JP4303951B2 - 太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トおよびそれを使用した太陽電池モジュ−ル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トおよびそれを使用した太陽電池モジュ−ルに関するものであり、更に詳しくは、在庫管理の容易性に優れ、コストパフォ−マンスに優れ、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防湿性、防汚性、光反射性、光拡散性、意匠性、その他等の諸特性に優れ、特に、水分、酸素等の浸入を防止する防湿性を著しく向上させ、その長期的な性能劣化を最小限に抑え、更に、加水分解劣化等を防止し、極めて耐久性に富み、保護能力性に優れ、かつ、より低コストで安全な太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トおよびそれを使用した太陽電池モジュ−ルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリ−ンなエネルギ−源としての太陽電池が注目され、現在、種々の形態からなる太陽電池モジュ−ルが開発され、提案されている。
一般に、上記の太陽電池モジュ−ルは、例えば、結晶シリコン太陽電池素子あるいはアモルファスシリコン太陽電池素子等を製造し、そのような太陽電池素子を使用し、表面保護シ−ト層、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、裏面保護シ−ト層等の順に積層し、真空吸引して加熱圧着するラミネ−ション法等を利用して製造されている。
而して、上記の太陽電池モジュ−ルは、当初、電卓への適用を始めとし、その後、各種の電子機器等に応用され、民生用の利用として、その応用範囲は急速に広まりつつあり、更に、今後、最も重要な課題として、大規模集中型太陽電池発電の実現であるとされている。
ところで、上記の太陽電池モジュ−ルを構成する裏面保護シ−ト層としては、現在、フッ素系樹脂フィルムと金属箔との複合フィルムが、最も一般的に使用され、その他、金属板等も使用されている。
而して、一般に、太陽電池モジュ−ルを構成する裏面保護シ−ト層としては、例えば、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、光反射性、光拡散性、意匠性等の諸堅牢性に優れ、特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性に優れ、更に、表面硬度が高く、かつ、表面の汚れ、ゴミ等の蓄積を防止する防汚性に優れ、極めて耐久性に富み、その保護能力性が高いこと、その他等の条件を充足することが必要とされている。
【0003】
しかしながら、例えば、太陽電池モジュ−ルを構成する裏面保護シ−ト層として、現在、最も一般的に使用されているフッ素系樹脂フィルムと金属箔との複合フィルムを使用する場合には、耐環境性、防湿性、加工適性、耐光性等に富むものではあるが、複合化層及びフッ素系樹脂フィルムの耐加水分解性、可撓性、軽量性、その他等の諸特性に劣り、特に、このような比較的高電圧の負荷が想定される電子デバイスの包装材としては、その主要特性である耐短絡性に欠けるという課題がある。
これは、金属箔を用いているために、打痕等の衝撃を伴った際、ショ−トし加熱する可能性が学会等一般に指摘されるところである。
また、フッ素系樹脂フィルムという廃棄・処理方法によっては環境への高負荷も懸念される材料を使用している点も、クリ−ンエネルギ−を標榜するシステムの部材として最適ではないと思われ、その高コストである点も課題となるところである。
また、太陽電池モジュ−ルを構成する裏面保護シ−ト層として、金属板等を使用する場合には、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐薬品性、耐突き刺し性、耐衝撃性、その他等の諸堅牢性に優れ、また、防湿性等にも優れ、更に、表面硬度が硬く、かつ、表面の汚れ、ゴミ等の蓄積を防止する防汚性に優れ、その保護能力性が極めて高い等の利点を有するが、可撓性、軽量性、光反射性、意匠性等に欠け、更に、その加工性、施工性等に劣り、かつ、低コスト化等に欠けるという問題点がある。
そこで本発明者は、先に、基材フィルムの片面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの両面に、白色化剤と紫外線吸収剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムを積層することを特徴とする太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トおよびそれを使用した太陽電池モジュ−ルを提案した(特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−111077号公報参照(請求項1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記で提案した太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トおよびそれを使用した太陽電池モジュ−ルは、太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト、太陽電池モジュ−ル等において必要とされる上記に挙げた諸特性、諸条件等をそれなりに充足し得るものではあるが、未だ十分に満足し得るものではなく更に改善の余地があり、特に、意匠性を重要視するような建築分野への適用を考えた際に、既建造物とのバランスの上に立った白・黒等への種々の色彩への着色が裏面保護シ−トに求められる場合、用途に応じて各品種が必要であるため、在庫管理が困難になり、コストパフォ−マンスに劣るという問題点がある。
そこで本発明は、一方の片面の色仕様の利点と他方の片面の異なる色仕様の利点を併せ持ち、用途に応じて表裏を使い分けることができ、一品種での対応が効くため、在庫管理の容易性、コストパフォ−マンスに優れ、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防湿性、防汚性、光反射性、光拡散性、意匠性、その他等の諸特性に優れ、特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性を著しく向上させ、その長期的な性能劣化を最小限に抑え、更に、加水分解劣化等を防止し、極めて耐久性に富み、その保護能力性に優れ、かつ、より低コストで安全な太陽電池モジュ−ルを構成する裏面保護シ−トおよびそれを使用した太陽電池モジュ−ルを安定的に提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、太陽電池モジュ−ルを構成する裏面保護シ−ト層について、上記のような問題点を解決すべく種々研究の結果、まず、基材フィルムの一方の面に、酸化珪素、あるいは、酸化アルミニウム等のガラス質からなる透明な、かつ、水蒸気バリア性、酸素バリア性等に優れた無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、上記で無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、または、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上を重層し、更に、上記で重層した重層体の一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、あるいは、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上を強靱性樹脂フィルムを介して重層し、更に、上記で重層した重層体の一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層して太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを製造し、而して、上記で製造した太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを使用し、例えば、ガラス板等からなる通常の太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−ト、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、上記の太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを、その一方のポリオレフィン系樹脂フィルムの面を対向させて順次に積層し、次いで、これらを一体的に真空吸引して加熱圧着するラミネ−ション法等を利用して太陽電池モジュ−ルを製造したところ、上記の太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トが、一方の片面の色仕様の利点と他方の片面の異なる色仕様の利点を併せ持ち、用途に応じて表裏を使い分けることができ、一品種での対応が効くため、在庫管理の容易性、コストパフォ−マンスに優れ、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防汚性、その他等の諸特性に優れ、特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性を著しく向上させ、その長期的な性能劣化を最小限に抑え、更に、加水分解劣化等を防止し、極めて耐久性に富み、保護能力性に優れ、かつ、より低コストで安全な太陽電池モジュ−ルを構成する太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トおよびそれを使用した太陽電池モジュ−ルを安定的に製造し得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明は、基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層することを特徴とする太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト、または、基材フィルムの一方または両方の面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、かつ、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上を重層し、更に、上記で重層した重層体の一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層することを特徴とする太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト、あるいは、基材フィルムの一方または両方の面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、かつ、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上を強靱性樹脂フィルムを介して重層し、更に、上記で重層した重層体の一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層することを特徴とする太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トおよびそれらを使用した太陽電池モジュ−ルに関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に図面等を用いて更に詳しく説明する。
なお、本発明において、シ−トとは、シ−ト状物ないしフィルム状物のいずれの場合も意味するものであり、また、フィルムとは、フィルム状物ないしシ−トシ−ト状物のいずれの場合も意味するものである。
本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トおよびそれを使用した太陽電池モジュ−ルについてその層構成を図面等を用いて更に具体的に説明すると、図1、図2、図3、図4および図5は、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トの層構成についてその二三例を例示する概略的断面図であり、図6および図7は、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを構成する無機酸化物の蒸着膜の層構成についてその他の例を例示する概略的断面図であり、図8は、図1に示す本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを使用して製造した太陽電池モジュ−ルの層構成についてその一例を例示する概略的断面図である。
【0009】
まず、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トAは、図1に示すように、基材フィルム1の一方の面に、無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、上記の無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1の一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム3を積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム4を積層した構成からなるものである。
または、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トA1 は、図2に示すように、基材フィルム1の一方の面に、無機酸化物の蒸着膜2を設け、かつ、上記の無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1の2層以上を重層し、更に、上記で重層した重層体5の一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム3を積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム4を積層した構成からなるものである。
あるいは、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トA2 は、図3に示すように、基材フィルム1の一方の面に、無機酸化物の蒸着膜2を設け、かつ、上記の無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1の2層以上を強靱性樹脂フィルム6を介して重層し、更に、上記で重層した重層体5aの一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム3を積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム4を積層した構成からなるものである。
上記の例示は、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トについてその二三例を例示するものであり、本発明は、これによって限定されるものではないことは勿論である。
【0010】
まず、上記において、ポリオレフィン系樹脂フィルムを積層する方式について、その一例を上記の図1に示す本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トAの場合を例として説明すると、図4に示すよにう、基材フィルム1の一方の面に、無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、上記の無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1の両面に、ラミネ−ト用接着剤によるラミネ−ト用接着剤層7、7を設け、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層7、7を介して、その一方のラミネ−ト用接着剤層7の面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム3をドライラミネ−トして積層し、その他方のラミネ−ト用接着剤層7の面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム4を積層するドライラミネ−ト積層方式により、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トA3 を製造することができる。
なお、本発明においては、図示しないが、勿論、上記の図2、図3に示す本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トについても、上記のラミネ−ト用接着剤によるラミネ−ト用接着剤層を介して積層するドライラミネ−ト積層方式により、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを製造し得るものである。
【0011】
また、上記において、ポリオレフィン系樹脂フィルムを積層する別の方式について、その一例を上記の図1に示す本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トAの場合を例として説明すると、図5に示すよにう、基材フィルム1の一方の面に、無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、上記の無機酸化物の蒸着膜2を設けた基材フィルム1の両面に、アンカ−コ−ト剤等による接着助剤層、溶融押出樹脂層等8、8を設け、次いで、該アンカ−コ−ト剤等による接着助剤層、溶融押出樹脂層等8、8を介して、その一方のアンカ−コ−ト剤等による接着助剤層、溶融押出樹脂層等8の面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム3を積層し、その他方のアンカ−コ−ト剤等による接着助剤層、溶融押出樹脂層等8の面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム4を積層するする溶融押出積層方式により、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トA4 を製造することができる。
勿論、本発明においては、図示しないが、上記の図2、図3に示す本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トについても、上記のアンカ−コ−ト剤等による接着助剤層、溶融押出樹脂層等を介して、溶融押出積層する溶融押出積層方式により、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを製造し得るものである。
なお、上記において、ポリオレフィン系樹脂フィルムを積層するには、更に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂組成物を通常の塗布法あるいは印刷法等を用いて塗布ないし印刷して、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂層からなる塗布膜あるいは印刷膜を形成する塗布方式あるいは印刷方式等で行うこともできる。
また、本発明においては、図示しないが、上記のドライラミネ−ト積層方式と、溶融押出積層方式とを組み合わせて、太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを製造することもできるものである。
【0012】
また、上記において、無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上を重層するには、図示しないが、無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムにおいて、その一方の無機酸化物の蒸着膜の面と他方の基材フィルムの面、あるいは、一方の基材フィルムの面と他方の基材フィルムの面、更には、一方の無機酸化物の蒸着膜の面と他方の無機酸化物の蒸着膜の面等のいずれの面を対向させて重層させることができるものであり、また、その重層方式としては、上記のラミネ−ト用接着剤層を介して積層するドライラミネ−ト積層方式、あるいは、アンカ−コ−ト剤等による接着助剤層、溶融押出樹脂層等を介して積層する溶融押出積層方式等のいずれの積層方式でも行い得るものである。
また、上記において、無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上を強靱性樹脂フィルムを介して重層するには、上記と同様に、上記のラミネ−ト用接着剤層を介して積層するドライラミネ−ト積層方式、あるいは、アンカ−コ−ト剤等による接着助剤層、溶融押出樹脂層等を介して積層する溶融押出積層方式等のいずれの積層方式でも行い得るものであり、また、その重層に際しては、無機酸化物の蒸着膜の面、基材フィルムの面、および、強靱性樹脂フィルムの面等のいずれの面を対向させて重層させてもよいものである。
なお、本発明においては、図示しないが、例えば、上記のドライラミネ−ト積層方式と、溶融押出積層方式とを組み合わせて、太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを製造することもできるものである。
【0013】
更に、上記の図1〜5に示す太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トにおいて、無機酸化物の蒸着膜としては、図6、図7等に示すように、後述する物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の2層以上、あるいは、化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の2層以上のように、無機酸化物の蒸着膜2、2の2層以上を重層した多層膜2a(図6)、あるいは、後述する物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜2bと、化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜2cとの異種の無機酸化物の蒸着膜2b、2cの2層以上を重層した複合膜2d(図7)等で構成することができるものである。
なお、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを製造する際に、例えば、ポリオレフィン系樹脂フィルムを積層する場合、あるいは、無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上重層する場合、その他等において、無機酸化物の蒸着膜の表面には、その積層の密接着性を向上させるために、例えば、プラズマ処理、コロナ処理、その他等の前処理、あるいは、プライマ−剤層、所望の樹脂層、その他等を任意に設けることができるものである。
【0014】
次に、本発明において、上記の本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを使用して製造する太陽電池モジュ−ルについてその一例を例示すると、上記の図1に示す本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トAを使用した例で説明すると、図8に示すように、まず、通常の太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−ト11、充填剤層12、光起電力素子としての太陽電池素子13、充填剤層14、および、上記の太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト15(A)を、その一方のポリオレフィン系樹脂フィルム3または4の面を対向させて順次に積層し、次いで、これらを一体として、真空吸引して加熱圧着するラミネ−ション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として太陽電池モジュ−ルTを製造することができる。
上記の例示は、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを使用して製造した太陽電池モジュ−ルについてその一例を例示するものであり、本発明はこれにより限定されるものではない。
例えば、図示しないが、上記の図2〜図5等に示す太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを使用し、上記と同様にして、種々の形態からなる太陽電池モジュ−ルを製造することができ、また、上記の太陽電池モジュ−ルにおいては、太陽光の吸収性、補強、その他等の目的のもとに、更に、他の層を任意に加えて積層することができるものである。
【0015】
次に、本発明において、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トおよびそれを使用した太陽電池モジュ−ルを構成する材料、製造法等について更に詳しく説明すると、まず、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト、太陽電池モジュ−ル等を構成する基材フィルムとしては、基本的には、無機酸化物の蒸着膜等を形成する際の蒸着条件、その他等に耐え、かつ、それらの無機酸化物の蒸着膜等との密接着性に優れ、それらの膜の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができ、また、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性等の諸堅牢性に優れ、特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性に優れ、また、表面硬度が高く、かつ、表面の汚れ、ゴミ等の蓄積を防止する防汚性に優れ、極めて耐久性に富み、その保護能力性が高いこと等の特性を有する各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
【0016】
具体的には、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂等のポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−トまたはポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリ−ルフタレ−ト系樹脂、シリコ−ン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエ−テルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタ−ル系樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
本発明においては、上記の樹脂のフィルムないしシ−トの中でも、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、または、ポリエステル系樹脂のフィルムないしシ−トを使用することが好ましいものである。
而して、本発明において、上記のような樹脂のフィルムないしシ−トを使用することにより、それが有する機械的特性、化学的特性、物理的特性等の優れた特性、具体的には、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐防湿性、耐汚染性、耐薬品性、その他等の諸特性を利用して太陽電池を構成する裏面保護シ−トとするものであり、これにより、耐久性、保護機能性等を有し、また、そのフレキシブル性や機械的特性、化学的特性等から軽く、かつ、加工性等に優れ、そのハンドリングし易い等の利点を有するものである。
【0017】
本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレ−ション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、更に、要すれば、例えば、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
本発明において、各種の樹脂のフィルムないしシ−トの膜厚としては、9〜300μm位、より好ましくは、12〜200μm位が望ましい。
【0018】
なお、上記において、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐光性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
また、上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、充填剤、滑剤、強化繊維、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することがてきる。
本発明においては、上記の添加剤の中でも、特に、紫外線吸収剤、光安定化剤、あるいは、酸化防止剤等を練れ込み加工してなる各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することが好ましいものである。
【0019】
上記において、紫外線吸収剤としては、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギ−へと変換し、高分子中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものであり、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾ−ル系、サルチレ−ト系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm)あるいは超微粒子酸化亜鉛(0.01〜0.04μm)等の無機系等の紫外線吸収剤の1種ないしそれ以上を使用することができる。
また、上記において、光安定化剤としては、例えば、ヒンダ−ドアミン系化合物、ヒンダ−トピペリジン系化合物、その他等の1種ないしそれ以上を使用することができる。
更に、上記の酸化防止剤としては、高分子の光あるいは熱等による酸化劣化等を防止するものであり、例えば、フェノ−ル系、アミン系、硫黄系、燐酸系、その他等の酸化防止剤を使用することができる。
更に、上記の紫外線吸収剤、光安定化剤あるいは酸化防止剤としては、例えば、ポリマ−を構成する主鎖または側鎖に、上記のベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤、ヒンダ−ドアミン系化合物からなる光安定化剤あるいはフェノ−ル系等の酸化防止剤を化学結合させてなるポリマ−型の紫外線吸収剤、光安定化剤あるいは酸化防止剤等も使用することができる。
上記の紫外線吸収剤、光安定化剤あるいは酸化防止剤の含有量としては、その粒子形状、密度等によって異なるが、約0.1〜10重量%位が好ましい。
【0020】
また、本発明において、各種の樹脂のフィルムないしシ−トの表面は、無機酸化物の蒸着膜等との密接着性等を向上させるために、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けることができる。
本発明において、上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いたプラズマ処理、グロ−放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理面、オゾン処理面、プラズマ処理面、酸化処理面、その他等の表面処理面等を設けることができる。
上記の表面前処理は、別工程で実施してもよく、また、例えば、プラズマ処理やグロ−放電処理等による表面前処理の場合は、上記の無機酸化物の蒸着膜等を形成する前処理としてインライン処理により前処理で行うことができ、このような場合は、その製造コストを低減することができるという利点がある。
【0021】
上記の表面前処理は、各種の樹脂のフィルムないしシ−トと無機酸化物の蒸着膜等との密接着性を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密接着性を改善する方法として、その他、例えば、各種の樹脂のフィルムないしシ−トの表面に、予め、プライマ−コ−ト剤層、アンダ−コ−ト剤層、アンカ−コ−ト剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカ−コ−ト剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の前処理のコ−ト剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
【0022】
なお、上記の樹脂組成物には、密接着性を向上させるために、エポキシ系のシランカップリング剤、あるいは、基材フィルムのブロッキング等を防止するために、ブロッキング防止剤、その他等の添加剤を任意に添加することができる。
その添加量は、0.1重量%〜10重量%位が好ましいものである。
また、本発明において、上記の樹脂組成物中には、耐光性等を向上させるために、例えば、紫外線吸収剤、光安定化剤あるいは酸化防止剤等を添加することができる。
上記の紫外線吸収剤、光安定化剤あるいは酸化防止剤等としては、前述の紫外線吸収剤、光安定化剤あるいは酸化防止剤等の1種ないしそれ以上を同様に使用することができる。
上記の紫外線吸収剤、光安定化剤あるいは酸化防止剤の含有量としては、その粒子形状、密度等によって異なるが、約0.1〜10重量%位が好ましい。
また、上記において、コ−ト剤層の形成法としては、例えば、溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等のコ−ト剤を使用し、ロ−ルコ−ト法、グラビアロ−ルコ−ト法、キスコ−ト法、その他等のコ−ト法を用いてコ−トすることができ、そのコ−ト時期としては、シ−トの製膜後、あるいは、2軸延伸処理後の後工程として、あるいは、製膜、あるいは、2軸延伸処理のインライン処理等で実施することができる。
【0023】
更にまた、本発明においては、上記の基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の蒸着膜を製膜化する際の蒸着条件等に対し該基材フィルムを保護し、例えば、その黄変、劣化ないし収縮、あるいは、フィルム表層ないし内層等における凝集破壊等を抑制し、更に、基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の蒸着膜が良好に製膜化され、かつ、該基材フィルムと無機酸化物の蒸着膜との密接着性等を向上させるために、予め、基材フィルムの一方の面に、表面前処理層として、例えば、後述するプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)、あるいは、例えば、真空蒸着法(抵抗加熱、誘電加熱、EB加熱方式)、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)を用いて、無機酸化物の蒸着薄膜を形成することにより、耐蒸着保護膜を設けることができる。
なお、本発明において、上記の酸化珪素等からなる耐蒸着保護膜の膜厚としては、薄膜であり、更に、水蒸気ガス、酸素ガス等に対するバリア性を有しない非バリア性膜で十分であり、具体的には、膜厚150Å未満であることが望ましく、更には、その膜厚としては、10〜100Å位、好ましくは、20〜80Å位、更に、より好ましくは、30〜60Å位が望ましい。
而して、上記において、150Å以上、具体的には、100Å、更に、80Å、更には、60Åより厚くなると、良好な耐蒸着保護膜を形成することが困難になるので好ましくなく、また、10Å、更に、30Å、更には、60Å未満であると、耐蒸着保護層としての機能を喪失し、その効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
【0024】
次に、本発明において、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト、太陽電池モジュ−ル等を構成する無機酸化物の蒸着膜について説明すると、かかる無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、物理気相成長法、または、化学気相成長法、あるいは、その両者を併用して、無機酸化物の蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができるものである。
上記の物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜について更に詳しく説明すると、かかる物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、真空蒸着法(抵抗加熱、誘電加熱、EB加熱方式)、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタ−ビ−ム法等の物理気相成長法(PhysicalVapor Deposition法、PVD法)を用いて無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
本発明において、具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して基材フィルムの上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて基材フィルムの上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。
上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビ−ム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
【0025】
本発明において、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成する方法について、その具体例を挙げると、図9は、巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
図9に示すように、巻き取り式真空蒸着装置21の真空チャンバ−22の中で、巻き出しロ−ル23から繰り出す基材フィルム1は、ガイドロ−ル24、25を介して、冷却したコ−ティングドラム26に案内される。
而して、上記の冷却したコ−ティングドラム26上に案内された基材フィルム1の上に、るつぼ27で熱せられた蒸着源28、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口29より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク30、30を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を成膜化し、次いで、上記において、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を形成した基材フィルム1を、ガイドロ−ル31、32を介して送り出し、巻き取りロ−ル33に巻き取ることによって、本発明にかかる物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
なお、本発明においては、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着膜の上に、更に、無機酸化物の蒸着膜を形成するか、あるいは、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
【0026】
上記において、無機酸化物の蒸着膜としては、基本的に金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。
而して、好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。
而して、上記の金属の酸化物の蒸着膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlOX 、MgOX 等のようにMOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。
また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。
上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。
本発明において、一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する金属、または金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜4000Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。
また、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、使用する金属、または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
【0027】
次にまた、本発明において、上記の化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜について更に説明すると、かかる化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いて無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
本発明においては、具体的には、基材フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
【0028】
具体的に、上記の低温プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の形成法についてその一例を例示して説明すると、図10は、上記のプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜の形成法についてその概要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
上記の図10に示すように、本発明においては、プラズマ化学気相成長装置41の真空チャンバ−42内に配置された巻き出しロ−ル43から基材フィルム1を繰り出し、更に、該基材フィルム1を、補助ロ−ル44を介して所定の速度で冷却・電極ドラム45周面上に搬送する。
而して、本発明においては、ガス供給装置46、47および、原料揮発供給装置48等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、その他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル49を通して真空チャンバ−42内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム45周面上に搬送された基材フィルム1の上に、グロ−放電プラズマ50によってプラズマを発生させ、これを照射して、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成し、製膜化する。
本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム45は、チャンバ−外に配置されている電源51から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム45の近傍には、マグネット52を配置してプラズマの発生が促進されており、次いで、上記で酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成した基材フィルム1は、補助ロ−ル53を介して巻き取りロ−ル54に巻き取って、本発明にかかるプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を製造することができるものである。
なお、図中、55は、真空ポンプを表す。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
図示しないが、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜としては、無機酸化物の蒸着膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
また、本発明においては、上記のような低温プラズマ化学気相成長装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着膜の上に、更に、無機酸化物の蒸着膜を形成するか、あるいは、上記のような低温プラズマ化学気相成長装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
【0029】
上記において、真空チャンバ−内を真空ポンプにより減圧し、真空度1×10-1〜1×10-8Torr位、好ましくは、真空度1×10-3〜1×10-7Torr位に調製することが望ましいものである。
また、原料揮発供給装置においては、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス供給装置から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合させ、この混合ガスを原料供給ノズルを介して真空チャンバ−内に導入されるものである。
この場合、混合ガス中の有機珪素化合物の含有量は、1〜40%位、酸素ガスの含有量は、10〜70%位、不活性ガスの含有量は、10〜60%位の範囲とすることができ、例えば、有機珪素化合物と酸素ガスと不活性ガスとの混合比を1:6:5〜1:17:14程度とすることができる。
一方、冷却・電極ドラムには、電源から所定の電圧が印加されているため、真空チャンバ−内の原料供給ノズルの開口部と冷却・電極ドラムとの近傍でグロ−放電プラズマが生成され、このグロ−放電プラズマは、混合ガス中の1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態において、樹脂フィルムを一定速度で搬送させ、グロ−放電プラブマによって、冷却・電極ドラム周面上の樹脂フィルムの上に、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものである。
なお、このときの真空チャンバ−内の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、真空度1×10-1〜1×10-2Torr位に調製することが望ましく、また、樹脂フィルムの搬送速度は、10〜300m/分位、好ましくは、50〜150m/分位に調製することが望ましいものである。
【0030】
また、上記のプラズマ化学気相成長装置において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜の形成は、基材フィルムの上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOX の形で薄膜状に形成されるので、当該形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜は、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となるものであり、従って、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜のバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜と比較してはるかに高いものとなり、薄い膜厚で十分なバリア性を得ることができるものである。
また、本発明においては、SiOX プラズマにより基材フィルムの表面が、清浄化され、基材フィルムの表面に、極性基やフリ−ラジカル等が発生するので、形成される酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜と基材フィルムとの密接着性が高いものとなるという利点を有するものである。
更に、上記のように酸化珪素等の無機酸化物の連続膜の形成時の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、1×10-1〜1×10-2Torr位に調製することから、従来の真空蒸着法により酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成する時の真空度、1×10-4〜1×10-5Torr位に比較して低真空度であることから、基材フィルムを原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度を安定しやすく、製膜プロセスが安定するものである。
【0031】
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスを使用して形成される酸化珪素の蒸着膜は、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物が、基材フィルムの一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成するものであり、通常、一般式SiOX (ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の薄膜である。
而して、上記の酸化珪素の蒸着膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式SiOX (ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましいものである。
上記において、Xの値は、蒸着モノマ−ガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギ−等により変化するが、一般的に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
【0032】
また、上記の酸化珪素の蒸着膜は、酸化珪素を主体とし、これに、更に、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または、その2種類以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類を化学結合等により含有する蒸着膜からなることを特徴とするものである。
例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラ−レン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。
具体例を挙げると、CH3 部位を持つハイドロカ−ボン、SiH3 シリル、SiH2 シリレン等のハイドロシリカ、SiH2 OHシラノ−ル等の水酸基誘導体等を挙げることができる。
上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素の蒸着膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。
而して、上記の化合物が、酸化珪素の蒸着膜中に含有する含有量としては、0.1〜50%位、好ましくは、5〜20%位が望ましいものである。
上記において、含有率が、0.1%未満であると、酸化珪素の蒸着膜の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げなとにより、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いバリア性を安定して維持することが困難になり、また、50%を越えると、バリア性が低下して好ましくないものである。
更に、本発明においては、酸化珪素の蒸着膜において、上記の化合物の含有量が、酸化珪素の蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少させることが好ましく、これにより、酸化珪素の蒸着膜の表面においては、上記の化合物等により耐衝撃性等を高められ、他方、基材フィルムとの界面においては、上記の化合物の含有量が少ないために、基材フィルムと酸化珪素の蒸着膜との密接着性が強固なものとなるという利点を有するものである。
【0033】
而して、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜について、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析する方法を利用して、酸化珪素の蒸着膜の元素分析を行うことより、上記のような物性を確認することができる。
また、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚としては、膜厚50Å〜4000Å位であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、100〜1000Å位が望ましく、而して、上記において、1000Å、更には、4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、100Å、更には、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
上記のおいて、その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメ−タ−法で測定することができる。
また、上記において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマ−ガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
【0034】
次に、上記において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスとしては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
【0035】
ところで、本発明において、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト、太陽電池モジュ−ル等を構成する無機酸化物の蒸着膜として、例えば、物理気相成長法と化学気相成長法の両者を併用して異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜を形成して使用することもできるものである。
而して、上記の異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる複合膜としては、まず、基材フィルムの上に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着膜を設け、次いで、該無機酸化物の蒸着膜の上に、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着膜を構成することが望ましいものである。
勿論、本発明においては、上記とは逆に、基材フィルムの上に、先に、物理気相成長法により、無機酸化物の蒸着膜を設け、次に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着膜を構成することもできるものである。
【0036】
次に、本発明において、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト、太陽電池モジュ−ル等を構成する着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム、および、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムについて説明すると、かかるポリオレフィン系樹脂フィルムとしては、まず、ポリオレフィン系樹脂の1種ないし2種以上を主成分とし、これに、光反射剤あるいは光拡散剤または光吸収剤、装飾性剤、その他の作用を有する着色用添加剤の1種ないし2種以上、紫外線吸収剤の1種ないし2種以上、および、光安定化剤の1種ないし2種以上を添加し、更に、必要ならば、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、架橋剤、硬化剤、充填剤、滑剤、強化剤、補強剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加し、十分に混練してポリオレフィン系樹脂組成物を調整し、また、上記と同様に、まず、ポリオレフィン系樹脂の1種ないし2種以上を主成分とし、これに、上記の着色用添加剤と色相が異なり、かつ、光反射剤あるいは光拡散剤または光吸収剤、装飾性剤、その他の作用を有する着色用添加剤の1種ないし2種以上、紫外線吸収剤の1種ないし2種以上、および、光安定化剤の1種ないし2種以上を添加し、更に、必要ならば、可塑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、架橋剤、硬化剤、充填剤、滑剤、強化剤、補強剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加し、十分に混練してポリオレフィン系樹脂組成物を調製する。
【0037】
なお、上記の添加剤において、特に、難燃剤を使用することが望ましく、而して、その難燃剤としては、大きく有機系、無機系に分けられ、有機系としては、例えば、リン系、リン+ハロゲン系、塩素系、ブロム系の難燃剤、また、無機系としては、例えば、水酸化アルミニウム、アンチモン系、水酸化マグネシウム、グアニジン系、ジルコニウム系、ホウ酸亜鉛等の難燃剤を使用することができ、その1種ないし2種以上を任意に添加することにより、難燃性を賦与することができる。
【0038】
而して、本発明においては、上記で調製した2種の各ポリオレフィン系樹脂組成物を使用し、例えば、押出機、Tダイ押出機、キャスト成形機、インフレ−ション成形機、その他等を使用し、押出法、Tダイ押出法、キャスト成形法、インフレ−ション法、その他等のフィルム成形法により、2種の各ポリオレフィン系樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、更に、要すれば、例えば、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸して、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤を練り込み加工してなる耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム、および、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤を練り込み加工してなる耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを製造するものである。
【0039】
次いで、本発明においては、上記で製造した着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを練り込み加工してなる耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム、および、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを練り込み加工してなる耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム等を使用し、これらを、前述の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの一方の面とその他方の面に、例えば、ラミネ−ト用接着剤層等を介して、ドライラミネ−ト積層することにより、あるいは、アンカ−コ−ト剤層、溶融押出樹脂層等を介して溶融押出積層することにより、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを製造することができるものである。
【0040】
なお、本発明においては、上記において2種の各耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを製造するために調製した2種の各ポリプロピレン系樹脂組成物を使用し、これを押出機等を使用して溶融押出し、前述の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの一方の面とその他方の面に、例えば、アンカ−コ−ト剤等による接着助剤層等を介して、あるいは介さず直接に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム、および、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを溶融押出積層することにより、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを製造することができるものである。
上記において、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム、および、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムの厚さとしては、10μm〜300μm位、好ましくは、15μm〜150μm位が望ましいものである。
【0041】
上記において、ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリブテン、ポリ4−メチルペンテン、ポリイソブチレン、シンジオタクチックポリスチレン、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、プロピレン単独重合体、または、プロピレンと他のモノマ−との共重合体からなるポリオレフィン系樹脂の1種ないし2種以上を使用することができる。
【0042】
而して、本発明において、上記のポリオレフィン系樹脂としては、特に、ポリプロピレン系樹脂を使用することが望ましいものである。
上記において、ポリプロピレン系樹脂としては、石油系炭化水素の熱分解によりエチレンを製造する際に生成する副生成物であるプロピレンの単独重合体、あるいは、プロピレンとα−オレフィン、その他等の他のモノマ−との共重合体を使用することができる。
而して、本発明において、ポリプロピレン系樹脂としては、具体的には、プロピレンを重合する際に、カチオン重合触媒等を用いる場合には、低分子量のポリマ−が得られるが、重合する際に、チ−グラ−・ナッタ触媒を用いる場合には、高分子量、高結晶度のアイソタクチック重合体を得ることができ、このアイソタクチック重合体を使用するものである。
上記のアイソタクチック重合体においては、その融点は、164℃〜170℃位であり、比重は、0.90〜0.91程度であり、分子量は、10万〜20万程度であり、その結晶性により性質は大きく支配されるが、アイソタクチックの高いポリマ−は、引っ張り強さ、衝撃強度に優れ、耐熱性、耐屈曲疲労強度が良好であり、かつ、加工性は極めて良好なものである。
なお、本発明において、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム、および、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムとしては、ドライラミネ−トあるいは溶融押出積層による積層を行う場合には、その表面に、予め、コロナ放電処理、オゾン処理、あるいは、プラズマ放電処理等の表面改質前処理を任意に施すことがてきるものである。
また、本発明においては、上記のポリプロピレン系樹脂の他に、必要ならば、更に、例えば、ポリエチレン系樹脂、その他等のポリプロピレン系樹脂と相溶性を有する樹脂を任意に添加して改質することができるものである。
而して、本発明において、上記のようなポリプロピレン系樹脂を使用することにより、太陽電池モジュ−ルを製造する際に、充填剤層等との密接着性に優れ、更に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性を著しく向上させ、その長期的な性能劣化を最小限に抑え、特に、加水分解劣化等を防止し、極めて耐久性に富み、その保護能力性に優れ、かつ、より低コストで安全な太陽電池モジュ−ルを構成することができるものである。
【0043】
更に、本発明において、上記のポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体(ホモ)とエチレン−プロピレンのランダム共重合体との混合物を使用することが好ましいものである。
本発明においては、基本的には、プロピレンの単独重合体としては、融点が比較的に高く、かつ、剛性的には硬いものを使用し、これに対し、エチレン−プロピレンのランダム共重合体としては、融点が低く、剛性的には柔らかいものを使用し、而して、本発明においては、その両者を混合し、その融点の低いものと高いものとを混合して使用することにより、その加工温度領域を広げて加工適性を向上させるものであり、また、硬度の柔らかいものと硬度の硬いものとを混合して使用することにより、折り曲げ加工適性を向上させると共にその白化を防止し、更に、いわゆる、腰、保形性等を保持させるものである。
上記においてプロピレンの単独重合体(ホモ)とエチレン−プロピレンのランダム共重合体との混合割合としては、前者、5〜50重量%に対し後者95〜50重量%位の配合割合、更には、前者、10〜30重量%に対し後者90〜70重量%位の配合割合が好ましいものである。
【0044】
一般に、食品等を充填包装する包装用材料等のヒートシール性樹脂層(シーラント層)として使用されるポリプロピレン系樹脂は、100℃前後で数秒間加熱するという低温領域でのヒートシール性を要求されることから、低温加工性が必要となり、融点もかなり下げられたものが適用されているが、本発明においては、そのような耐熱性の低いポリプロピレン系樹脂を使用することは不向きなものである。
また、本発明において、太陽電池モジュール用裏面保護シートとしての着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含むポリプロピレン系樹脂フィルムとしては、無延伸(未延伸)タイプと延伸タイプの2種類が主に存在するものであるが、フィルム強度としては、室温領域においては、延伸タイプの方が、無延伸(未延伸)タイプより良好なものであるが、しかし、太陽電池モジュールを製造する際に、通常、150〜170℃、20〜30分間くらいに加熱圧着するラミネーション工程を経ることから、延伸タイプのものは、その際に、激しく収縮し、好ましい太陽電池モジュールを製造することが困難であることから、太陽電池モジュール用裏面保護シートとしては、無延伸(未延伸) タイプのものを使用することが好ましいものである。
更に、本発明において、上記のポリプロピレン系樹脂としては、比較的に融点の高い組成を持つポリプロピレン系樹脂を使用することが望ましく、而して、かかることにより、通常、150〜170℃、20〜30分間くらいに加熱圧着するラミネーション工程を経て太陽電池モジュールを製造する際に熱収縮は少なく安定的であり、更に、ポリプロピレン系樹脂の加水分解等も起こらないので、耐湿熱試験時の耐久性等にも優れているという利点を有するものである。
【0045】
また、上記において、着色用添加剤としては、例えば、白色化剤、黒色化剤等の無彩色系、あるいは、赤、橙、黄、緑、青、紫、その他等の有彩色系等の種々の染料・顔料等の着色剤の1種ないし2種以上を使用することができる。
而して、本発明においては、上記のような着色用添加剤を使用し、例えば、一方の着色用添加剤として白色化剤を使用し、その他方の着色用添加剤として黒色化剤を使用するというようにして、その色相が異なる着色用添加剤を使用し、各々、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルム、および、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを製造するものである。
【0046】
上記において、白色化剤としては、太陽電池モジュ−ルにおいて透過した太陽光を光反射あるいは光拡散させて再利用するために光反射性、光拡散性等を付与することを目的として添加するものであり、その他、更に、太陽電池モジュ−ルに意匠性、装飾性等を付与し、また、太陽電池モジュ−ルを屋根等に設置した場合、照り返す太陽光等を光反射あるいは光拡散させるという作用効果を奏するものであり、例えば、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性けい酸鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポン、三酸化アンチモン、アナタス形酸化チタン、ルチル形酸化チタン、その他等の白色顔料の1種ないし2種以上を使用することができる。
その使用量としては、ポリオレフィン系樹脂組成物において、0.1重量%〜30重量%位、好ましくは、0.5重量%〜10重量%位添加して使用することが望ましいものである。
なお、本発明においては、白色化剤と後述する黒色化剤とを混合した灰色系の無彩色系染料・顔料等も使用することができるものである。
【0047】
また、上記において、黒色化剤としては、太陽電池モジュ−ルを、例えば、屋根等に設置する場合、その周囲の環境に合う意匠性、装飾性等を付与するという作用効果を奏するものであり、例えば、カ−ボンブラック(チャンネルまたはファ−ネス)、黒色酸化鉄、その他等の黒色顔料の1種ないし2種以上を使用することができる。
而して、本発明において、黒色化剤によって形成される黒色層としては、茶色系あるいは褐色系の黒色層、灰色系の黒色層、その他等の黒色味を帯びたいずれの黒色層でもよいものである。
上記において、黒色化剤の使用量としては、ポリプロピレン系樹脂組成物において、0.1重量%〜30重量%位、好ましくは、0.5重量%〜10重量%位添加して使用することが望ましいものである。
【0048】
次にまた、上記において、赤、橙、黄、緑、青、紫、その他等の有彩色系の染料・顔料としては、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、その他等の有彩色系等の種々の染料・顔料等の着色剤を使用することができ、而して、本発明において、上記の有彩色系の染の染料・顔料等の着色剤としては、太陽電池モジュ−ルを、例えば、屋根等に設置する場合、その周囲の環境に合う意匠性、装飾性等を付与するという作用効果を奏するものであり、例えば、アゾ系、アントラキノン系、フタロシアニン系、チオインジゴ系、キナクリドン系、ジオキサジン系、その他等の有機系の染料・顔料等の着色剤、あるいは、紺青、クロムバ−ミリオン、ベンガラ、その他等の無機系の顔料等の着色剤、その他等を使用することができる。
なお、本発明においては、上記のような有彩色系の着色用添加剤の中ても、特に、青色系の青色化剤を使用することが好ましいものである。
上記において、その使用量としては、ポリプロピレン系樹脂組成物において、0.1重量%〜30重量%位、好ましくは、0.5重量%〜10重量%位添加して使用することが望ましいものである。
【0049】
更に、上記において、紫外線吸収剤としては、前述の太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギ−へと変換し、高分子中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものであり、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾ−ル系、サルチレ−ト系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、ヒンダ−ドアミン系、超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm)あるいは超微粒子酸化亜鉛(0.01〜0.04μm)等の無機系等の紫外線吸収剤の1種ないしそれ以上を使用することができる。
その使用量としては、ポリプロピレン系樹脂組成物において、0.1重量%〜10重量%位、好ましくは、0.3重量%〜10重量%位添加して使用することが望ましいものである。
【0050】
また、上記において、光安定化剤としては、高分子中の光劣化開始源である励起された活性種を捕捉し、光劣化を防止するものであり、例えば、ヒンダ−ドアミン系化合物、ヒンダ−トピペリジン系化合物、その他等の光安定化剤の1種ないしそれ以上を使用することができる。
その使用量としては、ポリプロピレン系樹脂組成物において、0.1重量%〜10重量%位、好ましくは、0.3重量%〜10重量%位添加して使用することが望ましいものである。
【0051】
次にまた、上記のドライラミネ−ト積層方式において、ラミネ−ト用接着剤層を構成するラミネ−ト用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマ−、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレ−ト系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマ−との共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂等からなるポリオレフィン系接着剤、セルロ−ス系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノ−ル樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコ−ン系接着剤、アルカリ金属シリケ−ト、低融点ガラス等からなる無機系接着剤、その他等の接着剤を使用することがてきる。
上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シ−ト状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。
而して、上記の接着剤は、例えば、ロ−ルコ−ト法、グラビアロ−ルコ−ト法、キスコ−ト法、その他等のコ−ト法、あるいは、印刷法等によって施すことができ、そのコ−ティング量としては、0.1〜10g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
【0052】
本発明において、上記の接着剤としては、特に、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム等からなるゴム系接着剤を使用することが、それらの材料が耐加水分解性に優れていると共に本用途で求められる高耐寒性に最も適した材料であることから、最も望ましいものである。
また、本発明において、上記のラミネ−ト用接着剤としては、高耐熱性、耐湿熱性等に対応するために、接着剤を構成するビヒクルの主成分としての樹脂等が、架橋ないし硬化して三次元網目状の架橋構造等を形成し得るものを使用することが望ましいものである。
具体的には、上記のラミネ−ト用接着剤層を構成する接着剤が、硬化剤または架橋剤の存在下、熱または光等からなる反応エネルギ−により架橋構造を形成することが好ましいものである。
例えば、本発明においては、ラミネ−ト用接着剤層を構成する接着剤が、例えば、脂肪族系・脂環系イソシアネ−ト、あるいは、芳香族系イソシアネ−ト等のイソシアネ−ト系の硬化剤または架橋剤の存在下、熱、または光からなる反応エネルギ−によりラミネ−ト用接着剤が架橋構造を形成することにより、耐熱性、耐湿熱性等に優れた太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを製造し得るものである。
上記において、脂肪族系イソシアネ−トとしては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト(HDI)、脂環系イソシアネ−トとしては、例えば、イソホロンジイソシアネ−ト(IPDI)、芳香族系イソシアネ−トとしては、例えば、トリレンジイソシアネ−ト(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(MDI)、ナフチレンジイソシアネ−ト(NDI)、トリジンジイソシアネ−ト(TODI)、キシリレンジイソシアネ−ト(XDI)等を使用することができる。
【0053】
なお、上記の接着剤中には、紫外線劣化等を防止するために、前述の紫外線吸収剤あるいは光安定化剤を添加することができる。
上記の紫外線吸収剤あるいは光安定化剤としては、前述の紫外線吸収剤の1種ないしそれ以上、あるいは、光安定化剤の1種ないしそれ以上を同様に使用することができる。
その使用量としては、その粒子形状、密度等によって異なるが、約0.1〜10重量%位が好ましい。
【0054】
また、上記の溶融押出積層方式において、より強固な接着強度を得るために、例えば、アンカ−コ−ト剤等の接着助剤等を使用し、そのアンカ−コ−ト剤層を介して、積層することができる。
上記のアンカ−コ−ト剤としては、例えば、アルキルチタネ−ト等の有機チタン系、イソシアネ−ト系、ポリエチレンイミン系、ポリプタジエン系、その他等の水性ないし油性の各種のアンカ−コ−ト剤を使用することができる。
上記のアンカ−コ−ト剤は、例えば、ロ−ルコ−ト、グラビアロ−ルコ−ト、キスコ−ト、その他等のコ−ティング法を用いてコ−ティングすることができ、そのコ−ティング量としては、0.1〜5g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
更に、上記の溶融押出積層方式において、溶融押出樹脂層を構成する溶融押出樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、その他等の樹脂を使用することができる。
その溶融押出樹脂層の膜厚としては、5〜100μm位、好ましくは、10〜50μm位が望ましい。
【0055】
なお、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムと、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムと、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルム等との密接着性を改善するために、更に、例えば、予め、プライマ−コ−ト剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記のプライマ−コ−ト剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
なお、本発明においては、例えば、ロ−ルコ−ト、グラビアロ−ルコ−ト、キスコ−ト、その他等のコ−ティング法を用いてコ−ティングしてプライマ−コ−ト剤層を形成することができ、而して、そのコ−ティング量としては、0.1〜5g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
【0056】
次にまた、本発明において、無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上を重層する場合、あるいは、無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上を強靱性樹脂フィルムを介して重層する場合には、前述の2種の各耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムを形成する場合と同様に、ラミネ−ト用接着剤層等を介してドライラミネ−ト積層するドライラミネ−ト積層方式、あるいは、アンカ−コ−ト剤層、溶融押出樹脂層等を介して溶融押出積層する溶融押出積層方式、その他等の方式を用いて同様に重層することができる。
而して、上記のドライラミネ−ト積層方式、あるいは、溶融押出積層方式等を用いる場合には、前述のラミネ−ト用接着剤、アンカ−コ−ト剤、溶融押出樹脂、プライマ−コ−ト剤、その他等を同様に使用することができる。
【0057】
次に、本発明において、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト、太陽電池モジュ−ル等を構成する強靱性樹脂フィルムとしては、太陽電池モジュ−ル自身の強度、剛性、腰等を保持し、更に、太陽電池モジュ−ル等に水分等が浸入して生じる加水分解による強度劣化、あるいは、太陽電池モジュ−ルを構成する充填剤層等が分解して発生する酢ビ系ガス等の脱ガスによる強度劣化等を防止するものであることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防湿性、その他等の諸特性に優れ、また、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性を著しく向上させ、その長期的な性能劣化を最小限に抑え、特に、加水分解劣化等を防止し、極めて耐久性に富み、その保護能力性に優れている強靱性な樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
また、本発明において、その樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、強度、剛性、腰等を保持するに必要な最低限の厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するとい欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、剛性、腰等が低下して好ましくないものである。
本発明においては、上記のような理由から、約10μmないし200μm位、好ましくは、約30μmないし100μm位が最も望ましい。
【0058】
次に、本発明において、太陽電池モジュ−ルを構成する通常の太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トについて説明すると、かかる表面保護シ−トとしては、太陽光の透過性、絶縁性等を有し、更に、耐候性、耐熱性、耐光性、耐水性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防湿性、防汚性、その他等の諸特性を有し、物理的あるいは化学的強度性、強靱性等に優れ、極めて耐久性に富み、更に、光起電力素子としての太陽電池素子の保護ということから、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。
上記の表面保護シ−トとしては、具体的には、例えば、公知のガラス板等は勿論のこと、更に、例えば、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂(各種のナイロン)、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、アセタ−ル系樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、例えば、2軸延伸した樹脂のフィルムないしシ−トも使用することができる。
また、上記の樹脂のフィルムないしシ−トにおいて、その膜厚としては、12〜200μm位、より好ましくは、25〜150μm位が望ましい。
【0059】
次に、本発明において、太陽電池モジュ−ルを構成する太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トの下に積層する充填剤層について説明すると、かかる充填剤層としては、太陽光が入射し、これを透過して吸収することから透明性を有することが必要であり、また、表面保護シ−トおよび裏面保護シ−トとの接着性を有することも必要であり、更に、光起電力素子としての太陽電池素子の表面の平滑性を保持する機能を果たすために熱可塑性を有すること、更には、光起電力素子としての太陽電池素子の保護ということから、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。
具体的には、上記の充填剤層としては、例えば、フッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸、または、メタクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマ−ル酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラ−ル樹脂、シリコ−ン系樹脂、エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、その他等の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。
なお、本発明においては、上記の充填剤層を構成する樹脂には、耐熱性、耐光性、耐水性等の耐候性等を向上させるために、その透明性を損なわない範囲で、例えば、架橋剤、熱酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光酸化防止剤、その他等の添加剤を任意に添加し、混合することができるものである。
而して、本発明においては、太陽光の入射側の充填剤としては、耐光性、耐熱性、耐水性等の耐候性を考慮すると、フッ素系樹脂、シリコ−ン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂が望ましい素材である。
なお、上記の充填剤層の厚さとしては、200〜1000μm位、好ましくは、350〜600μm位が望ましい。
【0060】
次に、本発明において、太陽電池モジュ−ルを構成する光起電力素子としての太陽電池素子について説明すると、かかる太陽電池素子としては、従来公知のもの、例えば、単結晶シリコン型太陽電池素子、多結晶シリコン型太陽電池素子等の結晶シリコン太陽電子素子、シングル接合型あるいはタンデム構造型等からなるアモルファスシリコン太陽電池素子、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII −V 族化合物半導体太陽電子素子、カドミウムテルル(CdTe)や銅インジウムセレナイド(CuInSe2 )等のII−VI族化合物半導体太陽電子素子、有機太陽電池素子、その他等を使用することができる。
更に、薄膜多結晶性シリコン太陽電池素子、薄膜微結晶性シリコン太陽電池素子、薄膜結晶シリコン太陽電池素子とアモルファスシリコン太陽電池素子とのハイブリット素子等も使用することができる。
而して、本発明において、太陽電池素子は、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、金属基板、その他等の基板の上に、pn接合構造等の結晶シリコン、p−i−n接合構造等のアモルファスシリコン、化合物半導体等の起電力部分が形成されて太陽電池素子を構成するものである。
【0061】
次に、本発明において、太陽電池モジュ−ルを構成する光起電力素子の下に積層する充填剤層について説明すると、かかる充填剤層としては、上記の太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トの下に積層する充填剤層と同様に、裏面保護シ−トとの接着性を有することも必要であり、更に、光起電力素子としての太陽電池素子の裏面の平滑性を保持する機能を果たすために熱可塑性を有すること、更には、光起電力素子としての太陽電池素子の保護ということから、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。
しかし、上記の太陽電池モジュ−ルを構成する光起電力素子の下に積層する充填剤層としては、上記の太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トの下に積層する充填剤層と異なり、必ずも、透明性を有することを必要としないものである。
具体的には、上記の充填剤層としては、前述の太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トの下に積層する充填剤層と同様に、例えば、フッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸、または、メタクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマ−ル酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレンフィン系樹脂、ポリビニルブチラ−ル樹脂、シリコ−ン系樹脂、エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、その他等の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。
なお、本発明においては、上記の充填剤層を構成する樹脂には、耐熱性、耐光性、耐水性等の耐候性等を向上させるために、その透明性を損なわない範囲で、例えば、架橋剤、熱酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光酸化防止剤、その他等の添加剤を任意に添加し、混合することができるものである。
なお、上記の充填剤層の厚さとしては、200〜1000μm位、より好ましくは、350〜600μm位が望ましい。
【0062】
なお、本発明において、本発明にかかる太陽電池モジュ−ルを製造する際に、その強度、耐候性、耐スクラッチ性、その他等の諸堅牢性を向上させるために、その他の素材、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0063】
次に、本発明において、上記のような材料を使用して太陽電池モジュ−ルを製造する方法について説明すると、かかる製造法としては、公知の方法、例えば、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを使用し、例えば、上記の太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−ト、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、上記の本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを、その一方のポリオレフィン系樹脂フィルムの面を対向させて、順次に積層し、更に、必要ならば、各層間に、その他の素材を任意に積層し、次いで、これらを、真空吸引等により一体化して加熱圧着するラミネ−ション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して、太陽電池モジュ−ルを製造することができる。
上記において、必要ならば、各層間の接着性等を高めるために、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、その他等の樹脂をビヒクルの主成分とする加熱溶融型接着剤、溶剤型接着剤、光硬化型接着剤、その他等を使用することができる。
【0064】
また、上記の積層において、各積層対向面には、密接着性を向上させるために、必要に応じて、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロ−放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施すことができる。
更に、上記の積層においては、各積層対向面に、予め、プライマ−コ−ト剤層、アンダ−コ−ト剤層、接着剤層、あるいは、アンカ−コ−ト剤層等を任意に形成して、表面前処理を行うこともできる。
上記の前処理のコ−ト剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
また、上記において、コ−ト剤層の形成法としては、例えば、溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等のコ−ト剤を使用し、ロ−ルコ−ト法、グラビアロ−ルコ−ト法、キスコ−ト法、その他等のコ−ト法を用いてコ−トすることができる。
【0065】
更にまた、本発明においては、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トとして使用し、その太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トのいずれか一方のポリオレフィン系樹脂フィルムの面に、上記の充填剤層を積層して、予め、太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トと充填剤層とが積層した積層体を製造し、しかる後、上記の積層体を構成する充填剤層の面に、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トを順次に積層して、更に、必要ならば、その他の素材を任意に積層し、次いで、それらを真空吸引等により一体化して加熱圧着するラミネ−ション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して、太陽電池モジュ−ルを製造することができる。
【0066】
【実施例】
以下に本発明について実施例を挙げて更に具体的に本発明を説明する。
実施例1
(1).基材フィルムとして、両面にコロナ処理面を形成した厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、そのコロナ処理面に1×10-4Torrの真空下、高周波誘電加熱方式で純度99.9%の一酸化珪素(SiO2 )を加熱蒸着させ、膜厚800Å(80nm)の酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(2).他方、ポリプロピレン樹脂に、着色用添加剤として、白色化剤である酸化チタン粒子(5重量%)と紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(1重量%)と光安定化剤としてヒンダード アミン系光安定化剤(3重量%)とを添加し、その他、所要の添加剤を添加し、充分に混練してポリプロピレン樹脂組成物を調製し、次いで、該ポリプロピレン樹脂組成物をTダイ押出機を使用し、溶融押出成形して、厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを製造し、更に、該白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの両面に、常法に従って、コロナ放電処理を施してコロナ処理面を形成した。
(3).他方、ポリプロピレン樹脂に、着色用添加剤として、黒色化剤であるカーボンブラック(5重量%)と紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(1重量%)と光安定化剤としてヒンダ−ドアミン系光安定化剤(3重量%)とを添加し、その他、所要の添加剤を添加し、充分に混練してポリプロピレン樹脂組成物を調製し、次いで、該ポリプロピレン樹脂組成物をTダイ押出機を使用し、溶融押出成形して、厚さ60μmの黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを製造し、更に、該黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの両面に、常法に従って、コロナ放電処理を施してコロナ処理面を形成した。
(4).次に、上記の(2)で製造した白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの一方のコロナ処理面に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する2液硬化型のウレタン系ラミネート用接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(1)で製造した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層した。
(5).更に、上記の(3)で製造した黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを使用し、その一方のコロナ処理面に、上記と同様に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する2液硬化型のウレタン系ラミネート用接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(4)でドライラミネート積層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
(6).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール裏面保護シートを、その一方の黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
【0067】
実施例2
(1).上記の実施例1で製造した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムとを同様に使用し、まず、上記の実施例1の(4)と同様にして、厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの一方のコロナ処理面に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する2液硬化型のウレタン系ラミネート用接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層した。
(2).次に、上記でドライラミネート積層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、上記の(1)と同様にして、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する2液硬化型のウレタン系ラミネート用接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、別の厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを重層した。
(3).更に上記の実施例1で製造した厚さ60μmの黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを同様に使用し、その一方のコロナ処理面に、上記と同様に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する2液硬化型のウレタン系ラミネート用接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネ−ト用接着剤層の面に、上記の(3)でドライラミネ−ト積層して重層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層して、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを製造した。
(4).次に、上記で製造した太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−ト、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−ト、および、上記の太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを、その一方の白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュ−ルを製造した。
【0068】
実施例3
(1).基材フィルムとして、両面にコロナ処理面を形成した厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、そのコロナ処理面に1×10-4Torrの真空下、高周波誘電加熱方式で純度99.9%の一酸化珪素(SiO2 )を加熱蒸着させ、膜厚800Å(80nm)の酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(2).次に、上記の実施例1で製造した厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを同様に使用し、その一方のコロナ処理面に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による反応型アクリル系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(1)で製造した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層した。
(3).更に、上記の実施例1で製造した厚さ60μmの黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを同様に使用し、その一方のコロナ処理面に、上記と同様に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による反応型アクリル系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(2)でドライラミネート積層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
(4).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール裏面保護シートを、その一方の黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
【0069】
実施例4
(1).上記の実施例3で製造した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと上記の実施例1で製造した厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを同様に使用し、まず上記の実施例3の(2)と同様にして、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による反応型アクリル系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、別の厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層した。
(2).次に、上記でドライラミネート積層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、上記の(1)と同様にして、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による反応型アクリル系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、別の厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを重層した。
(3).更に上記の実施例1で製造した厚さ60μmの黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを同様に使用し、その一方のコロナ処理面に、上記と同様に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による反応型アクリル系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(2)でドライラミネート積層して重層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
(4).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール裏面保護シートを、その一方の白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
【0070】
実施例5
(1).基材フィルムとして、両面にコロナ処理面を形成した厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、上記の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方のコロナ処理面に、下記の条件で厚さ800Å(80nm)の酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:10:10(単位:slm)
真空チャンバ−内の真空度:5.0×10-6mbar
蒸着チャンバ−内の真空度:6.0×10-2mbar
冷却・電極ドラム供給電力:20kW
フィルムの搬送速度:80m/分
(2).次に、上記の実施例1で製造した厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを同様に使用し、その一方のコロナ処理面に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(1)で製造した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層した。
(3).更に、上記の実施例1で製造した厚さ60μmの黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを同様に使用し、その一方のコロナ処理面に、上記と同様に紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(2)でドライラミネート積層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
(4).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール裏面保護シートを、その一方の白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
【0071】
実施例6
(1).上記の実施例5で製造した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと実施例1で製造した厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを同様に使用し、まず上記の実施例5の(2)と同様にして、上記の実施例1で製造した厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの一方のコロナ処理面に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の実施例5で製造した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層した。
(2).次に、上記でドライラミネート積層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、上記の(1)と同様にして、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の実施例5で製造した別の厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを重層した。
(3).更に上記の実施例1で製造した厚さ60μmの黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを同様に使用し、その一方のコロナ処理面に、上記と同様に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(2)でドライラミネート積層して重層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
(4).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール裏面保護シートを、その一方の黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
【0072】
実施例7
(1).上記の実施例5で製造した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと実施例1で製造した厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを同様に使用し、まず上記の実施例5の(2)と同様にして、上記の実施例1で製造した厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの一方のコロナ処理面に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の実施例5で製造した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層した。
(2).次に、上記でドライラミネート積層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、上記の(1)と同様にして、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、両面にコロナ処理面を形成した厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、その一方のコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、次いで、その両者をドライラミネート積層した。
(3).次に、上記でドライラミネート積層した厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの他方のコロナ処理面に、上記の(1)と同様にして、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の実施例5で製造した別の厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを重層した。
(4).更に上記の実施例1で製造した厚さ60μmの黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを使用し、その一方のコロナ処理面に、上記と同様に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(2)でドライラミネート積層して重層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
(5).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール裏面保護シートを、その一方の白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
【0073】
実施例8
(1).基材フィルムとして、両面にコロナ処理面を形成した厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方のコロナ処理面に、下記の条件で厚さ50Å(5nm)の酸化珪素の蒸着膜を形成して、耐蒸着保護膜を設けた。
(蒸着条件)
反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=5:5:5(単位:slm)
真空チャンバ−内の真空度:7.0×10-6mbar
蒸着チャンバ−内の真空度:3.8×10-2mbar
冷却・電極ドラム供給電力:15kW
フィルムの搬送速度:100m/分
次に、上記で形成した耐蒸着保護膜の上に、以下、上記の実施例5と全く同様にして、上記の実施例5と同様な本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シートを製造することができた。
(2).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール裏面保護シートを、その一方の黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
【0074】
実施例9
(1).基材フィルムとして、両面にコロナ処理面を形成した厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、まず、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを巻き取り式の真空蒸着機の送り出しロ−ルに装着し、次に、これを繰り出し、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの一方のコロナ処理面に、一酸化珪素(SiO)を蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚800Å(80nm)の酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チャンバ−内真空度;1.33×10-2Pa(1×10-4Torr)
巻き取りチャンバ−内真空度;1.33×10-2Pa
電子ビ−ム電力;25kw
フィルム搬送速度;400m/分
蒸着面;コロナ処理面
(2).次に、上記の実施例1で製造した厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを同様に使用し、その一方のコロナ処理面に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(1)で製造した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層した。
(3).更に、上記の実施例1で製造した厚さ60μmの黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを同様に使用し、その一方のコロナ処理面に、上記と同様に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(2)でドライラミネート積層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
(4).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール裏面保護シートを、その一方の白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
【0075】
実施例10
上記の実施例9で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを同様に使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール裏面保護シートを、その一方の黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
【0076】
実施例11
(1).上記の実施例9で製造した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと上記の実施例1で製造した厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを同様に使用し、まず上記の実施例9の(2)と同様にして、上記の実施例1で製造した厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの一方のコロナ処理面に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の実施例9で製造した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層した。
(2).次に、上記でドライラミネート積層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、上記の(1)と同様にして、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の実施例9で製造した別の厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを重層した。
(3).更に上記の実施例1で製造した厚さ60μmの黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを同様に使用し、その一方のコロナ処理面に、上記と同様に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(2)でドライラミネート積層して重層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
(4).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール裏面保護シートを、その一方の白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
【0077】
実施例12
上記の実施例11で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを同様に使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール裏面保護シートを、その一方の黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
【0078】
実施例13
(1).上記の実施例9で製造した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと上記の実施例1で製造した厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを同様に使用し、まず、上記の実施例9の(2)と同様にして、上記の実施例1で製造した厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの一方のコロナ処理面に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の実施例9で製造した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層した。
(2).次に、上記でドライラミネート積層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面に、上記の(1)と同様にして、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、両面にコロナ処理面を形成した厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、その一方のコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、次いで、その両者をドライラミネート積層した。
(3).次に、上記でドライラミネート積層した厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの他方のコロナ処理面に、上記の(1)と同様にして、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の実施例9で製造した別の厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを重層した。
(4).更に上記の実施例1で製造した厚さ60μmの黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを同様に使用し、その一方のコロナ処理面に、上記と同様に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する芳香族系イソシアネート硬化剤による架橋ネットワーク導入したスチレン- ブタジエンゴム系接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(2)でドライラミネート積層して重層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
(5).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール裏面保護シートを、その一方の白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
【0079】
実施例14
(1).基材フィルムとして、両面にコロナ処理面を形成した厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、まず、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを巻き取り式の真空蒸着機の送り出しロ−ルに装着し、次に、これを繰り出し、その2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの一方のコロナ処理面に、一酸化珪素(SiO)を蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚50Å(5nm)の酸化珪素の蒸着膜を形成して、耐蒸着保護膜を設けた。
(蒸着条件)
蒸着チャンバ−内真空度;1.33×10-2Pa(1×10-4Torr)
巻き取りチャンバ−内真空度;1.33×10-2Pa
電子ビ−ム電力;25kw
フィルム搬送速度;400m/分
蒸着面;コロナ処理面
次に、上記で形成した耐蒸着保護膜の上に、以下、上記の実施例10と全く同様にして、上記の実施例10と同様な本発明にかかる裏面保護シート、および、太陽電池モジュールを製造することができた。
【0080】
実施例15〜20
(1).基材フィルムとして、両面にコロナ処理面を形成した厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、そのコロナ処理面に1×10-4Torrの真空下、抵抗加熱方式で純度99.9%の一酸化珪素(SiO2 )を加熱蒸着させ、膜厚800Å(80nm)の酸化珪素の蒸着膜を形成した。
次に、上記で膜厚800Å(80nm)の酸化珪素の蒸着膜を形成した厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、以下、上記の実施例9、同10、同11、同12、同14、および、同14と全く同様にして、各々、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートおよびそれを使用した太陽電池モジュールを同様に製造した。
【0081】
比較例1
厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−ト、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ50μmの2軸延伸ポリアラミド樹脂フィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−ト、および、厚さ100μmの黒色化剤と紫外線吸収剤と光安定剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムを、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュ−ルを製造した。
【0082】
比較例2
厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−ト、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ50μmの2軸延伸ポリアラミド樹脂フィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−ト、および、厚さ100μmの白色の2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュ−ルを製造した。
【0083】
比較例3
厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−ト、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ50μmの2軸延伸ポリアラミド樹脂フィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−ト、および、厚さ100μmの白色のポリフッ化ビニル樹脂シ−トを対向させて、かつ、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュ−ルを製造した。
【0084】
比較例4
厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−ト、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ50μmの2軸延伸ポリアラミド樹脂フィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−ト、および、厚さ100μmの黒色のポリフッ化ビニル樹脂シ−トを、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュ−ルを製造した。
【0085】
比較例5
(1).基材フィルムとして、両面にコロナ処理面を形成した厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、そのコロナ処理面に1×10-4Torrの真空下、高周波誘電加熱方式で純度99.9%の一酸化珪素(SiO2 )を加熱蒸着させ、膜厚800Å(80nm)の酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(2).他方、ポリプロピレン樹脂に、着色用添加剤として、白色化剤である酸化チタン粒子(5重量%)と紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(1重量%)と光安定化剤としてヒンダード アミン系光安定化剤(3重量%)とを添加し、その他、所要の添加剤を添加し、充分に混練してポリプロピレン樹脂組成物を調製し、次いで、該ポリプロピレン樹脂組成物をTダイ押出機を使用し、溶融押出成形して、厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを製造し、更に、該白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの両面に、常法に従って、コロナ放電処理を施してコロナ処理面を形成した。
(3).次に、上記の(2)で製造した厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの一方のコロナ処理面に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する2液硬化型のウレタン系ラミネート用接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(1)で製造した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層した。
(4).更に、上記の(2)で製造した厚さ60μmの白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを使用し、その一方のコロナ処理面に、上記と同様に紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する2液硬化型のウレタン系ラミネート用接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(3)でドライラミネート積層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
(5).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール裏面保護シートを、その一方の白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
【0086】
比較例6
(1).基材フィルムとして、両面にコロナ処理面を形成した厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、そのコロナ処理面に1×10-4Torrの真空下、高周波誘電加熱方式で純度99.9%の一酸化珪素(SiO2 )を加熱蒸着させ、膜厚800Å(80nm)の酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(2).他方、ポリプロピレン樹脂に、着色用添加剤として、黒色化剤であるカ−ボンブラック(5重量%)と紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(1重量%)と光安定化剤としてヒンダード アミン系光安定化剤(3重量%)とを添加し、その他、所要の添加剤を添加し、充分に混練してポリプロピレン樹脂組成物を調製し、次いで、該ポリプロピレン樹脂組成物をTダイ押出機を使用し、溶融押出成形して、厚さ60μmの黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを製造し、更に、該黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの両面に、常法に従って、コロナ放電処理を施してコロナ処理面を形成した。
(3).次に、上記の(2)で製造した厚さ60μmの黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの一方のコロナ処理面に、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する2液硬化型のウレタン系ラミネート用接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(1)で製造した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層した。
(4).更に、上記の(2)で製造した厚さ60μmの黒着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを使用し、その一方のコロナ処理面に、上記と同様に紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2重量%)を含有する2液硬化型のウレタン系ラミネート用接着剤を使用し、これを、グラビアロールコート法により、膜厚5.0g/m2 (乾燥状態)になるようにコーティングしてラミネート用接着層を形成した。
次いで、上記で形成したラミネート用接着剤層の面に、上記の(3)でドライラミネート積層した厚さ800Åの酸化珪素の蒸着膜を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネート積層して、太陽電池モジュール用裏面保護シートを製造した。
(5).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用し、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン- 酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール裏面保護シートを、その一方の白着色無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの面を対向させ、更に、上記の太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
【0087】
実験例1
上記の実施例1〜20で製造した本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トおよびそれを使用して製造した太陽電池モジュ−ルと、比較例1〜6にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トおよびそれを使用して製造した太陽電池モジュ−ルとについて、(1).発電効率、(2).出力低下率、(3).水蒸気透過率、(4).引張り強度維持率、(5).積層強度、および、(6).コストを測定した。
(1).発電効率の測定
これは、疑似太陽光を用いたソ−ラ−シュミレ−タ(AM1.5)からの平行光を太陽電池モジュ−ルに照射し、発生した電流を計測することにより測定した。
(2).出力低下率の測定
これは、JIS規格C8917−1989に基づいて、太陽電池モジュ−ルの環境試験を行い、試験前後の光起電力の出力を測定して、比較評価した。
(3).水蒸気透過率の測定
これは、実施例1〜20で製造した本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トと比較例1〜6にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トについて、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMATRAN)〕を使用して測定した。
(4).引張り強度維持率の測定
これは、温度85℃、湿度85%、1000hrの環境試験を実施し、試験前後での引張り強度の比較評価を行い、試験前の引張り強度を100%としたときの試験後の引張り強度維持率を測定したものである。
測定は、上記の実施例1〜20で製造した本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トと比較例1〜6にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを15mm巾に裁断し、引張り試験機〔エ−・アンド・デ−(A&D)株式会社製 機種名 テンシロン〕を用いて測定して評価した。
(5).積層強度の測定
これは、実施例1〜20で製造した本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トと比較例1〜6にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トについて、その一方の面に、充填剤層としての 厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−トを積層し、次いで、その積層シ−トを15mm巾に裁断し、引っ張り試験機〔エ−・アンド・デ−(A&D)株式会社製 機種名 テンシロン〕を用いて、その積層シ−トの積層面の剥離強度を測定して評価した。
(6).コストの測定
これは、各構成材料の価格、各仕様の生産性、在庫管理性を比較することによりコストを測定した。
上記の測定結果について下記の表1に示す。
【0088】
(表1)
上記の表1において、発電効率の単位は、〔%〕であり、出力低下率の単位は、〔%〕(85℃85%1000h)であり、水蒸気透過度の単位は、〔g/m2 /day・40℃・100%RH〕であり、引張り強度劣化維持率の単位は、〔%〕(85℃85%1000h)であり、積層強度の単位は、〔N/15mm巾〕であり、コストの単位は、◎は、極めて優れた低コスト性を持つことを意味し、○は、優れた低コスト性を持つことを意味し、△は、低コスト性に劣ることを意味し、×は、極めて低コスト性に劣ることを意味する。
【0089】
上記の表1に示す測定結果より明らかなように、実施例1〜20かかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トは、照射面を白色側にした場合も黒色側にした場合も水蒸気透過度、引っ張り強度維持率、および、積層強度に優れていた。
また、上記の実施例1〜20にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トは、用途に応じて表裏を使い分けることができ、一品種での対応が効く為、在庫管理の容易性、コストパフォーマンスに優れていた。
更に、上記の実施例1〜20にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを、照射面を白色側にして太陽電池モジュールに用いた場合も、照射面を黒色側にして太陽電池モジュールに用いた場合も出力低下率は低いものであった。
これに対し、比較例1〜4にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートは、水蒸気透過度、引っ張り強度維持率、および、積層強度が低く、そのためにそれを用いて製造した太陽電池モジュールは、出力低下率が高い等の問題点があるものであった。
また、比較例1〜6にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートは、用途に応じて各品種が必要である為、在庫管理が困難になり、コストパフォーマンスに劣るという問題があった。
更に、比較例1、4、6にかかる太陽電池モジュールは材料費が高く、用途に応じて各品種が必要である為、在庫管理が困難になり、コストパフォーマンスに劣り、引っ張り強度維持率、積層強度等が低いものの、一般的に使用されている太陽電池モジュールの構成であり、本実施例と同程度の出力低下率を達成しているものであった。
この点から考慮し、本発明にかかる太陽電池モジュール用裏面保護シートは、比較例5、6にかかる太陽電池モジュールを構成する裏面保護シートに代わって性能、コスト面から、充分に使用することができるものであることが判明した。
【0090】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなよう、本発明は、まず、基材フィルムの一方の面に、酸化珪素、あるいは、酸化アルミニウム等のガラス質からなる透明な、かつ、水蒸気バリア性、酸素バリア性等に優れた無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、上記で無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、または、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上を重層し、更に、上記で重層した重層体の一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、あるいは、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上を強靱性樹脂フィルムを介して重層し、更に、上記で重層した重層体の一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層して太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを製造し、而して、上記で製造した太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを使用し、例えば、ガラス板等からなる通常の太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−ト、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、上記の太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを、その一方のポリオレフィン系樹脂フィルムの面を対向させて順次に積層し、次いで、これらを一体的に真空吸引して加熱圧着するラミネ−ション法等を利用して太陽電池モジュ−ルを製造して、上記の太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トが、一方の片面の色仕様の利点と他方の片面の異なる色仕様の利点を併せ持ち、用途に応じて表裏を使い分けることができ、一品種での対応が効くため、在庫管理の容易性、コストパフォ−マンスに優れ、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防汚性、その他等の諸特性に優れ、特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性を著しく向上させ、その長期的な性能劣化を最小限に抑え、更に、加水分解劣化等を防止し、極めて耐久性に富み、保護能力性に優れ、かつ、より低コストで安全な太陽電池モジュ−ルを構成する太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トおよびそれを使用した太陽電池モジュ−ルを安定的に製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トについてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。
【図2】本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トについてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。
【図3】本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トについてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。
【図4】本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トについてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。
【図5】本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トについてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。
【図6】無機酸化物の蒸着膜について、他の例の層構成を示す概略を示す概略的断面図である。
【図7】無機酸化物の蒸着膜について、他の例の層構成を示す概略を示す概略的断面図である。
【図8】図1に示す本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを使用して製造した太陽電池モジュ−ルついてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。
【図9】巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
【図10】プラズマ化学蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
【符号の説明】
A 太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト
A1 〜A4 太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト
1 基材フィルム
2 無機酸化物の蒸着膜
2a 多層膜
2b 無機酸化物の蒸着膜
2c 無機酸化物の蒸着膜
2d 複合膜
3 ポリプロピレン系樹脂フィルム
4 ポリプロピレン系樹脂フィルム
5 重層体
5a 重層体
6 強靱性樹脂フィルム
7 ラミネ−ト用接着剤層
8 アンカ−コ−ト剤層、溶融押出樹脂層等
T 太陽電池モジュ−ル
11 太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−ト
12 充填剤層
13 太陽電池素子
14 充填剤層
15(A) 太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト
Claims (16)
- 基材フィルムの一方または両方の面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、かつ当該積層が、ラミネ−ト用接着剤層を介して積層され、当該ラミネ−ト用接着剤層を構成する接着剤が、硬化剤または架橋剤の存在下、熱または光からなる反応エネルギ−により架橋構造を形成することを特徴とする太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト。
- 基材フィルムの一方または両方の面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、かつ、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上を重層し、更に、上記で重層した重層体の一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、かつ当該積層が、ラミネ−ト用接着剤層を介して積層され、当該ラミネ−ト用接着剤層を構成する接着剤が、硬化剤または架橋剤の存在下、熱または光からなる反応エネルギ−により架橋構造を形成することを特徴とする太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト。
- 基材フィルムの一方または両方の面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、かつ、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上を強靱性樹脂フィルムを介して重層し、更に、上記で重層した重層体の一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、かつ当該積層が、ラミネ−ト用接着剤層を介して積層され、当該ラミネ−ト用接着剤層を構成する接着剤が、硬化剤または架橋剤の存在下、熱または光からなる反応エネルギ−により架橋構造を形成することを特徴とする太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト。
- ラミネ−ト用接着剤層を構成する接着剤が、イソシアネ−ト系の硬化剤または架橋剤の存在下、熱または光からなる反応エネルギ−により架橋構造を形成することを特徴とする上記の請求項1〜3のいずれか1項に記載する太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト。
- 基材フィルムが、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリカ−ボネ−ト系樹脂フィルム、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、または、ポリエステル系樹脂フィルムからなることを特徴とする上記の請求項1〜4のいずれか1項に記載する太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト。
- 無機酸化物の蒸着膜が、無機酸化物の蒸着膜の1層若しくは2層以上の多層膜、または、異種の無機酸化物の蒸着膜の2層以上の複合膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜5のいずれか1項に記載する太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト。
- 無機酸化物の蒸着膜が、化学気相成長法または物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜6のいずれか1項に記載する太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト。
- 着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムが、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを練り込み加工した耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムからなることを特徴とする上記の請求項1〜7のいずれか1項に記載する太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト。
- 着色用添加剤が、黒色化剤、白色化剤または青色化剤からなることを特徴とする上記の請求項1〜8のいずれか1項に記載する太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト。
- 黒色化剤が、黒色系顔料からなることを特徴とする上記の請求項1〜9のいずれか1項に記載する太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト。
- 白色化剤が、白色系顔料からなることを特徴とする上記の請求項1〜10のいずれか1項に記載する太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト。
- 青色化剤が、青色系顔料からなることを特徴とする上記の請求項1〜11のいずれか1項に記載する太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト。
- 紫外線吸収剤が、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾ−ル系、サルチレ−ト系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、または、超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm)若しくは超微粒子酸化亜鉛(0.01〜0.04μm)からなる無機系の紫外線吸収剤の1種ないしそれ以上からなることを特徴とする上記の請求項1〜12のいずれか1項に記載する太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト。
- 光安定化剤が、ヒンダ−ドアミン系化合物の1種ないしないしそれ以上からなることを特徴とする上記の請求項1〜13のいずれか1項に記載する太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト。
- ポリオレフィン系樹脂フィルムが、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリブテン、ポリ4−メチルペンテン、ポリイソブチレン、シンジオタクチックポリスチレン、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、プロピレン単独重合体またはプロピレンと他のモノマ−との共重合体からなる樹脂のフィルムからなることを特徴とする上記の請求項1〜14のいずれか1項に記載する太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト。
- 太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−ト、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、当該積層が、ラミネ−ト用接着剤層を介して積層され、当該ラミネ−ト用接着剤層を構成する接着剤が、硬化剤または架橋剤の存在下、熱または光からなる反応エネルギ−により架橋構造を形成した構成からなる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト、または、基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上を重層し、かつ、上記で重層した重層体の一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、当該積層が、ラミネ−ト用接着剤層を介して積層され、当該ラミネ−ト用接着剤層を構成する接着剤が、硬化剤または架橋剤の存在下、熱または光からなる反応エネルギ−により架橋構造を形成した構成からなる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト、あるいは、基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの2層以上を強靱性樹脂フィルムを介して重層し、かつ、上記で重層した重層体の一方の片面に、着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、その他方の片面に、上記の着色用添加剤と色相が異なる着色用添加剤と紫外線吸収剤と光安定化剤とを含む耐熱性のポリオレフィン系樹脂フィルムを積層し、当該積層が、ラミネ−ト用接着剤層を介して積層され、当該ラミネ−ト用接着剤層を構成する接着剤が、硬化剤または架橋剤の存在下、熱または光からなる反応エネルギ−により架橋構造を形成した構成からなる太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トを、その一方のポリオレフィン系樹脂フィルムの面を対向させて順次に積層し、これらを真空吸引して加熱圧着ラミネ−ション法等により一体成形体としたことを特徴とする太陽電池モジュ−ル。
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