JP4049348B2 - シールド埋め戻し装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルなどの既設管路を埋め戻す際に使用するシールド埋め戻し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、管路等を構築する際に、既設の古い管路が邪魔となる場合がある。こうした場合、こうした古い管路を埋め戻す必要があり、シールドを使用した埋め戻し装置の提案がなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
こうした、シールド埋め戻し装置の場合、埋め戻すべき管路の外周部の土砂を掘削する際に、既設管路外径に対して出来るだけ近い外径で掘削することが、掘削土砂を減少し、埋め戻し量を少なくするために求められている。
【0004】
しかし、従来のシールド埋め戻し装置では、既設管路外径を掘削するカッターの駆動用モータが、既設管路とシールド外殻の間に配置されることから、どうしてもシールド外殻が大きくなり、掘削口径大型化するが不都合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、シールド外殻を大型化することなく、既設管路外径に対して出来るだけ近い外径で既設管路の外周部を掘削することが出来、それだけ掘削土砂を減少し、埋め戻し量を少なくすることが可能なシールド埋め戻し装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、外殻(3)を有し、外殻(3)の内部に既設の管路(2)の先端部を収容することの出来る管路嵌入空間(12)が設けられたシールド埋め戻し装置(1)において、
前記外殻に環状のカッター(10)を前記管路嵌入空間の外周を囲む形で設け、
前記管路嵌入空間(12)の、前記外殻後方に駆動用モータ(11)を設け、
前記外殻(3)の内部に、該外殻と同心円状に形成された内筒(7)を、前記管路嵌入空間(12)を囲む形でかつ、前記カッター(10)と駆動用モータ(11)との間を接続する形で回転自在に設けて構成される。
【0007】
請求項2の発明は、前記内筒(7)を前記外殻(3)の内側に直接重なる形で設けて構成される。
【0008】
[作用]
上述した構成により、カッター(10)の回転駆動は、管路嵌入空間(12)の後方に配置された駆動用モータ(11)により行われ、駆動用モータ(11)が管路嵌入空間(12)と外殻(3)との間に配置されることが無くなり、外殻(3)の外径(D)はそれだけ小さくなように作用する。
【0009】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、内筒(7)は既設管路(2)が進入してくる管路嵌入空間(12)の外周を囲む形で設けられ、しかも、カッター(10)を駆動する駆動用モータ(11)は、管路嵌入空間(12)の後方の、外殻(3)内にあることから、駆動用モータ(11)が、管路(2)の放射方向において、管路外周部と外殻(3)の間に配置されることがなく、その分外殻(3)の外径(D)を小さくすることが出来る。また、カッター(10)と駆動用モータ(11)の間は肉厚の薄い内筒(7)で回転自在に接続されているので、駆動用のシャフトなどを設ける場合のように、外殻の径が厚くならずに済む。これにより、シールド外殻を大型化することなく、既設管路外径に対して出来るだけ近い外径で既設管路の外周部を掘削することが出来、それだけ掘削土砂を減少し、埋め戻し量を少なくすることが可能なシールド埋め戻し装置を提供することが出来る。
【0010】
請求項2の場合、内筒(7)が外殻(3)と2重に直接重なる形になるのでシールド機の強度上も内筒を強度メンバーとして作用させることが出来るので、その分補強が不要となり、シールド埋め戻し装置1の構造を簡略化することが出来る。
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【0011】
【発明の実施の形態】
シールド埋め戻し装置1は、図1に示すように、円筒状に形成された外殻3を有しており、外殻3は、埋め戻すべきトンネルなどの管路2の先端部を、その先端から内部に向けて嵌入させた形で設置されている。外殻3は、前部外殻3aと後部外殻3bが中折れ装置5を介して直列に接続された、所謂中折れシールドであり、前部外殻3aと後部外殻3bとの間には、前部外殻3aと後部外殻3bとの間の矢印A、B方向における相対的な移動を行うための中折れジャッキ6が設置されている。
【0012】
前部外殻3aの内周部には、図2に示すように、外殻3と同心円状に設けられた内筒7がメタル軸受け9を介して回転自在に装着されており、内筒7の軸心方向の長さL1は、埋め戻すべき管路2に対する、シールド埋め戻し装置1の最大の嵌入長さL2よりも大きく形成されている。内筒7の先端には、円環状のカッター10が、後述する管路嵌入空間12の外周を囲む形で装着されており、カッター10のシールド掘進方向先端正面には多数のビット10aが形成されている。また、カッター10の内周側には、既設管路2の外周部に付着した裏込め材などを剥がすスクレーパ16が環状に設けられている。
【0013】
また、内筒7の後方、即ち図中右端部には、ベアリング7aが設けられており、ベアリング7aは内筒7を外殻3内部に設けられたリングガータ部3cに対して回転自在に支持している。ベアリング7aの図中右方には、環状の内歯ギヤ7bが設けられており、更に内歯ギヤ7bには、外殻内部に円筒状に設けられた補強部材であるリングガータ部3cに設置された複数の駆動モータ11が、その出力軸に装着された駆動ギヤ11aを介して噛合している。駆動用モータ11は、シールド埋め戻し装置1の先端部1aから最大嵌入長さL2に設定された、円筒状の管路嵌入空間12よりも、外殻後方である矢印B方向に設置されている。
【0014】
なお、外殻3内周部には、外殻軸心方向である矢印A、B方向にリブ3dが複数設けられており、リブ3dには、内筒7側に内筒支持部13が円筒状に形成されており、内筒支持部13と内筒7内周面の間には、シールパッキン15やメタル軸受け9が設けられている。また、リブ3dの管路嵌入空間12側には、既設管路2の外周部に付着した裏込め材などを剥がすスクレーパ16がカッター10と同様に環状に設けられ、更に、止水用のシール17が同様に環状に設けられている。
【0015】
リブ3dの先端部には、遮断壁19が円環状に設けられており、遮断壁19の上部には、送泥管20が、先端部をカッター10側に開口させた形で設けられ、更に、遮断壁19の下部には、排泥管21が、先端部をカッター10側に開口させた形で設けられている。
【0016】
また、後部外殻3bには、移動隔壁22が後部外殻3b内部とシールド外部を遮断する形でシールド掘進方向である矢印A、B方向に移動自在に設けられており、移動隔壁22と前部外殻3aとの間には、外殻3の内周に沿って配置された複数の推進ジャッキ23が移動隔壁22を矢印A、B方向に移動駆動自在に設けられている。なお、移動隔壁22には、図示しない埋め戻し材注入装置が、埋め戻し材を移動隔壁22の後方の地山30の埋め戻し部分30aに注入し得るように接続されている。
【0017】
前部外殻3aのリングガータ部3cには接続部材25を介して既設管路2内に配置されたシールド埋め戻し装置1の推進方向を制御するシールド機方向制御装置26が設けられており、シールド機方向制御装置26とリングガータ部3cとの間の接続部材25には、既設管路2を構成するセグメント2aを解体し、運搬するセグメント把持運搬装置27が設けられている。シールド機方向制御装置26には、PC鋼線29が接続しており、PC鋼線29の先端は管路2の左方に適宜設けられた縦坑に設置された、図示しない牽引装置に接続されている。
【0018】
シールド埋め戻し装置1は、以上のような構成を有するので、既設管路2を埋め戻す際には、図1に示すように、前部外殻3aの管路嵌入空間12内に、埋め戻すべき管路2の先端を嵌入させた状態で、駆動用モータ11を回転駆動し、内歯ギヤ7bを介して内筒7を回転駆動させる。すると、内筒7の回転と共に、内筒7の先端に設けられたカッター10も管路2の外周部で回転する。
【0019】
この状態で、管路2の右方に適宜設けられた図示しない縦坑に設けられた図示しない牽引装置により、シールド機方向制御装置26及び接続部材25を介して外殻3を前方、即ち矢印A方向に牽引すると、カッター10と管路2外周部の地山30は所定の接触圧力で接触し、管路2の外周部はカッター10により円環状に掘削されると共に、外殻3は矢印A方向に、管路2の図1中右方の先端部を管路嵌入空間12内に徐々に嵌入させてゆく形で移動する。この際、カッター10により掘削された掘削土砂は、排泥管21を介して管路外部に排出され、また送泥管20からは泥水が切り羽の崩壊を防止するために供給される。
【0020】
また、この際、外殻3の矢印A方向の移動に伴って、推進ジャッキ23を駆動して移動隔壁22を矢印B方向に突出さて地山30の埋め戻し部分30aを支持し、外殻3の移動により、既に埋め戻した埋め戻し部分30aが崩壊しないようにする。
【0021】
こうして、所定距離A方向に外殻3が掘進したところで、外殻3の矢印A方向への推進を停止し、今度は推進ジャッキ23を駆動して移動隔壁22を矢印A方向に移動させつつ、図示しない埋め戻し材注入装置を駆動して、移動隔壁22が移動した結果生じる埋め戻し部分30aと移動隔壁22との間の間隙28に埋め戻し材を注入し、管路2を埋め戻してゆく。また、同時にセグメント把持搬送装置27を駆動して、管路嵌入空間12内の既設管路のセグメント2aを解体し、管路出口である図1矢印A方向に搬送してゆく。
【0022】
移動隔壁22が矢印A方向に所定距離移動し、管路2の所定長さにわたる解体も終了し、更に移動隔壁22の後方に埋め戻し材が注入されたところで、再度、カッター10を回転駆動すると共に、図示しない牽引装置を駆動して、シールド機方向制御装置26及び接続部材25を介して外殻3を前方、即ち矢印A方向に牽引する。すると、カッター10と管路2外周部の地山30は所定の接触圧力で接触し、管路2の外周部はカッター10により円環状に掘削されると共に、外殻3は矢印A方向に、管路2の図1中右方の先端部を管路嵌入空間12内に徐々に嵌入させてゆく形で移動してゆく。
【0023】
この際、内筒7は既設管路2が進入してくる管路嵌入空間12の外周を囲む形で設けられ、しかも、カッター10を駆動する駆動用モータ11は、該内筒7、従って、管路嵌入空間12の後方の、外殻3内にあることから、駆動用モータ11が、管路2の放射方向において、管路外周部と外殻3の間に配置されることがなく、その分外殻3の外径Dを小さくすることが出来る。また、カッター10と駆動用モータ11の間は肉厚の薄い内筒7で回転自在に接続されているので、駆動用のシャフトなどを設ける場合のように、外殻の径が厚くならずに済むばかりか、内筒7が外殻3と2重に直接重なる形になるのでシールド機の強度上も内筒を強度メンバーとして作用させることが出来るので、シールド埋め戻し装置1の構造を簡略化することが出来る。
【0024】
なお、シールド埋め戻し装置1の構成は、前部外殻3aと後部外殻3bとからなる中折れシールド形式に係わらず、単一の外殻を有するものなど、どのようなシールド機の形式であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】シールド埋め戻し装置の一例を示す断面図。
【図2】図1のシールド埋め戻し装置の内筒部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
1……シールド埋め戻し装置
2……管路
3……外殻
7……内筒
10……カッター
11……駆動用モータ
12……管路嵌入空間

Claims (2)

  1. 外殻を有し、外殻の内部に既設の管路の先端部を収容することの出来る管路嵌入空間が設けられたシールド埋め戻し装置において、
    前記外殻に環状のカッターを前記管路嵌入空間の外周を囲む形で設け、
    前記管路嵌入空間の、前記外殻後方に駆動用モータを設け、
    前記外殻の内部に、該外殻と同心円状に形成された内筒を、前記管路嵌入空間を囲む形でかつ、前記カッターと駆動用モータとの間を接続する形で回転自在に設けて構成した、シールド埋め戻し装置。
  2. 前記内筒を前記外殻の内側に直接重なる形で設けて構成した、請求項1記載のシールド埋め戻し装置。
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