JP4050544B2 - 耐水性アルミニウム顔料分散体とその製造方法およびそれを含む水性メタリック塗料組成物 - Google Patents

耐水性アルミニウム顔料分散体とその製造方法およびそれを含む水性メタリック塗料組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は水性メタリック塗料や水性メタリックインキ等に用いられる、耐水性に優れたアルミニウム顔料分散体とその製造方法およびそれを配合してなる水性メタリック塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム顔料を水性ワニスに配合すると、ワニスに含まれる水と反応し、水素ガスを発生して貯蔵中に容器が爆発したり、アルミニウム顔料が固まってブツを発生するなどの問題を生じる。これを解決するため多くの技術が開発されているが、比較的実用に近い最近の技術としては、特公平1-54386、特開昭59-74201、特公昭60-8057、特開平4-318181、米国特許5,296,032、特開平6-57171、特開平9-328629、欧州特許0170474が公知である。
【0003】
特公平1-54386号では、アルミニウム顔料をクロム酸で処理する方法が開示されている。この方法によればアルミニウム顔料の化学的安定性は改善されるが、処理液の反応性が強すぎるために細かいアルミニウム顔料の処理ができない、六価クロム化合物を使用するため労働衛生面あるいは環境面での問題が大きい等の難点があり、あまり実用化されていない。
【0004】
特開昭59-74201号では、バナジン酸アンモニウムでアルミニウム顔料を処理する方法が開示されている。この方法については、処理によるアルミニウム顔料の色調の変化が大きく、実用化には至っていない。
【0005】
特公昭60-8057号では酸性燐酸エステルによりアルミニウム顔料を被覆する方法が開示されている。この方法では色調や化学的安定性は良好であるが、2コート1ベイクあるいは2コート2ベイク塗膜を作成した場合に、処理剤がアルミニウム顔料と樹脂との密着性に好ましからざる影響を及ぼし、ベースメタリック塗膜層とトップコート層との間の層間剥離が、大きな問題となる。
【0006】
特開平4-318181号では、モリブデン酸等の酸化剤と燐酸イオン及びアルカリ土類金属イオンを含有する処理液でアルミニウム顔料を処理する方法が開示されている。この方法で化学的安定性の優れたアルミニウム顔料が作成できるが、処理液に含まれる燐酸イオンやアルカリ土類金属イオンが塗膜の耐湿性その他の物性を低下させる傾向がある。
【0007】
米国特許5,296,032では、燐モリブデン酸などのヘテロポリアニオンでアルミニウム顔料を処理する方法が開示されている。この方法では、アルミニウム顔料に十分な化学的安定性を付与する事ができない上に、処理剤に含まれる燐酸イオンが塗膜耐湿性等の物性を低下させる。
【0008】
特開平6-57171号では、アルミニウム顔料をモリブデン酸アンモニウムで処理した後、モリブデン酸塩等を添加して更にアルミニウム顔料を安定化する方法が開示されている。この方法で比較的化学的安定性の良好なアルミニウム顔料を得ることが可能であるが完全では無く、また製造工程が煩雑であるという問題がある。
【0009】
特開平9-328629には過酸化ポリ酸により処理されたアルミニウム顔料が開示されている。過酸化ポリ酸から誘導される皮膜は緻密で耐食性に優れているため、これをアルミニウム顔料表面に形成することにより水性塗料や水性インキ用ワニスに対し化学的に安定なアルミニウム顔料を得ることができる。このように、このアルミニウム顔料は優れた化学安定性を備えてはいるが、アルミニウム顔料の分散性があまり良くないため、塗膜化した場合にブツが生じたり、外観が悪くなってしまうという問題がある。さらに、製造工程で有機溶剤を使用するため、コストや環境衛生面でもあまり好ましい方法とは言えなかった。
【0010】
欧州特許0170474にはメタリック水性塗料にエポキシ化合物と燐酸から誘導される燐酸エステル化合物を配合し、アルミニウム顔料と水との反応の抑止と密着性の改善を図る方法が開示されている。しかし、この方法によってもアルミニウム顔料と水との反応を完全に抑止する事はできない。また、配合された燐酸エステル化合物がアルミニウム顔料表面に疎水性皮膜を形成するため、水性ワニス中へのアルミニウム顔料の分散性が悪くなり、光輝性や隠蔽性が低下するという問題も生じる。
【0011】
このような状況のもとに、本出願人は、先に過酸化ポリモリブデン酸から誘導される皮膜が形成され、かつアミンを含有したアルミニウム顔料、さらにはこの無機皮膜の上にさらに有機燐化合物の吸着層を付与したアルミニウム顔料が優れた耐水性を示すことを見出し、提案した。(PCT/JP01/08986)。この耐水性に優れたアルミニウム顔料は、有機溶剤を含有するアルミニウム顔料組成物に、アミンと、過酸化水素水に金属モリブデンを溶解した溶液と、親水性溶剤を添加し、加熱状態で撹拌混合することによりアルミニウム表面に無機皮膜を形成し、必要に応じて有機燐化合物を加えてペ−スト状のアルミニウム顔料とするものであり、従来のペ−スト状アルミニウム顔料と同じくメタリック顔料として塗料作製時に配合され、使用されるものである。このペ−スト状の耐水性アルミニウム顔料は耐水性に特に優れ、凝集も生じにくく、またこれを配合使用した塗膜特性も優れていることから広く使用されうるものであるが、過酸化ポリモリブデン酸から誘導される皮膜を、アルミニウム表面に形成するための撹拌混合に、加熱が必要なこと、また過酸化ポリモリブデン酸とアルミニウムとの激しい反応による凝集を抑制するためアミンが必要なことなどから、工程的には制御し難いものであった。
【0012】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点を種々検討した結果、過酸化ポリモリブデン酸から誘導される皮膜を、アルミニウム表面に加熱によってあらかじめ形成したアルミニウムペ−ストを使用せずとも、過酸化ポリモリブデン酸とアルミニウム顔料と水と分散剤を単に撹拌混合しただけのアルミニウム顔料分散体を、塗料化の際に配合するだけで同様の耐水性が得られることを見出し、本発明を完成させた。さらに実験を重ねるに、耐水性が得られるのは単にモリブデンを反応させて得られた過酸化ポリモリブデン酸を使用した場合だけでなく、タングステン、ニオブ、チタン等の種々の金属またはその組み合わせを使用して得られた過酸化金属ポリ酸によっても同様の効果が得られることを見出し本発明に至った。即ち、本発明は下記に示す耐水性に優れたアルミニウム顔料分散体とその製造方法およびそれを配合してなる水性メタリック塗料組成物に係るものである。
【0013】
. アルミニウム顔料に、過酸化水素水に金属または金属化合物を溶解した溶液と、水および分散剤からなる液を添加し、攪拌混合する耐水性アルミニウム顔料分散体の製造方法であって、前記アルミニウム顔料に前記分散剤からなる液を攪拌混合した後に、さらに前記水と前記過酸化水素水に金属または金属化合物を溶解した溶液を加えて攪拌混合することを特徴とする耐水性アルミニウム顔料分散体の製造方法
【0014】
【発明の実施の形態】
(1)過酸化金属ポリ酸
本発明に用いられる過酸化金属ポリ酸は、組成式M・mH・nHOまたはMy−m(O・nHO(ただし、Mは金属元素、Oは酸素、x,yは1以上の整数、m,nは正数を示す。)で示される。この組成の過酸化金属ポリ酸を含む溶液は、例えば、Solid States Ionics(1992,p507〜p512)に記載されているが如く、過酸化水素に金属を溶解させる方法により製造される。金属は単体で溶解しても、金属を含んだ化合物を溶解してもよい。この組成の過酸化金属ポリ酸により、優れた化学安定性をアルミニウム顔料表面に形成することができるとともに、その顔料を配合しても、塗膜の物性を低下させることはない。ここで用い得る金属元素Mは、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Nb(ニオブ)、Ti(チタン)等、周期表IVA、IVB、VA、VB、VIA、VIB族に属する元素から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、その中でも特にMoが好ましい。
【0015】
(2)金属含有量
アルミニウム顔料表面に形成された皮膜中の金属含有量は、アルミニウム100質量部に対し、0.02〜5質量部とする。金属含有量がこれよりも少ない場合には、所望の化学的安定性が得られにくく、多すぎるとアルミニウム顔料が凝集し、意匠性、隠蔽性が損なわれる。
【0016】
(3)水
水はアルミニウム顔料粒子間に入り込むことにより、アルミニウム顔料同士の凝集を防止する上に、粉塵の発生を抑え、粉塵爆発や作業環境の悪化等の問題を解決する。本発明によるアルミニウム顔料分散体は、その中に含まれる過酸化金属ポリ酸がアルミニウム顔料と水との反応を完全に抑止するため、極めて安定で、貯蔵中に水素ガスを発生したり、アルミニウム顔料の凝集が生じたりするような問題は無い。水の好ましい配合量は、アルミニウム100質量部に対し、5〜500質量部である。水の量が少なすぎる場合はアルミニウム顔料が凝集しやすくなる。多すぎるとアルミニウム顔料が沈澱してしまうため再分散が困難となったり、水性塗料に配合して塗装した場合に粘度低下によりアルミニウム顔料の配列が乱れ、色調が悪くなる。
【0017】
従来のアルミニウム顔料はアルミニウム粉とミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の有機溶剤を混合したペースト状のアルミニウムペーストとして市販されていたが、塗料に用いられた場合にはその中に含まれる有機溶剤が環境汚染を引き起こすという問題が有ったが、本発明によればアルミニウム粉と水を主成分とする液との混合によるアルミニウムペーストが可能であり、環境汚染を少なくする事が出来る。
【0018】
(4)分散剤
分散剤はアルミニウム顔料同士の凝集を防止すると共に、アルミニウム顔料の水性ワニスへの分散性を改善し、隠蔽性や光輝性の優れたメタリック塗膜を実現するために配合されるものであって界面活性剤、水溶性樹脂または水分散性樹脂、親水性溶剤からなる群から選ばれた少なくとも1種以上で構成される。
【0019】
(界面活性剤の例)
界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノール燐酸、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルジフェノールエーテルジスルフォン酸塩等が挙げられ、より好ましい例としてポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェノール燐酸等のHLB(Hydrophile-lipophile balance:界面活性剤の親水性と疎水性の比率を表す)=3〜15(より好ましくは5−12)のものが挙げられる。
【0020】
(水溶性樹脂または水分散性樹脂の例)
好ましい水溶性樹脂または水分散性樹脂としては、水溶性アクリル樹脂、水溶性アルキド樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂エマルション、アクリル酸エステル共重合樹脂コロイダルディスパージョン、ウレタン樹脂エマルション、スチレン-アクリル酸エステル共重合樹脂エマルションが挙げられる。さらに水溶性エポキシエステル樹脂、水溶性オイルフリーアルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、アルキド樹脂エマルション、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、アクリルシリコンエアマルション等も好適に使用できる。
【0021】
(親水性溶媒の例)
親水性溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール,n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、アセトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ、メトキシブタノール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル等が挙げられる。
【0022】
これら分散剤の好ましい配合量は、アルミニウム100質量部に対し、1〜100質量部である。含有量がこれよりも少ない場合には、所望の分散性が得られにくく、多すぎると得られる水性メタリック塗料による塗膜の物性(耐候性、耐湿性、耐水性、硬度等)や色調(光輝性、メタリック感等)が損なわれる。また、分散剤以外に増粘剤、沈降防止剤、可塑剤などの塗料添加剤、アミン、脂肪酸、エステル化合物等の他の腐食抑制剤、親油性溶剤等が配合されていても良い。
【0023】
(5)水性メタリック塗料組成物
本発明のアルミニウム顔料分散体は、水溶性樹脂または水分散性樹脂水性樹脂ワニス、溶剤、さらに必要に応じて、他の顔料、添加剤と混合し、水性メタリック塗料組成物として使用される。
【0024】
(水溶性樹脂または水分散性樹脂水性樹脂ワニスの例)
好ましい水溶性樹脂または水分散性樹脂としては、水溶性アクリル樹脂、水溶性アルキド樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂エマルション、アクリル酸エステル共重合樹脂コロイダルディスパージョン、ウレタン樹脂エマルション、スチレン-アクリル酸エステル共重合樹脂エマルションが挙げられる。さらに水溶性エポキシエステル樹脂、水溶性オイルフリーアルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、アルキド樹脂エマルションエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、アクリルシリコンエアマルション等も好適に使用できる。
【0025】
(溶剤の例)
溶剤としては、水、アルコール系、グリコールエーテル系、ケトン系、エステル系、芳香族炭化水素系、脂肪族炭化水素系等が好適に用いられるが、得られる塗膜の物性や色調・外観を損なわない範囲で水が出来るだけ多い方が、環境衛生的観点から、望ましい。
【0026】
(顔料の例)
フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、ペリレン、インダンスレン、ジケトピロロピロール、アゾレーキ、酸化鉄、黄鉛、カーボンブラック、酸化チタン、パールマイカ等を必要に応じて用いることができる。
【0027】
(添加剤の例)
界面活性剤、硬化剤、紫外線吸収剤、静電気除去剤、増粘剤、沈降防止剤等を必要に応じて用いることができる。
【0028】
本発明の水性メタリック塗料組成物による塗膜は、電着塗装等による下塗り層や中塗り層の上に形成されていても良く、また、本発明の塗膜の上にトップコート層が形成されていても良い。
【0029】
本発明の水性メタリック塗料組成物に用いる場合のアルミニウム顔料の配合量は、水性メタリック塗料組成物100質量部に対し0.1〜30質量部が適当である。配合量が少ない場合は十分な装飾(メタリック)効果が得られず、多すぎる場合は 塗膜の物性(耐候性、耐食性、機械強度など)に悪影響を及ぼす。
【0030】
(6)製造方法
本発明に係る耐水性アルミニウム顔料分散体は、例えば、アルミニウムペーストに分散剤あるいは分散剤の水溶液または水分散液を混合し、さらに水と過酸化金属ポリ酸溶液を加え、ディスパーなどを用いて分散することにより製造できる。必要に応じて、得られた分散体をろ過し、ペースト状としても良い。
【0031】
先に述べた如く、過酸化水素を含む過酸化水素水に、金属または金属化合物を溶解させることにより、組成式M・mH・nHOまたはMy−m(O・nHO(ただし、Mは金属元素、Oは酸素、x,yは1以上の整数、m,nは正数を示す。)で示される過酸化金属ポリ酸が生成される。この時、過酸化水素水の濃度によってm,nの値および結晶構造、色や水に対する溶解性が異なるとされている。Moの場合は、MoO・mH・nHOまたはMoO3−m(O・nHO(ただし、Moはモリブデン、Oは酸素、m,nは0≦m≦1、1≦n<2の範囲を示す。)で示される過酸化ポリモリブデン酸が生成されるが、本発明者らがアルミニウム顔料の耐水性を向上させる無機皮膜の製造条件として、これらの条件を検討した結果では、1〜70質量%(より好ましくは5〜50質量%)の過酸化水素を含む過酸化水素水に、金属モリブデンあるいは酸化モリブデン、モリブデンアルコキシド等の化合物を1〜50質量%(より好ましくは5〜20質量%)溶解する方法が好適である。過酸化水素水の濃度が薄すぎると金属元素を溶解することが困難となり、多すぎると金属元素を添加したときに激しい反応が起こるため危険である。金属元素の濃度は、低すぎると所望の効果が得られにくく、多すぎると過酸化水素水に溶解しきれなくなる。
【0032】
アルミニウム顔料としては通常のいわゆるホール法で製造されたアルミニウムペーストであって、不揮発分:50〜80%、平均粒径:3〜100μm、厚み:0.02〜5μm程度のものが好適に使用できる。
【0034】
【作用・効果】
本発明の耐水性アルミニウム顔料分散体の製造方法は工程が単純なため、水性メタリック塗料組成物の製造コストが削減できる。
【0036】
【実施例】
(実施例1)
市販のアルミニウム顔料(東洋アルミニウム(株)製:7640NS−不揮発分65%、水面拡散面積1.1m/g)100gに、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル10g(HLB=10)を加え混練した後、水500gと、過酸化水素30%を含む過酸化水素水10gに金属モリブデン粉末1gを加えて反応させて得られた溶液を添加し、室温で1時間攪拌する事によりアルミニウム顔料分散体を得た。
【0037】
(実施例2)
実施例1で得られたアルミニウム顔料分散体をヌッチェで真空吸引する事によりろ過し、不揮発分60%のペースト状アルミニウム顔料分散体を得た。
【0038】
(実施例3)
市販のアルミニウム顔料(東洋アルミニウム(株)製:7640NS−不揮発分65%、水面拡散面積1.1m/g)100gに、水溶性アクリル樹脂ワニス20gを加え混練した後、水1000gと、過酸化水素30%を含む過酸化水素水30gに金属モリブデン粉末3gを加えて反応させて得られた溶液を添加し、室温で1時間攪拌する事によりアルミニウム顔料分散体を得た。
【0039】
(実施例4)
市販のアルミニウム顔料(東洋アルミニウム(株)製:7640NS−不揮発分65%、水面拡散面積1.1m/g)100gに、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル100gを加え分散した後、水100gと、過酸化水素45%を含む過酸化水素水5gに金属モリブデン粉末0.5gを加えて反応させて得られた溶液を添加し、室温で1時間攪拌する事によりアルミニウム顔料分散体を得た。
【0040】
(実施例5)
市販のアルミニウム顔料(東洋アルミニウム(株)製:7640NS−不揮発分65%、水面拡散面積1.1m/g)100gに、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル20g(HLB=10)を加え混練した後、水1000gと、過酸化水素30%を含む過酸化水素水20gに金属モリブデン粉末1gと金属タングステン粉末1gの混合粉末を加えて反応させて得られた溶液を添加し、室温で1時間攪拌する事によりアルミニウム顔料分散体を得た。
【0041】
(実施例6)
市販のアルミニウム顔料(東洋アルミニウム(株)製:7640NS−不揮発分65%、水面拡散面積1.1m/g)100gに、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル15g(HLB=10)を加え混練した後、水300gと、過酸化水素30%を含む過酸化水素水30gに金属モリブデン粉末1gを反応させた後、ペンタエトキシニオブ2gを加えて反応させて得られた溶液を添加し、室温で1時間攪拌する事によりアルミニウム顔料分散体を得た。
【0042】
(実施例7)
市販のアルミニウム顔料(東洋アルミニウム(株)製:7640NS−不揮発分65%、水面拡散面積1.1m/g)100gに、水溶性アクリル樹脂ワニス20gを加え混練した後、水500gと、過酸化水素30%を含む過酸化水素水60gにテトラエトキシシラン3gとテトラブトキシチタン3gの混合溶液を加えて反応させて得られた溶液を添加し、室温で1時間攪拌する事によりアルミニウム顔料分散体を得た。
【0043】
(実施例8)
市販のアルミニウム顔料(東洋アルミニウム(株)製:7640NS−不揮発分65%、水面拡散面積1.1m/g)100gに、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル200gを加え分散した後、水200gと、過酸化水素45%を含む過酸化水素水10gにチタンアセチルアセトネート0.5gを加えて反応させて得られた溶液を添加し、室温で1時間攪拌する事によりアルミニウム顔料分散体を得た。
【0044】
(実施例9〜16)
実施例1〜8で得られたアルミニウム顔料分散体を用い、下記の組成で水性メタリック塗料を作成した。
アルミニウム顔料分散体(固形分として) 3.0g
水溶性アクリル樹脂 28.2g
(三井化学(株)製:アルマテックス WA911)
メラミン樹脂 4.4g
(三井サイテック(株)製:サイメル 350)
トリエタノールアミン 1.1g
脱イオン水 適量(粘度1000〜3000cPに調整)
イソプロピルアルコール 3.0g
透明酸化鉄 5.0g
(BASF社 SICOTRANS RED L2175D)。
【0045】
(比較例1)
市販のアルミニウム顔料(東洋アルミニウム(株)製:7640NS−不揮発分65%、水面拡散面積1.1m/g)10gに、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル1g(HLB=10)を加え混練した後、水50gを添加し、室温で1時間攪拌する事によりアルミニウム顔料分散体を得た。
【0046】
(比較例2)
実施例1で得られたアルミニウム顔料分散体をヌッチェで真空吸引する事によりろ過し、不揮発分60%のペースト状アルミニウム顔料分散体を得た。
【0047】
(比較例3〜4)
比較例1〜2で得られたアルミニウム顔料分散体を用い、実施例9〜16と同様の組成で水性メタリック塗料を作成した。
【0048】
(比較例5)
市販のアルミニウム顔料(東洋アルミニウム(株)製:7640NS−不揮発分65%、水面拡散面積1.1m/g)10gに、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル100gおよび腐食抑制剤として欧州特許0170474 によるエポキシ化合物と燐酸から誘導された燐酸エステル化合物(Lubrizol社製 Lubrizol2062)2gを加え分散してアルミニウム顔料分散体を得た。得られたアルミニウム顔料分散体を用い、実施例9〜16と同様の方法で水性メタリック塗料を作成した。
【0049】
−テスト1−
実施例1〜16、比較例1〜5で作成したアルミニウム顔料分散体および水性メタリック塗料80gを採取し、これらを50℃に調整した湯煎器内で7日間保管した場合の累積水素ガス発生量を測定した。
【0050】
−テスト2−
実施例9〜16、比較例3〜5で作成した水性メタリック塗料をあらかじめ一次防錆塗料を電着塗装したテスト用鋼板に乾燥膜厚13μmとなるようにエアースプレー塗装し、90℃で10分間予備乾燥した後、下記の組成の有機溶剤型トップコート用塗料を、乾燥膜厚40μmとなるようにエアースプレー塗装し、メタリック塗装塗板を作成した。
【0051】
アクリル樹脂(三井化学(株)製:アルマテックス 110) 140g
メラミン樹脂(三井化学(株)製:ユーバン 20SE60) 50g
炭化水素系高沸点溶剤(エクソン化学(株)製:ソルベッソ100) 60g
【0052】
得られたメタリック塗装塗板の隠蔽性と色調を目視により評価した。
【0053】
テスト1、テスト2の結果を表1に示す。
隠蔽性の評価基準:良好→下地が完全に隠蔽されている
不良→下地が透けて見える
光輝性の評価基準:良好→ 金属感が有り、見る角度により明度が大きく変化
不良→ 金属感が無く、見る角度で明度があまり変化しない。
【0054】
【表1】
Figure 0004050544

Claims (1)

  1. アルミニウム顔料に、過酸化水素水に金属または金属化合物を溶解した溶液と、水および分散剤からなる液を添加し、攪拌混合する耐水性アルミニウム顔料分散体の製造方法であって、前記アルミニウム顔料に前記分散剤からなる液を攪拌混合した後に、さらに前記水と前記過酸化水素水に金属または金属化合物を溶解した溶液を加えて攪拌混合することを特徴とする耐水性アルミニウム顔料分散体の製造方法
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