JP4049410B2 - 原子炉制御棒用長方形中性子吸収管 - Google Patents

原子炉制御棒用長方形中性子吸収管 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は原子炉用制御棒に関し、特に、制御棒内の吸収管の改良した直方形状に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子炉において、制御棒は出力分布と反応制御という2つの機能を行う為に使われている。炉心の出力分布は原子炉の運転中原子炉炉心の底から入る制御棒の選択したパターンを操作することにより制御される。出力分布機能におけるそれぞれの制御棒は、制御装置の他の制御棒とは類似な或いは非常に異なる中性子露出を受ることがある。制御棒は断面が全体に十字形であり、制御棒の各翼内に軸方向に延在する複数の吸収管を含むのが典型的である。ある設計では、吸収管は炭化ホウ素粉末で充填され、その両端を端栓で密封溶接される。粉末は部分或いはセグメントに分けられる。又別の設計では、吸収管は炭化ホウ素粉末を含有する個別長さのカプセルで充填される。換言すると、複数のステンレス・スチールカプセルがそれぞれの吸収管内に積み重ねられ、吸収管は制御棒の各翼内に並べられて、制御棒の長軸に略平行にある。これらのカプセル或いはセグメントは例えば1フィート以上の長さを有する。
【0003】
従来の制御棒は「正方形」吸収管を用いて中性子吸収材料を含有させる。これらの「正方形」吸収管は実際は円形であるが、向かい合う隅に4個の突出部を設けて管と管との溶接を可能にする。これらの突出部が管に「正方形」の外観を与えているのである。各管の内部は円形であり、円形ハフニウム棒及び/又は円形炭化ホウ素カプセルを管内に充填している。運転中に、炭化ホウ素カプセルはヘリウムガスを放出し、直径方向に膨張する。このガス放出及び生じさせられた膨張は吸収管壁に荷重をかけ、これが設計の機械的性能を制限する。
【0004】
羽根或いは翼の設計での機械的制限は、吸収管内の内部の圧力及び誘発された歪みに基づくものである。内部加圧は吸収管を破断させるかも知れないし、誘発された歪みは材料腐食を起こさせるかも知れない。現在の正方形管設計では管突出部間に長さ及び厚さの等しいリガメントを有している。この設計で、荷重はそれ自身管の周囲にかなり均等に分布する。従って、圧力による破損は管の4個のリガメント或いは側部のいずれかで起こり、腐食による破損は原子炉環境に露出される2個の外部リガメント或いは側部でのみ起こる。
【特許文献1】
特開平02−10193号
【0005】
【発明の概要】
本発明によれば、長方形の吸収管に突起或いは突出部が設けられ、これらが先に述べた「正方形」吸収管とほぼ同様な方法で、互いに溶接される吸収管の配列がパネルの形状になるようにする。しかし、吸収管の内部形状も又予定の縦横比を有する長方形である。内部リガメントの長さ(即ち、高さ)寸法が外部リガメントの幅寸法より大きいという異なる長さ及び幅寸法が、内部カプセルが外部リガメントよりも内部リガメントに近いので、運転中吸収管の間の内部リガメントに荷重を優先的にかけることとなる。又、吸収管の壁を構成する4個のリガメントは異なる厚さを有し、異なる間隔がおかれ、優先的な破損様式に更に影響を与える。具体的には隣接吸収管の間の比較的長い管壁即ちリガメントは、原子炉冷却材に曝される外部幅リガメントよりも厚さが薄い。従って、圧力が起こす破損は、4個の管リガメントのいずれかで生じる「正方形」の設計と異なり、隣接管の間の2個のリガメントでのみ優先的に起こる様になる。更に、長方形の内部形状は管内部の体積を増し、これは加圧する割合を減じる。勿論、隣接管の間の2個の内部リガメントが曝される環境は原子炉環境よりも厳しくなく、且つ、原子炉環境に曝される外部リガメントはここでは減少した歪みを受けるので、運転を制限する破損作用の確率は著しく減少することが分かる。
【0006】
内部の長方形の縦横比は、設計で仮定される破損のリスクの大きさを制限する様にすることが出来る。これはカプセルの直径と管或いはリガメント幅との間の隙間の大きさによって制御することが出来る。好ましい設計では、原子炉冷却材に曝される管壁に歪みが生じないように高さをカプセルが最大に拡張したときよりも大きくなるようにする。幅は間隙が無いかほとんど無いような寸法にし、従って、カプセルの膨張が隣接リガメントに荷重をかけるであろう。内部管壁即ちリガメントは不活性環境に曝されるだけなので、制御棒の腐食性破損を促進する機能としての歪みは本質的に減少させることが出来る。
【0007】
従って、広い観点から、本発明は、中性子吸収材を含有する複数の中性子吸収管を組み込んだ原子炉用制御棒に関し、中性子吸収管が略長方形であり、各吸収管が略円形の中性子吸収材セグメントの軸方向積重ねを少なくとも一つ含む様にしたものである。
別の観点では、本発明は、それぞれが隣接の翼と直角に延在する4個の翼を有する十字形状の制御棒本体を含む沸騰水型原子炉用制御棒に関し、各翼がパネル形状に互いに溶接される複数の略長方形の中性子吸収管を含み、各吸収管は略円筒形中性子吸収材セグメントで装填されている。
【0008】
本発明の他の目的及び利点は次の詳細な記載から明らかになるであろう。
【0009】
【最適実施例】
図面具体的には図1に従来の構造の制御棒集成体10が示されている。制御棒集成体は全体に十字形の制御本体12を含み、十字形の本体12の各翼14は制御棒の縦軸方向に略平行に延在する複数の長く延びた吸収管16を含んでいる。制御棒集成体10はハンドル18、結合解除ハンドル20、結合ソケット24と共に速度制御器22も含む。制御棒の直交した関係にある翼14が燃料チャンネルの対応する側壁に隣接して在るように、制御棒は4つの象限内に配列された燃料束を含む燃料チャンネルの間に挿入される様にされることが了解されよう。
【0010】
中性子吸収管16は円形のハフニウム棒及び/又は炭化ホウ素充填円形カプセルの形状の中性子吸収材料を含む。典型的には、カプセルはステンレス・スチールであり、粉末形状の炭化ホウ素を含み、吸収管の上端は他の中性子吸収材料、例えばハフニウム、から作られた、短棒で閉じることが出来る。個々のカプセル・セグメントは同じ或いは異なる長さにすることが出来るが、中性子吸収材は均一に充填することが好ましいけれども、不均一な充填を用いることも出来る。
【0011】
図2A特に拡大図2B及び2Cについてみると、従来の吸収管16は本質的には円形であるが、4個の等間隔にある突起或いは突出部28を含むように形成され、この突出部が管の外形に略「正方」形を与えている。4個の突出部28は略同一長及び厚さのリガメント30、30′により相互に結合されている。吸収管16は円形内部空間を有し、それに同様な形状の炭化ホウ素充填カプセル及び/又はハフニウム棒を充填している。隣接吸収管16は対応する突出部32、32′の所で互いに溶接され、隣接吸収管の間に閉空間34がある。制御棒の中心コア36の所で吸収管16は拡大詳細図2Cに良く見られるように隣接コア突起38に溶接される。従って、突出部表面32′は突起38に設けられた同様形状の表面40に溶接される。このタイプの吸収管形状の例は、本出願人所有の米国特許4,861,544に見ることが出来る。
【0012】
上述したように、管突出部間のリガメントは長さ及び厚さが略等しく、ガス放出の結果、管壁或いはリガメントにかかる内部荷重は管周囲に略均等に分布される。その結果、圧力による破損は4個のリガメントの何れにも生じるが、原子炉環境に露出される2個の外部リガメント30′にのみ腐食による破損が生じる。
次に図3乃至5には本発明の改良した吸収管が示されている。特に図3について見ると、隣接吸収管42、44がそれぞれ略長方形の形状であることが示され、内部長さ即ち高さリガメント46が外部の幅リガメント46′を結合している。リガメント46の高さがリガメント46′の幅より長いだけでなく、本発明の更なる特徴は、リガメント46が幅リガメント46′の対応する厚さよりも薄い厚さを有していることである。更に、中心に配置された(カプセル50で囲まれた)吸収材料48を管42の中心に配置していて、カプセル50と幅リガメント46′の間の隙間が、カプセル50と高さリガメント46の対応する隙間より大きいことが分かるであろう。
【0013】
各吸収管42及び44にはそれぞれ平らの表面54に沿って係合するようにされた外部突出部52、52′が設けられ、表面54で隣接管は互いに溶接される。図3に示すように、2個の管は互いに溶接され、隣接した管42及び43の間に閉空間56が形成される。この空間は、吸収材料カプセル50を囲む管内の空間と同様にヘリウムで充填される。
【0014】
図4について説明すると、吸収材料カプセルと管の内壁との間の管の幅寸法内の空隙はかなり小さいので、運転中のカプセルの膨張は図4に示すように隣接する比較的薄いリガメントに荷重をかける。内部管壁、即ち、隣接管壁と係合する壁は不活性環境に露出されるだけなので、構造の内部壁に誘起される歪みは制御棒の腐食性破損を促進する機能としては働かない。
【0015】
更に、より厳しい原子炉環境に曝される比較的厚いリガメントは歪みを減少させ、カプセルの増大は比較的厚いリガメントに影響を与えないので、運転を制限する破損作用の確率はかなり減少する。
前述したように、管内の内部空間の縦横比は、カプセル50と高さリガメント46及び/又は幅リガメント46′との間の間隙を増加或いは減少するために変えることが出来、これにより設計に組み込まれる破損のリスクを変えることが出来る。
【0016】
図5についてみると、本発明の別の実施例では、吸収材料棒或いはカプセルを複数個積み重ねたものを1個の直方形吸収管内に並べて装填してある。重要な事は、中性子吸収セグメント或いはカプセル56A、56B、56Cの複数の(例えば3)の積重ねを1個の長方形吸収管58内に囲み込む事である。管58は比較的薄く且つ短い高さリガメント60、及び、比較的厚いが長い幅リガメント60′を含む。この管は平らな表面62の所で、隣接する同様形状の管に溶接され、その間に閉空間64がある。ここでも又、縦横比を変えて、上述の様に内部リガメント60並びに外部リガメント60′に隣接する空隙を所望のものとなるように変えることが出来る。この構成は、図3及び4に関して記述したことと同様な効果がある。本発明のここに記述した特徴を持つように他の構成に本願発明を拡張出来ることは理解されるであろう。
【0017】
本発明の最も実際的で且つ好まし実施例と現在考えられるものについて説明したが、本発明は開示した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の思想の範囲内に含まれる様々な改変と均等な構成を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】原子炉用制御棒の斜視図。
【図2】図1に示す制御棒の部分断面図。
【図3】本発明を用いた隣接した2個の吸収管の拡大断面図。
【図4】図3に示したものと同様な断面図であるが、カプセルが拡大した後の管の変形を示している。
【図5】本発明の他の実施例による隣接する複数のカプセル吸収管を示す部分断面図。
【符号の説明】
10 制御棒集成体
16 中性子吸収管
56、64 閉空間
50 中性子吸収材カプセル
52、52′ 外部突起(外部突出部)

Claims (11)

  1. 中性子吸収材(48)を含有し内部及び外部断面共に長方形状を有する複数の中性子吸収管(16)を組み込んだ原子炉用制御棒 (10)であって、
    前記中性子吸収管の各々が円筒形の中性子吸収材セグメント(50)の軸方向積重ねを少なくとも一つ含むと共に、前記中性子吸収管の内部の高さ寸法が幅寸法より大きく、前記円筒形の中性子吸収材セグメント(50)が、通常は、前記中性子吸収管の前記幅寸法より小さい外径を有することを特徴とする原子炉用制御棒。
  2. 隣接の翼と直角に延在する4個の翼(14)を有する十字形状の制御棒本体(12)を有し、前記各翼がパネル形状に互いに溶接された複数の長方形の中性子吸収管(16)を有し、各中性子吸収管が円筒形中性子吸収材セグメント(50)で装填された沸騰水型原子炉用制御棒であって、前記中性子吸収管の各々が比較的厚い2つの平行壁(46’;60’)と比較的薄い2つの平行壁(46;60)とを有し、前記中性子吸収材セグメント(50)が前記中性子吸収管の中心に且つ前記比較的厚い壁よりも前記比較的薄い壁に近づけて配置されたことを特徴とする沸騰水型原子炉用制御
  3. 隣接の翼と直角に延在する4個の翼(14)を有する十字形状の制御棒本体(12)を有し、前記各翼がパネル形状に互いに溶接された複数の長方形の中性子吸収管(16)を有し、各中性子吸収管が円筒形中性子吸収材セグメント(50)で装填された沸騰水型原子炉用制御棒であって、
    前記長方形吸収管の内部高さ寸法が内部幅寸法より大きく、前記円筒形の中性子吸収材セグメント(50)が前記幅寸法より通常は小さい外径を有することを特徴とする沸騰水型原子炉用制御棒。
  4. 中性子吸収材(48)を含有し内部及び外部断面共に長方形状を有する複数の中性子吸収管(16)を組み込んだ原子炉用制御棒であって、
    前記中性子吸収管の各々が円筒形の中性子吸収材セグメント(50)の軸方向積重ねを少なくとも一つ含むと共に、前記中性子吸収管の各々が比較的厚い2つの平行壁(46’;60’)と比較的薄い2つの平行壁(46;60)とを有し、前記中性子吸収材セグメント(50)が前記中性子吸収管の中心に且つ前記比較的厚い壁よりも前記比較的薄い壁に近づけて配置されたことを特徴とする原子炉用制御
  5. 前記比較的薄い壁(46)が一対の外部突起(52)を有し、該外部突起が隣接する吸収管の同様な一対の外部突起(52’)と係合するようにされて、隣接する吸収管の前記比較的薄い壁の間に閉空間(56;64)を形成するようにされたことを特徴とする請求項2または4記載の沸騰水型原子炉用制御棒。
  6. 前記中性子吸収管と該中性子吸収材セグメント(50)の寸法を、中性子吸収材セグメント(50)の増大が該中性子吸収材セグメント(50)を前記比較的薄い壁(46)のみと係合し且つ前記比較的薄い壁を外方に変形するようにした請求項2または4または5記載の原子炉用制御棒。
  7. 前記長方形の中性子吸収管の内部高さ寸法(60)が内部幅寸法より小さく、各中性子吸収管が中性子吸収セグメントの積重ねを複数(56a, 56b, 56c)並べている請求項1または3に記載の原子炉用制御棒。
  8. 各中性子吸収管の4隅のそれぞれに外部突起(52)が形成され、該外部突起(52, 52')が平らな表面を有し、該表面が一つ以上の隣接する吸収管の対応する表面と平面係合する請求項1乃至7のいずれかに記載の原子炉用制御棒。
  9. 隣接する中性子吸収管(16)がその間に閉空間(56;64)を有し、該閉空間が前記比較的薄い壁の膨張を許容する請求項2または4または5または6に記載の原子炉用制御棒。
  10. 前記中性子吸収管内の前記中性子吸収材セグメント(50;56A,56B,56C)を囲む空間がヘリウムで充填されている請求項1乃至9のいずれかに記載の原子炉用制御棒。
  11. 前記閉空間(56;64)がヘリウムで充填されている請求項5または9に記載の原子炉用制御棒。
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