JP4946350B2 - ガスバリア性積層体 - Google Patents
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該PVFフィルムの少なくとも該無機酸化物層を設ける面に、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)処理が施されており、
該処理表面のX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、X線出力100W)を行ったとき、酸素原子数と炭素原子数の比率(O/C)が0.01〜0.20の範囲内であり、かつ、フッ素原子数と炭素原子数の比率(F/C)が0.20〜0.70の範囲内であり、
前記処理表面のX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、X線出力100W)を行ったとき、C1s波形の解析から求めた官能基の比率(C−F/C−C)が0.30〜1.00の範囲内である
ことを特徴とするガスバリア性積層体である。
RIE処理を施すことで、発生したラジカルやイオンを利用して原子数比等を制御することができ、(O/C)を0.01〜0.20、(F/C)を0.20〜0.70とすることで、PVFフィルム表面にはC−OH基、C=O基、COOH基といった極性官能基が生成し、無機酸化物膜との密着性を強固にすることができる。
これによると、PVFフィルム表面とその上に体積する無機酸化物層の界面に混合層が
生じ、密着性を強固にすることができる。
直接電圧が印加される陰極側(冷却ドラム側)に基材を設置したプレーナ型のプラズマ処理、
または、ホロアノード・プラズマ処理器を用いた特殊プラズマによる処理
であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア性積層体である。
これによると、PVFフィルム表面は、基材がアノード側に設置されたプラズマ処理あるいはコロナ処理などのアーク放電と比べ、均一な処理が可能であり、接着に寄与する表面から約10nmの深さで処理層を形成することができる。
これによると、処理液を用いた化学処理に比べて環境を汚染しない処理が可能となる。
これによると、金属箔または金属薄膜を用いたガスバリア性積層体と比較して、廃棄・焼却時の環境負荷が低減できる。
同一製膜機(インライン製膜機)にてRIE処理と無機酸化物層の成膜を行えるため、塵埃などの混入が少なく生産性の高い積層体が製造できる。
PVFフィルムは、プラズマ処理などの表面処理が施されていない未処理状態において、原子数比(O/C)は酸素がないため、0.00となり、原子数比(F/C)は0.50程度の値を示すことが一般的である。また、C1s波形はPVF分子構造に由来するC−C結合、C−F結合に分離され、これらのピーク強度比はC−C:C−F=1:1になり、C−CとC−Fの比(C−F/C−C)は1.00になる。さらにC−C結合ピークの半値幅は約1.20eVの値になる。このような(O/C)、(F/C)、(C−F/C−C)及びC−C結合ピークの半値幅を示すPVFフィルムは、高温高湿環境下に放置すると無機酸化物蒸着膜とデラミネーションを起こしやすく密着性が低い。
このように、C1s波形分離から求められた官能基比(C−F/C−C)が0.30〜1.00の範囲内にある場合、表面自由エネルギーが無機酸化物層に近いエネルギーになるため、密着性を強固にすることができる。さらに、C−C結合ピークの半値幅が1.25〜1.80eVの範囲内にある場合、PVFフィルム表面とその上に体積する無機酸化物層の界面に混合層が生じ、密着性を強固にすることができる。
また、このPVFフィルムには公知の添加剤、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤を使用することができる。
本発明における無機酸化物層は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、あるいは、それらの混合物などの無機酸化物からなる層であり、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する層であればよい。高温高湿環境での耐性を考慮するとこれらの中では、特に酸化アルミニウム及び酸化珪素を用いることがより好ましい。ただし、本発明の無機酸化物層は、上述した無機酸化物に限定されず、上記条件に適合する材料であれば用いることが可能である。
測定装置は、日本電子株式会社製JPS−90MXVを用い、X線源としては非単色化MgKα(1253.6eV)を使用、出力は100W(10kV−10mA)で測定した。定量分析にはO1sで2.28、C1sで1.00、F1sで2.85の相対感度因子を用いて計算をした。C1s波形の波形分離解析にはガウシアン関数とローレンツ関数の混合関数を使用し、帯電補正はベンゼン環に由来するC−C結合ピークを285.0eVとして補正した。
厚さ38μmのPVFフィルムの片面に、処理方法としてホロアノード・プラズマ処理器を用いてリアクテブイオンエッチング(RIE)による前処理を施した。この時、電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用い、処理ガスに水素ガスを用いた。XPS測定におけるO/Cは0.02、F/Cは0.63、C−F/C−Cは0.92、C−C結合の半値幅は1.32eVであった。この上に、抵抗加熱方式を用いて、酸化珪素を約30nmの厚みで成膜して、ガスバリア性積層体を作製した。
処理ガスにアルゴン/酸素混合ガスを用いて処理して得られたPVFフィルムのXPS測定におけるO/Cは0.12、F/Cは0.30、C−F/C−Cは0.42、C−C結合の半値幅は1.65eVであった以外は実施例1と同様の方法でガスバリア性積層体を作製した。
処理ガスに酸素ガスを用いて処理して得られたPVFフィルムのXPS測定におけるO/Cは0.18、F/Cは0.24、C−F/C−Cは0.32、C−C結合の半値幅は1.68eVであった以外は実施例1と同様の方法でガスバリア性積層体を作製した。
処理ガスに窒素ガスを用いて処理して得られたPVFフィルムのXPS測定におけるO/Cは0.16、F/Cは0.22、C−F/C−Cは0.31、C−C結合の半値幅は1.72eVであった以外は実施例1と同様の方法でガスバリア性積層体を作製した。
処理方法として冷却ドラム側から電圧を印加する方式のプレーナ型で、プラズマを利用したRIEによる前処理を行い、処理ガスにアルゴンガスを用いて処理して得られたPVFフィルムのXPS測定におけるO/Cは0.05、F/Cは0.33、C−F/C−Cは0.46、C−C結合の半値幅は1.52eVであった以外は実施例1と同様の方法でガスバリア性積層体を作製した。
処理ガスに酸素/窒素混合ガスを用いて得られたPVFフィルムのXPS測定におけるO/Cは0.26、F/Cは0.14、C−F/C−Cは0.21、C−C結合の半値幅は1.85eVであった以外は、実施例1と同様の方法でガスバリア性積層体を作製した。
PVFフィルムにコロナ処理装置を用いて、コロナ処理して得られたPVFフィルムのXPS測定におけるO/Cは0.28、F/Cは0.11、C−F/C−Cは0.18、C−C結合の半値幅は1.92eVであった以外は実施例1と同様の方法でガスバリア性積層体を作製した。
A液:テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2 換算)の加水分解溶液。
B液:ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量比で90:10)。
この溶液をグラビアコート法により塗布乾燥し、厚さ0.4μmの複合被膜層を形成した。
<評価>
上記積層サンプルの蒸着フィルム/延伸ナイロン間のラミネート強度を、オリエンテック社テンシロン万能試験機RTC−1250を用いて測定した(JIS Z1707準拠)。但し、測定の前に試料を85℃85%の高温高湿環境下に96時間放置した後にラミネート強度を測定した。結果を表1に示す。
2 無機酸化物層
3 RIEによる前処理層
4 C−C結合ピーク
5 C−F結合ピーク
6 電極
7 プラズマ
8 ガイドロール
9 PVFフィルム
10 ガス導入口
11 マッチングボックス
12 遮蔽板
Claims (6)
- ポリフッ化ビニルフィルム(以下PVFフィルム)の少なくとも一方の面に無機酸化物層を積層するガスバリア性積層体において、
該PVFフィルムの少なくとも該無機酸化物層を設ける面に、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)処理が施されており、
該処理表面のX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、X線出力100W)を行ったとき、酸素原子数と炭素原子数の比率(O/C)が0.01〜0.20の範囲内であり、かつ、フッ素原子数と炭素原子数の比率(F/C)が0.20〜0.70の範囲内であり、
前記処理表面のX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、X線出力100W)を行ったとき、C1s波形の解析から求めた官能基の比率(C−F/C−C)が0.30〜1.00の範囲内である
ことを特徴とするガスバリア性積層体。 - 前記処理表面のX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、X線出力100W)を行ったとき、C1s波形の解析から求めた官能基のC−Cピークの半値幅が1.20eV〜1.80eVの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層体。
- 前記RIE処理が、
直接電圧が印加される陰極側(冷却ドラム側)に基材を設置したプレーナ型のプラズマ処理、
または、ホロアノード・プラズマ処理器を用いた特殊プラズマによる処理
であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア性積層体。 - 前記RIE処理が、アルゴン、窒素、酸素、水素のうちの1種類のガス、または、これらの混合ガスを用いて1回以上行われる処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
- 前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、あるいは、それらの混合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
- 前記RIE処理と前記無機酸化物層の積層が、同一製膜機(インライン製膜機)にて行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
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