JP4048419B2 - 延伸ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【本願発明の技術分野】
本発明はポリエステル延伸フィルムに関する。更に詳しくは、ポリエステル延伸フィルムの優れた特性である透明性、耐熱性、保香性、耐水性等を失うことなく実用面の特性を維持し、且つ保管中、或いは加工中に高温下に曝された場合に於いても柔軟性を失うことなく、その伸度を維持し、良好な引き裂き性とひねり性を具備した包装用フィルムやテープ用フィルムとして有用なポリエステル延伸フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、切断性の優れたフィルムとしては、セロハンが知られている。セロハンは、その優れた透明性と易切断性、ひねり・しわ固定性等の特性により各種包装材料、粘着テープ用として重用されている。しかし、一方ではセロハンは吸湿性を有するため特性が季節により変動し一定の品質のものを常に供給することは困難であった。また、ポリエチレンテレフタレートをベースフィルムとした包装用袋や粘着テープなどは、延伸されたポリエチレンテレフタレートフタレートフィルムの強靱性、耐熱性、耐水性、透明性などの優れた特性の良さにより様々な用途に用いられているが、これらの優れた特性を有する反面、切断し難く、包装用袋の口を引き裂き難い欠点や、粘着テープが切りにくい欠点、及びひねり固定性が劣る為にひねり包装用に用いることができない等の欠点があった。
【0003】
上記欠点を解決する方法として、一軸方向に配向させたポリエステルフィルム(特公昭55−8551)やジエチレングリコール成分などを共重合させたもの(特公昭56−50692)や低分子量のポリエステル樹脂を用いるもの(特公昭55−20514)などが提案されている。
さらに、融点の異なるポリエステル樹脂層を有し、それぞれの融点の間で熱処理を行い、少なくとも一層の配向を崩壊させた積層ポリエステルフィルム(特開平5−104618)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術において一軸方向に配向させる方法は、配向方向へは直線的に容易に切れるが配向方向以外には切れ難く、またジエチレングリコールル成分などを多量に共重合させる方法は、共重合によりポリエチレンテレフタレート本来の特性が失われるという欠点を有している。また、低分子量のポリエステル樹脂を用いる方法は、延伸工程での膜破れのトラブルが発生しやすくなり実用的でなかった。
さらに、融点の異なるポリエステル樹脂層を有し、それぞれの融点の間で熱処理を行い、少なくとも一層の配向を崩壊させた積層ポリエステルフィルム(特開平5−104618)に於いては、印刷、或いはラミネート等で加熱された際に、結晶化が激しく進行することにより、フィルムが脆くなったり、白化がおこったり、その後の加工、或いは使用に耐えないという問題点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明はセロハンの有する優れた特性のうち、特に任意の方向の易切断性、ひねり固定性に注目し、これらの特性を有しさらにポリエステルフィルムの優れた特性である透明性、耐熱性、防湿性、保香性等を合わせて有し、且つ加工の際に高温に曝された後にも柔軟性を有するフィルムを得ることを目的として研究し、これを達成したものである。
【0006】
つまり、本願発明の延伸ポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂層(A)の少なくとも片面に、ポリエステル樹脂層(A)の融点よりも10℃以上高い融点を有するポリエステル樹脂からなるポリエステル樹脂層(B)が積層され、かつ少なくとも一軸延伸された延伸ポリエステルフィルムであって、ポリエステル樹脂層(B)の合計の厚みが1〜10μmであり、ポリエステル樹脂層(A)が酸成分としてテレフタル酸を主成分とする結晶性ポリエステル樹脂(a−1)とガラス転移温度が結晶性ポリエステル樹脂(a−1)より低い熱可塑性樹脂(a−2)の混合物からなり、前記熱可塑性樹脂(a−2)が結晶性ポリエステル樹脂(a−1)に分散しており、下記式(1)から(4)を同時に満足するような海島構造を有し、かつヘイズが8以下であることを特徴とするものである。
式(1):0.02≦X≦1.0
式(2):0.02≦Y≦1.0
式(3):0.1≦X/Y≦10
式(4):N≧20
(上記式中、Xは島部分のフイルム長手方向長さの平均値(μm)、Yは島部分のフイルム幅方向長さの平均値(μm)、Nはフイルム幅方向断面に存在する島部分の個数(個/10μm2)を表す。)
本願発明の延伸ポリエステルフィルムの製造方法としては、酸成分としてテレフタル酸を主成分とする結晶性ポリエステル樹脂(a−1)とガラス転移温度が結晶性ポリエステル樹脂(a−1)より低い熱可塑性樹脂(a−2)の混合物からなるポリエステル樹脂層(A)の少なくとも片面に、ポリエステル樹脂層(A)の融点よりも10℃以上高い融点を有するポリエステル樹脂からなるポリエステル樹脂層(B)が積層された未延伸積層フィルムを少なくとも一軸延伸後に、ポリエステル樹脂層(A)を構成するテレフタル酸を主成分とする結晶性ポリエステル樹脂(a−1)の融点より5℃低い温度以上、かつポリエステル樹脂層(B)の融点未満の温度で熱処理する方法が好ましい。
【0007】
すなわち、本発明は例えば、融点の異なるポリエステル積層フィルムを延伸後、ポリエステル樹脂層(A)を構成する、低い融点を有する側のポリエステル樹脂(a−1)の融点より5℃低い温度以上で、かつ高い融点を有する側のポリエステル樹脂(B)の融点未満の温度で熱処理を実施することにより、ポリエステル樹脂層(A)は延伸工程での配向が崩れポリエステル樹脂の耐熱性、耐水性、保香性といった特性は維持しつつ引き裂き性とひねり固定性を有し、且つ、海島構造を有して分散する熱可塑性樹脂(a−2)の効果により柔軟性を具備する層を構成し、ポリエステル樹脂層(B)は配向を維持したポリエステルフィルム本来の耐熱性等の優れた特性を有する層を構成するという2種の異なる特性を構成する積層フィルムとなり、ポリエステルフィルム本来の優れた特性を有しつつ優れた耐熱性と良好な引き裂き性とひねり固定性を備えるという相反する特性を持ち、更に、熱可塑性樹脂(a−2)の分散している大きさを規定することにより透明性にも優れたポリエステルフィルムが得られることを見出したことによるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル樹脂層(B)に用いられるポリエステル樹脂(B)は特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびこれらの構成成分を主成分とする共重合体等がある。
【0009】
ポリエステル樹脂層(A)に用いられるポリエステル樹脂は、テレフタル酸を主成分とする結晶性ポリエステル樹脂(a−1)と、ガラス転移温度が結晶性ポリエステル樹脂(a−1)より低く、該結晶性ポリエステル樹脂(a−1)に対して海島構造を有して分散する熱可塑性樹脂(a−2)の混合物から成り、該結晶性ポリエステル樹脂(a−1)が、ポリエステル樹脂層(B)に用いられるポリエステル樹脂(B)の融点よりも10℃以上、好ましくは20℃以上低い融点を有する共重合体が好ましい。
【0010】
本発明における熱可塑性樹脂(a−2)は、ガラス転移温度が結晶性ポリエステル樹脂(a−1)より低く、該結晶性ポリエステル樹脂(a−1)に対して海島構造を有して分散する熱可塑性樹脂であれば何でも良く、具体例としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリアミド及びポリアミド−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体、ポリアミド−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体、ポリアミド−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体等のポリアミド系エラストマー、ポリエステル−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体、ポリエステル−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体等のポリエステル系エラストマーなどを上げることができる。
【0011】
本発明に於いて結晶性ポリエステル樹脂(a−1)と熱可塑性樹脂(a−2)との配合比は任意であるが、結晶性ポリエステル(a−1)に対して熱可塑性樹脂(a−2)が下記式(1)〜(4)を同時に満たすことが必要である。これは、本発明のフイルムに於ける高温に曝された後の柔軟性の保持は、ポリエステル樹脂層(A)の層中で、熱可塑性樹脂(a−2)が島状に分散することが必要であり、島状分散を起こしている熱可塑性樹脂(a−2)の形状が下記式(1)から(4)を共に満足することで本発明の目的である透明性と高温下に曝された後の柔軟性を達成することができる。
式(1) 0.02≦X≦1.0
式(2) 0.02≦Y≦1.0
式(3) 0.1≦X/Y≦10
式(4) N≧20
上記式中、Xは島部分のフイルム長手方向長さの平均値(μm)
Yは島部分のフイルム幅方向長さの平均値(μm)
Nはフイルム幅方向断面に存在する島部分の個数(個/10μm2)
【0012】
即ちフイルムの長手方向断面又は幅方向断面上に観察される島部分の長手方向、幅方向長さの平均値をそれぞれX、Y(μm)とした場合、X又はYが0.02μm未満の場合、高温に曝された後の柔軟性が失われ、切断の原因となり使用上不都合となる。又、1.0μmを超えると透明性が悪化し本発明の目的である透明性に優れたフイルムである、ヘイズが8%以下であることを満たせなくなる。さらに、X/Yが0.1未満、又は10を超えた場合、手切れの際に方向性が生じ、任意方向の手切れが出来なくなる。また、Nが20(個/10μm2)未満であると、高温に曝された後の柔軟性が消失し、加工時の衝撃で切れるといったトラブルが発生する。
【0013】
さらに、ポリエステル樹脂層(B)の合計の厚みは1μm以上10μm以下、好ましくは2μm以上6μm以下の厚みが好ましい。ポリエステル樹脂層(B)の厚みが1μm未満の場合は、得られるフィルムの強度が低くなり、実用上支障がでるだけでなく、熱固定時にフイルムが溶融し製膜が困難となる。またポリエステル樹脂層(B)の厚みが10μmを越えると目的とする引き裂き性とひねり性が低下する。またポリエステル樹脂層(A)とポリエステル樹脂層(B)の積層は3層(B/A/B)または2層(B/A)の構成のどちらでもよいが、3層(B/A/B)に積層したものの方が加工時のカールや、耐熱性に於いて好ましい。さらに、延伸フィルムの厚みは本発明の目的とする用途である包装用袋や粘着テープなどで使用されるフィルム厚みは12μから30μであるが、特に限定されるものではない。
【0014】
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の各種添加材、例えば滑剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤等が添加されていてもよい。
【0015】
ここでいう未延伸積層フィルムとは、複数の押出機等の中で、融点以上の温度で別々に溶融し、ダイス出口から押し出して成形した未延伸フィルム同士を加温状態でラミネートする方法が挙げられる。別の方法としては一方の未延伸フィルムの表面に、他方の溶融フィルムを溶融ラミネートする方法がある。さらに別の方法としては共押し出し法により積層した状態でダイス出口より押し出して未延伸フィルムを成形する方法がある。
【0016】
次に本発明フィルムの製造法の一例を説明する。真空乾燥した結晶性ポリエステル樹脂(a−1)及び熱可塑性樹脂(a−2)を所定の割合で押出し機に供給し、別の押出し機にポリエステル樹脂(B)を供給する。2台の押出し機から、それぞれの融点以上の温度で溶融押し出しし、複合アダプターを通過させ、2種3層(B/A/B)または2種2層(B/A)として口金より押し出し冷却固化させて未延伸積層フィルムを成形する。
【0017】
このようにして得られた未延伸積層フィルムをポリエステル樹脂層(A)に用いられる結晶性ポリエステル樹脂(a−1)及びポリエステル樹脂(B)の二次転移点のうちの高い温度以上、結晶性ポリエステル樹脂(a−1)の融点以下の温度で一軸延伸または二軸延伸を行う。一軸延伸の場合は少なくとも1.5倍以上、好ましくは3〜5倍であり、二軸延伸の場合は延伸面積で2〜30倍、好ましくは9〜16倍である。また二軸延伸の場合は逐次延伸でも同時延伸でもよい。
【0018】
この延伸フィルムをポリエステル樹脂層(A)に用いられる結晶性ポリエステル樹脂(a−1)の融点よりも高く、かつポリエステル樹脂(B)の融点よりも低い温度で熱処理を行う。この熱処理では、必要に応じて弛緩処理を行ってもよいことは言うまでもない。
【0019】
【作用】
前記熱処理によりポリエステル樹脂層(A)は延伸による分子配向が殆ど崩壊し、本発明の目的とする引き裂き性とひねり性が得られ、ポリエステル樹脂層(B)は分子配向を維持している為に本発明の特性を有するフィルムが得られると考えられる。更に、ポリエステル樹脂層(A)に含まれる熱可塑性樹脂(a−2)が結晶性ポリエステル樹脂(a−1)中に海島構造に分散することで加工中に高温下に曝された後にも柔軟性を失うことなく、その伸度を維持すると考えられる。
【0020】
本発明は前述した如く、製膜ラインでの熱処理により分子配向が殆ど崩壊した引き裂き性とひねり性を付与する層と、分子配向を維持したポリエステル本来の特性を有する層のバランスにより目的とするフィルム特性を自在に設定出来る利点を有するとともに、分子配向を維持した層が存在し、且つ低ガラス転移温度の熱可塑性樹脂(a−2)が、引き裂き性とひねり性を付与する層に海島構造に分散していることによって、製膜での切断のトラブル等も防止できる利点を有する。
【0021】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明する。実施例および比較例における評価の方法については(a)〜(e)の方法で行った。
【0022】
(a)断面形状評価
フイルムをエポキシ樹脂に包埋した後、フイルム長手方向或いは幅方向にミクロトームを用いて、トリミングと面出しを行なった。面出ししたエポキシブロックをRuO4蒸気中に置き、16時間染色を行なった。このブロックから超薄切片を作成し、TEM観察用のメッシュ上に乗せ、カーボン蒸着を施して観察用の試料とした。
観察は、日本電子製JEM2010透過型電子顕微鏡を用い、フイルム中のポリエステル樹脂層(A)に島状に分散している熱可塑性樹脂(a−2)の形状観察を行なった。
この観察により、熱可塑性樹脂(a−2)の長手方向の平均長さX(μm)、及び幅方向の平均長さY(μm)を求め、X/Yを算出した。
又、フイルム幅方向断面中にある結晶性ポリエステル樹脂(a−1)と熱可塑性樹脂(a−2)で構成された層中(50μm2)に観察される、島状に分散している熱可塑性樹脂(a−2)の個数を数え、10μm2あたりの個数を算出した。
【0023】
(b)ヘイズ
JIS−K7105に従い、ヘイズ(曇価)を求めた。
【0024】
(c)高温に曝された後の柔軟性
40℃の恒温室にて1週間エージングをした後に、JIS−K7127に従い、フイルム長手方向の引張破壊伸びを測定し、エージング前と変化しないものを○、伸びが5%未満となるものを×とした。
【0025】
(d)手切れ性
官能テストで行い、当該ポリエステルフイルム//9μmAl箔/20μm押出しLDPE とした後、ヒートシールにて製袋し、ヒートシール部分を手で切断した時、任意の方向に容易に手で切断できるものものを○、容易に手で切断できないもの、或いは、切れ方に方向性を有するものを×とした。
【0026】
(e)ひねり性
官能テストで行い、幅30mmのテープ状サンプルを手でひねった時、ひねった状態でもとに戻らないものを○、ひねった状態を維持できないものを×とした。
【0027】
(実施例1)
ポリエステル樹脂層(A)に、結晶性ポリエステル樹脂(a−1)として融点が200℃のポリエチレンイソフタレート共重合体、また、熱可塑性樹脂(a−2)としてジカルボン酸成分としてテレフタル酸100mol%、ジオール成分としてブタンジオール85mol%、分子量1000のポリテトラメチレングリコール15mol%からなるポリエチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコール共重合体を用い、それぞれを97/3wt%の割合で混合したものを用いた。ポリエステル樹脂層(B)として、融点が260℃のポリエチレンテレフタレート(B)を用い、おのおの285℃の温度で別々の押出機により溶融し、この溶融体を複合アダプターで合流させた後にTダイより押し出し、冷却ドラムで急冷して(B/A/B)構成の3層の未延伸積層フィルムを得た。
【0028】
前記未延伸積層フィルムをまず縦方向に90℃で3.5倍、次いで横方向に110℃で3.8倍に延伸した後、3%の弛緩を行いつつ230℃の温度で熱処理を行い20μのフィルムを得た。このフィルムのB/A/B各層の厚み比率はそれぞれ2μm/16μm/2μmの比率であった。
【0029】
前記フイルムに於ける熱可塑性樹脂(a−2)の分散状態を観察したところ、長手方向長さX=0.1μm、幅方向長さY=0.1μm、N=25個/10μm2であった。
【0030】
かくして得られたフィルムヘイズが3であり透明性に優れ、爪をあてがう程度でどの方向にも容易に切断することができ、またフィルムをひねると、そのままのひねった状態を維持できた。更に、40℃にて1週間エージングした後にも柔軟性を有しており脆化することはなかった。また、本フィルムは製膜及びスリット時にも破断等のトラブルは無く生産性も良好であった。
【0031】
(実施例2)
実施例1と同じ原料、方法でB/A/B各層の厚みを4/12/4μmに変更した20μmのフィルムを得た。かくして得られたフィルムも実施例1よりも少し抵抗のある手切れ性のあるフィルムが得られた以外は透明性、ひねり固定性、柔軟性も良好であった。
【0032】
(実施例3)
実施例1と同じ原料、方法でB/A/B各層の厚みを1/18/1μmに変更した20μmのフィルムを得た。かくして得られたフィルムは透明性、手切れ性、ひねり固定性、柔軟性も良好であった。
【0033】
(比較例1)
実施例1と同じ原料、方法でB/A/B各層の厚み比率のみ6/8/6μmに変更した20μのフィルムを得た。かくして得られたフィルムは手切れ性はなく、またフィルムをひねっても元に戻り、ひねり固定性は無かった。
【0034】
(比較例2)
実施例1と同じ原料、方法でB/A/B各層の厚み比率のみ0.25/19.5/0.25μmに変更した20μのフィルムを得た。かくして得られたフィルムは熱固定時に溶融し、製膜加工できなかった。
【0035】
(比較例3)
ポリエチレンイソフタレート共重合体(A)の融点を245℃に変更した以外は全て実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μのフィルムを得た。かくして得られたフィルムは手切れ性はなく、またフィルムをひねっても元に戻り、ひねり固定性は無かった。
【0036】
(比較例4)
熱固定の温度を180℃に変更した以外は全て実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μのフィルムを得た。かくして得られたフィルムは手切れ性はなく、またフィルムをひねっても元に戻り、ひねり固定性は無かった。
【0037】
(実施例4)
実施例1の熱可塑性樹脂の添加量を15wt%に変更した以外は全て実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μmのフイルムを得た。かくして得られたフィルムは、透明性が若干劣っていた以外は、手切れ性、ひねり固定性、柔軟性も良好であった。
【0038】
(比較例5)
熱可塑性樹脂(a−2)の添加量を減少以外は全て実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μのフィルムを得た。かくして得られたフィルムは透明性、手切れ性、ひねり固定性に優れていたが、高温に曝した後の柔軟性に劣っていた。
【0039】
(比較例6)
熱可塑性樹脂(a−2)を構成する成分のうち、ブタンジオールを93.2mol%、分子量1000のポリテトラメチレングリコールを6.8mol%とし熱可塑性樹脂(a−2)を得た。該熱可塑性樹脂(a−2)を10wt%添加した以外は全て実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μのフィルムを得た。かくして得られたフィルムは透明性、手切れ性、ひねり固定性に優れていたが、高温に曝した後の柔軟性に劣っていた。
【0040】
(比較例7)
熱可塑性樹脂(a−2)を構成する成分のうち、ブタンジオールを75mol%、分子量1000のポリテトラメチレングリコールを25mol%とし熱可塑性樹脂(a−2)を得た。該熱可塑性樹脂(a−2)を3wt%添加した以外は全て実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μのフィルムを得た。かくして得られたフィルムは、手切れ性、ひねり固定性、柔軟性に優れていたが、透明性に劣っていた。
【0041】
(実施例5)
ダイス出口のせん断速度とドラフト比を変更することで、熱可塑性樹脂(a−2)の形状を変更した以外は全て実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μmのフイルムを得た。該フイルムに於けるX/Yは6であった。かくして得られたフィルムは、透明性、手切れ性、ひねり固定性、柔軟性に優れていた。
【0042】
(比較例8)
実施例5と同様に熱可塑性樹脂(a−2)の形状を変更した以外は全て実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μmのフイルムを得た。該フイルムに於けるX/Yは20であった。かくして得られたフィルムは、透明性、ひねり固定性、柔軟性に優れていたが、幅方向の手切れ性に劣っており、任意方向手切れ性が得られなかった。
【0043】
実施例および比較例で得られたフィルムの評価結果を表1、表2に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】
以上の如く、手切れ性、ひねり性の良好なポリエステルフィルムが得られ、包装用として有効なことがわかる。
Claims (4)
- ポリエステル樹脂層(A)の少なくとも片面に、ポリエステル樹脂層(A)の融点よりも10℃以上高い融点を有するポリエステル樹脂からなるポリエステル樹脂層(B)が積層され、かつ少なくとも一軸延伸された延伸ポリエステルフィルムであって、ポリエステル樹脂層(B)の合計の厚みが1〜10μmであり、ポリエステル樹脂層(A)が酸成分としてテレフタル酸を主成分とする結晶性ポリエステル樹脂(a−1)とガラス転移温度が結晶性ポリエステル樹脂(a−1)より低いポリエステル−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体(a−2)の混合物からなり、前記ポリエステル樹脂層(A)を構成する、低い融点を有する側のポリエステル樹脂(a−1)の融点より5℃低い温度以上で、かつ高い融点を有する側のポリエステル樹脂(B)の融点未満の温度で熱処理を実施することにより、ポリエステル樹脂層(A)は延伸工程での配向が崩れており、かつポリエステル樹脂前記熱可塑性樹脂(a−2)が結晶性ポリエステル樹脂(a−1)に分散しており、下記式(1)から(4)を同時に満足するような海島構造を有し、かつヘイズが8%以下であることを特徴とする延伸ポリエステルフィルム。
式(1):0.02≦X≦1.0式(2):0.02≦Y≦1.0式(3):0.1≦X/Y≦10式(4):N≧20(上記式中、Xは島部分のフイルム長手方向長さの平均値(μm)、Yは島部分のフイルム幅方向長さの平均値(μm)、Nはフイルム幅方向断面に存在する島部分の個数(個/10μm2)を表す。) - 請求項1記載の熱可塑性樹脂(a−2)が融点170℃以上の結晶セグメント及び融点又は軟化点が100℃以下、分子量が400〜8000の軟質重合体からなるブロック共重合ポリエステルであることを特徴とする延伸ポリエステルフィルム。
- 請求項1あるいは2記載の延伸ポリステルフィルムであって、ひねり包装用に用いられることを特徴とする延伸ポリエステルフィルム。
- 請求項1、2あるいは3記載の延伸ポリエステルフィルムの製造方法であって、未延伸積層フィルムを少なくとも一軸延伸後に、ポリエステル樹脂層(A)を構成するテレフタル酸を主成分とする結晶性ポリエステル樹脂(a−1)の融点より5℃低い温度以上、かつポリエステル樹脂層(B)の融点未満の温度で熱処理することを特徴とする延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
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