JP2004363528A - 抵抗素子の製造法、並びに当該抵抗素子を用いた電子機器操作用応力センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】クラックの発生を防止できる抵抗素子の製造法を提供する。
【解決手段】抵抗体1に溝を形成することなく、抵抗体1表面を走査しながら加熱して所望の抵抗値とする、抵抗値調整過程を経ることを特徴とする。当該加熱手段の一例はレーザ照射である。また抵抗体1領域の全域又は抵抗体1領域の大半が含まれるようレーザ照射加熱領域4を調整し、且つレーザ照射時間及び/又はレーザ出力値を調整することで所望の抵抗値とする、抵抗値調整過程を経ることによっても上記課題は解決できる。
【選択図】 図1
【解決手段】抵抗体1に溝を形成することなく、抵抗体1表面を走査しながら加熱して所望の抵抗値とする、抵抗値調整過程を経ることを特徴とする。当該加熱手段の一例はレーザ照射である。また抵抗体1領域の全域又は抵抗体1領域の大半が含まれるようレーザ照射加熱領域4を調整し、且つレーザ照射時間及び/又はレーザ出力値を調整することで所望の抵抗値とする、抵抗値調整過程を経ることによっても上記課題は解決できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抵抗素子の製造法及びその抵抗素子を用いた電子機器操作用応力センサに関する。当該抵抗素子は厚膜チップ抵抗器等の技術分野で好適に利用可能である。また当該応力センサは、特にパーソナルコンピュータ用ポインティングディバイスとして、また各種小型電子機器用スイッチとして好適に利用可能である。
【0002】
【従来の技術】
抵抗素子の抵抗値を調整する手段の代表的なものは、いわゆるレーザトリミングによるものである(特開2001−15309号公報、特開2000−163214号公報等)。かかるレーザトリミングは、応力センサ用の歪ゲージとして用いられる抵抗素子に対しても実施される(特開2000−267803号公報等)。かかるレーザトリミングは、単位時間当たりにトリミングできる抵抗素子数が多く、量産性に優れる利点を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来のレーザトリミング技術は、抵抗体の電流経路を狭めて抵抗値調整するものである。そのため抵抗体への溝形成を伴う。当該溝は、レーザ照射により抵抗体の蒸発に至るまで抵抗体を加熱、その後の急冷(自然冷却)の過程を経て形成される。そのため当該溝周縁には急冷に伴う抵抗体の体積収縮による微細なクラックが生じる。このクラックは特に抵抗器の温度特性や耐衝撃性に影響を与え、これらの特性を不安定にする場合がある。
【0004】
特に応力センサ用歪ゲージに用いる抵抗体のクラックの存在は、応力センサの使用、即ち歪ゲージへの刺激及びその刺激の解除に伴う当該クラックの開閉、それに伴う抵抗素子の抵抗値の不安定化を招くことともなりかねない。例えばパーソナルコンピュータ用ポインティングディバイス用歪ゲージ(抵抗素子)の抵抗値が不安定化すると、表示部のカーソルが勝手に移動してしまう不都合がある。そのため上記特開2000−163214号公報では、歪ゲージとしての抵抗素子とは別に応力センサ構成部材の歪み変形による影響を受けない位置にトリミング用抵抗素子を配置することを提案している。しかしトリミング用抵抗素子を別に設ける分だけ応力センサ構成部品が増加することとなる点で不利である。
【0005】
そこで本発明が解決しようとする課題は、上記クラックの発生を防止できる抵抗素子の製造法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(第1の製造法)
上記課題を解決するため、本発明の第1の抵抗素子8の製造法は、抵抗体1に溝を形成することなく、抵抗体1領域を走査(例えば図1に示す状態)しながら加熱して所望の抵抗値とする、抵抗値調整過程を経ることを特徴とする。
【0007】
ここでいう「抵抗体」1は、主として厚膜形成されたものである。通常厚膜の抵抗体1は、粉状の導電性部材と厚膜形成を容易にするための非導電性部材からなる。
【0008】
かかる抵抗体1の中には、例えば樹脂を主成分とする非導電部材と、炭素材粉末や金属粉末からなる導電性部材からなるものがある。このような抵抗体1にあっては、前記導電性部材と非導電性部材との存在比により、凡その固有抵抗値が定まる。ここで上記加熱により、前記存在比が変化して相対的に導電性部材が増えるため、抵抗体全体の固有抵抗値が高くなる方向に変化する。また、上記加熱により粉状の導電性部材の結合・接触状態が変化することも、前記固有抵抗値変化の要因となると考えられる。
【0009】
上記厚膜の抵抗体1の具体例は、導電性部材としての炭素粉末と非導電性部材としてのエポキシ系樹脂ペーストの混合物を基板7上にスクリーン印刷した後、加熱炉にて加熱硬化したものである。この抵抗体1表面を走査しながら加熱することにより、エポキシ系樹脂ペーストの溶剤成分の蒸発、その他の原因に伴う樹脂の収縮や熱硬化の進行等が起こり、固有抵抗値が低下する。当該エポキシ系樹脂に代えてウレタン系樹脂、フェノール系樹脂等他の樹脂としても同様の固有抵抗値低下現象が起こる。
【0010】
またかかる抵抗体1の中には、例えば酸化ルテニウムが含まれるメタルグレーズ系抵抗体1のようなものがある。このような抵抗体1にあっては、非導電性部材(ガラス系材料等)に導電性部材としての金属化合物が溶解することで、非導電性部材が導電性を帯びるようになる。ここで上記加熱により、導電性を帯びる程度が増すと固有抵抗値が下がる。
【0011】
上記メタルグレーズ系抵抗体1の具体例は、導電性部材としての酸化ルテニウム粉末と非導電性部材としてのガラスフリットを主成分とするペーストの混合物を基板7上にスクリーン印刷した後、加熱焼成したものである。かかる加熱焼成によって酸化ルテニウムの一部がガラスに溶解する反応が起こる。そしてこの抵抗体1表面を走査しながら加熱することにより、さらに前記溶解反応が進む。そして非導電性部材であったガラスが導電性を帯びる程度を増すことにより、抵抗体1の固有抵抗値が低下する。
【0012】
このような固有抵抗値変化の現象を利用することで、上記抵抗体1への溝の形成といった抵抗体1の損傷を与える抵抗値調整法によらずに抵抗素子8の抵抗値調整をすることができる。そしてそのことにより上記本発明が解決しようとする課題を解決できる。
【0013】
また厚膜の抵抗体1を用いない場合でも、このような現象を利用できる抵抗体であれば、本発明の適用が可能であることは言うまでもない。また後述する抵抗素子8は、いずれも加熱により抵抗値が低下するものについて説明しているが、過熱により抵抗値が上昇するものであっても本発明にかかる抵抗値調整法を利用できることは言うまでもない。
【0014】
上記「走査」は、抵抗体1の加熱領域4を経時的に位置変化させることである。また当該走査の際には、いずれかの時点をとらえた場合にも加熱されない抵抗体1領域が存在するか、若しくは抵抗体1領域全体が加熱される場合であっても、その加熱時間は抵抗体1への全加熱時間の極一部しか占めない。従って走査の際の加熱領域4は、抵抗体1の大きさに比して小さいことが必ずしも条件とはならないが、多くの場合加熱領域4は、抵抗体1の大きさに比して小さくなる。むしろ加熱領域4は、抵抗体1の大きさに比して明らかに小さい(概ね面積比で10%以下)方が、後述する加熱されない領域の存在に起因する利点が大きく得られると考えられる点で好ましい。
【0015】
抵抗体1表面を走査しながら加熱することを上記本発明の要件としたのは、上記加熱されない領域の存在により、過度の加熱による抵抗体1の損傷を避け易いと考えられるためである。また加熱後の冷却が容易となり抵抗値安定までに要する時間を短くできると考えられるためである。抵抗値安定までに要する時間を短くできる利点は、抵抗値が所望の値まで変化した後に更にその変化が進み(いわゆるドリフト現象)、所望の値を外れるのを防止し易くなることである。
【0016】
ここで、走査しながら加熱する加熱手段がレーザ照射であることが好ましい。その理由は、加熱温度を決定するレーザ出力や、加熱領域4を決定するビーム径や走査速度の調整が容易であるばかりでなく、加熱領域4を経時的に位置変化、即ち走査させることが容易なためである。走査させる技術としては、パーソナルコンピュータのキーボードのキー表面等への印字技術である、いわゆるレーザマーキング技術を転用できると考えられる。
【0017】
(第2の製造法)
また、本発明の第2の抵抗素子の製造法は、抵抗体1領域の全域又は一部をレーザ照射加熱領域4とし、且つレーザ照射時間及び/又はレーザ出力値を調整することで抵抗体1に溝を形成することなく所望の抵抗値とする、抵抗値調整過程を経ることを特徴とする。当該製造法も、前述の第1の抵抗素子の製造法における固有抵抗値が変化する現象を利用するものである。従って、本発明の課題は、解決上記本発明の第1の抵抗素子の製造法と同様に解決される。
【0018】
第2の抵抗素子の製造法が第1の抵抗素子の製造法と異なる点は、加熱領域4を必ずしも移動させない(固定してもよい)点である。かかる加熱領域4は抵抗体1領域の全域としてもよいし、また抵抗体領域の一部としてもよい。図2は、抵抗体1領域全域を加熱領域とした状態を示している。後者の場合、加熱領域4を抵抗体1領域上に点在させることで「一部」とさせることもできる。この場合、第1の抵抗素子の製造法の説明における「加熱されない領域」を存在させることができ、それと同様の効果を得ることができる。即ち、加熱領域4における熱を加熱されない領域へと逃がすことができる効果である。
【0019】
上記「一部」は、上記抵抗体領域の大半を占める領域であることが好ましい。その理由は、仮に当該「一部」への局部的な加熱が過剰となる結果、トリミング用の溝と同視できる、抵抗体1が略破壊された領域(溝の形成はない)が生じると、従来と同様の問題を生じる場合があるかもしれないためである。但し、当該「抵抗体1が略破壊された領域」が、そのような問題を生じない程度に破壊されているのであれば、上記「一部」とすることによって不利となる点はないと考えられる。またここで前記「大半」は、概ね抵抗体領域の半分以上をいう。
【0020】
図2に示すように、抵抗体1領域全域を加熱領域とすることにより、局部的に抵抗体1を集中して加熱することなく、抵抗体1領域全域に亘り、上記破壊を伴わない抵抗値調整がされやすくなる。従って、その抵抗素子8の特性が安定することが期待できる。
【0021】
上記「レーザ照射時間」の調整には、抵抗値調整に必要な継続的なレーザ照射時間を調整する意味以外にも、レーザ照射をパルス状のような断続的となるよう調整する意味をも含む。断続的とすることによっても、第1の抵抗素子の製造法の説明における「加熱されない領域」を存在させることができ、それと同様の効果を得ることができる。
【0022】
(第3の製造法)
本発明の第3の抵抗素子8の製造法は、対となる電極に跨り、光照射により変性する材料を有する抵抗体1を形成する第1の工程と、当該抵抗体1よりも光透過性の優れる層(保護膜13)を当該抵抗体1上に形成する第2の工程と、当該層を透過する光照射(例えば図3に示す状態)により前記抵抗体1を変性させることで、抵抗値調整を実施する第3の工程とを有し、第1〜第3の工程をこの順に実施することを特徴とする。
【0023】
抵抗体1を変性することにより、抵抗値が変化する。その変化により抵抗値調整するため、従来のように抵抗体1に溝を形成することなく抵抗値調整が可能である。従って上記クラックの発生を防止できることで、抵抗体1強度を維持した抵抗素子8を提供することができ、本発明が解決しようとする課題が解決される。
【0024】
従来のように抵抗体1に溝を形成した後は、抵抗体1を保護膜13で被覆している(特開2000−267803号公報)。かかる保護膜13は通常ガラスペーストや樹脂ペーストをスクリーン印刷した後、加熱硬化させて得られるものである。その加熱の際に抵抗体1が変性するため、抵抗素子8の抵抗値変化が起こり、抵抗値精度が低下することとなっていた。その点上記本発明の抵抗素子8の製造法によれば、前記保護膜13に相当する「光透過性の優れる層」を形成した後に抵抗値調整を実施するため、このような抵抗値精度の低下は生じない利点がある。
【0025】
上記、「対となる電極2に跨る抵抗体1」の存在状態は、例えば図1〜図3に示す状態である。即ち、対となる両電極2に直接抵抗体1が接触することで抵抗素子8が構成され、当該両電極2が抵抗素子8の端子として機能する状態である。
【0026】
上記「光照射により変性する材料」は、例えばレーザ照射により熱変性する樹脂(例えばエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂)、紫外線照射により硬化変性する樹脂(例えば不飽和ポリエステル系樹脂)、電子線照射により硬化変性する樹脂(例えば不飽和ポリエステル系樹脂)等を含む。
【0027】
上記「光透過性の優れる層」は、可視光領域についてのものに限定されず、照射する光の種類との相対的な関係で「優れる」か否かが決定されるものである。レーザ光の透過性の優れる層は、例えばシリコーン系樹脂やフッ素系樹脂からなる層である。これらの層は、抵抗値調整の期間に光透過性が優れていれば足り、当該調整終了後に光透過性が劣ることとなっていてもよい。また当該「光透過性」は、その光が抵抗体1を変性し得る程度であれば足りる。従って多少の曇りが外観上観測されても「光透過性の優れる層」である場合がある。またかかる層は、光照射によってその層自身が変性するものであってもよい。
【0028】
上記「変性」は、熱収縮のように、状態が変化することである。一般に抵抗体1を構成する樹脂等が収縮すると、当該抵抗体1を構成する導電物質が密な状態となり、当該抵抗体1の比抵抗値が低下する。例えばアモルファスカーボン等の炭素材の粉末をエポキシ系樹脂ペースト中に分散させたものを硬化した抵抗体1は、それを熱収縮することで導電物質である炭素材が密な状態となり、固定抵抗値が低下する。また「変性」には、抵抗体1を構成するガラス中に酸化ルテニウムが溶解することで、当該ガラスが導電性を帯び、抵抗体1全体として固有抵抗値が変化する「変性」をも含む。従ってこれらの「変性」の程度を調整することで、本発明に係る抵抗素子8の抵抗値調整が可能となる。
【0029】
上記「炭素材」は、黒鉛や、カーボンブラック等のアモルファスカーボンのように導電性の良好なものをいう。
【0030】
後述する「黒色」は、上記炭素材の粉末をエポキシ系樹脂ペースト中に分散させたものを硬化した抵抗体1が有する程度の色をいう。
【0031】
上記「光照射」が、レーザ照射であることが好ましい。ここでいうレーザには、YAGレーザ、エキシマレーザ等が含まれる。これらのレーザ光は、その照射領域を非常に小さい領域に絞ることができる。そのため非常に小さい抵抗素子8に対しても適切な抵抗値調整を実施できる利点がある。また複数の抵抗素子8が密集している状態でも、隣合う抵抗素子8への熱的影響を避けながら、特定の抵抗素子8に対して適切な抵抗値調整を実施できる利点がある。
【0032】
通常チップ抵抗器の製造過程では、抵抗素子8が基板7面上に複数存在する状態で抵抗値調整を実施する(例えば特公昭63−12366号公報)。また例えばパーソナルコンピュータ用ポインティングディバイスに用いられる応力センサは、通常4つの抵抗素子8が基板7面上に存在する(例えば特開2000−267803号公報、及び図4(b))。このような抵抗素子8の配置状態でも、隣合う抵抗素子8への熱的影響を避けることができる。
【0033】
また抵抗素子8が、基板7面上に複数存在する場合において、上記「抵抗体」が黒色であり、基板7が黒色以外の色であることが好ましい。黒色はレーザ光をはじめ全ての波長の光に対し高い吸収率を有し、吸収された光のエネルギーを熱に変える。抵抗体1を構成する樹脂が熱変性するものであれば、その熱により抵抗体1領域を集中的に変性させる一方で、隣合う抵抗素子8間の基板7面領域が加熱され難い状態とする。従って特定の抵抗体1に対して光照射した場合に生ずる熱を、隣合う抵抗体1に伝播させる等の影響を与えない構成とすることができる。ここでカーボンブラック等の炭素材粉末を、エポキシ系樹脂ペースト中に分散させたものを硬化した抵抗体1は、黒色である。
【0034】
上記第1〜第3の製造法によって得られた抵抗素子8は、チップ抵抗器や、CR部品、ネットワーク抵抗器、多連抵抗器等の複合部品に用いることができる。これらに用いる場合、従来のレーザートリミング等の溝形成の際に飛散していた抵抗体粉末を、レーザトリミング装置から定期的に取り除くメンテナンスの手間を要しない利点がある。特に複合部品は、前記抵抗体粉末が他の素子(抵抗素子、コンデンサ素子、インダクタ素子等)との導通の原因となり、製品不良を発生させていたため、大きな利点となる。同様の観点から、応力センサ用歪ゲージに上記第1〜第3の製造法によって得られた抵抗素子8を用いると、前記抵抗体粉末が応力センサ制御部に悪影響を与えることがない点も本発明の大きな利点となる。
【0035】
また、抵抗素子8の小形化要求が近年高まっている。抵抗素子8が小さくなれば、従来のように溝を形成するレーザトリミングが、その位置精度等の適正化の困難性のため、不可能又は困難となる。従って、概ね1.6mm×0.8mm角のチップ抵抗器用抵抗素子8相当の大きさと同程度若しくはそれを下回る大きさである場合、上記第1〜第3の製造法の適用は特に有効となる。例えば、対となる電極2間距離が1mm以下、更には0.5mm以下の小さい抵抗素子8である。特にそのような小さい抵抗素子8に対しては、従来のようにトリミング用の溝を形成すること自体困難となってきている。レーザービーム径を狭く絞ることが困難だからである。このような観点からも、外形の小さい抵抗素子8への上記第1〜第3の製造法の適用は有効である。
【0036】
また、トリミング用の溝を形成するために要するエネルギーは、抵抗体1を変性等させるために要するエネルギーに比してはるかに大きいのが通常である。例えばレーザ照射によるトリミングでは、トリミング用の溝を形成するか否かにより、必要なレーザ出力が大きく違う。このようなエネルギー節減の観点からも、上記第1〜第3の製造法の適用が有利である。
【0037】
また従来の抵抗素子8は、上記溝の存在に起因する抵抗素子8の電気特性の安定性低下は不可避である。その点上記本発明の抵抗素子8の製造法によれば、抵抗体1に溝を形成しないため、極めて安定な電気特性の抵抗素子8を得ることができる。これは後述する、抵抗素子8を歪ゲージとして用いる電子機器操作用応力センサへ使用した場合に特にその利点を発揮できる。歪ゲージは、抵抗素子8を変形させたときの抵抗値変化を測定して使用するものであるところ、抵抗体1の溝の有無は、その変形による抵抗値安定出力の可否に大きく影響するためである。抵抗体1の溝が無い方が抵抗値を安定出力できることは言うまでもない。
【0038】
また、抵抗体1の溝の終端部は構造的に不安定である上に、当該終端部には電流が集中しやすいことが知られている。かかる電流の集中により、検出される抵抗値が不安定になるばかりでなく、電気的なノイズを発生させる場合がある。その点上記第1〜第3の製造法による抵抗素子8は、抵抗体1に溝を形成しないため、そのような抵抗値の不安定、ノイズの発生を引き起こすことがない利点がある。これも後述する、抵抗素子8を歪ゲージとして用いる電子機器操作用応力センサへ使用した場合に特にその利点を発揮できる。当該ノイズが、応力センサと隣接する他の電子機器構成部品に影響を与えないとも限らないためである。
【0039】
第1〜第3の抵抗素子の製造法によって得られた抵抗素子8が配される基板7は、抵抗体1を硬化・焼成する際の温度に耐え得るものを選択すべきである。例えば樹脂系の抵抗ペーストを用いる場合はガラス繊維混入エポキシ系樹脂成形体、即ち一般の印刷回路基板等を用いることができる。またガラスフリットを含む抵抗ペーストを用いる場合は、比較的加熱温度の高い焼成工程を経ることとなるため、セラミック製等の耐高温特性を有する基板を用いることが望ましい。
【0040】
また上記のように、上記樹脂系の抵抗ペーストを用いる場合(前者)は、抵抗体1を変性するために必要な熱量が、上記ガラスフリットを用いる場合(後者)に比して小さくて足りる。従って本発明にかかるトリミング工程を経た後の抵抗値変化、いわゆる「ドリフト」の程度は、前者は後者に比して小さい利点がある。後者の場合、一旦高温領域まで達した後に常温に戻るまでの時間が長いこと、及び通常当該高温流域で変性した抵抗体1が常温で性状安定化するのに多くの時間を要すると考えられることによる。
【0041】
(本発明の電子機器操作用応力センサ)
本発明の電子機器操作用応力センサは、上記第1〜第3の抵抗素子の製造法によって得られた抵抗素子8を歪ゲージとして用いることを特徴とするものである。かかる歪ゲージは、従来(特開2000−267803号公報等)のように歪ゲージにトリミング用の溝を形成することがないため、上述したクラックの発生がなく、歪ゲージの特性値(抵抗値)の不安定化をもたらすことがない。
【0042】
また一つの応力センサに複数の歪ゲージを用いる場合であって、歪ゲージにトリミング用の溝を形成する場合には、当該溝を含む歪ゲージ形状は、通常その歪ゲージの中心を対称の中心とする実質的な点対称とする。付与される応力の角度誤差を無視できる程度にするためである。しかしながらトリミング用の溝は、抵抗素子の形成状態により必要な長さが異なり、当該溝形成前には必要な溝長さを予想するのが非常に困難である。その点上記第1〜第3の抵抗素子の製造法によって得られた抵抗素子8を、歪ゲージとして用いることによりかかる困難性は回避できる。
【0043】
また従来(特開2000−163214号公報)のように歪ゲージ特性値(抵抗値)を調整するためだけに必要なトリミング用抵抗素子が不要となるため、応力センサ構成部品点数の低減に資する。
【0044】
更に上記トリミング用抵抗素子は、歪ゲージとしての抵抗素子8と通常直列接続される。そして応力センサ制御手段は、両方の(一組の)抵抗素子8の抵抗値の和を一つの歪ゲージとみなして当該制御手段が機能するのが通常である。例えば前記一組の抵抗素子8が、後述する図5における各々の抵抗素子8とみなされることとなる。そのような場合、歪ゲージとしての抵抗素子8の抵抗値変化量が、トリミング用抵抗素子の存在により小さくみなされる。前記一組の抵抗素子8の抵抗値変化には、抵抗値変化しないトリミング用抵抗素子の抵抗値をも考慮されるためである。
【0045】
ここで、トリミング用抵抗素子の抵抗値をR0、歪ゲージとしての抵抗素子8の抵抗値をR1(変化前)及びR2(変化後)とすると、抵抗値変化率Pは、次式で求められる。
次に本発明の上記第1〜第3の抵抗素子の製造法により、トリミング用抵抗素子が不要となった場合の抵抗値変化率Pは、次式で求められる。
P=(R2−R1)/R1
このように抵抗値変化が小さくみなされることは、電子機器操作用応力センサの出力値が小さくみなされるのと同義である。従ってかかる出力値増大のためにも、本発明の上記第1〜第3の抵抗素子の製造法により、トリミング用抵抗素子を不要とすることが好ましいことがわかる。
【0046】
また上述したガラス繊維混入エポキシ系樹脂成形体は、本発明の電子機器操作用応力センサ用基板7として好適に使用できる。電子機器の操作特有の、繰り返し且つ頻繁の応力付与・応力解除の使用法によっても歪ゲージとしての抵抗素子8特性を劣化させないためには、基板7は、抵抗素子8を変形させることのできる程度の柔軟性と、繰り返しの当該変形によっても抵抗素子8を塑性変形させない程度の剛性とを併せ持つのが好ましい。前記塑性変形とは、可逆性を失った変形である。塑性変形した抵抗素子8は、誤った歪ゲージ特性値を出力するためである。前記ガラス繊維混入エポキシ系樹脂成形体は、前記柔軟性及び前記剛性とを併せ持つ材料である。
【0047】
一般的に応力センサは、上記電気信号を検知、演算等する制御部があってはじめて応力センサとして機能する。しかし本明細書では前記制御部を除いた部分について便宜上「応力センサ」と称することとする。
【0048】
【発明の実施の形態】
(第1及び第3の製造法の実施の形態)
上記第1の抵抗素子の製造法によって得られた抵抗素子8を歪ゲージとした応力センサを例に、本発明の実施の形態の一例を図1、図3及び図4を参照しながら以下に示す。
【0049】
ガラス繊維混入エポキシ系樹脂を主成分とする厚み0.8mmの積層板片面に、厚み約18μmの導体層としての銅箔が配された、大型の銅張積層板を用意する。当該大型の銅張積層板は、外形が略正方形の基板7を1単位として、それが縦横に多数連なったものである。当該銅張り積層板へのパターニングは、公知のドライフィルムレジストによるフォトエッチング法により、表面の導体層を一部除去することによる。その残部として配線5、及び抵抗素子用電極2、並びに基板端子部11を得る。基板7は、その表面が緑色である。
【0050】
次いで得られた大型の銅張積層板に対し、上記1単位の基板7各々の四隅等を打抜き加工して穴9及び支持用穴12を形成する。
【0051】
その後導電性部材としての炭素材(アモルファスカーボン)粉末と、非導電性部材であるエポキシ系樹脂ペーストの混合物としての抵抗体ペーストを、スクリーン印刷により一対の抵抗素子用電極2間に形成・加熱硬化させて抵抗体1とする。更に抵抗体1を保護するため、シリコーン系樹脂ペーストをスクリーン印刷し、その後当該ペーストを加熱硬化して保護膜を形成する。当該保護膜13は、抵抗体1よりも光透過性の優れる層となった。
【0052】
そして各抵抗素子8の抵抗値調整を行う。保護膜表面の温度が100〜200℃となるよう表面温度計で測定しながらレーザ出力を調整し、またビーム径が抵抗素子8大きさの5〜20%の大きさとなるよう調整する。更に図1に示すように、レーザ照射位置を変化、すなわち走査させる。当該レーザ照射による加熱領域軌跡3は、蛇行の形状とした。レーザ照射中の当該抵抗素子8の抵抗値測定は、図4(b)に示す基板端子部11を通じて行われる。その測定値が所望の抵抗値の+2〜10%の値を示したら、レーザ照射を停止させる。これは、レーザ照射停止後の残留熱により若干抵抗値が下がることを考慮したものである。以上が本発明の抵抗素子の製造法の一例である。このような製造法によっては、抵抗体1の溝形成等といった過度な抵抗体1の損傷がないため、上述したクラックは観測されなかった。
【0053】
そして図4に示すように、各々の1単位の基板7について、アルミナセラミックを成形した、底面の輪郭が正方形のポスト6を、その底面が基板7の抵抗素子8が配された面とは逆の面に当接するよう、且つその底面の中心が各1単位の基板7の中心と実質的に一致するようエポキシ系接着剤で固定する。これで本発明の電子機器操作用応力センサの集合体が得られる。
【0054】
次いで大型の基板を各1単位の基板7となるよう、大型の基板面に縦横に多数設けられた分割用ライン(可視のラインでも不可視のラインでもよい)に沿ってディスクカッターにより切断・分割し、個々の応力センサとする。本例のようにポスト6を分割前に固定することにより、作業性が良好になる。その理由は、個々の応力センサに分割した後にポスト6を各々の応力センサを有する基板7に取付ける作業は、大型の基板に対する作業に比して取扱い性、ハンドリング性に劣り、煩雑なためである。またこの理由は、抵抗素子8の抵抗値調整後に個々の応力センサとした理由と同一である。
【0055】
大型の基板がアルミナ等のセラミック製である場合には、縦横に多数の分割溝を予め形成してある大型の基板を用いることが好ましい。その理由はディスクカッターを用いなくとも、当該分割溝を開くように手等で力を加えることで、容易に分割作業ができるためである。
【0056】
(第2及び第3の製造法の実施の形態)
パーソナルコンピュータのポインティングディバイス用応力センサの歪ゲージとして、本発明の実施の形態の一例を図2、図3及び図4を参照しながら以下に示す。
【0057】
保護膜13を得るまでの過程、及びその後の抵抗値調整工程より後の過程は上記第1及び第3の製造法の実施の形態と同一の作製条件とした。以下に抵抗値調整工程について説明する。
【0058】
各抵抗素子8の抵抗値調整を行う。保護膜13表面の温度が100〜200℃となるよう表面温度計で測定しながらレーザ出力を調整し、またビーム径が抵抗素子8大きさの5〜20%の大きさとなるよう調整する。更に図3(a)に示すように、レーザ照射領域14を抵抗体1の略中心に固定する。隣合う抵抗体1への熱的影響付与抑制を考慮したものである。レーザ照射中の当該抵抗素子8の抵抗値測定は、図4(b)に示す基板端子部11を通じて行われる。その測定値が所望の抵抗値の+2〜10%の値を示したら、レーザ照射を停止させる。これは、レーザ照射停止後の残留熱により若干抵抗値が下がることを考慮したものである。以上が本発明の抵抗素子8の製造法の一例である。このような製造法によっては、抵抗体1の溝形成等といった過度な抵抗体1の損傷がないため、抵抗体1強度の低下はなかった。
【0059】
本例の抵抗素子の製造法(第1〜第3の製造法をいう。以下同じ。)では、抵抗体1の保護膜13を設けたが、不必要な場合には要しない。その場合の本発明の抵抗素子8の製造法は、対となる電極2に跨り、光照射により変性する樹脂を有する抵抗体1を形成する第1の工程と、光照射により当該抵抗体1を変性させることで、抵抗値調整を実施する第3の工程とを有し、第1と第3の工程とをこの順に実施することを特徴とするものである。かかる製造法は、第3の製造法にかかる発明と同等の効果を有することは言うまでもない。この場合、第2の工程を有さない点で、製造工程の簡略化を図ることができる利点がある。
【0060】
本例の応力センサ(第1〜第3の製造法によるもの。以下同じ。)は、例えば支持用穴12を介して電子機器の筐体等に応力センサを固定させて使用する。すると固定状態では穴9の外側の基板3周縁部は、ポスト5に応力を付与した場合でも殆ど変形しない非変形部となり、穴9の内側はポスト5に応力を付与すと変形し、抵抗素子8を伸張、収縮させる変形部となる。図6に応力センサのポスト6に対し、任意の横方向(x、y方向)に応力を付与した場合の当該変形部の動作の概要を示している。当該変形部の変形によって歪ゲージである抵抗素子8が刺激を受け、伸張・収縮しているのがわかる。この抵抗素子8の抵抗値変化のアンバランスから、後述する応力センサの構成によって応力の大きさと方向が把握でき、例えばパーソナルコンピュータのポインティングディバイスとしての使用が可能となることがわかる。
【0061】
図4では、配線5と基板端子部11との電気接続の様子の描画を省略し、示していないが、図5には本例の応力センサにおける、電気信号入出力の状態の概要を示している。即ち、図5により図4の省略部分が補われている関係にある。前記1単位の基板7につき四つの抵抗素子8がブリッジ回路を構成している。このブリッジ回路の電圧印加端子(Vcc)−(GND)間には所定の電圧が印加されている。また同図左側の抵抗素子2及びY端子(Yout)によりY軸方向の応力センサが構成され、更に同図右側の抵抗素子2及びX端子(Xout)によりX軸方向の応力センサが構成される。
【0062】
ここで筐体に応力センサが固定された状態で、応力センサ下面に空隙が存在する場合、ポスト6を下向き(Z方向)に応力付与したことを検知させることが可能となる。その理由は、前記下向きに応力付与することにより、歪ゲージである4つの抵抗素子8全てを伸張させ、各々の抵抗値を略同程度にまで大きくすることができるためである。このような電気特性は、横方向(X方向、Y方向)に応力を付与した場合と異なる電気的特性であり、それらとは区別できる。
【0063】
本例の応力センサにおいて、下向き(Z方向)への応力付与に何らかの機能を付与することにより、多機能化が図れる。例えばコンピュータのポインティングディバイスとして本発明の応力センサを使用した場合、いわゆるマウスをクリックする機能を前記下向きへの応力付与に対応させることができる。また、例えばいわゆる携帯電話等の小型携帯機器用の多機能・多方向スイッチとして本発明の応力センサを使用した場合には、所定時間下向きへの応力付与をしたときに当該携帯機器の電源のオン・オフの命令に対応させる等が可能となる。
【0064】
本例の応力センサでは、基板7表面の導体層である銅箔の一部を除去処理するために、ドライフィルムレジストによるフォトエッチング法を採用したが、それに代えてフォトレジストを電気泳動で法着ける、いわゆるED(ElectroDeposition)法を採用可能である。また図4における配線5及び抵抗素子用電極2を形成する手段として、基板7表面の導体層の一部を除去処理するのではなく、基板7表面に無電解めっきで銅を成長させてパターニングする、いわゆるアディティブ法を採用できることは言うまでもない。
【0065】
また本例の応力センサでは、抵抗体1表面を樹脂製の保護膜13で覆った後に加熱による抵抗値調整を実施したが、当該保護膜13形成前に実施してもよい。あくまで抵抗体1を過熱することができれば抵抗値調整は可能だからである。但し、抵抗値調整をした後に当該抵抗素子8を加熱する工程があると、その工程を経ることにより抵抗素子8の抵抗値が若干変化し得るおそれがある。例えば保護膜13を硬化する際の加熱等によっても抵抗素子8の抵抗値が若干変化し得ると考えられる。従って後工程に加熱の工程がない段階で抵抗値調整を実施するのが好ましい。その意味で本例では、ポスト6を基板7面に搭載し、両者をエポキシ系接着剤で固定する際に加熱するのであれば、その後に抵抗値調整を実施するのが最も好ましい。但し、この抵抗値の若干の変化が、抵抗素子8の使用条件にとって何ら悪影響を及ぼさない場合には、特にこれらを考慮する必要はなく、工程設計上最も妥当な段階で抵抗値調整をするべきである。
【0066】
また本例の応力センサでは、従来のようにトリム用抵抗素子を必要としないため、基板7面のパターニングを非常に単純なものとすることができる。そのため基板7の片面のみをパターニングすれば足りる利点がある。仮にトリム用抵抗素子を歪ゲージとは反対側の基板7面に配するような設計を強いられる場合には、基板7の両面を電気的に接続するためのスルーホールの形成、それに伴うスルーホール内壁面への導電性付与のための無電解めっき工程を要する等、製造が煩雑となる。本発明はその煩雑さを避けることができる効果をも有している。
【0067】
また本例における抵抗値調整のための諸条件、例えば上述した保護膜表面の温度、ビーム径、並びにレーザ照射停止の指標となる、所望の抵抗値に対する測定抵抗値の比の値等については、各々の抵抗素子構成部材の違いや製造条件の違い、当初の抵抗素子8の形成状態のばらつきの大小により適宜設定を変更するものであるため、上述した値に限定されることがないことは言うまでもない。例えばレーザ照射を停止させる際の測定抵抗値を、所望の抵抗値に一致させることもできる。
【0068】
また本例の応力センサでは、抵抗体1の導電性部材を炭素材粉末としたが、これに限定されないことは言うまでもない。比較的安定な金属粉末である銀や、銀とパラジウムとの合金粉末等を用いることができる。また抵抗体1の非導電性部材であるエポキシ系樹脂に代えて他の樹脂、例えばアクリル系樹脂等を用いることができることは言うまでもない。
【0069】
【発明の効果】
本発明により、従来トリミングの過程でのクラックの発生を防止できる抵抗素子の製造法を提供することができた。また、従来要していたトリミング抵抗を必要としない応力センサを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抵抗素子の製造法の様子を示す図である。
【図2】本発明の抵抗素子の製造法の様子を示す図である。
【図3】本発明に係る抵抗素子を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図4】本発明の応力センサの実施の形態を示す図であり、(a)は側面図、(b)は下面図、(c)は上面図である。(b)において、配線5から基板端子部11、までの電気接続の様子の描画を省略している。
【図5】本発明の応力センサを構成する抵抗素子の電気接続状態を示す図である。
【図6】本発明の応力センサの動作状態を示す図である。
【符号の説明】
1.抵抗体
2.電極
3.加熱領域軌跡
4.加熱領域
5.配線
6.ポスト
7.基板
8.抵抗素子
9.穴
11.基板端子部
12.支持用穴
13.保護膜
14.照射領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、抵抗素子の製造法及びその抵抗素子を用いた電子機器操作用応力センサに関する。当該抵抗素子は厚膜チップ抵抗器等の技術分野で好適に利用可能である。また当該応力センサは、特にパーソナルコンピュータ用ポインティングディバイスとして、また各種小型電子機器用スイッチとして好適に利用可能である。
【0002】
【従来の技術】
抵抗素子の抵抗値を調整する手段の代表的なものは、いわゆるレーザトリミングによるものである(特開2001−15309号公報、特開2000−163214号公報等)。かかるレーザトリミングは、応力センサ用の歪ゲージとして用いられる抵抗素子に対しても実施される(特開2000−267803号公報等)。かかるレーザトリミングは、単位時間当たりにトリミングできる抵抗素子数が多く、量産性に優れる利点を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来のレーザトリミング技術は、抵抗体の電流経路を狭めて抵抗値調整するものである。そのため抵抗体への溝形成を伴う。当該溝は、レーザ照射により抵抗体の蒸発に至るまで抵抗体を加熱、その後の急冷(自然冷却)の過程を経て形成される。そのため当該溝周縁には急冷に伴う抵抗体の体積収縮による微細なクラックが生じる。このクラックは特に抵抗器の温度特性や耐衝撃性に影響を与え、これらの特性を不安定にする場合がある。
【0004】
特に応力センサ用歪ゲージに用いる抵抗体のクラックの存在は、応力センサの使用、即ち歪ゲージへの刺激及びその刺激の解除に伴う当該クラックの開閉、それに伴う抵抗素子の抵抗値の不安定化を招くことともなりかねない。例えばパーソナルコンピュータ用ポインティングディバイス用歪ゲージ(抵抗素子)の抵抗値が不安定化すると、表示部のカーソルが勝手に移動してしまう不都合がある。そのため上記特開2000−163214号公報では、歪ゲージとしての抵抗素子とは別に応力センサ構成部材の歪み変形による影響を受けない位置にトリミング用抵抗素子を配置することを提案している。しかしトリミング用抵抗素子を別に設ける分だけ応力センサ構成部品が増加することとなる点で不利である。
【0005】
そこで本発明が解決しようとする課題は、上記クラックの発生を防止できる抵抗素子の製造法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(第1の製造法)
上記課題を解決するため、本発明の第1の抵抗素子8の製造法は、抵抗体1に溝を形成することなく、抵抗体1領域を走査(例えば図1に示す状態)しながら加熱して所望の抵抗値とする、抵抗値調整過程を経ることを特徴とする。
【0007】
ここでいう「抵抗体」1は、主として厚膜形成されたものである。通常厚膜の抵抗体1は、粉状の導電性部材と厚膜形成を容易にするための非導電性部材からなる。
【0008】
かかる抵抗体1の中には、例えば樹脂を主成分とする非導電部材と、炭素材粉末や金属粉末からなる導電性部材からなるものがある。このような抵抗体1にあっては、前記導電性部材と非導電性部材との存在比により、凡その固有抵抗値が定まる。ここで上記加熱により、前記存在比が変化して相対的に導電性部材が増えるため、抵抗体全体の固有抵抗値が高くなる方向に変化する。また、上記加熱により粉状の導電性部材の結合・接触状態が変化することも、前記固有抵抗値変化の要因となると考えられる。
【0009】
上記厚膜の抵抗体1の具体例は、導電性部材としての炭素粉末と非導電性部材としてのエポキシ系樹脂ペーストの混合物を基板7上にスクリーン印刷した後、加熱炉にて加熱硬化したものである。この抵抗体1表面を走査しながら加熱することにより、エポキシ系樹脂ペーストの溶剤成分の蒸発、その他の原因に伴う樹脂の収縮や熱硬化の進行等が起こり、固有抵抗値が低下する。当該エポキシ系樹脂に代えてウレタン系樹脂、フェノール系樹脂等他の樹脂としても同様の固有抵抗値低下現象が起こる。
【0010】
またかかる抵抗体1の中には、例えば酸化ルテニウムが含まれるメタルグレーズ系抵抗体1のようなものがある。このような抵抗体1にあっては、非導電性部材(ガラス系材料等)に導電性部材としての金属化合物が溶解することで、非導電性部材が導電性を帯びるようになる。ここで上記加熱により、導電性を帯びる程度が増すと固有抵抗値が下がる。
【0011】
上記メタルグレーズ系抵抗体1の具体例は、導電性部材としての酸化ルテニウム粉末と非導電性部材としてのガラスフリットを主成分とするペーストの混合物を基板7上にスクリーン印刷した後、加熱焼成したものである。かかる加熱焼成によって酸化ルテニウムの一部がガラスに溶解する反応が起こる。そしてこの抵抗体1表面を走査しながら加熱することにより、さらに前記溶解反応が進む。そして非導電性部材であったガラスが導電性を帯びる程度を増すことにより、抵抗体1の固有抵抗値が低下する。
【0012】
このような固有抵抗値変化の現象を利用することで、上記抵抗体1への溝の形成といった抵抗体1の損傷を与える抵抗値調整法によらずに抵抗素子8の抵抗値調整をすることができる。そしてそのことにより上記本発明が解決しようとする課題を解決できる。
【0013】
また厚膜の抵抗体1を用いない場合でも、このような現象を利用できる抵抗体であれば、本発明の適用が可能であることは言うまでもない。また後述する抵抗素子8は、いずれも加熱により抵抗値が低下するものについて説明しているが、過熱により抵抗値が上昇するものであっても本発明にかかる抵抗値調整法を利用できることは言うまでもない。
【0014】
上記「走査」は、抵抗体1の加熱領域4を経時的に位置変化させることである。また当該走査の際には、いずれかの時点をとらえた場合にも加熱されない抵抗体1領域が存在するか、若しくは抵抗体1領域全体が加熱される場合であっても、その加熱時間は抵抗体1への全加熱時間の極一部しか占めない。従って走査の際の加熱領域4は、抵抗体1の大きさに比して小さいことが必ずしも条件とはならないが、多くの場合加熱領域4は、抵抗体1の大きさに比して小さくなる。むしろ加熱領域4は、抵抗体1の大きさに比して明らかに小さい(概ね面積比で10%以下)方が、後述する加熱されない領域の存在に起因する利点が大きく得られると考えられる点で好ましい。
【0015】
抵抗体1表面を走査しながら加熱することを上記本発明の要件としたのは、上記加熱されない領域の存在により、過度の加熱による抵抗体1の損傷を避け易いと考えられるためである。また加熱後の冷却が容易となり抵抗値安定までに要する時間を短くできると考えられるためである。抵抗値安定までに要する時間を短くできる利点は、抵抗値が所望の値まで変化した後に更にその変化が進み(いわゆるドリフト現象)、所望の値を外れるのを防止し易くなることである。
【0016】
ここで、走査しながら加熱する加熱手段がレーザ照射であることが好ましい。その理由は、加熱温度を決定するレーザ出力や、加熱領域4を決定するビーム径や走査速度の調整が容易であるばかりでなく、加熱領域4を経時的に位置変化、即ち走査させることが容易なためである。走査させる技術としては、パーソナルコンピュータのキーボードのキー表面等への印字技術である、いわゆるレーザマーキング技術を転用できると考えられる。
【0017】
(第2の製造法)
また、本発明の第2の抵抗素子の製造法は、抵抗体1領域の全域又は一部をレーザ照射加熱領域4とし、且つレーザ照射時間及び/又はレーザ出力値を調整することで抵抗体1に溝を形成することなく所望の抵抗値とする、抵抗値調整過程を経ることを特徴とする。当該製造法も、前述の第1の抵抗素子の製造法における固有抵抗値が変化する現象を利用するものである。従って、本発明の課題は、解決上記本発明の第1の抵抗素子の製造法と同様に解決される。
【0018】
第2の抵抗素子の製造法が第1の抵抗素子の製造法と異なる点は、加熱領域4を必ずしも移動させない(固定してもよい)点である。かかる加熱領域4は抵抗体1領域の全域としてもよいし、また抵抗体領域の一部としてもよい。図2は、抵抗体1領域全域を加熱領域とした状態を示している。後者の場合、加熱領域4を抵抗体1領域上に点在させることで「一部」とさせることもできる。この場合、第1の抵抗素子の製造法の説明における「加熱されない領域」を存在させることができ、それと同様の効果を得ることができる。即ち、加熱領域4における熱を加熱されない領域へと逃がすことができる効果である。
【0019】
上記「一部」は、上記抵抗体領域の大半を占める領域であることが好ましい。その理由は、仮に当該「一部」への局部的な加熱が過剰となる結果、トリミング用の溝と同視できる、抵抗体1が略破壊された領域(溝の形成はない)が生じると、従来と同様の問題を生じる場合があるかもしれないためである。但し、当該「抵抗体1が略破壊された領域」が、そのような問題を生じない程度に破壊されているのであれば、上記「一部」とすることによって不利となる点はないと考えられる。またここで前記「大半」は、概ね抵抗体領域の半分以上をいう。
【0020】
図2に示すように、抵抗体1領域全域を加熱領域とすることにより、局部的に抵抗体1を集中して加熱することなく、抵抗体1領域全域に亘り、上記破壊を伴わない抵抗値調整がされやすくなる。従って、その抵抗素子8の特性が安定することが期待できる。
【0021】
上記「レーザ照射時間」の調整には、抵抗値調整に必要な継続的なレーザ照射時間を調整する意味以外にも、レーザ照射をパルス状のような断続的となるよう調整する意味をも含む。断続的とすることによっても、第1の抵抗素子の製造法の説明における「加熱されない領域」を存在させることができ、それと同様の効果を得ることができる。
【0022】
(第3の製造法)
本発明の第3の抵抗素子8の製造法は、対となる電極に跨り、光照射により変性する材料を有する抵抗体1を形成する第1の工程と、当該抵抗体1よりも光透過性の優れる層(保護膜13)を当該抵抗体1上に形成する第2の工程と、当該層を透過する光照射(例えば図3に示す状態)により前記抵抗体1を変性させることで、抵抗値調整を実施する第3の工程とを有し、第1〜第3の工程をこの順に実施することを特徴とする。
【0023】
抵抗体1を変性することにより、抵抗値が変化する。その変化により抵抗値調整するため、従来のように抵抗体1に溝を形成することなく抵抗値調整が可能である。従って上記クラックの発生を防止できることで、抵抗体1強度を維持した抵抗素子8を提供することができ、本発明が解決しようとする課題が解決される。
【0024】
従来のように抵抗体1に溝を形成した後は、抵抗体1を保護膜13で被覆している(特開2000−267803号公報)。かかる保護膜13は通常ガラスペーストや樹脂ペーストをスクリーン印刷した後、加熱硬化させて得られるものである。その加熱の際に抵抗体1が変性するため、抵抗素子8の抵抗値変化が起こり、抵抗値精度が低下することとなっていた。その点上記本発明の抵抗素子8の製造法によれば、前記保護膜13に相当する「光透過性の優れる層」を形成した後に抵抗値調整を実施するため、このような抵抗値精度の低下は生じない利点がある。
【0025】
上記、「対となる電極2に跨る抵抗体1」の存在状態は、例えば図1〜図3に示す状態である。即ち、対となる両電極2に直接抵抗体1が接触することで抵抗素子8が構成され、当該両電極2が抵抗素子8の端子として機能する状態である。
【0026】
上記「光照射により変性する材料」は、例えばレーザ照射により熱変性する樹脂(例えばエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂)、紫外線照射により硬化変性する樹脂(例えば不飽和ポリエステル系樹脂)、電子線照射により硬化変性する樹脂(例えば不飽和ポリエステル系樹脂)等を含む。
【0027】
上記「光透過性の優れる層」は、可視光領域についてのものに限定されず、照射する光の種類との相対的な関係で「優れる」か否かが決定されるものである。レーザ光の透過性の優れる層は、例えばシリコーン系樹脂やフッ素系樹脂からなる層である。これらの層は、抵抗値調整の期間に光透過性が優れていれば足り、当該調整終了後に光透過性が劣ることとなっていてもよい。また当該「光透過性」は、その光が抵抗体1を変性し得る程度であれば足りる。従って多少の曇りが外観上観測されても「光透過性の優れる層」である場合がある。またかかる層は、光照射によってその層自身が変性するものであってもよい。
【0028】
上記「変性」は、熱収縮のように、状態が変化することである。一般に抵抗体1を構成する樹脂等が収縮すると、当該抵抗体1を構成する導電物質が密な状態となり、当該抵抗体1の比抵抗値が低下する。例えばアモルファスカーボン等の炭素材の粉末をエポキシ系樹脂ペースト中に分散させたものを硬化した抵抗体1は、それを熱収縮することで導電物質である炭素材が密な状態となり、固定抵抗値が低下する。また「変性」には、抵抗体1を構成するガラス中に酸化ルテニウムが溶解することで、当該ガラスが導電性を帯び、抵抗体1全体として固有抵抗値が変化する「変性」をも含む。従ってこれらの「変性」の程度を調整することで、本発明に係る抵抗素子8の抵抗値調整が可能となる。
【0029】
上記「炭素材」は、黒鉛や、カーボンブラック等のアモルファスカーボンのように導電性の良好なものをいう。
【0030】
後述する「黒色」は、上記炭素材の粉末をエポキシ系樹脂ペースト中に分散させたものを硬化した抵抗体1が有する程度の色をいう。
【0031】
上記「光照射」が、レーザ照射であることが好ましい。ここでいうレーザには、YAGレーザ、エキシマレーザ等が含まれる。これらのレーザ光は、その照射領域を非常に小さい領域に絞ることができる。そのため非常に小さい抵抗素子8に対しても適切な抵抗値調整を実施できる利点がある。また複数の抵抗素子8が密集している状態でも、隣合う抵抗素子8への熱的影響を避けながら、特定の抵抗素子8に対して適切な抵抗値調整を実施できる利点がある。
【0032】
通常チップ抵抗器の製造過程では、抵抗素子8が基板7面上に複数存在する状態で抵抗値調整を実施する(例えば特公昭63−12366号公報)。また例えばパーソナルコンピュータ用ポインティングディバイスに用いられる応力センサは、通常4つの抵抗素子8が基板7面上に存在する(例えば特開2000−267803号公報、及び図4(b))。このような抵抗素子8の配置状態でも、隣合う抵抗素子8への熱的影響を避けることができる。
【0033】
また抵抗素子8が、基板7面上に複数存在する場合において、上記「抵抗体」が黒色であり、基板7が黒色以外の色であることが好ましい。黒色はレーザ光をはじめ全ての波長の光に対し高い吸収率を有し、吸収された光のエネルギーを熱に変える。抵抗体1を構成する樹脂が熱変性するものであれば、その熱により抵抗体1領域を集中的に変性させる一方で、隣合う抵抗素子8間の基板7面領域が加熱され難い状態とする。従って特定の抵抗体1に対して光照射した場合に生ずる熱を、隣合う抵抗体1に伝播させる等の影響を与えない構成とすることができる。ここでカーボンブラック等の炭素材粉末を、エポキシ系樹脂ペースト中に分散させたものを硬化した抵抗体1は、黒色である。
【0034】
上記第1〜第3の製造法によって得られた抵抗素子8は、チップ抵抗器や、CR部品、ネットワーク抵抗器、多連抵抗器等の複合部品に用いることができる。これらに用いる場合、従来のレーザートリミング等の溝形成の際に飛散していた抵抗体粉末を、レーザトリミング装置から定期的に取り除くメンテナンスの手間を要しない利点がある。特に複合部品は、前記抵抗体粉末が他の素子(抵抗素子、コンデンサ素子、インダクタ素子等)との導通の原因となり、製品不良を発生させていたため、大きな利点となる。同様の観点から、応力センサ用歪ゲージに上記第1〜第3の製造法によって得られた抵抗素子8を用いると、前記抵抗体粉末が応力センサ制御部に悪影響を与えることがない点も本発明の大きな利点となる。
【0035】
また、抵抗素子8の小形化要求が近年高まっている。抵抗素子8が小さくなれば、従来のように溝を形成するレーザトリミングが、その位置精度等の適正化の困難性のため、不可能又は困難となる。従って、概ね1.6mm×0.8mm角のチップ抵抗器用抵抗素子8相当の大きさと同程度若しくはそれを下回る大きさである場合、上記第1〜第3の製造法の適用は特に有効となる。例えば、対となる電極2間距離が1mm以下、更には0.5mm以下の小さい抵抗素子8である。特にそのような小さい抵抗素子8に対しては、従来のようにトリミング用の溝を形成すること自体困難となってきている。レーザービーム径を狭く絞ることが困難だからである。このような観点からも、外形の小さい抵抗素子8への上記第1〜第3の製造法の適用は有効である。
【0036】
また、トリミング用の溝を形成するために要するエネルギーは、抵抗体1を変性等させるために要するエネルギーに比してはるかに大きいのが通常である。例えばレーザ照射によるトリミングでは、トリミング用の溝を形成するか否かにより、必要なレーザ出力が大きく違う。このようなエネルギー節減の観点からも、上記第1〜第3の製造法の適用が有利である。
【0037】
また従来の抵抗素子8は、上記溝の存在に起因する抵抗素子8の電気特性の安定性低下は不可避である。その点上記本発明の抵抗素子8の製造法によれば、抵抗体1に溝を形成しないため、極めて安定な電気特性の抵抗素子8を得ることができる。これは後述する、抵抗素子8を歪ゲージとして用いる電子機器操作用応力センサへ使用した場合に特にその利点を発揮できる。歪ゲージは、抵抗素子8を変形させたときの抵抗値変化を測定して使用するものであるところ、抵抗体1の溝の有無は、その変形による抵抗値安定出力の可否に大きく影響するためである。抵抗体1の溝が無い方が抵抗値を安定出力できることは言うまでもない。
【0038】
また、抵抗体1の溝の終端部は構造的に不安定である上に、当該終端部には電流が集中しやすいことが知られている。かかる電流の集中により、検出される抵抗値が不安定になるばかりでなく、電気的なノイズを発生させる場合がある。その点上記第1〜第3の製造法による抵抗素子8は、抵抗体1に溝を形成しないため、そのような抵抗値の不安定、ノイズの発生を引き起こすことがない利点がある。これも後述する、抵抗素子8を歪ゲージとして用いる電子機器操作用応力センサへ使用した場合に特にその利点を発揮できる。当該ノイズが、応力センサと隣接する他の電子機器構成部品に影響を与えないとも限らないためである。
【0039】
第1〜第3の抵抗素子の製造法によって得られた抵抗素子8が配される基板7は、抵抗体1を硬化・焼成する際の温度に耐え得るものを選択すべきである。例えば樹脂系の抵抗ペーストを用いる場合はガラス繊維混入エポキシ系樹脂成形体、即ち一般の印刷回路基板等を用いることができる。またガラスフリットを含む抵抗ペーストを用いる場合は、比較的加熱温度の高い焼成工程を経ることとなるため、セラミック製等の耐高温特性を有する基板を用いることが望ましい。
【0040】
また上記のように、上記樹脂系の抵抗ペーストを用いる場合(前者)は、抵抗体1を変性するために必要な熱量が、上記ガラスフリットを用いる場合(後者)に比して小さくて足りる。従って本発明にかかるトリミング工程を経た後の抵抗値変化、いわゆる「ドリフト」の程度は、前者は後者に比して小さい利点がある。後者の場合、一旦高温領域まで達した後に常温に戻るまでの時間が長いこと、及び通常当該高温流域で変性した抵抗体1が常温で性状安定化するのに多くの時間を要すると考えられることによる。
【0041】
(本発明の電子機器操作用応力センサ)
本発明の電子機器操作用応力センサは、上記第1〜第3の抵抗素子の製造法によって得られた抵抗素子8を歪ゲージとして用いることを特徴とするものである。かかる歪ゲージは、従来(特開2000−267803号公報等)のように歪ゲージにトリミング用の溝を形成することがないため、上述したクラックの発生がなく、歪ゲージの特性値(抵抗値)の不安定化をもたらすことがない。
【0042】
また一つの応力センサに複数の歪ゲージを用いる場合であって、歪ゲージにトリミング用の溝を形成する場合には、当該溝を含む歪ゲージ形状は、通常その歪ゲージの中心を対称の中心とする実質的な点対称とする。付与される応力の角度誤差を無視できる程度にするためである。しかしながらトリミング用の溝は、抵抗素子の形成状態により必要な長さが異なり、当該溝形成前には必要な溝長さを予想するのが非常に困難である。その点上記第1〜第3の抵抗素子の製造法によって得られた抵抗素子8を、歪ゲージとして用いることによりかかる困難性は回避できる。
【0043】
また従来(特開2000−163214号公報)のように歪ゲージ特性値(抵抗値)を調整するためだけに必要なトリミング用抵抗素子が不要となるため、応力センサ構成部品点数の低減に資する。
【0044】
更に上記トリミング用抵抗素子は、歪ゲージとしての抵抗素子8と通常直列接続される。そして応力センサ制御手段は、両方の(一組の)抵抗素子8の抵抗値の和を一つの歪ゲージとみなして当該制御手段が機能するのが通常である。例えば前記一組の抵抗素子8が、後述する図5における各々の抵抗素子8とみなされることとなる。そのような場合、歪ゲージとしての抵抗素子8の抵抗値変化量が、トリミング用抵抗素子の存在により小さくみなされる。前記一組の抵抗素子8の抵抗値変化には、抵抗値変化しないトリミング用抵抗素子の抵抗値をも考慮されるためである。
【0045】
ここで、トリミング用抵抗素子の抵抗値をR0、歪ゲージとしての抵抗素子8の抵抗値をR1(変化前)及びR2(変化後)とすると、抵抗値変化率Pは、次式で求められる。
次に本発明の上記第1〜第3の抵抗素子の製造法により、トリミング用抵抗素子が不要となった場合の抵抗値変化率Pは、次式で求められる。
P=(R2−R1)/R1
このように抵抗値変化が小さくみなされることは、電子機器操作用応力センサの出力値が小さくみなされるのと同義である。従ってかかる出力値増大のためにも、本発明の上記第1〜第3の抵抗素子の製造法により、トリミング用抵抗素子を不要とすることが好ましいことがわかる。
【0046】
また上述したガラス繊維混入エポキシ系樹脂成形体は、本発明の電子機器操作用応力センサ用基板7として好適に使用できる。電子機器の操作特有の、繰り返し且つ頻繁の応力付与・応力解除の使用法によっても歪ゲージとしての抵抗素子8特性を劣化させないためには、基板7は、抵抗素子8を変形させることのできる程度の柔軟性と、繰り返しの当該変形によっても抵抗素子8を塑性変形させない程度の剛性とを併せ持つのが好ましい。前記塑性変形とは、可逆性を失った変形である。塑性変形した抵抗素子8は、誤った歪ゲージ特性値を出力するためである。前記ガラス繊維混入エポキシ系樹脂成形体は、前記柔軟性及び前記剛性とを併せ持つ材料である。
【0047】
一般的に応力センサは、上記電気信号を検知、演算等する制御部があってはじめて応力センサとして機能する。しかし本明細書では前記制御部を除いた部分について便宜上「応力センサ」と称することとする。
【0048】
【発明の実施の形態】
(第1及び第3の製造法の実施の形態)
上記第1の抵抗素子の製造法によって得られた抵抗素子8を歪ゲージとした応力センサを例に、本発明の実施の形態の一例を図1、図3及び図4を参照しながら以下に示す。
【0049】
ガラス繊維混入エポキシ系樹脂を主成分とする厚み0.8mmの積層板片面に、厚み約18μmの導体層としての銅箔が配された、大型の銅張積層板を用意する。当該大型の銅張積層板は、外形が略正方形の基板7を1単位として、それが縦横に多数連なったものである。当該銅張り積層板へのパターニングは、公知のドライフィルムレジストによるフォトエッチング法により、表面の導体層を一部除去することによる。その残部として配線5、及び抵抗素子用電極2、並びに基板端子部11を得る。基板7は、その表面が緑色である。
【0050】
次いで得られた大型の銅張積層板に対し、上記1単位の基板7各々の四隅等を打抜き加工して穴9及び支持用穴12を形成する。
【0051】
その後導電性部材としての炭素材(アモルファスカーボン)粉末と、非導電性部材であるエポキシ系樹脂ペーストの混合物としての抵抗体ペーストを、スクリーン印刷により一対の抵抗素子用電極2間に形成・加熱硬化させて抵抗体1とする。更に抵抗体1を保護するため、シリコーン系樹脂ペーストをスクリーン印刷し、その後当該ペーストを加熱硬化して保護膜を形成する。当該保護膜13は、抵抗体1よりも光透過性の優れる層となった。
【0052】
そして各抵抗素子8の抵抗値調整を行う。保護膜表面の温度が100〜200℃となるよう表面温度計で測定しながらレーザ出力を調整し、またビーム径が抵抗素子8大きさの5〜20%の大きさとなるよう調整する。更に図1に示すように、レーザ照射位置を変化、すなわち走査させる。当該レーザ照射による加熱領域軌跡3は、蛇行の形状とした。レーザ照射中の当該抵抗素子8の抵抗値測定は、図4(b)に示す基板端子部11を通じて行われる。その測定値が所望の抵抗値の+2〜10%の値を示したら、レーザ照射を停止させる。これは、レーザ照射停止後の残留熱により若干抵抗値が下がることを考慮したものである。以上が本発明の抵抗素子の製造法の一例である。このような製造法によっては、抵抗体1の溝形成等といった過度な抵抗体1の損傷がないため、上述したクラックは観測されなかった。
【0053】
そして図4に示すように、各々の1単位の基板7について、アルミナセラミックを成形した、底面の輪郭が正方形のポスト6を、その底面が基板7の抵抗素子8が配された面とは逆の面に当接するよう、且つその底面の中心が各1単位の基板7の中心と実質的に一致するようエポキシ系接着剤で固定する。これで本発明の電子機器操作用応力センサの集合体が得られる。
【0054】
次いで大型の基板を各1単位の基板7となるよう、大型の基板面に縦横に多数設けられた分割用ライン(可視のラインでも不可視のラインでもよい)に沿ってディスクカッターにより切断・分割し、個々の応力センサとする。本例のようにポスト6を分割前に固定することにより、作業性が良好になる。その理由は、個々の応力センサに分割した後にポスト6を各々の応力センサを有する基板7に取付ける作業は、大型の基板に対する作業に比して取扱い性、ハンドリング性に劣り、煩雑なためである。またこの理由は、抵抗素子8の抵抗値調整後に個々の応力センサとした理由と同一である。
【0055】
大型の基板がアルミナ等のセラミック製である場合には、縦横に多数の分割溝を予め形成してある大型の基板を用いることが好ましい。その理由はディスクカッターを用いなくとも、当該分割溝を開くように手等で力を加えることで、容易に分割作業ができるためである。
【0056】
(第2及び第3の製造法の実施の形態)
パーソナルコンピュータのポインティングディバイス用応力センサの歪ゲージとして、本発明の実施の形態の一例を図2、図3及び図4を参照しながら以下に示す。
【0057】
保護膜13を得るまでの過程、及びその後の抵抗値調整工程より後の過程は上記第1及び第3の製造法の実施の形態と同一の作製条件とした。以下に抵抗値調整工程について説明する。
【0058】
各抵抗素子8の抵抗値調整を行う。保護膜13表面の温度が100〜200℃となるよう表面温度計で測定しながらレーザ出力を調整し、またビーム径が抵抗素子8大きさの5〜20%の大きさとなるよう調整する。更に図3(a)に示すように、レーザ照射領域14を抵抗体1の略中心に固定する。隣合う抵抗体1への熱的影響付与抑制を考慮したものである。レーザ照射中の当該抵抗素子8の抵抗値測定は、図4(b)に示す基板端子部11を通じて行われる。その測定値が所望の抵抗値の+2〜10%の値を示したら、レーザ照射を停止させる。これは、レーザ照射停止後の残留熱により若干抵抗値が下がることを考慮したものである。以上が本発明の抵抗素子8の製造法の一例である。このような製造法によっては、抵抗体1の溝形成等といった過度な抵抗体1の損傷がないため、抵抗体1強度の低下はなかった。
【0059】
本例の抵抗素子の製造法(第1〜第3の製造法をいう。以下同じ。)では、抵抗体1の保護膜13を設けたが、不必要な場合には要しない。その場合の本発明の抵抗素子8の製造法は、対となる電極2に跨り、光照射により変性する樹脂を有する抵抗体1を形成する第1の工程と、光照射により当該抵抗体1を変性させることで、抵抗値調整を実施する第3の工程とを有し、第1と第3の工程とをこの順に実施することを特徴とするものである。かかる製造法は、第3の製造法にかかる発明と同等の効果を有することは言うまでもない。この場合、第2の工程を有さない点で、製造工程の簡略化を図ることができる利点がある。
【0060】
本例の応力センサ(第1〜第3の製造法によるもの。以下同じ。)は、例えば支持用穴12を介して電子機器の筐体等に応力センサを固定させて使用する。すると固定状態では穴9の外側の基板3周縁部は、ポスト5に応力を付与した場合でも殆ど変形しない非変形部となり、穴9の内側はポスト5に応力を付与すと変形し、抵抗素子8を伸張、収縮させる変形部となる。図6に応力センサのポスト6に対し、任意の横方向(x、y方向)に応力を付与した場合の当該変形部の動作の概要を示している。当該変形部の変形によって歪ゲージである抵抗素子8が刺激を受け、伸張・収縮しているのがわかる。この抵抗素子8の抵抗値変化のアンバランスから、後述する応力センサの構成によって応力の大きさと方向が把握でき、例えばパーソナルコンピュータのポインティングディバイスとしての使用が可能となることがわかる。
【0061】
図4では、配線5と基板端子部11との電気接続の様子の描画を省略し、示していないが、図5には本例の応力センサにおける、電気信号入出力の状態の概要を示している。即ち、図5により図4の省略部分が補われている関係にある。前記1単位の基板7につき四つの抵抗素子8がブリッジ回路を構成している。このブリッジ回路の電圧印加端子(Vcc)−(GND)間には所定の電圧が印加されている。また同図左側の抵抗素子2及びY端子(Yout)によりY軸方向の応力センサが構成され、更に同図右側の抵抗素子2及びX端子(Xout)によりX軸方向の応力センサが構成される。
【0062】
ここで筐体に応力センサが固定された状態で、応力センサ下面に空隙が存在する場合、ポスト6を下向き(Z方向)に応力付与したことを検知させることが可能となる。その理由は、前記下向きに応力付与することにより、歪ゲージである4つの抵抗素子8全てを伸張させ、各々の抵抗値を略同程度にまで大きくすることができるためである。このような電気特性は、横方向(X方向、Y方向)に応力を付与した場合と異なる電気的特性であり、それらとは区別できる。
【0063】
本例の応力センサにおいて、下向き(Z方向)への応力付与に何らかの機能を付与することにより、多機能化が図れる。例えばコンピュータのポインティングディバイスとして本発明の応力センサを使用した場合、いわゆるマウスをクリックする機能を前記下向きへの応力付与に対応させることができる。また、例えばいわゆる携帯電話等の小型携帯機器用の多機能・多方向スイッチとして本発明の応力センサを使用した場合には、所定時間下向きへの応力付与をしたときに当該携帯機器の電源のオン・オフの命令に対応させる等が可能となる。
【0064】
本例の応力センサでは、基板7表面の導体層である銅箔の一部を除去処理するために、ドライフィルムレジストによるフォトエッチング法を採用したが、それに代えてフォトレジストを電気泳動で法着ける、いわゆるED(ElectroDeposition)法を採用可能である。また図4における配線5及び抵抗素子用電極2を形成する手段として、基板7表面の導体層の一部を除去処理するのではなく、基板7表面に無電解めっきで銅を成長させてパターニングする、いわゆるアディティブ法を採用できることは言うまでもない。
【0065】
また本例の応力センサでは、抵抗体1表面を樹脂製の保護膜13で覆った後に加熱による抵抗値調整を実施したが、当該保護膜13形成前に実施してもよい。あくまで抵抗体1を過熱することができれば抵抗値調整は可能だからである。但し、抵抗値調整をした後に当該抵抗素子8を加熱する工程があると、その工程を経ることにより抵抗素子8の抵抗値が若干変化し得るおそれがある。例えば保護膜13を硬化する際の加熱等によっても抵抗素子8の抵抗値が若干変化し得ると考えられる。従って後工程に加熱の工程がない段階で抵抗値調整を実施するのが好ましい。その意味で本例では、ポスト6を基板7面に搭載し、両者をエポキシ系接着剤で固定する際に加熱するのであれば、その後に抵抗値調整を実施するのが最も好ましい。但し、この抵抗値の若干の変化が、抵抗素子8の使用条件にとって何ら悪影響を及ぼさない場合には、特にこれらを考慮する必要はなく、工程設計上最も妥当な段階で抵抗値調整をするべきである。
【0066】
また本例の応力センサでは、従来のようにトリム用抵抗素子を必要としないため、基板7面のパターニングを非常に単純なものとすることができる。そのため基板7の片面のみをパターニングすれば足りる利点がある。仮にトリム用抵抗素子を歪ゲージとは反対側の基板7面に配するような設計を強いられる場合には、基板7の両面を電気的に接続するためのスルーホールの形成、それに伴うスルーホール内壁面への導電性付与のための無電解めっき工程を要する等、製造が煩雑となる。本発明はその煩雑さを避けることができる効果をも有している。
【0067】
また本例における抵抗値調整のための諸条件、例えば上述した保護膜表面の温度、ビーム径、並びにレーザ照射停止の指標となる、所望の抵抗値に対する測定抵抗値の比の値等については、各々の抵抗素子構成部材の違いや製造条件の違い、当初の抵抗素子8の形成状態のばらつきの大小により適宜設定を変更するものであるため、上述した値に限定されることがないことは言うまでもない。例えばレーザ照射を停止させる際の測定抵抗値を、所望の抵抗値に一致させることもできる。
【0068】
また本例の応力センサでは、抵抗体1の導電性部材を炭素材粉末としたが、これに限定されないことは言うまでもない。比較的安定な金属粉末である銀や、銀とパラジウムとの合金粉末等を用いることができる。また抵抗体1の非導電性部材であるエポキシ系樹脂に代えて他の樹脂、例えばアクリル系樹脂等を用いることができることは言うまでもない。
【0069】
【発明の効果】
本発明により、従来トリミングの過程でのクラックの発生を防止できる抵抗素子の製造法を提供することができた。また、従来要していたトリミング抵抗を必要としない応力センサを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抵抗素子の製造法の様子を示す図である。
【図2】本発明の抵抗素子の製造法の様子を示す図である。
【図3】本発明に係る抵抗素子を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図4】本発明の応力センサの実施の形態を示す図であり、(a)は側面図、(b)は下面図、(c)は上面図である。(b)において、配線5から基板端子部11、までの電気接続の様子の描画を省略している。
【図5】本発明の応力センサを構成する抵抗素子の電気接続状態を示す図である。
【図6】本発明の応力センサの動作状態を示す図である。
【符号の説明】
1.抵抗体
2.電極
3.加熱領域軌跡
4.加熱領域
5.配線
6.ポスト
7.基板
8.抵抗素子
9.穴
11.基板端子部
12.支持用穴
13.保護膜
14.照射領域
Claims (9)
- 抵抗体に溝を形成することなく、抵抗体領域を走査しながら加熱して所望の抵抗値とする、抵抗値調整過程を経ることを特徴とする抵抗素子の製造法。
- 抵抗体領域の全域又は一部をレーザ照射加熱領域とし、且つレーザ照射時間及び/又はレーザ出力値を調整することで抵抗体に溝を形成することなく所望の抵抗値とする、抵抗値調整過程を経ることを特徴とする抵抗素子の製造法。
- 対となる電極に跨り、光照射により変性する材料を有する抵抗体を形成する第1の工程と、光照射により当該抵抗体を変性させることで、抵抗値調整を実施する第3の工程とを有し、第1と第3の工程とをこの順に実施することを特徴とする抵抗素子の製造法。
- 対となる電極に跨り、光照射により変性する樹脂を有する抵抗体を形成する第1の工程と、当該抵抗体よりも光透過性の優れる層を当該抵抗体上に形成する第2の工程と、当該層を透過する光照射により前記抵抗体を変性させることで、抵抗値調整を実施する第3の工程とを有し、第1〜第3の工程をこの順に実施することを特徴とする抵抗素子の製造法。
- 加熱手段がレーザ照射であることを特徴とする請求項1、3又は4記載の抵抗素子の製造法。
- 抵抗体が樹脂を主成分とする請求項1〜5のいずれかに記載の抵抗素子の製造法。
- 抵抗素子が、基板面上に複数存在することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の抵抗素子の製造法。
- 抵抗体が黒色であり、基板が黒色以外の色であることを特徴とする請求項7記載の抵抗素子の製造法。
- 請求項1〜8に記載した製造法により得られた抵抗素子を歪ゲージとして用いることを特徴とする電子機器操作用応力センサ。
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JP2003182390A JP2004363528A (ja) | 2002-07-19 | 2003-06-26 | 抵抗素子の製造法、並びに当該抵抗素子を用いた電子機器操作用応力センサ |
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Country | Link |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8115587B2 (en) | 2008-03-28 | 2012-02-14 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | NTC thermistor ceramic, method for producing NTC thermistor ceramic, and NTC thermistor |
CN107492427A (zh) * | 2017-07-06 | 2017-12-19 | 中国电子科技集团公司第四十研究所 | 一种薄膜电阻阻值调节装置及其调节方法 |
-
2003
- 2003-06-26 JP JP2003182390A patent/JP2004363528A/ja active Pending
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US8115587B2 (en) | 2008-03-28 | 2012-02-14 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | NTC thermistor ceramic, method for producing NTC thermistor ceramic, and NTC thermistor |
CN107492427A (zh) * | 2017-07-06 | 2017-12-19 | 中国电子科技集团公司第四十研究所 | 一种薄膜电阻阻值调节装置及其调节方法 |
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