JP4048418B2 - 延伸ポリエステルフィルム及び、その製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は延伸フィルムに関する。更に詳しくは、透明性、耐熱性、バリヤー性等を失うことなく実用面の特性を維持し、良好な引裂き性とひねり性を具備した包装用フィルムやテープ用フィルムとして有用なポリエステル延伸フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、切断性の優れたフィルムとしては、セロハンが知られている。セロハンは、その優れた透明性と易切断性、ひねりシワ固定性等の特性により各種包装材料、粘着テープ用として重用されている。しかし、一方ではセロハンは吸湿性を有する為に特性が季節により変動し一定の品質のものを常に供給することは困難であった。
【0003】
また、ポリエチレンテレフタレートをベースフィルムとした包装用袋や粘着テープなどは、延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムの強靭性、耐熱性、耐水性、透明性などの優れた特性から用いられているが、これらの優れた特性を有する反面、切断しにくく、包装用袋の口を引裂き難い欠点や、粘着テープが切り難い欠点、及びひねり固定性が劣る為にひねり包装用に用いることができない等の欠点があった。
【0004】
上記問題を解決する方法として、一軸方向に配向させたポリエステルフィルムや(特公昭55−8551)やジエチレングリコール成分などを共重合させたもの(特公昭56−50692)や低分子量のポリエステル樹脂を用いるもの(特公昭55−20514)などか提案されている。
さらに、融点の異なるポリエステル樹脂層を有し、それぞれの融点の間で熱処理を行い、少なくとも一層の配向を崩壊させた積層ポリエステルフィルム(特開平5−104618)が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術において一軸方向に延伸させる方法は、配向方向へは直線的に容易に切れるが配向方向以外には切れ難く、またジエチレングリコール成分などを多量に共重合させる方法は共重合によりポリエチレンテレフタレート本来の特性が失われるという欠点を有している。更に、低分子量のポリエステル樹脂を用いる方法は、延伸工程での膜破れのトラブルが発生しやすくなり実用的でなかった。
また、融点の異なるポリエステル樹脂層を有し、それぞれの融点の間で熱処理を行い、少なくとも一層の配向を崩壊させた積層ポリエステルフィルムに於いては、印刷、或いはラミネート等で加熱された際に、結晶化が激しく進行することにより、フィルムが脆くなり、その後の加工、或いは使用に耐えないという問題点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明はセロハンの有する特性のうち特に易切断性、ひねり固定性、及び加工後の柔軟性に注目し、これらの特性を有し更にポリエステルフィルムの優れた特性である耐熱性、耐寒性、防湿性、透明性、保香性等を合わせて有するフィルムを得ることを目的として研究し、これを達成したものである。
特に、本発明は、保管時や加工時にかかる温度に曝された後にも柔軟性を有することを目的としている。
つまり、本発明のフィルムは一般に印刷や接着剤のコーティング、他種材料とのは貼り合わせ等を行なう加工工程(こうした工程に於いて50〜130℃の熱を受けることが常である。)を経ても、こうした熱を受けた際に大きな脆化がなく、加工時の張力の変動や加工速度の変化により簡単に切断することなく、実用に耐えるものである。
【0007】
すなわち、本発明の延伸ポリエステルフィルムは、酸成分にテレフタル酸を主成分とする結晶性ポリエステル樹脂98〜80wt%、融点170℃以上の結晶セグメント及び融点又は軟化点が100℃以下、分子量が400〜8000の軟質重合体からなるブロック共重合ポリエステル樹脂2〜20wt%からなるポリエステル樹脂層(A)の少なくとも片面に、ポリエステル樹脂層(A)の融点よりも10℃以上高い融点を有するポリエステル樹脂層(B)が積層され、かつ少なくとも一軸延伸されているポリエステルフィルムであって、ポリエステル樹脂層(B)の厚みの合計が1〜10μmであり、かつ前記フイルムを示差走査熱量測定にて測定した際に、ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度以上、ポリエステル樹脂(A)の融点未満の温度領域に発熱を表すピーク(C)を有し、前記ピークの示す熱量が−10mJ/mgより小さいことを特徴とするものである。本願発明の延伸ポリエステルフィルムの製造方法としては、酸成分にテレフタル酸を主成分とする結晶性ポリエステル樹脂98〜80wt%、融点170℃以上の結晶セグメント及び融点又は軟化点が100℃以下、分子量が400〜8000の軟質重合体からなるブロック共重合ポリエステル樹脂2〜20wt%からなるポリエステル樹脂層(A)の少なくとも片面に、ポリエステル樹脂層(A)の融点よりも10℃以上高い融点を有するポリエステル樹脂層(B)が積層された未延伸フィルムを少なくとも一軸延伸後に、ポリエステル樹脂層(A)の融点以上、かつポリエステル樹脂層(B)の融点未満の温度で熱処理することが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
また本発明のポリエステル樹脂層(B)の厚みは、1μm以上、10μm以下、好ましくは2μm以上、8μm以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂層(B)の厚みが1μm未満の場合は、得られるフィルムの強度が低くなり、製膜に支障をきたす他、フィルムとして実用上支障がでる。またポリエステル樹脂層(B)の厚みが10μmを越えると、本発明の目的とする引裂き性とひねり性が得られない。
【0009】
またポリエステル樹脂層(A)とポリエステル樹脂層(B)の積層は3層(B/A/B)又は2層(B/A)の構成のどちらでもよいが、2層構成とした場合、熱固定の際にフイルムを把持しているクリップにB層が融着したり、或いは、印刷等でフイルムに熱が加わった場合にカールが生じることがある為、2種3層構成の方がより好ましい。さらに、延伸フィルムの厚みは本発明の目的とする用途である包装用袋や粘着テープなどで使用されるフィルムの厚みは12μから40μであるが、特に限定されるものではない。
【0010】
ポリエステル樹脂層(B)に用いられるポリエステル樹脂は特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びこれらの構成成分を主成分とする共重合体等がある。
【0011】
またポリエステル樹脂層(A)に用いられるポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂層(B)に用いられるポリエステル樹脂の融点に対して10℃以上、好ましくは20℃以上低い融点を有するポリエステルであれば特に限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートの構成成分を主成分とする共重合体等があり、具体的には酸成分として、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いた共重合体、又は、アルコール成分として、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコールの多量体等を用いた共重合体、或いはそれらの混合物等が挙げられる。
【0012】
本発明に於いてブロック共重合ポリエステル樹脂の融点170℃以上の結晶セグメントは、その成分だけで重合体としたときに、融点が170℃以上のものであるが、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2・6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸の残基と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、P−キシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、芳香族、脂環族ジオールの残基とからなるポリエステル等を用いることができるが、特にテレフタル酸残基が80mol%以上を占めることが望ましい。また、分子量400〜8000の軟質ポリエステルは、該セグメント構成成分だけで測定した場合の融点或いは軟化点が100℃以下のものをいう。分子量が400以下のものを用いた場合は、得られるブロック共重合ポリエステル樹脂は融点が低く粘着性が大であり、フィルムへの配合加工性に困難となる。また、分子量が8000を越える場合は、軟質重合体が層分離し、極めて高い溶融粘度を示し、硬く脆い性質となり、共重合反応後重合釜からの取り出しが困難となったり、また、このブロック共重合ポリエステル樹脂をフィルム成形に用いた場合、透明性が不良であったりして好ましくない。特に好ましくは800〜4000の分子量のものが良い。また、ブロック共重合ポリエステル樹脂中での低融点軟質重合体の割合は8〜20mol%の範囲である。8mol%未満の場合軟質重合体としての特性が得られず、20mol%を越えた場合、結晶性ポリエステル樹脂(C)との混合溶融時にブロック共重合ポリエステル樹脂(D)の分散が大きくなり透明性が悪化する。特に好ましくは10〜15mol%である。このような低融点軟質重合体としては、ポリエチレンオキサイドグリコール、ポリテトラメチレンオキサイドグリコール、ポリプロピレンオキサイドグリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合グリコール、エチレンオキサイドとテトラヒドロフランとの共重合グリコール等のポリエーテル、ポリネオペンチルアゼレート、ポリネオペンチルアジペート、ポリネオペンチルセパケート等の脂肪族ポリエステル、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリピバロラクトン等のポリラクトンを示すことができる。好ましくはポリエチレンオキサイドグリコール、ポリテトラメチレンオキサイドグリコール等が実用的である。これらのブロック共重合ポリエステルは通常の縮合重合法によって製造することができる。
【0013】
また、本発明において用いるブロック共重合体ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリテトラメチレンテレフタレート・イソフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリ−ε−カプロラクトンブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリネオペンチルセパケートブロック共重合体、ジ(4−カルボキシフェノキシ)エタンとエチレングリコールとからのポリエステルとポリエチレングリコールとのブロック共重合体、ビス(N−パラカルボエトキシフェニル)アジパミドとエチレングリコールとからのポリエステルとポリエチレングリコールとのブロック共重合体などを上げることができる。
【0014】
本発明に於いて、該フイルムをDSCにて測定した際に、観察されるピークは、それぞれのポリエステル樹脂のガラス転移温度、融点の他に、ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度以上、ポリエステル樹脂(A)の融点未満の温度領域に発熱を表わすピーク(C)を持たなくてはならない。該ピーク(C)は低い融点を有するポリエステル樹脂(A)が結晶化したことにより発現すると考えられ、該ピーク(C)を有しない場合、本特許の目的である手切れ性とひねり性が得られない。また、該ピーク(C)の熱量が−10mJ/mg、更には−15mJ/mgより小さいことが好ましい。該ピーク(C)の示す熱量が−10mJ/mgより大きい場合、ポリエステル樹脂層(A)の配向崩壊と結晶化が不充分であり、満足な手切れ性とひねり性が得られない。
【0015】
本発明に於ける耐熱性とは、保管時や加工時にかかる温度に曝された後にも柔軟性を有することである。即ち、本発明のフィルムは一般に印刷や接着剤のコーティング、他種材料とのは貼り合わせ等を行なう加工工程を経ることがあり、こうした工程に於いて50〜130℃の熱を受けることが常である。耐熱性に劣るフィルムは、こうした熱を受けた際に極めて脆いものとなり、加工時の張力の変動や加工速度の変化といったもので簡単に切断し好ましくない。
【0016】
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の各種添加材、例えば滑材、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤等が添加されていてもよい。
【0017】
ここでいう未延伸積層フィルムとは、共押出し法により積層した状態でダイス出口より押出して未延伸フィルムを成形する方法が挙げられる。別の方法としては、複数の押出機の中で、融点以上の温度で別々に溶融し、ダイス出口から押し出して成形した未延伸フィルム同士を加温状態でラミネートする方法がある。
【0018】
次に、本発明フィルムの製造方法の一例を説明する。
【0019】
真空乾燥したポリエステル樹脂とポリエチレンテレフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体とを所定の割合で混合し、ポリエステル樹脂(A)を得る。該ポリエステル樹脂(A)及びポリエステル樹脂(B)をそれぞれ別の2台の押出機に供給し、それぞれの融点以上の温度で溶融押し出しし、複合アダプターを通過させ、2種3層(B/A/B)又は2種2層(B/A)として口金より押し出し冷却固化させて未延伸積層フィルムを成形する。
【0020】
このように得られた未延伸積層フィルムをポリエステル樹脂(A)及びポリエステル樹脂(B)の二次転移点のうちの高い温度以上、ポリエステル樹脂(A)の融点以下の温度で一軸延伸またはニ軸延伸を行う。一軸延伸の場合は少なくとも1.5倍以上、好ましくは3〜5倍であり、ニ軸延伸の場合は延伸面積で2〜30倍、好ましくは9〜16倍である。またニ軸延伸の場合は逐次ニ軸延伸でも同時ニ軸延伸でもよい。
【0021】
この延伸フィルムに熱処理を行う。熱処理の温度は、ポリエステル樹脂層(A)に用いられる結晶性ポリエステル樹脂の融点よりも10℃低い温度より高く、且つポリエステル樹脂(B)の融点よりも低い温度、より好ましくはポリエステル樹脂層(A)に用いられる結晶性ポリエステル樹脂の融点よりも高く、且つポリエステル樹脂(B)の融点よりも低い温度である。この熱処理では、必要に応じて弛緩処理を行ってもよい。
【0022】
【作用】
本発明によるポリエステルフィルムは、分子配向が消失し、結晶化が進行した層と、分子配向を維持した層が存在する為に外観が良好で、生産・加工性に優れ、且つ優れた引裂き性とひねり性という利点を有する。さらに、2次加工の際の加熱等により、さらに結晶化が進行した後にも、柔軟性を有するブロック共重合ポリエステル樹脂を含むことにより脆化が防止できる。
【0023】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明する。実施例および比較例における評価の方法については(a)〜(c)の方法で行った。
【0024】
(a)DSC
セイコーインスツルメンツ社製DSCを用い、常温〜300℃、昇温速度10℃/分で測定し、ポリエステル樹脂層(B)に用いられるポリエステル樹脂のガラス転移温度と、ポリエステル樹脂層(A)に用いられるポリエステル樹脂との融点の間の領域に見られる発熱を示すピークを観察し、その面積より熱量を求めた。
【0025】
(b)手切れ性
官能テストで行い、当該ポリエステルフイルム/接着剤/7μmAl箔/接着剤/20μm押出しLDPE の状態にラミネートした後、ヒートシールにて製袋し、シール部分を手で切断した時、容易に手で切断できるものを○、容易に手で切断できないものを×とした。
【0026】
(d)ひねり性
官能テストで行い、幅30mmのテープ状サンプルを手でひねった時、ひねった状態で元に戻らないものを○、ひねった状態を維持できないものを×とした。
【0027】
(実施例1)
ポリエステル樹脂層(A)として融点が221℃のポリエチレンイソフタレート共重合体(a−1)と、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸100mol%、ジオール成分としてブタンジオール85mol%、分子量1000のポリテトラメチレングリコール15mol%からなるブロック共重合ポリエステル樹脂(a−2)を96/4wt%の割合で混合したもの。ポリエステル樹脂層(B)として、融点が265℃、ガラス転移温度が75℃のポリエステル樹脂(B)をおのおの285℃の温度で別々の押出機により溶融し、この溶融体を複合アダプターで合流させた後にTダイより押し出し、冷却ドラムで急冷して(B/A/B)構成の3層の未延伸積層フィルムを得た。
【0028】
該未延伸積層フィルムを先ず縦方向に90℃で3.7倍、次いで横方向に110℃で4.2倍に延伸した後、3%の弛緩を行いつつ225℃の温度で熱処理を行い、B層の厚みの合計が3.6μmである20μmのフィルムを得た。このフィルムをDSCにて測定したところ、それぞれのポリエステル樹脂のガラス転移温度、融点の他に、125℃に結晶化を示すピーク(C)が観察された。該ピークの熱量は−16mJ/mgであった。
【0029】
かくして得られたフィルムは、軽く引っ張るだけでどの方向にも容易に切断することができた。またフィルムをひねると、そのひねった状態を維持できた。更に印刷を行なった後も本フィルムは柔軟性を有しており、また、製膜及びスリット時にも破断等のトラブルは無く生産性も良好であった。
【0030】
(実施例2)
B層の厚みを6μmに変更した以外は実施例1と同じ原料、方法で20μmのフィルムを得た。このフィルムの結晶化を示すピーク(C)の温度は125℃で、熱量は−13mJ/mgであった。かくして得られたフィルムは実施例1より抵抗のある手切れ性であったが、手切れ性、ひねり固定性も良好であった。
【0031】
(比較例1)
B層の厚みを14μmに変更した以外は実施例1と同じ原料、方法で20μmのフィルムを得た。かくして得られたフィルムの結晶化を示すピーク(C)の温度は125℃、熱量は−8mJ/mgであった。このフィルムは手切れ性は無く、またフィルムをひねっても元に戻り、ひねり固定性は無かった。
【0032】
(比較例2)
ポリエステル樹脂層(A)に用いられるポリエチレンテレフタレート樹脂(a−1)の融点を240℃に変更した以外は全て実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μmのフィルムを得た。かくして得られたフィルムをDSCにて確認したところ、フィルムの結晶化を示すピーク(C)は無かった。このフィルムは手切れ性は無く、またフィルムをひねっても元に戻り、ひねり固定性は無かった。
【0033】
(実施例3)
熱処理の温度を215℃に変更した以外は全て実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μmのフィルムを得た。結晶化を示すピーク(C)は125℃、熱量は−10mJ/mgであった。かくして得られたフィルムは手切れ性、ひねり固定性ともに良好であった。
【0034】
(比較例3)
熱処理の温度を205℃に変更した以外は全て実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μmのフィルムを得た。かくして得られたフィルムの結晶化を示すピーク(C)は125℃、熱量は−5mJ/mgであった。このフィルムは手切れ性に劣り、切れ難いものであった。またフィルムをひねっても元に戻り、ひねり固定性は無かった。
【0035】
(比較例4)
熱処理の温度を170℃に変更した以外は全て実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μmのフィルムを得た。かくして得られたフィルムは結晶化を示すピーク(C)が無かった。このフィルムは手切れ性は無く、またフィルムをひねっても元に戻り、ひねり固定性は無かった。
【0036】
(比較例5)
ポリエステル樹脂(B)として、ポリエステル樹脂(A)と同じものを用いた以外は実施例1と同様に製膜したところ、熱固定の際に溶融し、フィルムが得られなかった。
【0037】
実施例、比較例で得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0004048418
【0039】
【発明の効果】
以上の如く、本発明では手切れ性、ひねり性、加工適性の良好なポリエステルフィルムが得られ、包装用フィルムとして有用なことがわかる。

Claims (4)

  1. 酸成分にテレフタル酸を主成分とする結晶性ポリエステル樹脂98〜80wt%、融点170℃以上の結晶セグメント及び融点又は軟化点が100℃以下、分子量が400〜8000の軟質重合体からなるブロック共重合ポリエステル樹脂2〜20wt%からなるポリエステル樹脂層(A)の少なくとも片面に、ポリエステル樹脂層(A)の融点よりも10℃以上高い融点を有するポリエステル樹脂層(B)が積層され、かつ少なくとも一軸延伸されているポリエステルフィルムであって、前記ポリエステル樹脂層(A)に用いられる結晶性ポリエステル樹脂の融点よりも10℃低い温度より高く、且つポリエステル樹脂(B)の融点よりも低い温度で熱処理を行い、分子配向が消失し、かつポリエステル樹脂層(B)の厚みの合計が1〜10μmであり、かつ前記フイルムを示差走査熱量測定にて測定した際に、ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度以上、ポリエステル樹脂(A)の融点未満の温度領域に発熱を表すピーク(C)を有し、前記ピークの示す熱量が−10mJ/mgより小さいことを特徴とする延伸ポリエステルフィルム。
  2. 請求項1記載のポリエステル樹脂層(A)に用いるブロック共重合ポリエステル樹脂が、ポリエステル樹脂層中に海島構造を有して分散してなることを特徴とする延伸ポリエステルフィルム。
  3. 請求項1あるいは2記載の延伸ポリエステルフィルムであって、ひねり包装用に用いられることを特徴とする延伸ポリエステルフィルム。
  4. 請求項1、2あるいは3記載の延伸ポリエステルフィルムの製造方法であって、少なくとも一軸延伸後に、ポリエステル樹脂層(A)の融点以上、かつポリエステル樹脂層(B)の融点未満の温度で熱処理することを特徴とする延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
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