JP4050106B2 - 抵抗基板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変抵抗器などに使用される抵抗基板に係わり、特に抵抗体層の表面が露出するように基板内に抵抗体層が埋設された抵抗基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の抵抗基板は、成形基板の表面に抵抗体層が所定のパターンで設けられているが、この抵抗体層の両端部の下に電極層が重ねられて形成されている。可変抵抗器の場合には、それぞれの電極層に導通する端子が設けられ、また電極層と電極層との間に位置する前記抵抗体層の表面を摺動する摺動子が設けられ、この摺動子と前記端子との間で、摺動子の摺動位置に対応する電圧の変化を検出できるようにしている。
【0003】
従来のこの種の抵抗基板は、以下の工程で製造されているのが一般的である。第1の工程では、溶媒に、カーボンブラックと、粉砕したカーボンファイバーと、ポリイミド樹脂などの熱硬化性のバインダー樹脂とを混合した抵抗ペーストを生成し、この抵抗ペーストを黄銅製の金属板からなる転写シートの上にスクリーン印刷する。
【0004】
第2の工程では、前記抵抗ペーストを例えば200℃で30分程度で乾燥させ、前記溶媒を除去する。さらにその上に前記抵抗ペーストをスクリーン印刷して乾燥する工程を繰り返して、抵抗ペーストが乾燥した層を2層以上重ねる。
【0005】
第3の工程では、溶媒に、熱硬化性のバインダー樹脂と銀粉を分散させた電極ペーストを抵抗体層の上にスクリーン印刷し、例えば200℃で30分、さらに260℃で30分程度乾燥させて前記溶媒を除去する。
【0006】
さらに第3の工程では、例えば380℃で70分程度加熱して、前記抵抗ペーストに用いられているバインダー樹脂と、前記電極ペーストに設けられているバインダー樹脂を一緒に熱硬化させることにより樹脂内に前記カーボンが分散した抵抗体層と、同じく樹脂内に前記銀粉が分散した電極層とを形成する。
【0007】
そして第4の工程では、前記抵抗体層の上に電極層が重ねられた転写シートを金型内に装着し、前記金型のキャビティ内にエポキシ樹脂などを射出して基板をインジェクション成形し、冷却した後に、前記転写シートを剥離する。
【0008】
これにより、基板の表面に抵抗体層が現れ、この抵抗体層の内側に電極層が重ねられた状態で、この抵抗体層と電極層とが基板内に埋設されたものとなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の製造方法で製造した抵抗基板では、電極層内の銀粉からなる金属粉が抵抗体層内に拡散しやすく、前記銀粉が抵抗体層の表面に浸出しやすいものであった。
【0010】
その原因は、従来の製造方法では、抵抗体層と電極層のそれぞれの層をパターン形成した後に、前記両層のバインダー樹脂を加熱工程で同時に熱硬化させているため、バインダー樹脂が硬化する過程で、樹脂が軟化する際に電極層内の銀粉が抵抗体層に浸出しやすい点にある。特に、従来は抵抗体層と電極層とで同じバインダー樹脂を使用していたため、加熱工程で両層の樹脂が同時に軟化するため、そのときに電極層の金属粉(銀粉)が抵抗体層へ移行しやすい。
【0011】
そして、抵抗体層の表面に金属粉として用いた銀粉が現われると、銀が腐食(硫化等)したり、近接するパターン同士のショートにつながるマイグレーションが発生するおそれが生じる。
【0012】
また可変抵抗器では、電極層と電極層との間に位置する抵抗体層の表面を摺動子が摺動することにより抵抗値の変化が検出されるが、前記摺動子は、その摺動過程において電極層と抵抗体層が重ねられた領域(積層パターン)も摺動することがある。しかしこの領域に位置する抵抗体層に前記のように銀粉が浸出していると、銀はカーボン系粒子(特にカーボンファイバー)に比べて硬度が低いので、その領域の抵抗体層の強度が低下し、摺動子の摺動により前記抵抗体層が摩耗しやすくなる。
【0013】
前記のように抵抗体層の表面への銀粉の露出を抑制するために、従来は前記第2の工程に示すように、抵抗ペーストのパターン印刷と乾燥を2回以上繰り返して、抵抗体層の膜厚を厚くしていた。しかし、抵抗ペーストのパターン印刷の工数が増えることになり生産性が悪く製造コストが高くなる。また抵抗体層の膜厚を厚くしても、加熱硬化において金属粉(銀粉)の抵抗体層への浸出を完全に無くすことは困難であった。
【0014】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、電極層内に分散する金属粉が抵抗体層に浸出するのを防止でき、生産性を高めることができる抵抗基板およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱硬化した樹脂内に導電粉が分散した抵抗体層と、熱硬化した樹脂内に金属粉が分散した電極層とを有し、最表面に前記抵抗体層が現れ前記抵抗体層の基板内方側に前記電極層が積層された状態で、前記抵抗体層と前記電極層とが基板に支持されている抵抗基板において、
前記抵抗体層の樹脂よりも、前記電極層の樹脂の方が熱硬化温度が低いことを特徴とするものである。
【0016】
この抵抗基板では、電極層の樹脂の熱硬化温度を低くしているため、例えば最初に抵抗体層の樹脂を熱硬化させた後に、その上に電極層を形成する場合に、電極層のバインダー樹脂を熱硬化させるときに、抵抗体層が軟化することがなく、よって電極層内の金属粉が抵抗体層内に浸出しにくい。
【0017】
また、従来のように、抵抗体層のバインダー樹脂と電極層のバインダー樹脂とを同時に熱硬化させる製造方法を採用した場合においても、両層で熱硬化温度が相違しているため、過熱工程で先に電極層が硬化し、その後に抵抗体層が硬化するため、これによっても前記金属粉の浸出しを防止しやすい。
【0018】
また、前記金属粉として銀粉を用い、前記導電粉としてカーボン粉を用いたものが好ましい。
【0019】
前記のように、金属粉の浸出しを防止するためには、前記樹脂の熱硬化温度の差が30℃以上であることが好ましい。
【0020】
また先に抵抗体層のバインダー樹脂を熱硬化させ、その後に電極層を形成しているバインダー樹脂を熱硬化させる場合において、電極層を熱硬化させる際に、抵抗体層が軟化しないようにするためには、前記電極層の樹脂の熱硬化温度が、前記抵抗体層の樹脂のガラス転移温度よりも低いことが好ましい。
【0021】
このような樹脂の組み合わせの例は、前記抵抗体層の樹脂が、熱硬化性ポリイミド、熱硬化性ポリエーテルケトン、熱硬化性ビスマレイミドのいずれか1種以上であり、前記電極層の樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂のいずれか1種以上である。
【0022】
また、前記基板には、前記電極層に導通された端子が固定されているものとして構成できる。さらに前記抵抗体層の表面を摺動する導電性の摺動子を設けた可変抵抗器として構成することができる。
【0023】
また本発明は、以下の工程を有することを特徴とする抵抗基板の製造方法である。
【0024】
(1)溶媒で溶かされた第1のバインダー樹脂内に導電粉が分散した抵抗ペーストを転写シートの上にパターン形成し、その後前記溶媒を除去し、さらに前記第1のバインダー樹脂を熱硬化させて抵抗体層を形成する工程と、
(2)前記第1のバインダー樹脂の熱硬化温度よりも低い温度で熱硬化する第2のバインダー樹脂が溶媒で溶かされて金属粉が分散させられた電極ペーストを、前記抵抗体層に重ねてパターン形成する工程と、
(3)前記電極ペーストの溶媒を除去し、さらに前記第2のバインダー樹脂を熱硬化させて電極層を形成する工程と、
(4)前記抵抗体層が基板表面に現れるように、前記転写シートを除去した前記抵抗体層と前記電極層とを基板に支持させる工程。
【0025】
また、前記(3)の工程では、抵抗体層で硬化させられている第1のバインダー樹脂のガラス転移温度よりも低い温度で第2のバインダー樹脂を熱硬化させることが好ましい。
【0026】
また、前記第1のバインダー樹脂を溶かす溶媒と、前記第2のバインダー樹脂を溶かす溶媒を異なるものとすることが好ましい。
【0027】
例えば電極ペーストに用いられる溶媒を、抵抗ペーストの第1のバインダー樹脂を溶解させにくいものとしておくと、抵抗体層の上に電極ペーストを形成する際に、電極ペースト内の溶媒によって、抵抗体層の樹脂が溶解させられることななくなり、これによっても金属体が抵抗体層に浸出するのを防止できる。
【0028】
この場合も、前記第1のバインダー樹脂が、熱硬化性ポリイミド、熱硬化性ポリエーテルケトン、熱硬化性ビスマレイミドのいずれか1種以上であり、前記第2のバインダー樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂のいずれか1種以上であることが好ましい。
【0029】
また、前記金属粉として銀粉を用い、前記導電粉としてカーボン粉を用いることが好ましい。
【0030】
また、前記第1のバインダー樹脂を溶かす溶媒が、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルトリグライムのいずれか1種以上、あるいはこれらの溶媒とα−テルピネオールとの混合溶媒であり、
前記第2のバインダーを溶かす溶媒が、酢酸カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルトリグライムのいずれか1種以上であることが好ましい。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態として可変抵抗器に用いられる抵抗基板を示す斜視図、図2は前記抵抗基板の平面図、図3は図2のIII−III線の断面図である。
【0032】
この抵抗基板1は、エポキシ樹脂などで形成された絶縁性の成形基板2を有している。この成形基板2の中央には回転子が取り付けられる円形の開口部2aが形成されている。また成形基板2の表面2bには、コモンパターン3、抵抗検出パターン4、補助パターン5が形成されており、これらの主な部分は、前記開口部2aの中心と同心円のリング状パターンとして形成されている。コモンパターン3には引き出しパターン3aが連続してこれが成形基板2の端縁2cまで延び、抵抗検出パターン4と連続する引き出しパターン4aと、補助パターン5に連続する引き出しパターン5aも前記端縁2cまで延びている。
【0033】
成形基板2の前記端縁2cからは導電性金属材料で形成された端子6a,6b,6cが突出しており、端子6aは前記引き出しパターン3aに重ねられて導通され、端子6bと端子6cは、引き出しパターン4aと5aに重ねられてそれぞれ導通されている。
【0034】
また、前記抵抗検出パターン4と補助パターン5は、接続パターン5bにおいて互いに直列に接続されている。なお、前記補助パターン5は、抵抗検出パターン4の一端と端子6cとを接続する引き回しパターンである。
【0035】
図3は、図2のIII−III線で切断した断面を示しており、これには抵抗検出パターン4の一部およびその引き出しパターン4aと、前記補助パターン5の一部が現れている。図3に示すように、各パターンは、抵抗体層21のみで形成されている領域と、前記抵抗体層21の基板内方側に電極層22が積層された領域とを有しており、電極層22のみで形成されている領域は存在していない。
【0036】
図2では、説明の都合上、抵抗体層21のみで形成されている領域にドットを付して示しており、抵抗体層21と電極層22とが積層されている領域にハッチングを付して示している。前記コモンパターン3およびその引き出しパターン3aは、その全域で抵抗体層21と電極層22とが積層されている。前記抵抗検出パターン4では、角度θの範囲が抵抗体層21のみで形成されており、その両端部および引き出しパターン4aは、抵抗体層21と電極層22とが積層されている。また、補助パターン5は、引き出しパターン5aおよび接続パターン5bを含むその全域で、抵抗体層21と電極層22とが積層されている。
【0037】
すなわち、前記抵抗検出パターン4の角度θの範囲は、摺動子の摺動位置に応じた抵抗値の変化を検出するために抵抗体層21のみで形成されているが、それ以外のパターンは電極層22で形成されているとともに、この電極層22が表面2bに露出しないように抵抗体層21で覆われた構造である。
【0038】
前記端子6a,6b,6cは、成形基板2内に埋設されており、前記引き出しパターン3a,4a,5aにて基板内側に形成されている前記電極層22に、前記端子6a,6b,6cのそれぞれが銀の接着層(図示せず)を介して接合されている。
【0039】
前記開口部2aには回転子が取り付けられ、この回転子に取り付けられた導電性の摺動子が、前記コモンパターン3と抵抗検出パターン4の表面を摺動する。その結果、端子6aと端子6bとの間、および端子6aと端子6cとの間で、摺動子の摺動位置に対応した抵抗変化を検出できるようになっている。
【0040】
前記抵抗体層21は、熱硬化性の樹脂の内部に導電粉としてカーボン粉(カーボンブラック、グラファイト、カーボンファイバーの少なくとも1種)が分散したものであり、前記電極層22は、熱硬化性樹脂の内部に金属粉として銀粉が分散しているものである。そして比抵抗は、電極層22の方が抵抗体層21よりも充分に小さくなっている。なお、前記電極層22に含まれる金属粉は、前記銀粉のほかに、金粉、銅粉、プラチナ粉、Ag−Pd粉、ニッケル粉などであってもよい。またはこれらの金属粉を混合したものでも良い。
【0041】
前記抵抗体層21の樹脂よりも、電極層22の樹脂の方が熱硬化温度が低く、さらには電極層22の樹脂の熱硬化温度が、前記抵抗体層21の樹脂のガラス転移温度よりも低くなっている。好ましくは、抵抗体層21の樹脂と電極層22との樹脂の熱硬化温度の差は30℃以上である。
【0042】
このように樹脂の熱硬化温度に差を持たせておくと、後に説明するように先に抵抗体層21の樹脂を熱硬化させた後に、これに重なるように前記電極層22をパターン形成して電極層22の樹脂を熱硬化させる製造工程を採用したときに、既に硬化している抵抗体層21の樹脂が軟化せず、電極層22内の銀粉が抵抗体層21に浸出し拡散することが生じにくくなる。
【0043】
また、抵抗体層21を形成する抵抗ペーストをパターン化して乾燥させ、その上に電極層22を形成する電極ペーストをパターン化して乾燥させ、両層の樹脂を同じ加熱工程で熱硬化させる製造工程を採用した場合も、熱硬化温度の低い電極層22の樹脂が先に熱硬化するため、電極層22内の銀粉が抵抗体層21に移行しずらい。
【0044】
よって、図2においてハッチングで示している抵抗体層21と電極層22とが積層されている領域において、抵抗体層21内に銀粉が拡散しにくくパターン表面に銀粉が露出することがなくなる。したがって、前記摺動子は、樹脂とカーボンとの混合体である抵抗体層21の表面を摺動するようになり、コモンパターン3において、摺動子が銀粉を摺動することがなく、可変抵抗器としての摺動寿命を高くできる。
【0045】
以下、前記抵抗基板1の製造方法について説明する。
(第1の工程;抵抗体層の形成)
第1の溶媒に、64体積%〜74体積%の第1のバインダー樹脂を溶解させ、これに10〜20体積%のカーボンブラックと、16体積%のカーボンファイバー(3μmのカーボンファイバーの粉砕粉)を混合させた抵抗ペーストを生成する(ただし、溶媒を除いた第1のバインダー樹脂、カーボンブラック、カーボンファイバーの合計が100体積%)。
【0046】
黄銅板の転写シート30(図4参照)を用意し、抵抗体層21のパターンの形状(図2のドットとハッチングの双方で示す全パターン)を製版するステンレス製のマスクを用い、前記転写シート30の表面に前記抵抗ペーストをスクリーン印刷する。
【0047】
印刷後に、焼成炉を用いて、前記スクリーン印刷した抵抗ペーストの層を200℃で30分間乾燥させて、前記第1の溶媒を蒸発させて除去する。
【0048】
次に、同じ焼成炉で260℃で30分間の加熱処理を行い、続けて同じ焼成炉で、380℃で70分間加熱する。この2段階の加熱処理により第1のバインダー樹脂が三次元的に結合して架橋し、内部にカーボンブラックとカーボンファイバーを含んだ状態で抵抗体層21が形成される。
【0049】
前記のように乾燥処理後の加熱処理を2段階(複数段階)に分けて、段階的に温度を上げて行うことにより、樹脂が熱硬化する際の内部応力を緩和させることができ、歪が残るのを抑制できる。
【0050】
前記第1の溶媒は、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、エチルカルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、メチルトリグライムなどの単独溶媒のうちいずれか1種以上、あるいは前記単独溶媒とα−テルピネオールとの混合溶媒が使用される。このうち、後述する第2の溶媒との差をもたせるためにカルビトール類とα−テルピネオールとの混合溶媒が好ましい。
【0051】
前記第1のバインダー樹脂としては、熱硬化温度が250〜380℃程度の樹脂が好ましく、例えば熱硬化性ポリイミド(熱硬化温度が250〜380℃、ガラス転移温度Tgが300〜350℃)、熱硬化性ポリエーテルケトン(PEK樹脂)(熱硬化温度が250〜380℃、ガラス転移温度Tgが350℃付近)、熱硬化性ビスマレイミド(熱硬化温度が300℃付近、ガラス転移温度Tgが250〜300℃程度)のいずれか1種以上を用いる。
【0052】
(第2の工程;電極層の形成)
前記のように第1のバインダー樹脂が熱硬化して形成された抵抗体層21の上に、電極ペーストの層をスクリーン印刷で形成する。
【0053】
前記電極ペーストは、第2の溶媒中に、10〜50体積%の銀粉と、50〜90体積%の第2のバインダー樹脂を混合してペースト状としたものである(ただし、溶媒を除いた銀粉と第2のバインダー樹脂との合計が100体積%)。
【0054】
図2においてハッチングで示す領域のパターンを製版するマスクで、前記転写シート30と抵抗体層21を覆い、前記抵抗体層21の表面に電極ペーストをパターン形成する。
【0055】
焼成炉において200℃で30分間加熱し、前記電極ペースト内の第2の溶媒を蒸発させて除去させるとともに、第2のバインダー樹脂を三次元結合させて架橋させ樹脂の内部に銀粉が含まれた電極層22を形成する。
【0056】
図4Aは、転写シート30の表面に抵抗体層21と電極層22とが積層されたものを断面図で示している。
【0057】
前記第2の溶媒は、酢酸カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルトリグライムのいずれか1種以上を用いる。
【0058】
また第2のバインダー樹脂は、熱硬化温度が、前記第1のバインダー樹脂の熱硬化温度およびガラス転移温度Tgよりも低いものであり、例えば、熱硬化温度が200〜220℃のフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂のいずれか1種以上が使用される。
【0059】
(第3の工程;端子接着層の形成)
図4Aに示すように、転写シート30上に抵抗体層21と電極層22とが積層されたものにおいて、各引き出しパターン3a,4a,5aの部分の前記電極層22の表面に図示しない端子接着層(導電性接着層)を形成する。
【0060】
この工程では、前記電極層22の表面にスクリーン印刷により端子接着用ペーストの層を形成し、前記焼成炉において80℃で10分間乾燥させ、端子接着用ペースト内の溶媒を蒸発させて除去し、前記端子接着層を形成する。例えば、前記端子接続用ペーストは、酢酸カルビトールなどからなる溶剤に、20体積%の銀粉と、20体積%のフェノール樹脂と、60体積%のエポキシ樹脂を混合させてペースト状としたものである(ただし、溶媒を除いた合計が100体積%)。
【0061】
(第4の工程;成形及び転写)
図4Bに示すように、前記転写シート30を専用の金型40で覆う。このとき引き出しパターン3a,4a,5aの電極層22の表面に前記端子接着層を介して端子6a,6b,6cを設置する。そして、前記金型40のキャビティ41に溶融状態のエポキシ樹脂を注入する。このときのエポキシ樹脂の温度は、抵抗体層21で硬化している樹脂および電極層22で硬化している樹脂のガラス転移温度Tgよりも低いことが好ましく、例えば樹脂温度が200℃である。
【0062】
キャビティ41内に溶融状態のエポキシ樹脂が注入されると、その熱で前記端子接着層のフェノール樹脂とエポキシ樹脂との混合体が熱硬化して、端子6a,6b,6cが引き出しパターン3a,4a,5aにおいて電極層22に接着される。
【0063】
前記金型40が空気中で室温になるまで冷却されると、前記エポキシ樹脂が硬化して成形基板2が形成される。そして、金型40から抜き出して、転写シート30を剥がすことで、前記抵抗基板1が完成する。
【0064】
この製造方法では、先に抵抗体層21の樹脂を加熱硬化させた後に、電極層22の樹脂を加熱硬化させ、このとき電極層22のバインダー樹脂として、前記抵抗体層21の樹脂の熱硬化温度およびガラス転移温度よりも熱硬化温度の低い樹脂を用いることにより、電極層22内の銀粉が抵抗体層21に浸出するのを防止できる。
【0065】
また、抵抗体層21を形成する際の第1の溶媒と、電極層22を形成する際の第2の溶媒を異なるものとし、前記第2の溶媒として、前に列記したように抵抗体層21の硬化樹脂を溶解させにくいものを使用することにより、さらに銀粉が抵抗体層21に移行するのを防止できる。
【0066】
なお、本発明の抵抗基板は、図1と図2に示すような回転式可変抵抗器用のほかに、直線的にスライドするスライド式可変抵抗器、その他の抵抗センサーなどに使用することができる。
【0067】
【発明の効果】
以上のように本発明では、電極層の上に抵抗体層が覆われているものにおいて、電極層に含まれている金属粉が抵抗体層の内部に浸出しにくくなり、抵抗体層の表面に前記金属体が露出するのを防止できる。よって、表面に金属粉が露出することに伴なう種々の問題(金属粉の腐食や銀マイグレーション等)の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抵抗基板を示す斜視図、
【図2】前記抵抗基板の平面図、
【図3】図2のIII−III線での断面図、
【図4】A,Bは抵抗基板の製造方法を示すものであり、Aは転写シートに抵抗体層と電極層とが積層された状態の断面図、Bは基板を形成する工程を示す断面図、
【符号の説明】
1 抵抗基板
2 成形基板
2b 表面
3 コモンパターン
4 抵抗検出パターン
5 補助パターン
3a,4a,5a 引き出しパターン
5b 接続パターン
6a,6b,6c 端子
21 抵抗体層
22 電極層
Claims (12)
- 熱硬化した樹脂内に導電粉が分散した抵抗体層と、熱硬化した樹脂内に金属粉が分散した電極層とを有し、最表面に前記抵抗体層が現れ前記抵抗体層の基板内方側に前記電極層が積層された状態で、前記抵抗体層と前記電極層とが基板に支持されている抵抗基板において、
前記抵抗体層の樹脂よりも、前記電極層の樹脂の方が熱硬化温度が低いことを特徴とする抵抗基板。 - 前記金属粉として銀粉を用い、前記導電粉としてカーボン粉を用いたものである請求項1記載の抵抗基板。
- 前記樹脂の熱硬化温度の差が30℃以上である請求項1または2記載の抵抗基板。
- 前記電極層の樹脂の熱硬化温度が、前記抵抗体層の樹脂のガラス転移温度よりも低い請求項1ないし3のいずれかに記載の抵抗基板。
- 前記抵抗体層の樹脂が、熱硬化性ポリイミド、熱硬化性ポリエーテルケトン、熱硬化性ビスマレイミドのいずれか1種以上であり、前記電極層の樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂のいずれか1種以上である請求項1ないし4のいずれかに記載の抵抗基板。
- 前記基板には、前記電極層に導通された端子が固定されている請求項1ないし5のいずれかに記載の抵抗基板。
- 以下の工程を有することを特徴とする抵抗基板の製造方法。
(1)溶媒で溶かされた第1のバインダー樹脂内に導電粉が分散した抵抗ペーストを転写シートの上にパターン形成し、その後前記溶媒を除去し、さらに前記第1のバインダー樹脂を熱硬化させて抵抗体層を形成する工程と、
(2)前記第1のバインダー樹脂の熱硬化温度よりも低い温度で熱硬化する第2のバインダー樹脂が溶媒で溶かされて金属粉が分散させられた電極ペーストを、前記抵抗体層に重ねてパターン形成する工程と、
(3)前記電極ペーストの溶媒を除去し、さらに前記第2のバインダー樹脂を熱硬化させて電極層を形成する工程と、
(4)前記抵抗体層が基板表面に現れるように、前記転写シートを除去した前記抵抗体層と前記電極層とを基板に支持させる工程。 - 前記(3)の工程では、抵抗体層で硬化させられている第1のバインダー樹脂のガラス転移温度よりも低い温度で第2のバインダー樹脂を熱硬化させる請求項7記載の抵抗基板の製造方法。
- 前記第1のバインダー樹脂を溶かす溶媒と、前記第2のバインダー樹脂を溶かす溶媒を異なるものとする請求項7または8記載の抵抗基板の製造方法。
- 前記第1のバインダー樹脂が、熱硬化性ポリイミド、熱硬化性ポリエーテルケトン、熱硬化性ビスマレイミドのいずれか1種以上であり、前記第2のバインダー樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂のいずれか1種以上である請求項7ないし9のいずれかに記載の抵抗基板の製造方法。
- 前記金属粉として銀粉を用い、前記導電粉としてカーボン粉を用いる請求項7ないし10のいずれかに記載の抵抗基板の製造方法。
- 前記第1のバインダー樹脂を溶かす溶媒が、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルトリグライムのいずれか1種以上、あるいはこれらの溶媒とα−テルピネオールとの混合溶媒であり、
前記第2のバインダーを溶かす溶媒が、酢酸カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルトリグライムのいずれか1種以上である請求項7ないし11のいずれかに記載の抵抗基板の製造方法。
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