JP6007930B2 - ガスバリア積層体 - Google Patents

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本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム基材を用いたガスバリア積層体に関する。
近年、食品や非食品および医薬品などの包装に用いられる包装材料には、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持することが求められている。このためこれらの包装材料は、酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体の透過を防止する機能を有することが必要である。このような包装材料としてはガスバリア積層体が知られている。近年、ガスバリア積層体は太陽電池モジュールの部材である裏面保護シートを代表とした産業資材用途としても用いられるようになってきた。
従来、太陽電池モジュール用裏面保護シートのガスバリア層としては、温度・湿度などの影響が少ないアルミニウム箔等の金属箔が、一般的に用いられていた。しかしながら、金属箔は経年劣化により太陽電池のセルおよび配線等と絶縁不良を起こすなどの欠点があった。
このような絶縁不良の問題を克服する材料として、フッ素樹脂フィルムに酸化珪素を蒸着した蒸着フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この蒸着フィルムは酸素、水蒸気等のガス遮断性に加えて、積層フィルムの密着性向上効果を有し、金属箔では得られない絶縁特性、透明性を有する材料として期待されている。
特開平10−308521号公報
しかしながら、樹脂フィルムからなる基材に酸化珪素薄膜を積層した従来のガスバリア積層体は、高温高湿環境下に長時間曝されたときに、基材と酸化珪素薄膜との密着性が低下する場合があるという問題がある。基材表面にアンカーコートを施すことによって、こうした劣化を抑制することは可能であるものの、ガスバリア積層体の製造における工程数の増加につながる。しかも剥離劣化の発生箇所が基材表層のため、劣化を十分に抑えることができない。
本発明は、高温多湿環境下においても、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム基材に対する酸化珪素薄膜の密着性を維持できるガスバリア積層体を提供することを目的とする。
本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる基材と、前記基材の少なくとも一方の面に形成された酸化珪素薄膜と、前記基材と前記酸化珪素薄膜との間に設けられたアンカーコート層とを備え、前記基材は、位相差測定法により測定される分子鎖の配向角をMD方向に対して50°から90°または、−50°から−90°の範囲とすることにより表面の凝集力が向上されており、前記酸化珪素薄膜は、X線光電子分光法によって算出される酸素と珪素の比(O/Si)が1.8〜2.0の範囲内であり、前記基材と前記酸化珪素薄膜との剥離強度が2N/15mm以上とされたガスバリア積層体である。
本発明によると、高温多湿環境下においても、PETフィルム基材に対する酸化珪素薄膜の密着性を維持できるガスバリア積層体が提供される。
図1は、本発明の第1実施形態に係るガスバリア積層体の断面模式図である。 図2は、本発明の他の実施形態に係るガスバリア積層体の断面模式図である。 図3は、本発明の他の実施形態に係るガスバリア積層体の断面模式図である。 図4は、プレーナ型プラズマ処理装置でリアクティブイオンエッチング(RIE)を行う形態を示す概略図である。 図5は、ホロアノード・プラズマ処理装置でリアクティブイオンエッチング(RIE)を行う形態を示す概略図である。 図6は、PETフィルム基材の配向角についての定義を示した説明図である。
以下、本発明の実施形態に係るガスバリア積層体およびその製造方法について詳細に説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態に係るガスバリア積層体は、PETフィルムからなる基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された酸化珪素薄膜とを備える。PETフィルム基材は、位相差測定法により測定される分子鎖の配向角がMD方向に対して50°から90°または−50°から−90°である。
ここで、配向角は、図6に示したように、MD方向を0°として、左側に傾いて分子鎖が並んでいれば+、右側に傾いて分子鎖が並んでいれば−と定義する。なお図中、TDは、Transvers Directionであり、フィルムの幅方向を示す。
MD方向の配向角は可視光を用いた位相差測定法、マイクロウエーブを用いた分子配向測定法などの手法を用いて求めることができる。しかしながら、マイクロウエーブを用いた分子配向測定法の場合には測定者による測定値のバラつきが大きくなる。これに対し、位相差測定法は測定者によらず安定して測定でき、測定者のバラつきも少ない。しかも、正確に配向角を測定することができる。このため、MD方向に対する配向角の測定には位相差測定法を採用するのが良い。
本発明者は、樹脂フィルムからなる基材に酸化珪素薄膜を積層した従来のガスバリア積層体における密着性の低下を種々研究した結果、酸化珪素薄膜が積層されたフィルム基材表面における凝集力の低下が基材との密着性の低下を引き起すことを究明した。
このような究明結果に基づいて、本発明者は酸化珪素薄膜を形成するPETフィルムからなる基材表面の凝集力に関してさらに鋭意研究した結果、PETフィルムからなる基材のMD方向に対する配向角が関連していることを見出したのである。
すなわち、通常、PETフィルムは二軸延伸した後、適切な熱固定温度で保持し、フィルム面のMD方向に対して分子が水平または垂直に配列するように調整される。この分子の配向の角度で、MD方向に対する配向角が決まる。位相差測定法により測定されたMD方向に対する配向角が50°から90°または−50°から−90°の範囲であるPETフィルムを基材として用いることによって、この上に積層される酸化珪素薄膜の密着性が高められる。しかも、こうした特性は高温高湿環境下においても維持することができる。これは、本発明者によって初めて得られた知見である。
以下、本発明の第1実施形態に係るガスバリア積層体を図1を参照して具体的に説明する。図1は、第1実施形態のガスバリア積層体を示す断面模式図である。ガスバリア積層体(10)は、PETフィルム基材(1)の上に酸化珪素薄膜(2)を積層した構造を有する。
PETフィルム基材(1)は、位相差測定法により測定されたMD方向に対する配向角が50°から90°または−50°から−90°の範囲に規定される。PETフィルム基材(1)は、酸化珪素薄膜(2)の透明性を損なわれないように透明であることが好ましい。
PETフィルム基材(1)としては、機械的強度が高く、寸法安定性にも優れる延伸したものが用いられる。第1実施形態において、PETフィルム基材(1)はMD方向に対する配向角が50°から90°または−50°から−90°の範囲を確保するために、二軸延伸および熱固定を経たものが用いられる。二軸延伸および熱固定の条件を適切に選択することによって、配向角を制御することができる。例えば、二軸延伸後に幅方向に対して中央部分を使用することによって、PETフィルム基材(1)の配向角を所望の範囲内で選択することが可能になる。
PETフィルム基材(1)の厚さは、特に制限されないが、薄過ぎると、巻取り装置で酸化珪素薄膜(2)を形成する際にシワの発生やフィルムの破断が生じるおそれがある。一方、厚過ぎると、フィルムの柔軟性が低下するため巻取り装置での加工が困難となるおそれがある。3〜200μmの厚さを有する基材は、何等不都合を生じることなく巻取り装置で酸化珪素薄膜を形成することができる。より好ましいPETフィルム基材(1)の厚さは、6〜50μmである。
酸化珪素薄膜(2)を構成する酸化珪素は、XPS測定法によって算出される酸素と珪素の比(O/Si比)が特定の値を有することが好ましい。O/Si比が小さ過ぎると、十分なバリア性を確保できず、しかも着色して透明性が損なわれるばかりでなくクラック等の膜欠陥が生じ易くなるおそれがある。その結果、酸化珪素薄膜(2)を有するガスバリア積層体(10)のバリア性が低下し、酸化珪素薄膜(2)とPETフィルム基材(1)との間の密着性も低下するおそれがある。O/Si比を1.6〜2.0の範囲に規定した酸化珪素薄膜(2)は、透明で、かつPETフィルム基材(1)に対して高い密着性を示す。
酸化珪素薄膜(2)は、適切な厚さを有することが好ましい。酸化珪素薄膜(2)の厚さが薄過ぎると、均一な膜を形成することができず、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことが困難になる。一方、酸化珪素薄膜(2)の厚さが厚過ぎると、残留応力により柔軟性を保持できず、成膜後の外的要因によって亀裂が生じるおそれがある。5〜300nmの範囲の厚さに規定した酸化珪素薄膜(2)は、膜厚の均一化とガスバリア材として適切な柔軟性を示す。より好ましい酸化珪素薄膜(2)の厚さは10〜100nmである。
酸化珪素薄膜(2)は、緻密性およびPETフィルム基材(1)に対する密着性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオン・ビームアシスト法を用いて蒸着してもよい。また、酸素等の各種ガスなどを吹き込みつつ蒸着を行う(反応蒸着)ことによって、蒸着される酸化珪素薄膜の透明性をより一層高めることができる。
第1実施形態に係るガスバリア積層体は、図2、図3に示すようにPETフィルム基材(1)表面にアンカーコート層(3a)や下地層(3b)を形成し、この上に酸化珪素薄膜(2)を設けた構造にしてもよい。PETフィルム基材(1)表面にリアクティブイオンエッチング(RIE)処理による前処理を施すことによって下地層(3b)を形成することができる。
アンカーコート層(3a)は、PETフィルム基材(1)の表面にアンカーコート剤を塗布し、乾燥することによって形成することができる。アンカーコート層(3a)は、PETフィルム基材(1)と酸化珪素薄膜(2)との密着性をさらに向上させる作用を有する。
アンカーコート剤は、例えば溶剤溶解性または水溶性のポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂またはアルキルチタネート等から選択され、これらは単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
アンカーコート層(3a)は、通常、5nm〜5μm程度の厚さにすることができる。このような厚さを有するアンカーコート層は、内部応力が抑制された均一な膜厚で基材表面に形成することができる。より好ましいアンカーコート層(3a)の厚さは、10nm〜1μmである。
アンカーコート層(3a)の塗布性、接着性を改良するために、アンカーコートに先立って、基材表面に放電処理を施してもよい。
一方、下地層(3b)の形成において基材表面にRIE処理を施す場合には、プラズマが利用される。プラズマ中に発生したラジカルやイオンにより、基材表面に官能基を付与する化学効果が得られる。また、イオンエッチングによって表面不純物を除去すると共に、表面粗さを大きくする物理的効果も得られる。その結果、PETフィルム基材(1)と酸化珪素薄膜(2)との密着性をさらに向上させ、高温高湿環境下においても両者は剥離しない構造となる。
RIEによる処理は、巻取り式のインライン装置を用いて行うことができる。巻取り式のインライン装置としては、基材が設置される冷却ドラムに電圧を印加するプレーナ型処理装置を用いることができる。例えば、図4に示すプレーナ型処理装置で基材をRIE処理する方法は、処理ロール(6)の内側に電極(陰極)(4)を配置し、PETフィルム基材(1)を処理ロール(6)に沿って搬送しながら、PETフィルム基材(1)の表面にプラズマ中のイオン(5)を作用させてRIE処理を行う。このような方法によれば、PETフィルム基材(1)は陰極(カソード)側に設置することができ、高い自己バイアスを得ることによってRIEによる処理を行うことができる。
また、RIE処理はホロアノード・プラズマ処理装置を用いて行うこともできる。例えば、図5に示すホロアノード・プラズマ処理装置は陽極としての処理ロール(6)を備える。陰極(4)およびその両端に配置された遮蔽板(10)は、処理ロール(6)の外部に処理ロール(6)と対向するように配置されている。陰極(4)は、処理ロール(6)側が開口したボックス形をなす。遮蔽板(7)は、処理ロール(6)に沿った曲面形状を有する。ガス導入ノズル(8)は、陰極(4)の上方に配置され、処理ロール(6)と陰極(4)および遮蔽板(7)の間の空隙にガスを導入する。マッチングボックス(9)は、陰極(4)の背面に配置されている。
このようなホロアノード・プラズマ処理装置で基材をRIE処理するには、PETフィルム基材(1)を処理ロール(6)に沿って搬送しながら、マッチングボックス(9)から陰極(4)に電圧を印加し、ガスが導入される処理ロール(6)と陰極(4)および遮蔽板(7)の間にプラズマを発生して、陽極である処理ロール(6)側にプラズマ中のラジカルを引き寄せることによって、PETフィルム基材(1)表面にラジカルを作用させる。このラジカル作用は、化学反応だけで、主にプラズマエッチングがなされるに留まり、基材と酸化珪素薄膜との密着性を十分に向上させることができない。
このようなことから、図5に示すホロアノード・プラズマ処理装置において、陽極として処理ロール(6)の面積(Sa)を対極となるPETフィルム基材(1)の面積(Sc)より大きい(Sa>Sc)構成にすることによって、基材上に多くの自己バイアスを発生させることができる。この大きな自己バイアスにより、前述の化学反応に加えて、プラズマ中のイオン(5)をPETフィルム基材(1)に引き寄せるスパッタ作用(物理的作用)が働くため、RIE処理後のPETフィルム基材(1)表面に酸化珪素薄膜(2)を形成した際、それらの間の密着性を向上できる。
RIE処理において、ホロアノード電極中に磁石を組み込んで、磁気アシスト・ホロアノードとすることが好ましい。これによって、より強力で安定したプラズマ表面処理を高速で行うことが可能となる。磁気電極から発生される磁界により、プラズマ閉じ込め効果をさらに高め、大きな自己バイアスで高いイオン電流密度を得ることができる。
RIEによる前処理を行うためのガス種としては、例えばアルゴン、酸素、窒素、水素を使用することができる。これらのガスは単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
RIE処理において、2基以上の処理装置を用いて、連続して処理を行うこともできる。このとき、2基以上の処理装置は同じものを使用する必要はない。例えば、プレーナ型処理装置で基材を処理し、その後に連続してホロアノード・プラズマ処理装置を用いて処理を行うこともできる。
第1実施形態に係るガスバリア積層体において、前述した図1〜3のいずれの構造の場合も、さらに別の層を含むことができる。例えば、PETフィルム基材(1)の他方の面にも酸化珪素薄膜を形成してもよい。
また、酸化珪素薄膜(2)上にオーバーコート層を形成して保護および接着性を向上させてもよい。オーバーコート層の材料は、例えば溶剤溶解性または水溶性のポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等から選択することができる。オーバーコート層は、これらの材料を用いた単独層、または2種類以上の積層によって構成することができる。
オーバーコート層には、フィラーを添加してバリア性、摩耗性、滑り性等を向上させることもできる。フィラーとしては、例えばシリカゾル、アルミナゾル、粒子状無機フィラー、および層状無機フィラーなどが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。オーバーコート層は、前述の樹脂にフィラーを添加し、重合または縮合させることにより形成することが好ましい。
PETフィルム基材(1)の片面のみに酸化珪素薄膜(2)が設けられる場合、他方の面には公知の添加剤、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを含む層を設けてもよい。
実施形態に係るガスバリア積層体は、産業資材、包装材料としての適性を考慮して、別のフィルムを積層することができる。このフィルムは、例えばPETフィルムなどのポリエステルフィルム、ポリフッ化ビニルフィルムやポリフッ化ジビニルなどのフッ素系樹脂フィルムなどを用いることができる。さらに、これら以外の樹脂フィルムを積層することもできる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係るガスバリア積層体の製造方法は、最初に、PETフィルムから位相差測定法により測定される分子鎖の配向角がMD方向に対して50°から90°または−50°から−90°の範囲であるPETフィルムを選択し、これを基材として用いる。位相差測定は、後述する実施例の位相差測定装置を用いて行うことができる。
次いで、前記PETフィルム基材(1)表面に酸化珪素薄膜(2)を積層してガスバリア積層体を製造する。酸化珪素薄膜(2)の積層は、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、およびプラズマ気相成長法等を採用できる。生産性を考慮すれば、真空蒸着法が好ましい。
真空蒸着法における加熱方式は特に限定されず、例えば電子線加熱方式、抵抗加熱方式、および誘導加熱方式等を採用できる。電子線加熱方式または抵抗加熱方式は、蒸発材料の選択性を広げることができるため、より好ましい。
第2実施形態において、酸化珪素薄膜(2)を基材表面に積層するに先立って、前述の第1実施形態のようにアンカーコート層(3a)またはRIE処理による下地層(3b)を形成することが許容される。
第2実施形態において、酸化珪素薄膜(2)上に前述の第1実施形態のようにオーバーコート層を形成することが許容される。また第2実施形態において、PETフィルム基材(1)の他方の面にも酸化珪素薄膜を積層することも許容される。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
厚さ12μmのPETフィルム基材を8種用意し、それぞれ位相差を測定して配向角を求めた。すなわち、位相差測定装置(王子計測機器社製、KOBRA−WR)によりPETフィルムの40mm×40mmの面積について、0°〜50°(10°ピッチ)の入射角で位相差を測定した。測定された8種類のPETフィルム基材のMD方向に対する配向角を下記表1に示す。
次いで、各PETフィルム基材の一方の面に電子線加熱方式により酸化珪素を蒸着して厚さ30nmの薄膜を積層することにより8種類のガスバリア積層体サンプルを製造した。
得られた各サンプルにおける酸化珪素薄膜中のO/Si比をX線光電子分光法(XPS)により求めた。測定装置は、X線光電子分光分析装置(日本電子株式会社製、JPS−90MXV)である。X線源として、非単色化MgKα(1253.6eV)を使用し、100W(10kV−10mA)のX線出力で測定した。O/Si比を求めるための定量分析には、それぞれO1sで2.28、Si2pで0.9の相対感度因子を用いた。8種類のサンプルのO/Si比を下記表1に示す。
また、各サンプルについて次のような手法によって剥離強度を調べた。
ガスバリア積層体サンプルにウレタン系の接着剤を用いてナイロンフィルム(ONy)とポリプロピレン(CPP)を接着してラミネート構造とした。接着されたPETフィルムと酸化珪素薄膜との界面で剥がしてきっかけを作り、剥離強度を測定した。引張試験機は、オリエンテック社性テンシロンRTC−1250を用いて、180°に剥離した時の剥離強度を測定した。その結果を下記表1に示す。なお、表1の評価において剥離強度が2N/15mm以上を合格(○)、2N/15mm未満を不合格(×)、と判定した。
Figure 0006007930
前記表1から明らかなように配向角が45.2°のPETフィルムを基材として用いた比較例1では、剥離強度が0.5N/15mmであり、合格範囲から外れている。また、配向角が38.6°のPETフィルムを基材として用いた比較例2も同様に、剥離強度が0.3N/15mmであり、合格範囲から外れている。さらに、配向角−28.5°が1.535のPETフィルムを基材として用いた比較例3では、剥離強度が0.2N/15mmであり、合格範囲から外れている。このように配向角が0°から50°または0から−50°のPETフィルムを基材として用いた比較例1〜3では、所望の密着性およびバリア性を有するガスバリア積層体を得ることができないことがわかる。
これに対し、位相差法により測定された配向角が50から90°または−50から−90°のPETフィルムを基材として用いた実施例1〜5のサンプルではいずれも剥離強度は2.2N/15mm以上で、最大では3.2N/15mmにも及び、基材と酸化珪素薄膜の間に高い密着性を付与できることがわかる。
以上のように、位相差法によりMD方向に対する配向角が所定の範囲内に規定されたPETフィルムによって、高温高湿環境下でも密着性が劣化しにくいガスバリア積層体を提供できる。
本発明は、食品や精密電子部品および医薬品の包装材料として用いられ、特に太陽電池モジュールの部材である裏面保護シートのような産業資材用途に利用可能なガスバリア積層体およびその製造方法を提供できる。
1・・・PETフィルム基材
2・・・酸化珪素薄膜
3a・・・アンカーコート層
3b・・・下地層
4・・・電極(陰極)
5・・・プラズマ
6・・・処理ロール
7・・・遮蔽板
8・・・ガス導入口
9・・・マッチングボックス
10・・・ガスバリア積層体
20・・・ガスバリア積層体

Claims (3)

  1. ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面に形成された酸化珪素薄膜と、
    前記基材と前記酸化珪素薄膜との間に設けられたアンカーコート層と、
    を備え、
    前記基材は、位相差測定法により測定される分子鎖の配向角をMD方向に対して50°から90°または、−50°から−90°の範囲とすることにより表面の凝集力が向上されており、
    前記酸化珪素薄膜は、X線光電子分光法によって算出される酸素と珪素の比(O/Si)が1.8〜2.0の範囲内であり、
    前記基材と前記酸化珪素薄膜との剥離強度が2N/15mm以上である、ガスバリア積層体。
  2. 前記酸化珪素薄膜の膜厚は、5〜300nmである、請求項1に記載のガスバリア積層体。
  3. 前記アンカーコート層の材質は、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂及びオキサゾリン基含有樹脂からなる群から選択される、請求項1に記載のガスバリア積層体。
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