JP4051619B2 - シリコン酸化膜作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はシリコン酸化膜を作製する方法に関するものであり、特に、ラジカルシャワーCVD装置(RS−CVD装置)を用いて膜質が向上されたシリコン酸化膜を作製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、低温でポリシリコン型TFTを利用する液晶ディスプレイの作製で、低温でゲート絶縁膜として適当なシリコン酸化膜を成膜する場合、プラズマCVDが使用されている。
【0003】
例えば、特開平11−293470で提案されているプラズマCVD装置がある。このCVD装置では、シリコン酸化膜を形成する基板表面上の上部空間に、原料ガス(シリコン含有ガス及び酸素含有ガス)を導入してこれらのガスプラズマを形成させることにより、前記基板上にシリコン酸化膜を形成する。
【0004】
また、前記シリコン含有ガス及び酸素含有ガス以外に、水素ガスを添加して水素を含有するプラズマを生成する工程を具備している装置も提案されている。
【0005】
しかし、特開平11−293470で示されているプラズマCVD装置のような従来のプラズマCVD装置の構成によれば、基板の上面空間に存在するプラズマから基板のシリコン酸化膜の成膜面に対して高エネルギのイオンが入射し、ダメージを与え、膜特性が悪化するという問題が存在した。
【0006】
さらに、プラズマ中に原料ガスが直接的に導入されるため、原料ガスとプラズマが激しく反応してパーティクルが発生し、これによって歩留まりが低下するという問題も生じていた。
【0007】
このような状況の中で、先の特許出願である特開2000−345349で提案されたCVD装置(本明細書において、この先の特許出願に係るCVD装置を通常のプラズマCVD装置と区別するため、ラジカルシャワーCVD装置として「RS−CVD装置」と呼ぶ。)は、真空容器内でプラズマを生成して電気的に中性な励起活性種、即ちラジカルを発生させ、このラジカルと材料ガスで基板に成膜処理を行うものである。
【0008】
つまり、ラジカルが通過する複数の孔を持つ隔壁板を用いて真空容器をプラズマ生成空間と成膜処理空間とに分離し、プラズマ生成空間にガスを導入してプラズマよりラジカルを発生させ、このラジカルを前記隔壁板の複数の孔を通して成膜処理空間に導入すると共に、成膜処理空間に材料ガスを直接導入し(すなわち、材料ガスを前記プラズマやラジカルに接触させることなく、真空容器の外部から、直接、成膜処理空間に導入し)、成膜処理空間において前記導入されたラジカルと材料ガスとを反応させ、成膜処理空間に配置されている基板上(例えば、370mm×470mmのガラス基板の上)に成膜を行う方式が採用されているものである。
【0009】
上記のRS−CVD装置の成膜処理空間で生じるシリコン酸化膜の形成反応は、図5に示すように、プラズマ生成空間から成膜処理空間に供給された原子状酸素(活性励起種)が、成膜処理空間でシラン(SiH)ガスと接触することによりそれらを分解し、分解されたガスが、再び原子状酸素及び酸素ガス等と反応を繰り返すことにより起こる。
【0010】
つまり、プラズマ生成空間で生成される原子状酸素(ラジカル)は、シリコン酸化膜の一連の形成反応を引き起こすトリガー的な存在であるとともに、シリコン酸化膜形成の反応を促進するするための反応種でもある。
【0011】
このことから、成膜処理空間に導入されるプラズマ生成空間からの原子状酸素が少ない場合、シランガスの不充分な分解によって生成された中間生成物が、成膜の進行している膜中に混入してしまい、結果として膜質の劣化が引き起こされることが知られている。
【0012】
【特許文献1】
特開平11−293470公報
【0013】
【特許文献2】
特開2000−345349公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
成膜処理空間へのシランガスの有無の違いによるプラズマ形成空間の発光スペクトルのプロファイルを図6に示す。測定は、光電子倍増管を使用した。
【0015】
図6から、シリコン酸化膜の成膜中、つまり、シランガスを成膜処理空間に導入することで、原子状酸素の波長777nmのから発光強度は増大し、シランガスを導入するまでは見られなかった波長845nmからの発光スペクトルも測定されている。
【0016】
このシランガスを成膜処理空間へ導入した後に見られる発光強度の増加は、シランガスの分解により生じた水素が、成膜処理空間からプラズマ生成空間に流入して、その水素が原子状酸素を増加させていると考えられる。
【0017】
RS−CVDを用いた、シリコン酸化膜の成膜開始時からのプラズマ生成空間における発光強度の変化を図7に示す。測定には、光電子倍増管を用い、原子状酸素の発光スペクトル(777nm及び845nm)が顕著に現われる400〜900nmの波長領域の積分値として検出した。
【0018】
図7から、プラズマ形成空間へ酸素ガス(添加ガスとしてヘリウムガスを添加)を導入しプラズマを形成した後、成膜処理空間にシランガスを導入すると、プラズマ生成空間における発光強度(積分値)は、シリコン酸化膜の成膜時間の経過とともに増加し、シランガスを導入してから4〜5分程度経過した後に飽和状態になることが分かる。
【0019】
成膜処理空間にシランガスを導入した後のプラズマ生成空間における発光強度の変化は、プラズマ生成空間内の原子状酸素の総量と相関関係がある。それ故、図7の結果から、シリコン酸化膜の成膜開始から発光強度が飽和状態を示す4〜5分までの間、プラズマ生成空間では原子状酸素量が経時的に増加していると考えられる。即ち、シリコン酸化膜の成膜中、シランガスの分解により生じた水素が、成膜の進行とともに、成膜処理空間からプラズマ生成空間へ逆拡散して流入し、その水素がプラズマ生成空間における原子状酸素量を増大させていると考えられる。
【0020】
一方、シリコン酸化膜の成膜速度とプラズマ生成空間から成膜処理空間に導入される原子状酸素の流量との関係を図8に示す。図8から、プラズマ生成空間から成膜処理空間に導入される原子状酸素の流量が増加すると、シリコン酸化膜の成膜速度が低下することがわかる。つまり、成膜中の成膜処理空間における原子状酸素量の変化は、成膜速度にも変化を与えていることがわかる。ここで、シリコン酸化膜の成膜時間と膜厚(T)又は成膜速度(R)の関係を図9に示す。図9から、図7で、プラズマ生成空間において発光強度(積分値)が飽和状態に達した時間と同様に、約5分を経過したところで一定の値を示すことがわかる。なお、成膜時間5分までの測定値は、膜厚が薄いため、正確な値が測定できない領域である。
【0021】
以上から、RS−CVDにおいて、図7のようなプラズマ形成空間でシリコン酸化膜の成膜開始からみられる原子状酸素量の増大は、シリコン酸化膜への反応過程に重要な役割を果たしている成膜処理空間における原子状酸素が一定していないということであり、その結果、成膜中の組成に関して経時変化が生じ、膜厚方向で不均質になってしまうという課題が残されていた。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明では、RS−CVD装置を用いてシリコン酸化膜(SiO膜)を作製する場合において、基板上にシリコン酸化膜の成膜が開始されるまでに、プラズマ生成空間へ酸素ガス(O)と水素ガス(H)を導入し、シリコン酸化膜の形成初期における、プラズマ生成空間の原子状酸素(ラジカル)の未飽和状態を改善するものである。
【0023】
本発明が提案するシリコン酸化膜作成方法は、複数の貫通孔を持つ隔壁板を用いて真空容器をプラズマ生成空間と成膜処理空間とに分離し、プラズマ生成空間にガスを導入してプラズマよりラジカルを発生させ、このラジカルを前記導電性隔壁板の複数の貫通孔を通して成膜処理空間に導入すると共に、成膜処理空間に材料ガスを導入し、成膜処理空間において前記導入されたラジカルと材料ガスとを反応させ、成膜処理空間に配置されている基板上に成膜を行うシリコン酸化膜作製方法であって、前記ラジカルの生成用にプラズマ生成空間へ導入される酸素ガスに、基板へのシリコン酸化膜の成膜開始の時点で水素ガスが添加されていることを特徴とするものである。
【0024】
この本発明のシリコン酸化膜作成方法は、RS−CVD装置を用いて行うことができ、成膜処理空間への材料ガスの導入は、導電性隔壁板内に、プラズマ生成空間から隔離されかつ成膜処理空間と複数の拡散孔を介して通じている内部空間を配置し、導電性隔壁板の当該内部空間に外部から供給される材料ガスを当該複数の拡散孔を通して行なうようにできる。これによって、材料ガスはプラズマやラジカルに接触することなく、真空容器の外部から直接成膜処理空間に導入される。
【0025】
前記本発明において、酸素ガスに添加する水素ガスの流量は、導入開始時に最大とし、時間の経過とともに減少させることができる。
【0026】
また、プラズマ生成空間へ導入される酸素ガスへの水素ガスの添加は、成膜終了までの間のあらかじめ定められた時間継続されているようにできる。
【0027】
さらに、前記において、前記成膜処理空間に導入される材料ガスの流量と前記プラズマ生成空間で生成され、前記成膜処理空間に導入されるラジカルである原子状酸素の流量の比率を、基板へのシリコン酸化膜の成膜開始から成膜終了まで一定に保つことができる。また、前記プラズマ生成空間で生成され、前記プラズマ形成空間内に存在するラジカルである原子状酸素の量が一定になるように、酸素ガスに添加する水素ガスの流量を調節することができ、前記プラズマ形成空間内に発光強度を検出する手段を設け、検出された発光強度を一定に保つように酸素ガスに添加する水素ガスの流量を調節することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0029】
図1、図2を参照して本発明のシリコン酸化膜作製方法に用いることのできるCVD装置(RS−CVD装置)の好ましい実施形態を説明する。図1、図2において、このRS−CVD装置では、好ましくはシランを材料ガスとして使用し、通常のTFT用ガラス基板11の上面にシリコン酸化膜をゲート絶縁膜として成膜する。
【0030】
RS−CVD装置の真空容器12は、成膜処理を行う際、排気機構13によってその内部が所望の真空状態に保持される真空容器である。排気機構13は真空容器12に形成された排気ポート12b−1に接続されている。
【0031】
真空容器12の内部には、水平な状態で導電性部材で作られた隔壁板14が設けられており、平面形状が例えば矩形の隔壁板14は、その周縁部が導電材固定部22の下面に押さえ付けられて密閉状態を形成するように配置されている。
【0032】
こうして、真空容器12の内部は隔壁板14によって上下の2つの室に隔離されて、上側の室はプラズマ生成空間15を形成し、下側の室は成膜処理空間16を形成する。
【0033】
隔壁板14は、所望の特定の厚みを有し、かつ全体的に平板状の形態を有し、さらに真空容器12の水平断面形状に類似した平面形状を有する。隔壁板14には内部空間24が形成されている。
【0034】
ガラス基板11は、成膜処理空間16に設けられた基板保持機構17の上に配置されている。ガラス基板11は隔壁板14に実質的に平行であって、その成膜面(上面)が隔壁板14の下面に対向するように配置されている。
【0035】
基板保持機構17の電位は真空容器12と同じ電位である接地電位41に保持される。さらに基板保持機構17の内部にはヒータ18が設けられている。このヒータ18によってガラス基板11の温度は所定の温度に保持される。
【0036】
真空容器12の構造を説明する。真空容器12は、その組立て性を良好にする観点から、プラズマ生成空間15を形成する上容器12aと、成膜処理空間16を形成する下容器12bとから構成される。上容器12aと下容器12bを組み合わせて真空容器12を作るとき、両者の間の位置に隔壁板14が設けられる。隔壁板14は、その周縁部が、後述するごとく電極20を設けるときに上容器12aとの間に介設される絶縁部材21a、21bのうちの下側の絶縁部材21bに接触するようにして取り付けられる。これによって、隔壁板14の上側と下側に、隔離されたプラズマ生成空間15と成膜処理空間16が形成される。隔壁板14と上容器12aとによってプラズマ生成空間15が形成される。
【0037】
図1は本発明のシリコン酸化膜作製方法に用いられるRS−CVD装置の第1の実施形態を示すものである。このRS−CVD装置においては、プラズマ生成空間15においてプラズマ19が生成されている領域は、隔壁板14と上容器12a及びこれらのほぼ中央位置に配置される板状の電極(高周波電極)20とから形成されている。電極20には複数の孔20aが形成されている。隔壁板14と電極20は、上容器12aの側部内面に沿って設けられた2つの絶縁部材21a、21bによって支持され、固定される。上容器12aの天井部には、電極20に接続された電力導入棒29が設けられている。電力導入棒29によって電極20に放電用高周波電力が給電される。電極20は高周波電極として機能する。電力導入棒29は、絶縁物31で被われており、他の金属部分との絶縁が図られている。
【0038】
隔壁板14は導電材固定部22を介して接地電位41となっている。
【0039】
絶縁部材21aには、外部からプラズマ生成空間15へ酸素ガスや水素ガスを導入する酸素ガス等導入パイプ23aと、フッ化ガス等のクリーニングガスを導入するクリーニングガス導入パイプ23bが設けられている。
【0040】
真空容器12の内部は、隔壁板14によってプラズマ生成空間15と成膜処理空間16に隔離されるが、隔壁板14には成膜処理空間16に導入された材料ガスがプラズマ生成空間15側に逆拡散するのを防ぐ大きさ(長さ及び径等)・構造の複数の貫通孔25が、内部空間24を貫通する状態で均等に形成されており、これらの貫通孔25を介してのみプラズマ生成空間15と成膜処理空間16はつながっている。
【0041】
つまり、この貫通孔25に適用されている大きさ・構造は、前記の先の特許出願である特開2000−345349において提案しているuL/D>1の条件を満たすものである。
【0042】
ここで、uは、貫通孔25内でのガス流速、すなわち、プラズマ生成空間15に導入され、ラジカルを生成して成膜に寄与するガス、例えば、酸素ガスの貫通孔25での流速を表すものである。また、Lは、実質的な貫通孔25の長さを表すものである。更に、Dは、相互ガス拡散係数、すなわち二種のガス(材料ガス、例えば、シランガスと、プラズマ生成空間15に導入され、ラジカルを生成して成膜に寄与する主たるガス、例えば、酸素ガス)の相互ガス拡散係数を表すものである。
【0043】
隔壁板14内に形成されている内部空間24は、隔壁板14に外部から導入された材料ガスを内部で分散させて均一に成膜処理空間16に供給するための空間である。さらに隔壁板14の下部板には材料ガスを成膜処理空間16に供給する複数の拡散孔26が形成されている。
【0044】
内部空間24には、材料ガスを外部から導入するための材料ガス導入パイプ28が接続されている(図1、図2)。材料ガス導入パイプ28は隔壁板14の側方から接続されるように配置されている。
【0045】
また内部空間24の中には、材料ガスが拡散孔26から均一に供給されるように、複数の孔を有するように穿孔された均一板27によって上下の二つの空間部分に分けられている。
【0046】
従って、材料ガス導入パイプ28で隔壁板14の内部空間24に導入される材料ガスは、上側の空間に導入され、均一板27の孔を通って下側の空間に至り、さらに拡散孔26を通って成膜処理空間16に拡散されることになる。
【0047】
以上の構造に基づいて成膜処理空間16の全体にわたって材料ガスを均一に供給することが可能となるが、隔壁板14の内部構造は、成膜処理空間16の全体にわたって材料ガスを均一に供給することのできる構造であれば、前述した構造に限られるものではない。
【0048】
真空容器12のプラズマ形成空間15内には、プラズマ形成空間15で生成された原子状酸素などから発光された光の積分強度(例えば、400〜900nmの波長領域の積算値)を検出するための光電子倍増管32が設置されている。光電子倍増管32で検出された信号は、水素ガス導入配管に設置されたマスフローコントローラ33に送られ、酸素ガスに添加される水素ガスの流量が調節される。また、光電子倍増管32で検出された信号は、酸素ガス導入配管に設置されたマスフローコントローラ34にも送られ、プラズマ形成空間15へ導入される酸素ガスの流量が調節される。更に、光電子倍増管32で検出された信号は、バルブ35へも送られ、プラズマ生成空間15への酸素ガス、水素ガスが添加された酸素ガスの導入の開始、停止が制御される。
【0049】
図2は本発明のシリコン酸化膜作製方法に用いられるRS−CVD装置の第2の実施形態を示すものである。図2図示の実施形態の特徴的構成は、上容器12aの天井部の内側に絶縁部材21aを設け、かつその下側に電極20を配置するようにした点にある。電極20には図1図示の第1の実施形態の場合のような孔20aは形成されず、一枚の板状の形態を有する。電極20と隔壁板14によって平行平板型電極構造によるプラズマ生成空間15を形成する。その他の構成は第1実施形態の構成と実質的に同じである。そこで、図2において、図1で説明した要素と実質的に同一な各要素には同一の符号を付し、ここで詳細な説明を反復することは省略する。さらに、第2実施形態によるRS−CVD装置による作用、効果も前述の第1実施形態と同じである。
【0050】
なお、図2では省略したが、図1と同様に、光電子倍増管が真空容器のプラズマ形成空間側に取り付けられ、マスフローコントローラで水素ガスの流量が制御され、プラズマ形成空間に導入される水素ガスの流量が調節される。
【0051】
上記のように構成されたRS−CVD装置を用いた本発明のシリコン酸化膜作製方法を以下に説明する。
【0052】
図示しない搬送ロボットによってガラス基板11が真空容器12の内部に搬入され、基板保持機構17の上に配置される。真空容器12の内部は、排気機構13によって排気され、減圧されて所定の真空状態に保持される。
【0053】
次に、酸素ガス等導入パイプ23aを通して、酸素ガスと水素ガスの混合ガス又は酸素ガスが真空容器12のプラズマ生成空間15に導入される。酸素ガスの導入量の調整、酸素ガスに水素ガスを添加する量の調整、プラズマ生成空間15へのこれらのガスの導入の開始・停止の切り替えは、それぞれ、マスフローコントローラー34、33、バルブ35によって行われる。
【0054】
一方、材料ガスである、例えば、シランが材料ガス導入パイプ28を通して隔壁板14の内部空間24に導入される。シランは、最初に内部空間24の上側部分に導入され、均一板27を介して均一化されて下側部分に移動し、次に拡散孔26を通って成膜処理空間16に直接に、すなわちプラズマに接触することなく導入される。成膜処理空間16に設けられた基板保持機構17は、ヒータ18に通電が行われているため、予め所定温度に保持されている。
【0055】
上記の状態で、電極20に対して電力導入棒29を介して高周波電力が供給される。この高周波電力によって放電が生じ、プラズマ生成空間15内において電極20の周囲に酸素プラズマ19が生成される。酸素プラズマ19を生成することで、中性の励起種であるラジカル(励起活性種)が生成され、これが貫通孔25を通過して成膜処理空間16に導入され、その一方、材料ガスが隔壁板14の内部空間24、拡散孔26を通って成膜処理空間16に導入される。その結果、成膜処理空間16内で当該ラジカルと材料ガスとがはじめて接触し、化学反応を起こし、ガラス基板11の表面上にシリコン酸化物が堆積し、薄膜が形成される。
【0056】
プラズマ形成空間15へ導入される水素ガスの流量は、プラズマ形成空間15へ導入される酸素ガスの流量、シランガスの流量、圧力等のプロセス条件に強く依存する。
【0057】
シリコン酸化膜の成膜中において、プラズマ生成空間15の原子状酸素量は約20〜30%増加する。このような場合には、例えば、プラズマ生成空間15への導入開始時における水素ガスの最大流量は、酸素ガスの流量の3〜10%程度にするのが好ましいが、これよりやや多くしても差し支えない。
【0058】
プラズマ生成空間15へ導入される水素ガスは、例えば、図3や図4のように、時間の経過とともに減少させるのが好ましい。その方法は特に限定されず、単調に減少させても、段階的に減少させてもよく、プラズマ生成空間15の原子状酸素量に応じて減少させてもよい。したがって、成膜処理空間16への材料ガス(シランガス)の導入の開始時間と終了時間とプラズマ生成空間15内における放電の開始時間と終了時間は、例えば、図3や図4のように完全に一致していてもよく、図7のように完全に一致していなくてもよい。図3、図4とも時間の経過と共にプラズマ生成空間15に導入する水素ガスを段階的に減少させる場合のプロセスフローを示すものであるが、図3では、成膜が行われている間の途中で水素ガスの導入が終了し、図4では、生成終了まで水素ガスの導入が行なわれている。
【0059】
成膜処理空間16に導入されるシランガスの流量と、プラズマ生成空間15で生成され、成膜処理空間16に導入される原子状酸素の流量との比率を、シリコン酸化膜の成膜開始から成膜終了まで一定に保つことは好ましい。
【0060】
ここで、プラズマ生成空間15で生成され、プラズマ形成空間15内に存在する原子状酸素の量が一定になるように、酸素ガスに添加する水素ガスの流量を調節してもよい。例えば、シランガスの導入開始時から、プラズマ形成空間15における、プラズマ形成空間15内の発光強度の積分値を測定し、プラズマ形成空間15内の原子状酸素量が一定になるように、水素ガスをプラズマ生成空間15内へ導入することによって、基板上に堆積するシリコン酸化膜の成膜速度を一定にすることができる。なお、図3のようにプラズマ生成空間15内に存在する原子状酸素量が所定量に達したところで、水素ガスの導入を中止してもよい。
【0061】
また、プラズマ形成空間15内に発光強度を検出する手段を設け、検出された発光強度を一定に保つように酸素ガスに添加する水素ガスの流量を調節してもよい。例えば、プラズマ形成空間15内における発光の積分強度を検出する手段として、光電子倍増管32を用い、光電子倍増管32で検出されたプラズマ形成空間15内の発光強度(波長400〜900nm)の積分値が一定になるように水素ガスのマスフローコントローラ33を制御する。水素ガスをプラズマ生成空間15に導入することによって、成膜処理空間16に導入されるシランガスの流量と原子状酸素の流量の比率が一定に保たれ、シランガスの導入開始時、即ち、シリコン酸化膜の成膜開始から始まるプラズマ形成空間15内の原子状酸素の変動を抑えることができ、したがって、成膜速度が一定でしかも膜厚方向で均質なシリコン酸化膜を作製することができる。
【0062】
以上、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の形態に変更可能である。
【0063】
【発明の効果】
本発明のシリコン酸化膜作成方法によれば、RS−CVDにおけるプラズマ形成空間内に存在する原子状酸素量を、基板へのシリコン酸化膜の成膜開始から成膜終了まで一定にすることができるため、シリコン酸化膜の形成初期における、プラズマ生成空間における原子状酸素の未飽和状態が改善され、基板上に堆積するシリコン酸化膜の成膜速度が一定となり、成膜中の組成に関して経時変化が生じることを防止することができる。
【0064】
また、本発明のシリコン酸化膜作成方法によれば、成膜処理空間に導入される材料ガスの流量と、プラズマ生成空間で生成され、成膜処理空間に導入される原子状酸素の流量との比率がシリコン酸化膜の成膜開始から成膜終了まで一定に保たれ、一定比率の材料ガスと原子状酸素による反応が進行し、同一のシリコン酸化膜における膜厚方向の組成に関し均質となり、品質面も安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のシリコン酸化膜作製方法に用いられるRS−CVD装置の第1の実施形態を表す断面図。
【図2】 本発明のシリコン酸化膜作製方法に用いられるRS−CVD装置の第2の実施形態を表す断面図。
【図3】 本発明のシリコン酸化膜作製方法に用いられるプロセスフローの一例。
【図4】 本発明のシリコン酸化膜作製方法に用いられるプロセスフローの他の一例。
【図5】 RS−CVD装置の成膜処理空間で生じるシリコン酸化膜の形成反応を説明する模式図。
【図6】 成膜処理空間へのシランガスの有無の違いによるプラズマ形成空間の発光スペクトルのプロファイル。
【図7】 RS−CVDを用いた、シリコン酸化膜成膜開始時からのプラズマ生成空間における発光強度の変化を表すグラフ。
【図8】 シリコン酸化膜の成膜速度と原子状酸素の流量の関係を表すグラフ。
【図9】 シリコン酸化膜の成膜時間と膜厚(T)又は成膜速度(R)の関係を表すグラフ。
【符号の説明】
11 基板
12 真空容器
12a 上容器
12b 下容器
12b−1 排気ポート
13 排気機構
14 隔壁板
15 プラズマ生成空間
16 成膜処理空間
17 基板保持機構
18 ヒータ
19 プラズマ
20 電極
21a、21b 絶縁部材
22 導電材固定部
23a 酸素ガス等導入パイプ
23b クリーニングガス導入パイプ
24 内部空間
25 貫通孔
26 拡散孔
27 均一板
28 材料ガス導入パイプ
29 電力導入棒
31 絶縁物
32 光電子倍増管
33、34 マスフローコントローラ
35 バルブ
41 接地電位

Claims (6)

  1. 複数の貫通孔を持つ導電性隔壁板を用いて真空容器をプラズマ生成空間と成膜処理空間とに分離し、プラズマ生成空間にガスを導入してプラズマよりラジカルを発生させ、このラジカルを前記導電性隔壁板の複数の貫通孔を通して成膜処理空間に導入すると共に、成膜処理空間に材料ガスを導入し、成膜処理空間において前記導入されたラジカルと材料ガスとを反応させ、成膜処理空間に配置されている基板上に成膜を行うシリコン酸化膜作製方法であって、
    前記ラジカルの生成用にプラズマ生成空間へ導入される酸素ガスに、基板へのシリコン酸化膜の成膜開始の時点で水素ガスが添加されていることを特徴とするシリコン酸化膜作製方法。
  2. 請求項1記載のシリコン酸化膜作製方法において、酸素ガスに添加する水素ガスの流量を、導入開始時に最大とし、時間の経過とともに減少させることを特徴とするシリコン酸化膜作製方法。
  3. 請求項2記載のシリコン酸化膜作製方法において、プラズマ生成空間へ導入される酸素ガスへの水素ガスの添加は、成膜終了までの間のあらかじめ定められた時間継続されていることを特徴とするシリコン酸化膜作製方法。
  4. 請求項2又は3記載のシリコン酸化膜作製方法において、前記成膜処理空間に導入される材料ガスの流量と、前記プラズマ生成空間で生成され、前記成膜処理空間に導入されるラジカルである原子状酸素の流量の比率を、基板へのシリコン酸化膜の成膜開始から成膜終了まで一定に保つことを特徴とするシリコン酸化膜作製方法。
  5. 請求項2又は3記載のシリコン酸化膜作製方法において、前記プラズマ生成空間で生成され、前記プラズマ形成空間内に存在するラジカルである原子状酸素の量が一定になるように、酸素ガスに添加する水素ガスの流量を調節することを特徴とするシリコン酸化膜作製方法。
  6. 請求項2又は3記載のシリコン酸化膜作製方法において、前記プラズマ形成空間内に発光強度を検出する手段を設け、検出された発光強度を一定に保つように酸素ガスに添加する水素ガスの流量を調節することを特徴とするシリコン酸化膜作製方法。
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