JP3691842B1 - 応力センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁基板3面にポスト6が固着又は一体化され、当該ポスト6への応力付与に起因する複数の抵抗素子8への刺激による当該抵抗素子8の抵抗値変化から前記応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサにおいて、各抵抗体2形状のばらつきを抑制する。
【解決手段】抵抗素子8は、絶縁基板3面に配された対となる抵抗素子用電極間にスクリーン印刷法により形成される抵抗体2で構成され、当該抵抗素子用電極は、絶縁基板3の一の端に配される基板端子部5へ導体9により接続され、当該抵抗素子用電極及び、導体9及び印刷精度調整部材7は、絶縁基板3面から所定高さを有しており、当該複数の抵抗素子8全てについて、それらの、導体及び印刷精度調整部材7及び抵抗素子用電極の配置が、単一の抵抗体2の三方以上を取り囲み、当該抵抗体2がカーボン・レジン系の抵抗体であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は抵抗素子に関し、またその適用分野としての、例えばパーソナルコンピュータ用ポインティングディバイスや、各種電子機器用多機能・多方向スイッチ等に用いることができる応力センサに関するものである。
絶縁基板面にポストが固着又は一体化され、当該ポストへの応力付与に起因する複数の抵抗素子への刺激による当該抵抗素子の抵抗値変化から前記応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサについては、特開2000−267803号公報にその開示がある。ここで開示されている歪ゲージである抵抗素子の形成は、当該抵抗素子の全ての構成要素をセラミック基板面上へスクリーン印刷することによる。
その構造は図15に示すように、抵抗素子22が、絶縁基板20面中心を交点とする絶縁基板20面に沿った直交する二直線上に、且つ当該交点から実質的に等距離位置に4つ配され、絶縁基板20面中心と底面輪郭が正方形であるポスト30の底面の中心とが実質的に一致するよう、且つポスト30底面の輪郭の各辺が各々の抵抗素子22と対向するよう固着されている。また基板端子部24は絶縁基板20の全周に亘り略一定間隔をもって端部に配されている。また抵抗素子22と接続される導体(電極)及び基板端子部24は絶縁基板20面にスクリーン印刷法により形成されているため、それらは絶縁基板20面から一定(所定)の高さを有している。
近年、抵抗素子の全ての構成要素が、セラミック基板面上へスクリーン印刷することにより得られる形態の応力センサに加え、表面の導体層の一部を除去処理し、その残部として得られる導体を有する絶縁基板を用いた応力センサの開発が進められている。このような絶縁基板における導体は、スクリーン印刷技術等の厚膜技術に比べファインパターン化が容易である上に、製造コストが低い利点を有しているためである。
特開2000−267803号公報
しかしながら、応力センサ用絶縁基板が、表面の導体層の一部を除去処理し、その残部として得られる導体を有する絶縁基板であり、応力センサが当該導体9の一部を電極とし、当該絶縁基板面上の一対の前記電極間に膜形成される抵抗体からなる抵抗素子を歪ゲージとしている場合、上記従来の技術にはない問題点がある。
その問題は、抵抗素子を構成する電極(導体)が従来はスクリーン印刷技術により形成されていたのに対し、当該導体は表面の導体層の一部を除去処理し、その残部として形成される違いに起因して発生する。
上記違いの概要を図7に示す。図7(a)は、絶縁絶縁基板3表面の導体層の一部を除去処理して得た導体(回路パターン電極1)を電極とした抵抗素子8の断面概要図である。また図7(b)は厚膜技術であるスクリーン印刷により得た導体(抵抗素子用電極(以下、厚膜電極と記す。))を用いた抵抗素子8の断面概要図である。
図7(a)の導体高さは、当初に絶縁基板3面に配される銅などからなる導体層の厚みに略依存する。通常この厚みは18〜36μm程度である。更に絶縁基板3がスルーホール内導電物質をめっきにより形成し、それを介して絶縁基板3両面の導体9同士を導通する、いわゆる両面基板については、当該めっきにより導体9に更に導電物質が付着し、その高さを更に40〜70μm程度にまで高くする場合もある。それに対し図7(b)の厚膜電極13の厚みは、ある程度任意に設定可能であり、通常10μm程度に設定されている。
また回路パターン電極1と厚膜電極13との断面形状の相違について述べる。回路パターン電極1はその断面形状が長方形に近似しており、回路パターン電極1が絶縁基板3面から略垂直な面を有していることが把握できる(図7(a))。それに対し厚膜電極13の断面形状は、絶縁基板3面に対し斜め成分を主とする曲線からなり、厚膜電極13が主として絶縁基板3面に対しなだらかな面よりなることが把握できる(図7(b))。
これら回路パターン電極1と厚膜電極13との相違により、回路パターン電極1を電極とした抵抗素子8(図7(a))は、厚膜電極13を電極とした抵抗素子8(図7(b))に比べて抵抗値ばらつきが大きくなる。前者が抵抗体2の形状を均一化するのが困難だからである。抵抗値ばらつきが大きいと所望の抵抗値にまで調整する、いわゆるトリミング工程の際に過剰に長いトリミング溝を形成することを余儀なくされる抵抗素子8と、トリミング溝を殆ど形成する必要の無い抵抗素子8とが混在することとなる。抵抗値が同じであっても、このようにトリミング溝長さが極端に異なると、周囲環境、特に周囲温度による抵抗値安定性を得ることができない。つまり公称の抵抗値が同一であっても、抵抗値以外の緒特性のばらつきの大きな抵抗素子8を作製することとなる。また歪ゲージとしてトリミング溝を有する抵抗素子8を用いる応力センサにあっては、トリミング溝周辺の微細なクラックが長期間の使用により広がり、初期の抵抗値を維持できなくなる場合もある。
このように回路パターン電極1を用いた場合が、厚膜電極13を用いた場合に比して電極間にスクリーン印刷技術等の厚膜技術により厚膜形成される抵抗体2の形状が安定しにくくなる理由は、2つあると考えられる。
第1の理由は、前述のように回路パターン電極1高さが高いことである。スクリーン印刷法により抵抗体2膜を形成する場合を例にとると、マスク(スクリーン)を通過して略一定量のペースト状抵抗体が一対の回路パターン電極1間に配されることとなる。すると周囲温度やペースト温度、スクリーン印刷後にそれを焼成又は硬化させて抵抗体2の形状が固定するまでの放置時間等の要因によって、固定された抵抗体2の形状が異なってくる。例えば周囲温度が高い等の理由で、ペースト粘度が低い場合には一対の回路パターン電極1間の抵抗体2上面が略平坦になり、比較的安定した形状となる。それに対しペーストが、粘度の高い状態で一対の回路パターン電極1間に配されると、配された当初の形状をある程度保ちながら焼成・硬化により固化される。この傾向は、抵抗体ペーストが熱硬化性樹脂を含んでいると顕著になると考えられる。加熱によってもペースト粘度の低下が起こりにくいと考えられるためである。ここで回路パターン電極1高さが高いと、当該回路パターン1周辺が抵抗ペースト粘度が高い場合のペーストの易流動領域となる。回路パターン電極1頂面付近のペーストが、自重により高所から低所へと移動するためである。
またスクリーン印刷法により抵抗体2膜を形成する場合において、回路パターン電極1高さが過剰に高いと、スキージによりペースト状抵抗体をマスク通過させる際に、該スキージが回路パターン電極1にぶつかりやすくなる。すると該スキージはスムーズでない動きでペースト状抵抗体をマスク通過させることとなり、マスクを通過するペースト状抵抗体量をばらつかせ、更にはペースト状抵抗体を配する位置のずれを起こし、回路パターン電極1間に膜形成される抵抗体2の形状が安定しにくくなる現象に拍車をかける。
第2の理由は、回路パターン電極1が絶縁基板3面から略垂直な面を有していることである。前記略垂直な面上に存在する抵抗体2膜厚は、それを一定値に制御することが極めて困難である。その理由は前述したように、回路パターン電極1頂面付近のペーストが自重により高所から低所に移動するに際し、前記略垂直な面に沿っての移動のされ方は、予想が困難だからである。この第2の理由は前記略垂直な面を有するのみではなく、1つ目の理由に付随することにより抵抗体2の形状が安定しにくくなることとなる。つまり回路パターン電極1高さが低い場合は、前述した回路パターン電極1頂面付近のペーストが、自重により高所から低所へと移動する距離が短く、前記略垂直な面から垂直方向の抵抗体2厚みの違いによる抵抗素子の抵抗値のばらつきは殆ど無視できるためである。
この第2の理由は、スクリーン印刷等の厚膜技術による抵抗体2膜形成に限らず、例えばスパッタリング等の薄膜技術による抵抗体2膜形成による抵抗素子8についてもあてはまる。例えば回路パターン電極1高さが高く、且つ略垂直な面を有している状態でスパッタリング操作をすると、その略垂直面に付着する抵抗体2膜厚みを一定値に制御することは困難なためである。つまり薄膜技術による抵抗体2膜形成においても抵抗体2形状を一定にするのは困難で、抵抗値のばらつきが生じやすい。
このようなことから、本発明が解決しようとする課題は、絶縁基板表面の導体層の一部を除去処理し、その残部として得られる導体の一部を電極とし、当該絶縁基板3面上の一対の前記電極間に膜形成される抵抗体を有する抵抗素子において、その抵抗値ばらつきを低減し、また当該抵抗素子を用いた応力センサを提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の応力センサは、絶縁基板3面にポスト6が固着又は一体化され、当該ポスト6への応力付与に起因する複数の抵抗素子8への刺激による当該抵抗素子8の抵抗値変化から前記応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサにおいて、当該抵抗素子8は、絶縁基板3面に配された対となる抵抗素子用電極間にスクリーン印刷法により形成される抵抗体2で構成され、当該抵抗素子用電極は、絶縁基板3の一の端に配される基板端子部5へ導体9により接続され、当該抵抗素子用電極及び導体9は、絶縁基板3面から所定高さを有しており、当該複数の抵抗素子8の一部又は全部について、それらの、抵抗素子用電極及び導体9の配置が、単一の抵抗体2の三方以上を取り囲み、当該抵抗体2がカーボン・レジン系の抵抗体であることを特徴とする。
ここで上記複数の抵抗素子8の一部について、それらの、抵抗素子用電極及び導体9の配置が、単一の抵抗体2の三方以上を取り囲み、且つ、当該複数の抵抗素子8の別の一部について、それらの、抵抗素子用電極及び印刷精度調整部材7の配置が、単一の抵抗体2の三方以上を取り囲み、抵抗素子用電極、導体9及び印刷精度調整部材7は、絶縁基板3面から所定高さを有していることとすることができる
図1を主に参照しながら、以下に本発明の第1a〜第1dの構成の応力センサについて述べる。上記課題を解決するため、本発明の第1aの構成の応力センサは、絶縁基板3面にポスト6が固着又は一体化され、当該ポスト6への応力付与に起因する複数の抵抗素子8への刺激による当該抵抗素子8の抵抗値変化から前記応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサであって、当該抵抗素子8は、絶縁基板3面に配された対となる抵抗素子用電極(回路パターン電極1)間にスクリーン印刷法により形成される抵抗体2で構成され、当該抵抗素子用電極は、絶縁基板3の一の端に配される基板端子部5へ導体9により接続され、当該抵抗素子用電極及び導体9は、絶縁基板3面から所定高さを有しており、当該複数の抵抗素子8全てについて、その付近の導体9及び抵抗素子用電極の配置が、同一又は類似であることを特徴とする。
また上記課題を解決するため、本発明の応力センサの第1bの構成は、絶縁基板3面にポスト6が固着又は一体化され、当該ポスト6への応力付与に起因する複数の抵抗素子8への刺激による当該抵抗素子8の抵抗値変化から前記応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサであって、抵抗素子8は、絶縁基板3面に配された対となる抵抗素子用電極(回路パターン電極1)間にスクリーン印刷法により形成される抵抗体2で構成され、当該抵抗素子用電極は、絶縁基板3の一の端に配される基板端子部5へ導体9により接続され、当該抵抗素子用電極及び導体9若しくは印刷精度調整部材7は、絶縁基板3面から所定高さを有しており、当該複数の抵抗素子全てについて、それら付近の導体9及び抵抗素子用電極若しくは印刷精度調整部材7の配置が、同一又は類似であることを特徴とする。
上記本発明の第1a、1bの構成を備えることにより、つまり複数の抵抗素子全てについて、その付近の導体9及び抵抗素子用電極(回路パターン電極1)若しくは印刷精度調整部材7の配置が、同一又は類似であることにより、一つの応力センサを構成する絶縁基板3全体の導体9及び抵抗素子用電極若しくは印刷精度調整部材7がバランス良く配置されることとなる。そのため、抵抗体2をスクリーン印刷形成する際のスキージ動作や、抵抗体ペーストを絶縁基板3面の一対の回路パターン電極1間に吐出する際のスキージ形状を各抵抗体2毎に均一化することができる。従って一つの応力センサ内での各抵抗体2形状のばらつきを抑制することができ、本発明の課題を解決できる。尚、通常のスキージの材質はゴム系材料からなり、容易に且つ弾力的に形状変化する。またそれ故にペーストをスクリーン開口部を通過させることができるのである。
図2(a)はスクリーン印刷工程の様子を、スキージの移動方向と直交する側面方向から観察した側面図として示している。図2(a)と同時期を、スクリーンと絶縁基板3との隙間から、且つ観察する角度を絶縁基板3面に沿って90°回転させて観察したのが図2(b)である。図2(b)において、右側の一対の抵抗素子用電極である回路パターン電極1と左側の一対の回路パターン電極1とを比較すると、前者の周囲には導体9や印刷精度調整部材7が存在しないのに対し、後者の周囲にはそれらが存在している。従って前者の回路パターン電極1間と、後者の回路パターン電極1間とに抵抗体2をスクリーン印刷形成する際のスキージ動作や、抵抗体ペーストを絶縁基板3面に吐出する際のスキージ形状が異なってくるのは当然である。そこで上記本発明の第1a、1bの構成を採用することにより、回路パターン電極1周囲の導体9や印刷精度調整部材7の配置条件を均一化でき、前述した抵抗体2をスクリーン印刷形成する際のスキージ動作や、抵抗体ペーストを絶縁基板3面に吐出する際のスキージ形状を均一化することができるのである。
上記刺激とは、絶縁基板3の撓みに起因する、絶縁基板3に配された抵抗素子8の伸張、収縮や、ポスト6底面が絶縁基板3を介さずにする抵抗素子8の押圧、当該押圧解除等である。
一般的に応力センサは、上記抵抗値等の電気特性を検知、演算等する制御部があってはじめて応力センサとして機能する。しかし本明細書では、便宜上前記制御部を除いた部分について「応力センサ」と表現することとする。
また「ポスト6が絶縁基板3面に固着される」とは、ポスト6と絶縁基板3とがそれぞれ別の部材であり、両者が接着剤等で固定される状態を言う。また「ポスト6が絶縁基板3面と一体化される」とは、ポスト6と絶縁基板3とが一体成形等で形成された状態を言う。後者の場合、本明細書中で「ポスト6底面の輪郭」と表現する箇所があったときは、前者の場合における「ポスト6底面の輪郭」と対応する部分を指している。
上記抵抗素子用電極とは、抵抗体2と接触する電子伝導性を有する物質であり、多くの場合導体9の一部である。例えば回路パターン電極1をいう。
上記所定高さは、スクリーン印刷法等で導体9を厚膜形成した場合にあっては、数μm〜十数μmとなる。また、スパッタリング等で導体9を薄膜形成した場合にあっては数十nm程度となる。また、いわゆるサブストラクト法やアディティブ法等の通常の印刷回路板への導体9形成技術を採用した場合にあっては数μm〜数十μmとなる。また「所定」であるから、絶縁基板3面に埋設されるような形態は除外される。ここで、通常この「所定」高さは、「一定」高さである。即ち一つの応力センサ内での導体等の高さに大きなばらつきがないことを意味する。
ここでいう「一定」は、実質的な一定を意味し、厳密な一定を意味しない。例えばめっきによる付着量のばらつきは無視される。「一定」とすることの利点は、スクリーン印刷時のスキージ動作をよりスムーズにすることである。
また「一の端」の用語について、その表現から狭義に、絶縁基板3を構成する一辺のみと解されるおそれが無いよう、図6(a)〜(g)に絶縁基板3の一の端に基板端子部5が配された構成の要部を例示している。即ち「一の端」は、絶縁基板3全周縁のうちの比較的狭い領域を指している。
また上記「抵抗素子8全てについて、その付近」とあるが、その付近とは、スクリーン印刷法による抵抗体2形成により得られる抵抗体2形状に大きな影響を与える領域である。スクリーン印刷による抵抗体2形成の際に、応力センサ特性への影響が無視できる程度の些細な抵抗体2形状のばらつきを生じさせる領域はここでは含まれない。
また上記「類似」は、原則として応力センサ特性への影響が無視できる程度を基準に類否判断する。但し、合理的に対比すべき形状が近似していることを条件とする。例えば図1に示す、4つの抵抗素子8の付近の回路パターン電極1、又は印刷制度調整部材7及び抵抗体2の配置は全体として外観上類似している。
また上記印刷精度調整部材7とは、導体9及び抵抗素子用電極(回路パターン電極1)以外の部材であって、必要に応じて導体9及び抵抗素子用電極に付加して、抵抗体2をスクリーン印刷形成する際のスキージ動作や、抵抗体ペーストを絶縁基板3面に吐出する際のスキージ形状を各抵抗体2毎に均一化するために絶縁基板3面上に設ける部材である。その材質は導体、絶縁体であるを問わない。
また印刷精度調整部材7は、導体9及び抵抗素子用電極(回路パターン電極1)と同時形成することが、それらの高さを略一定にできる点、及び製造の容易化の点で好ましい。例えばこれら三者をスクリーン印刷により形成する場合は、一つの製版にこれら三者をパターニング(開口部形成)する。またいわゆるサブストラクト法によりこれら三者をパターニングする際も同様に1回のエッチング操作でこれら三者が得られるようにする。
また上記課題を解決するため、本発明の応力センサの第1cの構成は、絶縁基板3面にポスト6が固着又は一体化され、当該ポスト6への応力付与に起因する複数の抵抗素子への刺激による当該抵抗素子の抵抗値変化から前記応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサであって、抵抗素子は、絶縁基板3面に配された対となる抵抗素子用電極(回路パターン電極1)間にスクリーン印刷法により形成される抵抗体2で構成され、当該抵抗素子用電極は、絶縁基板3の一の端に配される基板端子部5へ導体9により接続され、当該抵抗素子用電極及び導体9若しくは印刷精度調整部材7は、絶縁基板3面から所定高さを有しており、当該複数の抵抗素子全てについて、それら付近の導体9及び抵抗素子用電極(回路パターン電極1)若しくは印刷精度調整部材7の配置が、抵抗体2周縁の三方以上を取り囲むようにされることを特徴とする。
上記本発明の第1cの構成が上記本発明の第1a、1bの構成と対比し特徴とする点は、後者が複数の抵抗素子全てについて、それら付近の導体9及び抵抗素子用電極(回路パターン電極1)若しくは印刷精度調整部材7の配置が、同一又は類似であるのに対し、前者が複数の抵抗素子8全てについて、それらの付近の導体9及び抵抗素子用電極(回路パターン電極1)若しくは印刷精度調整部材7の配置が、抵抗体2周縁の三方以上を取り囲むようにされる点である。他の点における用語の意味や各構成要素がもたらす作用等は共通している。また第1aや1bの構成と第1cの構成との併有を否定するものではないことは言うまでもない。例えば図1に示す4つの抵抗素子8は第1aの構成と第1bの構成と第1cの構成とを併有している。
上記「抵抗体2周縁」とは、スクリーン印刷法による抵抗体2形成により得られる抵抗体2形状に大きな影響を与える抵抗体端部付近、及びそれよりも外側の領域である。これは凡そ図1に示す抵抗体2と接触する抵抗素子用電極(回路パターン電極1)又はそれよりも外側、導体9や印刷精度調整部材7における抵抗体2と近接する部分の周辺等である。スクリーン印刷による抵抗体2形成の際に、応力センサ特性への影響が無視できる程度の些細な抵抗体2形状のばらつきを生じさせる領域はここでは含まれない。
抵抗体2をスクリーン印刷形成する際のスキージ動作や、抵抗体ペーストを絶縁基板3面に吐出する際のスキージ形状の各抵抗体2毎の均一化は、第1cの構成の採用によって達成可能である。その理由は、抵抗体2周縁の三方以上を導体9及び抵抗素子用電極(回路パターン電極1)若しくは印刷精度調整部材7で取り囲んでいるため、少なくとも抵抗体2が印刷される近辺では導体9及び抵抗素子用電極若しくは印刷精度調整部材7とスキージとの、スクリーンを介した接点が、多くの場合連続して多数存在しており、当該接点がスキージ動作や、抵抗体ペーストを絶縁基板3面に吐出する際のスキージ形状の各抵抗体2毎の均一化に寄与するためである。
また上記課題を解決するため、本発明の応力センサの第1dの構成は、絶縁基板3面にポスト6が固着又は一体化され、当該ポスト6への応力付与に起因する複数の抵抗素子8への刺激による当該抵抗素子の抵抗値変化から前記応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサであって、当該抵抗素子8は、絶縁基板3面に配された対となる抵抗素子用電極(回路パターン電極1)間にスクリーン印刷法により形成される抵抗体2で構成され、当該回路パターン電極1は、絶縁基板3の一の端に配される基板端子部5へ導体9により接続され、当該回路パターン電極1及び導体9若しくは印刷精度調整部材7は、絶縁基板3面から所定高さを有しており、当該複数の抵抗素子全てを断続的又は連続的に取り囲むよう、回路パターン電極1及び導体9若しくは印刷精度調整部材7が配されることを特徴とする。
上記本発明の第1dの構成が上記本発明の第1cの構成と対比し特徴とする点は、後者が複数の抵抗素子個々を取り囲む導体9及び抵抗素子用電極(回路パターン電極1)若しくは印刷精度調整部材7が存在するのに対し、前者は複数の抵抗素子をまとめて取り囲む導体9及び抵抗素子用電極若しくは印刷精度調整部材7が存在する点である。他の点における用語の意味や各構成要素がもたらす作用等は共通している。また第1aの構成及び/又は第1bの構成及び/又は第1cの構成と第1dの構成との併有を否定しないことは言うまでもない。むしろ両者の利点が加算されて、より好ましい。
これら第1a〜1dの構成において、応力センサの構成部材として、絶縁基板3面に金属箔を貼付し、その後当該金属箔の不要部分をエッチング処理し、抵抗素子用電極(回路パターン電極1)、導体9又は印刷精度調整部材7を得たものを用いることが好ましい。当該構成部材は、通常絶縁基板3面にスクリーン印刷やスパッタリング等の厚膜・薄膜技術により抵抗素子用電極、導体9又は印刷精度調整部材7を形成した場合に比べ、前述のように抵抗素子用電極、導体9又は印刷精度調整部材7の絶縁基板3面からの高さが高い。これは前記金属箔厚みに依存したり、スルーホール内壁への導電性物質形成のための無電解めっき工程により当該金属箔上に当該導電性物質が析出することによるためである。当該金属箔の厚みは現状9〜36μm程度であり、通常18μm程度のものが用いられている。これに前記無電解めっき工程が加わると、通常30〜50μmの回路パターン電極1、導体9又は印刷精度調整部材7高さとなる。このように抵抗素子用電極、導体9又は印刷精度調整部材7の絶縁基板3面からの高さが高いものについては、抵抗体2をスクリーン印刷形成する際のスキージ動作や、抵抗体ペーストを絶縁基板3面に吐出する際のスキージ形状の各抵抗体2毎の均一化が特に困難であり、本発明の適用が応力センサ特性向上に大きく寄与する。
この大きな寄与が得られるのは、概ね抵抗素子用電極(回路パターン電極1)、導体9又は印刷精度調整部材7の絶縁基板3面からの高さが10μm以上であり、また20μm以上の場合はより大きな寄与が得られ、30μm以上となると更に大きな寄与が得られる。
また上記課題を解決するため、本発明の応力センサの製造法は、絶縁基板3面にポスト6が固着又は一体化され、当該ポスト6への応力付与に起因する複数の抵抗素子8への刺激による当該抵抗素子8の抵抗値変化から前記応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサの製造法であって、当該抵抗素子用電極(回路パターン電極1)が、絶縁基板3の一の端に配される基板端子部5へ導体9により接続されるよう、回路パターン電極1、基板端子部5及び導体9を形成する第1の工程と、少なくとも当該回路パターン電極1を被覆しないように絶縁膜を絶縁基板3面に配する第2の工程と、絶縁基板3面に配された対となる回路パターン電極1間にスクリーン印刷法により抵抗体2を形成する第3の工程を有し、前記第1の工程、第2の工程及び第3の工程をこの順に実施することを特徴とする。
上記第1の工程は、アルミナ等の絶縁基板3面へ導体ペーストをスクリーン印刷すること、又はガラス繊維混入エポキシ樹脂の板状成形体面に銅箔を貼付し、導体9として残したい部分以外をエッチング処理にて除去する、いわゆるサブストラクト法、又はいわゆるアディティブ法やめっき法等で必要部分に導体9を析出形成する手法等にて実現される。
上記第2の工程は、後の第3の工程におけるスクリーン印刷法による抵抗体2形成の際のスキージ動作や、抵抗体ペーストを絶縁基板3面に吐出する際のスキージ形状を各抵抗体2毎に均一化させるため、抵抗素子用電極、基板端子部5及び導体9の絶縁基板3面からの高さを調節する工程である。即ち、前述のように抵抗素子用電極、導体9又は印刷精度調整部材7の絶縁基板3面からの高さが高い程、換言するとスクリーン印刷用スキージがスクリーンを介して当接する被印刷物面の凹凸差が大きい程、前述のスキージ動作等を均一化し難い。そこで当該凹凸差を小さくする、又は無くするために、絶縁基板3面を嵩上げして抵抗素子用電極や導体9高さに近づける、又は当該高さを超えて前記絶縁膜にて導体9を覆うのである。
応力センサが、ポスト6に付与された応力により絶縁基板3を撓ませ、それに伴って抵抗素子8が撓み、そのときの抵抗素子8の抵抗値変化を感知するものである場合、前記絶縁膜は、当該絶縁基板3よりも柔軟な材料であることが好ましい。絶縁膜が絶縁基板3よりも剛性の高い材料であると、前記絶縁基板3の撓みを阻害するおそれがあるためである。例えば絶縁基板3材料がガラス繊維混入のエポキシ樹脂成形体である場合には、シリコーン樹脂ペーストを硬化させたもの等が好適に使用可能である。この場合にあっては、例えば当該ペーストをスクリーン印刷等で絶縁基板3面及び当該絶縁基板3面に配されている導体9を覆うように配する。すると高所である導体9上のペーストが、低所である絶縁基板3面へ流れ、その後当該ペーストを加熱硬化することで絶縁膜が形成され、前記凹凸差を小さくする又は無くすることができる。このとき、抵抗素子用電極(回路パターン電極1)表面には前記ペーストが配されないように留意する。その理由は、後の工程で形成される抵抗体2との電気接続を妨げる物質を存在させないようにするためである。ここで言う抵抗素子用電極表面とは、当該電極頂面及び/又は側面である。従って当該電極頂面が露出していれば抵抗体2が配される電極間に絶縁膜が配されていても良い場合があることは言うまでもない。
ここで回路パターン電極1表面に前記ペーストを配しないための手段は、例えば、当該ペーストと回路パターン電極1との接触を妨げるためのマスキング処理、当該ペースト硬化後のマスク除去である。また、一旦回路パターン電極1表面に当該ペーストを被着硬化した後、当該回路パターン電極1表面を研削処理して、ペーストを除去する等である。
上記課題を解決する本発明の抵抗素子8の第1の構成は、表面の導体層の一部を除去処理し、その残部として得られるか、若しくはアディティブ法により得られる絶縁基板3面上の導体9の一部を電極(回路パターン電極1)とし、絶縁基板3面上の一対の回路パターン電極1間に膜形成される抵抗体2を有するものであって、前記一対の電極間距離(L)と電極高さ(h)の比L/hが30以上であることを特徴とする。
図9に上記電極間距離(L)及び上記電極高さ(h)の寸法測定位置を示した。比L/hを30以上とするための手段としては、電極高さ(h)を低くする手段や電極間距離(L)を長くする手段がある。またこれら手段の併用の手段があることは言うまでもない。
電極高さ(h)を低くする手段により、上記した第1の理由及び第2の理由に起因する、抵抗素子8の抵抗値ばらつきを低減することができる。また当該手段により、比L/hを30以上とすることで、表面の導体層の一部を除去処理し、その残部として得られるか、若しくはアディティブ法により得られる導体9の一部を電極(回路パターン電極1)とし、絶縁基板3面上の一対の前記電極間に膜形成される抵抗体2を有する抵抗素子8であっても、その抵抗値ばらつきを低減することができる。
ここで電極高さ(h)を低くする場合において、絶縁基板3面と回路パターン電極1頂面とが同一平面上にある構成や、絶縁基板3面よりも低い位置に回路パターン電極1頂面がある構成にあっては、hの値が0以下となり、比L/hが30以上とならなくなる。しかしながらこの場合にあっても上記第1の構成及び第2の構成と同等の効果が得られるため、本発明においてはhの値が0以下の場合も前記本発明の構成に含まれることとする。
また電極間距離(L)を長くする手段により、比L/hを30以上とすることで、上記した第1の理由及び第2の理由に起因する、回路パターン電極1付近における抵抗体2形状のばらつきが生じた場合であっても、抵抗値のばらつきが無視できる程度とすることができる。つまり、一対の回路パターン電極1間にある抵抗体2において、回路パターン電極1表面から沖合いにある、比較的形状に再現性のある抵抗体2存在比を高めることによって、抵抗素子8の抵抗値ばらつきを低減するのである。換言すれば抵抗値を決定する要因の中の、不安定な要因(回路パターン電極1近辺の抵抗体2)と安定な要因(回路パターン電極1表面から沖合いにある、比較的形状に再現性のある抵抗体2)との比において、安定な要因比を増加させることによって、抵抗素子8の抵抗値ばらつきを抑えるのである。
本発明の第1の構成の抵抗素子8において、比L/hを30以上とする技術的意味は、実験結果による。比L/hを約24とした場合には、抵抗素子8の抵抗値ばらつきが±17%の範囲(n=30)だった。そこで比L/hを約30とした場合には、抵抗素子8の抵抗値ばらつきが±9%の範囲(n=30)となり、その後比L/hを約40、約45、約50、約55、約60とすると、僅かながら抵抗値ばらつきが順に小さくなっていくが、概ね比L/hを約30とした場合と大きく差が広がらなかった。これが「比L/hを30以上」を誘導した過程・理由である。
上述した課題を解決するための本発明の第1の構成の抵抗素子の製造法は、絶縁基板3面上の導体9を得る第4の工程と、当該導体9の一部又は全部の高さを能動的に調整する第5の工程と、前記導体9の一部を電極とし、絶縁基板3面上の一対の前記電極間に抵抗体2を膜形成する第6の工程とを有し、これら第4〜6の工程をこの番号順に実施し、当該第5の工程において前記一対の電極間距離(L)と導体9高さ(h)の比L/hを30以上とするか、又は前記hの値を0以下とすることを特徴とする。
上記第4の工程は、前述したように絶縁基板3表面の導体9層を除去処理するか、若しくはアディティブ法により絶縁基板3面上の導体9層を得る工程等である。
上記第5の工程は、例えば絶縁基板3面のプレス工程による。これは一旦高く形成した回路パターン電極1を絶縁基板3内にめり込ませるか、回路パターン電極1自体を変形させて結果的に電極高さ(h)を低くなるよう調整し、比L/hを30以上とする工程である。ここでのプレス工程は、ローラープレスや、窪みの無い平板をダイとして用いる圧下によるプレス等での絶縁基板3面全体のプレス工程、又は回路パターン電極1に相当する部分のみのプレス工程等が含まれる。
また上記第5の工程は、例えば絶縁基板3面の研削又は酸処理工程としてもよい。この工程は紙やすり等での機械的な研削や、絶縁基板3を酸性溶液に浸漬して金属を溶解し、結果的に回路パターン電極1高さ(h)を低くなるよう調整し、比L/hを30以上とする工程である。この場合において、スルーホール内導電物質を介して絶縁基板3両面の導体9パターンが導通する部分を有する形態の絶縁基板3を用いる際には、該スルーホール内導電物質が過剰に溶解しないよう、スルーホール部をマスキングして酸性溶液に接しないようにすることが好ましい。
上記本発明の抵抗素子8の第1の構成において、スルーホール内導電物質を介して絶縁基板3両面の回路パターンが導通する部分を有し、絶縁基板3面の導体9の一部を回路パターン電極1とし、絶縁基板3面上の一対の前記電極間に膜形成される抵抗体2を有する場合、特に電極高さ(h)が高くなるおそれがあり、本発明の適用は好ましい。前記電極高さ(h)が高くなるおそれがある理由は、いわゆる両面配線基板製造過程では、絶縁基板3のスルーホール内壁に導電層を形成して両面の配線を導通させるために、無電解めっき工程を有し、その際に回路パターン電極1となる部分にも無電解めっき層が形成されるためである。
このようにめっき工程を含む場合の上記第5の工程は、絶縁基板3面上の一対の電極を被覆した上での絶縁基板3スルーホール内へのめっき処理工程としてもよい。そして電極高さ(h)を低く維持するよう調整し、比L/hを30以上とする。
本発明において、これら例示した第5の工程を2以上組合せてもよいことは言うまでもない。
また本発明の応力センサの第2の構成は、上述した全ての本発明の第1の構成の抵抗素子8を構成する絶縁基板3のどちらか一方の面にポスト6が固着又は一体化され、ポスト6への応力付与に起因する抵抗素子8の抵抗値変化により前記応力の方向と大きさとを把握することを特徴とする。
上記応力センサは、例えば図1や図8に示すように、抵抗素子8を構成する絶縁基板3面のセンサ有効領域の中心を交点とする、絶縁基板3面に沿った直交する二直線上、且つ当該交点から実質的に等距離位置に抵抗素子8が配され、ポスト6が絶縁基板3面中心とポスト6底面の中心とが実質的に一致するよう絶縁基板3面に固着又は一体化され、ポスト6への応力付与に起因する抵抗素子8の伸張、収縮又は圧縮による抵抗値変化から前記応力の方向と強さとを把握するものである。
図8に基いて更に本発明の応力センサの構成一例を説明する。絶縁基板3は、例えばガラス繊維が混入されたエポキシ樹脂の板からなる。絶縁基板3下面には四対の回路パターン電極1が設けられ、それぞれの電極間には抵抗体2が配されており、これらにより抵抗素子8が構成される。抵抗素子8は、絶縁基板3面中心を交点とする、絶縁基板3面に沿った直交する二直線上、且つ当該交点から実質的に等距離位置に配される。絶縁基板3上面には底面外形が略正方形のポスト6が接着剤等で固着されている。このときポスト6底面の中心と前記絶縁基板3面中心とが実質的に一致するようにする。
また絶縁基板3にはL字状の穴10が、L字の曲がり角部が絶縁基板3中心に向かうように設けられている。この穴10は、ポスト6へ付与された応力により絶縁基板3を撓み易くする役割、及び当該応力を各々の抵抗素子8に効率良く伝達する役割を有している。即ち穴10が無い状態でポスト6に応力を任意方向に付与すると、絶縁基板3の撓み量が十分でない場合がある上に、当該任意方向に付与された応力がその方向とは無関係な抵抗素子8にまで伝播するおそれがあるため、穴10が形成されているのが好ましい。
また各々の抵抗素子8と直列接続されるトリマブルチップ抵抗器11が絶縁基板3上面に配されている。絶縁基板3下面の抵抗素子8と絶縁基板3上面のトリマブルチップ抵抗器11とは、図示しない絶縁基板3スルーホール(バイアホール)を通じて電気接続される。トリマブルチップ抵抗器11は、各々の抵抗素子8の抵抗値を一定範囲に調整するのが困難な場合、トリマブルチップ抵抗器11をレーザトリマ等でトリミングして、抵抗素子8とトリマブルチップ抵抗器11との抵抗値の和を一定範囲に調整して用いる際に要する。その際の抵抗素子8とトリマブルチップ抵抗器11との電気接続状態は、例えば図4に示すようにする。応力センサからの電気信号は端子10を介して出力される。
支持用穴12は応力センサを電子機器等の筐体に固定する際に、その固定用として用いられる。その固定状態では穴10の外側の絶縁基板3周縁部は、ポスト6に応力を付与した場合でも殆ど変形しない非変形部となり、穴10の内側はポスト6に応力を付与すると変形し、抵抗素子8を伸張、収縮させる変形部となる。トリマブルチップ抵抗器11は、その絶縁基板3の変形の影響を受けて抵抗値変化しないよう、前記非変形部に配するのが好ましい。
第2の構成の応力センサに用いた用語の意味は第1a〜1dの構成の応力センサと共通している。また第1a〜第1dの構成と第2の構成の併有を否定しないことは言うまでもない。むしろこれらの構成の利点が加算され、より好ましい。
図8に示す構成において、特に穴10、支持用穴12、トリマブルチップ抵抗器11は第2の構成の応力センサにとって任意的構成要件(必須要件でない)である。仮にこれらを構成要件に含めるとしても、穴10の形状はL字状に限定されないし、支持用穴12の配置は外形が四角形の絶縁基板3の四隅に限定されない。穴10形状は、例えば円形、四角形、丸みを帯びた四角形等、応力センサの設計上の制限事項、求められる機能、用途等に応じて適宜変更可能である。また支持用穴12は、図8における四角形の絶縁基板3端部の各辺の中間付近に配する等が可能である。
図1又は図8に示す構成において、ポスト6底面と抵抗素子8の一部又は全域が、絶縁基板3を介さずに重なった状態にある構成としてもよい。この場合ポスト6と抵抗素子8とが同一絶縁基板3面上に配される。この構成は、抵抗素子8の感度を高めることができる利点を有している。その理由はポスト6に与えられた応力が絶縁基板3を介さずにポスト6底面により略直接抵抗素子2を刺激するためである。その刺激の結果、抵抗素子8の抵抗体2部分が圧縮され、特性値である抵抗値が大きく変化することとなる。前記刺激を解くと、一旦圧縮された抵抗体部分が伸張し、抵抗値が元に戻る。
このように同一絶縁基板3面上に抵抗素子8が配され且つポスト6が固着される構成の更なる利点は、絶縁基板3の一方の面への搭載の操作のみにより本発明の応力センサが製造可能となることである。前記搭載操作とは、抵抗体2を配する操作や、ポスト6の絶縁基板3面への接着剤等を用いた固着操作等である。絶縁基板3両面に搭載する場合、一方の絶縁基板3面へ搭載する際に他方の絶縁基板3面を載置する場所の清浄さ、柔らかさ等、厳しい条件が課される。その点同一絶縁基板3面に搭載するのであれば、そのような厳しい条件は課されない。更なる利点は、抵抗素子8とポスト6との位置合わせ作業が容易となることである。抵抗素子8とポスト6との位置関係は、応力センサの性能を左右する重要な要因である。
例えば図8において、ポスト6位置が抵抗素子8位置に対して大きくずれてしまうと、ポスト6へ付与された応力による各抵抗素子8への伝わり方が異なる結果となる。絶縁基板3にポスト6と抵抗素子8とを別々の面に搭載する場合、一方の絶縁基板3面を目視していれば、他方の絶縁基板3面を見ることができない。このためポスト6と抵抗素子8との相対的な位置関係を把握することは困難で、それらの位置ずれが起こりやすかった。その点同一絶縁基板3面に搭載するのであれば、ポスト6と抵抗素子8との相対的な位置関係を把握することは非常に容易なため、前記位置ずれは起こりにくい。また一旦位置ずれを起こしたものを除去する際の目視チェックも容易となる。
また上記図1又は図8に示した構成において、少なくとも抵抗素子8を覆う保護膜を有することが好ましい。当該保護層は、絶縁基板3よりも柔軟な材料等であり。そのような材料としてはシリコーン系樹脂材料、ゴム系材料などがある。当該柔軟な材料は、絶縁基板3の撓みに追随する抵抗素子8の繰返しの撓み(伸張、収縮)に起因する、絶縁基板3と抵抗素子8との密着性低下を抑制する効果がある。
また上記図1や図8に示した構成において、ポスト6の材質は、金属、セラミック、樹脂又は繊維強化樹脂からなるものから選択できる。鉄や高炭素鋼等の金属やセラミックをポスト6の材質とする場合の利点は、それらの剛性から、与えられた応力を正確に抵抗素子8に伝達できることである。また樹脂又は繊維強化樹脂をポスト6の材質とする場合の第1の利点は、その製造に際し、エネルギー消費が少ないことが挙げられる。例えば樹脂又は繊維強化樹脂を成形・硬化させる温度は、セラミックの焼結温度や金属の鋳造温度に比して非常に低い。第2の利点はセラミックや金属に比して成形性に優れることである。例えば複雑な形状のポスト6を製造する際には、セラミックの成形・焼結工程、金属の鋳造工程を経るとヒビが入るおそれがある。この原因は冷却の際に、非常に高い温度から常温までの温度変化に伴う体積収縮に剛体が追随しにくいことにある。それに対し樹脂又は繊維強化樹脂を用いる場合は、樹脂の溶融温度が前記焼結温度や鋳造温度に比して非常に低い上に、樹脂の剛性が金属やセラミックに比して低いため、そのようなおそれは殆ど無いと言える。
このポスト6は、本発明の応力センサをパーソナルコンピュータ用ポインティングディバイスや、携帯電話等の各種電子機器、特に小型携帯電子機器の多機能多方向スイッチ等に適用する際に用いられ得る。ここで前記多機能多方向スイッチとして本発明の応力センサを用いる場合は、操作する者が触感でどの方向に応力を付与するべきかを認識可能とするために、ポスト6側面の断面形状を多角形とし、ポスト6側面における各平面に対し垂直に応力を付与することによって各命令を電子機器に送信させることができるようにするのが好ましい。このような断面多角形とする場合のポスト6形状の複雑さ等を考慮した場合、前述したようにポスト6は樹脂又は繊維強化樹脂からなることが好ましい。
また樹脂を用いる場合の材料としては、ポリビニルテレフタレート(PVT)や、ポリブチレンテレフタレート(PBT)が、特に好適に使用できる。このPVT、PBTは、樹脂系材料の中では特に剛性に優れるため、付与された応力を比較的正確に伝達できる利点がある。また耐熱性も良好であることから、使用環境が常温よりも多少高温である場合であっても、前記剛性を維持し得る利点を有している。
また上記図1や図8に示した構成において、絶縁基板3の材質は樹脂系材料を主成分とするもの、非導電性材料で表面を被覆した金属、又はセラミック等から選択できる。前記樹脂系材料を主成分とするものとしては、例えばフェノール樹脂単体や、ガラス繊維混入エポキシ樹脂成形体等の繊維強化樹脂等がある。前記非導電性材料で表面を被覆した金属としては、鉄やアルミニウム板にポリエチレン樹脂をコーティングしたもの等である。前記セラミックとしては、アルミナ等がある。絶縁基板3は、ある程度撓むことのできる柔軟性及び多数回の撓みに対して、応力を除いたときにその形状を復元することができる剛性及び弾力性とを併せ持つ必要があり、これら例示した材料はいずれもそれらを満足し得る。
第2の構成の応力センサが、本発明の第1の構成の抵抗素子8を構成要件とする理由を説明する。本発明の応力センサは、ポスト6への応力付与に起因する抵抗素子8の抵抗値変化により前記応力の方向と大きさとを把握する。従って、各抵抗素子8の形成状態に大きな違いがあると、応力センサの出力特性のバランスや安定性に問題を生ずる。例えば各抵抗素子8が直接トリミングされるものである場合、形成されるトリミング溝長さに大きな違いがあると、その溝長さが長いもの程感度が高くなる。また感度が高い抵抗素子8は、長期間に亘る使用により初期の抵抗値からのずれを生じやすい。これらのことから各抵抗素子8のトリミング溝形成前の抵抗値ばらつきを極力小さくし、トリミング溝長さを均一にできる方が好ましい。従って本発明の抵抗素子8のように、形成当初から抵抗値ばらつきの小さいものを構成要件とするのは、大きな利点である。同様の理由から、第2の構成と第1a〜1dのいずれかの構成とを併有する応力センサは更に好ましい構成である。
また各抵抗素子8が直接トリミングされず、上記のようにトリマブルチップ抵抗器11をトリミングすることにより間接的に抵抗値調整された応力センサであっても、そのトリマブルチップ抵抗器11のトリミング溝長さのばらつきが大きい場合には、周囲環境によっては応力センサの出力特性のバランスや安定性に問題を生ずる。例えばトリマブルチップ抵抗器11のトリミング溝長さが長いものは、周囲温度によって抵抗値が変化しやすい。従ってトリマブルチップ抵抗器11を用いて抵抗値調整する場合であっても本発明の抵抗素子8のように、形成当初から抵抗値ばらつきの小さいものを構成要件とするのは、大きな利点である。
また後者の場合は、各抵抗素子8の抵抗値ばらつきが直接に出力(感度)のばらつきとなる。具体例を、図8に示す一つの応力センサに4つの抵抗素子8がある場合について述べる。一つの抵抗素子Aの抵抗値をRとし、別の抵抗素子Bの抵抗値を抵抗素子Aの半分のR/2と仮定する。絶縁基板3を、抵抗素子A、抵抗素子Bを同量撓ませるよう撓ませた場合、抵抗素子Aの抵抗値が仮に2倍になると、抵抗素子Bの抵抗値も2倍になる。その結果抵抗素子Aの抵抗値は2×Rとなり、抵抗素子Bの抵抗値はRとなる。従って抵抗素子Aの抵抗値変化量はRとなり、抵抗素子Bの抵抗値変化量はR/2となる。このように同じ応力を、抵抗値の異なる抵抗素子に付与した場合、抵抗値変化率は等しいが、抵抗値変化量は2倍異なる。通常抵抗素子を歪ゲージとする応力センサは、抵抗値変化量を応力の大きさとして出力する。従って本発明の抵抗素子8のように、形成当初から抵抗値ばらつきの小さいものを構成要件とするのは、大きな利点である。
上記課題を解決するための本発明の第3の応力センサは、表面の導体層の一部を除去処理し、その残部として得られるか、若しくはアディティブ法により得られる絶縁基板3面上の導体9を有する絶縁基板3面に抵抗素子8が配され、絶縁基板3のどちらか一方の面にポスト6が固着又は一体化され、ポスト6への応力付与に起因する抵抗素子8の抵抗値変化により前記応力の方向と大きさとを把握する応力センサであって、抵抗素子8が、導体9と電気接続するよう膜形成された抵抗素子8用電極と抵抗素子8用電極間に厚膜形成される抵抗体2からなり、抵抗体2が主として抵抗素子8用電極の平坦部と接していることを特徴とする。
上記第3の構成を有することで、抵抗素子8を構成する電極について、高さが高いこと(第1の理由)、絶縁基板3面から略垂直な面を有していること(第2の理由)、これら2つの理由を本発明の構成に含ませないことができ、そのことにより、抵抗素子8の抵抗値ばらつきを低減できる。
図10におけるスクリーン印刷法等による厚膜電極13は、抵抗体2との接触面において第1の理由及び第2の理由を有さない(図10(b))ため、厚膜電極13を用いた抵抗素子8は、その抵抗値ばらつきが小さい。但し、抵抗値ばらつきを更に低減するには、抵抗体2が主として抵抗素子8用電極(厚膜電極13)の平坦部と接するようにする。この理由は、前記第1の理由の影響を避けるためである。例えば図10(b)において、導体9近傍の厚膜電極13は、絶縁基板3に対し前記略垂直な面を有している。この前記略垂直な面に抵抗体2が接触する程にまで抵抗体2と導体9とを接近させることは、前述した第1の理由を含むこととなり、好ましくないためである。
図11は上記平坦部の意味をある程度明らかにするための説明図である。抵抗素子用電極である厚膜電極13をa、b、c、の断面領域に分ける。aの領域は実質的に導体9の外形と相似であり、この領域に抵抗体2が配される場合は、前述した第1及び第2の理由を含む抵抗素子8を得ることとなる。bの領域は、略平坦部であり、絶縁基板3面からの高さが通常の厚膜印刷(スクリーン印刷等)で得られる、10μm程度である。従ってこの領域に抵抗体2が配される場合は、前述した第1及び第2の理由を有さない抵抗素子8を得ることとなる。cの領域はその厚膜電極13の外形が平坦ではないが、絶縁基板3面からの高さが10μmを下回る厚みで、且つなだらかな斜面となっている。従ってこの領域に抵抗体2が配される場合は、前述した第1及び第2の理由を有さない抵抗素子8を得ることとなる。本発明で「主として抵抗素子用電極の平坦部」というときには、図11における領域b及び領域cを指している。
また使用する抵抗体2用ペーストのペースト性状によっては、aの領域が図11に示したような絶縁基板3面に対して垂直な面とならずに、絶縁基板3面に対して斜め成分を主とした面を含む場合がある。そのような場合は、実質的に平坦で、前述した第1及び第2の理由を有さない領域がbの領域、cの領域となる。現在のところ、導体9と、抵抗体2との最短距離を概ね導体9高さ分以上とすることにより、経験的に前述した第1及び第2の理由を有さない抵抗素子8を得ることができることが把握できている。
このように導体9と、抵抗体2との最短距離を所定距離(導体9高さ)以上とすることにより、前述したような、スクリーン印刷法により抵抗体2膜を形成する場合において、導体9とスキージとのぶつかりに起因するペースト状抵抗体量のばらつき、ペースト状抵抗体を配する位置のずれを低減でき、導体9間に膜形成される抵抗体2の形状を安定させることができる。スキージが導体9とぶつかる位置と、実際にペースト状抵抗体を配する位置とが離れているためである。ここで厚膜電極13をスクリーン印刷法により配する場合にはスキージが導体9とぶつかる影響を受けるが、その影響は導体9付近におけるものが主であり、抵抗体2との接触部付近は影響を受けにくい。その理由は、前記接触部付近における厚膜電極13の形成が、抵抗体2と導体9との最短距離以上離れた位置における厚膜電極13の形成であり、前述した、抵抗体2膜を形成する場合に前記影響を受けにくい理由と同様の理由があるためである。また導体9と厚膜電極13との接続状態に多少のばらつきがあっても、それらの固有抵抗の低さから、殆ど抵抗素子8の抵抗値ばらつきに影響を与えない。
応力センサ用歪ゲージとしての抵抗素子8を構成する抵抗体2及び厚膜電極13を共に膜形成する別の利点は、それらの密着強度が高いことである。導体9と抵抗体2との密着性は低く、応力センサ動作時に導体9と抵抗体2との界面に多数回の繰返しの応力が付与された場合、当該界面において剥離するおそれは否定できない。それに対し、抵抗体2と厚膜電極13との界面は、通常の応力センサの使用状態を長期間継続したとしても剥離するようなおそれはないと考えられる。ここで言う抵抗体2、厚膜電極13としてはメタルグレーズ系材料と樹脂系材料との双方を含む。特に抵抗体2、厚膜電極13の双方が樹脂系材料である場合、それら界面の密着性の高さ、及び樹脂の弾性による付与される応力への追随性、応力解除時の復元性の点で他の材料系に比して応力センサ用歪ゲージとしての抵抗素子8構成材料として、適していると言える。
上記抵抗素子の構成において、スルーホール内導電物質を介して絶縁基板3両面の導体9が導通する部分を有する場合、通常よりも導体9高さが高くなるおそれがあり、本発明の適用は特に好ましい。導体9高さが高くなるおそれがある理由は、いわゆる両面配線基板製造過程では、絶縁基板3のスルーホール内壁に導電層を形成して両面の配線を導通させるために、無電解めっき工程を有し、その際に導体9となる部分にも無電解めっき層が形成されるためである。
第3の構成の応力センサは、例えば図8に示すように、抵抗素子8を構成する絶縁基板3面のセンサ有効領域の中心を交点とする、絶縁基板3面に沿った直交する二直線上、且つ当該交点から実質的に等距離位置に抵抗素子8が配され、ポスト6が絶縁基板3面中心とポスト6底面の中心とが実質的に一致するよう絶縁基板3面に固着又は一体化され、ポスト6への応力付与に起因する抵抗素子8の伸張、収縮又は圧縮による抵抗値変化から前記応力の方向と強さとを把握するものである。
図8に基いて第3の構成の応力センサの一例を説明する。ここで図8における抵抗体2と接する導体9、即ち回路パターン電極1は、厚膜電極13に代わることとなる。絶縁基板3は、例えばガラス繊維が混入されたエポキシ樹脂の板からなる。絶縁基板3下面には4対の厚膜電極13が導体9と電気接続するよう設けられ、それぞれの対となる厚膜電極13間には抵抗体2が配されており、これらにより抵抗素子8が構成される。抵抗素子8は、絶縁基板3面中心を交点とする、絶縁基板3面に沿った直交する二直線上、且つ当該交点から実質的に等距離位置に配される。絶縁基板3上面には底面外形が略正方形のポスト6が接着剤等で固着されている。このときポスト6底面の中心と前記絶縁基板3面中心とが実質的に一致するようにする。また絶縁基板3にはL字状の穴10が、L字の曲がり角部が絶縁基板3中心に向かうように設けられている。この穴10の役割は、前述の第2の構成の応力センサについての説明のとおりである。
また各々の抵抗素子8と直列接続されるトリマブルチップ抵抗器11が絶縁基板3上面に配されていることの利点は、第2の構成の説明と重複するため省略する。
上記「センサ有効領域の中心」、「ポスト6底面の中心」における「中心」は、厳密な中心点を指すのではなく、応力センサが有効に機能する範囲での当該中心点からのずれを含む。その他の第3の構成の応力センサの説明に用いた用語の意味は第1a〜1d又は第2の構成の応力センサと共通している。また第1a〜第1dの構成及び第2の構成と第3の構成の併有を否定しないことは言うまでもない。むしろこれらの構成の利点が加算され、より好ましい。
図8に示す第3の応力センサの構成においても、特に穴10、支持用穴12、トリマブルチップ抵抗器11は本発明の応力センサにとって任意的構成要件(必須要件でない)である。仮にこれらを構成要件に含めるとしても、穴10の形状はL字状に限定されないし、支持用穴12の配置は外形が四角形の絶縁基板3の四隅に限定されない。穴10形状は、例えば円形、四角形、丸みを帯びた四角形等、応力センサの設計上の制限事項、求められる機能、用途等に応じて適宜変更可能である。また支持用穴12は、図8における四角形の絶縁基板3端部の各辺の中間付近に配する等が可能である。
図8に示す第3の構成の応力センサにおいても、ポスト6底面と抵抗素子8の一部又は全域が、絶縁基板3を介さずに重なった状態にある構成としてもよい。この場合の利点は、第2の構成の応力センサにおける同様の構成により得られる利点と同様である。また第2の構成の応力センサと同様の理由から上記図8に示した第3の構成において、少なくとも抵抗素子8を覆う保護膜を有することが好ましい。第3の構成の応力センサが、抵抗素子8を構成要件とする利点についても形成当初から抵抗値ばらつきの小さいものを用いる点で第2の構成の応力センサと同様である。
上記課題を解決するための本発明の抵抗素子8の第2の構成は、表面の導体層の一部を除去処理し、その残部として得られるか、若しくはアディティブ法により得られる絶縁基板3面上の導体9の一部を電極とし、絶縁基板3面上の一対の回路パターン電極1間に膜形成される抵抗体2を有するものであって、抵抗体2が前記一対の回路パターン電極1幅方向両端を覆うことを特徴とする。ここで電極幅方向とは、抵抗素子8に通電した際の電流進行方向と、絶縁基板3面に沿って直交する方向である。
上記本発明の抵抗素子8の第2の構成を有することで、図12(a)に示す、従来発生させていた滲み14の発生を低減できるので、抵抗素子8の抵抗値ばらつきを低減できる。滲み14は抵抗体2からなり、回路バターン電極1に接し、もう一方の対向する電極と導通することから、抵抗素子8の抵抗値に影響する。その影響の度合いは、滲み14の量や形状等に依存する不確定な要因である。それは前述したように滲み14量やその形状をコントロールすることが極めて困難だからである。そこで上記本発明の構成のように上記不確定要因を略無くすことで、表面の導体層の一部を除去処理し、その残部として得られる導体9の一部を電極とし、当該絶縁基板3面上の一対の前記電極間に膜形成される抵抗体2を有する抵抗素子8においてもその抵抗値ばらつきを低減することができるのである。
このように回路パターン電極1を用いた場合が、厚膜電極13を用いた場合に比して滲み14が発生しやすい、考えられる理由を述べる。前述のように回路パターン電極1高さが高く、且つ回路パターン電極1が絶縁基板3面から略垂直な面を有していることが主な理由であると考えられる。つまり、スクリーン印刷法により厚膜抵抗体を形成する場合を例にとると、まずマスクを通過して略一定量のペースト状抵抗体が一対の回路パターン電極1間に配される。すると回路パターン電極1周辺が抵抗ペーストの易流動領域となる。回路パターン電極1周辺は、回路パターン電極1頂面付近のペーストが、自重により高所から低所へと前記略垂直な面に沿って移動し易くなるためである。この移動のし易さによりその移動量が過剰となり、当該過剰分が滲み14となる。
従来の、図12(b)に示した抵抗素子8では、厚膜電極13の高さが低く、厚膜電極13が絶縁基板3面からなだらかな面を有しているため、その面上はペースト状抵抗体の易流動領域とはならず、滲み14が発生しにくい条件となっているのである。
次に、上記本発明の抵抗素子8の第2の構成を有することで、上記不確定要因を無くすことができているかどうかについて説明する。図13に本発明の抵抗素子8の一例を示した。この抵抗素子8断面は、図2(a)に示す断面と略同じ形態を有すると考えられる。しかし図13に示すように予め滲み14(図12(a))が発生するだろう部分にペースト状の抵抗体2を配しておくと、仮に上記易流動領域において当該ペーストの自重による高所から低所への略垂直な面に沿った移動が起こったとしても、過剰の移動量分は、回路パターン電極1表面から沖合いにある、抵抗体2ペーストと混ざり合うこととなる。もともと滲み14にかかる抵抗体2ペースト量は微量であるため、前記沖合いにある抵抗体2ペーストと混ざり合ったとしても、その抵抗値変化は無視できる程度であり、上記不確定要因とはなり得ない。図12(a)における滲み14は、微量ではあるが、通電時に電流密度が高い、対向する抵抗素子用電極間における抵抗体2/回路パターン電極1界面の面積を増加させる要因となっていたため、その抵抗値に対する影響度が大きく、上記不確定要因となっていたのである。これで上記本発明の構成を有することで、上記不確定要因を無くすことができることが明確になった。
上記本発明の抵抗素子8の第2の構成において、スルーホール内導電物質を介して絶縁基板3両面の回路パターンが導通する部分を有し、絶縁基板3面の導体9の一部を電極とし、絶縁基板3面上の一対の前記電極間に膜形成される抵抗体2を有する場合、通常よりも電極高さが高くなるおそれがあり、本発明の適用は特に好ましい。前記電極高さが高くなるおそれがある理由は、いわゆる両面配線基板製造過程では、絶縁基板3のスルーホール内壁に導電層を形成して両面の配線を導通させるために、無電解めっき工程を有し、その際に回路パターン電極1となる部分にも無電解めっき層が形成されるためである。
また本発明の第4の構成の応力センサは、上述した本発明の第2構成又はそれを基本とした好ましい構成における抵抗素子8を歪みゲージとして用い、絶縁基板3のどちらか一方の面にポスト6が固着又は一体化され、ポスト6への応力付与に起因する抵抗素子8の抵抗値変化により前記応力の方向と大きさとを把握することを特徴とする。
上記応力センサは、例えば図1や図8に示すように、抵抗素子8を構成する絶縁基板3面のセンサ有効領域の中心を交点とする、絶縁基板3面に沿った直交する二直線上、且つ当該交点から実質的に等距離位置に抵抗素子8が配され、ポスト6が絶縁基板3面中心とポスト6底面の中心とが実質的に一致するよう絶縁基板3面に固着又は一体化され、ポスト6への応力付与に起因する抵抗素子8の伸張、収縮又は圧縮による抵抗値変化から前記応力の方向と強さとを把握するものである。
第4の構成の応力センサの動作や利点は第3の応力センサのそれと同様である。また例えばトリマブルチップ抵抗器11を用いる等、第3の形態と同様の応用形態を採ることができる。第4の構成の応力センサの説明に用いた用語の意味は第1a〜1d又は第2、第3aの構成の応力センサと共通している。また第1a〜第1dの構成及び第2、第3の構成と第4の構成の併有を否定しないことは言うまでもない。むしろこれらの構成の利点が加算され、より好ましい。
本発明により、表面の導体層の一部を除去処理し、その残部として得られる導体の一部を電極とし、当該絶縁基板面上の一対の前記電極間に膜形成される抵抗体を有する抵抗素子においてもその抵抗値ばらつきを低減することができた。またそのような抵抗値ばらつきを低減した抵抗素子を用いた応力センサを提供することができた。
当該応力センサは、パーソナルコンピュータ用ポインティングディバイスや、各種電子機器用多機能・多方向スイッチ等に好適に用いることができる。
また当該応力センサは、ガラス繊維混入エポキシ樹脂を板状に成形した基板を用いた、従来よりもコストの低減を図ることができる応力センサに特に好適に適用できる。
以下図面を参照しながら、ガラス繊維混入エポキシ樹脂成形体を基板(厚み1.2mm)とする本発明の第1a〜第1dの構成の応力センサについての実施の形態の例を示す。
まず、絶縁基板3両面に厚み18μmの銅箔を貼付した後に当該銅箔の必要部分を除いて公知のエッチング処理を施すことにより、導体9、抵抗素子用電極(回路パターン電極1)及び基板端子部5が形成される。そうして得た単位応力センサにおける絶縁基板3表面の導体9及び抵抗素子用電極のレイアウトは、図1に示されている。ここでは抵抗素子が配される側のみを示しているが、当該絶縁基板3裏面にも導体による配線を有している。
ここで絶縁基板3表面には、前記エッチング処理によって配線に寄与しない導体9(印刷精度調整部材7)を残した。この印刷精度調整部材7の存在により、4つの抵抗素子8全てについて、その付近の導体9、抵抗素子用電極及び印刷精度調整部材7の配置が類似することとなっている。また、4つの抵抗素子8全てについて、それら付近の導体9、抵抗素子用電極及び印刷精度調整部材7の配置が、抵抗体2周縁の三方を取り囲むようにされている。
次いで絶縁基板3に予め設けられているスルーホール内壁に無電解めっき法にて導電性物質を配することにより、絶縁基板表裏面の導体同士を導通させる。図1にはこの部分を「スルーホール部」として示した。このとき、無電解めっきにより析出する導電性物質は導体9、抵抗素子用電極及び印刷精度調整部材7表面にも析出し、そのことにより導体9、抵抗素子用電極及び印刷精度調整部材7のそれぞれの高さは、30〜50μmの略一定値になる。
その後カーボン・レジン系の抵抗体ペーストをスクリーン印刷法により抵抗素子用電極(回路パターン電極1)間に配する。このときのスキージ進行方向は図1における絶縁基板3に対し斜め約45°の方向とした。そして当該レジンを熱硬化させ、抵抗体2を得る。更に当該抵抗体2を保護するため、図示しないシリコーン系レジンからなる保護膜を少なくとも抵抗素子を被覆するようにスクリーン印刷法により配し、熱硬化させる。
その後絶縁基板3裏面に、底面が正方形である柱状のポスト6を、エポキシ樹脂系接着剤にて固定する。このとき、当該底面の正方形の各辺(ポスト6底面の輪郭)が絶縁基板3表面の抵抗素子と対応する位置となるようにする。
更に各抵抗素子(R1〜R4)と直列に電気接続されるトリマブルチップ抵抗器(R1trim〜R4trim)を図4に示す電気接続状態となるように絶縁基板3裏面に搭載する。当該搭載は公知の電子部品実装技術の採用により為される。その後各抵抗素子及びそれと直列接続されるトリマブルチップ抵抗器とを組とした場合の当該組の抵抗値の和が略同一となるよう、トリマブルチップ抵抗器へのレーザトリミングにより抵抗値調整を実施する。当該組は、R1とR1trim等、対応する数字で構成される。
以上で本発明の応力センサを得ることができる。この応力センサは通常絶縁基板3の端部、特に絶縁基板3が四角形である場合、その四隅を固定して使用する。当該使用状態での、ポスト6に横方向の応力を付与した場合の動作の概要を図3に示した。ポスト6底面と接する絶縁基板3は殆ど撓まず、ポスト6底面の輪郭付近を最大撓み領域として、それより外側が多少撓んでいる。
図4はまた本発明の応力センサにおける、電気信号入出力の状態の概要を示している。4組の抵抗素子とトリマブルチップ抵抗器11がブリッジ回路を構成している。このブリッジ回路の電圧印加端子(Vcc)−(GND)間には所定の電圧が印加されている。また同図左側の抵抗素子とトリマブルチップ抵抗器及びY端子(Yout)によりY軸方向の応力センサが構成され、更に同図右側の抵抗素子とトリマブルチップ抵抗器及びX端子(Xout)によりX軸方向の応力センサが構成される。
図5には本発明のものではない応力センサ(以下応力センサBと記す。)の絶縁基板3表面レイアウトを示している。ここでは図1に示したような、印刷精度調整部材7が存在していない。また4つの抵抗素子8全てについて、その付近の導体9及び抵抗素子用電極(回路パターン電極1)の配置が、同一又は類似になっていない。また、4つの抵抗素子の2つについては、それら付近の導体9及び抵抗素子用電極の配置が、抵抗体2周縁の三方を取り囲むようにされていない。
(実験)
上記本発明の応力センサと応力センサBとの比較実験を実施した。両者は絶縁基板3表面レイアウト以外の製造条件等は全く同一である。実験(評価)項目は、抵抗素子形成後の各抵抗素子の抵抗値ばらつきである。各応力センサの数それぞれ30個について、即ち抵抗素子数120個の抵抗値ばらつきを標準偏差で示すと、本発明の応力センサは41.5Ωであったのに対して、応力センサBは57.3Ωだった。しかも本発明の応力センサは、一つの応力センサ内での各抵抗体形状のばらつきが殆どなかったのに対し、応力センサBでは一つの応力センサ内での各抵抗値のばらつきは前記標準偏差と同程度のばらつきを有していた。このことから、一つの応力センサ内での各抵抗体形状のばらつきを抑制することができたことは明らかである。
次に図面(特に図8)を参照しながら、本発明の第1の構成の抵抗素子及び第2の構成の応力センサについての実施の形態の例を示す。
ガラス繊維混入エポキシ系樹脂を主成分とする厚み0.8mmの積層板両面に、厚み約18μmの導体層としての銅箔が配された、両面銅張積層板を用意する。この両面銅張積層板は、図8に示す、外形が略正方形の絶縁基板3を1単位として、それが縦横に多数連なるような配線7及び回路パターン電極1となるよう、且つ最終的に抵抗素子8とトリマブルチップ抵抗器11とが図4のような電気接続状態となるよう、絶縁基板3表裏に亘りパターニングする。当該パターニングの第1ステップは、前記両面銅張積層板の表裏に亘る導電通路となるに必要な箇所を穴開け加工する。第2ステップは前記穴開け加工したスルーホール内壁に導体形成し、表裏の銅箔をを導通させる目的で触媒付与無電解銅めっき及び電解銅めっきをこの順に施す。このとき基板両面の銅箔上にもめっきによる銅が付着し、基板両面の銅の総厚みが約50μmとなる。第3ステップ以降は公知のドライフィルムレジストによるフォトエッチング法により、表面の導体層を一部除去する。その残部として配線7、及び回路パターン電極1を得る。これらのステップを経た後の1対の回路パターン電極1間距離(L)は1.2mmである。従って比L/hは24である。
次いで得られた大型の絶縁基板をロールプレスし、回路パターン電極1高さが30μmとなるよう調節する。これで比L/hが40となる。そして上記1単位の絶縁基板3各々に対し、打抜き加工により図8に示す穴10を形成する。
その後熱硬化樹脂系(カーボン・レジン系)の抵抗体ペーストをスクリーン印刷により回路パターン電極1間に形成・加熱硬化させて抵抗体2とする。更に抵抗体2を保護するため、シリコーン系樹脂ペーストをスクリーン印刷し、その後当該ペーストを硬化して保護膜を形成する。これで本発明の第1の構成を具えた抵抗素子8が得られる。
次いでこれら各抵抗素子8と直列に配線することにより電気接続されたトリマブルチップ抵抗器11を、図4に示すような抵抗体2との接続状態を実現するよう、公知の実装技術、リフロー技術により配する。またトリマブルチップ抵抗器11は、図8に示すように、基板4の抵抗素子8が配された面と逆の面に、且つ前述した非変形部に配した。
その後抵抗素子8と、それぞれの抵抗素子8と直列に電気接続されたトリマブルチップ抵抗器11との抵抗値の和を所定範囲に調整するため、トリマブルチップ抵抗器11に対しレーザトリミングを施す。直接抵抗素子8を構成する抵抗体2に対してトリミングを施さなかった理由は、樹脂からなる抵抗体2、及び抵抗体2が配されている、樹脂を主成分とする基板4に対しトリミングを施すことによる抵抗値の不安定化の防止を考慮したためである。これら樹脂はレーザトリミングのように非常に高温の処理に対しては不安定な挙動を示す。
トリマブルチップ抵抗器11を用いるべきか否かは、抵抗素子8を構成する各部材の材質や、絶縁基板3の材質により判断すべきである。例えば絶縁基板3の材質がセラミックであって、抵抗体2の材質がメタルグレーズである場合には、直接抵抗素子8を構成する抵抗体2に対してレーザートリミングを施したとしても、その後の抵抗値の不安定化のような不都合は無視できる程度である。従って、このような場合は、トリマブルチップ抵抗器11を用いなくてもよい。但しその他の原因等があり、トリマブルチップ抵抗器11を用いる必要がある場合は、その必要に応じて用いるべきであることは言うまでもない。
そして図8に示すように、各々の1単位の絶縁基板3について、PBTを成形した、底面の輪郭が正方形のポスト6を、その底面が絶縁基板3の抵抗素子8が配された面とは逆の面に当接するよう、且つその底面の中心が各1単位の絶縁基板3の中心と実質的に一致するようエポキシ系接着剤で固定する。これで本発明の応力センサの集合体が得られる。
次いで大型の絶縁基板を各1単位の絶縁基板3となるよう、大型の絶縁基板面に縦横に多数設けられた分割用ライン(可視のラインでも不可視のラインでもよい)に沿ってディスクカッターにより切断・分割し、個々の応力センサとする。本例のようにポスト6を分割前に固定することにより、作業性が良好になる。その理由は、個々の応力センサに分割した後にポスト6を各々の応力センサを有する絶縁基板3に取付ける作業は、大型の絶縁基板に対する作業に比して取扱い性、ハンドリング性に劣り、煩雑なためである。
大型の絶縁基板がアルミナ等のセラミック製である場合には、縦横に多数の分割溝を予め形成してある大型の絶縁基板を用いることが好ましい。その理由はディスクカッターを用いなくとも、当該分割溝を開くように手等で力を加えることで、容易に分割作業ができるためである。
本発明の応力センサは、例えば図8に示す支持用穴12を介して電子機器の筐体等に応力センサを固定させて使用する。すると固定状態では穴10の外側の絶縁基板3周縁部は、ポスト6に応力を付与した場合でも殆ど変形しない非変形部となり、穴10の内側はポスト6に応力を付与すと変形し、抵抗素子8を伸張、収縮させる変形部となる。当該変形部が、絶縁基板3面の「センサ有効領域」となる。
図4には第2の構成の応力センサにおける、電気信号入出力の状態の概要を示している。前述した第1a〜1dの構成の応力センサと同様である。
ここで筐体に応力センサが固定された状態で、応力センサ下面に空隙が存在する場合、ポスト6を下向き(Z方向)に応力付与したことを検知させることが可能となる。その理由は、前記下向きに応力付与することにより、歪ゲージである4つの抵抗素子全てを伸張させ、各々の抵抗値を略同程度にまで大きくすることができるためである。このような電気特性は、横方向(X方向、Y方向)に応力を付与した場合と異なる電気的特性であり、それらとは区別できる。
応力センサにおいて、下向き(Z方向)への応力付与に何らかの機能を付与することにより、多機能化が図れる。例えばコンピュータのポインティングディバイスとして本発明の応力センサを使用した場合、いわゆるマウスをクリックする機能を前記下向きへの応力付与に対応させることができる。また、例えばいわゆる携帯電話等の小型携帯機器用の多機能・多方向スイッチとして本発明の応力センサを使用した場合には、所定時間下向きへの応力付与をしたときに当該携帯機器の電源のオン・オフの命令に対応させる等が可能となる。
本例では表面の導体層である銅箔の一部を除去処理するために、ドライフィルムレジストによるフォトエッチング法を採用したが、それに代えてフォトレジストを電気泳動法着ける、いわゆるED(Electro Deposition)法を採用可能である。また図8における導体9及び回路パターン電極1を形成する手段として、表面の導体層の一部を除去処理するのではなく、絶縁基板3表面(スルーホール内壁面を含む)に無電解めっきで銅を成長させてパターニングする、いわゆるアディティブ法を採用できることは言うまでもない。
次に、図面を参照しながら、本発明の第2の構成の抵抗素子及び第4の構成の応力センサについての実施の形態の例を示す。
抵抗体をスクリーン印刷により形成するまでの、ガラス繊維混入エポキシ樹脂成形体からなる絶縁基板3及び回路パターン電極1の形成過程は、上記第2の構成の抵抗素子の実施の形態例と同様である。その後の熱硬化樹脂系(カーボン・レジン系)の抵抗体ペーストをスクリーン印刷により回路パターン電極1間に形成・加熱硬化させて抵抗体2とする際に、回路パターン電極1の幅を1.2mmとし、抵抗体2幅を1.6mmとし、図8に示すように抵抗体2が回路パターン電極1の幅方向両端を覆うようにする。またここでは回路パターン電極1の上面全域を抵抗体2で覆っている。回路パターン電極1の導体9(図8)側の抵抗体2の回路パターン電極1からのはみ出し距離は、各々約0.2mmとした。
その後抵抗体2を保護するため、シリコーン系樹脂ペーストをスクリーン印刷し、その後当該ペーストを硬化して保護膜を形成する。これで本発明の第2の構成の抵抗素子8を得ることができる。
その後の応力センサを構成するまでの過程は、上記第2の構成の応力センサと同様にして、本発明の第3の構成の応力センサを得ることができる。
本例においてもドライフィルムレジストによるフォトエッチング法に代えてED法やアディティブ法を採用可能であることは言うまでもない。
図14に示したのは、本発明の抵抗素子8の形態の別の一例である。ここでは図13に示したように、上面から見た回路パターン電極1の幅方向両端全域を覆っているのではなく、回路パターン電極1幅方向両端の一部を残して覆っている。この場合、図12(a)と異なる箇所に滲み14が図12(a)の場合と同じメカニズムにより発生する。当該箇所に量や形状のコントロールが困難な滲み14が発生したとしても、抵抗素子8の抵抗値への影響は無視できる程度である。その理由は、ここでの滲み14が、対となる回路パターン電極1が対向する抵抗体2領域(電流密度の最も高くなる領域)以外の領域における、些細な不確定要因であるためである。従って図5に示す抵抗素子8は本発明が解決しようとする課題を解決しており、本発明の抵抗素子8の形態の一例であると言える。
次に、図面を参照しながら、本発明の第3の構成の応力センサについての実施の形態の例を示す。
抵抗体をスクリーン印刷により形成するまでの、ガラス繊維混入エポキシ樹脂成形体からなる基板及び回路パターンの形成過程は、上記第2、第3の構成の抵抗素子の実施の形態例と同様である。但し回路パターン電極1は形成せず、それに代えて以下のように厚膜電極を形成する。
熱硬化樹脂系(銀・レジン系)導電ペーストをスクリーン印刷・加熱硬化により、図10に示すように回路パターンと接触させながら厚膜電極13として形成する。更にその後熱硬化樹脂系(カーボン・レジン系)の抵抗体ペーストを対となる厚膜電極13間に形成・加熱硬化させて抵抗体2とする。このとき、厚膜電極13と抵抗体2とが、図11に示すように領域b、cにおいて接触する状態となるようにする。更に抵抗体2を保護するため、シリコーン系樹脂ペーストをスクリーン印刷し、その後当該ペーストを硬化して保護膜を形成する。
その後の応力センサを構成するまでは、上記第2、第3の構成の応力センサと同様の過程を経ることで、本発明の第4の構成の応力センサを得ることができる。
本例では抵抗素子8用電極として厚膜電極13を用いたが、それに代えてスパッタリングや蒸着、めっき等の薄膜技術により抵抗素子8用電極を形成してもよい。形成厚みが常識的範囲(数μm)であれば、上述した第1及び第2の理由を有さない抵抗素子8を得ることができ、本発明が解決しようとする課題を解決できる。特に本例のような絶縁基板3スルーホール内壁を銅めっきする工程を有している場合、それと同時に抵抗素子8用電極を形成することも可能である。従って本例のように厚膜電極13形成工程を経ることなく、本発明の応力センサを得ることができる点で好ましいと考えられる。
本発は、抵抗素子、その適用分野としての、例えばパーソナルコンピュータ用ポインティングディバイスや、各種電子機器用多機能・多方向スイッチ等に用いることができる応力センサについて産業上の利用可能性がある。
本発明に係る応力センサの導体9レイアウトの一例を示す図である。 (a)は、スクリーン印刷工程を示す側面概略図である。(b)は(a)におけるスクリーンと基板との隙間から角度を変えて見た場合のスクリーン印刷工程を示す側面概略図である。 本発明の応力センサの動作の様子を示す一例の図である。 本発明の応力センサにおける、電気信号入出力の状態の概要の一例を示す図である。 本発明ではない応力センサの導体9レイアウトの一例を示す図である。 本発明における「一の端」を説明する図である。 (a)は、回路パターン電極により構成される抵抗素子断面図、(b)は、厚膜電極により構成される抵抗素子断面図である。 図8は本発明の応力センサの実施の形態の一例を示す図である。 電極間距離(L)及び上記電極高さ(h)の寸法測定位置を示す図である。 (a)は、本発明の第3の構成の応力センサを構成する抵抗素子の上面図であり、(b)は側面図である。 本発明の第3の構成の応力センサの要部を説明する図である。 抵抗素子における抵抗体の滲みの発生を説明する図である。 本発明の第4の構成の応力センサを構成する本発明の第2の構成の抵抗素子の上面図である。 本発明の第4の構成の応力センサを構成する本発明の第2の構成の抵抗素子の上面図である。 従来の応力センサの導体9等のレイアウトを示す図である。
符号の説明
1.回路パターン電極
2.抵抗体
3.絶縁基板
5.基板端子部
6.ポスト
7.印刷精度調整部材
8.抵抗素子
9.導体
10.穴
11.トリマブルチップ抵抗器
12.支持用穴
13.厚膜電極
14.滲み
20.基板
22.抵抗素子
24.基板端子部
30.ポスト

Claims (2)

  1. 絶縁基板面にポストが固着又は一体化され、当該ポストへの応力付与に起因する複数の抵抗素子への刺激による当該抵抗素子の抵抗値変化から前記応力の方向と大きさとを把握し得る応力センサにおいて、
    当該抵抗素子は、絶縁基板面に配された対となる抵抗素子用電極間にスクリーン印刷法により形成される抵抗体で構成され、
    当該抵抗素子用電極は、絶縁基板の一の端に配される基板端子部へ導体により接続され、
    当該抵抗素子用電極及び導体は、絶縁基板面から所定高さを有しており、
    当該複数の抵抗素子の一部又は全部について、それらの、抵抗素子用電極及び導体の配置が、単一の抵抗体の三方以上を取り囲み、
    当該抵抗体がカーボン・レジン系の抵抗体であることを特徴とする応力センサ。
  2. 複数の抵抗素子の一部について、それらの、抵抗素子用電極及び導体の配置が、単一の抵抗体の三方以上を取り囲み、且つ、当該複数の抵抗素子の別の一部について、それらの、抵抗素子用電極及び印刷精度調整部材の配置が、単一の抵抗体の三方以上を取り囲み、
    抵抗素子用電極、導体及び印刷精度調整部材は、絶縁基板面から所定高さを有していることを特徴とする請求項1記載の応力センサ。
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