JP3948934B2 - アルミニウム顔料、その製造方法および樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム顔料に関する。さらに詳しくは、本発明は、水性塗料または水性インキに好適に用いられるアルミニウム顔料とその製造方法、それを配合した樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、メタリック塗料およびメタリックインキは、その独特の優れた意匠性から、自動車の外装をはじめ、電気機器、建築物、文房具、事務用機器、通信機器、化粧品などの多くの分野で使用されるようになっている。
【0003】
メタリック塗料を用いて形成される塗膜は、塗膜に含まれている鱗片状のメタリック顔料で外部からの入射光を反射し、キラキラと輝く意匠を示す。光の反射は、塗膜の各色調と相俟って、意匠性に優れた独特の外観を呈する。
【0004】
そして、アルミニウムは金属光沢に優れ、安価な上に比重が小さいため扱いやすいため、一般的には、自動車用塗装仕上げ、プラスチックの塗装仕上げ、印刷インキ、樹脂成形体などのメタリック性意匠には、主としてアルミニウムフレークを含有するメタリック顔料(本明細書においては単に「アルミニウム顔料」と呼称する)が使用されている。
【0005】
一方、塗料分野においては省資源、無公害化対策として、有機溶剤を使用しない水性塗料を使用することが益々多くなっている。そのため、水性塗料に好適に配合可能な、優れた水分散性を有するアルミニウム顔料に対する需要も拡大しつつある。
【0006】
このような需要に対応するために、従来は、水性塗料に用いるアルミニウム顔料として、アルミニウムフレークの表面をステアリン酸やオレイン酸などの飽和または不飽和脂肪酸およびその誘導体で処理し、これに界面活性剤を添加して水分散性を付与したアルミニウム顔料が一般に提供されていた。
【0007】
しかし、これらの水分散性アルミニウム顔料は、水性塗料中に配合した場合の貯蔵安定性および塗装後の耐候性などが低いという問題がある。すなわち、これらの水分散性アルミニウム顔料を配合した水性塗料は、貯蔵中にアルミニウム顔料の分散性が低下するためブツが発生して塗料の性状が著しく低下したり、アルミニウム顔料と水が反応して多量の水素ガスが発生して容器が爆発するなどの問題が生じている。また、自動車や建築物の外装など苛酷な環境にさらされる部位に塗装した場合には、塗装後に意匠性の低下が生じるという問題もある。
【0008】
ここで、一般にアルミニウムはその表面に自然酸化保護膜を有するため、酸素を含有する大気中においては安定であり、また中性水中の電解質に対しても優れた耐食性を示す。しかし、アルミニウムの自然酸化保護膜は、酸性またはアルカリ性の水溶液に対しては十分な耐食性を示さず溶解してしまう場合がある。特に近年は酸性雨の発生などによりアルミニウム顔料を含有するメタリック塗料は酸性条件の苛酷な環境にさらされる機会が多く、自然酸化保護膜だけではアルミニウム顔料を腐食から十分に防ぐのは困難な状況である。
【0009】
このような問題を解決するため多くの技術が開発されているが、比較的実用に近い最近の公知技術としては、特公平1−54386号公報、特開昭59−74201号公報、特公昭60−8057号公報、特開平4−318181号公報、米国特許5,296,032号公報、特開平6−57171号公報などに開示されている技術が挙げられる。
【0010】
たとえば、特公平1−54386号公報では、アルミニウム顔料をクロム酸で処理する方法が開示されている。この方法によればアルミニウム顔料の化学的安定性は改善されるが、処理液の反応性が強すぎるために細かいアルミニクム顔料の処理ができない、六価クロム化合物を使用するため労働衛生面あるいは環境面での問題が大きいなどの難点がある。
【0011】
また、特開昭59−74201号公報では、バナジン酸アンモニウムでアルミニウム顔料を処理する方法が開示されている。この処理については、処理によるアルミニウム顔料の色調の変化が大きく、実用化には至っていない。
【0012】
さらに、特公昭60−8057号公報では酸性燐酸エステルによりアルミニウム顔料を被覆する方法が開示されている。この方法では色調や化学的安定性は良好であるが、2コート1ベイクあるいは2コート2ベイク塗膜を作成した場合に、処理剤がアルミニウム顔料と樹脂との密着性に好ましからざる影響を及ぼし、ベースメタリック塗膜層とトップコート層との間の層間剥離が、大きな問題となる。
【0013】
そして、特開平4−318181号公報では、モリブデン酸などの酸化剤と燐酸イオンおよびアルカリ土類金属イオンを含有する処理液でアルミニウム顔料を処理する方法が開示されている。この方法で化学的安定性の優れたアルミニウム顔料が作成できるが、処理液に含まれる燐酸イオンやアルカリ土類金属イオンが塗膜の耐湿性その他の物性を低下させる傾向がある。
【0014】
また、米国特許5,296,032号公報では燐モリブデン酸などのヘテロポリアニオンでアルミニウム顔料を処理する方法が開示されているが、このような処理では十分なアルミニウム顔料の化学的安定性が得られない。
【0015】
さらに、特開平6−57171号公報では、モリブデン酸アンモニウムで処理した後、モリブデン酸塩などを添加して更にアルミニウム顔料を安定化する方法が開示されている。この方法で化学的安定性の優れたアルミニウム顔料を得ることが可能であり、塗膜物性についても問題は無いが、製造工程が煩雑であるという問題がある。
【0016】
そして、米国特許2,885,366号公報には種々のコア材料に非晶質シリカ層を被覆する方法が開示されており、アルミニウム粉をコア材料とした実施例も示されている。しかし、このシリカ被覆はアルカリ性の強い水溶液中で行われるため、処理工程中にアルミニウム粉が反応して多量の水素ガスを発生することがあり、非常に危険である。また、本特許には非晶質シリカ層の被覆を効率的に行うために、アルミニウムやクロムの塩基性塩の中間層をコア材料上に設ける方法も開示されているが、アルミニクム顔料上には均一な被覆を行う事は困難であった。
【0017】
また、特公平7−53837号公報にはアルミニウム顔料表面にシロキサン被覆を行い、さらに合成樹脂を被覆する事により耐食性に優れたアルミニウム顔料を製造する方法が開示されている。しかし、この方法で得られるアルミニウム顔料は疎水性であるため、水性塗料、水性インキに使用するには界面活性剤を併用する必要が生じる。そして、このように界面活性剤を使用すると、塗膜物性低下などの問題を生じることとなる場合が多い。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、水分散性および安定性に優れ、貯蔵中に水素ガスを発生したり凝集したりすることがなく、塗膜外観の意匠性が優れたアルミニウム顔料の提供に対する強い要望があるが、そのような要望を十分に満たすアルミニウム顔料を提供し得る公知の技術は存在しないのが現状である。
【0019】
そこで、上記の現状に基づき、本発明の課題は、水分散性および安定性に優れ、貯蔵中に水素ガスを発生したり凝集したりすることがなく、塗膜外観の意匠性が優れるため、水性塗料または水性インキに配合して好適に使用可能なアルミニウム顔料を提供することである。
【0020】
さらに、本発明の別の課題は、水分散性および安定性に優れ、貯蔵中に水素ガスを発生したり凝集したりすることがなく、塗膜外観の意匠性が優れるため、水性塗料または水性インキに配合して好適に使用可能なアルミニウム顔料の製造方法を提供することである。
【0021】
そして、本発明の他の課題は、水分散性および安定性に優れ、貯蔵中に水素ガスを発生したりアルミニウム顔料が凝集したりすることがなく、塗膜外観の意匠性に優れるため、水性塗料または水性インキとして好適に使用可能な樹脂組成物を提供することである。
【0022】
さらに、本発明のもう一つの課題は、水分散性および安定性に優れ、貯蔵中に水素ガスを発生したりアルミニウム顔料が凝集したりすることがなく、塗膜外観の意匠性に優れる水性塗料および水性インキを提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するには、アルミニウム粒子の表面を、水溶液との反応性に乏しく、かつ、塗膜の意匠性を損なわなず、さらに、貯蔵中に水素ガスなどの発生を防ぐ性質を有する被膜で被覆すればよいとの着想を得、さまざまな組成からなる被膜でアルミニウム粒子の表面を被覆する実験を行ない、鋭意検討を重ねた。そして、検討の末に、アルミニウム粒子の表面をモリブデン酸化物および/またはモリブデン水和物からなるモリブデン被膜で被覆し、さらに該モリブデン被膜の表面を非晶質シリカを含有するシリカ被膜で被覆すればよいことを見出した。
【0024】
さらに、本発明者らは、アルミニウム粒子の表面をモリブデン被膜で被覆し、さらに該モリブデン被膜をシリカ被膜で被覆するには、どのような製造方法を用いるのが好適であるかについても鋭意検討を重ねた。そして、検討の末に、特定の製造方法を用いることにより、前記アルミニウム顔料を効率的に製造し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0025】
すなわち、本発明のアルミニウム顔料は、アルミニウム粒子と、該アルミニウム粒子の表面を被覆するモリブデン酸化物および/またはモリブデン水和物からなるモリブデン被膜と、該モリブデン被膜をさらに被覆する非晶質シリカからなるシリカ被膜とを有することを特徴とする。
【0026】
ここで、本発明のアルミニウム顔料においては、アルミニウム粒子100質量部に対して、モリブデンの含有量が0.01〜5質量部の範囲にあり、珪素の含有量が1〜20質量部の範囲にあることが好ましい。
【0027】
また、本発明のアルミニウム顔料の製造方法は、アルミニウム粒子とモリブデン化合物とを含む分散溶液を撹拌することにより、前記アルミニウム粒子表面にモリブデン酸化物および/またはモリブデン水和物からなるモリブデン被膜を形成する工程と、該モリブデン被膜を有するアルミニウム粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒とを含む分散溶液のpHを調整することにより、該有機珪素化合物を加水分解させてアルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面に非晶質シリカからなるシリカ被膜を析出させる工程とを含む。
【0028】
ここで、アルミニウム粒子表面にモリブデン被膜を形成する工程においては、モリブデン化合物として過酸化ポリモリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、燐モリブデン酸よりなる群から選ばれる一種または二種以上を用いることが好ましい。
【0029】
また、アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜を析出させる工程においては、有機珪素化合物として、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシランよりなる群から選ばれる一種または二種以上の化合物を用いることが望ましい。
【0030】
そして、アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜を析出させる工程においては、加水分解触媒として塩基性触媒を用い、pHを7.0〜11.0の範囲に調整することが推奨される。
【0031】
さらに、アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜を析出させる工程においては、加水分解触媒としてトリエタノールアミン、アンモニア、エチレンジアミン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランよりなる群から選ばれる一種または二種以上を用いることが好ましい。
【0032】
また、アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜を析出させる工程においては、加水分解触媒として酸性触媒を用い、pHを1.5〜4.0の範囲に調整してもよい。
【0033】
そして、アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜を析出させる工程においては、加水分解触媒を添加することによってpHを調整することが好ましい。
【0034】
また、アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜を析出させる工程においては、20〜90℃の温度で1〜48時間加水分解反応を行なうことが望ましい。
【0035】
さらに、本発明は、本発明のアルミニウム顔料と、樹脂とを含有する樹脂組成物を含む。ここで、本発明の樹脂組成物は、本発明のアルミニウム顔料を0.1〜30質量%含有することが好ましい。
【0036】
そして、本発明は、本発明のアルミニウム顔料と、バインダと、親水性溶剤とを含有する水性塗料を含む。さらに、本発明は、本発明のアルミニウム顔料と、バインダと、親水性溶剤とを含有する水性インキを含む。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示して本発明をより詳細に説明する。
【0038】
<本発明のアルミニウム顔料の説明>
本発明のアルミニウム顔料は、アルミニウム粒子と、該アルミニウム粒子の表面を被覆するモリブデン酸化物および/またはモリブデン水和物からなる被膜(本明細書においては「モリブデン被膜」と呼称する)と、該モリブデン被膜を被覆する非晶質シリカからなる被膜(本明細書においては「シリカ被膜」と呼称する)とを含有することを特徴とする。
【0039】
<アルミニウム粒子の説明>
本発明のアルミニウム顔料は、アルミニウム粒子を基材とする。
【0040】
ここで、本発明に用いるアルミニウム粒子は、アルミニウムのみから構成されていてもよく、またアルミニウム基合金から構成されていてもよく、その純度は特に限定されない。
【0041】
また、本発明に用いるアルミニウム粒子の形状は、粒状、板状、塊状、フレーク状(鱗片状)、などの種々の形状がありうるが、塗膜に優れたメタリック感および輝度を与えるためには、フレーク状であることが好ましい。
【0042】
そして、本発明に用いるアルミニウム粒子の平均粒径は、特に限定するものではないが、2μm以上であることが好ましく、特に5μm以上であればより好ましい。また、この平均粒径は、40μm以下であることが好ましく、特に30μm以下であればより好ましい。平均粒径が2μmより小さいと、製造工程での取り扱いが難しく、粒子は凝集しやすくなる傾向があり、平均粒径が40μmを超えると、塗料として使用したときに塗膜表面が荒れて、好ましい意匠を実現できない場合がある。
【0043】
さらに、本発明に用いるアルミニウム粒子は、平均粒径を平均厚みで割った形状係数(本明細書においては「アスペクト比」と呼称する)が5以上のものが好ましく、特に15以上であれば特に好ましい。また、このアスペクト比は1,000以下であることが好ましく、特に500以下であればより好ましい。アスペクト比が5未満の場合には光輝感不足となる傾向があり、アスペクト比が1,000を超えるとフレークの機械的強度が低下して色調が不安定となる場合がある。
【0044】
ここで、本発明に用いるアルミニウム粒子の平均粒径は、レーザー回折法、マイクロメッシュシーブ法、コールターカウンター法、などの公知の粒度分布測定法により測定された粒度分布より、体積平均を算出して求められる。平均厚みについては、金属フレーク顔料の隠ぺい力と密度より算出される。
【0045】
そして、本発明に用いるアルミニウム粒子の表面には、粉砕助剤が付着していてもよい。粉砕助剤としては、通常不飽和脂肪酸を使用する。ここで使用される不飽和脂肪酸としては、たとえば、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、リシノール酸、エライジン酸、ゾーマリン酸、ガドレイン酸、エルカ酸などが挙げられる。
【0046】
<モリブデン被膜の説明>
本発明のアルミニウム顔料は、アルミニウム粒子の表面を被覆するモリブデン被膜を有する。
【0047】
ここで、モリブデン被膜は、モリブデン酸化物および/またはモリブデン水和物からなる被膜であり、モリブデン酸化物とは具体的にはMoO3,Mo2O3などのことを表わし、モリブデン水和物とは具体的にはMoO3・H2O,MoO3・H2O2・H2Oなどのことを表わすものとする。
【0048】
本発明に用いるアルミニウム粒子の表面にモリブデン被膜を形成することにより、該被膜が析出の核となって、該モリブデン被膜の表面をさらに被覆するシリカ被膜の形成が容易になる。また、モリブデン被膜は一定の耐食性を有するため、モリブデン被膜を有するアルミニウム顔料は耐食性が向上する。さらに、モリブデン被膜には、シリカ被膜の形成過程での処理溶液(水を含有し、かつアルカリ性または酸性が強い溶液)とモリブデン被膜により被覆されたアルミニウム粒子との異常反応を防止する効果もある。
【0049】
本発明に用いるアルミニウム粒子表面に形成されるモリブデン被膜中に含有されるMoの量は、アルミニウム粒子100質量部に対し、0.01質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であればより好ましい。また、このMoの量は、5.0質量部以下であることが好ましく、2.0質量部以下であればより好ましい。このMoの量は処理されるアルミニウム粒子の比表面積に応じて変化させることが望ましい。比表面積の大きいアルミニウム粒子に対してはMoの量を多く、小さい場合には少なくすることが好ましい。
【0050】
Moの量が0.01質量部よりも少ない場合は、化学的安定性が低下する傾向があり、5.0質量部を超えるとアルミニウム顔料の色調(金属光沢感)の低下が大きくなる、アルミニウム顔料が凝集する、塗膜物性が低下するなどの不都合が生じる場合がある。
【0051】
また、上記のモリブデン皮膜は、モリブデン酸化物および/またはモリブデン水和物のみからなる被膜である必要はなく、本発明の特性を損なわない範囲で、他の添加物や不純物を含んでいてもよい。
【0052】
<シリカ被膜の説明>
本発明のアルミニウム顔料は、モリブデン被膜の表面をさらに被覆するシリカ被膜を有する。
【0053】
ここで、シリカ被膜とは、非晶質シリカからなる被膜であり、非晶質シリカとは具体的にはシロキサン[H3SiO(H2SiO)nSiH3],SiO2,SiO2・nH2Oなどのことを表わすものとする。ここで、前文においてnは任意の正の整数を表わすものとする。
【0054】
本発明のアルミニウム顔料は、アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面を被覆するシリカ被膜を有するため、モリブデン被膜のみを有する場合よりもさらに優れた耐食性を有する。
【0055】
また、非晶質シリカは親水性表面を持つため、シリカ被膜を有する本発明のアルミニウム顔料は、水性塗料および水性インキに容易に分散する事ができる。しかも、非晶質シリカは水溶液中で非常に安定であるため、シリカ被膜を有する本発明のアルミニウム顔料は、水溶液中で非常に安定である。
【0056】
ここで、本発明のアルミニウム顔料における珪素の含有量は、アルミニウム粒子100質量部に対し1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であればより好ましい。また、この珪素の含有量は、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であればより好ましい。
【0057】
この珪素の含有量が1質量部よりも少ない場合には、耐食性、水分散性、安定性などが低下する傾向があり、この珪素の含有量が20質量部を超えると、アルミニウム顔料が凝集したり、隠蔽性が低下したり、金属光沢感などの色調が損なわれるといった問題が生じる場合がある。
【0058】
また、本発明のアルミニウム顔料のシリカ被膜には、アルミニウム顔料の耐食性をさらに改善する目的で、他の腐食抑制剤を添加しても良い。添加する腐食抑制剤としては、特に限定されず、本発明の効果を損なわない程度の配合量で公知の腐食抑制剤を用いることができるが、具体例としては、酸性燐酸エステル、ダイマー酸、有機リン化合物、モリブデン酸の金属塩などを挙げることができる。
【0059】
また、上記のシリカ皮膜は、非晶質シリカのみからなる被膜である必要はなく、本発明の特性を損なわない範囲で、他の添加物や不純物を含んでいてもよい。
【0060】
<本発明のアルミニウム顔料の製造方法の説明>
本発明のアルミニウム顔料の製造方法は、アルミニウム粒子とモリブデン化合物とを含む分散溶液を撹拌することにより、前記アルミニウム粒子表面にモリブデン被膜を形成する工程と、該モリブデン被膜を有するアルミニウム粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒とを含む分散溶液のpHを調整することにより、該有機珪素化合物を加水分解させて、アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜を析出させる工程とを含むことを特徴とする。
【0061】
<モリブデン被膜によるアルミニウム粒子の被覆方法>
本発明のアルミニウム顔料の製造方法は、アルミニウム粒子とモリブデン化合物とを含む分散溶液を撹拌することにより、前記アルミニウム粒子表面にモリブデン被膜を形成する工程を有する。
【0062】
ここで、アルミニウム粒子表面にモリブデン被膜を形成する方法としては、特に限定されず、アルミニウム粒子とモリブデン化合物とを含む分散溶液を均一に撹拌することのできる方法であればよい。具体例としては、アルミニウム粒子とモリブデン化合物を含む分散溶液をスラリー状態またはペースト状態で撹拌または混練することにより、アルミニウム粒子表面にモリブデン被膜を形成する方法が挙げられる。
【0063】
また、アルミニウム粒子とモリブデン化合物とを含む分散溶液を撹拌する工程において用いる撹拌機としては、特に限定されず、アルミニウム粒子とモリブデン化合物とを含む分散溶液を効率よく均一に撹拌することのできる公知の撹拌機を用いることができる。具体例としては、ニーダー、混練機、回転容器撹拌機、撹拌式反応槽、V型撹拌機、二重円錐型撹拌機、スクリューミキサー、シグマミキサー、フラッシュミキサー、気流撹拌機、ボールミル、エッジランナーなどが挙げられる。
【0064】
そして、本発明に用いられるモリブデン化合物としては、特に限定されず、アルミニウム粒子を含む分散溶液に添加して撹拌することにより、モリブデン被膜を形成することのできる公知のモリブデン化合物を用いることができるが、具体例としては、過酸化ポリモリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、燐モリブデン酸などが挙げられる。また、前記のモリブデン化合物は、単独で使用してもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
【0065】
ここで、過酸化ポリモリブデン酸は、一般に下記の組成式(1)で表わされる化合物であって、濃度5〜40%の過酸化水素水溶液に金属モリブデン粉末や酸化モリブデンなどを溶解する事により、容易に調製する事ができる。
MoxOy・mH2O2・nH20・・・(1)
(ただし、組成式(1)において、xは1または2,yは2〜5の整数,m,nは任意の正の整数を示す。)
また、アルミニウム粒子とモリブデン化合物とを含む分散溶液の溶媒としては、親水性溶剤を用いることが好ましい。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、アセトンなどが挙げられる。
【0066】
ここで、前記親水性溶剤には水が含まれていても良く、親水性溶剤として水を単独で用いてもよい。さらに、前記親水性溶剤と水とを混合して用いることが、前記親水性溶剤を単独で用いることよりも好ましい。前記親水性溶剤と水とを混合して用いることにより、アルミニウム粒子とモリブデン化合物との接触効率をさらに向上させることができる。また、本明細書において「親水性溶剤」と呼称するときは、前記親水性溶剤、水、前記親水性溶剤と水との混合物を含むものとする。
【0067】
ここで、このアルミニウム粒子とモリブデン化合物とを含む分散溶液においては、アルミニウム粒子100質量部に対して、モリブデン化合物の含有量は0.02質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であればより好ましい。また、このモリブデン化合物の含有量は20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であればより好ましい。
【0068】
モリブデン化合物の含有量が0.02質量部未満の場合には、処理効果が不十分となる傾向があり、モリブデン化合物の含有量が20質量部を超えると、アルミニウム顔料の光輝性が不足する傾向がある。
【0069】
また、このアルミニウム粒子とモリブデン化合物とを含む分散溶液においては、アルミニウム粒子100質量部に対して、親水性溶剤の含有量は50質量部以上であることが好ましく、100質量部以上であればより好ましい。また、この親水性溶剤の含有量は5,000質量部以下であることが好ましく、2,000質量部以下であればより好ましい。
【0070】
親水性溶剤の含有量が50質量部未満の場合には、モリブデン化合物が偏在し、アルミニウム粒子の凝集が顕著となる傾向があり、親水性溶剤の含有量が5,000質量部を超えると、アルミニウム粒子のモリブデン化合物の処理効果が不十分となる傾向がある。
【0071】
さらに、アルミニウム粒子とモリブデン化合物とを含む分散溶液を撹拌する工程においては、撹拌工程中の分散溶液の温度は10℃以上であることが好ましく、30℃以上であればより好ましい。また、この撹拌工程中の分散溶液の温度は、100℃以下であることが好ましく、80℃以下であればより好ましい。
【0072】
この撹拌工程中の分散溶液の温度が10℃未満の場合には、十分な処理効果を得るための反応時間が長くなる傾向があり、この撹拌工程中の分散溶液の温度が100℃を超えると、反応が暴走する危険性が大となる傾向がある。
【0073】
また、アルミニウム粒子とモリブデン化合物とを含む分散溶液を撹拌する工程においては、撹拌時間は0.5時間以上であることが好ましく、1.0時間以上であればより好ましい。また、この撹拌時間は、10時間以下であることが好ましく、5時間以下であればより好ましい。
【0074】
この撹拌時間が0.5時間未満の場合には、処理効果が不十分となる傾向があり、この撹拌時間が10時間を超えると、処理コストが大となる傾向がある。
【0075】
このアルミニウム粒子とモリブデン化合物とを含む分散溶液を撹拌する工程が終了した後は、水を含まない前記親水性溶剤を用いて該分散溶液を洗浄した後フィルターを用いて濾過して、モリブデン被膜を有するアルミニウム粒子を含有するケーキから、水と未反応物を除去することが好ましい。
【0076】
<シリカ被膜によるアルミニウム粒子の被覆方法>
本発明のアルミニウム顔料の製造方法は、モリブデン被膜を有するアルミニウム粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒とを含む分散溶液のpHを調整することにより該有機珪素化合物を加水分解させて、アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜を析出させる工程を含む。
【0077】
また、アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜を析出させる方法としては、特に限定されず、モリブデン被膜を有するアルミニウム粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒とを含む分散溶液のpHを調整することにより、該有機珪素化合物を加水分解させてアルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜を析出させることのできる方法であれば、どのような公知の方法を用いてもよい。
【0078】
具体例としては、モリブデン被膜を有するアルミニウム粒子を含有する分散溶液に、有機珪素化合物を添加し、さらに加水分解触媒を添加して分散溶液のpH値を調整することにより、有機珪素化合物を加水分解させて該アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜を析出させる方法が好ましい。このとき、上記の分散溶液は、適当な速度で撹拌されることにより各成分が均一に分散または溶解していることが好ましい。
【0079】
ここで、上記の工程においては、加水分解触媒を添加することにより分散溶液のpH値を調整することが製造工程の簡略化のためには好ましいが、分散溶液のpH値を調整する方法は加水分解触媒を添加する方法に特に限定されるわけではなく、他の酸性および/またはアルカリ性の化合物を用いて分散溶液のpHを調整してもよい。
【0080】
ここで、本明細書において、有機珪素化合物と呼称する際には、有機珪素化合物および有機珪素化合物の縮合物を含むものとする。
【0081】
そして、本発明に用いられる有機珪素化合物としては、特に限定されず、モリブデン被膜を有するアルミニウム粒子と該有機珪素化合物と加水分解触媒とを含む分散溶液のpHを調整することにより、該有機珪素化合物を加水分解させて、アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜を析出させることのできる公知の有機珪素化合物およびその縮合物を用いることができる。
【0082】
このような有機珪素化合物の具体例としては、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、n−メチル−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エポキシ−シラン)、n−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−メチルジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シランなどおよびそれらの縮合物などが挙げられる。
【0083】
そして、これらの有機珪素化合物の中でも、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトライソプロポキシシランおよびそれらの縮合物が品質などの面から特に好ましい。
【0084】
さらに、これらの有機珪素化合物の中でも、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが品質などの面から最も好ましい。また、これらの有機珪素化合物は、単独で使用してもよく、二種以上を撹拌して用いてもよい。
【0085】
<加水分解触媒>
さらに、本発明に用いられる加水分解触媒としては、特に限定されず、モリブデン被膜を有するアルミニウム粒子と有機珪素化合物と該加水分解触媒とを含む分散溶液のpHを調整することにより、該加水分解触媒の働きにより有機珪素化合物が加水分解して、該アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜が析出する公知の加水分解触媒を用いることができる。
【0086】
上記の有機珪素化合物の加水分解触媒の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア、エチレンジアミン、t−ブチルアミン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、n−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、n−2−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、尿素、珪酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの塩基性加水分解触媒や、蓚酸、酢酸、硝酸、硫酸、燐酸、ホスホン酸などの酸性加水分解触媒などが挙げられる。
【0087】
ここで、上記の工程における反応速度の面からは、酸性加水分解触媒よりも塩基性加水分解触媒を用いる方が好ましい。また、上記の塩基性加水分解触媒の中でも、トリエタノールアミン、アンモニア、エチレンジアミン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが品質などの面から特に好ましい。
【0088】
<分散溶液>
また、モリブデン被膜を有するアルミニウム粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒とを含む分散溶液の溶媒としては、親水性溶剤を用いることが好ましい。具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、アセトンなどを用いることが、アルミニウム粒子と水との異常反応を避けるという点で好ましい。
【0089】
ここで、これらの親水性溶剤には水が含まれていてもよい。ただし、これらの親水性溶剤における水の含有量は20質量%以下であることがアルミニウム粒子と水との異常反応を避けるという点で好ましい。
【0090】
また、このモリブデン被膜を有するアルミニウム粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒を含む分散溶液においては、アルミニウム粒子100質量部に対して、有機珪素化合物の含有量は2質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であればより好ましい。また、この有機珪素化合物の含有量は200質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であればより好ましい。
【0091】
有機珪素化合物の含有量が2質量部未満の場合には、処理効果が不十分となる傾向があり、有機珪素化合物の含有量が200質量部を超えると、アルミニウム粒子の凝集や光輝感の低下が顕著となる傾向がある。なお、有機珪素化合物を添加する際には、徐々に加えても良いし一度に加えても良い。
【0092】
また、このモリブデン被膜を有するアルミニウム粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒を含む分散溶液においては、アルミニウム粒子100質量部に対して、加水分解触媒の含有量は0.1質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であればより好ましい。また、この加水分解の含有量は20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であればより好ましい。
【0093】
加水分解触媒の含有量が0.1質量部未満の場合には、シリカ層の析出量が不十分となる傾向があり、加水分解触媒の含有量が20質量部を超えると、アルミニウム粒子の凝集が顕著となる傾向がある。
【0094】
また、このモリブデン被膜を有するアルミニウム粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒を含む分散溶液においては、アルミニウム粒子100質量部に対して、親水性溶剤の含有量は500質量部以上であることが好ましく、1,000質量部以上であればより好ましい。また、この親水性溶剤の含有量は10,000質量部以下であることが好ましく、5,000質量部以下であればより好ましい。
【0095】
親水性溶剤の含有量が500質量部未満の場合には、スラリーの粘度が高くなり撹拌が困難となる傾向があり、親水性溶剤の含有量が10,000質量部を超えると、処理液の回収、再生コストが大となる傾向がある。
【0096】
さらに、このモリブデン被膜を有するアルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にさらにシリカ被膜を析出させる工程においては、該工程中の分散溶液の温度は20℃以上であることが好ましく、30℃以上であればより好ましい。また、この撹拌工程中の分散溶液の温度は、90℃以下であることが好ましく、80℃以下であればより好ましい。
【0097】
この撹拌工程中の分散溶液の温度が20℃未満の場合には、シリカ層の析出速度が遅くなり、処理時間が大となる傾向があり、この撹拌工程中の分散溶液の温度が90℃を超えると、反応が暴走する危険性が大となる傾向がある。
【0098】
また、このモリブデン被膜を有するアルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にさらにシリカ被膜を析出させる工程においては、反応時間は1時間以上であることが好ましく、3時間以上であればより好ましい。また、この撹拌時間は、48時間以下であることが好ましく、24時間以下であればより好ましい。
【0099】
この撹拌時間が1時間未満の場合には、処理効果が不十分となる傾向があり、この撹拌時間が48時間を超えると、処理コストが大となる傾向がある。
【0100】
ここで、このモリブデン被膜を有するアルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にさらにシリカ被膜を析出させる工程においては、反応中に分散溶液のpH値が変化するので、適宜pH値を調整する必要がある。その際、加水分解触媒を添加することによりpH値を調整することが望ましいが、本発明のアルミニウム顔料の特性を損なわない限りで、他の酸性および/またはアルカリ性の化合物を用いて分散溶液のpHを調整してもよい。
【0101】
そして、このモリブデン被膜を有するアルミニウム粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒を含む分散溶液においては、塩基性加水分解触媒を用いる場合には、pHが7以上であることが好ましく、7.5以上であればより好ましい。また、この分散溶液のpHは11以下であることが好ましく、10以下であればさらに好ましい。
【0102】
この分散溶液のpHが7未満の場合には、シリカ層の析出速度が小となる傾向があり、この撹拌工程中の分散溶液のpHが11を超えると、アルミニウム粒子の凝集や光輝性の低下が大となる傾向がある。
【0103】
なお、このモリブデン被膜を有するアルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にさらにシリカ被膜を析出させる工程においては、酸性加水分解触媒を用いるよりも塩基性加水分解触媒を使用する方が、シリカ被膜の生成速度が速く生産性が良好であるため好ましい。とはいえ、酸性加水分解触媒を用いても、品質の面では塩基性加水分解触媒を用いた場合と大差はない。
【0104】
そして、このモリブデン被膜を有するアルミニウム粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒を含む分散溶液においては、酸性加水分解触媒を用いる場合には、pHが1.5以上であることが好ましく、2以上であればより好ましい。また、この分散溶液のpHは4以下であることが好ましく、3以下であればさらに好ましい。
【0105】
この分散溶液のpHが1.5未満の場合には、反応が暴走する危険性が大となる傾向があり、この撹拌工程中の分散溶液のpHが4を超えると、シリカ層の析出速度が小となる傾向がある。
【0106】
このモリブデン被膜を有するアルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にさらにシリカ被膜を析出させる工程が終了した後は、水を含まない上記の親水性溶剤を用いて分散溶液を洗浄した後フィルターを用いて濾過して、本発明のアルミニウム顔料を含有するケーキから水と未反応物を除去することが好ましい。
【0107】
また、その後必要に応じて、本発明のアルミニウム顔料を含有するケーキを100〜500℃の範囲の温度で加熱処理してもよい。
【0108】
なお、上記のアルミニウム粒子表面にモリブデン被膜を形成する工程と、アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜を析出させる工程とは、異なる分散溶液中で行なっても良く、また、同じ分散溶液中で適宜成分を調整した上で連続して行なうことも可能である。
【0109】
<樹脂組成物の説明>
本発明の樹脂組成物は、本発明のアルミニウム顔料と、樹脂とを含有することを特徴とする。
【0110】
ここで、本発明の樹脂組成物に配合し得る樹脂としては、特に限定されるものではないが、たとえば、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ニトロセルロース樹脂、フッ素樹脂などを好適に使用可能である。
【0111】
また、本発明の樹脂組成物に配合し得る本発明のアルミニウム顔料以外の着色顔料としては、特に限定されるものではないが、たとえば、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、ペリレン、アゾレーキ、酸化鉄、黄鉛、カーボンブラック、酸化チタン、パールマイカなどが挙げられる。
【0112】
さらに、本発明の樹脂組成物に配合し得る添加剤としては、特に限定されるものではないが、界面活性剤、硬化剤、紫外線吸収剤、静電気除去剤、贈粘剤、体質顔料、染料、腐食抑制剤などが挙げられる。
【0113】
また、本発明の樹脂組成物は、上記の成分以外にも、水、親水性溶剤、有機溶剤などを含有していてもよい。
【0114】
そして、本発明の樹脂組成物における本発明のアルミニウム顔料の含有量は、樹脂組成物全体に対して0.1質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であればより好ましい。また、本発明のアルミニウム顔料の含有量は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であればより好ましい。
【0115】
本発明のアルミニウム顔料の含有量が0.1質量%よりも少ない場合は装飾(メタリック)効果が低下する傾向が有り、本発明のアルミニウム顔料の含有量が30質量%よりも多い場合は樹脂組成物の特性(耐候性、耐食性、機械強度など)が不十分なものとなる場合がある。
【0116】
本発明のアルミニウム顔料を含有する本発明の樹脂組成物は、塗料、インキなどに配合して好適に使用可能である。また、塗料およびインキの中でも、水性塗料および水性インキに配合した場合には、特に好適に使用可能である。
【0117】
また、本発明の樹脂組成物は、塗料やインキとして用いずに単独で、あるいはゴム組成物やプラスチック組成物に練込んで成形してもメタリック感に優れた良好な外観を有し、耐候性や安定性にも優れるため、そのままで好適に用いることができる。
【0118】
<水性塗料および水性インキの説明>
本発明のアルミニウム顔料は、バインダと、親水性溶剤とともに、水性塗料および水性インキに好適に配合することができる。
【0119】
ここで、本発明のアルミニウム顔料を含有する水性塗料および水性インキに用いるバインダとしては、特に限定されるものではないが、たとえば、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ニトロセルロース樹脂、フッ素樹脂などの樹脂を好適に使用可能である。
【0120】
また、本発明のアルミニウム顔料を含有する水性塗料および水性インキに用いるバインダとしては、一般に水性塗料または水性インキのバインダとして用いられ、塗装後固化して良好な塗膜を形成し得るものであれば、樹脂以外のバインダであっても用いることができる。具体例としては、ゴム組成物、プラスチック組成物、天然高分子組成物などの樹脂以外の高分子組成物が挙げられる。
【0121】
さらに、本発明のアルミニウム顔料を含有する水性塗料および水性インキに配合し得る、本発明のアルミニウム顔料以外の着色顔料としては、特に限定されるものではないが、たとえば、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、ペリレン、アゾレーキ、酸化鉄、黄鉛、カーボンブラック、酸化チタン、パールマイカなどが挙げられる。
【0122】
そして、本発明のアルミニウム顔料を含有する水性塗料および水性インキに配合し得る添加剤としては、特に限定されるものではないが、界面活性剤、硬化剤、紫外線吸収剤、静電気除去剤、贈粘剤、体質顔料、染料などが挙げられる。
【0123】
また、本発明のアルミニウム顔料を含有する水性塗料および水性インキに配合し得る親水性溶剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、アセトン、などが挙げられる。
【0124】
ここで、上記の親水性溶剤には水が含まれていても良く、親水性溶剤として水を単独で用いてもよい。また、上記の親水性溶剤は、用途に応じて一種または二種以上を撹拌して使用可能である。
【0125】
そして、本発明のアルミニウム顔料を含有する水性塗料および水性インキにおける、本発明のアルミニウム顔料の含有量は、バインダの含有量に対して0.1質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であればより好ましい。また、本発明のアルミニウム顔料の含有量は、バインダの含有量に対して30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であればより好ましい。
【0126】
本発明のアルミニウム顔料の含有量が0.1質量%よりも少ない場合は水性塗料および水性インキの塗膜の装飾(メタリック)効果が低下する傾向が有り、本発明のアルミニウム顔料の含有量が30質量%よりも多い場合は水性塗料および水性インキの塗膜の特性(耐候性、耐食性、機械強度など)が不十分なものとなる場合がある。
【0127】
そして、本発明のアルミニウム顔料を含有する水性塗料および水性インキにおける親水性溶剤の含有量は、バインダの含有量に対して20質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であればより好ましい。また、この親水性溶剤の含有量は、バインダの含有量に対して200質量%以下であることが好ましく、100質量%以下であればより好ましい。
【0128】
親水性溶剤の含有量が20質量%未満の場合には、塗料、インキの粘度が高くなり、取扱いが困難となる傾向があり、親水性溶剤の含有量が200質量%を超えると、塗料、インキの粘度が低くなりすぎて成膜が困難となる傾向がある。
【0129】
なお、本発明のアルミニウム顔料は、水性塗料および水性インキへの配合に用途が限定されるものではなく、有機溶剤を含有する塗料、有機溶剤を含有するインキ、粉体塗料、ゴム組成物、プラスチック組成物、天然高分子組成物などに配合しても好適に使用可能である。
【0130】
本発明のアルミニウム顔料を含有する水性塗料および水性インキの塗装方法あるいは印刷方法は、特に限定されるものではなく、使用する水性塗料または水性インキの形態および基材の表面形状などを考慮して種々の塗装方法あるいは印刷方法を用いることができる。たとえば、本発明のアルミニウム顔料を含有する水性塗料の塗装方法としては、スプレー法、ロールコーター法、刷毛塗り法、ドクターブレード法などがあり、本発明のアルミニウム顔料を含有する水性インキの印刷方法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷などがある。
【0131】
本発明のアルミニウム顔料を含有する水性塗料や水性インキによる塗膜については、電着塗装などによる下塗り層や中塗り層の上に形成されていても良く、また、本発明のアルミニウム顔料を含有する水性塗料や水性インキによる塗膜の上にトップコート層が形成されていても良い。
【0132】
この場合、各塗膜層を塗装し硬化あるいは乾燥後に次の塗膜層を塗装してもよいし、いわゆるウェットオンウェット塗装により各塗膜層を塗装した後、硬化あるいは乾燥させずに次の塗膜層を塗装してもよい。しかしながら、良好な鏡面様の光輝性をもつ塗膜を得るためには、下地塗膜層を塗装し硬化あるいは乾燥後、本発明のアルミニウム顔料を含有する水性塗料や水性インキによる塗膜層を塗装することが好ましい。
【0133】
各塗膜層の塗料組成物の硬化方法は、たとえば熱硬化であってもよいし、常温硬化であってもよい。また、各塗膜層の塗料組成物の乾燥方法は、たとえば熱風を用いてもよいし、常温における自然乾燥であってもよい。
【0134】
この場合、本発明のアルミニウム顔料を含有する水性塗料や水性インキによる塗膜層の厚みは、特に限定されるものではないが、一般的な実施形態においては、2μm以上であることが好ましく、5μm以上であればより好ましい。また、該塗膜層の厚みは、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であればより好ましい。
【0135】
該塗膜層の厚みが2μm未満の場合には、インキ、塗料による下地の隠蔽効果が不足となる傾向があり、該塗膜層の厚みが100μmを超えると、乾燥が困難となり、ワキ、タレなどの欠陥が多くなる傾向がある。
【0136】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0137】
<実施例1>
まず、過酸化水素30%を含む過酸化水素水10gに金属モリブデン粉末0.5gを少しずつ加え、反応させて得られた溶液をイソプロピルアルコール600gに溶解し、さらに市販のアルミニウム顔料(東洋アルミニウム(株)7640NS、固形分65%)を153.8g(アルミ分として100g)を加え、50℃で1時間撹拌撹拌した。
【0138】
その後、上記スラリーにモノエタノールアミンを加えスラリーのpH値を8.5に調整した。
【0139】
次に、pH調整したスラリーにテトラエトキシシラン(以下TEOSと略)40gを加え、さらに50℃で10時間撹拌撹拌した。途中2時間毎にスラリーpH値をチェックし、モノエタノールアミンを加える事によりpH値が8.5になるように調整した。
【0140】
上記の反応終了後、スラリーをフィルターで固液分離し、得られたアルミニウム顔料を含むスラリーを105℃で3時間乾燥し、パウダー化したアルミニウム顔料を得た。
【0141】
<実施例2〜8>
実施例1と同様にして、表1〜2に示す条件で、実施例2〜8のアルミニウム顔料を作製した。
【0142】
【表1】
【0143】
【表2】
【0144】
<比較例1〜3>
実施例1と同様にして、表3に示す条件で、比較例1〜3のアルミニウム顔料を作製した。ただし、比較例2を作製する際、シリカ被膜を析出させる反応の途中でアルミニウム顔料が異常反応を起こし、激しく水素ガスを発生して凝集してしまったため、比較例2のアルミニウム顔料は得られなかった。
【0145】
【表3】
【0146】
なお、表1〜表3において、
*1:H2O2 30%aqは、H2O2を30質量%含有する水溶液を表わす。
*2:燐モリブデン酸のMo含有率は、Mo金属換算で47質量%である。
*3:IPAは、イソプロピルアルコールを表わす。
*4:MFDGは、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを表わす。
*5:TEOSは、テトラエトキシシランを表わす。
【0147】
<特性分析および性能評価>
実施例1〜8および比較例1〜3で得られたアルミニウム顔料の特性分析および性能評価を、下記の測定方法または評価方法に基づいて行なった。分析結果および評価結果を、表1〜表4に示す。
【0148】
(i)SiおよびMoの含有量の測定
アルミニウム顔料のMoおよびSiの含有量を、(株)島津製作所製、ICPS−8000を用いて、アルカリ溶解抽出法により抽出した液をMoおよびSi標準液を用いた検量線を使用し、プラズマ発光分析により定量した。
【0149】
(ii)水分散性の評価
アルミニウム顔料の水分散性を、アルミニウム顔料1質量部に脱イオン水10質量部を加え試験管中で振とうすることにより、下記の基準に基づいて評価した。
○:容易に水に分散する
△:ある程度水に分散する
×:ほとんど水に分散しない
(iii)安定性の評価
アルミニウム顔料の粉末100質量部に対し100質量部の水を加えてペースト化し、50℃で1ケ月保存した後、目開き45μmのJIS標準篩を用い、水中で手動による湿式篩分けを行ない、下記の基準に基づいて評価した。
○:アルミニウム顔料にほとんど変化が見られない
△:アルミニウム顔料が一部凝集している
×:アルミニウム顔料の多くが凝集している
(iv)水性塗料中でのガス発生量の測定
アルミニウム顔料を使用し、下記の組成で水性塗料を作成した。
水溶性アクリル樹脂(*1) 28.2g
メラミン樹脂(*2) 4.4g
トリエタノールアミン 1.1g
脱イオン水 44.8g
イソプロピルアルコール 3.0g
透明酸化鉄(*3) 5.0g
アルミニウム顔料(実施例1〜8、比較例1、比較例3) 3.0g(固形分)
*1:三井東圧化学(株)製、アルマテックス WA911
*2:三井東圧化学(株)製、サイメル350
*3:BASF社製、SICOTRANS RED L2175D
上記により作製した水性塗料80gを採取し、これらを50℃に調整した湯煎器内で7日間保管した場合の累積水素ガス発生量を水置換法によりメスシリンダーで測定した。
【0150】
(v)水性塗料に配合した場合の塗膜の色調評価
上記の(iv)水性塗料中でのガス発生量の測定において作製した水性塗料を、あらかじめ一次防錆塗料を電着塗装したテスト用銅板に、乾燥膜厚13μmとなるようにエアースプレー塗装し、90℃で10分間予備乾燥した後、下記の組成の有機溶剤型トップコート用塗料を、乾燥膜厚40μmとなるようにエアースプレー塗装し、140℃で30分間乾燥させてメタリック塗装塗板を作成した。
【0151】
アクリル樹脂(*4) 140g
メラミン樹脂(*5) 50g
ソルべッソ100 60g
*4:三井東圧化学(株)製、アルマテックス110
*5:三井東圧化学(株)製、ユーバン 20SE60
上記のようにして得られたメタリック塗装塗板の金属光沢感を下記の基準に基づいて5段階評価した。なお、数字が大きい方が良好である。また、方向性とは見る角度により明度が変化する性質をいい、方向性が強いほど明度が変化しやすい。
5:光輝感が非常に優れ、方向性が非常に強い
4:光輝感が優れ、方向性が強い
3:光輝感、方向性ともに普通である
2:光輝感がやや劣り、方向性がやや弱い
1:光輝感が劣り、方向性が弱い
【0152】
【表4】
【0153】
表4に示される結果より、実施例1〜8のアルミニウム顔料は、比較例1〜3のアルミニウム顔料に比べて、水分散性および安定性が顕著に優れていることがわかる。また、実施例1〜8のアルミニウム顔料を配合した水性塗料は、比較例1〜3のアルミニウム顔料を配合した水性塗料に比べて、ガスが全く発生しなくなり、また塗板の色調も顕著に優れていることがわかる。
【0154】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0155】
【発明の効果】
上記の結果より、本発明のアルミニウム顔料は、水分散性および安定性に優れ、貯蔵中に水素ガスを発生したり凝集したりすることがなく、塗膜外観の意匠性が優れているため、水性塗料または水性インキに配合するのに適している。
【0156】
また、本発明のアルミニウム顔料の製造方法を用いることにより、水分散性および安定性に優れ、貯蔵中に水素ガスを発生したり凝集したりすることがなく、塗膜外観の意匠性が優れているため、水性塗料または水性インキに配合するのに適したアルミニウム顔料を得ることができる。
【0157】
さらに、本発明の樹脂組成物は、水分散性および安定性に優れ、貯蔵中に水素ガスを発生したりアルミニウム顔料が凝集したりすることがなく、塗膜外観の意匠性が優れているため、水性塗料または水性インキに配合するのに適している。
【0158】
また、本発明のアルミニウム顔料を含有する水性塗料および水性インキは、水分散性および安定性に優れ、貯蔵中に水素ガスを発生したりアルミニウム顔料が凝集したりすることがなく、塗膜外観の意匠性に優れている。
Claims (8)
- アルミニウム粒子と、該アルミニウム粒子の表面を被覆するモリブデン酸化物および/またはモリブデン水和物からなるモリブデン被膜と、該モリブデン被膜をさらに被覆する非晶質シリカからなるシリカ被膜とを有するアルミニウム顔料。
- アルミニウム粒子100質量部に対して、モリブデンの含有量が0.01〜5質量部の範囲にあり、珪素の含有量が1〜20質量部の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム顔料。
- アルミニウム粒子とモリブデン化合物とを含む分散溶液を撹拌することにより、前記アルミニウム粒子表面にモリブデン酸化物および/またはモリブデン水和物からなるモリブデン被膜を形成する工程と、該モリブデン被膜を有するアルミニウム粒子と有機珪素化合物と加水分解触媒とを含む分散溶液のpHを調整することにより、該有機珪素化合物を加水分解させてアルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面に非晶質シリカからなるシリカ被膜を析出させる工程とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム顔料の製造方法。
- アルミニウム粒子表面にモリブデン被膜を形成する工程において、モリブデン化合物として過酸化ポリモリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、燐モリブデン酸よりなる群から選ばれる一種または二種以上を用いることを特徴とする請求項3に記載のアルミニウム顔料の製造方法。
- アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜を析出させる工程において、有機珪素化合物として、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシランよりなる群から選ばれる一種または二種以上の化合物を用いることを特徴とする請求項3または4に記載のアルミニウム顔料の製造方法。
- アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜を析出させる工程において、加水分解触媒として塩基性触媒を用い、pHを7.0〜11.0の範囲に調整することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のアルミニウム顔料の製造方法。
- アルミニウム粒子のモリブデン被膜の表面にシリカ被膜を析出させる工程において、加水分解触媒としてトリエタノールアミン、アンモニア、エチレンジアミン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランよりなる群から選ばれる一種または二種以上を用いることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のアルミニウム顔料の製造方法。
- 請求項1または2に記載のアルミニウム顔料と、樹脂とを含有し、該アルミニウム顔料の含有量は樹脂組成物全体の0.1〜30質量%の範囲である樹脂組成物。
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