JP3816778B2 - トンネル掘削機 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土圧式の中折れ式シールド掘進機等、土砂移送装置としてスクリューコンベアを掘削機本体内に設置し掘削機本体を中折れさせることができるトンネル掘削機に関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネル掘削機の代表的なものとしてシールド掘進機を挙げることができる。このシールド掘進機は、シールドジャッキでシールド本体を推進しながらカッタヘッドで切羽を掘削して地下坑を形成するとともに、切羽の掘削により生じた掘削土砂を坑外に排出する。そのため、シールド掘進機では、掘削土砂をシールド本体内に移送するための土砂移送装置をシールド本体内に設置し、この土砂移送装置で移送された掘削土砂を、地下坑を経由して適宜の手段で発進立坑側に排出する。こうしたシールド掘進機には、泥水を掘削土砂に混合して泥水圧をたてることにより切羽の崩落を防止する泥水式のシールド掘進機と、掘削土砂を塑性流動化するための添加剤を掘削土砂に混合して土圧をたてることにより切羽の崩落を防止する土圧式のシールド掘進機とがよく知られている。後者の土圧式のシールド掘進機では、土砂移送装置としてスクリューコンベアを使用する。
【0003】
一方、シールド掘進機としては、カーブするトンネルを掘削する場合のように掘進方向を変えて曲進する中折れ式のシールド掘進機がよく知られている。この中折れ式のシールド掘進機は、シールド本体を、最前方の胴部である前胴と最後方の胴部である後胴とを少なくとも備えた二つ以上の胴部に分割して、各胴部の隣接する端部同士を揺動可能に連結することにより、シールド本体を中折れさせることができるように構成したものである。本発明は、土砂移送装置としてスクリューコンベアをシールド本体内に設置した土圧式のシールド掘進機のうち、こうした中折れ式のシールド掘進機を改良しようとするものである。
【0004】
この土圧式の中折れ式シールド掘進機は、前部に隔壁を有し複数個の胴部を水平方向に揺動可能に連結して中折れできるように形成したシールド本体と、シールド本体の前方に隔壁を介して回転可能に設置されたカッタヘッドとを備え、隔壁に取り付けられ掘削土砂をシールド本体内に移送するためのスクリューコンベアをシールド本体内に設置している。このスクリューコンベアは、シールド本体前部すなわち前胴前部の隔壁に取り付けられているため、シールド本体の中折れ時に、前胴が水平方向に揺動することに伴って水平方向に揺動する。そのため、シールド本体の中折れ操作により前胴を所定角度以上揺動させると、スクリューコンベアの後端部がシールド本体内の設備機器と干渉する。
【0005】
従来、こうした問題を解消するため、技術が種々提案されており、その一例として特開平11ー200783号公報に記載の技術を挙げることができる。この公開特許公報に記載の従来の技術は、スクリューコンベアの前端部を、前胴前部の隔壁としてのバルクヘッドに球面軸受を介して水平方向等に揺動可能に取り付けたものである。従来の技術は、このようにスクリューコンベアを隔壁に対して水平方向に揺動可能に取り付けているので、シールド本体の中折れ時に、前胴の揺動する方向と逆の方向に適当な角度揺動させることにより、スクリューコンベアの後端部がシールド本体内の設備機器と干渉するのを防ぐことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、土砂移送装置としてスクリューコンベアを設置した土圧式のシールド掘進機では、スクリューコンベアでシールド本体内に移送された掘削土砂を特に管体で排出する場合に、スクリューコンベアからの掘削土砂を管体で送りやすい性状にするため、スクリューコンベアの後端部に、掘削土砂を解す(ほぐす)ためのスクリューフィーダを付設することがある。そのため、隔壁に揺動可能に取り付けられているスクリューコンベアの前端部以降の揺動部の全長がスクリューフィーダの付設により長くなって、中折れ時に揺動部がシールド本体内の設備機器と干渉しやすくなる。
【0007】
一方、スクリューコンベアは、長さを短くすると、切羽側の地下水がスクリューコンベアを通じてシールド本体内に浸入したり、切羽の崩落を防止するための土圧を保持することができなくなったりするため、前記の問題に対応してスクリューコンベアの長さを短縮するにしても、自ずから限界がある。こうしたことから、スクリューコンベアの後端部にスクリューフィーダを付設した場合には、スクリューコンベアを隔壁に揺動可能に取り付けた従来の技術によっても、周辺の条件次第で、揺動部が中折れ時にシールド本体内の設備機器と干渉するのを回避できないことがある。
【0008】
すなわち、従来の技術では、中折れ時にスクリューコンベアを前胴の揺動方向と逆方向に限界まで揺動させても、シールド本体が少径である、シールド本体内に多数の設備機器が密集している、中折れ角度が大きい等の周辺条件によっては、スクリューフィーダがシールド本体内の設備機器と干渉するのを防げない事態が生じ得る。例えば、小口径の地下坑を施工するのに適したミニシールド掘進機では、パワーユニット、動力盤等の種々の設備機器を少径のシールド本体内に一括して設置しているため、スクリューコンベアにスクリューフィーダを付設した場合には、従来の技術を適用しても、こうした事態が生じ得る。
【0009】
本発明は、こうした問題を解決するために創作されたものであって、その技術課題は、後端部にスクリューフィーダを取り付けた掘削機本体内のスクリューコンベアが中折れ時に掘削機本体内の設備機器と干渉するのを防止することができるトンネル掘削機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のこうした技術課題は、
前部に隔壁を有し複数個の胴部を水平方向に揺動可能に連結して中折れできるように形成した掘削機本体と、掘削機本体の前方に隔壁を介して回転可能に設置されたカッタヘッドとを備え、隔壁に取り付けられ掘削土砂を掘削機本体内に移送するスクリューコンベアと、このスクリューコンベアの後端部に連結されスクリューコンベアから排出された掘削土砂を解すスクリューフィーダと、このスクリューフィーダで解した掘削土砂を機外に排出する排土管とを掘削機本体内に設置したトンネル掘削機において、
スクリューコンベアの前端部を隔壁に水平方向に揺動可能に取り付けるとともに、スクリューフィーダをスクリューコンベアの後端部の下方に配置して水平方向に揺動可能に設置し、スクリューフィーダに可撓性の排土管を接続したこと、により達成される。
【0011】
本発明のトンネル掘削機は、こうした手段を採用しているので、中折れ時に、スクリューコンベアと掘削機本体内の設備機器との干渉を防ぐようにスクリューコンベアを限界まで水平方向に揺動させても、スクリューフィーダと掘削機本体内の設備機器との干渉を回避することができないときには、スクリューフィーダを水平方向に適当に揺動させことにより、その干渉を防ぐことができる。こうしたことに加え、スクリューフィーダを特にスクリューコンベアの後端部の下方に配置しているので、スクリューコンベアの後端からのスクリューフィーダの突出量を極力減少させることができてスクリューフィーダと掘削機本体内の設備機器との干渉をしにくくすることができる。
【0012】
以上の結果、本発明のトンネル掘削機によれば、後端部にスクリューフィーダを取り付けた掘削機本体内のスクリューコンベアが中折れ時に掘削機本体内の設備機器と干渉するのを防止することができる。排土管は、スクリューコンベアやスクリューフィーダの揺動に伴って変位するが、排土管は、可撓性を有しているので、スクリューコンベアやスクリューフィーダの揺動に追従して無理なく変位することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかを示す具体化例を図1乃至図5に基づいて説明することにより、本発明の実施の形態を明らかにする。図1は、本発明の具体化例のトンネル掘削機の垂直縦断面図、図2は、図1のA−A線断面図、図3は、トンネル掘削機の中折れ時における図2と同様の図、図4は、図3のB−B線断面図、図5は、図3の要部の拡大詳細図である。これらの図に図示するトンネル掘削機は、小口径の地下坑を施工するのに適した中折れ式のミニシールド掘進機であり、通常のシールド掘進機に付設する後続台車をほとんど設けないで、この後続台車に搭載されるパワーユニット、動力盤等の種々の機器を小径のシールド本体内に一括して設置している。
【0014】
これらの図において、1は前胴1aと前部中胴1bと後部中胴1cと後胴1dとを設けて中折れ可能に構成されたシールド掘進機の胴体をなすシールド本体、1eはシールド本体1の内部空間を機外から遮断するシールド本体1の隔壁、1fはシールド本体1の最後部である後胴1dの内周側に環状に設けられシールド本体1の後部と既設のセグメントSとの間をシールするテールシール、2はシールド本体1の前方に隔壁1eを介して回転可能に設置され切羽を掘削するカッタヘッド、2aはこのカッタヘッド2を回転駆動するカッタ駆動装置、3はカッタヘッド2と隔壁1eとの間に形成され掘削土砂を取り込んで充満させることにより切羽を土圧で支持するチャンバ、4はシールド本体1の周方向に複数個設置され既設のセグメントSで反力を取りながらシールド本体1を推進するシールドジャッキである。
【0015】
テールシール1fは、シールド本体1の後部内周とセグメントSの前部外周の隙間をシールしてその隙間から土砂や地下水が浸入しないようにシールする働きをする。シールド掘進機は、シールドジャッキ4でシールド本体1を推進しながらカッタヘッド2で切羽を掘削して地下坑を形成する。その際、チャンバ3内の掘削土砂により土圧をたて切羽の崩落を防止する。チャンバ3内には、内部に取り込んだ掘削土砂を塑性流動化するための添加剤が注入され、チャンバ3内の掘削土砂と撹拌混合される。切羽は、こうして生成された塑性流動状の掘削土砂の土圧により支持されて、崩落が防止される。
【0016】
5は胴1a、1b,1c,1dの隣接するもの同士を互いに揺動させてシールド本体1を3個所で中折れさせる中折れジャッキ、5aはシールド本体1を中折れさせるときの中折れ中心となる中折れピン、6は前端部が前部中胴1bの前端部に取り付けられ後端部が前部中胴1bと後部中胴1cの間の中折れジャッキ5の前端部に連結されて前部中胴1bを小さく前後に移動させることができる前部駆動ジャッキである。
【0017】
前胴1aと前部中胴1b、前部中胴1bと後部中胴1c、後部中胴1cと後胴1dは、それぞれ、シールド本体1の径方向垂直線を中心にして水平方向に揺動できるようにブラケットを介して中折れピン5aで軸着している。中折れジャッキ5は、それぞれ、前胴1aと前部中胴1bとの間、前部中胴1bと後部中胴1cとの間、後部中胴1cと後胴1dとの間を軸着して連結するように3個所に設けられ、各個所ともシールド本体1の周方向に間隔を置いて複数個設けられている。したがって、各個所の複数の中折れジャッキ5のうちの任意の個所のものをストローク差をつけて駆動することにより、中折れ部P1,P2,P3の任意の部位でシールド本体1を所望の方向に中折れピン5aを中心に中折れさせることができる。図3は、こうしてシールド本体1を中折れさせたときの状態を示す。なお、中折れジャッキ5のうち、特に前胴1aと前部中胴1bとの間を連結する中折れジャッキ5については、図に表されていない。
【0018】
前部駆動ジャッキ6は、カッタヘッド2による切羽の掘削時に伸ばすことにより、前部中胴1bを介して前胴1aを小距離前進させてカッタヘッド2に推力を付与する働きをする。また、このように前部駆動ジャッキ6を伸ばした状態からこれを縮めながらシールドジャッキ4を伸ばすと、後部中胴1c及び後胴1dを前進させることができ、こうした尺取り運動を行うことによりシールド本体1全体を前進させることができる。この中折れ式のシールド掘進機は、前述したようにパワーユニット、動力盤等の全ての機器をシールド本体1内に設置していて、機長が長くなるため、このように前部駆動ジャッキ6を設けてシールド本体1を尺取り運動により推進できるようにし、かつ、シールド本体1に通常より多くの中折れ部P1,P2,P3を設けて急曲線の施工を行いやすくしている。
【0019】
7は隔壁1eに水平方向に揺動可能に取り付けられチャンバ3内の掘削土砂をシールド本体1内に移送するスクリューコンベア、7aはこのスクリューコンベア7を隔壁1eに水平方向に揺動可能に取り付けるための球面軸受、7bはスクリューコンベア7を回転駆動するためのスクリューモータ、7cはスクリューコンベア7の排出側を開閉するスクリューゲート、7dはスクリューコンベア7の後端部をなす土砂排出部、8はスクリューコンベア7から排出された掘削土砂を解す(ほぐす)スクリューフィーダ、9はこのスクリューフィーダ8で解された掘削土砂を機外に排出する可撓性の排土管である。
【0020】
スクリューコンベア7は、図1に示すように後方に向かって上方に傾斜するように、図示しない支持装置で水平方向に揺動させ得るように支持されている。スクリューコンベア7の土砂排出部7dは、クリューコンベア7の土砂搬出路7eで搬出される土砂を集めて土砂搬出路7e内に充満させないように溜める空間を有する。スクリューコンベア7は、回転数を調節することで切羽の掘削土砂の排出量を調節して、切羽を支持するための土圧を調整するが、土砂が土砂搬出路7e内に充満していると、スクリューコンベア7で送られる土砂と土砂搬出路7e内の土砂とが競り合って土圧を適切に調整することができなくなる。この中折れ式のシールド掘進機では、このように土砂を土砂搬出路7e内に充満させないようにするための土砂排出部7dを付設しているため、土圧を、土砂搬出路7e内の土砂に影響されずにスクリューコンベア7で適切に調整することができる。
【0021】
スクリューフィーダ8は、スクリューコンベア7の土砂排出部7dの下方に配置され、後述する図5に示す機構により水平方向に揺動可能に設置されている。スクリューフィーダ8は、スクリューコンベア7から送られた掘削土砂を解しながら破砕する。スクリューコンベア7の土砂排出部7dの上部には、図示しない送気管から圧縮空気が供給されるとともに、排土管9は、図示しないバキュームポンプに連結されている。したがって、スクリューフィーダ8から排土管9に送られた掘削土砂は、土砂排出部7dの上部に供給された前記圧縮空気で圧送されるとともに前記バキュームポンプにより吸引されて、密封された状態で発進立坑側に排出される。その場合、掘削土砂は、スクリューフィーダ8により解されているので、排土管9で円滑に排出することができる。
【0022】
10はカッタヘッド2、シールドジャッキ4等のシールド掘進機のアクチュエータの作動油を貯溜するオイルタンク、11はカッタヘッド2やスクリューモータ7b等のモータ類に関する動力盤、12はシールドジャッキ4や中折れジャッキ5等のジャッキ類に関する動力盤、Sは地下坑の周壁に沿ってリング状に組み立てられた既設のセグメントである。なお、図示はしていないが、このセグメントSを組み立てるためのエレクタは、台車に載せられてシールド本体1の後方に配置され、シールド本体1に随伴して移動できるように設置されている。
【0023】
オイルタンク10は、内部に、油圧の発生源となる油圧ポンプを設置し、後端に、この油圧ポンプを駆動するためのモータを付設しており、パワーユニットをなしている。動力盤11,12は、モータ類やジャッキ類を起動させたり停止させたりするための電源スイッチや漏電遮断器等の電源系統の機器を備えており、シールド本体1の内周壁に固定される。これらのオイルタンク10及び動力盤11,12等の設備機器は、通常のシールド掘進機では後続台車に搭載されているが、この中折れ式のシールド掘進機は、ミニシールド掘進機であるため、これらの設備機器10,11,12を含む、通常後続台車に搭載されるあらゆる設備機器を、シールド本体1の機長を長くすることにより、シールド本体1の内部に一括して納めている。
【0024】
ミニシールド掘進機では、このように種々の設備機器を少径のシールド本体1内に一括して設置し、かつ、機長も長くなるため、スクリューコンベア7にスクリューフィーダ8を付設した場合、スクリューコンベア7を隔壁1eに水平方向に揺動可能に取り付けただけでは、スクリューフィーダ8が中折れ時にシールド本体1内の設備機器と干渉するのを回避できない事態が生じ得る。この中折れ式のシールド掘進機の最大の特徴は、こうした問題に対応して、スクリューコンベア7の前端部を隔壁1eに水平方向に揺動可能に取り付けたことに加え、特に、スクリューフィーダ8を、スクリューコンベア7の後端部をなす土砂排出部7dの下方に配置して水平方向に揺動可能に設置した点にある。そこで、スクリューフィーダ8を土砂排出部7dの下方に水平方向に揺動可能に設置するための機構につき、図4及び図5を用いて説明する。
【0025】
これらの図において、17はスクリューコンベア7の土砂排出部7dの下端部に付設した下面が水平の土砂排出部側のフランジ、17aはこのフランジ17に形成した平面視円弧状の長孔、18はスクリューフィーダ8の上端部に付設した上面が水平のスクリューフィーダ側のフランジ、19は長孔17aに挿通して土砂排出部側のフランジ17とスクリューフィーダ側のフランジ18とを締結するボルトである。
【0026】
長孔17aは、土砂排出部側のフランジ17の周方向に所定間隔を置いて多数形成している。スクリューフィーダ側のフランジ18には、ボルト19を挿通させることができるボルト挿通孔を長孔17aに対応して多数設けている。したがって、土砂排出部側のフランジの各長孔17aとスクリューフィーダ側のフランジ18の各ボルト挿通孔とにボルト19をそれぞれ挿通して各ボルト19の下端部をボルト挿通孔から突出させた後、各ボルト19の下端部にナットを螺着して各ボルト19を締めることにより、両フランジ17,18をボルト19で固着してスクリューフィーダ8を土砂排出部7dの下方に設置することができる。
【0027】
また、スクリューフィーダ8をスクリューコンベア7に対し水平方向に揺動させて角度を変えて設置したいときには、ボルト19を若干緩めた後、スクリューフィーダ8を水平方向に揺動させると、ボルト19は、フランジ18のボルト挿通孔に挿入されたまま、フランジ17の円弧状の長孔17aに沿って移動する。こうしてスクリューフィーダ8を所望の方向に所望の角度揺動させた後、ボルト19を締めると、スクリューフィーダ8をスクリューコンベア7に対して水平方向に所望の角度だけ傾けて設置することができる。
【0028】
ここに示す例では、こうした機構によりスクリューフィーダ8を土砂排出部7dに揺動可能に設置しているが、土砂排出部7dの下端部外周に球面を形成し、この球面をスクリューフィーダ8の上部の土砂供給口に嵌入することにより、スクリューフィーダ8を土砂排出部7dの下方に水平方向に揺動可能に設置してもよい。その場合、スクリューフィーダ8を土砂排出部7dに対して任意の揺動位置で固定できるようにするための手段を設ける。
【0029】
次に、こうした機構を備えた中折れ式のシールド掘進機の作用効果について説明する。いま、図3に示すように前胴1aを反時計方向に水平に揺動させてシールド本体1を中折れさせると、これに伴ってスクリューコンベア7も反時計方向に水平に揺動して、スクリューフィーダ8が後部中胴1c内の右側動力盤11と干渉しようとするため、図3に示すように、スクリューコンベア7を、球面軸受7aを支点にして前部中胴1b内のオイルタンク10と干渉する直前の限界位置まで時計方向に水平に揺動させる。しかしながら、こうしてスクリューコンベア7を限界位置まで揺動させても、スクリューフィーダ8を原状のままにすると、図3から推察できるようにスクリューフィーダ8が右側の動力盤11と干渉する事態は、回避することができない。
【0030】
通常の中折れ式のシールド掘進機では、ミニシールド掘進機のようには機長が長くないため、スクリューコンベア7の後端部がセグメントSの近くのシールド本体1の後端部付近に位置していて、設備機器がほとんど設置されていない個所に位置している(例えば、前記の従来の技術に係る公開特許公報の図1を参照)ため、スクリューコンベア7を限界位置まで揺動させれば、スクリューフィーダ8を原状のままにしても、スクリューフィーダ8が動力盤11と干渉するような事態は、ほとんど生じない。これに対し、この中折れ式のシールド掘進機のようなミニシールド掘進機では、シールド本体1が少径で多数の設備機器を設置していることに加えて機長が長いため、スクリューコンベア7の後端部が設備機器の密集しているシールド本体1の中間部に位置することとなって、中折れ時にスクリューフィーダ8が動力盤11と干渉する事態が生じ得る。
【0031】
この中折れ式のシールド掘進機では、スクリューフィーダ8をスクリューコンベア7に対して特に水平方向に揺動可能に設置しているので、こうした場合、図3に示すようにスクリューフィーダ8を時計方向に水平に適当な角度揺動させることにより、スクリューフィーダ8が右側の動力盤11と干渉するのを防ぐことができる。こうしたことに加え、この中折れ式のシールド掘進機では、スクリューフィーダ8を特にスクリューコンベア7の土砂排出部7dの下方に配置しているので、スクリューコンベア7の後端からのスクリューフィーダ8の突出量を極力減少させることができてスクリューフィーダ8とシールド本体1内の設備機器との干渉をしにくくすることができる。
【0032】
以上の結果、この中折れ式のシールド掘進機によれば、後端部にスクリューフィーダ8を取り付けたシールド本体1内のスクリューコンベア7が中折れ時にシールド本体1内の動力盤11のような設備機器と干渉するのを防止することができる。排土管9は、スクリューコンベア7やスクリューフィーダ8の揺動に伴って変位するが、この中折れ式のシールド掘進機では、排土管9を可撓性の材料で形成しているので、排土管9は、スクリューコンベア7やスクリューフィーダ8の揺動に追従して無理なく変位することができる。
【0033】
以上、中折れ式のシールド掘進機を例に挙げて本発明の実施の形態を説明したが、トンネル掘削機には、こうしたシールド掘進機のほか、「前部にカッタを設けた前胴と前後に摺動できるように接続された後胴とを有する二つ以上の胴部で中折れ可能に掘削機本体が構成され、後胴及び後胴の前方側の胴部をそれぞれリヤグリッパ及びフロントグリッパとで交互に固定しながらスライドジャッキを伸縮して後胴と後胴の前方側の胴部とで尺取り運動をさせることにより後胴の前方側の胴部を推進して地下坑を掘削するトンネル掘削機」がある。本発明は、土砂移送装置としてスクリューコンベアを用いたものであれば、こうしたトンネル掘削機にも、当然適用することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、「課題を解決するための手段」の項に示した手段を採用しているので、本発明のトンネル掘削機では、中折れ時に、スクリューコンベアを水平方向に揺動させても、スクリューフィーダと掘削機本体内の設備機器との干渉を回避できないときに、スクリューフィーダを水平方向に揺動させことにより、その干渉を防ぐことができる。さらに、本発明のトンネル掘削機では、スクリューフィーダを特にスクリューコンベアの後端部の下方に配置しているので、スクリューコンベアの後端からのスクリューフィーダの突出量を極力減少させることができてスクリューフィーダと掘削機本体内の設備機器との干渉をしにくくすることができる。
【0035】
したがって、本発明のトンネル掘削機によれば、後端部にスクリューフィーダを取り付けた掘削機本体内のスクリューコンベアが中折れ時に掘削機本体内の設備機器と干渉するのを防止することができる。排土管は、スクリューコンベアやスクリューフィーダの揺動に伴って変位するが、本発明のトンネル掘削機では、排土管を可撓性の材料で形成しているので、排土管は、スクリューコンベアやスクリューフィーダの揺動に追従して無理なく変位することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体化例のトンネル掘削機の垂直縦断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】トンネル掘削機の中折れ時における図2と同様の図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】図3の要部の拡大詳細図である。
【符号の説明】
1 シールド本体
1a 前胴
1b 前部中胴
1c 後部中胴
1d 後胴
1e 隔壁
2 カッタヘッド
2a カッタ駆動装置
4 シールドジャッキ
5 中折れジャッキ
6 前部駆動ジャッキ
7 スクリューコンベア
7a 球面軸受
7d 土砂排出部
8 スクリューフィーダ
9 排土管
10 オイルタンク
11,12 動力盤
17 土砂排出部側のフランジ
17a 長孔
18 スクリューフィーダ側のフランジ
19 ボルト
S セグメント
【発明の属する技術分野】
本発明は、土圧式の中折れ式シールド掘進機等、土砂移送装置としてスクリューコンベアを掘削機本体内に設置し掘削機本体を中折れさせることができるトンネル掘削機に関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネル掘削機の代表的なものとしてシールド掘進機を挙げることができる。このシールド掘進機は、シールドジャッキでシールド本体を推進しながらカッタヘッドで切羽を掘削して地下坑を形成するとともに、切羽の掘削により生じた掘削土砂を坑外に排出する。そのため、シールド掘進機では、掘削土砂をシールド本体内に移送するための土砂移送装置をシールド本体内に設置し、この土砂移送装置で移送された掘削土砂を、地下坑を経由して適宜の手段で発進立坑側に排出する。こうしたシールド掘進機には、泥水を掘削土砂に混合して泥水圧をたてることにより切羽の崩落を防止する泥水式のシールド掘進機と、掘削土砂を塑性流動化するための添加剤を掘削土砂に混合して土圧をたてることにより切羽の崩落を防止する土圧式のシールド掘進機とがよく知られている。後者の土圧式のシールド掘進機では、土砂移送装置としてスクリューコンベアを使用する。
【0003】
一方、シールド掘進機としては、カーブするトンネルを掘削する場合のように掘進方向を変えて曲進する中折れ式のシールド掘進機がよく知られている。この中折れ式のシールド掘進機は、シールド本体を、最前方の胴部である前胴と最後方の胴部である後胴とを少なくとも備えた二つ以上の胴部に分割して、各胴部の隣接する端部同士を揺動可能に連結することにより、シールド本体を中折れさせることができるように構成したものである。本発明は、土砂移送装置としてスクリューコンベアをシールド本体内に設置した土圧式のシールド掘進機のうち、こうした中折れ式のシールド掘進機を改良しようとするものである。
【0004】
この土圧式の中折れ式シールド掘進機は、前部に隔壁を有し複数個の胴部を水平方向に揺動可能に連結して中折れできるように形成したシールド本体と、シールド本体の前方に隔壁を介して回転可能に設置されたカッタヘッドとを備え、隔壁に取り付けられ掘削土砂をシールド本体内に移送するためのスクリューコンベアをシールド本体内に設置している。このスクリューコンベアは、シールド本体前部すなわち前胴前部の隔壁に取り付けられているため、シールド本体の中折れ時に、前胴が水平方向に揺動することに伴って水平方向に揺動する。そのため、シールド本体の中折れ操作により前胴を所定角度以上揺動させると、スクリューコンベアの後端部がシールド本体内の設備機器と干渉する。
【0005】
従来、こうした問題を解消するため、技術が種々提案されており、その一例として特開平11ー200783号公報に記載の技術を挙げることができる。この公開特許公報に記載の従来の技術は、スクリューコンベアの前端部を、前胴前部の隔壁としてのバルクヘッドに球面軸受を介して水平方向等に揺動可能に取り付けたものである。従来の技術は、このようにスクリューコンベアを隔壁に対して水平方向に揺動可能に取り付けているので、シールド本体の中折れ時に、前胴の揺動する方向と逆の方向に適当な角度揺動させることにより、スクリューコンベアの後端部がシールド本体内の設備機器と干渉するのを防ぐことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、土砂移送装置としてスクリューコンベアを設置した土圧式のシールド掘進機では、スクリューコンベアでシールド本体内に移送された掘削土砂を特に管体で排出する場合に、スクリューコンベアからの掘削土砂を管体で送りやすい性状にするため、スクリューコンベアの後端部に、掘削土砂を解す(ほぐす)ためのスクリューフィーダを付設することがある。そのため、隔壁に揺動可能に取り付けられているスクリューコンベアの前端部以降の揺動部の全長がスクリューフィーダの付設により長くなって、中折れ時に揺動部がシールド本体内の設備機器と干渉しやすくなる。
【0007】
一方、スクリューコンベアは、長さを短くすると、切羽側の地下水がスクリューコンベアを通じてシールド本体内に浸入したり、切羽の崩落を防止するための土圧を保持することができなくなったりするため、前記の問題に対応してスクリューコンベアの長さを短縮するにしても、自ずから限界がある。こうしたことから、スクリューコンベアの後端部にスクリューフィーダを付設した場合には、スクリューコンベアを隔壁に揺動可能に取り付けた従来の技術によっても、周辺の条件次第で、揺動部が中折れ時にシールド本体内の設備機器と干渉するのを回避できないことがある。
【0008】
すなわち、従来の技術では、中折れ時にスクリューコンベアを前胴の揺動方向と逆方向に限界まで揺動させても、シールド本体が少径である、シールド本体内に多数の設備機器が密集している、中折れ角度が大きい等の周辺条件によっては、スクリューフィーダがシールド本体内の設備機器と干渉するのを防げない事態が生じ得る。例えば、小口径の地下坑を施工するのに適したミニシールド掘進機では、パワーユニット、動力盤等の種々の設備機器を少径のシールド本体内に一括して設置しているため、スクリューコンベアにスクリューフィーダを付設した場合には、従来の技術を適用しても、こうした事態が生じ得る。
【0009】
本発明は、こうした問題を解決するために創作されたものであって、その技術課題は、後端部にスクリューフィーダを取り付けた掘削機本体内のスクリューコンベアが中折れ時に掘削機本体内の設備機器と干渉するのを防止することができるトンネル掘削機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のこうした技術課題は、
前部に隔壁を有し複数個の胴部を水平方向に揺動可能に連結して中折れできるように形成した掘削機本体と、掘削機本体の前方に隔壁を介して回転可能に設置されたカッタヘッドとを備え、隔壁に取り付けられ掘削土砂を掘削機本体内に移送するスクリューコンベアと、このスクリューコンベアの後端部に連結されスクリューコンベアから排出された掘削土砂を解すスクリューフィーダと、このスクリューフィーダで解した掘削土砂を機外に排出する排土管とを掘削機本体内に設置したトンネル掘削機において、
スクリューコンベアの前端部を隔壁に水平方向に揺動可能に取り付けるとともに、スクリューフィーダをスクリューコンベアの後端部の下方に配置して水平方向に揺動可能に設置し、スクリューフィーダに可撓性の排土管を接続したこと、により達成される。
【0011】
本発明のトンネル掘削機は、こうした手段を採用しているので、中折れ時に、スクリューコンベアと掘削機本体内の設備機器との干渉を防ぐようにスクリューコンベアを限界まで水平方向に揺動させても、スクリューフィーダと掘削機本体内の設備機器との干渉を回避することができないときには、スクリューフィーダを水平方向に適当に揺動させことにより、その干渉を防ぐことができる。こうしたことに加え、スクリューフィーダを特にスクリューコンベアの後端部の下方に配置しているので、スクリューコンベアの後端からのスクリューフィーダの突出量を極力減少させることができてスクリューフィーダと掘削機本体内の設備機器との干渉をしにくくすることができる。
【0012】
以上の結果、本発明のトンネル掘削機によれば、後端部にスクリューフィーダを取り付けた掘削機本体内のスクリューコンベアが中折れ時に掘削機本体内の設備機器と干渉するのを防止することができる。排土管は、スクリューコンベアやスクリューフィーダの揺動に伴って変位するが、排土管は、可撓性を有しているので、スクリューコンベアやスクリューフィーダの揺動に追従して無理なく変位することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかを示す具体化例を図1乃至図5に基づいて説明することにより、本発明の実施の形態を明らかにする。図1は、本発明の具体化例のトンネル掘削機の垂直縦断面図、図2は、図1のA−A線断面図、図3は、トンネル掘削機の中折れ時における図2と同様の図、図4は、図3のB−B線断面図、図5は、図3の要部の拡大詳細図である。これらの図に図示するトンネル掘削機は、小口径の地下坑を施工するのに適した中折れ式のミニシールド掘進機であり、通常のシールド掘進機に付設する後続台車をほとんど設けないで、この後続台車に搭載されるパワーユニット、動力盤等の種々の機器を小径のシールド本体内に一括して設置している。
【0014】
これらの図において、1は前胴1aと前部中胴1bと後部中胴1cと後胴1dとを設けて中折れ可能に構成されたシールド掘進機の胴体をなすシールド本体、1eはシールド本体1の内部空間を機外から遮断するシールド本体1の隔壁、1fはシールド本体1の最後部である後胴1dの内周側に環状に設けられシールド本体1の後部と既設のセグメントSとの間をシールするテールシール、2はシールド本体1の前方に隔壁1eを介して回転可能に設置され切羽を掘削するカッタヘッド、2aはこのカッタヘッド2を回転駆動するカッタ駆動装置、3はカッタヘッド2と隔壁1eとの間に形成され掘削土砂を取り込んで充満させることにより切羽を土圧で支持するチャンバ、4はシールド本体1の周方向に複数個設置され既設のセグメントSで反力を取りながらシールド本体1を推進するシールドジャッキである。
【0015】
テールシール1fは、シールド本体1の後部内周とセグメントSの前部外周の隙間をシールしてその隙間から土砂や地下水が浸入しないようにシールする働きをする。シールド掘進機は、シールドジャッキ4でシールド本体1を推進しながらカッタヘッド2で切羽を掘削して地下坑を形成する。その際、チャンバ3内の掘削土砂により土圧をたて切羽の崩落を防止する。チャンバ3内には、内部に取り込んだ掘削土砂を塑性流動化するための添加剤が注入され、チャンバ3内の掘削土砂と撹拌混合される。切羽は、こうして生成された塑性流動状の掘削土砂の土圧により支持されて、崩落が防止される。
【0016】
5は胴1a、1b,1c,1dの隣接するもの同士を互いに揺動させてシールド本体1を3個所で中折れさせる中折れジャッキ、5aはシールド本体1を中折れさせるときの中折れ中心となる中折れピン、6は前端部が前部中胴1bの前端部に取り付けられ後端部が前部中胴1bと後部中胴1cの間の中折れジャッキ5の前端部に連結されて前部中胴1bを小さく前後に移動させることができる前部駆動ジャッキである。
【0017】
前胴1aと前部中胴1b、前部中胴1bと後部中胴1c、後部中胴1cと後胴1dは、それぞれ、シールド本体1の径方向垂直線を中心にして水平方向に揺動できるようにブラケットを介して中折れピン5aで軸着している。中折れジャッキ5は、それぞれ、前胴1aと前部中胴1bとの間、前部中胴1bと後部中胴1cとの間、後部中胴1cと後胴1dとの間を軸着して連結するように3個所に設けられ、各個所ともシールド本体1の周方向に間隔を置いて複数個設けられている。したがって、各個所の複数の中折れジャッキ5のうちの任意の個所のものをストローク差をつけて駆動することにより、中折れ部P1,P2,P3の任意の部位でシールド本体1を所望の方向に中折れピン5aを中心に中折れさせることができる。図3は、こうしてシールド本体1を中折れさせたときの状態を示す。なお、中折れジャッキ5のうち、特に前胴1aと前部中胴1bとの間を連結する中折れジャッキ5については、図に表されていない。
【0018】
前部駆動ジャッキ6は、カッタヘッド2による切羽の掘削時に伸ばすことにより、前部中胴1bを介して前胴1aを小距離前進させてカッタヘッド2に推力を付与する働きをする。また、このように前部駆動ジャッキ6を伸ばした状態からこれを縮めながらシールドジャッキ4を伸ばすと、後部中胴1c及び後胴1dを前進させることができ、こうした尺取り運動を行うことによりシールド本体1全体を前進させることができる。この中折れ式のシールド掘進機は、前述したようにパワーユニット、動力盤等の全ての機器をシールド本体1内に設置していて、機長が長くなるため、このように前部駆動ジャッキ6を設けてシールド本体1を尺取り運動により推進できるようにし、かつ、シールド本体1に通常より多くの中折れ部P1,P2,P3を設けて急曲線の施工を行いやすくしている。
【0019】
7は隔壁1eに水平方向に揺動可能に取り付けられチャンバ3内の掘削土砂をシールド本体1内に移送するスクリューコンベア、7aはこのスクリューコンベア7を隔壁1eに水平方向に揺動可能に取り付けるための球面軸受、7bはスクリューコンベア7を回転駆動するためのスクリューモータ、7cはスクリューコンベア7の排出側を開閉するスクリューゲート、7dはスクリューコンベア7の後端部をなす土砂排出部、8はスクリューコンベア7から排出された掘削土砂を解す(ほぐす)スクリューフィーダ、9はこのスクリューフィーダ8で解された掘削土砂を機外に排出する可撓性の排土管である。
【0020】
スクリューコンベア7は、図1に示すように後方に向かって上方に傾斜するように、図示しない支持装置で水平方向に揺動させ得るように支持されている。スクリューコンベア7の土砂排出部7dは、クリューコンベア7の土砂搬出路7eで搬出される土砂を集めて土砂搬出路7e内に充満させないように溜める空間を有する。スクリューコンベア7は、回転数を調節することで切羽の掘削土砂の排出量を調節して、切羽を支持するための土圧を調整するが、土砂が土砂搬出路7e内に充満していると、スクリューコンベア7で送られる土砂と土砂搬出路7e内の土砂とが競り合って土圧を適切に調整することができなくなる。この中折れ式のシールド掘進機では、このように土砂を土砂搬出路7e内に充満させないようにするための土砂排出部7dを付設しているため、土圧を、土砂搬出路7e内の土砂に影響されずにスクリューコンベア7で適切に調整することができる。
【0021】
スクリューフィーダ8は、スクリューコンベア7の土砂排出部7dの下方に配置され、後述する図5に示す機構により水平方向に揺動可能に設置されている。スクリューフィーダ8は、スクリューコンベア7から送られた掘削土砂を解しながら破砕する。スクリューコンベア7の土砂排出部7dの上部には、図示しない送気管から圧縮空気が供給されるとともに、排土管9は、図示しないバキュームポンプに連結されている。したがって、スクリューフィーダ8から排土管9に送られた掘削土砂は、土砂排出部7dの上部に供給された前記圧縮空気で圧送されるとともに前記バキュームポンプにより吸引されて、密封された状態で発進立坑側に排出される。その場合、掘削土砂は、スクリューフィーダ8により解されているので、排土管9で円滑に排出することができる。
【0022】
10はカッタヘッド2、シールドジャッキ4等のシールド掘進機のアクチュエータの作動油を貯溜するオイルタンク、11はカッタヘッド2やスクリューモータ7b等のモータ類に関する動力盤、12はシールドジャッキ4や中折れジャッキ5等のジャッキ類に関する動力盤、Sは地下坑の周壁に沿ってリング状に組み立てられた既設のセグメントである。なお、図示はしていないが、このセグメントSを組み立てるためのエレクタは、台車に載せられてシールド本体1の後方に配置され、シールド本体1に随伴して移動できるように設置されている。
【0023】
オイルタンク10は、内部に、油圧の発生源となる油圧ポンプを設置し、後端に、この油圧ポンプを駆動するためのモータを付設しており、パワーユニットをなしている。動力盤11,12は、モータ類やジャッキ類を起動させたり停止させたりするための電源スイッチや漏電遮断器等の電源系統の機器を備えており、シールド本体1の内周壁に固定される。これらのオイルタンク10及び動力盤11,12等の設備機器は、通常のシールド掘進機では後続台車に搭載されているが、この中折れ式のシールド掘進機は、ミニシールド掘進機であるため、これらの設備機器10,11,12を含む、通常後続台車に搭載されるあらゆる設備機器を、シールド本体1の機長を長くすることにより、シールド本体1の内部に一括して納めている。
【0024】
ミニシールド掘進機では、このように種々の設備機器を少径のシールド本体1内に一括して設置し、かつ、機長も長くなるため、スクリューコンベア7にスクリューフィーダ8を付設した場合、スクリューコンベア7を隔壁1eに水平方向に揺動可能に取り付けただけでは、スクリューフィーダ8が中折れ時にシールド本体1内の設備機器と干渉するのを回避できない事態が生じ得る。この中折れ式のシールド掘進機の最大の特徴は、こうした問題に対応して、スクリューコンベア7の前端部を隔壁1eに水平方向に揺動可能に取り付けたことに加え、特に、スクリューフィーダ8を、スクリューコンベア7の後端部をなす土砂排出部7dの下方に配置して水平方向に揺動可能に設置した点にある。そこで、スクリューフィーダ8を土砂排出部7dの下方に水平方向に揺動可能に設置するための機構につき、図4及び図5を用いて説明する。
【0025】
これらの図において、17はスクリューコンベア7の土砂排出部7dの下端部に付設した下面が水平の土砂排出部側のフランジ、17aはこのフランジ17に形成した平面視円弧状の長孔、18はスクリューフィーダ8の上端部に付設した上面が水平のスクリューフィーダ側のフランジ、19は長孔17aに挿通して土砂排出部側のフランジ17とスクリューフィーダ側のフランジ18とを締結するボルトである。
【0026】
長孔17aは、土砂排出部側のフランジ17の周方向に所定間隔を置いて多数形成している。スクリューフィーダ側のフランジ18には、ボルト19を挿通させることができるボルト挿通孔を長孔17aに対応して多数設けている。したがって、土砂排出部側のフランジの各長孔17aとスクリューフィーダ側のフランジ18の各ボルト挿通孔とにボルト19をそれぞれ挿通して各ボルト19の下端部をボルト挿通孔から突出させた後、各ボルト19の下端部にナットを螺着して各ボルト19を締めることにより、両フランジ17,18をボルト19で固着してスクリューフィーダ8を土砂排出部7dの下方に設置することができる。
【0027】
また、スクリューフィーダ8をスクリューコンベア7に対し水平方向に揺動させて角度を変えて設置したいときには、ボルト19を若干緩めた後、スクリューフィーダ8を水平方向に揺動させると、ボルト19は、フランジ18のボルト挿通孔に挿入されたまま、フランジ17の円弧状の長孔17aに沿って移動する。こうしてスクリューフィーダ8を所望の方向に所望の角度揺動させた後、ボルト19を締めると、スクリューフィーダ8をスクリューコンベア7に対して水平方向に所望の角度だけ傾けて設置することができる。
【0028】
ここに示す例では、こうした機構によりスクリューフィーダ8を土砂排出部7dに揺動可能に設置しているが、土砂排出部7dの下端部外周に球面を形成し、この球面をスクリューフィーダ8の上部の土砂供給口に嵌入することにより、スクリューフィーダ8を土砂排出部7dの下方に水平方向に揺動可能に設置してもよい。その場合、スクリューフィーダ8を土砂排出部7dに対して任意の揺動位置で固定できるようにするための手段を設ける。
【0029】
次に、こうした機構を備えた中折れ式のシールド掘進機の作用効果について説明する。いま、図3に示すように前胴1aを反時計方向に水平に揺動させてシールド本体1を中折れさせると、これに伴ってスクリューコンベア7も反時計方向に水平に揺動して、スクリューフィーダ8が後部中胴1c内の右側動力盤11と干渉しようとするため、図3に示すように、スクリューコンベア7を、球面軸受7aを支点にして前部中胴1b内のオイルタンク10と干渉する直前の限界位置まで時計方向に水平に揺動させる。しかしながら、こうしてスクリューコンベア7を限界位置まで揺動させても、スクリューフィーダ8を原状のままにすると、図3から推察できるようにスクリューフィーダ8が右側の動力盤11と干渉する事態は、回避することができない。
【0030】
通常の中折れ式のシールド掘進機では、ミニシールド掘進機のようには機長が長くないため、スクリューコンベア7の後端部がセグメントSの近くのシールド本体1の後端部付近に位置していて、設備機器がほとんど設置されていない個所に位置している(例えば、前記の従来の技術に係る公開特許公報の図1を参照)ため、スクリューコンベア7を限界位置まで揺動させれば、スクリューフィーダ8を原状のままにしても、スクリューフィーダ8が動力盤11と干渉するような事態は、ほとんど生じない。これに対し、この中折れ式のシールド掘進機のようなミニシールド掘進機では、シールド本体1が少径で多数の設備機器を設置していることに加えて機長が長いため、スクリューコンベア7の後端部が設備機器の密集しているシールド本体1の中間部に位置することとなって、中折れ時にスクリューフィーダ8が動力盤11と干渉する事態が生じ得る。
【0031】
この中折れ式のシールド掘進機では、スクリューフィーダ8をスクリューコンベア7に対して特に水平方向に揺動可能に設置しているので、こうした場合、図3に示すようにスクリューフィーダ8を時計方向に水平に適当な角度揺動させることにより、スクリューフィーダ8が右側の動力盤11と干渉するのを防ぐことができる。こうしたことに加え、この中折れ式のシールド掘進機では、スクリューフィーダ8を特にスクリューコンベア7の土砂排出部7dの下方に配置しているので、スクリューコンベア7の後端からのスクリューフィーダ8の突出量を極力減少させることができてスクリューフィーダ8とシールド本体1内の設備機器との干渉をしにくくすることができる。
【0032】
以上の結果、この中折れ式のシールド掘進機によれば、後端部にスクリューフィーダ8を取り付けたシールド本体1内のスクリューコンベア7が中折れ時にシールド本体1内の動力盤11のような設備機器と干渉するのを防止することができる。排土管9は、スクリューコンベア7やスクリューフィーダ8の揺動に伴って変位するが、この中折れ式のシールド掘進機では、排土管9を可撓性の材料で形成しているので、排土管9は、スクリューコンベア7やスクリューフィーダ8の揺動に追従して無理なく変位することができる。
【0033】
以上、中折れ式のシールド掘進機を例に挙げて本発明の実施の形態を説明したが、トンネル掘削機には、こうしたシールド掘進機のほか、「前部にカッタを設けた前胴と前後に摺動できるように接続された後胴とを有する二つ以上の胴部で中折れ可能に掘削機本体が構成され、後胴及び後胴の前方側の胴部をそれぞれリヤグリッパ及びフロントグリッパとで交互に固定しながらスライドジャッキを伸縮して後胴と後胴の前方側の胴部とで尺取り運動をさせることにより後胴の前方側の胴部を推進して地下坑を掘削するトンネル掘削機」がある。本発明は、土砂移送装置としてスクリューコンベアを用いたものであれば、こうしたトンネル掘削機にも、当然適用することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、「課題を解決するための手段」の項に示した手段を採用しているので、本発明のトンネル掘削機では、中折れ時に、スクリューコンベアを水平方向に揺動させても、スクリューフィーダと掘削機本体内の設備機器との干渉を回避できないときに、スクリューフィーダを水平方向に揺動させことにより、その干渉を防ぐことができる。さらに、本発明のトンネル掘削機では、スクリューフィーダを特にスクリューコンベアの後端部の下方に配置しているので、スクリューコンベアの後端からのスクリューフィーダの突出量を極力減少させることができてスクリューフィーダと掘削機本体内の設備機器との干渉をしにくくすることができる。
【0035】
したがって、本発明のトンネル掘削機によれば、後端部にスクリューフィーダを取り付けた掘削機本体内のスクリューコンベアが中折れ時に掘削機本体内の設備機器と干渉するのを防止することができる。排土管は、スクリューコンベアやスクリューフィーダの揺動に伴って変位するが、本発明のトンネル掘削機では、排土管を可撓性の材料で形成しているので、排土管は、スクリューコンベアやスクリューフィーダの揺動に追従して無理なく変位することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体化例のトンネル掘削機の垂直縦断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】トンネル掘削機の中折れ時における図2と同様の図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】図3の要部の拡大詳細図である。
【符号の説明】
1 シールド本体
1a 前胴
1b 前部中胴
1c 後部中胴
1d 後胴
1e 隔壁
2 カッタヘッド
2a カッタ駆動装置
4 シールドジャッキ
5 中折れジャッキ
6 前部駆動ジャッキ
7 スクリューコンベア
7a 球面軸受
7d 土砂排出部
8 スクリューフィーダ
9 排土管
10 オイルタンク
11,12 動力盤
17 土砂排出部側のフランジ
17a 長孔
18 スクリューフィーダ側のフランジ
19 ボルト
S セグメント
Claims (1)
- 前部に隔壁を有し複数個の胴部を水平方向に揺動可能に連結して中折れできるように形成した掘削機本体と、掘削機本体の前方に隔壁を介して回転可能に設置されたカッタヘッドとを備え、隔壁に取り付けられ掘削土砂を掘削機本体内に移送するスクリューコンベアと、このスクリューコンベアの後端部に連結されスクリューコンベアから排出された掘削土砂を解すスクリューフィーダと、このスクリューフィーダで解した掘削土砂を機外に排出する排土管とを掘削機本体内に設置したトンネル掘削機において、スクリューコンベアの前端部を隔壁に水平方向に揺動可能に取り付けるとともに、スクリューフィーダをスクリューコンベアの後端部の下方に配置して水平方向に揺動可能に設置し、スクリューフィーダに可撓性の排土管を接続したことを特徴とするトンネル掘削機。
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