであり、アルミナ水和物微粒子の平均粒子径が5〜30nmであり、短径/長径比が0.005〜0.85、比表面積が80〜400m2/gの範囲にある。
前記平均粒子径については、BET法により測定された比表面積から算定する。平均粒子径が5nm未満の場合は、不安定である。他方、30nmを越える場合については、異方性が損なわれるばかりでなく、液粘度が高くなるため好ましくない。平均粒子径については、好適には8〜25nmの範囲のものが望ましく、更に望ましくは、9〜18nmの範囲が推奨される。
また、前記短径/長径比については、走査型電子顕微鏡により撮影された写真をもとに、後記するように所定数のアルミナ水和物微粒子について、短径/長径の長さを測定し、それから短径/長径比の値を算出し、更にその平均値をとったものである。
短径/長径比が0.005未満の場合は、粘度が高くなり、高濃度のものが得られない。他方、0.85を越える場合は、異方性の特性が発現できない。短径/長径比については、好適には、0.01〜0.82の範囲にあるものが望ましく、更に好適には、0.05〜0.5の範囲が推奨される。
本発明の異方形状アルミナ水和物ゾルのアルミナ固形分濃度は、通常、2〜30重量%の範囲にあるものが好適に使用され、特に、5〜20重量%の範囲にあるものが推奨される。
本発明の異方形状アルミナ水和物ゾルにおけるシリカ固形分濃度については、通常、0.1〜7重量%の範囲となる。
本発明の異方形状アルミナ水和物ゾルは、このまま目的の用途に供されることもあり、また、用途によっては限外過または蒸発等の手段によって濃縮される。また、溶媒置換等の方法によって、有機溶媒と置換し、オルガノゾルとすることもできる。
このような有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等のアミド類などが挙げられる。これらは単独で使用しても良く、また2種以上混合して使用しても良い。
また、本発明の異方形状アルミナ水和物ゾルは、シランカップリング剤で表面処理して疎水性を付与して用いることもでき、必要に応じてアルミナ水和物ゾル中のアルカリをイオン交換樹脂等によって除去して用いることもできる。
本発明に係る製造方法により得られる異方形状アルミナ水和物ゾルは、微細で非球状のアルミナ水和物ゾルであり、研磨剤用途を始め、インク用吸収性微粒子、塗料等の展着性補助剤、材料表面の親水性コーティング材、バインダー等に適用可能である。
アルミナ水和物ゾル(触媒化成工業株式会社製、カタロイドAS−3(擬ベーマイト)、BET法により測定した平均粒子径:12nm、比表面積200m2/g、pH:4.0、アルミナ水和物固形分濃度:10重量%)の500gについて、強塩基性イオン交換樹脂SANUPC(三菱化学社製)0.4Lに通液させ、pHを9.3とした後、50℃で3時間静置することにより熟成した。熟成後、室温で放置し、室温にて、pHを測定したところ9.5だった。
次に、アルカリとして5%水酸化ナトリウム水溶液0.67gを添加し、pHを10.8に調整し、温度を80℃にした後、80℃を保持しながら、SiO2濃度4.7重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.7重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1,200)の31.9gを1時間かけて徐々に添加した。添加終了時のSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。
添加終了後、放冷して常温に戻し、pHを測定したところ10.2だった。このアルミナ水和物ゾルをエバポレーターにて固形分濃度20重量%まで濃縮して異方形状アルミナ水和物ゾルを調製した。
このアルミナ水和物ゾルについてのBET法により測定される比表面積から算定される平均粒子径については、アルミナ水和物ゾルを凍結乾燥機で乾燥させた後、110℃で20時間乾燥した試料について比表面積を測定した後、比表面積測定装置(湯浅アイオニクス製、マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)により測定した。そして、BET法による窒素吸着量から比表面積(SA)を求め、粒子径(Dp)=6000/SA×粒子密度の式から平均粒子径を求めたところ、12nmとなった。
また、アルミナ水和物ゾルの短径/長径比については、透過型電子顕微鏡(型番H−800、日立製作所製)を使用して、倍率250,000倍の写真を撮影し、任意の10個のアルミナ水和物微粒子について、長径(最大の長さ)と短径(最大の太さ)を測定し、それぞれ短径/長径比の値を算出し、平均値は0.10となった
以上の調製条件、アルミナ水和物ゾルの平均粒子径および短径/長径比について、表1に示した。また、これ以降の実施例と比較例についても同様に表1に記載した。
アルミナ水和物ゾル(触媒化成工業株式会社製、カタロイドAS−3(擬ベーマイト)、BET法により測定した平均粒子径:12nm、比表面積200m2/g、pH:4.0、アルミナ水和物固形分濃度:10重量%)の500gについて、強塩基性イオン交換樹脂SANUPC(三菱化学社製)0.4Lに通液させ、pHを9.0とした後、70℃で2時間静置することにより熟成した。熟成後、室温で放置し、室温にてpHを測定したところ8.5だった。
次に、アルカリとして5%アンモニア水溶液0.58gを添加し、pHを10.8に調整し、温度を80℃にした後、80℃を保持しながら、SiO2濃度4.7重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.7重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1,200)63.8gを2時間かけて徐々に添加した。添加終了時のSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。
添加終了後、放冷して常温に戻し、pHを測定したところ10.2だった。このアルミナ水和物ゾルをエバポレーターにて固形分濃度20重量%まで濃縮して異方形状アルミナ水和物ゾルを調製した。
この異方形状アルミナ水和物ゾルについてのBET法により測定された平均粒子径は12nmとなった。また、この異方形状アルミナ水和物ゾルの短径/長径比は、0.3となった。
アルミナ水和物ゾル(触媒化成工業株式会社製、カタロイドAS−3(擬ベーマイト)、BET法により測定した平均粒子径:11nm、比表面積220m2/g、pH:4.3、アルミナ水和物固形分濃度:10重量%)の500gについて、強塩基性イオン交換樹脂SANUPC(三菱化学社製)0.4Lに通液させ、pHを9.5とした後、80℃で3時間静置することにより熟成した。熟成後、室温で放置し、室温にてpHを測定したところ9.3だった。
次に、アルカリとして5%水酸化ナトリウム水溶液1.60gを添加し、pHを11.0に調整し、温度を80℃にした後、80℃を保持しながら、SiO2濃度4.7重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.7重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1,200)63.8gを2時間かけて徐々に添加した。添加終了時のSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。
添加終了後、放冷して常温に戻し、pHを測定したところ10.5だった。このアルミナ水和物ゾルをエバポレーターにて固形分濃度20重量%まで濃縮して異方形状アルミナ水和物ゾルを調製した。
この異方形状アルミナ水和物ゾルについてのBET法により測定された平均粒子径は11nmとなった。また、この異方形状アルミナ水和物ゾルの短径/長径比は、0.3となった。
アルミナ水和物ゾル(触媒化成工業株式会社製、カタロイドAS−3(擬ベーマイト)、BET法により測定した平均粒子径:12nm、比表面積:200m2/g、pH:3.9、アルミナ水和物固形分濃度:10重量%)の500gについて、強塩基性イオン交換樹脂SANUPC(三菱化学社製)0.4Lに通液させ、pHを9.3とした後、90℃で1時間静置することにより熟成した。熟成後、室温で放置し、室温にてpHを測定したところ9.3だった。
次に、アルカリとして5%水酸化ナトリウム水溶液1.45gを添加し、pHを10.8に調整し、温度を70℃にした後、70℃を保持しながら、SiO2濃度4.7重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.7重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1,200)63.8gを2時間かけて徐々に添加した。添加終了時のSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。
添加終了後、放冷して常温に戻し、pHを測定したところ10.2だった。このアルミナ水和物ゾルをエバポレーターにて固形分濃度20重量%まで濃縮して異方形状アルミナ水和物ゾルを調製した。
この異方形状アルミナ水和物ゾルについてのBET法により測定された平均粒子径は12nmとなった。また、この異方形状アルミナ水和物ゾルの短径/長径比は、0.3となった。
アルミナ水和物ゾル(触媒化成工業株式会社製、カタロイドC(δ−アルミナ)、BET法により測定した平均粒子径:10nm、比表面積:240m2/g、pH:2.5、アルミナ水和物固形分濃度:10重量%)の500gについて、強塩基性イオン交換樹脂SANUPC(三菱化学社製)0.4Lに通液させ、pHを8.8とした後、60℃で5時間静置することにより熟成した。熟成後、室温で放置し、室温にてpHを測定したところ8.1だった。
次に、アルカリとして5%水酸化ナトリウム水溶液2.15gを添加し、pHを10.6に調整し、温度を90℃にした後、90℃を保持しながら、SiO2濃度4.7重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.7重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1,200)106.3gを5時間かけて徐々に添加した。添加終了時のSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。
添加終了後、放冷して常温に戻し、pHを測定したところ9.9だった。このアルミナ水和物ゾルをエバポレーターにて固形分濃度20重量%まで濃縮して異方形状アルミナ水和物ゾルを調製した。
この異方形状アルミナ水和物ゾルについてのBET法により測定された平均粒子径は11nmとなった。また、この異方形状アルミナ水和物ゾルの短径/長径比は、0.8となった。
アルミナ水和物ゾル(触媒化成工業株式会社製、カタロイドAS−3を100℃で3時間加熱したもの(擬ベーマイト)、BET法により測定した平均粒子径:15nm、比表面積:160m2/g、pH:3.9、アルミナ水和物固形分濃度:10重量%)の500gについて、強塩基性イオン交換樹脂SANUPC(三菱化学社製)0.4Lに通液させ、pHを9.3とした後、90℃で15時間静置することにより熟成した。熟成後、室温で放置し、室温にてpHを測定したところ8.5だった。
次に、アルカリとして5%水酸化ナトリウム水溶液1.31gを添加し、pHを10.9に調整し、温度を95℃にした後、95℃を保持しながら、SiO2濃度4.7重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.7重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1,200)53.2gを3時間かけて徐々に添加した。添加終了時のSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。
添加終了後、放冷して常温に戻し、pHを測定したところ10.5だった。このアルミナ水和物ゾルをエバポレーターにて固形分濃度20重量%まで濃縮して異方形状アルミナ水和物ゾルを調製した。
この異方形状アルミナ水和物ゾルについてのBET法により測定された平均粒子径は15nmとなった。また、この異方形状アルミナ水和物ゾルの短径/長径比は、0.4となった。
比較例1
アルミナ水和物ゾル(種類:擬ベーマイト、BET法により測定した平均粒子径:3nm、比表面積:800m2/g、pH:4.0、アルミナ水和物固形分濃度:10重量%)の500gについて、強塩基性イオン交換樹脂SANUPC(三菱化学社製)0.4Lに通液させ、pHを9.3としたところゲル化した。
比較例2
アルミナ水和物ゾル(種類:擬ベーマイト、BET法により測定した平均粒子径:35nm、比表面積:80m2/g、pH:4.0、アルミナ水和物固形分濃度:10重量%)の500gについて、強塩基性イオン交換樹脂SANUPC(三菱化学社製)0.4Lに通液させ、pHを9.3とした後、50℃で3時間静置することにより熟成した。熟成後、室温で放置し、室温にてpHを測定したところ9.5だった。
次に、アルカリとして5%水酸化ナトリウム水溶液0.67gを添加し、pHを10.8に調整し、温度を80℃にした後、80℃を保持しながら、SiO2濃度4.7重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.7重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1,200)31.9gを1時間かけて徐々に添加した。添加終了時のSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。
添加終了後、放冷して常温に戻し、pHを測定したところ10.2だった。このアルミナ水和物ゾルをエバポレーターにて固形分濃度20重量%まで濃縮して異方形状アルミナ水和物ゾルを調製した。
この異方形状アルミナ水和物ゾルについてのBET法により測定された平均粒子径は35.0nmとなった。また、この異方形状アルミナ水和物ゾルの短径/長径比は、0.01となった。
比較例3
アルミナ水和物ゾル(触媒化成工業株式会社製、カタロイドAS−3(擬ベーマイト)、BET法により測定した平均粒子径:12nm、比表面積:200m2/g、pH:4.0、アルミナ水和物固形分濃度:10重量%)の500gについて、強塩基性イオン交換樹脂SANUPC(三菱化学社製)0.4Lに通液させ、pHを7.5とした後、50℃で3時間静置することにより熟成した。熟成後、室温で放置し、室温にてpHを測定したところ7.2だった。
次に、アルカリとして5%水酸化ナトリウム水溶液0.67gを添加し、pHを10.8に調整し、温度を80℃にした後、80℃を保持しながら、SiO2濃度4.7重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.7重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1,200)31.9gを1時間かけて徐々に添加したところ、このゾルは凝集した。添加終了時のSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。この懸濁液を放冷して常温に戻し、pHを測定したところ10.2だった。
比較例4
アルミナ水和物ゾル(触媒化成工業株式会社製、カタロイドAS−3(擬ベーマイト)、BET法により測定した平均粒子径:12nm、比表面積:200m2/g、pH:4.0、アルミナ水和物固形分濃度:10重量%)の500gについて、強塩基性イオン交換樹脂SANUPC(三菱化学社製)0.4Lに通液させ、pHを9.3とした後、50℃で3時間静置することにより熟成した。熟成後、室温で放置し、室温にてpHを測定したところ9.5だった。
次に、アルカリとして5%水酸化ナトリウム水溶液1.33gを添加し、pHを12.0に調整し、温度を80℃にした後、80℃を保持しながら、SiO2濃度4.7重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.7重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1,200)31.9gを1時間かけて徐々に添加したところこのゾルは沈殿した。添加終了時のSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。この懸濁液を放冷して常温に戻し、pHを測定したところ12.0だった。
比較例5
アルミナ水和物ゾル(触媒化成工業株式会社製、カタロイドAS−3(擬ベーマイト)、BET法により測定した平均粒子径:12nm、比表面積:200m2/g、pH:4.0、アルミナ水和物固形分濃度:10重量%)の500gについて、強塩基性イオン交換樹脂SANUPC(三菱化学社製)0.4Lに通液させ、pHを9.3とした後、70℃で2時間静置することにより熟成した。熟成後、室温で放置し、室温にてpHを測定したところ8.5だった。
次に、アルカリを添加せず、pH8.5の状態で、温度を80℃にした後、80℃を保持しながら、SiO2濃度4.7重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.7重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1,200)31.9gを1時間かけて徐々に添加したところ、このゾルは凝集した。添加終了時のSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。この懸濁液を放冷して常温に戻し、pHを測定したところ8.1だった。
比較例6
アルミナ水和物ゾル(触媒化成工業株式会社製、カタロイドAS−3(擬ベーマイト)、BET法により測定した平均粒子径:12nm、比表面積:200m2/g、pH:4.0、アルミナ水和物固形分濃度:10重量%)の500gについて、強塩基性イオン交換樹脂SANUPC(三菱化学社製)0.4Lに通液させ、pHを9.3とした後、50℃で3時間静置することにより熟成した。熟成後、室温で放置し、室温にてpHを測定したところ9.5だった。
次に、アルカリとして5%水酸化ナトリウム水溶液0.11gを添加し、pHを10.2に調整し、温度を80℃にした後、80℃を保持しながら、SiO2濃度4.7重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.7重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1,200)5.3gを1時間かけて徐々に添加したところ、このゾルは凝集した。添加終了時のSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。この懸濁液を放冷して常温に戻し、pHを測定したところ8.9だった。
比較例7
アルミナ水和物ゾル(触媒化成工業株式会社製、カタロイドAS−3(擬ベーマイト)、BET法により測定した平均粒子径:12nm、比表面積:200m2/g、pH:4.0、アルミナ水和物固形分濃度:10重量%)の500gについて、強塩基性イオン交換樹脂SANUPC(三菱化学社製)0.4Lに通液させ、pHを9.3とした後、熟成することなく、直ちにアルカリとして5%水酸化ナトリウム水溶液0.67gを添加し、pHを10.2に調整し、温度を80℃にした。
この混合液の温度を80℃に保持しながら、SiO2濃度4.7重量%の珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3)を陽イオン交換樹脂塔に通すことにより得られたSiO2濃度4.7重量%の珪酸液(pH2.3、SiO2/Na2Oモル比=1,200)31.9gを1時間かけて徐々に添加したところ、このゾルは沈殿した。添加終了時のSiO2/Na2Oモル比を表1に示す。この懸濁液を放冷して常温に戻し、pHを測定したところ8.7だった。
Figure 0004936720

Claims (7)

  1. pH2.2〜4.7の範囲にあり、平均粒子径が5〜20nmの範囲にあるアルミナ水和物ゾルを脱陰イオン処理してpH8〜10の範囲に調整し、次いで40〜150℃で熟成してpH9.5〜11.5とした後、60〜200℃の温度条件下pH9以上を維持しながら、該アルミナ水和物ゾルのアルミナ固形分100重量部に対して、シリカ固形分で1〜20重量部に相当する珪酸液を断続的にまたは連続的に添加することを特徴とする異方形状アルミナ水和物ゾルの製造方法。
  2. 前記熟成後、アルカリ性水溶液を添加してpH9.5〜11.5に調整することを特徴とする請求項1記載の異方形状アルミナ水和物ゾルの製造方法。
  3. 前記アルミナ水和物ゾルに対する前記珪酸液の添加量が、該アルミナ水和物ゾル中のアルカリ金属、第3級アンモニウム、第4級アンモニウムまたはグアニジンをMで表したときのSiO/MO(モル比)で30〜100の範囲となる量であることを特徴とする請求項1または請求項2の異方形状アルミナ水和物ゾルの製造方法。
  4. 前記アルミナ水和物ゾルが無定形アルミナ水和物のゾルまたは結晶性アルミナ水和物のゾルである請求項1、請求項2または請求項3記載の異方形状アルミナ水和物ゾルの製造方法。
  5. 前記アルミナ水和物ゾルが擬ベーマイト、ベーマイト、γ−アルミナ、δ−アルミナまたはα−アルミナから選ばれる1種以上のアルミナ水和物のゾルである請求項1〜4のいずれか記載の異方形状アルミナ水和物ゾルの製造方法。
  6. 前記熟成を10分〜72時間行う請求項1〜5のいずれか記載の異方形状アルミナ水和物ゾルの製造方法。
  7. 平均粒子径が5〜30nm、比表面積が80〜400m2/g、短径/長径比が0.005〜0.85の範囲にある、請求項1〜6のいずれか記載の方法によって得られる異方形状アルミナ水和物ゾル。

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