JP4757364B2 - 太陽電池モジュ−ル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池モジュ−ル用保護シ−トおよびそれを使用した太陽電池モジュ−ルに関し、更に詳しくは、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防湿性、防汚性、その他等の諸特性に優れ、極めて耐久性に富み、保護能力性が高い太陽電池モジュ−ル用表面または裏面保護シ−トおよびそれを使用した太陽電池モジュ−ルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリ−ンなエネルギ−源としての太陽電池が注目され、現在、種々の形態からなる太陽電池モジュ−ルが開発され、提案されている。
一般に、上記の太陽電池モジュ−ルは、例えば、結晶シリコン太陽電池素子あるいはアモルファスシリコン太陽電池素子等を製造し、そのような太陽電池素子を使用し、表面保護シ−ト層、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、裏面保護シ−ト層等の順に積層し、真空吸引して加熱圧着するラミネ−ション法等を利用して製造されている。
而して、上記の太陽電池モジュ−ルは、当初、電卓への適用を始めとし、その後、各種の電子機器等に応用され、民生用の利用として、その応用範囲は急速に広まりつつあり、更に、今後、最も重要な課題として、大規模集中型太陽電池発電の実現であるとされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の太陽電池モジュ−ルを構成する保護シ−ト層としては、例えば、表面保護シ−ト層の場合は、現在、ガラス板等が、最も一般的に使用され、その他、近年、フッ素系樹脂シ−ト等の樹脂シ−トも注目され、その開発が、急速に進められている。
また、上記の太陽電池モジュ−ルを構成する裏面保護シ−ト層の場合は、現在、強度に優れた樹脂シ−ト等が、最も一般的に使用され、その他、金属板等も使用されている。
而して、一般に、太陽電池モジュ−ルを構成する保護シ−ト層としては、例えば、表面保護シ−ト層の場合は、太陽電池が、太陽光を吸収して光起電力することから、太陽光を透過する透過性に富むと共に強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性等の諸堅牢性に優れ、特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性に優れ、更に、表面硬度が高く、かつ、表面の汚れ、ゴミ等の蓄積を防止する防汚性に優れ、極めて耐久性に富み、その保護能力性が高いこと、その他等の条件を充足することが必要とされ、また、裏面保護シ−ト層の場合も、ほぼ、上記の表面保護シ−ト層の場合と同様な条件を充足することが必要とされている。
しかしながら、太陽電池モジュ−ルを構成する表面保護シ−ト層として、現在、最も一般的に使用されているガラス板等は、太陽光の透過性に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐薬品性等の諸堅牢性に優れ、また、防湿性にも優れ、更に、表面硬度が硬く、かつ、表面の汚れ、ゴミ等の蓄積を防止する防汚性に優れ、その保護能力性が高い等の利点を有するが、強度、可塑性、耐衝撃性、軽量性等に欠け、更に、その加工性、施工性等に劣り、かつ、低コスト化等に欠けるという問題点がある。
また、上記の太陽電池モジュ−ルを構成する表面保護シ−ト層として、フッ素系樹脂等の樹脂シ−トを使用する場合には、ガラス板等と比較して、強度、可塑性、耐衝撃性、軽量性、等に富むものではあるが、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐薬品性等の諸堅牢性に劣り、特に、防湿性、防汚性等に欠けるという問題点がある。
また、上記の太陽電池モジュ−ルを構成する裏面保護シ−ト層として、強度に優れた樹脂シ−ト等を使用する場合には、強度、可塑性、耐衝撃性、軽量性、低コスト化等に富むものではあるが、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐薬品性等の諸堅牢性に劣り、特に、防湿性、防汚性等に欠けるという問題点がある。
そこで本発明は、強度に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防湿性、防汚性、その他等の諸特性に優れ、特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性を著しく向上させ、その長期的な性能劣化を最小限に抑え、極めて耐久性に富み、保護能力性が高く、かつ、より低コストで安全な太陽電池モジュ−ルを構成する保護シ−トを安定的に提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、太陽電池モジュ−ルを構成する保護シ−ト層について、上記のような問題点を解決すべく種々研究の結果、太陽電池モジュ−ルを構成する保護シ−ト層として使用されているガラス板の特性に着目し、まず、フッ素系樹脂シ−トを基材シ−トとして使用し、その片面に、酸化珪素、あるいは、酸化アルミニウム等の透明な、ガラス質からなる無機酸化物の蒸着薄膜を設けて太陽電池モジュ−ル用保護シ−トを製造し、而して、該太陽電池モジュ−ル用保護シ−トを太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トまたは太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トとして使用し、例えば、上記の太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トを、その無機酸化物の蒸着薄膜の面を内側にし、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、通常の太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト層等を順次に積層し、次いで、これらを一体的に真空吸引して加熱圧着するラミネ−ション法等を利用して太陽電池モジュ−ルを製造したところ、太陽光の透過性に優れ、かつ、強度に優れ、更に、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防湿性、防汚性、その他等の諸特性に優れ、特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性を著しく向上させ、その長期的な性能劣化を最小限に抑え、極めて耐久性に富み、保護能力性が高く、かつ、より低コストで安全な太陽電池モジュ−ルを安定的に製造し得ることを見出して本発明を完成したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、フッ素系樹脂シートの片面に、化学気相成長法または物理気相成長法による酸化珪素の蒸着薄膜層と酸化アルミニウムの蒸着薄膜層からなる2層以上の複合膜を設けたことを特徴とする太陽電池モジュールに関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に図面等を用いて更に詳しく説明する。なお、本発明において、シートとは、シート状物ないしフィルム状物のいずれの場合も意味するものであり、また、フィルムとは、フィルム状物ないしシート状物のいずれの場合も意味するものである。本発明にかかる太陽電池モジュール用保護シートおよびそれを使用した太陽電池モジュールについてその層構成を図面等を用いて更に具体的に説明すると、図1、図2、図3および図4は、太陽電池モジュール用保護シートの層構成についてその二三例を例示する概略的断面図であり、図5、図6および図7は、図1に示す太陽電池モジュール用保護シートを使用して製造した太陽電池モジュールの層構成についてその二三例を例示する概略的断面図である。
本発明にかかる太陽電池モジュールの層構成は、図5、図6、および図7における太陽電池モジュール用保護シートを、図1に示す層構成から図4に示す層構成に置き換えたものに相当する。
【0007】
まず、本発明にかかる太陽電池モジュール用保護シートAは、図1に示すように、フッ素系樹脂シート1の片面に、無機酸化物の蒸着薄膜2を設けた構成からなることを基本構造とするものである。而して、本発明にかかる太陽電池モジュール用保護シートについて、参考例を例示すると、図2に示すように、フッ素系樹脂シート1の片面に、予め、表面処理層3を設け、更に、該フッ素系樹脂シート1の表面処理層3の面に、無機酸化物の蒸着薄膜2を設けた構成からなる太陽電池モジュール用保護シートA1を挙げることができる。更に、本発明にかかる太陽電池モジュール用保護シートについて、別の参考例を例示すると、図3に示すように、フッ素系樹脂シート1の片面に、無機酸化物の蒸着薄膜2、2を少なくとも2層以上設けた多層膜4から構成してなる太陽電池モジュール用表面保護シートA2を挙げることができる。更に、本発明にかかる太陽電池モジュールに使用する保護シートについて、例示すると、図4に示すように、フッ素系樹脂シート1の片面に、まず、化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜2aを設け、次いで、該無機酸化物の蒸着薄膜2aの上に、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜2bを設けて異種の無機酸化物の蒸着薄膜2a、2bの2層以上からなる複合膜5から構成してなる太陽電池モジュール用表面保護シートA3を挙げることができる。上記の例示は、太陽電池モジュール用保護シートについてその二三例を例示するものであり、本発明は、これによって限定されるものではないことは勿論である。例えば、図示しないが、上記の図3および図4に示す太陽電池モジュール用保護シートにおいては、上記の図2に示す表面処理層3を同様に設けることができ、また、上記の図4に示す太陽電池モジュール用保護シートA3においては、先に、物理気相成長法により無機酸化物の蒸着薄膜を設け、次に、化学気相成長法により無機酸化物の蒸着薄膜を設けてもよいものである。
【0008】
次に、本発明において、上記の太陽電池モジュール用保護シートを使用して製造した太陽電池モジュールについてその一例を例示すると、上記の図1に示す太陽電池モジュール用保護シートAを使用した例で説明すると、図5に示すように、上記の図1に示す太陽電池モジュール用保護シートAを太陽電池モジュール用表面保護シート11として使用し、而して、該太陽電池モジュール用表面保護シート11(A)の無機酸化物の蒸着薄膜2の面を内側にし、順次に、充填剤層12、光起電力素子としての太陽電池素子13、充填剤層14、および、通常の太陽電池モジュール用裏面保護シート層15等を積層し、次いで、これらを一体として、真空吸引して加熱圧着するラミネ−ション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として太陽電池モジュールTを製造することができる。更に、本発明において、上記の太陽電池モジュール用保護シートを使用して製造した太陽電池モジュールについて、他の一例を例示すると、上記と同様に、上記の図1に示す太陽電池モジュール用保護シートAを使用した例で説明すると、図6に示すように、上記の図1に示す太陽電池モジュール用保護シートAを太陽電池モジュール用裏面保護シート16として使用し、まず、通常の太陽電池モジュール用表面保護シート17、充填剤層12、光起電力素子としての太陽電池素子13、充填剤層14、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シート16(A)を、その無機酸化物の蒸着薄膜2の面を対向させて順次に積層し、次いで、これらを一体として、真空吸引して加熱圧着するラミネ−ション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として太陽電池モジュールT1を製造することができる。また、本発明において、上記の太陽電池モジュール用保護シートを使用して製造した太陽電池モジュールについて、別の一例を例示すると、上記と同様に、上記の図1に示す太陽電池モジュール用保護シートAを使用した例で説明すると、図7に示すように、上記の図1に示す太陽電池モジュール用保護シートAを太陽電池モジュール用表面保護シート11として使用し、また、上記の図1に示す太陽電池モジュール用保護シートAを太陽電池モジュール用裏面保護シート16として使用し、上記の太陽電池モジュール用表面保護シート11(A)の無機酸化物の蒸着薄膜2の面を内側にし、順次に、充填剤層12、光起電力素子としての太陽電池素子13、充填剤層14、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シート16(A)を、その無機酸化物の蒸着薄2面を対向させて積層し、次いで、これらを一体として、真空吸引して加熱圧着するラミネ−ション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として太陽電池モジュールT2を製造することができる。上記の例示は、太陽電池モジュール用保護シートおよびそれを使用して製造した太陽電池モジュールについてその一例を例示するものであり、本発明はこれにより限定されるものではない。例えば、図示しないが、上記の図2、図3、図4等に示す太陽電池モジュール用保護シートを使用し、上記と同様にして、種々の形態からなる太陽電池モジュールを製造することができ、また、上記の太陽電池モジュールにおいては、太陽光の吸収性、補強、その他等の目的のもとに、更に、他の層を任意に加えて積層することができるものである。
【0009】
次に、本発明において、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用保護シ−トおよびそれを使用した太陽電池モジュ−ルを構成する材料、製造法等について更に詳しく説明すると、まず、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用保護シ−ト、太陽電池モジュ−ル等を構成するフッ素系樹脂シ−トとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエ−テルとの共重合体からなるペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンコポリマ−(FEP)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルキルビニルエ−テルとヘキサフルオロプロピレンコポリマ−(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレンまたはプロピレンとのコポリマ−(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンとのコポリマ−(ECTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、または、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等からなる透明性を有するフッ素系樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
なお、本発明においては、上記のフッ素系樹脂のフィルムないしシ−トの中でも、ポリフッ化ビニル系樹脂(PVF)、または、テトラフルオロエチレンとエチレンまたはプロピレンとのコポリマ−(ETFE)からなるフッ素系樹脂シ−トが、透明性を有し、太陽光の透過性等の観点から特に好ましいものである。
而して、本発明において、上記のようなフッ素系樹脂シ−トを採用することにより、該フッ素系樹脂シ−トが有する優れた特性、特に、機械的特性、耐熱性、光学特性等、更に、耐光性、耐熱性、耐水性、その他等の超耐候性、耐汚染性、耐薬品性等の特性を利用し、太陽電池を構成する保護シ−トとするものであり、これにより、従来のガラス板等と同等の光学特性、耐久性を有し、また、そのフレキシブル性や機械的特性等からガラス板よりも軽く、かつ、加工性等に優れ、そのハンドリングし易い等の利点を有するものである。
【0010】
ところで、本発明において、上記のフッ素系樹脂のフィルムないしシ−トとしては、例えば、上記のフッ素系樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレ−ション法、その他等の製膜化法を用いて、上記のフッ素系樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上のフッ素系樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上のフッ素系樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、フッ素系樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、更に、要すれば、例えば、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなるフッ素系樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
本発明において、フッ素系樹脂シ−トの膜厚としては、12〜200μm位、より好ましくは、25〜150μm位が望ましい。
また、本発明において、フッ素系樹脂シ−トとしては、可視光透過率が、90%以上、好ましくは、95%以上であって、入射する太陽光を全て透過し、これを吸収する性質を有することが望ましいものである。
【0011】
なお、上記において、フッ素系樹脂の製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
また、上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、強化剤、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することがてきる。
本発明においては、上記の添加剤の中でも、特に、酸化防止剤、あるいは、紫外線吸収剤等を練れ込み加工してなるフッ素系樹脂シ−トを使用することが好ましいものである。
本発明においては、上記の添加剤の中でも、特に、紫外線吸収剤および/または酸化防止剤を練れ込み加工してなるフッ素系樹脂シ−トを使用することが好ましいものである。
上記の紫外線吸収剤としては、太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギ−へと変換し、高分子中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものであり、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾ−ル系、サルチレ−ト系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、ヒンダ−ドアミン系、超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm)あるいは超微粒子酸化亜鉛(0.01〜0.04μm)等の無機系等の紫外線吸収剤の1種ないしそれ以上を使用することができる。
また、上記の酸化防止剤としては、高分子の光劣化あるいは熱劣化等を防止するものであり、例えば、フェノ−ル系、アミン系、硫黄系、燐酸系、その他等の酸化防止剤を使用することができる。
更に、上記の紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤としては、例えば、ポリマ−を構成する主鎖または側鎖に、上記のベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤あるいは上記のフェノ−ル系等の酸化防止剤を化学結合させてなるポリマ−型の紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤等も使用することができる。
上記の紫外線吸収剤および/または酸化防止剤の含有量としては、その粒子形状、密度等によって異なるが、約0.1〜10重量%位が好ましい。
【0012】
また、本発明において、フッ素系樹脂シ−トの表面は、無機酸化物の蒸着薄膜との密接着性等を向上させるために、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けることができる。
本発明において、上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロ−放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を形成して設けることができる。
上記の表面前処理は、無機酸化物の蒸着薄膜を形成する前に別工程で実施してもよく、また、例えば、低温プラズマ処理やグロ−放電処理等による表面前処理の場合は、上記の無機酸化物の蒸着薄膜を形成する前処理としてインライン処理により前処理で行うことができ、このような場合は、その製造コストを低減することができるという利点がある。
上記の表面前処理は、フッ素系樹脂シ−トと無機酸化物の蒸着薄膜との密着性を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密着性を改善する方法として、その他、例えば、フッ素系樹脂シ−トの表面に、予め、プライマ−コ−ト剤層、アンダ−コ−ト剤層、アンカ−コ−ト剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカ−コ−ト剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の前処理のコ−ト剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
【0013】
なお、本発明において、上記の樹脂組成物中には、耐光性等を向上させるために、例えば、紫外線吸収剤および/または酸化防止剤を添加することができる。
上記の紫外線吸収剤としては、前述の太陽光中の有害な紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギ−へと変換し、高分子中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものであり、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾ−ル系、サルチレ−ト系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、ヒンダ−ドアミン系、超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm)あるいは超微粒子酸化亜鉛(0.01〜0.04μm)等の無機系等の紫外線吸収剤の1種ないしそれ以上を使用することができる。
また、上記の酸化防止剤としては、前述の高分子の光劣化あるいは熱劣化等を防止するものであり、例えば、フェノ−ル系、アミン系、硫黄系、燐酸系、その他等の酸化防止剤を使用することができる。
更に、上記の紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤としては、例えば、ポリマ−を構成する主鎖または側鎖に、上記のベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤あるいは上記のフェノ−ル系等の酸化防止剤を化学結合させてなるポリマ−型の紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤等も使用することができる。
上記の紫外線吸収剤および/または酸化防止剤の含有量としては、その粒子形状、密度等によって異なるが、約0.1〜10重量%位が好ましい。
また、上記において、コ−ト剤層の形成法としては、例えば、溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等のコ−ト剤を使用し、ロ−ルコ−ト法、グラビアロ−ルコ−ト法、キスコ−ト法、その他等のコ−ト法を用いてコ−トすることができ、そのコ−ト時期としては、フッ素系樹脂シ−トの製膜後、あるいは、2軸延伸処理後の後工程として、あるいは、製膜、あるいは、2軸延伸処理のインライン処理等で実施することができる。
更にまた、本発明においては、表面処理層としては、例えば、後述する、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法、あるいは、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法等を用いて、膜厚10Å〜100Å位、好ましくは、20Å〜80Å位の薄い、非バリア性の無機酸化物の蒸着薄膜層を形成し、これを表面処理層とすることもできる。
上記の物理気相成長法、化学気相成長法等、更に、それらの装置、使用する材料等については後述するとおり、それらを同様に使用することができるものである。
【0014】
次に、本発明において、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用保護シ−ト、太陽電池モジュ−ル等を構成する無機酸化物の蒸着薄膜について説明すると、かかる無機酸化物の蒸着薄膜としては、例えば、物理気相成長法、または、化学気相成長法、あるいは、その両者を併用して、無機酸化物の蒸着薄膜の1層あるいは2層以上からなる多層膜、あるいは、異種の無機酸化物の蒸着薄膜の2層以上からなる複合膜等を形成して、製造することができるものである。
上記の物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜について更に詳しく説明すると、かかる物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)を用いて無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができる。
本発明において、具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱してフッ素系樹脂シ−トの上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させてフッ素系樹脂シ−トの上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて蒸着膜を形成することができる。
【0015】
本発明において、物理気相成長法による無機酸化物の薄膜薄膜を形成する方法について、その具体例を挙げると、図8は、巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
図8に示すように、巻き取り式真空蒸着装置21の真空チャンバ−22の中で、巻き出しロ−ル23から繰り出すフッ素系樹脂シ−ト1は、ガイドロ−ル24、25を介して、冷却したコ−ティングドラム26に案内される。
而して、上記の冷却したコ−ティングドラム26上に案内されたフッ素系樹脂シ−ト1の上に、るつぼ27で熱せられた蒸着源28、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口29より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク30、30を介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着薄膜を成膜化し、次いで、上記において、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成したフッ素系樹脂シ−ト1を、ガイドロ−ル25′、24′を介して送り出し、巻き取りロ−ル31に巻き取ることによって、本発明にかかる物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができる。
なお、本発明においては、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着薄膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着薄膜の上に、更に、無機酸化物之蒸着薄膜を形成するか、あるいは、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着薄膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができる。
【0016】
上記において、無機酸化物の蒸着薄膜としては、基本的に金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着薄膜を使用することができる。
而して、好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着薄膜を挙げることができる。
而して、上記の金属の酸化物の蒸着薄膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlOX 、MgOX 等のようにMOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。
)で表される。
また、上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。
上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。
本発明において、一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機酸化物の薄膜の膜厚としては、使用する金属、または金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜2000Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。
また、本発明においては、無機酸化物の蒸着薄膜としては、使用する金属、または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の薄膜を構成することもできる。
【0017】
次にまた、本発明において、上記の化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜について更に説明すると、かかる化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いて無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができる。
本発明においては、具体的には、フッ素系樹脂シ−トの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法(CVD法)を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
【0018】
具体的に、上記の低温プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜の形成法についてその一例を例示して説明すると、図9は、上記のプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜の形成法についてその概要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
上記の図9に示すように、本発明においては、プラズマ化学気相成長装置41の真空チャンバ−42内に配置された巻き出しロ−ル43からフッ素系樹脂シ−ト1を繰り出し、更に、該フッ素系樹脂シ−ト1を、補助ロ−ル44を介して所定の速度で冷却・電極ドラム45周面上に搬送する。
而して、本発明においては、ガス供給装置46、47および、原料揮発供給装置48等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、その他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル49を通して真空チャンバ−42内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム45周面上に搬送されたフッ素系樹脂シ−ト1の上に、グロ−放電プラズマ50によってプラズマを発生させ、これを照射して、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成し、製膜化する。
本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム45は、チャンバ−外に配置されている電源51から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム45の近傍には、マグネット52を配置してプラズマの発生が促進されており、次いで、上記で酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成したフッ素系樹脂シ−ト1は、補助ロ−ル53を介して巻き取りロ−ル54に巻き取って、本発明にかかるプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜を製造することができるものである。
なお、図中、55は、真空ポンプを表す。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
図示しないが、本発明においては、無機酸化物の蒸着薄膜としては、無機酸化物の蒸着薄膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した積層体の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着薄膜を構成することもできる。
また、本発明においては、上記のような低温プラズマ化学気相成長装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着薄膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着薄膜の上に、更に、無機酸化物之蒸着薄膜を形成するか、あるいは、上記のような低温プラズマ化学気相成長装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着薄膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着薄膜を形成することができる。
【0019】
上記において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着薄膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスとしては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された蒸着膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
【0020】
本発明において、上記で形成される酸化珪素の蒸着薄膜は、有機珪素化合物等のモノマ−ガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物がフッ素系樹脂シ−トの上に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成することができ、通常、一般式SiOX (ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の蒸着薄膜である。
而して、上記の酸化珪素の蒸着薄膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式SiOX (ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましいものである。
上記において、Xの値は、モノマ−ガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギ−等により変化するが、一般的に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
また、上記の酸化珪素の蒸着薄膜は、珪素(Si)と酸素(O)を必須構成元素として有し、更に、炭素(C)と水素(H)のいずれが一方、または、その両者の元素を微量構成元素として含有する酸化珪素の蒸着膜からなり、かつ、その膜厚が、50Å〜500Åの範囲であり、更に、上記の必須構成元素と微量構成元素の構成比率が、膜厚方向において連続的に変化しているものである。
更に、上記の酸化珪素の蒸着薄膜は、炭素からなる化合物を含有する場合には、その膜厚の深さ方向において炭素の含有量が減少していることを特徴とするものである。
而して、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着薄膜について、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析する方法を利用して、酸化珪素の蒸着薄膜の元素分析を行うことより、上記のような物性を確認することができるものである。
また、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着薄膜の膜厚としては、膜厚50Å〜2000Å位であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、100〜1000Å位が望ましく、而して、上記において、1000Å、更には、2000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、100Å、更には、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
上記のおいて、その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメ−タ−法で測定することができる。
また、上記において、上記の酸化珪素の蒸着薄膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマ−ガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
【0021】
ところで、本発明において、本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用保護シ−ト、太陽電池モジュ−ル等を構成する無機酸化物の蒸着薄膜として、例えば、物理気相成長法と化学気相成長法の両者を併用して異種の無機酸化物の蒸着薄膜の2層以上からなる複合膜を形成して使用することもできる。
而して、上記の異種の無機酸化物の蒸着薄膜の2層以上からなる複合膜を形成する場合には、まず、フッ素系樹脂シ−トの上に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着薄膜を設け、次いで、該無機酸化物の蒸着薄膜の上に、物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜を設けて、2層以上の複合膜からなる無機酸化物の蒸着薄膜を構成することが望ましいものである。
勿論、本発明においては、上記とは逆くに、フッ素系樹脂シ−トの上に、先に、物理気相成長法により、無機酸化物の蒸着薄膜を設け、次に、化学気相成長法により、緻密で、柔軟性に富み、比較的にクラックの発生を防止し得る無機酸化物の蒸着薄膜を設けて、2層以上からなる複合膜からなる無機酸化物の蒸着薄膜を構成することもできるものである。
【0022】
次に、本発明において、太陽電池モジュ−ルを構成する通常の太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トについて説明すると、かかる表面保護シ−トとしては、太陽光の透過性、絶縁性等を有し、更に、耐候性、耐熱性、耐光性、耐水性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防湿性、防汚性、その他等の諸特性を有し、物理的あるいは化学的強度性、強靱性等に優れ、極めて耐久性に富み、更に、光起電力素子としての太陽電池素子の保護とういことから、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。
上記の表面保護シ−トとしては、具体的には、例えば、公知のガラス板等は勿論のこと、更に、例えば、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂(各種のナイロン)、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、アセタ−ル系樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、例えば、2軸延伸した樹脂のフィルムないしシ−トも使用することができる。
また、上記の樹脂のフィルムないしシ−トにおいて、その膜厚としては、12〜200μm位、より好ましくは、25〜150μm位が望ましい。
【0023】
次に、本発明において、太陽電池モジュ−ルを構成する太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トの下に積層する充填剤層について説明すると、かかる充填剤層としては、太陽光が入射し、これを透過して吸収することから透明性を有することが必要であり、また、表面保護シ−トとの接着性を有することも必要であり、更に、光起電力素子としての太陽電池素子の表面の平滑性を保持する機能を果たすために熱可塑性を有すること、更には、光起電力素子としての太陽電池素子の保護とういことから、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。
具体的には、上記の充填剤層としては、例えば、フッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸、または、メタクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマ−ル酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレンフィン系樹脂、ポリビニルブチラ−ル樹脂、シリコ−ン系樹脂、エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、その他等の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。
なお、本発明においては、上記の充填剤層を構成する樹脂には、耐熱性、耐光性、耐水性等の耐候性等を向上させるために、その透明性を損なわない範囲で、例えば、架橋剤、熱酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光酸化防止剤、その他等の添加剤を任意に添加し、混合することができるものである。
而して、本発明においては、太陽光の入射側の充填剤としては、耐光性、耐熱性、耐水性等の耐候性を考慮すると、フッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂が望ましい素材である。
なお、上記の充填剤層の厚さとしては、200〜1000μm位、好ましくは、350〜600μm位が望ましい。
【0024】
次に、本発明において、太陽電池モジュ−ルを構成する光起電力素子としての太陽電池素子について説明すると、かかる太陽電池素子としては、従来公知のもの、例えば、結晶性シリコン太陽電子素子、多結晶シリコン太陽電池素子、アモルファスシリコン太陽電池素子、銅インジウムセレナイド太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子、その他等を使用することができる。
更に、本発明においては、薄膜多結晶シリコン太陽電池素子、薄膜微結晶シリコン太陽電池素子、薄膜結晶シリコン太陽電池素子とアモルファス太陽電池素子のハイブリット素子、その他等を使用することができる。
【0025】
次に、本発明において、太陽電池モジュ−ルを構成する光起電力素子の下に積層する充填剤層について説明すると、かかる充填剤層としては、上記の太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トの下に積層する充填剤層と同様に、裏面保護シ−トとの接着性を有することも必要であり、更に、光起電力素子としての太陽電池素子の裏面の平滑性を保持する機能を果たすために熱可塑性を有すること、更には、光起電力素子としての太陽電池素子の保護とういことから、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。
しかし、上記の太陽電池モジュ−ルを構成する光起電力素子の下に積層する充填剤層としては、上記の太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トの下に積層する充填剤層と異なり、必ずも、透明性を有することを必要としないものである。
具体的には、上記の充填剤層としては、前述の太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トの下に積層する充填剤層と同様に、例えば、フッ素系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸、または、メタクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマ−ル酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレンフィン系樹脂、ポリビニルブチラ−ル樹脂、シリコ−ン系樹脂、エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、その他等の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。
なお、本発明においては、上記の充填剤層を構成する樹脂には、耐熱性、耐光性、耐水性等の耐候性等を向上させるために、その透明性を損なわない範囲で、例えば、架橋剤、熱酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光酸化防止剤、その他等の添加剤を任意に添加し、混合することができるものである。
なお、上記の充填剤層の厚さとしては、200〜1000μm位、より好ましくは、350〜600μm位が望ましい。
【0026】
次に、本発明において、太陽電池モジュ−ルを構成する通常の太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト層について説明すると、かかる裏面保護シ−トとしては、絶縁性の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、更に、耐熱性、耐光性、耐水性等の耐候性を有し、物理的あるいは化学的強度性、強靱性等に優れ、更に、光起電力素子としての太陽電池素子の保護とういことから、耐スクラッチ性、衝撃吸収性等に優れていることが必要である。
上記の裏面保護シ−トとしては、具体的には、例えば、ポリアミド系樹脂(各種のナイロン)、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、アセタ−ル系樹脂、セルロ−ス系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、例えば、2軸延伸した樹脂のフィルムないしシ−トも使用することができる。
また、上記の樹脂のフィルムないしシ−トにおいて、その膜厚としては、12〜200μm位、より好ましくは、25〜150μm位が望ましい。
【0027】
なお、本発明において、本発明にかかる太陽電池モジュ−ルを製造する際しては、その強度、耐候性、耐スクラッチ性、その他等の諸堅牢性を向上させるために、その他の素材、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0028】
次に、本発明において、上記のような材料を使用して太陽電池モジュ−ルを製造する方法について説明すると、かかる製造法としては、公知の方法、例えば、上記に挙げた本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用保護シ−トを太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トまたは太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トとして使用し、例えば、上記の本発明にかかる太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トの無機酸化物の蒸着薄膜の面を内側にし、順次に、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、通常の太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−ト層等を積層し、更に、必要ならば、各層間に、その他の素材を任意に積層し、次いで、これらを、真空吸引等により一体化して加熱圧着するラミネ−ション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して、太陽電池モジュ−ルを製造することができる。
上記において、必要ならば、各層間の接着性等を高めるために、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、その他等の樹脂をビヒクルの主成分とする加熱溶融型接着剤、溶剤型接着剤、光硬化型接着剤、その他等を使用することができる。
また、上記の積層において、各積層対向面には、密接着性を向上させるために、必要に応じて、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロ−放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施すことができる。
更に、上記の積層においては、各積層対向面に、予め、プライマ−コ−ト剤層、アンダ−コ−ト剤層、接着剤層、あるいは、アンカ−コ−ト剤層等を任意に形成して、表面前処理を行うこともできる。
上記の前処理のコ−ト剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンアルイハポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
また、上記において、コ−ト剤層の形成法としては、例えば、溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等のコ−ト剤を使用し、ロ−ルコ−ト法、グラビアロ−ルコ−ト法、キスコ−ト法、その他等のコ−ト法を用いてコ−トすることができる。
【0029】
【実施例】
次に、本発明について実施例を挙げて更に具体的に説明する。
参考例1
(1).基材として、厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)を使用し、これを巻き取り式真空蒸着装置の送り出しロ−ルに装着し、次いで、これをコーティングドラムの上に繰り出して、下記の条件で、アルミニウムを蒸着源に用い、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による反応真空蒸着法により、上記のポリフッ化ビニル樹脂フィルムの易接着処理面に、膜厚500Åの酸化アルミニウムの蒸着薄膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着源:アルミニウム
真空チャンバー内の真空度:7.5×10-6mbar
蒸着チャンバー内の真空度:2.1×10-6mbar
EB出力:40KW
フィルム搬送速度:600m/分
(2).次に、上記で膜厚500Åの酸化アルミニウムの蒸着薄膜を形成したポリフッ化ビニル樹脂フィルムについて、その蒸着直後に、その酸化アルミニウムの蒸着薄膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、プラズマ出力、1500W、酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=19:1からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-5Toor、処理速度420m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行ってプラズマ処理面を形成して、太陽電池モジュール用保護シートを製造した。
(3).次に、上記で製造した太陽電池モジュ−ル用保護シートを太陽電池モジュ−ル用表面保護シートとして使用し、その酸化アルミニウムの蒸着薄膜のプラズマ処理面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
(4).なお、上記において、上記の基材としての厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)に代えて、厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)を使用し、上記と全く同様にして、同様な太陽電池モジュールを製造することができた。
【0030】
参考例2
(1).基材として、厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(PVF)を使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、下記の条件で厚さ500Åの酸化珪素の蒸着薄膜を上記のポリフッ化ビニル樹脂フィルムの易接着処理面に形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:10:10(単位:slm)
真空チャンバー内の真空度:5.0×10-6mbar
蒸着チャンバー内の真空度:6.0×10-2mbar
冷却・電極ドラム供給電力:20kW
フィルムの搬送速度:80m/分
蒸着面:コロナ処理面
(2).次に、上記で膜厚500Åの酸化珪素の蒸着薄膜を形成したポリフッ化ビニル樹脂フィルムについて、その蒸着直後に、その酸化珪素の蒸着薄膜面に、出力、10kW、処理速度100m/minでコロナ放電処理を行って、蒸着薄膜面の表面張力を35dyneより60dyneに向上させたコロナ処理面を形成して、太陽電池モジュール用保護シートを製造した。
(3).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用表面保護シートとして使用し、その酸化珪素の蒸着薄膜のコロナ処理面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
(4).なお、上記において、上記の基材としての厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)に代えて、厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)を使用し、上記と全く同様にして、同様な太陽電池モジュールを製造することができた。
【0031】
実施例1
(1).基材として、紫外線吸収剤を練り込んだ厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂フィルム(PVF)を使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、下記の条件で厚さ500Åの酸化珪素の蒸着薄膜を上記のポリフッ化ビニル樹脂フィルムの易接着処理面形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:10:10(単位:slm)
真空チャンバー内の真空度:5.0×10-6mbar
蒸着チャンバー内の真空度:6.0×10-2mbar
冷却・電極ドラム供給電力:20kW
フィルムの搬送速度:80m/分
蒸着面:コロナ処理面
次に、上記で膜厚500Åの酸化珪素の蒸着薄膜を形成したポリフッ化ビニル樹脂フィルムについて、その蒸着直後に、その酸化珪素の蒸着薄膜面に、出力、10kW、処理速度100m/minでコロナ放電処理を行って、蒸着薄膜面の表面張力を35dyneより60dyneに向上させコロナ処理面を形成した。
(2).次に、上記でコロナ処理を行った酸化珪素の蒸着薄膜を形成したポリフッ化ビニル樹脂フィルムを使用し、これを巻き取り式真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、これをコ−ティングドラムの上に繰り出して、下記の条件で、アルミニウムを蒸着源に用い、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による反応真空蒸着法により、上記のポリフッ化ビニル樹脂フィルムの酸化珪素の蒸着薄膜のコロナ処理面に、膜厚500Åの酸化アルミニウムの蒸着薄膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着源:アルミニウム
真空チャンバー内の真空度:7.5×10-6mbar
蒸着チャンバー内の真空度:2.1×10-6mbar
EB出力:40KW
フィルム搬送速度:600m/分
次に、上記で膜厚500Åの酸化アルミニウムの蒸着薄膜を形成したポリフッ化ビニル樹脂フィルムについて、その蒸着直後に、その酸化アルミニウムの蒸着薄膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、プラズマ出力、1500W、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=19:1からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-5Toor、処理速度420m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、本発明にかかる太陽電池モジュール用保護シ−トを製造した。
(3).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用表面保護シ−トとして使用し、その酸化アルミニウムの蒸着薄膜のプラズマ処理面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
(4).なお、上記において、上記の基材としての紫外線吸収剤を練り込んだ厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)に代えて、紫外線吸収剤を練り込み加工した厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)を使用し、上記と全く同様にして、同様な本発明にかかる太陽電池モジュールを製造することができた。
【0032】
参考例3
(1).基材として、厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シ−ト(PVF)を使用し、上記の参考例1と同様にして、その易接着処理面に、膜厚500Åの酸化アルミニウムの蒸着薄膜を形成し、更に、プラズマ処理面を形成した。更に、上記の参考例1と同様にして、上記で形成した膜厚500Åの酸化アルミニウムの蒸着薄膜のプラズマ処理面に、同様に、膜厚500Åの酸化アルミニウムの蒸着薄膜を形成し、更に、プラズマ処理面を形成して、2層の酸化アルミニウムの蒸着薄膜からなる太陽電池モジュ−ル用保護シートを製造した。
(2).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用表面保護シートとして使用し、その酸化アルミニウムの蒸着薄膜のプラズマ処理面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
(3).なお、上記において、上記の基材としての厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)に代えて、厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シ−ト(ETFE)を使用し、上記と全く同様にして、同様な太陽電池モジュールを製造することができた。
【0033】
参考例4
(1).基材として、厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)を使用し、上記の参考例2と同様にして、その易接着処理面に、膜厚500Åの酸化珪素の蒸着薄膜を形成し、更に、コロナ処理面を形成した。更に、上記の参考例2と同様にして、上記で形成した膜厚500Åの酸化珪素の蒸着薄膜のコロナ処理面に、同様に、膜厚500Åの酸化珪素の蒸着薄膜を形成し、更に、コロナ処理面を形成して、2層の酸化珪素の蒸着薄膜からなる本発明にかかる太陽電池モジュール用保護シートを製造した。
(2).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用表面保護シートとして使用し、その酸化珪素の蒸着薄膜のコロナ処理面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
(3).なお、上記において、上記の基材としての厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)に代えて、厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)を使用し、上記と全く同様にして、同様な太陽電池モジュールを製造することができた。
【0034】
参考例5
(1).上記の参考例1で製造した太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用表面保護シートと太陽電池モジュール用裏面保護シートとして使用し、その太陽電池モジュール用表面保護シートの酸化アルミニウムの蒸着薄膜のプラズマ処理面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その酸化アルミニウムの蒸着薄膜のプラズマ処理面を対向させ、かつ、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
(2).なお、上記において、上記の基材としての厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)に代えて、厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)を使用し、上記と全く同様にして、同様な太陽電池モジュールを製造することができた。
【0035】
参考例6
(1).上記の参考例2で製造した太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用表面保護シートと太陽電池モジュール用裏面保護シートとして使用し、その太陽電池モジュール用表面保護シートの酸化珪素の蒸着薄膜のコロナ処理面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その酸化珪素の蒸着薄膜のコロナ処理面を対向させ、かつ、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
(2).なお、上記において、上記の基材としての厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)に代えて、厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)を使用し、上記と全く同様にして、同様な太陽電池モジュールを製造することができた。
【0036】
実施例2
(1).上記の実施例1で製造した太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用表面保護シートと太陽電池モジュール用裏面保護シートとして使用し、その太陽電池モジュール用表面保護シートの酸化アルミニウムの蒸着薄膜のプラズマ処理面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その酸化アルミニウムの蒸着薄膜のプラズマ処理面を対向させ、かつ、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
(2).なお、上記において、上記の基材としての紫外線吸収剤を練り込んだ厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)に代えて、紫外線吸収剤を練り込み加工した厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)を使用し、上記と全く同様にして、同様な本発明にかかる太陽電池モジュールを製造することができた。
【0037】
参考例7
(1).上記の参考例3で製造した太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用表面保護シートと太陽電池モジュール用裏面保護シートとして使用し、その太陽電池モジュール用表面保護シートの酸化アルミニウムの蒸着薄膜のプラズマ処理面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その酸化アルミニウムの蒸着薄膜のプラズマ処理面を対向させ、かつ、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
(2).なお、上記において、上記の基材としての厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)に代えて、厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)を使用し、上記と全く同様にして、同様な太陽電池モジュールを製造することができた。
【0038】
参考例8
(1).上記の参考例4で製造した太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用表面保護シートと太陽電池モジュール用裏面保護シートとして使用し、その太陽電池モジュール用表面保護シートの酸化珪素の蒸着薄膜のコロナ処理面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その酸化珪素の蒸着薄膜面のコロナ処理面を対向させ、かつ、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
(2).なお、上記において、上記の基材としての厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)に代えて、厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)を使用し、上記と全く同様にして、同様な太陽電池モジュールを製造することができた。
【0039】
参考例9
(1).上記の参考例1で製造した太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用裏面保護シートとして使用し、まず、厚さ3mmのガラス板、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その酸化アルミニウムの蒸着薄膜のプラズマ処理面を対向させ、かつ、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
(2).なお、上記において、上記の基材としての厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)に代えて、厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)を使用し、上記と全く同様にして、同様な太陽電池モジュールを製造することができた。
【0040】
参考例10
(1).上記の参考例2で製造した太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用裏面保護シートとして使用し、厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その酸化珪素の蒸着薄膜のコロナ処理面を対向させ、かつ、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
(2).なお、上記において、上記の基材としての厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)に代えて、厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)を使用し、上記と全く同様にして、同様な太陽電池モジュールを製造することができた。
【0041】
実施例3
(1).上記の実施例1で製造した太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用裏面保護シートとして使用し、厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その酸化アルミニウムの蒸着薄膜のプラズマ処理面を対向させ、かつ、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、本発明にかかる太陽電池モジュールを製造した。
(2).なお、上記において、上記の基材としての厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)に代えて、厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)を使用し、上記と全く同様にして、同様な本発明にかかる太陽電池モジュールを製造することができた。
【0042】
参考例11
(1).基材として、厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)を使用し、上記の参考例2と同様にして、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、厚さ50Åの酸化珪素の蒸着薄膜をその易接着処理面に形成して、表面処理層とした。次に、上記で形成した表面処理層面に、上記の参考例2と同様にして、膜厚800Åの酸化珪素の蒸着薄膜を形成し、更に、上記で形成した膜厚800Åの酸化珪素の蒸着薄膜面に、上記の参考例2と同様にして、コロナ放電処理を行って、蒸着薄膜面の表面張力を35dyneより60dyneに向上させたコロナ処理面を形成して、太陽電池モジュール用保護シ−トを製造した。
(2).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用表面保護シートとして使用し、その酸化珪素の蒸着薄膜のコロナ処理面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
(3).なお、上記において、上記の基材としての厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)に代えて、厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)を使用し、上記と全く同様にして、同様な太陽電池モジュールを製造することができた。
【0043】
参考例12
(1).上記の参考例11で製造した太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用表面保護シートと太陽電池モジュール用裏面保護シートとして使用し、而して、上記の太陽電池モジュール用表面保護シートの酸化珪素の蒸着薄膜のコロナ処理面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その酸化珪素の蒸着薄膜のコロナ処理面を対向させ、かつ、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
(2).なお、上記において、上記の基材としての厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)に代えて、厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)を使用し、上記と全く同様にして、同様な太陽電池モジュールを製造することができた。
【0044】
参考例13
(1).基材として、厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)を使用し、その片面に、ベンゾェノン系紫外線吸収剤の微量を添加したエポキシ系樹脂アンカーコート剤(日本触媒株式会社製、一級アミン、NK−380とエポキシ樹脂、エピコート828とからなるエポキシ系樹脂アンカーコート剤)をグラビアロールコート法でコーティングして、厚さ1.0g/m2 (乾燥状態)の蒸着用アンカーコート剤層を形成して、表面処理層とした。次に、上記で形成した表面処理層面に、上記の参考例2と同様にして、膜厚800Åの酸化珪素の蒸着薄膜を形成し、次いで、上記で形成した膜厚800Åの酸化珪素の蒸着薄膜面に、上記の参考例2と同様にして、コロナ放電処理を行って、蒸着薄膜面の表面張力を35dyneより60dyneに向上させたコロナ処理面を形成して、太陽電池モジュール用保護シートを製造した。
(2).次に、上記で製造した太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用表面保護シートとして使用し、その酸化珪素の蒸着薄膜のコロナ処理面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
(3).なお、上記において、上記の基材としての厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)に代えて、厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)を使用し、上記と全く同様にして、同様な太陽電池モジュールを製造することができた。
【0045】
参考例14
(1).上記の参考例12で製造した太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用表面保護シートと太陽電池モジュール用裏面保護シートとして使用し、而して、上記の太陽電池モジュール用表面保護シートの酸化珪素の蒸着薄膜のコロナ処理面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シート、および、上記の太陽電池モジュール用裏面保護シートを、その酸化珪素の蒸着薄膜のコロナ処理面を対向させ、かつ、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュールを製造した。
(2).なお、上記において、上記の基材としての厚さ50μmのエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマーからなるフッ素系樹脂シート(ETFE)に代えて、厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シート(PVF)を使用し、上記と全く同様にして、同様な太陽電池モジュールを製造することができた。
【0046】
比較例1
基材として、厚さ3mmのガラス板を太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トとして使用し、而して、その一方の面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−ト、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−ト、および、厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュ−ルを製造した。
【0047】
比較例2
基材として、厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シ−ト(PVF)を太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トとして使用し、而して、その一方の面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−ト、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−ト、および、厚さ50μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュ−ルを製造した。
【0048】
比較例3
基材として、厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シ−ト(PVF)を太陽電池モジュ−ル用表面保護シ−トと太陽電池モジュ−ル用裏面保護シ−トとして使用し、而して、その一方の厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シ−ト(PVF)の面に、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−ト、アモルファスシリコンからなる太陽電池素子を並列に配置した厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体シ−ト、および、他方の厚さ50μmのポリフッ化ビニル樹脂シ−ト(PVF)を、その太陽電池素子面を上に向けて、アクリル系樹脂の接着剤層を介して積層して、太陽電池モジュ−ルを製造した。
【0049】
実験例
上記の実施例1〜3で製造した本発明にかかる保護シートと、参考例1〜14、および比較例1〜3にかかる保護シートについて、全光線透過率を測定し、また、上記の実施例1〜3で製造した太陽電池モジュールと、参考例1〜14、および比較例1〜3で製造した太陽電池モジュールについて太陽電池モジュール評価試験を行った。
(1).全光線透過率の測定
これは、基材フィルムを基準とし、実施例1〜3で製造した本発明にかかる保護シートと、参考例1〜14、および比較例1〜3にかかる保護シートについてカラーコンピューターにより全光線透過率(%)を測定した。
(2).太陽電池モジュール評価試験
これは、JIS規格C8917−1989に基づいて、太陽電池モジュールの環境試験を行い、試験前後の光起電力の出力を測定して、比較評価した。
(3).水蒸気透過度と酸素透過度の測定
水蒸気透過度は、実施例1〜3で製造した本発明にかかる保護シートと、参考例1〜14、および比較例1〜3にかかる保護シ−トについて、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMATRAN)〕にて測定し、更に、酸素透過度は、上記と同様の対象物について、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。上記の測定結果について下記の表1に示す。
【0050】
【表1】
上記の表1において、水蒸気バリアは、〔g/m2/day・40℃・100%RH〕の単位であり、また、酸素バリアは、〔cc/m2/day・23℃・90%RH〕の単位である。
【0051】
上記の表1に示す測定結果より明らかなように、実施例1〜3にかかる太陽電池モジュール用保護シートは、全光線透過率が高く、また、水蒸気バリア性、酸素バリア性に優れていた。また、上記の実施例1〜3にかかる太陽電池モジュール用保護シートを用いた太陽電池モジュールは、出力低下率も低いものであった。これに対し、比較例1〜3にかかる太陽電池モジュール用保護シートは、全光線透過率は、高いものの、水蒸気バリア性、酸素バリア性が低く、そのために、それを用いて製造した太陽電池モジュールは、出力低下率が高い等の問題点があった。
【0052】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなよう、本発明は、太陽電池モジュールを構成する表面保護シート層として使用されているガラス板の特性に着目し、まず、フッ素系樹脂シートを基材シートとして使用し、その片面に、酸化珪素、あるいは、酸化アルミニウム等の透明な、ガラス質からなる無機酸化物の蒸着薄膜の複合膜を設けて太陽電池モジュール用保護シートを製造し、而して、該太陽電池モジュール用保護シートを太陽電池モジュール用表面保護シートまたは太陽電池モジュール用表面保護シートとして使用し、例えば、上記の太陽電池モジュール用表面保護シートの無機酸化物の蒸着薄膜の面を内側にし、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、通常の太陽電池モジュール用裏面保護シート層等を順次に積層し、次いで、これらを一体的に真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等を利用して太陽電池モジュールを製造して、太陽光の透過性に優れ、かつ、強度に優れ、更に、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、耐薬品性、防湿性、防汚性、その他等の特性に優れ、特に、水分、酸素等の侵入を防止する防湿性を著しく向上させ、その長期的な性能劣化を最小限に抑え、極めて耐久性に富み、保護能力性に優れ、より低コストで安全な太陽電池モジュール安定的に製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】太陽電池モジュール用保護シートについてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。
【図2】太陽電池モジュール用保護シートについてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。
【図3】太陽電池モジュール用保護シートについてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。
【図4】太陽電池モジュール用保護シートについてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。
【図5】図1に示す太陽電池モジュール用保護シ−トを使用して製造した太陽電池モジュールについてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。
【図6】図1に示す太陽電池モジュール用保護シートを使用して製造した太陽電池モジュールについてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。
【図7】図1に示す太陽電池モジュール用保護シートを使用して製造した太陽電池モジュールについてその一例の層構成の概略を示す概略的断面図である。
【図8】物理気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜を形成する方法についてその概要を示す巻き取り式真空蒸着装置の概略的構成図である。
【図9】化学気相成長法による無機酸化物の蒸着薄膜を形成する方法についてその概要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
Claims (6)
- フッ素系樹脂シートの片面に、化学気相成長法または物理気相成長法による酸化珪素の蒸着薄膜層と酸化アルミニウムの蒸着薄膜層からなる2層以上の複合膜を設けた太陽電池モジュール用表面保護シートの複合膜面に、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、太陽電池モジュール用裏面保護シート層を順次に積層し、一体成形体としたことを特徴とする太陽電池モジュール。
- フッ素系樹脂シートの片面に、化学気相成長法または物理気相成長法による酸化珪素の蒸着薄膜層と酸化アルミニウムの蒸着薄膜層からなる2層以上の第1の複合膜を設けた太陽電池モジュール用表面保護シートの前記第1の複合膜面に、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、および、フッ素系樹脂シートの片面に、化学気相成長法または物理気相成長法による酸化珪素の蒸着薄膜層と酸化アルミニウムの蒸着薄膜層からなる2層以上の第2の複合膜を設けた太陽電池モジュール用裏面保護シートを、前記第1、第2の複合膜面を対向させて順次に積層し、一体成形体としたことを特徴とする太陽電池モジュール。
- 前記フッ素系樹脂シートが、可視光透過率90%以上であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
- 前記フッ素系樹脂シートが、紫外線吸収剤および/または酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
- 前記フッ素系樹脂シートの蒸着薄膜層が設けられる側の面が、予め、表面処理層を構成していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
- 前記表面処理層が、プラズマ処理層、コロナ処理層、蒸着用プライマー層、アンカーコート剤層、接着剤層、または、無機酸化物の蒸着薄膜層からなることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池モジュール。
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