JP4050780B2 - 太陽電池モジュール用裏面保護シートおよびそれを使用した太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール用裏面保護シートおよびそれを使用した太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池モジュール用裏面保護シートおよびそれを使用した太陽電池モジュールに関するものであり、更に詳しくは、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防湿性、防汚性、光反射性、光拡散性、意匠性、その他等の諸特性に優れ、極めて耐久性に富み、保護能力性に優れた太陽電池モジュール用裏面保護シートおよびそれを使用した太陽電池モジュールに関するものである。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目され、現在、種々の形態からなる太陽電池モジュールが開発され、提案されている。一般に、上記の太陽電池モジュールは、例えば、結晶シリコン太陽電池素子あるいはアモルファスシリコン太陽電池素子等を製造し、そのような太陽電池素子を使用し、表面保護シート層、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、裏面保護シート層等の順に積層し、真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等を利用して製造されている。而して、上記の太陽電池モジュールは、当初、電卓への適用を始めとし、その後、各種の電子機器等に応用され、民生用の利用として、その応用範囲は急速に広まりつつあり、更に、今後、最も重要な課題として、大規模集中型太陽電池発電の実現であるとされている。ところで、上記の太陽電池モジュールを構成する裏面保護シート層としては、現在、強度に優れたプラスチック基材等が、最も一般的に使用され、その他、金属板等も使用されている。而して、一般に、太陽電池モジュールを構成する裏面保護シート層としては、例えば、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、光反射性、光拡散性、意匠性等の諸堅牢性に優れ、特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性に優れ、更に、表面硬度が高く、かつ、表面の汚れ、ゴミ等の蓄積を防止する防汚性に優れ、極めて耐久性に富み、その保護能力性が高いこと、その他等の条件を充足することが必要とされている。
しかしながら、例えば、太陽電池モジュールを構成する裏面保護シート層として、現在、最も一般的に使用されている強度に優れたプラスチック基材等を使用する場合には、可塑性、軽量性、加工性、施工性、低コスト化等に富むものではあるが、強度、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐薬品性、光反射性、光拡散性、耐衝撃性、その他等の諸堅牢性に劣り、特に、防湿性、防汚性、意匠性等に欠けるという問題点がある。また、太陽電池モジュールを構成する裏面保護シート層として、金属板等を使用する場合には、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐薬品性、耐突き刺し性、耐衝撃性、その他等の諸堅牢性に優れ、また、防湿性等にも優れ、更に、表面硬度が硬く、かつ、表面の汚れ、ゴミ等の蓄積を防止する防汚性に優れ、その保護能力性が極めて高い等の利点を有するが、可塑性、軽量性、光反射性、光拡散性、意匠性等に欠け、更に、その加工性、施工性等に劣り、かつ、低コスト化等に欠けるという問題点がある。そこで本発明は、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防湿性、防汚性、光反射性、光拡散性、意匠性、その他等の諸特性に優れ、特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性を著しく向上させ、その長期的な性能劣化を最小限に抑え、極めて耐久性に富み、その保護能力性に優れ、かつ、より低コストで安全な太陽電池モジュールを構成する裏面保護シートおよびそれを使用した太陽電池モジュールを安定的に提供することである。
本発明者は、太陽電池モジュールを構成する裏面保護シート層について、上記のような問題点を解決すべく種々研究の結果、まず、基材フィルムの片面に、酸化珪素、あるいは、酸化アルミニウム等のガラス質からなる透明な、かつ、水蒸気バリア性、酸素バリア性等に優れた無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、上記で無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの両面に、白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムを積層して太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造し、而して、該太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、例えば、ガラス板等からなる通常の太陽電池モジュール用表面保護シート、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その一方のポリプロピレン系樹脂フィルムの面を対向させて順次に積層し、次いで、これらを一体的に真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等を利用して太陽電池モジュールを製造したところ、強度に優れ、更に、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防汚性、その他等の諸特性に優れ、特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性に優れ、また、光反射性、光拡散性、意匠性等についても著しく向上させ、その長期的な性能劣化を最小限に抑え、極めて耐久性に富み、保護能力性に優れ、かつ、より低コストで安全な太陽電池モジュールを安定的に製造し得ることを見出して本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、基材フィルムの片面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの両面に、白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムを積層することを特徴とする太陽電池モジュール用裏面保護シートおよびそれを使用した太陽電池モジュールに関するものである。
本発明は、基材フィルムの片面に、酸化珪素、あるいは、酸化アルミニウム等のガラス質からなる透明な、かつ、水蒸気バリア性、酸素バリア性等に優れた無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、上記で無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの両面に、白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムを積層して太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造し、而して、該太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、例えば、ガラス板等からなる通常の太陽電池モジュール用表面保護シート、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その一方のポリプロピレン系樹脂フィルムの面を対向させて順次に積層し、次いで、これらを一体的に真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等を利用して太陽電池モジュールを製造して、強度に優れ、更に、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防汚性、その他等の諸特性に優れ、特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性に優れ、また、光反射性、光拡散性、意匠性等についても著しく向上させ、その長期的な性能劣化を最小限に抑え、極めて耐久性に富み、保護能力性に優れ、かつ、より低コストで安全な太陽電池モジュールを安定的に製造し得ることができるというものである。
上記の本発明について以下に図面等を用いて更に詳しく説明する。なお、本発明において、シートとは、シート状物ないしフィルム状物のいずれの場合も意味するものであり、また、フィルムとは、フィルム状物ないしシート状物のいずれの場合も意味するものである。本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートおよびそれを使用した太陽電池モジュールについてその層構成を図面等を用いて更に具体的に説明すると、図1、図2および図3は、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートの層構成についてその二三例を例示する概略的断面図であり、図4および図5は、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを構成する無機酸化物の蒸着膜の層構成についてその他の例を例示する概略的断面図であり、図6は、図1に示す本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用して製造した太陽電池モジュールの層構成についてその一例を例示する概略的断面図である。
まず、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートAは、図1に示すように、基材フィルム1の片面に、無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、上記の無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1の両面に、白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルム3、3を積層した構成からなることを基本構造とするものである。本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートについて具体例を例示すると、図2に示すように、基材フィルム1の片面に、無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、上記の無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1の両面に、ラミネート用接着剤層4、4を介して、白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルム3、3をドライラミネートして積層した構成からなる太陽電池モジュール用裏面保護シートA1 を例示することができる。あるいは、本発明においては、図3に示すように、基材フィルム1の片面に、無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、上記の無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1の両面に、アンカーコート剤等による接着助剤層5、5等を介して、白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂組成物を押し出し積層し、白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルム3、3を押し出しラミネートして積層した構成からなる太陽電池モジュール用裏面保護シートA2 を例示することができる。上記の例示は、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートについてその二三例を例示するものであり、本発明は、これによって限定されるものではないことは勿論である。
例えば、上記の図1〜3に示す太陽電池モジュール用裏面保護シートにおいて、無機酸化物の蒸着膜としては、図4、図5等に示すように、後述する物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の2層以上、あるいは、化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の2層以上のように、無機酸化物の蒸着膜2、2の2層以上を重層した多層膜2a(図4)、あるいは、後述する理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜2bと、化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜2cとの異種の無機酸化物の蒸着膜2b、2cの2層以上を重層した複合膜2d(図5)等で構成することができるものである。また、本発明においては、例えば、図示しないが、上記のドライラミネートによる積層と、押し出しラミネートによる積層とを組み合わせて、太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造することもできるものである。
次に、本発明において、上記の本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用して製造した太陽電池モジュールについてその一例を例示すると、上記の図1に示す本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートAを使用した例で説明すると、図6に示すように、まず、通常の太陽電池モジュール用表面保護シート11、充填剤層12、光起電力素子としての太陽電池素子13、充填剤層14、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シート15(A)を、その一方のポリプロピレン系樹脂フィルム3の面を対向させて順次に積層し、次いで、これらを一体として、真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として太陽電池モジュールTを製造することができる。上記の例示は、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用して製造した太陽電池モジュールについてその一例を例示するものであり、本発明はこれにより限定されるものではない。例えば、図示しないが、上記の図2〜図3等に示す太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、上記と同様にして、種々の形態からなる太陽電池モジュールを製造することができ、また、上記の太陽電池モジュールにおいては、太陽光の吸収性、補強、その他等の目的のもとに、更に、他の層を任意に加えて積層することができるものである。
次に、本発明において、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートおよびそれを使用した太陽電池モジュールを構成する材料、製造法等について更に詳しく説明すると、まず、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シート、太陽電池モジュール等を構成する基材フィルムとしては、基本的には、無機酸化物の蒸着膜等を形成する際の蒸着条件、その他等に耐え、かつ、それらの無機酸化物の蒸着膜等との密接着性に優れ、それらの膜の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができ、また、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性等の諸堅牢性に優れ、特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性に優れ、また、表面硬度が高く、かつ、表面の汚れ、ゴミ等の蓄積を防止する防汚性に優れ、極めて耐久性に富み、その保護能力性が高いこと等の特性を有する各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。具体的には、上記の各種の樹脂のフィルムないしシートとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルースチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。本発明においては、上記の樹脂のフィルムないしシートの中でも、フッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、または、ポリエステル系樹脂のフィルムないしシートを使用することが好ましいものである。
更に、本発明においては、上記のような各種の樹脂のフィルムないしシートのなかでも、特に、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエーテルとヘキサフルオロプロピレンコポリマー(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレンまたはプロピレンとのコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマー(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、または、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等のフッ素系樹脂の1種ないしそれ以上からなるフッ素系樹脂のフィルムないしシートを使用することが好ましいものである。なお、本発明においては、上記のフッ素系樹脂のフィルムないしシートの中でも、特に、ポリフッ化ビニル系樹脂(PVF)、または、テトラフルオロエチレンとエチレンまたはプロピレンとのコポリマー(ETFE)からなるフッ素系樹脂のフィルムないしシートが、強度等の観点から特に好ましいものである。
また、本発明においては、上記のような各種の樹脂のフィルムないしシートのなかでも、特に、例えば、シクロペンタジエンおよびその誘導体、ジシクロペンタジエンおよびその誘導体、シクロヘキサジエンおよびその誘導体、ノルボルナジエンおよびその誘導体、その他等の環状ジエンを重合させてなるポリマー、あるいは、該環状ジエンとエチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン、その他等のオレフィン系モノマーの1種ないしそれ以上とを共重合させてなるコポリマー等からなる環状ポリオレフィン系樹脂のフィルムないしシートを使用することが好ましいものである。なお、本発明においては、上記の環状ポリオレフィン系樹脂のフィルムないしシートの中でも、特に、シクロペンタジエンおよびその誘導体、ジシクロペンタジエンおよびその誘導体、または、ノルボルナジエンおよびその誘導体等の環状ジエンのポリマーないしコポリマーからなる環状ポリオレフィン系樹脂のフィルムないしシートが、強度等の観点から好ましいものである。而して、本発明において、上記のようなフッ素系樹脂あるいは環状ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムないしシートを使用することにより、該フッ素系樹脂あるは環状ポリオレフィン系樹脂が有する機械的特性、化学的特性、物理的特性等の優れた特性、具体的には、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐防湿性、耐汚染性、耐薬品性、その他等の諸特性を利用して太陽電池を構成する裏面保護シートとするものであり、これにより、耐久性、保護機能性等を有し、また、そのフレキシブル性や機械的特性、化学的特性等から軽く、かつ、加工性等に優れ、そのハンドリングし易い等の利点を有するものである。
本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシートとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルムないしシートを製造し、更に、要すれば、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。本発明において、各種の樹脂のフィルムないしシートの膜厚としては、12〜300μm位、より好ましくは、20〜200μm位が望ましい。
なお、上記において、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。また、上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、強化繊維、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することがてきる。本発明においては、上記の添加剤の中でも、特に、紫外線吸収剤、あるいは、酸化防止剤等を練れ込み加工してなる各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することが好ましいものである。上記の紫外線吸収剤としては、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、高分子中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものであり、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチレート系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm)あるいは超微粒子酸化亜鉛(0.01〜0.04μm)等の無機系等の紫外線吸収剤の1種ないしそれ以上を使用することができる。また、上記の酸化防止剤としては、高分子の光劣化あるいは熱劣化等を防止するものであり、例えば、フェノール系、アミン系、硫黄系、燐酸系、その他等の酸化防止剤を使用することができる。更に、上記の紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤としては、例えば、ポリマーを構成する主鎖または側鎖に、上記のベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤あるいは上記のフェノール系等の酸化防止剤を化学結合させてなるポリマー型の紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤等も使用することができる。上記の紫外線吸収剤および/または酸化防止剤の含有量としては、その粒子形状、密度等によって異なるが、約0.1〜10重量%位が好ましい。
また、本発明において、各種の樹脂のフィルムないしシートの表面は、無機酸化物の蒸着膜等との密接着性等を向上させるために、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けることができる。本発明において、上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を形成して設けることができる。上記の表面前処理は、別工程で実施してもよく、また、例えば、低温プラズマ処理やグロー放電処理等による表面前処理の場合は、上記の無機酸化物の蒸着膜等を形成する前処理としてインライン処理により前処理で行うことができ、このような場合は、その製造コストを低減することができるという利点がある。上記の表面前処理は、各種の樹脂のフィルムないしシートと無機酸化物の蒸着膜等との密接着性を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密接着性を改善する方法として、その他、例えば、各種の樹脂のフィルムないしシートの表面に、予め、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。上記の前処理のコート剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
なお、上記の樹脂組成物には、密接着性を向上させるために、エポキシ系のシランカップリング剤、あるいは、基材フィルムのブロッキング等を防止するために、ブロッキング防止剤、その他等の添加剤を任意に添加することができる。その添加量は、0.1重量%〜10重量%位が好ましいものである。また、本発明において、上記の樹脂組成物中には、耐光性等を向上させるために、例えば、紫外線吸収剤および/または酸化防止剤を添加することができる。上記の紫外線吸収剤としては、前述の太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、高分子中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものであり、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチレート系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm)あるいは超微粒子酸化亜鉛(0.01〜0.04μm)等の無機系等の紫外線吸収剤の1種ないしそれ以上を使用することができる。また、上記の酸化防止剤としては、前述の高分子の光劣化あるいは熱劣化等を防止するものであり、例えば、フェノール系、アミン系、硫黄系、燐酸系、その他等の酸化防止剤を使用することができる。更に、上記の紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤としては、例えば、ポリマーを構成する主鎖または側鎖に、上記のベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤あるいは上記のフェノール系等の酸化防止剤を化学結合させてなるポリマー型の紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤等も使用することができる。上記の紫外線吸収剤および/または酸化防止剤の含有量としては、その粒子形状、密度等によって異なるが、約0.1〜10重量%位が好ましい。また、上記において、コート剤層の形成法としては、例えば、溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等のコート剤を使用し、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法を用いてコートすることができ、そのコート時期としては、フッ素系樹脂シートの製膜後、あるいは、2軸延伸処理後の後工程として、あるいは、製膜、あるいは、2軸延伸処理のインライン処理等で実施することができる。
更にまた、本発明においては、上記の基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の蒸着膜を製膜化する際の蒸着条件等に対し該基材フィルムを保護し、例えば、その黄変、劣化ないし収縮、あるいは、フィルム表層ないし内層等における凝集破壊等を抑制し、更に、基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の蒸着膜が良好に製膜化され、かつ、該基材フィルムと無機酸化物の蒸着膜との密接着性等を向上させるために、予め、基材フィルムの一方の面に、表面前処理層として、例えば、後述するプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)、あるいは、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)を用いて、無機酸化物の蒸着薄膜を形成することにより、耐蒸着保護膜を設けることができる。なお、本発明において、上記の酸化珪素等からなる耐蒸着保護膜の膜厚としては、薄膜であり、更に、水蒸気ガス、酸素ガス等に対するバリア性を有しない非バリア性膜で十分であり、具体的には、膜厚150Å未満であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、10〜100Å位、好ましくは、20〜80Å位、更に、より好ましくは、30〜60Å位が望ましい。而して、上記において、150Å以上、具体的には、100Å、更に、80Å、更には、60Åより厚くなると、良好な耐蒸着保護膜を形成することが困難になるので好ましくなく、また、10Å、更に、30Å、更には、60Å未満であると、耐蒸着保護層としての機能を喪失し、その効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
次に、本発明において、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シート、太陽電池モジュール等を構成する無機酸化物の蒸着膜について説明すると、かかる無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、物理気相成長法、または、化学気相成長法、あるいは、その両者を併用して、無機酸化物の蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができるものである。上記の物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜について更に詳しく説明すると、かかる物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)を用いて無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。本発明において、具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して基材フィルムの上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて基材フィルムの上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビーム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
本発明において、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成する方法について、その具体例を挙げると、図7は、巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。図7に示すように、巻き取り式真空蒸着装置21の真空チャンバー22の中で、巻き出しロール23から繰り出す基材フィルム1は、ガイドロール24、25を介して、冷却したコーティングドラム26に案内される。而して、上記の冷却したコーティングドラム26上に案内された基材フィルム1の上に、るつぼ27で熱せられた蒸着源28、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口29より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク30、30を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を成膜化し、次いで、上記において、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成した基材フィルム1を、ガイドロール25′、24′を介して送り出し、巻き取りロール31に巻き取ることによって、本発明にかかる物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。なお、本発明においては、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着膜の上に、更に、無機酸化物の蒸着膜を形成するか、あるいは、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
上記において、無機酸化物の蒸着膜としては、基本的に金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。而して、好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。而して、上記の金属の酸化物の蒸着膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlOX 、MgOX 等のようにMOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。本発明において、一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。本発明において、上記のような無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する金属、または金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜4000Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。また、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、使用する金属、または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
次にまた、本発明において、上記の化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜について更に説明すると、かかる化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いて無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。本発明においては、具体的には、基材フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスを原料とし、キャリヤーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができ、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
具体的に、上記の低温プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の形成法についてその一例を例示して説明すると、図8は、上記のプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の形成法についてその概要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。上記の図8に示すように、本発明においては、プラズマ化学気相成長装置41の真空チャンバー42内に配置された巻き出しロール43から基材フィルム1を繰り出し、更に、該基材フィルム1を、補助ロール44を介して所定の速度で冷却・電極ドラム45周面上に搬送する。而して、本発明においては、ガス供給装置46、47および、原料揮発供給装置48等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガス、その他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル49を通して真空チャンバー42内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム45周面上に搬送された基材フィルム1の上に、グロー放電プラズマ50によってプラズマを発生させ、これを照射して、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成し、製膜化する。本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム45は、チャンバー外に配置されている電源51から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム45の近傍には、マグネット52を配置してプラズマの発生が促進されており、次いで、上記で酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成した基材フィルム1は、補助ロール53を介して巻き取りロール54に巻き取って、本発明にかかるプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を製造することができるものである。なお、図中、55は、真空ポンプを表す。上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。図示しないが、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、無機酸化物の蒸着膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。また、本発明においては、上記のような低温プラズマ化学気相成長装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着膜の上に、更に、無機酸化物の蒸着膜を形成するか、あるいは、上記のような低温プラズマ化学気相成長装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
上記において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスとしては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された蒸着膜の特性等から、特に、好ましい原料である。また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
本発明において、上記で形成される酸化珪素の蒸着膜は、有機珪素化合物等のモノマーガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物が基材フィルムの上に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成することができ、通常、一般式SiOX (ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の蒸着膜である。而して、上記の酸化珪素の蒸着膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式SiOX (ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましいものである。上記において、Xの値は、モノマーガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギー等により変化するが、一般的に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。また、上記の酸化珪素の蒸着膜は、珪素(Si)と酸素(O)を必須構成元素として有し、更に、炭素(C)と水素(H)のいずれが一方、または、その両者の元素を微量構成元素として含有する酸化珪素の蒸着膜からなり、かつ、その膜厚が、50Å〜4000Å位、好ましくは、100Å〜1000Åの範囲であり、更に、上記の必須構成元素と微量構成元素の構成比率が、膜厚方向において連続的に変化しているものである。更に、上記の酸化珪素の蒸着膜は、炭素からなる化合物を含有する場合には、その膜厚の深さ方向において炭素の含有量が減少していることを特徴とするものである。而して、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜について、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析する方法を利用して、酸化珪素の蒸着膜の元素分析を行うことより、上記のような物性を確認することができる。また、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚としては、膜厚50Å〜4000Å位であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、100〜1000Å位が望ましく、而して、上記において、1000Å、更には、4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、100Å、更には、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。上記のおいて、その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメーター法で測定することができる。また、上記において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマーガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
ところで、本発明において、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シート、太陽電池モジュール等を構成する無機酸化物の蒸着膜として、例えば、物理気相成長法と化学気相成長法の両者を併用して異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜を形成して使用することもできるものである。而して、上記の異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜としては、まず、基材フィルムの上に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着膜を設け、次いで、該無機酸化物の蒸着膜の上に、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着膜を構成することが望ましいものである。勿論、本発明においては、上記とは逆くに、基材フィルムの上に、先に、物理気相成長法により、無機酸化物の蒸着膜を設け、次に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着膜を構成することもできるものである。
次に、本発明において、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シート、太陽電池モジュール等を構成する白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムについて説明すると、かかるポリプロピレン系樹脂フィルムとしては、まず、ポリプロピレン系樹脂を主成分とし、これに、光反射剤あるいは光拡散剤としての白色化剤および紫外線吸収剤の1種ないし2種以上を添加し、更に、必要ならば、可塑剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、架橋剤、硬化剤、充填剤、滑剤、強化剤、補強剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料・染料等の着色剤、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加し、十分に混練してポリプロピレン系樹脂組成物を調製する。而して、本発明においては、上記で調製したポリプロピレン系樹脂組成物を使用し、例えば、押し出し機、Tダイ押出機、キャスト成形機、インフレーション成形機等を使用し、押し出し法、Tダイ法、キャスト成形法、インフレーション法、その他等のフィルム成形法により、ポリプロピレン系樹脂のフィルムないしシートを製造し、更に、要すれば、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸して、白色化剤と紫外線吸収剤とを練り込み加工してなる耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムを製造するものである。
あるいは、本発明においては、白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムとしては、まず、通常の塗料用ないしインキ用ビヒクルを主成分とし、これに、光反射剤あるいは光拡散剤としての白色化剤および紫外線吸収剤の1種ないし2種以上を添加し、更に、必要ならば、可塑剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、架橋剤、硬化剤、充填剤、滑剤、強化剤、補強剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料・染料等の着色剤、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加し、十分に混練して塗料ないしインキ組成物を調製する。而して、本発明においては、上記で調製した塗料ないしインキ組成物を使用し、これを、透明な耐熱性を有するポリプロピレン系樹脂フィルムの表面に、通常のコーティング法あるいは印刷法等を用いて塗布ないし印刷し、その塗布膜あるいは印刷膜を形成して、その表面に白色化剤と紫外線吸収剤とを含む塗布膜あるいは印刷膜を有する耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムを製造するものである。なお、上記において、紫外線吸収剤は、予め、透明な耐熱性を有するポリプロピレン系樹脂フィルムの中に練り込み加工してある場合には、必ずしも、塗料ないしインキ組成物中に添加しなくてもよいものである。
次いで、本発明においては、上記で製造した白色化剤と紫外線吸収剤とを練り込み加工してなる耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルム、あるいは、その表面に白色化剤と紫外線吸収剤とを含む塗布膜あるいは印刷膜を有する耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムを等からなる白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムを使用し、これを、前述の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの両面に、例えば、ラミネート用接着剤層等を介して、ドライラミネートして積層することにより、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造することができるものである。あるいは、本発明においては、上記で白色化剤と紫外線吸収剤とを練り込み加工してなる耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムを製造するために調製したポリプロピレン系樹脂組成物を使用し、これを押し出し機等を使用して溶融押し出しし、前述の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの両面に、例えば、アンカーコート剤等による接着助剤層等を介して、白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムを溶融押し出し積層することにより、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造することができるものである。上記において、白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムの厚さとしては、10μm〜300μm位、好ましくは、15μm〜150μm位が望ましいものである。
上記において、ポリプロピレン系樹脂としては、石油系炭化水素の熱分解によりエチレンを製造する際に生成する副生成物であるプロピレンの単独重合体、あるいは、プロピレンとα−オレフィン、その他等の他のモノマーとの共重合体を使用することができる。而して、本発明において、ポリプロピレン系樹脂としては、具体的には、プロピレンを重合する際に、カチオン重合触媒等を用いる場合には、低分子量のポリマーが得られるが、重合する際に、チーグラー・ナッタ触媒を用いる場合には、高分子量、高結晶度のアイソタクチック重合体を得ることができ、このアイソタクチック重合体を使用するものである。上記のアイソタクチック重合体においては、その融点は、164℃〜170℃位であり、比重は、0.90〜0.91程度であり、分子量は、10万〜20万程度であり、その結晶性により性質は大きく支配されるが、アイソタクチックの高いポリマーは、引っ張り強さ、衝撃強度に優れ、耐熱性、耐屈曲疲労強度を良好であり、かつ、加工性は極めて良好なものである。なお、本発明において、白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムとしては、ドライラミネートによる積層を行う場合には、その表面に、予め、コロナ放電処理、オゾン処理、あるいは、プラズマ放電処理等の表面改質前処理を任意に施すことができるものである。また、本発明においては、上記のポリプロピレン系樹脂の他に、必要ならば、更に、例えば、ポリエチレン系樹脂、その他等のポリプロピレン系樹脂と相溶性を有する樹脂を任意に添加して改質することができるものである。
また、上記において、白色化剤としては、太陽電池モジュールにおいて透過した太陽光を光反射あるいは光拡散させて再利用するために光反射性、光拡散性等を付与することを目的とし添加するものであり、例えば、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性けい酸鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポン、三酸化アンチモン、アナタス形酸化チタン、ルチル形酸化チタン、その他等の白色顔料の1種ないし2種以上を使用することができる。その使用量としては、ポリプロピレン系樹脂組成物において、0.1重量%〜30重量%位、好ましくは、0.5重量%〜10重量%位添加して使用することが望ましいものである。
更に、上記において、紫外線吸収剤としては、前述の太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、高分子中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものであり、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチレート系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm)あるいは超微粒子酸化亜鉛(0.01〜0.04μm)等の無機系等の紫外線吸収剤の1種ないしそれ以上を使用することができる。その使用量としては、ポリプロピレン系樹脂組成物において、0.1重量%〜10重量%位、好ましくは、0.3重量%〜10重量%位添加して使用することが望ましいものである。
次にまた、上記のドライラミネート積層法において、ラミネート用接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンーブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤、その他等の接着剤を使用することがてきる。上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。而して、上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法、あるいは、印刷法等によって施すことができ、そのコーティング量としては、0.1〜10g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
なお、上記の接着剤中には、紫外線劣化等を防止するために、前述の紫外線吸収剤および/または酸化防止剤を添加することができる。上記の紫外線吸収剤としては、前述の太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギーへと変換し、高分子中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものであり、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチレート系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm)あるいは超微粒子酸化亜鉛(0.01〜0.04μm)等の無機系等の紫外線吸収剤の1種ないしそれ以上を使用することができる。また、上記の酸化防止剤としては、前述の高分子の光劣化あるいは熱劣化等を防止するものであり、例えば、フェノール系、アミン系、硫黄系、燐酸系、その他等の酸化防止剤を使用することができる。更に、上記の紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤としては、例えば、ポリマーを構成する主鎖または側鎖に、上記のベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤あるいは上記のフェノール系等の酸化防止剤を化学結合させてなるポリマー型の紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤等も使用することができる。上記の紫外線吸収剤および/または酸化防止剤の含有量としては、その粒子形状、密度等によって異なるが、約0.1〜10重量%位が好ましい。
また、上記の溶融押し出し積層法において、より強固な接着強度を得るために、例えば、アンカーコート剤等の接着助剤等を使用し、そのアンカーコート剤層を介して、積層することができる。上記のアンカーコート剤としては、例えば、アルキルチタネート等の有機チタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリプタジエン系、その他等の水性ないし油性の各種のアンカーコート剤を使用することができる。上記のアンカーコート剤は、例えば、ロールコート、グラビアロールコート、キスコート、その他等のコーティング法を用いてコーティングすることができ、そのコーティング量としては、0.1〜5g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
なお、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムと白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムとの密接着性を改善するために、更に、例えば、予め、プライマーコート剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。上記のプライマーコート剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。なお、本発明においては、例えば、ロールコート、グラビアロールコート、キスコート、その他等のコーティング法を用いてコーティングしてプライマーコート剤層を形成することができ、而して、そのコーティング量としては、0.1〜5g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
次に、本発明において、太陽電池モジュールを構成する通常の太陽電池モジュール用表面保護シートについて説明すると、かかる表面保護シートとしては、太陽光の透過性、絶縁性等を有し、更に、耐候性、耐熱性、耐光性、耐水性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防湿性、防汚性、その他等の諸特性を有し、物理的あるいは化学的強度性、強靱性等に優れ、極めて耐久性に富み、更に、光起電力素子としての太陽電池素子の保護とういことから、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。上記の表面保護シートとしては、具体的には、例えば、公知のガラス板等は勿論のこと、更に、例えば、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂(各種のナイロン)、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。上記の樹脂のフィルムないしシートとしては、例えば、2軸延伸した樹脂のフィルムないしシートも使用することができる。また、上記の樹脂のフィルムないしシートにおいて、その膜厚としては、12〜200μm位、より好ましくは、25〜150μm位が望ましい。
次に、本発明において、太陽電池モジュールを構成する太陽電池モジュール用表面保護シートの下に積層する充填剤層について説明すると、かかる充填剤層としては、太陽光が入射し、これを透過して吸収することから透明性を有することが必要であり、また、表面保護シートとの接着性を有することも必要であり、更に、光起電力素子としての太陽電池素子の表面の平滑性を保持する機能を果たすために熱可塑性を有すること、更には、光起電力素子としての太陽電池素子の保護とういことから、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。具体的には、上記の充填剤層としては、例えば、フッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸、または、メタクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレンフィン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、その他等の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。なお、本発明においては、上記の充填剤層を構成する樹脂には、耐熱性、耐光性、耐水性等の耐候性等を向上させるために、その透明性を損なわない範囲で、例えば、架橋剤、熱酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光酸化防止剤、その他等の添加剤を任意に添加し、混合することができるものである。而して、本発明においては、太陽光の入射側の充填剤としては、耐光性、耐熱性、耐水性等の耐候性を考慮すると、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂が望ましい素材である。なお、上記の充填剤層の厚さとしては、200〜1000μm位、好ましくは、350〜600μm位が望ましい。
次に、本発明において、太陽電池モジュールを構成する光起電力素子としての太陽電池素子について説明すると、かかる太陽電池素子としては、従来公知のもの、例えば、単結晶シリコン型太陽電池素子、多結晶シリコン型太陽電池素子等の結晶シリコン太陽電子素子、シングル接合型あるいはタンデム構造型等からなるアモルファスシリコン太陽電池素子、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII −V 族化合物半導体太陽電子素子、カドミウムテルル(CdTe)や銅インジウムセレナイド(CuInSe2 )等のII−VI族化合物半導体太陽電子素子、その他等を使用することができる。更に、薄膜多結晶性シリコン太陽電池素子、薄膜微結晶性シリコン太陽電池素子、薄膜結晶シリコン太陽電池素子とアモルファスシリコン太陽電池素子とのハイブリット素子等も使用することができる。而して、本発明において、太陽電池素子は、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、金属基板、その他等の基板の上に、pn接合構造等の結晶シリコン、p−i−n接合構造等のアモルファスシリコン、化合物半導体等の起電力部分が形成されて太陽電池素子を構成するものである。
次に、本発明において、太陽電池モジュールを構成する光起電力素子の下に積層する充填剤層について説明すると、かかる充填剤層としては、上記の太陽電池モジュール用表面保護シートの下に積層する充填剤層と同様に、裏面保護シートとの接着性を有することも必要であり、更に、光起電力素子としての太陽電池素子の裏面の平滑性を保持する機能を果たすために熱可塑性を有すること、更には、光起電力素子としての太陽電池素子の保護とういことから、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。しかし、上記の太陽電池モジュールを構成する光起電力素子の下に積層する充填剤層としては、上記の太陽電池モジュール用表面保護シートの下に積層する充填剤層と異なり、必ずしも、透明性を有することを必要としないものである。具体的には、上記の充填剤層としては、前述の太陽電池モジュール用表面保護シートの下に積層する充填剤層と同様に、例えば、フッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸、または、メタクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレンフィン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、その他等の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。なお、本発明においては、上記の充填剤層を構成する樹脂には、耐熱性、耐光性、耐水性等の耐候性等を向上させるために、その透明性を損なわない範囲で、例えば、架橋剤、熱酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光酸化防止剤、その他等の添加剤を任意に添加し、混合することができるものである。なお、上記の充填剤層の厚さとしては、200〜1000μm位、より好ましくは、350〜600μm位が望ましい。
なお、本発明において、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造するに際しては、その強度、耐候性、耐スクラッチ性、その他等の諸堅牢性を向上させるために、その他の素材、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシートから任意に選択して使用することができる。本発明において、上記のフィルムないしシートは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。更に、本発明においては、フィルムないしシートとしては、押し出し成膜、インフレーション成膜、コーティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
次に、本発明において、上記のような材料を使用して太陽電池モジュールを製造する方法について説明すると、かかる製造法としては、公知の方法、例えば、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、例えば、上記の太陽電池モジュール用表面保護シート、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、上記の本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その一方のポリプロピレン系樹脂フィルムの面を対向させて、順次に積層し、更に、必要ならば、各層間に、その他の素材を任意に積層し、次いで、これらを、真空吸引等により一体化して加熱圧着するラミネーション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して、太陽電池モジュールを製造することができる。上記において、必要ならば、各層間の接着性等を高めるために、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、その他等の樹脂をビヒクルの主成分とする加熱溶融型接着剤、溶剤型接着剤、光硬化型接着剤、その他等を使用することができる。
また、上記の積層において、各積層対向面には、密接着性を向上させるために、必要に応じて、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施すことができる。更に、上記の積層においては、各積層対向面に、予め、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、接着剤層、あるいは、アンカーコート剤層等を任意に形成して、表面前処理を行うこともできる。上記の前処理のコート剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。また、上記において、コート剤層の形成法としては、例えば、溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等のコート剤を使用し、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法を用いてコートすることができる。
更にまた、本発明においては、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートとして使用し、その太陽電池モジュール用裏面保護シートのいずれか一方のポリプロピレン系樹脂フィルムの面に、上記の充填剤層を積層して、予め、太陽電池モジュール用裏面保護シートと充填剤層とが積層した積層体を製造し、しかる後、上記の積層体を構成する充填剤層の面に、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、太陽電池モジュール用表面保護シートを順次に積層して、更に、必要ならば、その他の素材を任意に積層し、次いで、それらを真空吸引等により一体化して加熱圧着するラミネーション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して、太陽電池モジュールを製造することができる。
以下に本発明について実施例を挙げて更に具体的に本発明を説明する。
実施例1
(1).厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、該2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、下記の条件で厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:10:10(単位:slm)
真空チャンバー内の真空度:5.0×10−6mbar
蒸着チャンバー内の真空度:6.0×10−2mbar
冷却・電極ドラム供給電力:20kW
フィルムの搬送速度:80m/分
次に、上記で膜厚800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、プラズマ出力、1500W、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=19:1からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10−5Toor、処理速度420m/minで酸素/アルゴン混合ガスによるプラズマ処理を行って、蒸着膜面の表面張力を35dyneより60dyneに向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(2).次に、上記で形成した膜厚800Åの酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に、ポリウレタン系樹脂の初期縮合物に、エポキシ系のシランカップリング剤(8.0重量%)とブロッキング防止剤(1.0重量%)を添加し、十分に混練してなるプライマー樹脂組成物を使用し、これをグラビアロールコート法により、膜厚0.5g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてプライマー層を形成した。更に、上記で形成したプライマー層の面に、紫外線吸収剤として、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2.0重量%)を含有する2液硬化型のウレタン系ラミネート用接着剤を使用し、これを、上記と同様に、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着剤層を形成した。
(3).他方、アイソタクチックポリプロピレン樹脂に、白色化剤としての酸化チタン(8重量%)と紫外線吸収剤としての超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm、3重量%)とを添加し、その他、所要の添加剤を添加し、十分に混練してポリプロピレン樹脂組成物を調製し、次いで、該ポリプロピレン樹脂組成物を押出機で押し出して、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを製造し、更に、該無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの片面に、常法に従って、コロナ放電処理を施してコロナ処理面を形成した。
(4).次に、上記の(2)で形成したラミネート用接着剤層面に、同じく、上記の(3)で形成したポリプロピレン樹脂フィルムのコロナ処理面を対向させ、その両者をドライラミネート積層した。次いで、上記でドライラミネート積層した酸化珪素の蒸着膜を有する2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの面に、上記と同様にして、紫外線吸収剤として、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2.0重量%)を含有する2液硬化型のウレタン系ラミネート用接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着剤層を形成した。更に、上記で形成したラミネート用接着剤層面に、上記の(3)で形成した別のポリプロピレン樹脂フィルムのコロナ処理面を対向させ、上記と同様にして、その両者をドライラミネート積層して、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
(5).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その一方のポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
実施例2〜6
上記の実施例1において、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する代わりに、下記に示す基材フィルムを使用し、その他は、上記の実施例1と全く同様に行って、上記の実施例1と同様に、同様な本発明にかかる裏面保護シート、および、太陽電池モジュールを製造することができた。
実施例2.厚さ50μmのポリフッ化ビニル系樹脂シート(PVF)
実施例3.厚さ100μmのポリジシクロペンタジエン樹脂シート
実施例4.厚さ50μmのポリカーボネート樹脂シート
実施例5.厚さ50μmのポリアクリル系樹脂シート
実施例6.厚さ20μmのナイロン6フィルム
実施例7
厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを使用し、これを巻き取り式真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、これをコーティングドラムの上に繰り出して、下記の条件で、アルミニウムを蒸着源に用い、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による反応真空蒸着法により、上記の2軸延伸ナイロン6フィルムのコロナ処理面に、膜厚800Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着源:アルミニウム真空チャンバー内の真空度:7.5×10−6mbar
蒸着チャンバー内の真空度:2.1×10−6mbar
EB出力:40KWフィルム搬送速度:600m/分
次に、上記で膜厚800Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、プラズマ出力、1500W、酸素ガス(O):アルゴンガス(Ar)=19:1からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10−5Toor、処理速度420m/minで酸素/アルゴン混合ガスによるプラズマ処理を行ってプラズマ処理面を形成した。
(2).次に、上記で形成した膜厚800Åの酸化アルミニウムの蒸着膜のプラズマ処理面に、ポリウレタン系樹脂の初期縮合物に、エポキシ系のシランカップリング剤(8.0重量%)とブロッキング防止剤(1.0重量%)を添加し、十分に混練してなるプライマー樹脂組成物を使用し、これをグラビアロールコート法により、膜厚0.5g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてプライマー層を形成した。更に、上記で形成したプライマー層の面に、紫外線吸収剤として、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2.0重量%)を含有する2液硬化型のウレタン系ラミネート用接着剤を使用し、これを、上記と同様に、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着剤層を形成した。
(3).他方、アイソタクチックポリプロピレン樹脂に、白色化剤としての酸化チタン(8重量%)と紫外線吸収剤としての超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm、3重量%)とを添加し、その他、所要の添加剤を添加し、十分に混練してポリプロピレン樹脂組成物を調製し、次いで、該ポリプロピレン樹脂組成物を押出機で押し出して、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを製造し、更に、該無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの片面に、常法に従って、コロナ放電処理を施してコロナ処理面を形成した。
(4).次に、上記の(2)で形成したラミネート用接着剤層面に、同じく、上記の(3)で形成したポリプロピレン樹脂フィルムのコロナ処理面を対向させ、その両者をドライラミネート積層した。次いで、上記でドライラミネート積層した酸化アルミニウムの蒸着膜を有する2軸延伸ナイロン6フィルムの2軸延伸ナイロン6フィルムの面に、上記と同様にして、紫外線吸収剤として、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2.0重量%)を含有する2液硬化型のウレタン系ラミネート用接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着剤層を形成した。更に、上記で形成したラミネート用接着剤層面に、上記の(3)で形成した別のポリプロピレン樹脂フィルムのコロナ処理面を対向させ、上記と同様にして、その両者をドライラミネート積層して、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
(5).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その一方のポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
実施例8〜12
上記の実施例7において、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを使用する代わりに、下記に示す基材フィルムを使用し、その他は、上記の実施例1と全く同様に行って、上記の実施例1と同様に、同様な本発明にかかる裏面保護シート、および、太陽電池モジュールを製造することができた。
実施例8.厚さ50μmのポリフッ化ビニル系樹脂シート(PVF)
実施例9.厚さ100μmのポリジシクロペンタジエン樹脂シート
実施例10.厚さ50μmのポリカーボネート樹脂シート
実施例11.厚さ50μmのポリアクリル系樹脂シート
実施例12.厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
実施例13
(1).厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これをプラズマ化学蒸着装置の送り出しロールに装着し、該2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、下記の条件で膜厚50Åの酸化珪素の蒸着薄膜を形成して、耐蒸着保護膜を設けた。
(蒸着条件)
反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=5:5:5(単位:slm)
真空チャンバー内の真空度:7.0×10−6mbar
蒸着チャンバー内の真空度:3.8×10−2mbar
冷却・電極ドラム供給電力:15kW
シートの搬送速度:100m/分
次に、上記で形成した耐蒸着保護膜の上に、上記の実施例1と同様にして、膜厚800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成し、更に、該酸化珪素の蒸着膜面に、プラズマ処理面を形成した。
(2).以下、上記の実施例1と全く同様に行って、上記の実施例1と同様に、同様な本発明にかかる裏面保護シート、および、太陽電池モジュールを製造することができた。
実施例14
(1).厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを使用し、これを巻き取り式真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、コーティングドラムの上に繰り出して、下記の条件で、アルミニウムを蒸着源に用い、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による反応真空蒸着法により、上記の2軸延伸ナイロンフィルムのコロナ処理面に、膜厚50Åの酸化アルミニウムの蒸着薄膜を形成して、耐蒸着保護膜を設けた。
(蒸着条件)
蒸着源:アルミニウム真空チャンバー内の真空度:7.5×10−6mbar
蒸着チャンバー内の真空度:2.1×10−6mbar
EB出力:20KW
フィルム搬送速度:500m/分
更に、上記で形成した耐蒸着保護膜の上に、上記の実施例7と同様にして、膜厚800Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、更に、該酸化アルミニウムの蒸着膜面に、プラズマ処理面を形成した。
(2).以下、上記の実施例7と全く同様に行って、上記の実施例7と同様に、同様な本発明にかかる裏面保護シート、および、太陽電池モジュールを製造することができた。
実施例15
(1).厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、そのコロナ処理面に、1×10−4Torrの真空下、高周波誘電加熱方式で純度99.9%の一酸化珪素(SiO)を加熱蒸発させ、500Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。次に、上記で膜厚500Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、出力、10kW、処理速度100m/minでコロナ放電処理を行って、蒸着膜面の表面張力を35dyneより60dyneに向上させてたコロナ処理面を形成した。
(2).以下、上記の実施例1と全く同様に行って、上記の実施例1と同様に、同様な本発明にかかる裏面保護シート、および、太陽電池モジュールを製造することができた。
実施例16
(1).厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、上記の実施例1と同様にして、膜厚500Åの酸化珪素の蒸着膜を形成し、更に、該酸化珪素の蒸着膜面に、プラズマ処理面を形成した。次に、上記で形成した酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面の上に、上記の実施例7と同様にして、膜厚500Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、更に、該酸化アルミニウムの蒸着膜面に、プラズマ処理面を形成した。
(2).以下、上記の実施例7と全く同様に行って、上記の実施例7と同様に、同様な本発明にかかる裏面保護シート、および、太陽電池モジュールを製造することができた。
実施例17
(1).厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、該2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、下記の条件で厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:10:10(単位:slm)
真空チャンバー内の真空度:5.0×10−6mbar
蒸着チャンバー内の真空度:6.0×10−2mbar
冷却・電極ドラム供給電力:20kW
フィルムの搬送速度:80m/分
次に、上記で膜厚800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、プラズマ出力、1500W、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=19:1からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10−5Torr、処理速度420m/minで酸素/アルゴン混合ガスによるプラズマ処理を行って、蒸着膜面の表面張力を35dyneより60dyneに向上させたプラズマ処理面を形成した。
(2).次に、上記で形成した膜厚800Åの酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面に、2液硬化型のポリウレタン系樹脂の初期縮合物に、エポキシ系のシランカップリング剤(8.0重量%)とブロッキング防止剤(1.0重量%)を添加し、十分に混練してなるプライマー樹脂組成物を使用し、これをグラビアロールコート法により、膜厚0.5g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてプライマー層を形成した。更に、上記で形成したプライマー層の面に、2液硬化型のウレタン系アンカーコート剤を使用し、これを、上記と同様に、グラビアロールコート法により、膜厚0.1g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてアンカーコート剤層を形成した。
(3).他方、アイソタクチックポリプロピレン樹脂に、白色化剤としての酸化チタン(25重量%)を含むポリエチレン樹脂製マスターバッチ(15重量%)と紫外線吸収剤としての超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm、5重量%)とを添加し、その他、所要の添加剤を添加し、十分に混練してポリプロピレン樹脂組成物を調製した。
(4).次に、上記の(2)で形成したアンカーコート剤層面に、上記の(3)で形成したポリプロピレン樹脂組成物を使用し、これを押出機を用いて溶融押し出しして、厚さ60μmのポリプロピレンフィルムを押し出しラミネート積層した。次いで、上記で押し出しラミネート積層した酸化珪素の蒸着膜を有する2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの面に、上記と同様にして、2液硬化型のウレタン系アンカーコート剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚0.1g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてアンカーコート剤層を形成した。更に、上記で形成したアンカーコート剤層面に、上記の(3)で形成したポリプロピレン樹脂組成物を使用し、上記と同様にして、これを押出機を用いて溶融押し出しして、厚さ60μmのポリプロピレンフィルムを押し出しラミネート積層して、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
(5).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その一方のポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
実施例18
厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを使用し、これを巻き取り式真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、これをコーティングドラムの上に繰り出して、下記の条件で、アルミニウムを蒸着源に用い、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による反応真空蒸着法により、上記の2軸延伸ナイロン6フィルムのコロナ処理面に、膜厚800Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着源:アルミニウム真空チャンバー内の真空度:7.5×10−6mbar
蒸着チャンバー内の真空度:2.1×10−6mbar
EB出力:40KWフィルム搬送速度:600m/分
次に、上記で膜厚800Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、プラズマ出力、1500W、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=19:1からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10−5Torr、処理速度420m/minで酸素/アルゴン混合ガスによるプラズマ処理を行ってプラズマ処理面を形成した。
(2).次に、上記で形成した膜厚800Åの酸化アルミニウムの蒸着膜のプラズマ処理面に、2液硬化型のポリウレタン系樹脂の初期縮合物に、エポキシ系のシランカップリング剤(8.0重量%)とブロッキング防止剤(1.0重量%)を添加し、十分に混練してなるプライマー樹脂組成物を使用し、これをグラビアロールコート法により、膜厚0.5g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてプライマー層を形成した。更に、上記で形成したプライマー層の面に、2液硬化型のウレタン系アンカーコート剤を使用し、これを、上記と同様に、グラビアロールコート法により、膜厚0.1g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてアンカーコート剤層を形成した。
(3).他方、アイソタクチックポリプロピレン樹脂に、白色化剤としての酸化チタン(25重量%)を含むポリエチレン樹脂製マスターバッチ(15重量%)と紫外線吸収剤としての超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm、5重量%)とを添加し、その他、所要の添加剤を添加し、十分に混練してポリプロピレン樹脂組成物を調製した。
(4).次に、上記の(2)で形成したアンカーコート剤層面に、上記の(3)で形成したポリプロピレン樹脂組成物を使用し、これを押出機を用いて溶融押し出しして、厚さ60μmのポリプロピレンフィルムを押し出しラミネート積層した。次いで、上記で押し出しラミネート積層した酸化アルミニウムの蒸着膜を有する2軸延伸ナイロン6フィルムの2軸延伸ナイロン6フィルムの面に、上記と同様にして、2液硬化型のウレタン系アンカーコート剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚0.1g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてアンカーコート剤層を形成した。更に、上記で形成したアンカーコート剤層面に、上記の(3)で形成したポリプロピレン樹脂組成物を使用し、上記と同様にして、これを押出機を用いて溶融押し出しして、厚さ60μmのポリプロピレンフィルムを押し出しラミネート積層して、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
(5).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その一方のポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
実施例19
(1).厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これをプラズマ化学蒸着装置の送り出しロールに装着し、該2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、下記の条件で膜厚50Åの酸化珪素の蒸着薄膜を形成して、耐蒸着保護膜を設けた。
(蒸着条件)
反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=5:5:5(単位:slm)
真空チャンバー内の真空度:7.0×10−6mbar
蒸着チャンバー内の真空度:3.8×10−2mbar
冷却・電極ドラム供給電力:15kW
シートの搬送速度:100m/分
次に、上記で形成した耐蒸着保護膜の上に、上記の実施例17と同様にして、膜厚800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成し、更に、該酸化珪素の蒸着膜面に、プラズマ処理面を形成した。
(2).以下、上記の実施例17と全く同様に行って、上記の実施例17と同様に、同様な本発明にかかる裏面保護シート、および、太陽電池モジュールを製造することができた。
実施例20
(1).厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを使用し、これを巻き取り式真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、コーティングドラムの上に繰り出して、下記の条件で、アルミニウムを蒸着源に用い、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による反応真空蒸着法により、上記の2軸延伸ナイロンフィルムのコロナ処理面に、膜厚50Åの酸化アルミニウムの蒸着薄膜を形成して、耐蒸着保護膜を設けた。
(蒸着条件)
蒸着源:アルミニウム真空チャンバー内の真空度:7.5×10−6mbar
蒸着チャンバー内の真空度:2.1×10−6mbar
EB出力:20KW
フィルム搬送速度:500m/分
更に、上記で形成した耐蒸着保護膜の上に、上記の実施例18と同様にして、膜厚800Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、更に、該酸化アルミニウムの蒸着膜面に、プラズマ処理面を形成した。
(2).以下、上記の実施例18と全く同様に行って、上記の実施例18と同様に、同様な本発明にかかる裏面保護シート、および、太陽電池モジュールを製造することができた。
実施例21
(1).厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、そのコロナ処理面に、1×10−4Torrの真空下、高周波誘電加熱方式で純度99.9%の一酸化珪素(SiO)を加熱蒸発させ、500Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した。次に、上記で膜厚500Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、出力、10kW、処理速度100m/minでコロナ放電処理を行って、蒸着膜面の表面張力を35dyneより60dyneに向上させてたコロナ処理面を形成した。
(2).以下、上記の実施例17と全く同様に行って、上記の実施例17と同様に、同様な本発明にかかる裏面保護シート、および、太陽電池モジュールを製造することができた。
実施例22
(1).厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、上記の実施例17と同様にして、膜厚500Åの酸化珪素の蒸着膜を形成し、更に、該酸化珪素の蒸着膜面に、プラズマ処理面を形成した。次に、上記で形成した酸化珪素の蒸着膜のプラズマ処理面の上に、上記の実施例18と同様にして、膜厚500Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、更に、該酸化アルミニウムの蒸着膜面に、プラズマ処理面を形成した。
(2).以下、上記の実施例18と全く同様に行って、上記の実施例18と同様に、同様な本発明にかかる裏面保護シート、および、太陽電池モジュールを製造することができた。
比較例1
厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、厚さ50μmの白色の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
比較例2
厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、厚さ50μmの白色のポリフッ化ビニル樹脂シートを対向させて、かつ、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
実験例
上記の実施例1〜22で製造した本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートと比較例1〜2にかかる裏面保護シートについて、反射率を測定し、また、上記の実施例1〜22で製造した太陽電池モジュールと比較例1〜2で製造した太陽電池モジュールについて太陽電池モジュール評価試験を行った。
(1).反射率の測定
これは、基材フィルムを基準とし、実施例1〜22で製造した本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートと比較例1〜2にかかる裏面保護シートについて、分光光度計により、波長550nmの光線に対する反射率(%)を測定した。
(2).太陽電池モジュール評価試験
これは、JIS規格C8917−1989に基づいて、太陽電池モジュールの環境試験を行い、試験前後の光起電力の出力を測定して、比較評価した。
(3).水蒸気透過度と酸素透過度の測定
水蒸気透過度は、実施例1〜22で製造した本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートと比較例1〜2にかかる裏面保護シートについて、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パーマトラン(PERMATRAN)〕にて測定し、更に、酸素透過度は、上記と同様の対象物について、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。
(4).積層強度の測定
これは、保護シートを15mm巾に裁断し、引っ張り試験機〔エー・アンド・デー(A&D)株式会社製 機種名 テンシロン)を用いて、保護シートを構成する積層体の剥離強度を測定した。上記の測定結果について下記の表1に示す。
Figure 0004050780
上記の表1において、光線反射率の単位は、〔%〕であり、水蒸気バリア性の単位は、〔g/m2 /day・40℃・100%RH〕であり、酸素バリア性の単位は、〔cc/m2 /day・23℃・90%RH〕であり、出力低下率の単位は、〔%〕であり、積層強度の単位は、〔kg/15mm巾〕である。
上記の表1に示す測定結果より明らかなように、実施例1〜22にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートは、反射率が高く、また、水蒸気バリア性、酸素バリア性、および、積層強度に優れていた。更に、上記の実施例1〜22にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールは、出力低下率も低いものであった。これに対し、比較例1〜2にかかる太陽電池モジュール用保護シートは、反射率は、高いものの、水蒸気バリア性、酸素バリア性が低く、そのために、それを用いて製造した太陽電池モジュールは、出力低下率が高い等の問題点がある。
本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートについてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。 本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートについてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。 本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートについてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。 無機酸化物の蒸着膜について、他の例の層構成を示す概略を示す概略的断面図である。 無機酸化物の蒸着膜について、他の例の層構成を示す概略を示す概略的断面図である。 図1に示す本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用して製造した太陽電池モジュールついてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。 巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。 プラズマ化学蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
符号の説明
A 太陽電池モジュール用裏面保護シート
1 〜A2 太陽電池モジュール用裏面保護シート
1 基材フィルム
2 無機酸化物の蒸着膜
2a 多層膜
2b 無機酸化物の蒸着膜
2c 無機酸化物の蒸着膜
2d 複合膜
3 ポリプロピレン系樹脂フィルム
4 ドライラミネート用接着剤層
5 アンカーコート剤層
T 太陽電池モジュール
11 太陽電池モジュール用表面保護シート
12 充填剤層
13 太陽電池素子
14 充填剤層
15 太陽電池モジュール用裏面保護シート

Claims (11)

  1. フッ素系樹脂フィルム、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、または、ポリエステル系樹脂フィルムからなる基材フィルムの片面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、
    更に、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの両面に、白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムを積層し、
    前記蒸着膜と前記ポリプロピレン樹脂フィルムとの間にラミネート用接着剤層が配置されていることを特徴とする太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  2. 無機酸化物の蒸着膜が、無機酸化物の蒸着膜の1層若しくは2層以上の多層膜、または、異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上の複合膜からなることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  3. 無機酸化物の蒸着膜が膜厚50Å以上〜4000Å以下からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  4. 白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムが、白色化剤と紫外線吸収剤とを練り込み加工した耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  5. 白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムが、その表面に白色化剤と紫外線吸収剤とを含む塗布ないし印刷膜を有する耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  6. 白色化剤が、白色系顔料からなることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  7. 前記白色化剤が、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性けい酸鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポン、三酸化アンチモン、アナタス形酸化チタンおよびルチル形酸化チタンからなる群から選択される少なくとも1種類のものであることを特徴とする請求項6に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  8. 紫外線吸収剤が、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サルチレート系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、または、超微粒子酸化チタン(粒子系、0.01〜0.06μm)若しくは超微粒子酸化亜鉛(0.01〜0.04μm)からなる無機系の紫外線吸収剤の1種ないしそれ以上からなることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  9. ポリプロピレン系樹脂フィルムが、プロピレンの単独重合体またはプロピレンと他のモノマーとの共重合体のフィルムからなることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  10. 前記ラミネート用接着剤層を構成する接着剤が、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステルのホモポリマー、または、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレンとの共重合体からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、または、メタクリル酸からなるモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、または、スチレン−ブタジエンゴムからなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、または、低融点ガラスからなる無機系接着剤からなることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  11. 太陽電池モジュール用表面保護シート、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、前記請求項1から請求項10までのいずれかの請求項に記載される太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その一方のポリプロピレン系樹脂フィルムの面を対向させて順次に積層し、これらを真空吸引して加熱圧着ラミネーション法等により一体成形体としたことを特徴とする太陽電池モジュール。
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