JP4051722B2 - 渦電流式減速装置の回転子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バスやトラックなど大型自動車の制動装置として設けられる渦電流式減速装置の回転子、より詳しくは特定形状の冷却フィンが回転円筒部の外周面に設けられた回転子に関する。
【0002】
【従来の技術】
大型自動車の制動装置としては、主ブレーキであるフットブレーキ、補助ブレーキである排気ブレーキの他、長い坂道の降坂時などで安定した減速を行い、かつフットブレーキの焼損を防止するために渦電流式減速装置(以下、これを「リターダ」と記載する)が使用されている。このリターダには、磁石として永久磁石を使用するものと電磁石を使用するものとがある。
【0003】
リターダの構造については、既にいくつかの例が提案されている(たとえば、特開平1-234043号公報、特開平1-234045号公報、特開平1-298948号公報等参照)。
【0004】
図8は、永久磁石を使用したリターダの一例を示す縦断面図である。図において、符号1は回転子、2は回転子のスポーク、3は回転円筒部、4は冷却フィン、5は永久磁石、6は磁石の支持リング、7はポールピース、8はピストンロッド、9は油圧装置、10は回転軸、11は案内棒である。
【0005】
回転子1 は、回転軸10の片側端部に取り付けられ、スポーク2 を介して強磁性体からなる回転円筒部3 が配設されている。回転円筒部3 は、回転軸10と一体に回転する。回転子の回転円筒部の内周部内部には、複数個の永久磁石5 が隣接する極性を逆向きに周設された支持リング6 が、ポールピース7 を介して設けられている。支持リング6 は、油圧装置9 のピストンロッド8 にねじ等で取り付けられ、油圧装置9 の駆動によって複数の案内棒11に沿って回転軸の軸方向に往復運動する。この往復運動によって永久磁石5 がポールピース7 の位置、すなわち回転円筒部3 と磁気的に対向する位置まで挿入され、その状態(図の上半分に示す状態)が制動オンの状態である。反対に、永久磁石5 がポールピース7 から離れた位置にある状態(図の下半分に示す状態)が制動オフの状態である。
【0006】
制動オンの状態では、永久磁石5 から発する磁束を横切って回転円筒部3 が回転運動するので、回転円筒部の内壁部表面近傍に渦電流が流れる。この渦電流と磁束の相互作用によって回転子には制動トルクが発生する。この回転円筒部は、渦電流にともなうジュール熱で昇温され、制動オフの状態で冷却フィン4 によって冷却降温される。このため、回転円筒部3 には、制動のオン・オフの繰返しによって熱応力サイクルが負荷される。
【0007】
電磁石を使用したリターダにおいても制動トルクの発生原理は、永久磁石の場合と同じである。たとえば、磁極の多数をディスクの両面に配設してなり、バッテリ電源からの通電により磁界を発生させ、渦電流現象によりディスクを減速させる方向にトルクを発生させ制動力を得るものである。
【0008】
回転円筒部は、車両を減速した際に吸収した運動エネルギーを冷却フィンを介して熱放散させるが、減速の頻度が増すに従って回転円筒部の温度が上昇する。この回転円筒部が温度上昇すると、リターダの制動効率が低下するばかりか、回転円筒部の機械的強度も低下する。このため回転円筒部外周面に多数の冷却フィンを設置し、回転円筒部の表面積を増大させることによって冷却能を高め、温度上昇を抑制する工夫がなされている。
【0009】
図9は、図8に示すリターダの回転子を示す図であり、(a) は縦断面図、(b)は一部横断面図である。回転円筒部3 の外周面には、回転軸に平行な直線状冷却フィン4 が等間隔に設けられている。冷却フィンには、▲1▼冷却効率が高いこと、▲2▼回転時に空気抵抗が小さいこと、▲3▼回転時に風切り音が小さいことなどが要求され、次のような提案がある。
【0010】
(1) 回転円筒部外周面に、回転方向に傾斜した冷却フィンを多数、等間隔で配設して、損失トルクを低減するとともに、回転円筒部の半径方向に存在する配管、配線などの温度上昇などの弊害を防止したリターダの回転子(実開平5-33679 号公報、および後述する図10(a) 参照)、
(2) 渦流円筒(回転円筒部)のポールコア(ポールピース)と対向する面の反対の面(外周面)に、円筒の回転方向に平行に放熱フィンを配置し放熱フィンによる風損および騒音を減少させたリターダ(特開平6-253527号公報、および後述する図10(b) 、同(c) 参照)、
(3) 回転円筒部の外周面に回転円筒部の軸方向に分割された冷却フィンを多数配設して回転円筒部の外周面に回転方向に延びる冷却通路を形成し、冷却フィンは冷却通路に向かって回転円筒部の回転方向後側に傾斜させることによって、低損失で冷却効率の向上を図ったリターダ(特開平7-329740号公報、および後述する図10(d) 参照)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前記これまでに提案されたフィンの配置では以下の問題が生じていた。
【0012】
図10は、冷却フィンの配置を平面的に展開して示した図であり、(a) は前記(1) で提案された傾斜フィン、(b) および(c) は前記(2) で提案された回転方向に平行なフィン、(d) は前記(3) で提案された回転円筒部の中央部で分割された傾斜フィンを示す図である。
【0013】
前記(1) に提案された傾斜フィンを設けた回転円筒部(図10(a) 参照)では、冷却フィンの傾斜角度α(入口角度βに等しい)は45°前後であり、45°以上では冷却空気の入口でフィンに沿う方向の速度成分に比べてフィンに垂直な速度成分が大きくなり(45゜で両者が等しい)、冷却空気はフィン間の流路をスムーズに流れ難くなる。
【0014】
前記(2) に提案された回転円筒部の回転方向に平行な冷却フィンを配置するもの(図10(b) 参照)では、冷却空気の入口側および出口側においてフィンの配置は傾斜しており、(1) と同様な現象が発生する。また、フィンは長さ方向(回転円筒部の幅方向)に分割されており強度的に不連続となるので、前述したように回転円筒部に発熱、冷却が繰り返されると、分割されたフィンの取付け部が熱応力による亀裂発生の原因となる。
【0015】
前記(3) に提案された左右に分割した冷却フィンを多数配設して回転円筒の外周面に回転方向に延びる冷却通路を形成したもの(図10(d) 参照)では、上記(2) と同様な現象が発生する。
【0016】
このように傾斜フィンが種々提案されているが、いまだ冷却フィンとしての性能(冷却効率の向上、空気抵抗および騒音の低減)の大幅な向上は期待できないのが現状である。
【0017】
本発明の目的は、放熱特性の向上と、回転抵抗と騒音の発生とを低減させた傾斜冷却フィンを有するリターダ回転子を提供するにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、傾斜冷却フィンの放熱特性、回転抵抗、および騒音の発生について研究を行い、入口側の幅よりも出口側の幅を大きくすることによって上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0019】
本発明の要旨は、下記に示す渦電流式減速装置の回転子にある(図1参照)。回転円筒部の外周面に設けられる冷却フィンは、入口側の角(入口角、β)を10°〜50°、出口側の角(出口角、γ)を40°〜90°とし、かつフィンとフィンとの間隔幅を入口幅Bよりも出口幅Cを大きくした傾斜フィンである渦電流式減速装置の回転子。
【0020】
前記傾斜冷却フィンは、曲線状、屈曲部を含む直線状、または曲線と直線を組み合わせたフィンであることが望ましい。
【0021】
上記の入口幅、出口幅とは、回転円筒部の外周面を平面的に展開したとき、フィンの取付け部において回転方向に対して先行する側のフィンとフィンとの間隔を入口幅B、後行側を出口幅Cという。回転円筒部の外周面を平面的に展開したとき、入口部におけるフィンの接線と回転円筒部の端面とのなす角を入口角β、出口部における角を出口角γという。また、傾斜フィンとは、回転円筒部の外周面を平面的に展開したとき、フィンの取付け部における冷却空気の出口側が回転円筒部の回転方向に対して入口側よりも後方にあり、フィンの取付け部の線が入口と出口を結ぶ線に対して後方に外れた曲線あるいは直線とからなっているフィンである。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のリターダにおける回転円筒部に設けられる冷却フィンは、冷却空気の流れを回転子の軸方向に排出し、常に新しい冷却空気を取り入れることと、入口幅よりも出口幅を大きくして冷却空気の流れを良くすることに特徴がある。
【0023】
図2は、本発明の曲線状傾斜冷却フィンの概念図であり、(a) は回転円筒部の斜視図、(b) は冷却フィンの配置の一部を円周方向に展開して平面的に示す図である。同図(a) において、符号41は曲線状傾斜冷却フィン、3は回転子の回転円筒部である。
【0024】
回転円筒部3 は、図示されていないスポークを介して車両のプロペラシャフト等の制動を要する駆動系(回転軸)に接続されている(図8参照)。回転円筒部3 の外周面には、複数枚の円弧で形成された曲線状傾斜冷却フィン41が等間隔に配設されている。
【0025】
同図(b) において、符号12は冷却フィンの間を流れる冷却空気の流れの方向を示す曲線、Bは冷却空気の入口幅、Cは冷却空気の出口幅、αはフィンの傾斜角、βはフィンの入口角、γはフィンの出口角、Rはフィンの曲率半径、tはフィンの厚さ、pはフィンの配置間隔(ピッチ)、白抜き矢印は回転円筒部の回転方向であり、いずれも回転円筒部外周面における称呼である。
【0026】
回転円筒部3 は紙面の上方から下方へ矢印のように回転するので、冷却空気は回転円筒部の左側からβ方向に取り入れられ、フィン間を流れて右側のγ方向に排出される。
【0027】
図3は、本発明の屈曲部を含む直線状傾斜冷却フィンの概念図であり、(a) は回転円筒部の斜視図、(b) は冷却フィンの配置を円周方向に展開して平面的に示す図である。回転円筒部3 の外周面には、複数枚の屈曲部D をもった屈曲直線状傾斜冷却フィン42が等間隔に配設されている。
【0028】
図1は、本発明の冷却フィンの配置を円周方向に展開して平面的に示す図であり、(a) は曲線状フィン、(b) および(c) は屈曲直線状フィン、(d) は曲線と直線との組合せフィンを示す図である。
【0029】
曲線状フィン41は、図1(a)に示すものでは1つの円弧の曲線によって形成されているが、円弧と円弧の組合せ、または二次曲線などの他の曲線、他の曲線の組合せ等によっても形成することができる。
【0030】
屈曲直線状フィン42は、図1(b)に示すように入口角βで取り付けたフィンを途中で折り曲げて形成してもよく、また、同図(c) に示すように折り曲げ部を複数箇所設けて形成することもできる。
【0031】
曲線と直線を組合せたフィン43は、図1(d)に示すように入口側を円弧などの曲線とし、出口側を直線とするものである。
【0032】
図1に示されたフィンは、フィンとフィンとの間隔を入口(入口幅B)から出口(出口幅C)に向かうにつれ徐々に大きくする。フィンの間隔が徐々に大きくなると、出口側の冷却空気は減圧され、冷却空気の入口での取り込みを良くする。これに較べれば、従来のフィンの形状では、フィンの間隔が等しいため冷却空気の取り込みは劣ると考えられる。
【0033】
以下、本発明で冷却フィンの形状を種々限定した理由について説明する。
【0034】
I.入口幅よりも出口幅を大きくする理由について:
入口幅よりも出口幅を大きくすると、フィンとフィンとの間を流れる冷却空気は、出口側に近づくにつれ圧力が低下する。これによって、入口部からの冷却空気の取り込み量を多くし、フィンまたは回転円筒部からの抜熱量を増加させる。II.冷却フィンを曲線状とする理由について:
図4は、傾斜フィンの展開図であり、(a) は入口角βを18°、傾斜角αを45°、出口角γを72°とする曲線状傾斜フィンを示す図、(b) は傾斜角αを45°とする直線状傾斜フィンを示す図、(c) は傾斜角αを18°とする直線状傾斜フィンを示す図である。フィン入口側および出口側でのフィンピッチpはいずれも等しく、19.725mmである。以下の説明では、「曲線状傾斜フィン」を単に「曲線フィン」と、「直線状傾斜フィン」を単に「直線フィン」と記載する。
【0035】
図4(a)と図4(b)とを比較すると、曲線フィン41と直線フィン44とは傾斜角αを45°と等しくしたので、それぞれの冷却空気の入口角βは、曲線フィン41では18°、直線フィン44では45°となり、曲線フィン41の方が小さい。冷却空気の入口角が小さいほどフィンの接線方向の速度成分が大きくなり、フィンの間を流れる冷却空気の流速が高くなり放熱性能が高くなる。
【0036】
図4(c)の直線フィン44は、傾斜角を18°として曲線フィン41の入口角と等しくしたので、それぞれの冷却空気の取り込み状態は等しい。しかし、直線フィン44の場合ではフィン間隔は入口から出口まで一定であるが、曲線フィン41では出口に向かうにつれてフィン間隔を大きくすることができる。つまり、曲線フィンの方が冷却空気の流れの抵抗を低く抑えることができる。特に、入口角を小さくした場合に両者の差は顕著になる。この場合でも曲線フィンの方が空気が流れやすくなり、放熱性能の向上につながる。
【0037】
図4(c)に示したように直線状フィンの入口角(=傾斜角)を小さくすると、フィンの長さを大きくして放熱性能を向上させる作用と、冷却空気の流路の長さを大きくして放熱性能を低下させる作用がある、即ち相反する効果をもたらすことを、本発明者らは見出した。これにより、曲線フィンとすることによって、入口角を小さく、フィンの長さを大きく、しかも冷却空気の流路の長さを大きくすることができたのである。
【0038】
III .冷却フィンの入口角と出口角とについて:
入口角βは、フィンとフィンとの間に冷却空気をスムーズに採り入れる効果がある。しかし、入口角βが10°未満では冷却空気の入口幅Bが小さくなり、冷却空気をスムーズに取り入れられなくなる。入口のフィン間隔を拡げるとフィン枚数が少なくなり、放熱面積の減少になる。また、入口角βが45°を超えるとフィン間の冷却空気は、フィン曲線の法線方向の速度成分が増加し、出口方向にスムーズに流れなくなる。その結果、放熱性能が低下する。さらに、フィン曲線の法線方向の速度が大きくなると、フィンに与える力積が大きくなり、円筒部の回転抵抗が増大する。また、法線方向の速度が大きくなると冷却空気がフィンから剥離する現象が起こり、騒音を大きくする。したがって、冷却フィンの入口角βは10゜〜50°とした。
【0039】
出口角γについては、40°未満では出口のフィン間隔が狭くなり、冷却空気をスムーズに排出できなくなる。また、出口角γが90°を超えると出口でも冷却空気を取り込む作用が働き、スムーズな冷却空気の流れを実現できなくなるとともに、冷却空気の流れの方向を変えるには力積が必要になるので回転抵抗の増加を招くことになる。したがって、出口角γは40゜〜90゜とした。
【0040】
IV.屈曲部を含む直線状傾斜フィンについて:
本発明のフィンは、冷却空気の流れを回転子の軸方向に排出し、常に新しい冷却空気を取り入れることと、入口幅よりも出口幅を大きくして冷却空気の流れを良くすることに特徴がある。屈曲部を含む直線状傾斜フィンとするのは、フィンとフィンとの間の冷却空気の流れの方向を変えて、空気の流速のうち、フィンに垂直な成分を増加させ、熱伝達を高めるためである。制動中の回転円筒部では、幅方向の中央部が温度が高くなるので、回転円筒部のこの位置にフィンの屈曲部を設けるのが望ましい。なお、フィンの高さ、厚さ、ピッチ、断面形状、材質等は特に限定するものではない。
【0041】
【実施例】
回転円筒部の外周面に、前述の図1および図4に示すような形状の異なるフィンを配設した試験回転子を、表1に示す寸法で製作した。フィンは、鋼板から成形加工によって製作し、回転円筒に溶接によって取り付けた。図1(a) 〜(d) は発明例、図4(b) および(c) は比較例である。
【0042】
【表1】
【0043】
No.1〜7 の回転子は、図1に示す発明例である。No.1〜4 の回転子は、図1(a)に示すように、半径を100 mmとする円弧状のフィンを設けたものであり、それぞれ入口角βと出口角γを変化させた。No.7の回転子は、図1(d)に示すように、半径を 80 mmとする円弧と直線とを組み合わせたフィンを設けたものである。No.5および6 の回転子は、図1(b)および(c) に示すように、屈曲部を含む直線状のフィンを設けたものであり、No.6は屈曲部が2つのものである。
【0044】
No.8〜14の回転子は、いずれも比較例である。No.8および9 の回転子は、半径を100 mmとする円弧状のフィンを設けたものであるが、それぞれ入口角が本発明で定める範囲から外れるものである。No.10 〜14の回転子は、図4(b)および(c)に示すような直線状傾斜フィンを設けたものであり、従来技術として提案された比較例である。
【0045】
それぞれの回転子をモータによって回転速度を600 、1200、1800、2400および2800rpm として、回転円筒部の温度、フィンの回転抵抗、およびフィンから発生する騒音の測定を行った。
【0046】
回転円筒の温度は、制動オンの状態で試験回転子を回転させ、回転円筒部の内側から2mmの位置に埋め込んだ熱電対によってスリップリングを介して測定した。
【0047】
フィンの回転抵抗は、制動オフの状態で試験回転子を回転させ、モータの回転軸に取り付けたトルク計によってスリップリングを介して測定した。また、回転子の中心から上方1mの位置に設置したマイクでフィンから発生する騒音を同時に測定した。それらの結果を表2、および回転子No.1、10および12について図5から図7に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
表2の結果から、本発明で定める形状のフィンを設けた試験回転子No.1〜5およびNo.7は、たとえば回転速度 2800 rpm における回転円筒部の温度が 615℃以下に抑制されている。また、回転抵抗および騒音は、僅かに低下していることがわかる。なお、発明例のNo.6の回転子は、直径が433mmと大きく回転円筒部の温度は高くなっている。
【0050】
図5は、回転子の回転速度と回転円筒部の温度との関係を示す図である。発明例の曲線フィンをもった本発明例(回転子No.1)の回転円筒部(○)の温度が最も低く、入口角18°の直線フィンをもった比較例(回転子No.12 )の回転円筒部(□)の温度が最も高く、回転速度 2800 rpmでは50゜〜100 ℃の温度差があることがわかる。
【0051】
図6は、回転子の回転速度と回転子の回転抵抗との関係を示す図である。曲線フィンをもった本発明の回転子No.1(○)の回転抵抗は、入口角45°の直線フィン(回転子No.1)をもった比較例の回転子(△)に比べ若干低くなっている。なお、入口角18°の直線フィンをもった比較例の回転子No.12 (□)の回転抵抗が最も低くなっているのは、冷却空気の入口幅が小さくなり冷却空気の取り入れ量が少ないためである。また、これによって前述の温度も高くなったものと考えられる。
【0052】
図7は、回転子の回転速度と回転子の騒音との関係を示す図である。曲線フィンをもった本発明の回転子No.1(○)の騒音は、入口角45°の直線フィンをもった比較例の回転子No.10 (△)のそれと等しい速度域もあるが、2400rpm 以上の速度域では本発明例の方が小さく優れている。また、入口角18°の直線フィンをもった比較例の回転子No.12 (□)が最も低くなっているのは、回転抵抗のところで述べた理由と同様である。
【0053】
【発明の効果】
本発明のリターダの回転子は、入口角および出口角をそれぞれ特定範囲に規定した曲線状傾斜フィンを取り付けたので、放熱能力を向上させ、回転抵抗、回転騒音の小さい回転子となり、リターダの性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷却フィンの配置を円周方向に展開して平面的に示す図であり、(a)は曲線状フィン、(b) および(c) は屈曲直線状フィン、(d) は曲線と直線との組合せフィンを示す図である。
【図2】本発明の曲線状傾斜フィンを設けた回転子の一例と冷却フィンの配置を示す図であり、(a) は回転円筒部の斜視図、(b) は冷却フィンの配置を円周方向に展開して平面的に示す図である。
【図3】本発明の屈曲部を含む直線状傾斜フィンを設けた回転子の一例と冷却フィンの配置を示す図であり、(a) は回転円筒部の斜視図、(b) は冷却フィンの配置を円周方向に展開して平面的に示す図である。
【図4】曲線状傾斜フィンと直線状傾斜フィンの展開図であり、(a) は入口角β1 を18°、傾斜角αを45°とする曲線状傾斜フィンを示す図、(b) は傾斜角αを45°とする直線状傾斜フィンを示す図、(c) は傾斜角αを18°とする直線状傾斜フィンを示す図である。
【図5】回転子の回転速度と回転円筒部の温度との関係を示す図である。
【図6】回転子の回転速度と回転子の回転抵抗との関係を示す図である。
【図7】回転子の回転速度と回転子の騒音との関係を示す図である。
【図8】永久磁石を使用したリターダの一例とを示す縦断面図である。
【図9】リターダの回転子を示す図であり、(a) は縦断面図、(b) は一部横断面図である。
【図10】冷却フィンの配置を平面的に展開して示した図であり、(a) は前記(1) で提案された傾斜フィン、(b) および(c) は同(2) で提案された回転方向に平行なフィン、(d) は同(3) で提案された回転円筒部の中央部で分割された傾斜フィンを示す図である。
【符号の簡単な説明】
1.冷却フィン 2.回転子のスポーク
3.回転円筒部 4.冷却フィン
5.永久磁石 6.支持リング
7.ポールピース 8.ピストンロッド
9.油圧装置 10.回転軸
11.案内棒 12. 冷却空気の流れ
Claims (4)
- 回転円筒部の外周面に設けられる冷却フィンの入口側(回転方向に対して先行する側)の角(入口角、β)が10°〜50°、出口側(回転方向に対して後行する側)の角(出口角、γ)が40°〜90°であり、かつフィンとフィンとの間隔幅が入口側(B)よりも出口側(C)が大きいことを特徴とする渦電流式減速装置の回転子。
- 前記冷却フィンは、曲線状のフィンである請求項1に記載の渦電流式減速装置の回転子。
- 前記冷却フィンは、屈曲部を含む直線状のフィンである請求項1に記載の渦電流式減速装置の回転子。
- 前記冷却フィンは、曲線と直線を組み合わせたフィンである請求項1に記載の渦電流式減速装置の回転子。
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