JP5661327B2 - 金属顔料組成物 - Google Patents
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Description
なお、以下では水や水性塗料もしくは水性インキ中における金属顔料の耐腐食性を、「貯蔵安定性」と記載する。
しかしながら、特許文献1は特殊な色彩効果を求めたものであり、水性塗料中での貯蔵安定性を改良するものではない。また、特許文献2では具体的に示された例は酸化鉄を用いてコーティングされたアルミニウム顔料に対する更なるコーティング技術のみであり、通常のアルミニウム顔料に適用するには水性塗料中での貯蔵安定性の改良や、塗膜にしたときの光輝性や隠蔽性、フリップフロップ感などの低下防止には不十分であった。
(1)少なくとも一種以上のタングステン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物と、金属粒子とを含有する金属顔料組成物。
(2)金属粒子がアルミニウムである(1)に記載の金属顔料組成物。
(3)タングステン化合物が、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、及びそれらの水和物から選ばれる少なくとも一種である、(1)または(2)に記載の金属顔料組成物。
(4)タングステン化合物が、タングステン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸よりなる群から選ばれる少なくとも一種と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアよりなる群から選ばれる少なくとも一種との塩である、(1)または(2)に記載の金属顔料組成物。
(式中、R1、R2およびR3は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR1とR2は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR1とR2は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素もしくは酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成するか、または任意にR1、R2およびR3は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる多員の多重環組成物を形成する。R1、R2およびR3は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
(式中、R6は水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R7は水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基である。R6とR7は同一でも異なってもよく、R6とR7が2つ以上ある場合は、それぞれが、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。1≦m≦3である。)
(式中、R8は他の官能基と化学結合し得る反応基を含む基であり、R9は水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R10は水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基である。R8とR9とR10が2つ以上ある場合は、それぞれが、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。1≦p≦3であり、0≦q≦2であり、1≦p+q≦3である。)
(式中、R11は水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基であり、R11は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。)
(式中、R12は水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R12が2つ以上ある場合は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。0≦r≦3である。)
(7)シリコン含有化合物が、下記一般式(6)または(7)で表される化合物、およびそれらの部分縮合物から選ばれる少なくとも一種である、(6)に記載の金属顔料組成物。
(式中、R6は水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R7は水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基である。R6とR7は同一でも異なってもよく、R6とR7が2つ以上ある場合は、それぞれが、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。1≦m≦3である。)
(式中、R11は水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基であり、R11は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。)
(9)シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物が、金属粒子100重量部に対し、0.01から50重量部存在する、(1)から(8)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
(10)更に酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤の中から選ばれる少なくとも1種を金属粒子100重量部に対し、0.01から5重量部含有する、(1)から(9)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
(11)更に界面活性剤を金属粒子100重量部に対し、0.01から30重量部含有する、(1)から(10)のいずれかに記載の金属顔料組成物。
(12)金属粒子を、溶媒中で、タングステン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物とによって、別工程もしくは同一工程で混合処理する、(1)から(9)のいずれかに記載の金属顔料組成物の製造方法。
(13)(1)から(11)のいずれかに記載の金属顔料組成物を含む、塗料組成物。
(14)(1)から(11)のいずれかに記載の金属顔料組成物を含む、インキ組成物。
本発明に用いる金属顔料としては、アルミニウム、亜鉛、鉄、マグネシウム、銅、ニッケルのような卑金属の粒子、及びそれらの合金の粒子を好ましく用いることができる。
形状としては、平均粒径(d50)が2から40μmであり、平均厚み(t)が0.01から10μmの範囲であることが好ましく、平均アスペクト比が1から2500の範囲であることが好ましい。ここで、平均アスペクト比は、金属粒子の平均粒径(d50)を平均厚み(t)で割った値である。
特に好適なのはメタリック用顔料として多用されているアルミニウムフレークである。本発明に用いるアルミニウムフレークとしては、表面光沢性、白度、光輝性等メタリック用顔料に要求される表面性状、粒径、形状を有するものが適している。
アルミニウムフレークは、通常ペースト状態で市販されており、これをそのまま用いてもよいし、予め有機溶剤等で表面の脂肪酸等を除去して用いてもよい。また、平均粒径(d50)が3から30μm、平均厚み(t)が5から50nmのいわゆるアルミニウム蒸着箔も使用可能である。
(式中、R1、R2およびR3は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR1とR2は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR1とR2は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素もしくは酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成するか、または任意にR1、R2およびR3は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる多員の多重環組成物を形成する。R1、R2およびR3は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
本発明に使用されるタングステン化合物は、原料金属粉をボールミルで粉砕もしくは展延する時に添加してもよいし、金属粒子に溶媒を加えたスラリー状態で混合してもよいし、溶媒の量を少なくしたペースト状態で混練してもよい。また、タングステン化合物は、金属粒子にそのまま加えてもよいし、溶媒で希釈して加えてもよい。均一な混合状態を得るためには、溶媒であらかじめ希釈して加える方が好ましい。希釈に用いる溶媒は、例えば、水や、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、オクタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類及びそのエステル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3―ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、エチレンプロピレングリコールのグリコール類などが挙げられる。また、酸やアルカリで溶解して加えてもよい。
(式中、R6は水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R7は水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基である。R6とR7は同一でも異なってもよく、R6とR7が2つ以上ある場合は、2つ以上あるR6は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよいし、2つ以上あるR7は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。1≦m≦3である。)
(式中、R8は他の官能基と化学結合し得る反応基を含む基であり、R9は水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R10は水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基である。R8とR9とR10が2つ以上ある場合は、2つ以上あるR8は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよいし、2つ以上あるR9は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよいし、2つ以上あるR10は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。1≦p≦3であり、0≦q≦2であり、1≦p+q≦3である。)
(式中、R11は水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基であり、4つのR11は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。)
(式中、R12は水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R12が2つ以上ある場合は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。0≦r≦3である。)
また、R8が2つ以上ある場合には、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。分子中のR8の数は、式(10)において、p=1から3であるが、p=1がより好ましい。
式(10)のR9の炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オレイル、ステアリル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ナフチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であっても、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン基を含んでいてもよい。これらの中でも、とくに炭素数が1から18の炭化水素基が好ましい。また、R9が2つ以上ある場合には、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。
式(10)のR10における炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であってもよい。これらの炭化水素基の中でも、とくにメチル、エチル、プロピル、ブチルが好ましい。また、R10が2つ以上ある場合には、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。
このような式(11)シリコン含有化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等があげられる。この中でも特に、テトラエトキシシランが好ましい。
このような式(12)のシリコン含有化合物としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、テトラクロロシラン等があげられる。
シリコン含有化合物の加水分解反応および/またはその縮合反応の触媒は、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸類;安息香酸、酢酸、クロロ酢酸、サリチル酸、シュウ酸、ピクリン酸、フタル酸、マロン酸等の有機酸類;ビニルホスホン酸、2−カルボキシエタンホスホン酸、2−アミノエタンホスホン酸、オクタンホスホン酸等のホスホン酸類等を用いることができる。これらの加水分解触媒は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ類;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機アルカリ塩類;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、エチレンジアミン、ピリジン、アニリン、コリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、グアニジン等のアミン類;蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、蟻酸モノメチルアミン、酢酸ジメチルアミン、乳酸ピリジン、グアニジノ酢酸、酢酸アニリン等の有機酸の塩類を用いることもできる。これらの加水分解触媒は、1種を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
シリコン含有化合物の加水分解物の縮合反応は、シリコン含有化合物の加水分解反応と同時に行ってもよいし、工程を分けて、かつ必要であれば触媒を変えて行ってもよい。その際、必要に応じて加温してもよい。
また、シリコン含有化合物の加水分解反応および/または縮合反応は、金属粒子およびタングステン化合物に添加した後に行ってもよいし、添加する前に行ってもよい。完全に加水分解されていなくてもよい。
シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物は、金属粒子100重量部に対し、0.01から50重量部、好ましくは1から30重量部添加する。
本発明に使用されるシリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物は、原料金属粉をボールミルで粉砕もしくは展延する時に添加してもよいし、金属粒子に溶媒を加えたスラリー状態で混合してもよいし、溶媒の量を少なくしたペースト状態で混練してもよい。
また、予定添加量を初期に一括して添加してもよいし、所定の時間をかけて連続的に添加してもよい。これらは、タングステン化合物を金属粒子に添加する前に添加してもよいし、予めタングステン化合物と混合させておいてから添加してもよいが、タングステン化合物を添加後にシリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物を添加する方が好ましい。
また、本願発明の金属顔料組成物にはタングステン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物に加えて更に酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、界面活性剤の少なくとも一種を添加できる。
界面活性剤は、金属粒子中の金属成分100重量部に対し、0.01から30重量部、好ましくは0.01から20重量部添加する。これらは予め溶媒に溶解または分散させておいてから添加するのが好ましい。
これらを添加する順序に特に制限は無いが、金属粒子をタングステン化合物で処理すると同時またはその後に、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物を添加し、最後に酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤、界面活性剤を添加することが好ましい。
本発明によって得られる金属顔料組成物は、水を主とする媒体中に塗膜形成成分である樹脂類が溶解または分散している水性塗料もしくは水性インキに加えることによりメタリック水性塗料もしくはメタリック水性インキとすることができる。また、樹脂等と混練して耐水性のバインダー、フィラーとして用いることもできる。酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤と界面活性剤は、金属顔料組成物を水性塗料、水性インキまたは樹脂等に配合する際に添加してもよい。
カルボキシル基、スルホン基などの中和するための中和剤としては、例えばアンモニア、水溶性アミノ化合物である例えばモノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリンなどから選択される1種以上を用いることができる。好ましくは、第三級アミンであるトリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等が挙げられる。
好ましい樹脂類は、アクリル樹脂類、ポリエステル樹脂類である。
必要に応じて、メラミン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ウレタンディスパージョンなどの樹脂を併用することができる。更には一般的に塗料に加えられる無機顔料、有機顔料、体質顔料、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、分散剤、沈降防止剤、レべリング剤、増粘剤、消泡剤と組み合わせてもよい。塗料への分散性を良くするために、更に界面活性剤を添加してもよいし、塗料の保存安定性を良くするために、更に酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤を添加してもよい。
[実施例1]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gにエチレングリコールモノブチルエーテルを465g加えて分散したスラリーを攪拌しながら、ケイタングステン酸の水和物1.0gをエチレングリコールモノブチルエーテル30gに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を70℃に保ちながら2時間攪拌した。その後更に10.0gのテトラエトキシシランを添加した後、3.2gの25%アンモニア水と5.2gの精製水を添加し、2時間攪拌した。その後、140℃に昇温し、4時間攪拌を行った。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分62%のアルミニウム顔料組成物を得た。得られたアルミニウム顔料組成物を1モル/Lの塩酸に溶解し、ICP発光分析により各元素の含有量を測定した結果、Al:100重量部に対し、W:0.52重量部、Si:1.02重量部であった。
[実施例2]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gにエチレングリコールモノブチルエーテルを465g加えて分散したスラリーを攪拌しながら、リンタングステン酸の水和物2.0gをイソプロパノール30gに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を40℃に保ちながら2時間攪拌した。その後、5.0gのN,N−ジメチルエタノールアミンを添加し、1時間攪拌した後、5.0gのテトラエトキシシランと、5.0gのヘキシルトリメトキシシランと、5.5gの精製水を添加し、2時間攪拌した。その後、140℃に昇温し、6時間攪拌を行った。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分61%のアルミニウム顔料組成物を得た。更に、該アルミニウム顔料組成物のアルミニウム金属成分100重量部に対し、0.5重量部の2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを添加し、混練した。得られたアルミニウム顔料組成物は、50℃で1週間エージングを行った。このアルミニウム顔料組成物中の各成分を実施例1と同様に測定すると、Al:100重量部に対し、W:1.03重量部、Si:1.10重量部であった。
[実施例3]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gにエチレングリコールモノブチルエーテルを465g加えて分散したスラリーを攪拌しながら、メタタングステン酸アンモニウムの水和物1.0gを精製水30gに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を70℃に保ちながら2時間攪拌した。その後更に5.0gのテトラエトキシシランと、5.0gのフェニルトリメトキシシランを、1モル/Lの酢酸水溶液で予め加水分解しておいた状態で添加し、130℃に昇温し、12時間攪拌した。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分55%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中の各成分を実施例1と同様に測定すると、Al:100重量部に対し、W:0.60重量部、Si:1.08重量部であった。
[実施例4]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを465g加えて分散したスラリーを攪拌しながら、リンタングステン酸ナトリウムの水和物1.5gを精製水30gに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を40℃に保ちながら2時間攪拌した。その後、10.0gのテトラエトキシシランを添加した後、3.2gの25%アンモニア水と5.2gの精製水を添加し、更に2時間攪拌した。その後、5.0gのトリフルオロプロピルトリメトキシシランを、1モル/Lの酢酸水溶液で予め加水分解しておいた状態で添加し、130℃に昇温し、12時間攪拌した。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分58%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中の各成分を実施例1と同様に測定すると、Al:100重量部に対し、W:0.77重量部、Si:1.55重量部であった。
[実施例5]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gにエチレングリコールモノブチルエーテルを465g加えて分散したスラリーを攪拌しながら、リンタングステン酸アンモニウムの水和物2.0gを精製水30gに分散させた状態で加え、スラリー温度を40℃に保ちながら30分間攪拌した。その後、16.0gの25%アンモニア水を添加し、1時間攪拌した。更にその後、10.0gのテトラエトキシシランと、5.0gの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを添加し、2時間攪拌した。その後、150℃に昇温し、6時間攪拌を行った。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分60%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中の各成分を実施例1と同様に測定すると、Al:100重量部に対し、W:0.99重量部、Si:1.43重量部であった。
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gに、ケイタングステン酸ジトリデシルアミン塩と2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを、該アルミペースト中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、それぞれ3.0重量部、0.5重量部となるように添加し、70℃で6時間攪拌した。
[製造例2]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)135gに、リンタングステン酸N,N−ジメチルエタノールアミン塩とアスコルビン酸を、該アルミペースト中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、それぞれ1.0重量部、0.5重量部となるように添加し、70℃で6時間攪拌した。
製造例1で得られたアルミニウム顔料組成物135gにプロピレングリコールモノメチルエーテルを465g加え、スラリー温度を40℃に保ちながら30分間攪拌した。その後、10.0gのテトラメトキシシランを添加した後、5.0gのトリエタノールアミンと6.0gの精製水を添加し、1時間攪拌した。その後、100℃に昇温し、12時間攪拌を行った。更に、1モル/Lの酢酸水溶液で予め加水分解しておいた5.0gの3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを添加し、8時間攪拌を行った。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分53%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中の各成分を実施例1と同様に測定すると、Al:100重量部に対し、W:1.65重量部、Si:1.50重量部であった。
[実施例7]
製造例2で得られたアルミニウム顔料組成物135gにエチレングリコールモノブチルエーテルを465g加え、スラリー温度を70℃に保ちながら2時間攪拌した。その後更に10.0gのテトラエトキシシランを添加した後、3.2gの25%アンモニア水と5.2gの精製水を添加し、2時間攪拌した。その後、140℃に昇温し、4時間攪拌を行った。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分63%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中の各成分を実施例1と同様に測定すると、Al:100重量部に対し、W:0.60重量部、Si:1.01重量部であった。
テトラエトキシシランを添加する工程を省いた以外は、実施例1と同様に行い、不揮発分74%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中の各成分を実施例1と同様に測定すると、Al:100重量部に対し、W:0.50重量部、Si:0.00重量部であった。
[比較例2]
ケイタングステン酸の水和物を添加する工程を省いた以外は、実施例1と同様に行い、不揮発分60%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中の各成分を実施例1と同様に測定すると、Al:100重量部に対し、W:0.00重量部、Si:0.40重量部であった。
[比較例3]
ケイタングステン酸の水和物1.0gに代えて、予め1Nの水酸化ナトリウム水溶液で溶解しておいた約7倍モルの酸化タングステン(VI)0.5gを添加した以外は、実施例1と同様に行い、不揮発分65%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中の各成分を実施例1と同様に測定すると、Al:100重量部に対し、W:0.30重量部、Si:0.96重量部であった。
[比較例4]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3100(平均粒径10.5μm、不揮発分74%)」)をそのまま用いて、以下のようにメタリック塗料を作製した。
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3160(平均粒径16μm、不揮発分74%)」)135gにエチレングリコールモノブチルエーテルを465g加えて分散したスラリーを攪拌しながら、タングステン酸ナトリウム・二水和物0.7gを精製水30gに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を70℃に保ちながら2時間攪拌した。その後、5.0gのテトラエトキシシランを添加した後、8時間攪拌した。その間、20%に希釈したリン酸水溶液5.0gを、2時間かけて連続的に添加した。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分58%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中の各成分を実施例1と同様に測定すると、Al:100重量部に対し、W:0.35重量部、Si:0.60重量部であった。
[実施例9]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3160(平均粒径16μm、不揮発分74%)」)135gに、トルエンを465gとN,N−ジメチルベンジルアミン4.0gを加え、スラリー温度を50℃に保ちながら30分間攪拌した。その後、2.0gのジメチルジクロロシランを添加し、18時間攪拌した。その後、ケイタングステン酸の水和物1.5gをイソプロパノール30gに溶解した液を徐々に加え、1時間攪拌した。その後、100℃に昇温し、1モル/Lの塩酸で予め加水分解しておいた5.0gのテトラエトキシシランと2.5gのN−メチル−3−アミノプロピル−トリメトキシシランを添加し、6時間攪拌した。反応終了後、冷却してからスラリーを濾過し、不揮発分65%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中の各成分を実施例1と同様に測定すると、Al:100重量部に対し、W:0.80重量部、Si:1.12重量部であった。
[参考例1]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3160(平均粒径16μm、不揮発分74%)」)135gに、タングステン酸ジトリデシルアミン塩を、該アルミペースト中のアルミニウム金属成分100重量部に対し、2.0重量部となるように、また、アルコキシオリゴマー(信越化学工業株式会社製、商品名「KR−213」)を5.0重量部添加し、70℃で12時間混練し、アルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中の各成分を実施例1と同様に測定すると、Al:100重量部に対し、W:0.55重量部、Si:0.89重量部であった。
タングステン酸ナトリウム・二水和物0.7gに代えて、予め1Nの水酸化ナトリウム水溶液で溶解しておいた同モル数の酸化タングステン(VI)0.5gを添加した以外は、実施例8と同様に行い、不揮発分57%のアルミニウム顔料組成物を得た。このアルミニウム顔料組成物中の各成分を実施例1と同様に測定すると、Al:100重量部に対し、W:0.27重量部、Si:0.50重量部であった。
[比較例6]
市販のアルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「GX−3160(平均粒径16μm、不揮発分74%)」)をそのまま用いて、以下のようにメタリック塗料を作製した。
実施例1から9及び参考例1で得られたアルミニウム顔料組成物、および比較例1から6で得られたアルミニウム顔料組成物に対し、下記の組成で水性メタリック塗料を作製した。
アルミニウム顔料組成物:アルミニウム分として10.5g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル:6.8g
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(非イオン性界面活性剤)
(松本油脂製薬株式会社製、商品名「アクチノールL5」):2.1g
精製水:42g
水溶性アクリル樹脂
(オリジン電気株式会社製、商品名「水性プラミーズ#300」):175g
増粘剤(日本エヌエスシー株式会社製、商品名「ヨドゾールKA10」):2.0g
作製した水性メタリック塗料を用いて、以下の評価を行った。
[評価1(貯蔵安定性評価)]
水性メタリック塗料200gをフラスコに採取し、40℃の恒温水槽で168時間まで水素ガス累積発生量を観察した。ガスの発生量に応じて下記のように評価し、塗料中の貯蔵安定性の指標とした。
○:1.0ml未満
△:1.0以上3.0ml未満
×:3.0ml以上5.0ml未満
××:5.0ml以上
上記の塗料を用いて塗膜を作製し、輝度、フリップフロップ感、隠蔽性、粒子感の評価を行った。
[実施例11から17][比較例7、8、10]
◎:比較例9より10以上高いもの
○:比較例9との差異が10未満のもの
×:比較例9より10以上低いもの
[実施例18から19及び参考例2][比較例12]
◎:比較例11より10以上高いもの
○:比較例11との差異が10未満のもの
×:比較例11より10以上低いもの
[実施例11から17][比較例7、8、10]
◎:比較例9より0.05以上高いもの
○:比較例9との差異が0.05未満のもの
×:比較例9より0.05以上低いもの
[実施例18から19及び参考例2][比較例12]
◎:比較例11より0.05以上高いもの
○:比較例11との差異が0.05未満のもの
×:比較例11より0.05以上低いもの
Claims (9)
- 少なくとも一種以上のタングステン化合物と、シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物と、金属粒子とを含有する金属顔料組成物であって、
該タングステン化合物が、
リンタングステン酸、ケイタングステン酸、及びそれらの水和物、
タングステン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸よりなる群から選ばれる少なくとも一種と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアよりなる群から選ばれる少なくとも一種との塩、並びに、
タングステン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸よりなる群から選ばれる少なくとも一種と、下記一般式(1)で表されるアミン化合物から選ばれる少なくとも一種との塩よりなる群
から選ばれる少なくとも一種であり、
該シリコン含有化合物が、下記一般式(4)で表される化合物、およびそれらの部分縮合物から選ばれる少なくとも一種である金属顔料組成物。
(式中、R1、R2およびR3は同じでも異なってもよく、水素原子、または炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価もしくは2価の炭化水素基であり、任意にR1とR2は一緒になって5員もしくは6員のシクロアルキル基を形成するか、または任意にR1とR2は窒素原子と一緒になって、架橋員として付加的に窒素もしくは酸素原子を含むことができる5員もしくは6員環を形成するか、または任意にR1、R2およびR3は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子および/または酸素原子を架橋員として含むことができる多員の多重環組成物を形成する。R1、R2およびR3は同時に水素原子にはならない。nは1から2の数を表す。)
(式中、R11は水素原子、または炭素原子数1から8の炭化水素基であり、R11は、すべて同一でも、一部同一でも、すべて異なっていてもよい。) - 前記金属粒子がアルミニウムである請求項1に記載の金属顔料組成物。
- 前記タングステン化合物が、前記金属粒子100重量部に対し、0.01から10重量部存在する、請求項1又は2に記載の金属顔料組成物。
- 前記シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物が、前記金属粒子100重量部に対し、0.01から50重量部存在する、請求項1から3のいずれかに記載の金属顔料組成物。
- 更に酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤の中から選ばれる少なくとも1種を前記金属粒子100重量部に対し、0.01から5重量部含有する、請求項1から4のいずれかに記載の金属顔料組成物。
- 更に界面活性剤を前記金属粒子100重量部に対し、0.01から30重量部含有する、請求項1から5のいずれかに記載の金属顔料組成物。
- 前記金属粒子を、溶媒中で、前記タングステン化合物と、前記シリコン含有化合物の加水分解物および/またはその縮合物とによって、別工程もしくは同一工程で混合処理する、請求項1から6のいずれかに記載の金属顔料組成物の製造方法。
- 請求項1から6のいずれかに記載の金属顔料組成物を含む、塗料組成物。
- 請求項1から6のいずれかに記載の金属顔料組成物を含む、インキ組成物。
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