JPH11113240A - 渦電流式減速装置用ロータ - Google Patents

渦電流式減速装置用ロータ

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JPH11113240A
JPH11113240A JP26473897A JP26473897A JPH11113240A JP H11113240 A JPH11113240 A JP H11113240A JP 26473897 A JP26473897 A JP 26473897A JP 26473897 A JP26473897 A JP 26473897A JP H11113240 A JPH11113240 A JP H11113240A
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JP
Japan
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rotor
fins
fin
cylindrical portion
eddy current
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Application number
JP26473897A
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English (en)
Inventor
Kenjiro Shinohara
健治郎 篠原
Akiyoshi Ishida
昭佳 石田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた放熱性能を持つ傾斜平板型の冷却フィン
を備える渦電流式の減速装置(リターダ)用のロータの
提供。 【解決手段】円筒部の外周面に、横断面の形状が矩形ま
たは台形で、それぞれが長さ方向に平行で高さが等し
く、かつ下記の〜式を満足する複数の冷却フィンが
等間隔に設けられている渦電流式減速装置用ロータ。 6mm≦d≦11mm ・・・・ 25゜≦θ≦55゜ ・・・・ 20mm≦H≦200mm ・・・・ ここで、d:冷却フィン底部間の間隔、θ:ロータの回
転方向に対する冷却フィン長さ方向の傾斜角、H=2h
2/(t1+t2)、t1:冷却フィンの底部の厚さ(単位
mm)、t2:冷却フィンの頂部の厚さ(単位 m
m)、h:冷却フィンの高さ(単位 mm)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バスやトラックな
ど大型車両の補助ブレーキとして用いられる渦電流式減
速装置用のロータに関する。
【0002】
【従来の技術】バスやトラックなどの大型車両には、制
動装置として、主ブレーキであるフットブレーキのほか
に、補助ブレーキが備えられている。補助ブレーキに
は、排気ブレーキのほかに、長い坂道の降坂時などで安
定した減速が可能で、かつフットブレーキの焼損防止に
有効な渦電流式減速装置(以後、減速装置のことをリタ
ーダと記す)がある。
【0003】渦電流式のリターダの一例を図10で説明
する。通常のリターダは、支持リング16の周囲に複数
の磁石15を備える固定部11と、回転軸13とそれに
連結された円筒部14およびその外周部に設けられた冷
却フィン17からなるロータ12で構成されている。こ
のロータ12は回転軸13が車両のプロペラシャフトに
連結されており、円筒部14は固定部11の外周をプロ
ペラシャフトの回転とともに回転するようになってい
る。固定部11は取り付け板を介して車両に固定されて
いる。支持リング16の外周部に設けられている磁石1
5は電磁石または永久磁石であり、これらの磁石は磁極
が逆向きになるように交互に配列されている。
【0004】上記のような構成の渦電流式リターダで
は、鋼製の円筒部14が磁界を発生している固定部の周
囲を回転すると、円筒部に渦電流が発生する。この渦電
流は熱エネルギーに変わり、円筒部を加熱する。すなわ
ち、車両の運動エネルギー(回転エネルギー)が熱エネ
ルギーに変換され、それによって車両に対しては制動力
が生じることになる。
【0005】このようなリターダでは、車両の運動エネ
ルギーをロータを介して熱エネルギーに変換し、制動力
を発揮しているため、リターダの使用頻度の増加に従っ
てロータ(特に円筒部および冷却フィン)の温度が上昇
する。ロータの温度が上昇すると、リターダの制動効率
が低下するほか、機械的な強度も低下するためリターダ
の損傷等が起こりやすくなる。したがって、円筒部の外
周面に多数の冷却用のフィンを設けることによりロータ
の放熱性能を高め、ロータの温度上昇を抑制する対策が
採られている。
【0006】冷却フィン(以下、単にフィンと記す)
は、通常円筒部の周囲に、中心軸と平行で円周方向に等
間隔に配設されている。この平行平板型のフィンを備え
たロータが回転すると、ロータの周囲の空気は、フィン
の両端側から中央部へ吸引され、中央部から外の方へ強
制的に送り出される。この間の空気の流れによってフィ
ンが冷却され、それに伴ってロータの円筒部も冷却され
る仕組みになっている。冷却フィンの形状には、上記の
回転軸に対して平行な平行平板型のほかに、回転軸に対
して傾斜を設けた傾斜平板型、回転方向に屈曲したV字
型などがある。
【0007】上記の従来のフィン形状のうち、平行平板
型およびV字型のフィンを備えるロータでは、回転時の
フィンの空気抵抗が大きいのでロータの回転抵抗が大き
く、制動を必要としない通常の走行時のエネルギー損失
が大きい。そのために、車両の駆動力が低下すること、
燃費が悪化することなどの問題点や、風切り音が大きく
騒音が大きいという欠点がある。このような問題点や欠
点は、フィンの両端から吸引された空気がフィンの中央
部または屈曲部で互いに衝突した後に、外側(遠心力が
働く方向)へ送り出されるために、スムーズな空気の流
れが起こらないことに起因している。
【0008】そのために、V字型のフィンについては、
特開平7−329740号公報に、空気の流れを改善す
る方法が提案されている。この公報には、V形のフィン
の中央部、すなわち、V形の底部を切り欠き、空気が通
り抜けるスリットを形成した冷却フィンを備えるロータ
が開示されている。V形フィンの両側から取り入れられ
た空気は、スリットからロータ表面に沿って回転方向に
対して後方へと排出されるので、空気の流れはスムーズ
になり、空気の衝突によって生じる回転抵抗を軽減する
ことができるとされている。
【0009】しかし、このスリット付V字型フィンの場
合には、フィンの両側から入ってきた空気が中央部で衝
突することには変わりがないので、衝突した空気の一部
は外側に排出される。そのために、回転抵抗の大幅な低
下は期待できない。また、ロータの円筒部およびフィン
は前述のように高温になるので、熱応力に起因する変形
が問題となる。変形を防止するために、通常フィンには
ロータの補強部材としての働きが要求されている。とこ
ろが、V形の中央部にスリットを設けると、スリットが
固定されている円筒部に、位置によってロータの軸方向
の強度が相違する箇所が生じる。その場合には、強度が
相違する部分に変形が集中しやすい。この変形が繰り返
されると、亀裂に至るという問題がある。
【0010】また、従来の傾斜平板型のフィンの場合に
は、フィンの表面積を増加させることができるので放熱
性能を向上させることが容易なこと、空気の流れを一定
化しやすいこと、構造がシンプルなこと、支持リングの
補強部材としての機能を持たせやすいこと等の長所があ
る。
【0011】この傾斜平板型のフィンの場合には、例え
ば実開平5−33679号公報に開示されているよう
に、最適な条件が選択されれば、上述のようにフィン間
を流れる空気を一定化させられる可能性がある(図11
参照)。しかし、フィンの傾斜角が小さすぎると、フィ
ンの長さ(フィンの幅方向の長さ)が長くなるために、
フィン間の空気抵抗が大きく、空気が流れにくい。さら
に、フィン間を流れる間に空気の温度が上昇するので、
フィンの後部では放熱量が低下するという問題がある。
一方、フィンの傾斜角が大きすぎると、空気をスムーズ
にフィン間に吸引しにくく、また、フィンの長さが短い
のでフィンの表面積を確保することができない。それを
補うために、フィンの間隔を小さくすると、フィン間を
流れる空気の抵抗が大きくなるので、空気の流速が低下
し、放熱性能が低下するといった問題がある。
【0012】傾斜平板型のフィンの欠点を解決する方法
として、特開平6−253527号公報には、図12に
示すように空気を取り込むための短い傾斜部を備え、本
体部は回転方向に対して平行なフィンを備えるロータが
開示されている。このロータでは、空気の流れの方向を
一定化し、空気の衝突によって生じる回転抵抗の増加を
低く押さえることが可能とされている。
【0013】しかし、この形状のフィンでは、フィン間
の空気の流路が長くなるので、フィンの後部では空気の
温度が高く放熱性能が低下する。また、フィンが分割さ
れているため、フィンの円筒部の補強効果が小さく円筒
部の変形を防止できないこと、加工コストが高いことと
いった問題点がある。
【0014】現在用いられているロータは、おもに製作
の容易さの観点からフィンの形状が決定されている。し
たがって、フィンの高さ、フィン間の間隔、ロータの回
転方向に対するフィンの傾斜角等の最適値が求められて
いる訳ではないので、もっとも優れた放熱性能を持つフ
ィンの形状は把握されていないのが実状である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた放熱
性能を持つ傾斜平板型の冷却フィンを備える渦電流式の
減速装置(リターダ)用のロータを提供することを目的
とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
渦電流式減速装置用ロータにある。
【0017】円筒部の外周面に、横断面の形状が矩形ま
たは台形で、それぞれが長さ方向に平行で高さが等し
く、かつ下記の〜式を満足する複数の冷却フィンが
等間隔に設けられている渦電流式減速装置用ロータ。
【0018】 6mm≦d≦11mm ・・・・ 25゜≦θ≦55゜ ・・・・ 20mm≦H≦200mm ・・・・ ここで、 d:冷却フィン底部間の間隔、 θ:ロータの回転方向に対する冷却フィン長さ方向の傾
斜角、 H=2h2/(t1+t2)、 t1:冷却フィンの底部の厚さ(単位 mm)、 t2:冷却フィンの頂部の厚さ(単位 mm)、 h:冷却フィンの高さ(単位 mm)。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は本発明のロータの構成を示
す模式的な部分側面図である。ロータ1の円筒部2の外
周面には冷却フィン(以下、単にフィンと記す)3が備
えられている。円筒部2は、図示されていないスポーク
等でロータ1の回転軸に連結されており、回転軸はさら
に車両のプロペラシャフト等の制動力を必要とする駆動
系に連結されている。
【0020】図2および図3はフィン3の形状およびフ
ィン間の間隔を説明する図である。図2(a)はロータ
の円筒部2を平坦に展開した状態を示しており、同図
(b)は同図(a)におけるI−I断面図である。フィ
ン3の形状は、長さ(幅)がL、高さがhで長さ方向で
一定な直線状の平板型である。この複数枚のフィン3
が、円筒部2の外周面にロータ1の回転方向に対する傾
斜角θで等間隔に取り付けられている。フィン間の間隔
は、図2(b)に示すように、フィン底部間の間隔dと
する。各フィンの横断面の形状は、矩形または台形で、
矩形の場合は厚さをt、台形の場合は図3に示すように
底部の厚さをt1、頂部の厚さをt2とする。なお、以下
の説明では、説明を簡素化するために、フィンの横断面
の形状を矩形とし厚みがtの場合について述べ、その後
で台形に言及する。
【0021】本発明のロータは、このような条件下で、
前述の〜式を満足することを特徴としている。以下
に、式〜式を満足させる必要性について具体的に説
明する。
【0022】なお、以下の説明に用いる実験データは、
上記の各パラメータの値を変えた実験用のロータを作製
し、実験用のリターダに適用して放熱性能を調査した結
果である。
【0023】(1)d フィン間の間隔dは、6mm以上、11mm以下とす
る。dが11mmを超えると、dの増加とともにフィン
の放熱性能が低下する。一方、間隔dが6mm未満の場
合には、フィンの加工が困難である。すなわち、フィン
とフィンの間を切削によって除去しフィンを残す機械加
工、溶接等によりフィンを接合する組立加工のいずれの
加工法でもdが6mm未満の場合には、ロータの製作が
難しく、工業的な規模での生産には不向きである。この
ように放熱性能および生産性の観点から、dの範囲を6
mm以上、11mm以下とした。
【0024】dの大きさと放熱性能の関係を具体的に説
明するとつぎのとおりである。
【0025】ロータ全表面からの放熱量Qは、フィン表
面からの放熱量Qf とフィンとフィンの間の円筒部の外
表面からの放熱量Qb の和として表される。Qf とQb
は、フィン表面の平均熱伝達率αがフィン表面および円
筒部の外表面で一定であり、フィンの温度分布が一次元
の熱伝導方程式で表せるものと仮定し、フィン表面平均
温度をTf、フィン表面積をAf、円筒部表面温度を
b、円筒部表面積をAb、空気温度をTa とすると、そ
れぞれ次式で表される。
【0026】Qf=αAf(Tf−Ta) Qb=αAb(Tb−Ta) また、フィン効率ηは、次のように定義できる。
【0027】η=(Tf−Ta)/(Tb−Ta)=(ta
nh m)/m m=h{(αP)/(λA)}1/2 ここで、λ:フィンの材料の熱伝導率 P:ロータの回転軸とフィン中央部を含む面に直角なフ
ィンの断面の周長 A:上記フィンの断面の面積 これらの関係式から、次式が導かれる。
【0028】Q={(m2λA)/(h2P)}(Tb−Ta
{Af(tanh m)/m+Ab} 上式では、α以外は既知であるが、この式を直接解くこ
とができない。繰り返し計算によって、熱伝達率αを求
めた。このαと間隔dとの間には、図4に示す関係があ
る。なお、ロータの回転数は、実際に使用される場合の
ロータの最高回転数に相当する3000rpmとした。
【0029】図4から、熱伝達率αは、フィン間隔dが
11mm以下の場合には、dの減少とともに低くなり、
11mmを超える領域ではほぼ一定であることが分か
る。αは伝熱面の平均の熱伝達率であるので、ロータ表
面全体からの放熱量Qは次式で表すことができる。
【0030】Q=α(ηAf+Ab)(Tb−Ta) dが11mmを超える場合には、αは上記のように一定
であるが、フィンの数が少なくなるので、フィンの表面
積Af が小さくなる。したがって、上式のQ、すなわち
ロータの放熱性能はdの増加とともに低下することにな
る。
【0031】一方、dが11mm以下の場合には、dの
低下とともにαも小さくなるが、フィンの数を増加させ
ることができるので、Af を大きくすることができる。
そのために、後述のように、フィンの厚みtを適正化す
ることによって、ロータの冷却性能を向上させることが
可能である。
【0032】このような観点から、フィン間の間隔d
は、6mm以上11mm以下とした。
【0033】(2)2h2/(t1+t2) 本発明では、2h2/(t1+t2 )(=H)の範囲を、
20mm以上、200mm以下とした。Hが200mm
を超えるとフィンからの放熱効率(フィン効率)が低下
し、Hが20mm未満ではロータの重量の増加による回
転抵抗の増加が著しく、ロータとしての総合的な性能に
問題が出てくるからである。
【0034】Hの上限を200mmとした根拠について
以下に説明する。
【0035】フィンの高さhを高くすると、フィンの表
面積は増加する。しかし、フィンの温度はフィンの先端
側の方が低くなるので、先端側からの放熱量が低下す
る。フィンの根元から先端までの間で効果的に放熱させ
るためには、根元から先端までの熱の流れを増加させる
必要がある。すなわち、フィンの断面積を大きくしなけ
ればならない。このことから、フィンから効果的に放熱
させるためには、hとtとの関係を適正化する必要があ
ることが分かる。
【0036】先に示したフィン効率ηと、hおよびt
(フィンの横断面形状を矩形とする)との関係はつぎの
ように表すことができる。ただし、式の導出過程は省略
する。
【0037】η=(tanh m)/m m≒{(2α/λ)(h2/t)}1/2 この式に熱伝達率αと熱伝導率λの値を代入し、ηの値
を計算する。強磁性体である鋼製の円筒部のλを30k
cal/hr・m・℃とし、αを実用ロータの値の下限で
ある100、上限の300およびその中間の200kc
al/hr・m2・℃ として、フィン効率ηとH(=h2
/t) の関係を求めた。図5に、その結果を示す。
【0038】フィン効率ηは、αが小さいほど高い傾向
がある。このηは、フィンの温度分布が一定で温度がフ
ィンの根元温度とした場合、フィンによる拡大伝熱面の
何割が実際に放熱に寄与しているかを示しており、その
値は0.5程度以上が望ましい。図5からηが0.5程
度以上となるH(=h2/t) の範囲を求めると、実用
ロータのαの上限である300kcal/hr・m2・℃
の場合で、200mm以下となる。この結果から、H
(=h2/t) は200mm以下と定めた。
【0039】(3)θ 本発明では、ロータの回転方向に対するフィンの長さ方
向の傾き(以下、フィンの傾斜角と記す)を25゜以
上、55゜以下とした。
【0040】前述のとおり、傾斜角θが小さい場合には
フィンの長さが長くなるので、フィンの表面積は増加す
る。しかし、θが小さすぎるとフィンの後部(後方?)
ではフィン近傍に温度境界層が発達するので、熱伝達率
が低下する。一方、θが大きすぎる場合には、空気を取
り込む角度が大きくなりすぎ、空気をフィン間にスムー
ズに取り込むことができなくなる。その結果、フィン間
を流れる空気の流速が低下する。したがって、θが小さ
すぎても、また大きすぎても、フィンの放熱性能の低下
を招く。
【0041】図6に、実験によって得られたフィンの傾
斜角θと放熱性能との関係を示す。
【0042】放熱性能はロータの熱コンダクタンス:C
で表した。Cは次式で求めることができる。
【0043】C=Q/(Tb−Ta) 図6の縦軸は、θが45゜の場合の熱コンダクタンス:
Cθ=45゜に対する各傾斜角θにおける熱コンダクタンス
の比:C/Cθ=45゜である。θが25゜未満および55
゜を超える場合には、放熱性能が著しく低下することが
わかる。
【0044】本発明では上記の点を考慮して、θの範囲
を25゜以上、55゜以下とした。
【0045】θの好ましい範囲は、30゜以上、50゜
以下である。
【0046】(4)フィンの横断面形状 本発明のロータのフィンの横断面形状は、矩形でも台形
でもよい。一般に、冷却用に用いられるフィンの内外部
では、根元から先端に向かうに従って温度が低下してい
く。そのため、単位面積あたりの放熱量もフィンの先端
側ほど小さくなり、フィンの高さ方向に垂直な断面を通
過する熱量も小さくなっていく。したがって、フィンの
横断面形状は、フィンの根元から先端に向かって断面積
を小さくしても差し支えない。フィンの重量あたりの放
熱性能を考慮すると、むしろその方が有利である。
【0047】図7にフィンの横断面形状が台形の場合に
ついて、ロータの放熱性能を調査した結果を示すよう
に、平均熱伝達率αとフィン間(フィンの付け根部の
間)の間隔dとの関係は、図4に示した矩形の場合とま
ったく同様である。この結果は、フィンの横断面が矩形
の場合のフィンの厚さtに代えて、(t1+t2)/2を
用いて導いた結果である。したがって、h2/tは、2
2/(t1+t2)と表すことができる。なお、図6の
結果は、(2)で述べたのと同様な方法で求めたもので
ある。
【0048】上述の結果から、Hについては、フィンの
横断面形状が矩形の場合と台形の場合を合わせて、2h
2/(t1+t2) と表すことにし、その範囲も矩形の場
合と同じとした。
【0049】
【実施例】 (実施例1)フィンの横断面形状が矩形の場合のロータ
について、放熱性能を調査した。調査に用いたロータの
円筒部は、外径326.5mm、幅64mm、厚さ8m
mで、材質はJIS SCM415相当である。フィン
は、高さhが15mm、厚さtが4.0mm、枚数が5
2枚で、フィン間の間隔dは9.94mm、ロータの回
転方向に対するフィンの長さ方向の傾斜角θは45°、
H(=h2/t) は56.25mmである。このロータ
は、本発明で規定する条件をすべて満たしている本発明
例である。
【0050】比較例として、フィンの厚さ3.0mm、
フィンの枚数45枚、フィン間の間隔13.1mm、傾
斜角45゜、Hが75mmで、その他の条件は上記本発
明例の場合と同じのロータを準備した。このロータは、
フィン間の間隔dが本発明で規定する範囲を外れてい
る。
【0051】それぞれのロータの円筒部が、極性が異な
る永久磁石が円周方向に交互に配設された支持リングの
外周部を囲むように配置し、モータによりロータを所定
の回転数(600、1200、1800、2400、3
000rpm)で回転させことにより、ロータの円筒部
に渦電流を発生させた。この方法で、ロータに制動力が
生じる状態にした。また、ロータの円筒部には、内側か
ら2mmの位置にあらかじめ熱電対を埋め込んでおき、
各回転数毎に定常状態になった時の円筒部の温度を測定
した。さらに、モータの回転軸に取り付けたトルク計か
ら、ロータの制動トルクを求めた。
【0052】放熱性能は、上記の測定で得られる制動ト
ルクから円筒部の発熱量を求め、その値を円筒部の温度
と大気温度との差で除し、ロータの放熱性能を熱コンダ
クタンスの形で表す方法で評価した。
【0053】図8に、ロータの回転数と熱コンダクタン
スCとの関係を示す。いずれの回転数においても、本発
明例の方が比較例に比べて熱コンダクタンスが高く、放
熱性能に優れていることが分かる。本発明例の場合に
は、比較例に比べて、放熱性能が11%程度向上してい
る。 (実施例2)フィンの横断面形状が台形の場合のロータ
について、放熱性能を調査した。調査に用いたロータの
円筒部は実施例1の場合と同じである。フィンは、高さ
hが13.5mm、厚さは底部t1 が7.0mm、頂部
2 が3.0mm、枚数は42枚で、フィン底部間の間
隔dは10.3mm、ロータの回転方向に対するフィン
幅方向の傾斜角θは45°、h2/(t1+t2) は3
6.45mmである。このロータは、本発明で規定する
条件をすべて満たしている本発明例である。
【0054】比較例として、フィンの厚さが底部4.0
mm、頂部2.0mm、枚数44枚で、フィン底部間の
間隔が12.5mm、h2/(t1+t2) が60.75
で、その他の条件は上記本発明例の場合と同じのロータ
を準備した。このロータは、フィン間の間隔が本発明で
規定する範囲を外れている。
【0055】図9に、ロータの回転数と熱コンダクタン
スとの関係を示す。いずれの回転数においても、本発明
例の方が比較例に比べて熱コンダクタンスが高く、放熱
性能に優れていることが分かる。本発明例の場合には、
比較例に比べて、放熱性能が13%程度高いことが確認
された。
【0056】
【発明の効果】本発明の渦電流式減速装置用のロータ
は、フィンの形状が平板形で、ロータの回転方向に対し
て傾斜して設けられている。また、その傾斜角、フィン
の高さ、厚さ、長さおよびフィン間の間隔が、放熱性能
を考慮して最適値が選ばれており、さらに製作の容易さ
にも配慮されている。そのために、放熱性能に優れてい
るとともに、耐久性、生産性にも優れている。
【0057】したがって、本発明のロータは、大型車両
の渦電流式リターダ用のロータとして極めて好適であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の渦電流式リターダ用ロータを説明する
ためのの部分側面図である。
【図2】本発明のロータのフィンの形状を説明する図で
あり、同図(a)は円筒部を平坦に展開した図、同図
(b)は同図(a)におけるI−I断面図である。
【図3】本発明の横断面の形状が台形のフィンの断面図
である。の平均熱伝達率とフィンの間隔の関係を示す図
である。
【図4】フィン間の間隔dと平均熱伝達係数αの関係を
示す図である。
【図5】H(=h2/t)とフィン効率ηとの関係を示
す図である。
【図6】フィンの傾斜角θとロータの熱コンダクタンス
との関係を示す図である。
【図7】横断面形状が台形のフィンに関するフィンの平
均熱伝達率αとフィン間隔dの関係を示す図である。
【図8】実施例1で得られたロータの放熱性能を示す図
である。
【図9】実施例2で得られたロータの放熱性能を示す図
である。
【図10】一般的な渦電流式リターダの構成を説明する
図である。
【図11】回転方向に対して傾斜したフィンを備える従
来のロータに関する空気の流れを説明する図である。
【図12】回転方向に対して傾斜したフィンに関するそ
の他の従来例を示す図である。
【符号の簡単な説明】
1 ロータ 2 円筒部 3 冷却フィン 11 渦電流式リターダの固定部 12 渦電流式リターダのロータ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円筒部の外周面に、横断面の形状が矩形ま
    たは台形で、それぞれが長さ方向に平行で高さが等し
    く、かつ下記の〜式を満足する複数の冷却フィンが
    等間隔に設けられている渦電流式減速装置用ロータ。 6mm≦d≦11mm ・・・・ 25゜≦θ≦55゜ ・・・・ 20mm≦H≦200mm ・・・・ ここで、 d:冷却フィン底部間の間隔、 θ:ロータの回転方向に対する冷却フィン長さ方向の傾
    斜角、 H=2h2/(t1+t2)、 t1:冷却フィンの底部の厚さ(単位 mm)、 t2:冷却フィンの頂部の厚さ(単位 mm)、 h:冷却フィンの高さ(単位 mm)。
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