JP4946350B2 - ガスバリア性積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、産業資材用途として用いられる耐久性に優れたガスバリア性積層体に関するものである。特に太陽電池のモジュールセルや配線を保護する必要があり、耐久性に優れたバックシート用のガスバリア性積層体に関するものである。また用途はこれに限定したものではなく応用展開が可能である。
ガスバリア性積層体は食品や精密電子部品及び医薬品の包材として用いられ、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持するために、包装材料を通過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体や光線による影響を防止する必要があり、これらを遮断するガスバリア性等を備えることが求められてきた。近年、このガスバリア性積層体は太陽電池モジュールの部材であるバックシートを代表とした産業資材用途として用いられるようになってきた。
従来、上記バックシートには温度・湿度などの影響が少ないアルミ等の金属箔をガスバリア層として一般的に用いられてきたが、金属箔は経年劣化により太陽電池のセル及び配線等と絶縁不良を起こすなど欠点を有し問題があった。
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、例えば特許文献に記載されているようなフッ素樹脂フィルム上に、真空蒸着法により酸化珪素の蒸着膜を形成したフィルムが開発されている(特許文献1)。この蒸着フィルムは透明性及び酸素、水蒸気等のガス遮断性を有しているため、金属箔等では得ることができない透明性を有する包装材料として好適とされている。
特開平10−308521号公報
しかしながら、前処理を施さない基材に、無機酸化物層を積層したフィルムでは、基材と無機酸化物層の密着性が弱いために、長時間の高温・高湿環境下ではデラミネーションを引き起こすという欠点がある。
この問題を解決するために、プラズマを用いるインライン前処理によりプラスチック基材上に積層される無機酸化物層の密着性を改善する試みがなされている。
しかしながら、インラインでプラズマ処理を行おうとすると、プラズマ発生のための電圧を印加する電極を、基材のあるドラム側ではなく反対側に設置しなければならない。この装置の場合、基材はアノード側に設置されることになるため、高い自己バイアスは得られず、結果として高い処理効果を発揮できなかった。
高い自己バイアスを得るために、直流放電方式を用いることも出来るが、この方法で高いバイアスの電圧を得ようとすると、プラズマのモードがグローからアークへと変化するため、大面積に均一な処理を行うことは出来ない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、PVFフィルムと無機酸化物層の密着を強化し、高温高湿環境下で試験を行ってもデラミネーションが発生しないガスバリア性積層体を提供するものである。
本発明は特定の表面特性を有するPVFフィルムを使用することにより上記の目的が達成できることを見出した。
請求項1記載の発明は、ポリフッ化ビニルフィルム(以下PVFフィルム)の少なくとも一方の面に無機酸化物層を積層するガスバリア性積層体において、
該PVFフィルムの少なくとも該無機酸化物層を設ける面に、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)処理が施されており、
該処理表面のX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、X線出力100W)を行ったとき、酸素原子数と炭素原子数の比率(O/C)が0.01〜0.20の範囲内であり、かつ、フッ素原子数と炭素原子数の比率(F/C)が0.20〜0.70の範囲内であり、
前記処理表面のX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、X線出力100W)を行ったとき、C1s波形の解析から求めた官能基の比率(C−F/C−C)が0.30〜1.00の範囲内である
ことを特徴とするガスバリア性積層体である。
RIE処理を施すことで、発生したラジカルやイオンを利用して原子数比等を制御することができ、(O/C)を0.01〜0.20、(F/C)を0.20〜0.70とすることで、PVFフィルム表面にはC−OH基、C=O基、COOH基といった極性官能基が生成し、無機酸化物膜との密着性を強固にすることができる。
また、PVFフィルム表面の分子構造を官能基比(C−F/C−C)が0.30〜1.00に制御することにより、表面自由エネルギーが無機酸化物層に近いエネルギーになり密着性を強固にすることができる。
請求項記載の発明は、前記処理表面のX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、X線出力100W)を行ったとき、C1s波形の解析から求めた官能基のC−Cピークの半値幅が1.20eV〜1.80eVの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層体である。
これによると、PVFフィルム表面とその上に体積する無機酸化物層の界面に混合層が
生じ、密着性を強固にすることができる。
請求項記載の発明は、前記RIE処理が、
直接電圧が印加される陰極側(冷却ドラム側)に基材を設置したプレーナ型のプラズマ処理、
または、ホロアノード・プラズマ処理器を用いた特殊プラズマによる処理
であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア性積層体である。
これによると、PVFフィルム表面は、基材がアノード側に設置されたプラズマ処理あるいはコロナ処理などのアーク放電と比べ、均一な処理が可能であり、接着に寄与する表面から約10nmの深さで処理層を形成することができる。
請求項記載の発明は、前記RIE処理が、アルゴン、窒素、酸素、水素のうちの1種類のガス、または、これらの混合ガスを用いて1回以上行われる処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性積層体である。
これによると、処理液を用いた化学処理に比べて環境を汚染しない処理が可能となる。
請求項記載の発明は、前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、あるいは、それらの混合物であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガスバリア性積層体である。
これによると、金属箔または金属薄膜を用いたガスバリア性積層体と比較して、廃棄・焼却時の環境負荷が低減できる。
請求項記載の発明は、前記RIE処理と前記無機酸化物層の積層が、同一製膜機(インライン製膜機)にて行われることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガスバリア性積層体である。
同一製膜機(インライン製膜機)にてRIE処理と無機酸化物層の成膜を行えるため、塵埃などの混入が少なく生産性の高い積層体が製造できる。
本発明によれば、このようなガスバリア性積層体を用いれば、高温高湿環境下においても無機酸化物層と良好な密着性を示す。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明のガスバリア性積層体を説明する断面図である。プラズマを利用したリアクティブエッチング(RIE)による前処理を施したPVFフィルム1表面上に、無機酸化物層2が形成されている構造である。
本発明のガスバリア性積層体は、PVFフィルム表面にプラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理を施している。このRIEによる処理を行うことで、発生したラジカルやイオンを利用して原子数比と官能基比を制御することができる。その結果、PVFフィルムと無機酸化物層との密着性を強化し、ガスバリア性向上やクラック発生防止につながるだけでなく、高温高湿環境においても、デラミネーションを防止することができる。
X線光電子分光法による測定(XPS測定)では、被測定物質の表面から数nmの深さ領域の原子の種類と濃度やその原子と結合している原子の種類やそれら結合状態が分析できる。
PVFフィルムは、プラズマ処理などの表面処理が施されていない未処理状態において、原子数比(O/C)は酸素がないため、0.00となり、原子数比(F/C)は0.50程度の値を示すことが一般的である。また、C1s波形はPVF分子構造に由来するC−C結合、C−F結合に分離され、これらのピーク強度比はC−C:C−F=1:1になり、C−CとC−Fの比(C−F/C−C)は1.00になる。さらにC−C結合ピークの半値幅は約1.20eVの値になる。このような(O/C)、(F/C)、(C−F/C−C)及びC−C結合ピークの半値幅を示すPVFフィルムは、高温高湿環境下に放置すると無機酸化物蒸着膜とデラミネーションを起こしやすく密着性が低い。
これに対して、本発明のガスバリア性積層体は、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による表面処理を施すことにより、フィルム表面が改質され、原子数比(O/C)が0.01〜0.20、原子数比(F/C)が0.20〜0.70を示す。これらは、無機酸化物層と極めて良好な密着性を示し、高温高湿環境下でもデラミネーションを起こしにくい。
図2はXPS測定で得られた未処理PVFフィルム表面のC1s波形をピーク分離解析したスペクトである。C1s波形はC−C結合4、C−F結合5に分離される。
このように、C1s波形分離から求められた官能基比(C−F/C−C)が0.30〜1.00の範囲内にある場合、表面自由エネルギーが無機酸化物層に近いエネルギーになるため、密着性を強固にすることができる。さらに、C−C結合ピークの半値幅が1.25〜1.80eVの範囲内にある場合、PVFフィルム表面とその上に体積する無機酸化物層の界面に混合層が生じ、密着性を強固にすることができる。
このPVFフィルム1はシート状またはフィルム状のPVFを使用し、フィルムの色は透明、不透明のどちらでも構わない。太陽電池バックシートの部材として使用する場合は、発電効率を上げるために不透明、特に白色のものが好ましい。
また、このPVFフィルムには公知の添加剤、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤を使用することができる。
PVFフィルムの厚さは特に制限を受けるものではないが、無機酸化物層を形成するときの加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲が好ましく、特に6〜50μmとすることが好ましい。膜厚が3μm以下であると巻取り装置で加工する際、シワやフィルム破断が生じやすく、膜厚が200μm以上であるとフィルムの柔軟性が低下するため、巻き取り装置で加工することが困難となる。また産業資材、包装材料としての適性を考慮して無機酸化物層以外に異なる性質のフィルムを積層することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムや、ポリフッ化ジビニルなどのフッ素系樹脂フィルムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明におけるRIEによる処理を巻き取り式のインライン装置で行う方法としては、基材の設置されている冷却ドラムに電圧を印加してプレーナ型にする方法(図3)、もしくはホロアノード・プラズマ処理器を用いて処理を行う方法(図4)がある。
プレーナ型で処理を行えば、基材は陰極(カソード)側に設置することができ、高い自己バイアスを得ることによってRIEによる処理が行える(図3)。もし、通常インライン処理で行うように、ドラムもしくはガイドロールの対面側に印加電極を設置した場合には、基材は陽極(アノード)側に設置されることになる(図4)。この時、基材は高い自己バイアスを得られず、ラジカルが基材表面に作用し化学反応するだけの、いわゆるプラズマエッチングしか行われないため、無機酸化物蒸着層と基材との密着性は低いままである。
また、上記ホロアノード・プラズマ処理器とは、中空状の陽極を有し、その陽極の面積(Sa)が、対極となる基板面積(Sc)に比べ、Sa>Scとなるような処理器である(図3)。陽極の面積を大きくすることで、対極となる陰極(基材)上に大きな自己バイアスを発生することが出来る。この大きな自己バイアスにより、安定で強力な表面処理が可能となる。さらに好ましくは、上記ホロアノード電極中に磁石を組み込み、磁気アシスト・ホロアノードとすることで、より強力且つ安定したプラズマ表面処理を高速で行うことである。磁気電極から発生される磁界により、プラズマ閉じ込め効果を更に高め、大きな自己バイアスで高いイオン電流密度を得ることが出来る。
RIEによる前処理を行うためのガス種としては、アルゴン、酸素、窒素、水素を使用することが出来る。これらのガスは単独で用いても、2種類以上のガスを混合して用いてもよい。また、2基の処理器を用いて、連続して処理を行ってもよい。この時2基の処理器は同じものを使用する必要はなく、プレーナ型で処理を行った後に連続してホロアノード・プラズマ処理器を用いて処理を行っても構わない。
次に無機酸化物層2について、詳しく説明する。
本発明における無機酸化物層は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、あるいは、それらの混合物などの無機酸化物からなる層であり、透明性を有しかつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する層であればよい。高温高湿環境での耐性を考慮するとこれらの中では、特に酸化アルミニウム及び酸化珪素を用いることがより好ましい。ただし、本発明の無機酸化物層は、上述した無機酸化物に限定されず、上記条件に適合する材料であれば用いることが可能である。
無機酸化物層の厚さは、用いられる無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また、膜厚が300nmを越える場合は薄膜の残留応力によりフレキシビリティを保持させることができず、成膜後外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがあるので問題がある。より好ましくは、10〜150nmの範囲内にあることが好ましい。
無機酸化物からなる蒸着薄膜層をPVFフィルムに積層する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることができる。ただし、生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましいが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式または抵抗加熱方式を用いることがより好ましい。また蒸着薄膜層と基材の密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素等の各種ガスなど吹き込む反応蒸着を用いても一向に構わない。
以下に本発明のガスバリア性積層体の実施例を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[表面状態分析方法]
測定装置は、日本電子株式会社製JPS−90MXVを用い、X線源としては非単色化MgKα(1253.6eV)を使用、出力は100W(10kV−10mA)で測定した。定量分析にはO1sで2.28、C1sで1.00、F1sで2.85の相対感度因子を用いて計算をした。C1s波形の波形分離解析にはガウシアン関数とローレンツ関数の混合関数を使用し、帯電補正はベンゼン環に由来するC−C結合ピークを285.0eVとして補正した。
<実施例1>
厚さ38μmのPVFフィルムの片面に、処理方法としてホロアノード・プラズマ処理器を用いてリアクテブイオンエッチング(RIE)による前処理を施した。この時、電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用い、処理ガスに水素ガスを用いた。XPS測定におけるO/Cは0.02、F/Cは0.63、C−F/C−Cは0.92、C−C結合の半値幅は1.32eVであった。この上に、抵抗加熱方式を用いて、酸化珪素を約30nmの厚みで成膜して、ガスバリア性積層体を作製した。
<実施例2>
処理ガスにアルゴン/酸素混合ガスを用いて処理して得られたPVFフィルムのXPS測定におけるO/Cは0.12、F/Cは0.30、C−F/C−Cは0.42、C−C結合の半値幅は1.65eVであった以外は実施例1と同様の方法でガスバリア性積層体を作製した。
<実施例3>
処理ガスに酸素ガスを用いて処理して得られたPVFフィルムのXPS測定におけるO/Cは0.18、F/Cは0.24、C−F/C−Cは0.32、C−C結合の半値幅は1.68eVであった以外は実施例1と同様の方法でガスバリア性積層体を作製した。
<実施例4>
処理ガスに窒素ガスを用いて処理して得られたPVFフィルムのXPS測定におけるO/Cは0.16、F/Cは0.22、C−F/C−Cは0.31、C−C結合の半値幅は1.72eVであった以外は実施例1と同様の方法でガスバリア性積層体を作製した。
<実施例5>
処理方法として冷却ドラム側から電圧を印加する方式のプレーナ型で、プラズマを利用したRIEによる前処理を行い、処理ガスにアルゴンガスを用いて処理して得られたPVFフィルムのXPS測定におけるO/Cは0.05、F/Cは0.33、C−F/C−Cは0.46、C−C結合の半値幅は1.52eVであった以外は実施例1と同様の方法でガスバリア性積層体を作製した。
<比較例1>
処理ガスに酸素/窒素混合ガスを用いて得られたPVFフィルムのXPS測定におけるO/Cは0.26、F/Cは0.14、C−F/C−Cは0.21、C−C結合の半値幅は1.85eVであった以外は、実施例1と同様の方法でガスバリア性積層体を作製した。
<比較例2>
PVFフィルムにコロナ処理装置を用いて、コロナ処理して得られたPVFフィルムのXPS測定におけるO/Cは0.28、F/Cは0.11、C−F/C−Cは0.18、C−C結合の半値幅は1.92eVであった以外は実施例1と同様の方法でガスバリア性積層体を作製した。
実施例1〜5、比較例1〜2の蒸着フィルム上に、下記に示すA液とB液を配合比(wt%)で6/4に混合した溶液を作成した。
A液:テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO2 換算)の加水分解溶液。
B液:ポリビニルアルコールの3wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量比で90:10)。
この溶液をグラビアコート法により塗布乾燥し、厚さ0.4μmの複合被膜層を形成した。
さらにニ液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネートにより、上記蒸着フィルム/延伸ナイロン(15μm)/未延伸ポリプロピレン(70μm)の積層サンプルを作成した。
<評価>
上記積層サンプルの蒸着フィルム/延伸ナイロン間のラミネート強度を、オリエンテック社テンシロン万能試験機RTC−1250を用いて測定した(JIS Z1707準拠)。但し、測定の前に試料を85℃85%の高温高湿環境下に96時間放置した後にラミネート強度を測定した。結果を表1に示す。
したがって、原子数の比率(O/C)が0.01〜0.20、(F/C)が0.20〜0.70、C1s波形の解析から求めた官能基比(C−F/C−C)が0.30〜1.00、C−C結合ピークの半値幅が1.25〜1.80eVに調整した以外の比較例1、2のラミネート強度が低いことが示された。
以上のように本発明のガスバリア性積層体用PVFフィルムは,PVFフィルムと無機酸化物蒸着層との密着性が高く高温高湿環境下でもPVFフィルムと無機酸化蒸着膜との密着性が劣化しないガスバリア性積層体を提供することができる。
本発明のガスバリア性積層体の断面図。 未処理PVF面のXPSC1s波形分離スペクトル図。 プレーナ型プラズマ処理を行った場合の概略模式図。 ホロアノード・プラズマ処理器の断面図。
符号の説明
1 PVFフィルム
2 無機酸化物層
3 RIEによる前処理層
4 C−C結合ピーク
5 C−F結合ピーク
6 電極
7 プラズマ
8 ガイドロール
9 PVFフィルム
10 ガス導入口
11 マッチングボックス
12 遮蔽板

Claims (6)

  1. ポリフッ化ビニルフィルム(以下PVFフィルム)の少なくとも一方の面に無機酸化物層を積層するガスバリア性積層体において、
    該PVFフィルムの少なくとも該無機酸化物層を設ける面に、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)処理が施されており、
    該処理表面のX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、X線出力100W)を行ったとき、酸素原子数と炭素原子数の比率(O/C)が0.01〜0.20の範囲内であり、かつ、フッ素原子数と炭素原子数の比率(F/C)が0.20〜0.70の範囲内であり、
    前記処理表面のX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、X線出力100W)を行ったとき、C1s波形の解析から求めた官能基の比率(C−F/C−C)が0.30〜1.00の範囲内である
    ことを特徴とするガスバリア性積層体。
  2. 前記処理表面のX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、X線出力100W)を行ったとき、C1s波形の解析から求めた官能基のC−Cピークの半値幅が1.20eV〜1.80eVの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層体。
  3. 前記RIE処理が、
    直接電圧が印加される陰極側(冷却ドラム側)に基材を設置したプレーナ型のプラズマ処理、
    または、ホロアノード・プラズマ処理器を用いた特殊プラズマによる処理
    であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア性積層体。
  4. 前記RIE処理が、アルゴン、窒素、酸素、水素のうちの1種類のガス、または、これらの混合ガスを用いて1回以上行われる処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
  5. 前記無機酸化物が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、あるいは、それらの混合物であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
  6. 前記RIE処理と前記無機酸化物層の積層が、同一製膜機(インライン製膜機)にて行われることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガスバリア性積層体。
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