JP2005123389A - プラズマ処理方法、プラズマ成膜方法、プラズマエッチング方法およびプラズマ処理装置 - Google Patents

プラズマ処理方法、プラズマ成膜方法、プラズマエッチング方法およびプラズマ処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、大きな面積を有する基板、薄膜等に均一なプラズマ処理を施すことができるプラズマ処理方法を提供することにある。
【解決手段】 本発明に係るプラズマ処理方法は、プラズマ中で負イオンとなる分子を含むプラズマ処理用原料ガスで生じるプラズマを構成する粒子と、前記負イオンの電気的作用を緩和するガス状分子とが混在するプラズマ中で、プラズマ処理をされる被処理面にプラズマ処理を施すことを含む。好ましくは、前記ガス状分子は負の電子親和力を有する。また、好ましくは、前記ガス状分子の電子付着に関する反応断面積は、前記プラズマ処理用原料ガスの電子付着に関する反応断面積より小さい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プラズマ処理方法、プラズマ成膜方法、プラズマエッチング方法およびプラズマ処理装置に関する。
従来、半導体装置、液晶表示装置等の製造プロセスには、プラズマ成膜やプラズマエッチングなどのプラズマ処理工程がある。このプラズマ処理は、半導体装置、液晶表示装置等の高集積化や大型化、高精細化などの要求から、高密度プラズマの生成が要求されている。この高密度プラズマの生成方法としては、例えば、平行平板型の高周波放電による方法、ヘリコン波励起による方法、電子サイクロトロン共鳴(以下「ECR」という。)による方法等がある。
前記高周波放電によるプラズマ処理方法では、生成されたプラズマのプラズマ密度が比較的低いため、プラズマ処理用原料ガスを十分に分解するために必要なエネルギーが得られにくい。また、プラズマ密度の分布が均一でないため、300mm以上の大きな被処理面上でのプラズマ処理にばらつきが生じ、プラズマ処理量、例えば膜質や膜厚が均一にならない。さらに、プラズマ内の電子温度が高いため、プラズマ処理をされる基板、薄膜等に大きな損傷(ダメージ)が生じる。
前記ヘリコン波励起またはECRによるプラズマ処理方法では、プラズマ密度が高く、プラズマ処理の高速化と大面積化との両立が可能である。しかし、これらのプラズマ処理方法では、被処理面の中央部と周辺部でプラズマ密度の分布が均一でなく、プラズマ内の特定の場所例えば中央部に高プラズマ密度部分が偏在する。この偏在により、プラズマ処理をされる基板や薄膜の面内でプラズマ処理速度にばらつきが生じるため、例えば、前記面内でプラズマ処理が均一に行われず、例えば膜質や膜厚が均一にならない。換言すれば、広範囲例えば300mmの被処理面内でプラズマの均一性を得ることができない。さらに、高周波放電によるプラズマ処理方法よりプラズマ処理をされる基板、薄膜等の受けるダメージは、軽減されているが依然として望ましくない損傷(ダメージ)が生じる。
このような、プラズマ処理をされる被処理面におけるプラズマ処理速度のばらつきをなくすため、従来においては、プラズマ処理装置の構造を変更していた。例えば、前記特許文献1に記載された前記ヘリコン波励起によるプラズマ処理方法では、希釈ガス供給管の管径を太くφ50mmからφ95mmに拡大することにより被処理面周辺部での膜厚低下が緩和され均一化されることが記載されている。
しかし、種々の基板や薄膜、具体的に、例えば液晶表示装置のように例えば1メートルを超える寸法を有する大型基板のために、プラズマ処理装置の構造を種々に変更して、個々に準備することは、プラズマ処理装置が大型化し、クリーン度の高いクリーンルームの1台当たりの床占有面積(フットプリント)が増大し、設備投資額が増大し、量産ラインの製造設備としては、利用困難である。さらに、前記特許文献1には、最適希釈ガス例としてHガスを多量に供給することが記載されているが、Hガスはプラズマ中で負イオンを発生し易いガスであるため、大面積の被処理基板では、均一なプラズマ処理をすることが困難である。即ち、プラズマ処理用原料ガスがSiHのようにプラズマ中で負イオンを発生するガスの場合、この負イオンによりプラズマの拡散が阻害され、300mm以上の大きな被処理面全面に均一なプラズマを拡散させることが困難である。
特開2001−329368号公報(例えば[0032]および[0033]欄)
本発明の目的は、大きな面積を有する被処理基板でも、薄膜等に均一なプラズマ処理を施すことができるプラズマ処理方法、プラズマ成膜方法、プラズマエッチング方法およびプラズマ処理装置を提供することにある。
本発明者等は、上記広範囲の被処理面内で均一なプラズマを得ることが出来ない現象について探求した結果、次のような理由によるものであることがわかった。プラズマ処理用原料ガス、特に、モノシランガス、酸素ガス、水素ガス、塩素ガス等の反応性ガスを用いた場合について広範囲に均一なプラズマを得る現象について検討した。この結果、これらのガスを励起して発生したプラズマ中では、前記反応性ガスの原子又は分子に電子が結合して負イオン(O、H、Cl等)が形成される現象(以下「電子付着」という。)が生じやすい(以下「電子付着係数」という。)。このため、前記反応性ガスの原子又は分子に電子が衝突したときに負イオンが生じやすく、ある量の負イオンがプラズマ中に存在することによることが判った。
このプラズマ中に存在する負イオンは、プラズマの拡散を阻害する。このため、プラズマ密度の分布の均一性が損なわれ、プラズマ密度について濃度勾配が生じる。その結果として、プラズマ処理が均一に行われず、例えば膜質や膜厚が均一にならないと考えられる。
このような不都合をなくすため、負イオンによるプラズマ拡散阻害を低減させてプラズマを均一化したものである。
本発明に係るプラズマ処理方法は、プラズマ中で負イオンとなる分子を含むプラズマ処理用原料ガスで生じるプラズマを構成する粒子と、前記負イオンの電気的作用を緩和するガス状分子とが混在するプラズマ中で、プラズマ処理をされる被処理面にプラズマ処理を施すことを含む。
好ましくは、前記ガス状分子は負の電子親和力を有する。また、好ましくは、前記ガス状分子の電子付着に関する反応断面積は、前記プラズマ処理用原料ガスの電子付着に関する反応断面積より小さい。
本発明に係る他のプラズマ処理方法は、マイクロ波励起プラズマ中で負イオンとなる分子を含むプラズマ処理用原料ガスで生じるプラズマを構成する粒子と、前記負イオンの電気的作用を緩和するガス状分子とが混在するマイクロ波励起プラズマ中で、プラズマ処理をされる被処理面にプラズマ処理を施すことを含む。
好ましくは、前記ガス状分子は、前記マイクロ波励起プラズマ中で負の電子親和力を有する。また、好ましくは、前記ガス状分子の電子付着に関する反応断面積は、前記マイクロ波励起プラズマ中で、前記プラズマ処理用原料ガスの電子付着に関する反応断面積より小さい。
前記マイクロ波励起プラズマは、スロットが配置されたアンテナを用いるマイクロ波励起により生じるようにしてもよい。
前記プラズマ処理は、酸素ガスを用いたプラズマ酸化処理、水素ガスを用いたプラズマ表面処理、シランガスを用いたプラズマ成膜、およびハロゲン原子を含むガスを用いたプラズマエッチングのいずれかとすることができる。
前記ガス状分子は、He、Ne、Ar、Kr、XeおよびNの少なくとも1つを含むとすることができる。
本発明によれば、大きな面積を有する被処理基板でも、設備を大型化することなく薄膜等に均一なプラズマ処理を施すことができる。
プラズマ処理方法は、プラズマ中で負イオンを発生するプラズマ処理用原料ガスと、電子親和力が負であるガスを真空容器内に供給し、これらが混在するガスを励起してプラズマを生成し、このプラズマ中で、プラズマ処理する被処理面にプラズマ処理を施す。
プラズマ中で負イオンを発生するプラズマ処理用原料ガスとしては、膜の堆積又は形成、膜又は基板の表面改質、エッチング等の所望の処理に適したガスが用いられる。プラズマ中で負イオンを発生するプラズマ処理用原料ガスとしては、特に、モノシランガス、酸素ガス、水素ガス、塩素ガス等の反応性ガスを用いたとき、プラズマ中で前記反応性ガスの原子、分子等に電子が結合して負イオン(O、H、Cl等)が形成される現象が生じやすい。上記反応性ガスは、特定の条件で生じさせたプラズマ中で前記負イオンがさらに大きな確率を有して形成される。
プラズマ中に生じる負イオンの電気的作用を緩和するガス状分子は、プラズマ中の電気的に安定な分子として、プラズマ処理用原料ガスの一部の分子と電子との結合を妨げるように作用し、また、それ自身は電子と結合しない。これにより、プラズマ処理用原料ガスで生成されるプラズマのプラズマ密度やプラズマ分布が調整される。前記電子親和力が負であるガス状分子は、プラズマを拡散させるためのガスとして用いられる。用いられる電子親和力が負であるガス状分子は、プラズマ処理に用いるプラズマ処理用原料ガスの種類によって異なる。
電子親和力が負であるガス状分子は、気体状態の原子、原子団又は分子(以下「気体分子」という。)であってもよいし、また、微粒子状態の気体、原子団又は分子、例えば霧状の気体、原子団又は分子のような気体に準じる状態の気体、原子団又は分子(以下「準気体分子」という。)であってもよく、さらに、これらが混合されたものであってもよい。電子親和力が負であるガス状分子としては、He、Ne、Ar、Kr、XeおよびNの少なくとも1つを含むガス状分子が用いられる。
負の電子親和力を有するガス状分子、及び、電子付着に関する反応断面積がプラズマ処理用原料ガスのそれと比べて小さいガス状分子は、プラズマ中で負イオンの電気的作用を緩和する。
電子親和力が負であるガスは、真空中で中性の原子、原子団又は分子と電子とが結合する過程(A+e→A)で放出されるエネルギーであり、陰イオン(A)から電子を引き離すために要するエネルギー、すなわち、イオン化エネルギーに等しい。プラズマ中では、プラズマ中で負の電子親和力を有するガス状分子の陰イオンは不安定であるため、それらの陰イオンが生じにくい。このガス状分子は、プラズマ中の電気的に安定な分子として、プラズマ処理用原料ガスの一部の分子と電子との結合を妨げるように作用する。したがって、負の電子親和力を有するガス状分子は、プラズマ中で負イオンの電気的作用を緩和する。
電子付着は、中性の原子、原子団又は分子に電子が結合して安定な負イオンが形成されることであり、正イオンと電子との再結合の場合と区別される。中性の原子、原子団又は分子にその励起エネルギーよりほんの少し低い入射エネルギーで電子が衝突すると、過渡的に中間状態として負イオンが形成され、衝突に係る断面積が大きな影響を受けやすい。断面積は、粒子の散乱過程において粒子同士が衝突するさいに、ある特定の過程の起る確率を表す量であり、面積の次元を有する。過程の種類によって種々の断面積が定義される。この例では、プラズマ処理用原料ガス又はガス状分子と電子との衝突についての過程を、プラズマ中の反応過程としている。断面積を表す記号としてσが用いられ、断面積の単位としてバーン(記号b)が用いられる。1バーン=10−24cmである。
ガス状分子の電子付着に関する反応断面積がプラズマ処理用原料ガスの電子付着に関する反応断面積より小さいとき、前記ガス状分子と電子との反応が生じにくい。このガス状分子は、プラズマ中の電気的に安定な分子として、プラズマ処理用原料ガスの一部の分子と電子との結合を妨げるように作用する。したがって、電子付着に関する反応断面積がプラズマ処理用原料ガスのそれと比べて小さいガス状分子は、プラズマ中で負イオンの電気的作用を緩和する。
このように、負の電子親和力を有するか又は電子付着に関する反応断面積が小さい中性の原子、原子団又は分子をガス状分子として用いることによって、プラズマの分布を改善することができる。結果として、プラズマ処理により形成された膜の膜厚の均一性が大きく改善される。
本発明の理解を容易にするために、両極性拡散について説明する。プラズマ中における粒子の拡散の速さ、すなわち、拡散係数は、該粒子の質量mが小さいほど大きい。電子の拡散係数は大きく、イオン及び中性粒子の拡散係数は小さい。プラズマ中では、まず、電子が拡散する。拡散する電子と、該電子より低速で拡散するイオンとの間に電界が形成され、電子の拡散を減速させる又はイオンの拡散を促進する作用が生じる。プラズマ中の拡散現象は、正負の荷電粒子の作用による電界及びその他の影響によって決定される。このような拡散を両極性拡散、また、拡散係数を両極性拡散係数という。
プラズマ中で生じるイオンは、通常、正イオンの形で存在する。しかし、酸素、水素、塩素等を含むガスのプラズマ中では、該ガスの原子又は分子に電子が結合して負イオンが形成される現象(以下「電子付着」という。)の生じやすさ(以下「電子付着係数」という。)が大きい。このため、前記ガスの原子又は分子に電子が衝突したときに負イオンが生じやすく、ある量の負イオンがプラズマ中に存在する。
前記したように、高密度プラズマを発生すると、プラズマの濃度勾配が生じる。前記した両極性拡散によるプラズマの拡散現象は、プラズマ被処理部分及びその近傍を含む空間におけるプラズマ分布に大きく影響すると考えられる。電子についての拡散フラックスは、拡散係数Dに比例し、イオンについての拡散フラックスは、拡散係数Dに比例する。DとDとの比(D/D)は下式(1)で表される。
Figure 2005123389
ここで、(m/m)>2×10、(T/T)〜10、(λ/λ)〜4×2(1/2)であるから、通常DはDよりきわめて大きい。したがって、電子がイオンより非常に速く拡散し、プラズマ処理装置の反応室の壁に到達する。壁は負に帯電する。一方、イオンは、きわめて遅く拡散し、実質的に停止しているとみなすことができる。プラズマ中に、電子の電荷量を打ち消す量の正の空間電荷が発生する。その結果、荷電分離が生じ、正及び負の電荷の対による電場Eは、プラズマ発生の中心から各壁に向かう。電場Eの向きは、電子の拡散による電子の偏在を抑制する向きであり、この向きにフラックスΓEe=−nμeEが生じる。一方、電場EによるイオンのフラックスΓEiは、各壁へのイオンの流れを促進する向きに生じる。
このように、電場Eの作用によってプラズマから壁へ向かって流れる電子のフラックスΓEeとイオンのフラックスΓEiとは最終的に等しくなり、プラズマの電気的中性(電子密度nとイオン密度nとがほぼ等しい。)が保たれる。逆に言えば、電子及びイオンは、それぞれ自由に拡散することができず、荷電分離による電場を作り、それに伴い電荷について等量ずつプラズマから消失する。これが両極性拡散現象である。
ここで、イオンのフラックスおよび電子のフラックスは、以下の式(2)、(3)で表される。
Figure 2005123389
Figure 2005123389
ただし、nは密度(n=n)、uは流速、μ、μは移動度、rは半径、Eは半径方向の電場を表す。
これらの関係式(2)、(3)から電場Eを消去して両極性フラックス(nu)及び両極性拡散係数Dを求めると、以下の式になる。
Figure 2005123389
Figure 2005123389
通常、プラズマ中に負イオンが存在しないとき、μ≫μ、T>Tであるので、D≪D≪Dである。一方、プラズマ中に負イオンが存在するとき、負の成分として電子に負イオンが加わるため、ΓDe、ΓEeともに小さくなり、結果として、両極性拡散フラックスは小さくなる。
このように、プラズマ中に負イオンが多く存在する反応性プラズマにあっては、両極性拡散係数が著しく小さくなる。したがって、負イオンが生じやすい、酸素、水素、塩素等を含むプラズマ処理用原料ガスによるプラズマ処理を大面積基板に施す場合に、両極性拡散係数の減少を抑制することが重要である。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について詳細に説明する。
実施例1
次に、本発明に係るプラズマ処理装置の実施例を、図1を参照して説明する。プラズマ処理装置は、排気装置が接続された気密容器と、この気密容器に接続された原料ガスを供給するための原料ガス供給管と、前記気密容器に接続された電子親和力が負であるガスを前記気密容器内に供給するための電子親和力が負であるガス供給管と、前記真空容器内に設けられ予め定められた位置に位置決めされた被処理基板を支持するステージと、真空に排気された前記気密容器内に前記原料ガス供給管および前記電子親和力が負であるガス供給管から前記原料ガスおよび前記電子親和力が負であるガスを供給制御する制御手段とからなる。
図1は、本発明に係るプラズマ処理装置の一例を説明するための概略図である。図1に示す例では、プラズマ処理装置全体が符号10で示されている。プラズマ処理装置10は、主としてプラズマ生成空間を規定する気密容器12と、誘電性部材14と、マイクロ波発振器16と、導波管装置18と、ガス導入装置20、22と、排気装置24と、試料ステージ26と、マッチングボックス28などから構成されている。
このプラズマ処理装置10は、膜の堆積又は形成などの成膜処理、膜又は基板の表面改質、エッチング等の処理をするために、所望の処理に適したプラズマ処理用原料ガスを用いてプラズマ処理をするための専用又は兼用の装置として用いられる。このプラズマ処理用原料ガスは、プラズマ中で負イオンを発生するガスである。
例えば、プラズマ処理装置10をプラズマCVDに適用した場合は、プラズマCVD処理用原料ガスとしてモノシランガス、アンモニアガス、メタンガス等を用いる。また、プラズマ処理装置10をプラズマエッチング装置に適用した場合は、プラズマエッチング処理用原料ガスとして塩素ガス、フロンガス等を用いる。さらにまた、プラズマ処理装置10をプラズマアッシング装置に適用した場合は、プラズマアッシング処理用原料ガスとして気体酸素を用いる。気密容器12内に生成された酸素プラズマにより、例えば、液晶パネル用の例えばガラス基板上のホトレジストの分解や剥離すなわちアッシングを施すことができる。
気密容器12、すなわち、チャンバー12は、その内部を気密に維持することが可能な材料、例えば、アルミニウムのような金属材料により形成されている。気密容器12は、上端が開放の側壁30を有し、この側壁30によりプラズマ生成空間が規定されている。側壁30は、図示の例では、300mm角の矩形の横断面形状を有する。気密容器12の上端は、この機密容器12内に存在するガスを励起してプラズマを発生させるための手段たとえばマイクロ波が伝播されるように誘電体部材14が気密に設けられている。
誘電性部材14は、気密容器12を構成する一部の容器壁、例えば気密容器12の上蓋として機能し、気密容器12を閉じたとき外気を遮蔽して気密容器12の内部を気密に保つように、気密容器12に着脱自在に設けられている。図示の例では、誘電性部材14は、気密容器12の開放上端に着脱自在に設けられた枠32に、Oリングのような弾性を有するシール部材34を介して配置されている又は取り付けられている。誘電性部材14と一体的な枠32は、Oリングような弾性を有するシール部材36を介して気密容器12を閉じた、外気を遮蔽して気密容器12の内部を気密に保つように設けられている。
誘電性部材14は、プラズマ生成用のマイクロ波などの電波を伝達するためのプレートである。誘電性部材14は、図示の例では円形の平面形状を有するプレートからなる。誘電性部材14は、石英、アルミナ、窒化アルミニウム等からなる。誘電性部材14は、気密容器12内に高密度プラズマを発生させるための圧力に真空に設定されるため、この圧力に耐える厚さに選択される。誘電性部材14は、厚くするとマイクロ波の伝播効率が劣化するため薄くすることが望ましい。薄くするためには、誘電性部材14部分を狭く構成することが望ましい。この要望を解決する手段は、例えば上蓋を支持する複数の枠を格子状に設けることによりこの格子により形成される各空間を誘電性部材14で気密に封じることにより良好なマイクロ波伝播窓を形成することができる。
マイクロ波発振器16は、気密容器12の外部に配置されている。マイクロ波発振器16は、気密容器12内に供給されたプラズマ処理用原料ガスを励起してプラズマ生成空間内に高密度プラズマを生じさせるためのマイクロ波電力を発生する。マイクロ波発振器16より発生したマイクロ波は、導波管装置18及び誘電性部材14を通して気密容器12内に伝播される。図示の例では、マイクロ波発振器16は、例えば2.45GHzのマイクロ波を発生する。
マイクロ波伝播窓である誘電性部材14の外側には、気密容器12内に伝播されたマイクロ波が誘電性部材14を逆流して外に出射しないようにし、かつ外に出射したマイクロ波を反射するように、この窓を被覆して電磁遮蔽用の覆い蓋38が設けられている。
導波管装置18は、上記電磁遮蔽用の覆い蓋38に固定して取り付けられている。導波管装置18と一体的な覆い蓋38は、誘電性部材14と一体的な枠32上に固定して配置されている。導波管装置18は、矩形の断面を有する矩形導波管40と、円形の断面を有する同軸導波管42と、同軸導波管42の中心軸線上に伸びる棒状の導体44と、円形の平面形状を有する円形マイクロ波放射板46とを備える。導波管装置18として、電磁波、特にマイクロ波を伝送する金属製の部材を用いることができる。図示の例では、導波管装置18はアルミニウムからなる。
矩形導波管40は、例えば長方形の横断面を有する。矩形導波管40は、一端がマイクロ波発振器16に結合されており、マイクロ波発振器16から発生されたマイクロ波を、その振動モードを規定して、伝送する。
同軸導波管42は、小径部分42aと大径部分42bとからなる。大径部分42bは、その直径寸法が円形マイクロ波放射板46の直径寸法とほぼ等しくなるように形成されている。同軸導波管42の中心軸線上に伸びる棒状の導体44は、上端において矩形導波管40の上面に結合され、下端において円形マイクロ波放射板46に結合されている。
円形マイクロ波放射板46は、図示の例では、直径264mmの円形の平面形状を有する。また、円形マイクロ波放射板46は、貫通して形成された複数の開口(以下「スロット」という。)48を有し、スロットアンテナとして機能する。図2を参照するに、複数のスロット48は、同心円状に互いに離れて配置されている。複数のスロット48は、図示の例では、3つの同心円上に形成されている。各スロット48の面積は内側の円上に形成されたスロットほど小さく、1つの円上のスロット48の数は内側の円ほど多い。スロットの形状、数及び配置は、図示の例に限定されない。スロットの形状、数及び配置は、プラズマ処理装置の形状や寸法、プラズマ条件、気密容器12内に導入されるガスの種類等に適合するように種々に選択することができる。円形マイクロ波放射板46は、気密容器12の外部にあって、誘電性部材14に対向して接し、これと相対している。
ガス導入装置20は、気密容器12の側壁30に一体的に形成された供給管50を通してプラズマ処理用原料ガスを気密容器12内に供給するための装置である。ガス導入装置20から気密容器12に供給されるプラズマ処理用原料ガスは、プラズマ処理の種類によって異なる。プラズマCVDにおいては、プラズマ処理用原料ガスとして、例えば、モノシランガス、アンモニアガス、メタンガス等が用いられる。プラズマエッチングにおいては、プラズマ処理用原料ガスとして、例えば、塩素ガス、フロンガス等のハロゲン原子を含むガスが用いられる。プラズマアッシング(プラズマ酸化処理)では、プラズマ処理用原料ガスとして、例えば、酸素ガスが用いられる。プラズマ表面改質においては、プラズマ処理用原料ガスとして、例えば、水素ガスが用いられる。
ガス導入装置22は、気密容器12の側壁30に一体的に形成された供給管52を通して、プラズマ調整用ガスとしてのガス状分子を気密容器12内に供給するための装置である。ガス状分子は、前記したように、気体分子、準気体分子、又はこれらが混合されたものである。
排気装置24は、気密容器12の側壁30に一体的に形成された排気管54を通して気密容器12内の気体を気密容器12の外部に排気するための装置である。排気装置24は、気密容器12内を必要な真空度に達成又は維持すべく減圧するために、また、必要に応じて不要な気体を除去又は減少させるために用いられる。排気装置24として、例えば、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ等を用いることができる。
試料ステージ26は、気密容器12の底部で固定されている。試料ステージ26は、生成されたプラズマにより処理される被処理基板56を支持するための装置である。試料ステージ26は、被処理基板56の形状に応じた角型、円形等の形状を有し、金属又は絶縁性の支持面が形成されている。試料ステージ26には、プラズマ処理が施される被処理基板56、例えば、半導体装置や液晶表示装置が形成される基板が載置される。
マッチングボックス28は、プラズマ処理装置10のプラズマ発生に係る電気的インピーダンスの整合性を調整するための装置である。
図示の例においては、予備管58が、予備用の供給管もしくは排気管、観察又は監視用の覗き窓等として気密容器12に一体的に形成されている。
プラズマ処理装置10を用いて、本発明に係るプラズマ処理方法を実施して膜形成を行った一例を以下に示す。
この例においては、プラズマ中で負イオンを発生するプラズマ処理用原料ガスとしてモノシランガス(以下「SiHガス」という。)を用い、ガス状分子(プラズマ調整用ガス)としてヘリウムガス(以下「Heガス」という。)を用いて、被処理基板56上に非晶質シリコン薄膜を形成した。被処理基板56として、直径150mmのほぼ円形の平板状のシリコン(100)基板を用いた。この膜形成は熱分解反応により生じ、その化学反応式は、SiH→Si+2HOで示される。
プラズマ処理用原料ガスとして用いたSiHガスは、電子付着係数が大きいガスである。すなわち、SiHガスは、プラズマ中で、SiHガス分子に電子が結合して負イオン(H)が形成される現象が生じやすいガスである。ガス状分子として用いた電子親和力が負であるガス例えばHeガスは、希ガスであり、化学的に不活性である。Heガスは、原子最外殻に非常に安定なsの電子配置すなわち希ガス型電子配置を有し、電子の授受や電子の共有が生じにくい。
気密容器12内を必要な真空度にすべく排気装置24によって排気処理をし、予め定められた真空度例えば5×10−4Paに排気された後、図示しないマスフロー制御器で6sccmの流量に調整したプラズマ中で負イオンを発生する原料ガスのSiHガスを、ガス導入装置20より供給管50を通して気密容器12内に導入する。また、同時又は前後して図示しないマスフロー制御器で194sccmの流量に調整した電子親和力が負であるHeガスを、ガス導入装置22より供給管52を通して気密容器12内に導入する。気密容器12内の圧力が約120Paになるまで、SiHガス及びHeガスの供給を継続する。ここで、1sccmは、1標準cc/minとも表し、0℃の温度および1気圧(ほぼ1013hPa)の圧力環境下での1分間あたりの流量をccすなわちcm単位で示したものであり、1sccmはほぼ1.667×10−8/sである。
気密容器12内の圧力を約120Paにした後、マイクロ波発振器16より周波数例えば2.45GHzで電力例えば80Wのマイクロ波を発生させる。発生したマイクロ波は、導波管装置18の矩形導波管40、同軸導波管42、導体44及び円形マイクロ波放射板46を伝播して、誘電性部材14を経て気密容器12内に伝播される。
気密容器12内に導入されたマイクロ波により、気密容器12内に、SiHガスと、Heガスとが混在するガスは、励起されてプラズマが生成される。この例と同様のプラズマ処理装置の構造及びマイクロ波条件でSiHガスのみによってプラズマを生じさせた場合、このプラズマ中では、SiHガスの一部の分子は電子と結合して負イオン(H)が生じる。しかし、この例では、気密容器12内にHeガスもを導入されているため、両極性拡散係数の低下を防ぐことができる。即ち、プラズマ中で電気的に安定なHeガスの分子は、SiHガスの一部の分子と電子との結合を妨げ、また、それ自身は電子と結合しないので、負イオン(H)の電気的作用を緩和する。この結果、プラズマは拡散し、被処理基板56の被処理面全面に均一に拡散する。
このようなプラズマにより、試料ステージ26に配置された被処理基板56にプラズマ処理を施して、被処理基板56上に非晶質シリコン薄膜を形成した。前記したように、この例では、被処理基板56は、150mmの直径を有するほぼ円形の基板である。したがって、被処理基板56上に形成された非晶質シリコン薄膜も、直径150mmのほぼ円形で膜厚が均一な薄膜が成膜される。
形成された非晶質シリコン薄膜の成膜速度及び膜厚を、偏光解析の原理を用いたエリプソメータにより測定して求めた。非晶質シリコン薄膜の成膜速度は、非晶質シリコン薄膜の中心付近及び端部付近での成膜速度は、それぞれ4.5nm/s、4.4nm/sとほぼ同じであった。また、図3に白丸印(○)で示すように、膜厚分布は±2.2%の範囲に収まっている。膜厚について良好な均一性が得られた。即ち、被処理基板56面内において、プラズマが均一に分布していることを示している。
比較のために、Heガス(プラズマ調整用ガス)を用いず、流量200sccmのSiHガス(プラズマ処理用原料ガス)のみを用いて形成した非晶質シリコン薄膜についての膜厚を、図3に黒丸印(●)で示す。膜厚分布にして±20%の範囲に広がっており、膜厚について面内膜厚分布が大きい結果となった。中心付近が厚く、周辺が薄い分布である。その分布形状は、同心円状であり、導体44による同軸伝送路を有し開口48が形成された円形マイクロ波放射板46に対応して形成される。また、非晶質シリコン薄膜の成膜速度は、非晶質シリコン薄膜の中心付近及び端部付近での成膜速度は、それぞれ3.8nm/s、3.1nm/sであった。
実施例2
この例では、実施例1で用いたプラズマ処理装置10と同じ構成の装置を用いて、被処理基板56としてのシリコン(100)基板の表面の酸化処理を行った。形成されたシリコン酸化膜の均一性を、前記と同様にエリプソメータで測定して求めた結果により評価した。
プラズマ中で負イオンを発生するプラズマ酸化処理用原料ガスとして流量6sccmの酸素ガスを、電子親和力が負であるガス状分子(プラズマ調整用ガス)として流量194sccmのKrガスを気密容器12内に導入する。気密容器12内の圧力を約80Paにした後、マイクロ波発振器16より2.45GHzの周波数及び1200Wのマイクロ波電力のマイクロ波を発生させる。被処理基板56として、前記した直径150mmのほぼ円形の平板状のシリコン(100)基板を用いた。被処理基板56の上面が誘電性部材14の下方に誘電性部材14から54mmだけ離れた位置にあるように、試料ステージ26の高さを調整する。誘電性部材14として石英板を用いた。プラズマ処理中、被処理基板56を温度例えば300℃に保つ。
被処理基板56としてシリコン(100)基板に形成されるシリコン酸化膜の膜厚を、プラズマ処理装置10の膜厚設定値を5nmに設定することにより制御した。
形成されたシリコン酸化膜の膜厚をエリプソメータにより測定して求めた。図4に白丸印(○)で示すように、膜厚は、最大値が4.3nm、最小値が4.0nmであった。また、膜厚分布は±3.8%の範囲に収まっている。非常に均一な膜厚を有するシリコン酸化膜が得られた。
比較のために、Krガス(プラズマ調整用ガス)を用いず、流量200sccmの酸素ガス(プラズマ処理用原料ガス)のみを用いて形成したシリコン酸化膜についての膜厚を、図4に黒丸印(●)で示す。膜厚は、最大値が4.9nm、最小値が3.6nmであった。また、膜厚分布は±12.6%の範囲に広がっており、膜厚について面内膜厚分布が大きい結果となった。その分布形状は同心円状であり、同軸伝送路を有する円形マイクロ波放射板46に対応している。
この例においてプラズマ調整用ガス(ガス状分子)として用いたKrガスについて、以下に説明する。Krガスは、希ガスであり、また、プラズマ中で負の電子親和力を有する。プラズマ中では、プラズマ中で負の電子親和力を有するKrの陰イオンは不安定であるため、Krの陰イオンが生じにくい。また、Krは、電子付着に関する反応断面積が小さい。この例では、酸素ガス又はKrガスと電子との衝突についての過程を、プラズマ中の反応過程としている。
このように、負の電子親和力を有し、また、電子付着に関する反応断面積が小さいKrガスをガス状分子(プラズマ調整用ガス)として用いることによって、プラズマの分布を改善することができる。結果として、プラズマ処理により形成された膜の膜厚の均一性が大きく改善される。
前記した実施例1及び実施例2では、マイクロ波励起プラズマを生じさせるプラズマ装置10を用いている。本発明にあっては、他の方法によりプラズマを生じさせるプラズマ処理装置を用いて本発明に係るプラズマ処理方法を実施することができる。十数メガヘルツの高周波による高周波放電プラズマ、電子サイクロトロン共鳴(以下「ECR」という。)プラズマ又はヘリコン波励起プラズマを生じさせるプラズマ処理装置を用いて、本発明のプラズマ処理方法を実施することができる。
実施例3
図5を参照するに、この例では、図1に示すプラズマ処理装置10の円形マイクロ波放射板46を有する導波管装置18に代えて、矩形の平面形状及び矩形の断面を有する導波管を備えるプラズマ処理装置を用いた。図5に示す例では、プラズマ処理装置が全体に符号60で示されている。図1と同一部分には同一符号を付与し、その詳細な説明は重複するので省略する。図6に、図5線A−Aに沿って得た、一部を省略した断面図を示す。
図5及び図6を参照するに、導波管64は、矩形の平面形状を有し、また、矩形の断面を有する。導波管64は、誘電性部材14に接するように、また、誘電性部材14のひとつの側縁と平行に伸びるように配置されている。導波管64は、導波管64の長手方向及び幅方向に伸びる長方形の複数(図示の例では11)の開口(スロット)66を有する。各スロット66は、誘電性部材14に向けて開放している。導波管66は、マイクロ波発振器16からのマイクロ波を低損失で伝送する機能を有し、アルミニウムのような金属からなる。
実施例3では、実施例2と同様に、プラズマ中で負イオンを発生するプラズマ酸化処理用原料ガスとして酸素ガスを、電子親和力が負であるガス状分子(プラズマ調整用ガス)としてKrガスを用い、実施例2と同様のプラズマ酸化処理条件で、シリコン(100)基板の表面の酸化処理を行い、シリコン酸化膜を形成した。シリコン酸化膜の膜厚は、プラズマ処理装置60の膜厚設定値を5nmに設定することにより制御した。
形成されたシリコン酸化膜の均一性をエリプソメータで測定した結果に基づいて評価した。図7に示すように、シリコン(100)基板(被処理基板56)上に形成されたシリコン酸化膜68の膜厚を、76個の測定点70で、中心から矢印72の方向に沿って測定した。その結果を図8に示す。シリコン酸化膜の膜厚について、最大値が4.3nm、最小値が4.2nmであった。また、膜厚分布は±2.2%の範囲内に収まっている。非常に均一な膜厚の酸化膜が得られた。
比較のために、Krガス(プラズマ調整用ガス)を用いず、流量200sccmの酸素ガス(プラズマ処理用原料ガス)のみを用いて形成したシリコン酸化膜についての膜厚を、図9に示す。図9からわかるように、2つの山を有する大きな膜厚分布を有する結果になった。シリコン酸化膜の膜厚は、最大値が6.0nm、最小値が3.5nmであった。また、膜厚分布は±55%の範囲に広がっている。
図10を参照するに、実施例3に用いたプラズマ処理装置60によるマイクロ波の電場の強度分布のシミュレーションをした結果が示されている。(a)は、導波管64と被処理基板56との位置関係、(b)は、被処理基板56に形成されたシリコン酸化膜の膜厚分布を示す。図10からわかるように、電場強度の大きな部分が、図9に示す2つの山の膜厚分布に対応している。すなわち、導波管のスロット付近ではプラズマの濃度勾配が生じやすく、両極性拡散について、酸素ガスのようにプラズマ中で一部の分子が負イオンになりやすいガスを用いたプラズマ処理においては均一なプラズマ処理が困難であることがわかる。
実施例4
実施例3に用いたプラズマ処理装置と同じプラズマ処理装置により、プラズマ中で負イオンを発生するプラズマ酸化処理用原料ガスとして酸素ガスを、電子親和力が負であるガス状分子としてArガスを用いて、シリコン基板表面のプラズマ酸化処理を行った。酸素ガスの流量を6sccm、Arガスの流量を194sccmに調整した。プラズマ酸化処理の条件としては、電子親和力が負であるガス状分子としてKrガスに代えてArガスを用いたこと以外は、実施例3と同じである。シリコン酸化膜の膜厚の測定結果を図11に示す。シリコン酸化膜の膜厚は、最大値が4.5nm、最小値が4.4nmであった。また、膜厚分布は±2.2%の範囲に収まっており、極めて均一な面内膜厚分布が得られた。
実施例5
実施例1に用いたプラズマ処理装置と同じプラズマ処理装置により、プラズマ中で負イオンを発生するプラズマエッチング処理用原料ガスとしてCFガスを、電子親和力が負であるガス状分子としてArガスを用いて、シリコン基板表面のエッチング処理を行った。CFガスの流量を6sccm、Arガスの流量を194sccmに調整した。プラズマ酸化処理の条件に関しては、圧力を1Pa、マイクロ波電力を800Wとした。シリコン基板表面の中心部分のエッチング速度は14.2nm/min、周辺部分のエッチング速度は14.8nm/minであった。150mm径のシリコン基板のほぼ全面でほぼ均一なエッチング処理がされた。
比較のために、Arガス(プラズマ調整用ガス)を用いず、流量200sccmのCFガス(プラズマ処理用原料ガス)のみを用いてエッチング処理をしたときについて、エッチング速度を測定した。シリコン基板表面の中心部分で12.2nm/min、周辺部分で13.5nm/minとなり、面内分布が大きい結果となった。
前記したように、いずれの実施例においても、ガス状分子により負イオンの電気的作用が緩和される。これにより、均一性の高いプラズマが生成される。電源周波数が大きければ大きいほど1011個/cm以上の高電子密度、数eV以下の低電子温度のプラズマが生成される。また、いずれの実施例においても、設備を大型化することなく薄膜等に均一なプラズマ処理を施すことができる。また、マイクロ波励起プラズマによるプラズマ処理においては、マイクロ波励起プラズマにおける高電子密度によるプラズマ濃度勾配が低減される。
本発明に係るプラズマ処理方法を実施するために用いることのできるプラズマ処理装置の縦断面図。 図1に示すプラズマ処理装置の円形マイクロ波放射板の部分平断面図。 本発明に係るプラズマ処理方法により形成された非晶質シリコン薄膜の膜厚分布を示すグラフ(実施例1)。 本発明に係るプラズマ処理方法により形成されたシリコン酸化膜の膜厚分布を示すグラフ(実施例2)。 本発明に係るプラズマ処理方法を実施するために用いることのできる他のプラズマ処理装置の縦断面図。 図5に示すプラズマ処理装置の導波管の開口(スロット)を示し、図5の線A−Aに沿って得た、一部を省略した概略的な横断面図。 本発明に係るプラズマ処理方法により形成されたシリコン酸化膜の膜厚の測定点を示す図。 本発明に係るプラズマ処理方法により形成されたシリコン酸化膜の膜厚分布を示すグラフ(実施例3)。(a)は、シリコン酸化膜の膜厚の面内分布を二次元的に示すグラフ。(b)は、シリコン酸化膜の膜厚の面内分布を三次元的に示すグラフ。 従来のプラズマ処理方法により形成されたシリコン酸化膜の膜厚分布を示すグラフ。(a)は、シリコン酸化膜の膜厚の面内分布を二次元的に示すグラフ。(b)は、シリコン酸化膜の膜厚の面内分布を三次元的に示すグラフ。 図5に示すプラズマ処理装置による電場強度分布と膜厚分布との関係を示す図。(a)は、図5に示すプラズマ処理装置の導波管を示す概略的な横断面図。(b)は、従来のプラズマ処理方法により形成されたシリコン酸化膜の膜厚分布を示すグラフ。(c)は、図5に示すプラズマ処理装置により形成された電場強度分布を示す図。 本発明に係るプラズマ処理方法により形成されたシリコン酸化膜の膜厚分布を示すグラフ(実施例4)。(a)は、シリコン酸化膜の膜厚の面内分布を二次元的に示すグラフ。(b)は、シリコン酸化膜の膜厚の面内分布を三次元的に示すグラフ。
符号の説明
10、60 プラズマ処理装置
12 気密容器
14 誘電性部材
16 マイクロ波発振器
18 導波管装置
20、22 ガス導入装置
24 排気装置
26 試料ステージ
40 矩形導波管
42 同軸導波管
44 導体
46 円形マイクロ波放射板
48、66 開口
56 被処理基板
64 導波管

Claims (10)

  1. プラズマ中で負イオンを発生する原料ガスおよび電子親和力が負であるガスを、予め定められた真空度に排気された気密容器内に供給してプラズマを発生させ、このプラズマにより前記気密容器内に設けられた被処理体の被処理面にプラズマ処理することを特徴とするプラズマ処理方法。
  2. プラズマ中で負イオンを発生する成膜用原料ガスおよび電子親和力が負であるガスを、予め定められた真空度に排気された気密容器内に供給してプラズマを発生させ、このプラズマにより前記気密容器内に設けられた被処理体に成膜処理することを特徴とするプラズマ成膜方法。
  3. プラズマ中で負イオンを発生するエッチング用原料ガスおよび電子親和力が負であるガスを、予め定められた真空度に排気された気密容器内に供給してプラズマを発生させ、このプラズマにより前記気密容器内に設けられた被処理体をプラズマエッチング処理することを特徴とするプラズマエッチング方法。
  4. プラズマ中で負イオンを発生する原料ガスとこの原料ガスよりも電子付着反応断面積が小さいガスを、予め定められた真空度に排気された気密容器内に供給してプラズマを発生させ、このプラズマにより前記気密容器内に設けられた被処理体をプラズマ処理することを特徴とするプラズマ処理方法。
  5. プラズマ中で負イオンを発生する成膜用原料ガスとこの成膜用原料ガスよりも電子付着反応断面積が小さいガスを、予め定められた真空度に排気された気密容器内に供給してプラズマを発生させ、このプラズマにより前記気密容器内に設けられた被処理体に成膜処理することを特徴とするプラズマ成膜方法。
  6. プラズマ中で負イオンを発生するエッチング用原料ガスと、このエッチング用成膜原料ガスよりも電子付着反応断面積が小さいガスとを、予め定められた真空度に排気された気密容器内に供給してプラズマを発生させ、このプラズマにより前記気密容器内に設けられた被処理体をエッチング処理することを特徴とするプラズマエッチング方法。
  7. 前記プラズマを発生させるための励起手段は、マイクロ波であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のプラズマ処理方法。
  8. 前記電子親和力が負であるガス又は前記原料ガスよりも電子付着反応断面積が小さいガスは、He、Ne、Ar、Kr、XeおよびNの少なくとも1つのガスであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のプラズマ処理方法。
  9. 排気装置が接続された気密容器と、
    この気密容器に接続されたプラズマ中で負イオンを発生する原料ガスを供給するための原料ガス供給管と、
    前記気密容器に接続された電子親和力が負であるガスを前記気密容器内に供給するための電子親和力が負であるガス供給管と、
    前記気密容器内に設けられ予め定められた位置に位置決めされた被処理基板を支持するステージと、
    真空に排気された前記気密容器内に前記原料ガス供給管および前記電子親和力が負であるガス供給管から前記原料ガスおよび前記電子親和力が負であるガスを供給制御する制御手段と
    を具備してなることを特徴とするプラズマ処理装置。
  10. 排気装置が接続された気密容器と、
    この気密容器に接続されたプラズマ中で負イオンを発生する原料ガスを供給するための原料ガス供給管と、
    前記気密容器に接続された電子付着反応断面積が小さいガスを前記気密容器内に供給するための電子付着反応断面積が小さいガス供給管と、
    前記気密容器内に設けられ予め定められた位置に位置決めされた被処理基板を支持するステージと、
    真空に排気された前記気密容器内に前記原料ガス供給管および前記電子付着反応断面積が小さいガス供給管から前記原料ガスおよび電子付着反応断面積が小さいガスを供給制御する制御手段と
    を具備してなることを特徴とするプラズマ処理装置。
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