JP4050806B2 - 二重箱コンテナ - Google Patents

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謙二 岩本
和夫 藤本
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二重箱コンテナに係り、さらに詳しくは、平面表示装置に用いるガラス基板などの破損し易く埃を嫌う部品を、簡易密封状態で、破損することなく良好に保管または搬送することができる二重箱コンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば液晶表示装置やプラズマ表示装置などの平面表示装置では、その製造過程で、ガラス基板の表面に電極や隔壁などをスクリーン印刷などにより形成し、そのガラス基板を、別の工場で組立あるいは再加工したい場合がある。その場合には、ガラス基板を破損しないように、且つ、基板表面が汚れないように、基板を保管および搬送するためのコンテナが必要となる。
【0003】
また、このような基板を搬送する際には、空気遮断を行い、クリーンルーム間を直接往復できるようなコンテナ構造が必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のコンテナは、平面表示装置に用いるガラス基板などの薄板を、破損しないように、且つ、基板表面が汚れないように、クリーンルーム間を直接搬送することができるものではなかった。
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、平面表示装置に用いるガラス基板などの複数の部品を、破損しないように、且つ、部品表面が汚れないように、保管あるいは搬送することができ、しかもクリーンルーム間を直接搬送することもできる二重箱コンテナを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る二重箱コンテナは、リフト手段が差し込まれる凹所が底部に形成してある内箱と、三次元的に交絡してなるフィラメントから成り、前記内箱が載置される底板に衝撃を吸収するように設けられた立体網状構造体と、前記内箱が載置される底板および立体網状構造体が載置され、リフト手段が差し込まれる凹所が形成してあるパレットと、前記パレット上に、前記内箱を囲むように、且つ、前記パレットに対して着脱または折り畳み自在に装着される外箱とを有する。
【0007】
前記パレット上には、前記内箱の載置を案内すると共に、パレットの平面に沿った内箱の移動を制限するガイドストッパ部材が装着してあることが好ましい。
【0008】
前記内箱は、簡易密封可能な箱で構成してあることが好ましい。たとえば内箱の内部は、不活性ガスでパージされることが好ましい。不活性ガスは、内箱内に保持される各部品(たとえば薄板)の間に吹き出されることが好ましい。不活性ガスとしては、取り扱い作業性および輸送コストなどを考慮し、窒素ガスが好ましい。
【0009】
内箱の内部には、取り外し自在に乾燥剤ボックスが装着してあることが好ましい。内箱内部の湿気を取るためである。この乾燥剤ボックスには、内箱の内部圧力を調整するためのフィルター付き孔が形成してあることが好ましい。二重箱コンテナが飛行機などで輸送されることを考慮するためである。
【0010】
本発明において、立体網状構造体とは、動的剛性試験値が、70N/cm2 ・cm以下であるように、合成樹脂フィラメントを三次元的に交絡してなるものであることが好ましい。この値が低いほど、衝撃吸収効果が向上する。この値があまりに高いと、衝撃吸収効果が十分ではなくなる傾向にある。
【0011】
このような立体網状構造体は、天然繊維フィラメント、合成繊維フィラメントまたは金属繊維フィラメントを三次元立体的に交絡してマット状に形成したものである。天然繊維フィラメントとしては、ロックウール、パームなどのフィラメントが例示される。合成樹脂フィラメントとしては、6ナイロン、66ナイロンなどのナイロン類、ポリプロピレン、硬質または半硬質のポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリエステルなどのフィラメントが例示される。金属フィラメントとしては、ステンレス鋼などのバネ定数が大きく錆びにくい材質のフィラメントが例示される。
【0012】
本発明では、立体網状構造体として、好ましくはナイロンフィラメントなどの合成樹脂フィラメントが用いられる。立体網状構造体として、ナイロンフィラメントを用いると、圧縮クリープに対する抵抗力が高くなると共に、衝撃吸収効果が高くなる傾向にある。圧縮クリープに対する抵抗力が高くなると、その上に高荷重の内箱が載置されても、底板の変形を有効に防止することができる。
【0013】
立体網状構造体は、十分な空隙率と剛性とを有することが好ましく、フィラメント径は、0.2〜4mm程度が好ましい。フィラメント径が0.2mmより細いと、如何に網状構造が密でも、荷重や衝撃によって変形してしまい、衝撃吸収効果が低下する傾向にある。また、4mmよりも大きいと、得られる立体網状構造体の剛性が高すぎ、衝撃を緩和できなくなる傾向にある。
【0014】
この立体網状構造体の厚みは、網状構造体の剛性にもよるが、室温で荷重負荷が作用しない状態において3〜50mm程度で用いられることが好ましい。厚みが3mmより小さい場合には、衝撃吸収効果の確保が困難になり、50mmよりも大きくしても、その割には衝撃吸収の向上には寄与せず、コストアップになる傾向にある。
【0015】
【作用】
本発明に係る二重箱コンテナにおいては、内箱の周囲を外箱で囲む構成を採用していることから、外箱により内箱が保護され、内箱に収容される薄板などの部品に埃やゴミが付着することを有効に防止することができる。特に、内箱を簡易密封構造とすることで、ゴミや埃の付着防止効果をさらに向上させることができる。
【0016】
したがって、本発明では、クリーンルーム内で内箱に薄板などの部品を収容し、準クリーンルーム内で、外箱を組み立て、二重箱コンテナを別の場所へ運搬し、その場所にある準クリーンルーム内で外箱を解体または折り畳み、内箱を取り出し、クリーンルーム内で内箱から部品を取り出すなどの使い方も可能となる。すなわち、ガラス基板などのゴミや埃を嫌う部品を収容する内箱を、クリーンルーム間で直接受け渡しすることが可能になる。
【0017】
また、本発明では、内箱が外箱で覆われているため、内箱自体の強度としては、必要最小限の強度しか要求されず、内箱の側壁を、段ボールやプラスチックなどの比較的安価な材質で構成することができる。外箱の側壁は、金属枠などにより補強された合板などで構成することで、段積み保管や運搬が可能である。
【0018】
また、本発明では、二重箱コンテナの底部が、パレットになっているので、フォークリフトなどのリフト手段により容易に持ち上げて移動することが可能である。また、内箱の底部にも、リフト手段が差し込まれる凹所が形成してあるので、フォークリフトまたはロボットハンドなどにより内箱単独で容易に移動させることができる。
【0019】
さらに、本発明では、外箱が、パレットに対して着脱または折り畳み自在であるため、内箱を取り出して空になったコンテナは、外箱がパレット上に解体または折り畳まれて小さくなった状態で、運送元へ返却し、再利用されることができる。
【0020】
さらにまた、本発明では、内箱は、パレット上に、衝撃吸収特性に優れた立体網状構造体を介して載置されることから、コンテナ外部から衝撃が加わった場合でも、内箱に対して加えられる衝撃は少なく、内箱内に収容された部品が破損することを有効に防止することができる。
【0021】
本発明において、パレット上にガイドストッパ部材が装着してある場合には、パレット上に内箱を載置する際に、内箱がガイドストッパ部材により案内されるため、パレット上の所定位置に内箱を載置することが容易となる。また、パレット上に内箱が載置された後には、パレットの平面に沿った内箱の移動は、ガイドストッパ部材により制限されるので、内箱が外箱の内部でがたつくことも有効に防止できる。外箱の内部での内箱のがたつきを、さらに有効に防止する観点からは、内箱は、締め付けバンドなどを用いて、パレット上に固定されることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0023】
図1は本発明の1実施形態に係る二重箱コンテナにおける外箱とパレットとの関係を示す分解斜視図、図2は外箱とパレットとの連結構造を示す要部分解斜視図、図3は二重箱コンテナにおける内箱とパレットとの関係を示す分解斜視図、図4は内箱の内部を示す要部斜視図、図5は底板とガイドストッパ部材との関係を示す要部断面図、図6は立体網状構造体の要部断面図である。
【0024】
図1に示すように、本発明の1実施形態に係る二重箱コンテナ2は、フォークリフトなどのリフト手段の爪部が挿入可能な凹所4が形成してあるパレット6と、このパレット6の上に、着脱および/または折り畳み自在に装着される外箱8とを有する。
【0025】
図1に示すように、外箱8の4つの側壁は、対向する一対の短辺側壁10と、これら側壁10を連結するように対向する一対の長辺側壁12とから成る。各短辺側壁10は、単一のパネル16で構成してあり、各長辺側壁12は、それぞれ中央部13で分割可能な一対のパネル18,18で構成してある。これら側壁10,12を構成するパネル16,18は、後述する方法により解体自在に組み立てられ、パネル16とパネル18との連結を強固にするために、側壁12の中央部両端には、止め金具14が装着してある。
【0026】
パレット6の上で、側壁10,12により囲まれた空間が、後述する内箱を収納するための内部空間となる。これら側壁10,12で囲まれた空間を閉じるために、側壁10,12の上端には、矩形の蓋20が着脱自在に装着される。
【0027】
本実施形態では、各短辺側壁10を構成するパネル16が、下述するような構造を採用することにより、パレット6に対して折り畳み自在となっている。また、各長辺側壁12は、それぞれ中央部13の位置で分割可能なパネル18,18で構成してあり、下述するような構造を採用することにより、パレット6に対して着脱自在となっている。なお、これらパネル16,18は、本実施形態では、木製合板で構成してある。
【0028】
本実施形態では、図2に示すように、パレット6の上の四隅位置には、下金具24が立設してある。各下金具24の内側には、断面略L字形状の係止片26が固定してあり、上下方向に延びる垂直溝28と、その溝28の下端部に連続するように水平方向に延びる水平溝30とを形成するようになっている。
【0029】
一方、短辺側壁10を構成するパネル16の両側端部には、高さ方向に沿って金属製の側端金枠32が装着してある。各側端金枠32は、パネル16を補強する作用を有する。また、各側端金枠32には、長辺側壁12を構成するパネル18の縁部19がそれぞれスライド式に差し込まれるためのスライド溝34が形成してある。また、この側端金枠32の下端部に、回動用突起42が具備してある。
【0030】
各回動用突起42は、図2に示すように、下金具24の垂直溝28に沿って挿入され、その溝28の下端部で、水平方向に移動させることで(図2中矢印A)、回動用突起42は係止片26により上方への抜け止めがなされる。したがって、各側壁10を構成するパネル16は、パレット6に対して上方への抜け止めがなされ、その状態で、パネル16は、コンテナ2の内側方向Bへの回動が許容される。パネル10のコンテナ外側への回動は、パネル10が、パレット6の上に固定された下金具24、係止片26および帯状金具44に当接することにより制限される。
【0031】
本実施形態では、上述した構造を採用することにより、側壁10,12を構成するパネル16,18が、パレット6に対して折り畳み自在または着脱自在に装着される。なお、パネル18の縁部19には、金属製等の保護枠が装着してあることが好ましい。保護枠は、ポリエステル樹脂、ABS樹脂などの合成樹脂を塗布乾燥して形成することができる。保護枠を装着することが好ましいのは、側壁12を構成する各パネル18の縁部19は、図1に示す中央部13の分割線に沿って相互に当接すると共に、図2に示すスライド溝34に沿ってスライド移動することが要求され、多数回の使用にも耐えられる滑り易さと耐久性が要求されるからである。
【0032】
本実施形態では、このようにしてパレット6の上に着脱および/または折り畳み自在に装着された外箱8の内部に、内箱50が設置される。なお、内箱50の設置は、図1に示す外箱8の組立前に行われる。
【0033】
図3に示すように、内箱50は、対向する短辺側壁52と、短辺側壁52を連結するように対向する長辺側壁54とを有し、図1に示す外箱8に比較して、一回り小さく形成してある。これら側壁52,54は、たとえば段ボール、プラスチックなどのパネルで構成され、パネルの縁部が金属枠などで補強してある。これら側壁52,54と図示省略してある底板とにより囲まれる内部空間の上部開口部55から複数のガラス基板が収容され、内蓋56により内部が簡易密封される。
【0034】
内箱50の内部には、短辺側壁52の内面に沿って、図4に示す側部緩衝部材58が装着してある。側部緩衝部材58は、本実施形態では、弾力性を有する部材で構成してあり、たとえばスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などのジエン系ゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーゴム(EPDM)、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、またはこれらの発泡体、またはウレタンもしくはナイロンの発泡体などで構成される。
【0035】
側部緩衝部材58には、その上下方向に沿って延びるガイド溝60が所定間隔で略平行に形成してある。これらガイド溝60には、図4に示すように、ガラス基板62の両側端部がスライド自在に装着される。ただし、ガラス基板62の保持は、内箱50の底部に装着してある下端保持緩衝部材(図示省略)と、図3に示す内蓋56の内面に装着してある上端保持緩衝部材64とにより行われ、側部緩衝部材58のガイド溝60は、単なるガイドの役割を果たす。このような観点から、ガイド溝60の溝幅は、ガラス基板62の厚みよりも、好ましくは5〜40%、さらに好ましくは10〜25%大きめに形成される。
【0036】
本実施形態に係る内箱50では、内箱50内に収容される複数のガラス基板62は、各ガラス基板62の上端部が上端保持緩衝部材64に当接し、各ガラス基板62の下端部が下端弾性保持部材により保持される。すなわち、複数のガラス基板62は、上下方向に挟み込むように保持される。したがって、内箱50に振動が加わっても、ガラス基板62は上下方向に弾性保持してあるので、破損することはない。また、これらのガラス基板62の間は、空間になっているので、ガラス基板62の表面が汚染されることはない。特に、ガラス基板62の間に窒素ガスなどの不活性ガスを吹き付けるように構成すれば、ガラス基板62の表面への埃やゴミの付着を効果的に防止することができる。
【0037】
図3に示すように、内箱50の底部には、フォークリフトやロボットハンドなどのリフト手段が差し込み可能になっている凹所68が形成されるように、脚部66が所定間隔で配置してある。脚部66は、木材あるいは発砲プラスチックなどで構成してある。
【0038】
図3および5に示すように、パレット6の上の四隅部分にガイドストッパ部材74が具備してある。ガイドストッパ部材74の上端部には、案内用テーパ部75が形成してあり、パレット6上に底板70を載置する際のガイドを行うと共に、底板70がパレット6上で位置ズレすることを防止する。また、ガイドストッパ部材74は、底板70の上に、内箱50を載置する際のガイドを行うと共に、内箱50がパレット6上で位置ズレすることを防止する。
【0039】
本実施形態では、底板70の底面には、衝撃吸収体72が所定間隔で配置してある。衝撃吸収体72は、図6に示すように、立体網状構造体層78と、この立体網状構造体層78の表裏面に接着される取付板80と、上側の取付板80の表面に接着される緩衝層82とを有する。
【0040】
支持板80は、立体網状構造体層を支持する機能を有し、たとえば合板、パーティクルボード、天然木板、コルク板、プラスチックボード、セラミック系ボード、およびこれらの複合ボードなどで構成される。その厚みは、特に限定されないが、2〜30mm程度であることが好ましい。支持板80の幅は、立体網状構造体層78の幅と同程度である。
【0041】
緩衝層82は、必ずしも装着する必要はないが、底板70に柔らかく接触するためのものであり、たとえばプラスチック皮膜で構成される。
【0042】
なお、立体網状構造体層78は、必ずしも一層ではなくとも良く、2層以上の立体網状構造体層78を支持板でサンドイッチしても良い。
【0043】
本実施形態では、立体網状構造体層78は、動的剛性試験値が、70N/cm2 ・cmm以下であるように、ナイロンフィラメントを三次元的に交絡してマット化したものをストライプ状に切断したものである。動的剛性試験値の値が低いほど、衝撃吸収効果が向上する。この値があまりに高いと、衝撃の緩和効果が十分ではなくなり、衝撃吸収性能が低下する傾向にある。
【0044】
立体網状構造体層78は、十分な空隙率と剛性とを有することが好ましく、フィラメント径は、0.2〜4mm程度が好ましい。フィラメント径が0.2mmより細いと、如何に網状構造が密でも、荷重や衝撃によって変形してしまい、衝撃吸収効果が低下する傾向にある。また、4mmよりも大きいと、得られる立体網状構造体層の剛性が高すぎ、衝撃を緩和できなくなる傾向にある。
【0045】
この立体網状構造体層78の厚みは、網状構造体の剛性にもよるが、室温で荷重負荷が作用しない状態において3〜50mm程度で用いられることが好ましい。厚みが3mmより小さい場合には、衝撃吸収機能の確保が困難になり、50mmよりも大きくしても、その割には衝撃吸収性能の向上には寄与せず、コストアップになる傾向にある。
【0046】
このような立体網状構造体層78を持つ衝撃吸収体72は、300〜600mmの間隔で配置されることが好ましい。このような間隔で配置することで、全面に配置する場合に比較して、衝撃吸収効果が向上する。間に空間がある方が衝撃吸収効果が高くなるためと考えられる。
【0047】
衝撃吸収体72の幅は、30〜100mmが好ましい。この幅があまりに広い場合には、立体網状構造体を全面に敷き詰めた場合と同じになる傾向にあり、あまりに狭い場合には、底板70の支持が不安定になる傾向にある。
【0048】
図1および3に示すように、本実施形態に係る二重箱コンテナ2においては、内箱50の周囲を外箱8で囲む構成を採用していることから、外箱8により内箱50が保護され、内箱50に収容されるガラス基板62(図4参照)に埃やゴミが付着することを有効に防止することができる。特に、内箱50を簡易密封構造とすることで、ガラス基板62に対するゴミや埃の付着防止効果をさらに向上させることができる。
【0049】
したがって、本実施形態では、クリーンルーム内で内箱50に複数のガラス基板62を収容し、準クリーンルーム内で、外箱8を組み立て、その二重箱コンテナ2を別の場所へ運搬し、その場所にある準クリーンルーム内で外箱8を解体または折り畳み、内箱50を取り出し、クリーンルーム内で内箱50からガラス基板62を取り出すなどの使い方が可能となる。すなわち、平面表示装置の製造部品としてのガラス基板62は、ゴミや埃を嫌うことから、クリーンルーム間で受け渡しすることが好ましく、本実施形態では、このような要求を満足させることができる。
【0050】
また、本実施形態では、内箱50が外箱8で覆われているため、内箱50自体の強度としては、必要最小限の強度しか要求されず、内箱50の側壁52,54を、段ボールやプラスチックなどの比較的安価な材質で構成することができる。外箱8の側壁は、金属枠などにより補強された合板などで構成してあるので、段積み保管や運搬が可能であり、小さいスペースでの保管や運搬が可能となる。
【0051】
また、本実施形態では、二重箱コンテナ2の底部が、パレット6になっているので、フォークリフトにより容易に持ち上げて移動することが可能である。また、内箱50の底部にも、リフト手段が差し込まれる凹所68が形成してあるので、フォークリフトまたはロボットハンドなどにより内箱単独で容易に移動させることができる。
【0052】
さらに、本実施形態では、外箱8が、パレット6に対して着脱または折り畳み自在であるため、内箱50を取り出して空になったコンテナ2は、外箱8をパレット6上に解体または折り畳んで小さくした状態で、運送元へ返却し、再利用することができる。
【0053】
さらにまた、内箱50は、パレット6上に、衝撃吸収特性に優れた立体網状構造体層78を持つ衝撃吸収体72を介して載置されることから、コンテナ2の外部から衝撃が加わった場合でも、内箱50に対して加えられる衝撃は少なく、内箱内に収容された部品が破損することを有効に防止することができる。
【0054】
また、パレット6上にガイドストッパ部材74が装着してあるので、パレット6上に内箱50を載置する際に、内箱50がガイドストッパ部材74により案内されるため、パレット6上の所定位置に内箱50を載置することが容易となる。また、パレット6上に内箱50が載置された後には、パレット6の平面に沿った内箱50の移動は、ガイドストッパ部材74により制限されるので、内箱50が外箱8の内部でがたつくことも有効に防止できる。外箱8の内部での内箱50のがたつきを、さらに有効に防止するために、内箱50は、パレット6の上に形成してある金具76に締め付けバンド(図示省略)を引っかけてパレット上に固定される。
【0055】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0056】
たとえば、上述した実施形態では、二重箱コンテナ2内に収容される部品として、ガラス基板を例示したが、本発明に係るコンテナには、ガラス基板に限らず、特に埃やゴミなどを嫌う壊れ易いその他の部品を収容することができる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明に係る二重箱コンテナによれば、内箱の周囲を外箱で囲む構成を採用していることから、外箱により内箱が保護され、内箱に収容される薄板などの部品に埃やゴミが付着することを有効に防止することができる。特に、内箱を簡易密封構造とすることで、ゴミや埃の付着防止効果をさらに向上させることができる。
【0058】
また、本発明では、二重箱コンテナの底部が、パレットになっているので、フォークリフトなどのリフト手段により容易に持ち上げて移動することが可能である。また、内箱の底部にも、リフト手段が差し込まれる凹所が形成してあるので、フォークリフトまたはロボットハンドなどにより内箱単独で容易に移動させることができる。
【0059】
さらに、本発明では、外箱が、パレットに対して着脱または折り畳み自在であるため、内箱を取り出して空になったコンテナは、外箱がパレット上に解体または折り畳まれて小さくなった状態で、運送元へ返却し、再利用されることができる。
【0060】
さらにまた、本発明では、内箱は、パレット上に、衝撃吸収特性に優れた立体網状構造体を介して載置されることから、コンテナ外部から衝撃が加わった場合でも、内箱に対して加えられる衝撃は少なく、内箱内に収容された部品が破損することを有効に防止することができる。
【0061】
本発明において、パレット上にガイドストッパ部材が装着してある場合には、パレット上に内箱を載置する際に、内箱がガイドストッパ部材により案内されるため、パレット上の所定位置に内箱を載置することが容易となる。また、パレット上に内箱が載置された後には、パレットの平面に沿った内箱の移動は、ガイドストッパ部材により制限されるので、内箱が外箱の内部でがたつくことも有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の1実施形態に係る二重箱コンテナにおける外箱とパレットとの関係を示す分解斜視図である。
【図2】図2は外箱とパレットとの連結構造を示す要部分解斜視図である。
【図3】図3は二重箱コンテナにおける内箱とパレットとの関係を示す分解斜視図である。
【図4】図4は内箱の内部を示す要部斜視図である。
【図5】図5は底板とガイドストッパ部材との関係を示す要部断面図である。
【図6】図6は立体網状構造体の要部断面図である。
【符号の説明】
2… コンテナ
4,68… 凹所
6… パレット
8… 内箱
10,12,52,54… 側壁
50… 内箱
70… 底板
72… 衝撃吸収体72
74… ガイドストッパ部材
78… 立体網状構造体
80… 支持板

Claims (1)

  1. リフト手段が差し込まれる凹所が底部に形成してある内箱と、
    三次元的に交絡してなるフィラメントから成り、前記内箱が載置される底板に衝撃を吸収するように設けられた立体網状構造体と、
    前記内箱が載置される底板および立体網状構造体が載置され、リフト手段が差し込まれる凹所が形成してあるパレットと、
    前記内箱の載置を案内すると共に、パレットの平面に沿った内箱の移動を制限するように、前記パレットの上の四隅部分に装着されるガイドストッパ部材と、
    前記パレット上に、前記内箱を囲むように、且つ、前記パレットに対して着脱または折り畳み自在に装着される外箱とを有する二重箱コンテナ。
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