JP2004181653A - ひねり性の優れた延伸ポリエステルフィルム - Google Patents

ひねり性の優れた延伸ポリエステルフィルム Download PDF

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Kazumoto Imai
一元 今井
Naonobu Oda
尚伸 小田
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Abstract

【課題】セロハンの有する優れた特性のうち、特にひねり固定性、デッドホールド性に注目し、これらの特性を有しさらにポリエステルフィルムの優れた特性である透明性、耐熱性、防湿性、保香性等を合わせて有するフィルムを得ること。
【解決手段】ポリエステル樹脂層(A)の少なくとも片面に、ポリエチレンテレフタレート30〜75重量%、ポリブチレンテレフタレート(PBT)5〜30重量%、35℃以上のガラス転移温度を有し、且つ結晶性を有しないポリエステルおよび/または共重合ポリエステル(PES−b)20〜40重量%(PBTとPES−bの合計が70〜25重量%とする)からなるポリエステル樹脂層(B)が積層されてなることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

【0001】
【本願発明の技術分野】
本発明はポリエステル延伸フィルムに関する。更に詳しくは、ポリエステル延伸フィルムの優れた特性である透明性、耐熱性、保香性、耐水性等を失うことなく実用面の特性を維持し、良好なひねり性、デッドホールド性を具備した包装用フィルムとして有用なポリエステル延伸フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ひねり固定性、デッドホールド性の優れたフィルムとしては、セロファンが知られている。セロファンは、その優れた透明性と易切断性、ひねり性、デッドホールド性等の特性により各種包装材料用として重用されている。しかし、一方ではセロファンは吸湿性を有するため特性が季節により変動し一定の品質のものを常に供給することは困難であった。また、ポリエチレンテレフタレートをベースフィルムとした包装用袋や粘着テープなどは、延伸されたポリエチレンテレフタレートフタレートフィルムの強靱性、耐熱性、耐水性、透明性などの優れた特性の良さにより様々な用途に用いられているが、これらの優れた特性を有する反面、デッドホールド性を有しておらず、ヒートシールの際に折り曲げ部分がストロー状にシール不良を生じたり、ひねり包装用に用いることができない等の欠点があった。
【0003】
上記欠点を解決する方法として、応力−ひずみ曲線において降伏点を有し、かつ該共重合物の未延伸フィルムの平均屈折率をN、二軸延伸フィルムの平均屈折率をNとしたとき、0.003≦N−N≦0.021を満足することを特徴とする易折り曲げポリエステルフィルム(特許文献1参照)やポリエステル樹脂層(A)の少なくとも片面に、ポリエステル樹脂層(A)の融点よりも10℃以上高い融点を有し、かつ全厚みに対し5%以上、60%以下の厚みのポリエステル樹脂層(B)を積層した未延伸積層フィルムを少なくとも一軸延伸後にポリエステル樹脂層(A)の融点より10℃低い温度以上、かつポリエステル樹脂層(B)の融点未満の温度で熱処理することを特徴とする引き裂き性とひねり性の良好なポリエステルフィルムの製造方法(特許文献2参照)などが提案されている。
【0004】
しかしながら、上記従来技術において応力−ひずみ曲線において降伏点を有し、かつ該共重合物の未延伸フィルムの平均屈折率をN、二軸延伸フィルムの平均屈折率をNとしたとき、0.003≦N−N≦0.021とする方法では本発明が目標とするひねり性を得る事は出来ず、又、印刷やラミネート、蒸着等の加工を行った時、又ヒートシールの際の熱による収縮によってシワの発生や幅方向のフィルムの寸法変化が発生した。またポリエステル樹脂層(A)の少なくとも片面に、ポリエステル樹脂層(A)の融点よりも10℃以上高い融点を有し、かつ全厚みに対し5%以上、60%以下の厚みのポリエステル樹脂層(B)を積層した未延伸積層フィルムを少なくとも一軸延伸後にポリエステル樹脂層(A)の融点より10℃低い温度以上、かつポリエステル樹脂層(B)の融点未満の温度で熱処理する方法では、フィルムの強度を得る為には融点の高いポリエステル樹脂層の厚みを増やさざるを得ず、そうした際に、融点の高いポリエステル樹脂層の影響で十分なひねり性が得られないことがあった。又、ひねり性を良好とする為に融点の高いポリエステル樹脂層の厚みを薄くすると、ひねり包装の際に内容物の角でフィルムが裂ける、或いは、フィルムを把持しているクリップによってフィルムが引きちぎられるといった障害が発生した。
【0005】
【特許文献1】
第2505474号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平5−104618
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち本発明は、セロハンの有する優れた特性のうち、特にひねり固定性、デッドホールド性に注目し、これらの特性を有しさらにポリエステルフィルムの優れた特性である透明性、耐熱性、防湿性、保香性等を合わせて有するフィルムを得ることを目的として研究し、これを達成したものである。
【0008】
本発明の、ひねり性の優れた延伸ポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂層(A)の少なくとも片面に、ポリエチレンテレフタレート30〜75重量%、ポリブチレンテレフタレート(PBT)5〜30重量%、35℃以上のガラス転移温度を有し、且つ結晶性を有しないポリエステルおよび/または共重合ポリエステル(PES−b)20〜40重量%(PBTとPES−bの合計が70〜25重量%とする)からなるポリエステル樹脂層(B)が積層されてなる積層フィルムに於いて、ポリエステル樹脂層(B)の融点が、ポリエステル樹脂層(A)の融点よりも10℃以上高い事を特徴として成り、その事により上記目的が達成される。
【0009】
本願発明の延伸ポリエステルフィルムの製造方法としては、酸成分としてテレフタル酸を主成分とする結晶性ポリエステル樹脂からなるポリエステル樹脂層(A)の少なくとも片面に、ポリエチレンテレフタレート30〜75重量%、ポリブチレンテレフタレート(PBT)5〜30重量%、35℃以上のガラス転移温度を有し、且つ結晶性を有しないポリエステルおよび/または共重合ポリエステル(PES1)20〜40重量%(PBTとPES1の合計が70〜25重量%とする)からなるポリエステル樹脂層(B)が積層されてなる未延伸積層フィルムを、少なくとも一軸延伸後に、ポリエステル樹脂層(A)の融点より5℃低い温度以上、かつポリエステル樹脂層(B)の融点又は軟化温度未満の温度で熱処理する方法が好ましい。
【0010】
すなわち、本発明は例えば、融点の異なるポリエステル積層フィルムを延伸後、ポリエステル樹脂層(A)を構成する、低い融点を有する側のポリエステル樹脂の融点より5℃低い温度以上、かつ高い融点又は軟化温度を有する側のポリエステル樹脂層(B)の融点又は軟化温度未満の温度で熱処理を実施することにより、ポリエステル樹脂層(A)は延伸工程での配向が崩れポリエステル樹脂の耐熱性、耐水性、保香性といった特性を維持しつつひねり固定性を有し、ポリエステル樹脂層(B)は配向を維持したポリエステルフィルム本来の耐熱性等の優れた特性を有する層を構成するという2種の異なる特性を構成する積層フィルムとなり、ポリエステルフィルム本来の優れた特性を有しつつ優れた耐熱性とひねり固定性を備えるという相反する特性を持つポリエステルフィルムが得られることを見出したことによるものである。
【0011】
更に、本発明では、ポリエステル樹脂層(B)に結晶性ポリエステル樹脂、及び非晶性ポリエステル樹脂を混合・含有させる事により、結晶性ポリエステル樹脂中に非晶性ポリエステル樹脂が分散し(海島構造と言う)、ひねり性、デッドホールド性が優れる事を見出し、且つ、それぞれの構成比の範囲を特定することにより、ポリエステルフィルム本来の優れた特性を有するという相反する特性を持つポリエステルフィルムの発明に至ったものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
ポリエステル樹脂層(A)に用いられるポリエステル樹脂は、テレフタル酸を主成分とする結晶性ポリエステル樹脂から成り、好ましくは、該ポリエステル樹脂の酸成分中におけるテレフタル酸の含有量が75mol%以上である。
【0013】
本発明のポリエステル樹脂層(B)に用いられるポリエチレンテレフタレート樹脂の量は、好ましくは30〜75重量%であり、さらに好ましくは40〜70重量%である。30重量%を下まわると、ポリエステル樹脂層(B)の耐熱性が不足し、フィルムの耐熱性が低下する。逆に、75重量%を越えると、ひねり性、デッドホールド性が不良となる。なお、上記ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、好ましくは0.55〜1.3dl/gであり、さらに好ましくは0.63〜1.2dl/gである。
【0014】
上記組成物に含有されるポリブチレンテレフタレートの量は、好ましくは5〜30重量%であり、さらに好ましくは10〜25重量%である。5重量%を下まわると、得られたフィルムのひねり性、デッドホールド性が悪化する。逆に、25重量%を越えると、製膜性が悪化する。なお、上記ポリブチレンテレフタレートの固有粘度は、好ましくは0.8〜1.6dl/gであり、さらに好ましくは0.85〜1.3dl/gである。
【0015】
上記組成物に含有されるガラス転移温度が35℃以上、且つ実質的に非晶性なポリエステルおよび/または共重合ポリエステルの量は、好ましくは20〜40重量%であり、さらに好ましくは25〜40重量%である。20重量%を下まわると、ひねり性が不良になる。逆に、40重量%越えると、ポリエステル樹脂層(B)の耐熱性が不足し、得られたフィルムの耐熱性が低下する。或いは、ポリエステル樹脂層(A)との融点差を保つ事が困難となり、本発明の意図するところである、ポリエステル樹脂層(A)を結晶化させる事が困難となる。なお、上記ポリエステルおよび共重合ポリエステルの固有粘度は、好ましくは0.5〜1.3dl/gであり、さらに好ましくは0.7〜1.2dl/gである。
【0016】
本発明に用いられるガラス転移温度が35℃以上、且つ実質的に非晶性なポリエステルおよび/または共重合ポリエステルとしては、以下のようなものが挙げられる。まず、ポリエステルは、ガラス転移温度が35℃以上で、なおかつ実施的に非晶性であればどのようなものでもよい。共重合ポリエステルは、例えばテレフタル酸およびエチレングリコールを主成分とし、他の酸成分および/または他のグリコール成分を共重合成分として含有するポリエステルである。他の酸成分としては、脂肪族の二塩基酸(例えば、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸)や芳香族の二塩基酸(例えば、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、5−第3ブチルイソフタル酸、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸)が用いられる。グリコール成分としては、脂肪族ジオール(例えば、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール)、脂環族ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール)または芳香族ジオール(例えば、キシリレングリコール、ビス(4−β−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体)が用いられる。
【0017】
上記ポリエステルおよびポリエステル共重合体は、従来の方法により製造され得る。例えば、酸成分とグリコール成分とを直接反応させる直接エステル化法、酸成分としてのエステルとグリコール成分とを反応させるエステル交換法などが用いられ得る。又、上記組成物中には、ポリエステル成分の他に、必要に応じて各種添加剤が含有されていてもよい。添加剤としては、滑剤(例えば、二酸化チタン、微粒子シリカ、カオリン、炭酸カルシウム)、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線防止剤、着色剤(例えば、染料)などが用いられる。
【0018】
本発明に於いて、ポリエステル系フィルムの150℃の雰囲気下に30分間放置した際の長手方向の熱収縮率の最大値は5%以下であり、特に好ましくは3.0%以下である。150℃における熱収縮率が5%より大きいと、多色印刷やラミネート加工、或いは金属や無機蒸着層を形成する時にシワの発生や平面性の乱れが発生することがあり、包装を行う際に、機械トラブルとなったり、また、包装品の見栄えが悪くなり好ましくない。
【0019】
更に、ポリエステル樹脂層(A)と(B)の層比が(A)/(B)=1/3〜3/1であり、好ましくは(A)/(B)=1/2〜2/1である。ポリエステル樹脂層(B)の比率が1/4以下の場合は、得られるフィルムの強度が低くなり、実用上支障がでるだけでなく、熱固定時にフィルムが溶融しやすくなり製膜が困難となる。またポリエステル樹脂層(B)の比率が3/4を越えると目的とするひねり性、デッドホールド性が低下する。またポリエステル樹脂層(A)とポリエステル樹脂層(B)の積層は3層(B/A/B)または2層(B/A)の構成のどちらでもよいが、3層(B/A/B)に積層したものの方が加工時のカールや、耐熱性に於いて好ましい。この場合に於いては、ポリエステル樹脂層(A)と(B)の構成比は(B)/(A)/(B)=1/6/1〜3/2/3である。さらに、延伸フィルムの厚みは本発明の目的とする用途であるひねり包装や包装用袋に用いられるフィルム厚みは12μから30μであるが、特に限定されるものではない。
【0020】
本発明に用い得るポリエステル基材フィルムは、公知のフィルム製膜法によって形成し得る。フィルム製膜法としては、未延伸フィルムを縦方向又は横方向に延伸する一軸延伸法やインフレーション法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法などの二軸延伸法を行い、次いで熱固定処理する方法が用い得る。例えば、逐次二軸延伸法としては、縦延伸及び横延伸または横延伸及び縦延伸を順に行なう方法のほか、横−縦−縦延伸法、縦−横−縦延伸法、縦−縦−横延伸法などの延伸方法を採用することができる。また、同時二軸延伸法としては、従来の同時二軸延伸法でもよいが、リニアモーター方式により駆動される新規の同時二軸延伸法が好ましい。なお、多段階に分けて同時二軸延伸してもよい。また、熱収縮率をさらに低減するために、必要に応じて、縦弛緩処理、横弛緩処理などを施してもよい。
【0021】
好ましくは、上記延伸は、次のような工程で行われる。例えば、まず、それを構成する重合体組成物が有するガラス転移温度(Tg)以上、融点以下の温度、例えばTg+30℃程度の温度で予熱を行なう。ここで、重合体組成物が有するガラス転移温度とは、各ポリエステル成分のガラス転移温度を、その含有率で重みを付けて平均した値を意味する。延伸倍率としては一軸延伸の場合は少なくとも1.5倍以上、好ましくは3〜5倍であり、二軸延伸の場合は延伸面積で2〜30倍、好ましくは9〜16倍である。
【0022】
ここでいう未延伸積層フィルムとは、複数の押出機等の中で、融点以上の温度で別々に溶融し、ダイス出口から押し出して成形した未延伸フィルム同士を加温状態でラミネートする方法が挙げられる。別の方法としては一方の未延伸フィルムの表面に、他方の溶融フィルムを溶融ラミネートする方法がある。さらに別の方法としては共押し出し法により積層した状態でダイス出口より押し出して未延伸フィルムを成形する方法がある。
【0023】
本発明に於いて、ポリエステル樹脂層(A)及びポリエステル樹脂層(B)に用いられるポリエステル及び/又はポリエステル樹脂組成物は、ポリエチレンテレフタレート樹脂に比べて融点が低下しており、通常用いられるタイプの押出し機を用いる事も可能であるが、好ましくは、スクリュー冷却機構を有するタイプである。スクリューに冷却機構を有しない押出し機の場合、押出し機のフィード部分に於いて、低融点樹脂或いは非晶性樹脂が軟化、溶融し、フィード不良を起こす事がある。スクリュー冷却機構を有しないタイプの押出し機を用いる場合は、押出し機のフィード部分の温度を低めに設定する事が好ましい。
【0024】
次に本発明フィルムの製造法の一例を説明する。真空乾燥した結晶性ポリエステル樹脂(A)を押出し機に供給し、別の押出し機にポリエステル樹脂組成物(B)を供給する。2台の押出し機から、それぞれの融点以上の温度で溶融押し出しし、複合アダプターを通過させ、2種3層(B/A/B)または2種2層(B/A)として口金より押し出し冷却固化させて未延伸積層フィルムを成形する。
【0025】
このようにして得られた未延伸積層フィルムをポリエステル樹脂層(A)に用いられる結晶性ポリエステル樹脂(A)及びポリエステル樹脂組成物(B)の二次転移点のうちの高い温度以上、融点以下の温度で一軸延伸または二軸延伸を行なう。一軸延伸の場合は少なくとも1.5倍以上、好ましくは3〜5倍であり、二軸延伸の場合は延伸面積で2〜30倍、好ましくは9〜16倍である。また二軸延伸の場合は逐次延伸でも同時延伸でもよい。
【0026】
この延伸フィルムをポリエステル樹脂(A)の融点よりも5℃低い温度以上、かつポリエステル樹脂層(B)の融点又は軟化温度よりも低い温度で熱処理を行なう。この熱処理では、必要に応じて弛緩処理を行ってもよいことは言うまでもない。
【0027】
【作用】
前記熱処理によりポリエステル樹脂層(A)は延伸による分子配向が殆ど崩壊してひねり性が得られる。又、ポリエステル樹脂層(B)は結晶性ポリエステル中に非晶性のポリエステルが分散する事で、外力による変形を非晶性樹脂部が変形する事で、その変形させられた状態を維持するようになり、優れたひねり性、デッドホールド性を有すると共に、分子配向を維持している為に二軸延伸ポリエステルフィルムの特徴である、透明性、耐熱性、防湿性、保香性等を合わせて有するフィルムが得られると考えられる。
【0028】
更に、ポリエステル樹脂層(B)として2種類以上の結晶性ポリエステル、1種類以上の非晶性ポリエステルを混合させる事で、分散状態をより効果的にする事ができ、ひねり性を向上させる事ができると考えられる。
【0029】
本発明は前述した如く、製膜ラインでの熱処理により分子配向が殆ど崩壊し、ひねり性を付与する層と、分子配向を維持したポリエステル本来の特性を有しつつ、ひねり性を有する層が存在する事により、優れたひねり性、デッドホールド性を有する。更に、層比のバランスにより、目的とするひねり性、デッドホールド性、或いは剛性、強度といったフィルム特性を自在に設定出来る利点を有する。
【0030】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明する。実施例および比較例における評価の方法については次の方法で行った。
【0031】
【ひねり性】
テンチ社製ひねり包装機TA200型を用い、毎分200個の速度でひねり包装を行った。フィルムは1.5回転ひねられ個包装となるが、ある程度の角度は戻る為、ひねられた状態で保持している角度を測定した。(保持角度という)
この角度が大きいほどひねり性に優れており、現在使用されているセロファンを測定した際の平均値は250度、最小値は200度であった。
○:ひねり保持角度 240度以上
△:ひねり保持角度 180度以上、240度未満
×:ひねり保持角度 180度未満
【0032】
【熱収縮率】
フィルムの長手方向に、幅10mm、長さ250mmのサンプルを切り出し、200mm間隔で印をつけ、5gの一定張力で間隔Aを測る。続いて、150℃の雰囲気中のオーブンに無荷重で30分間放置した。オーブンから取り出し室温まで冷却後に、5gの一定張力で間隔Bを求め、以下の式により熱収縮率を求めた。測定はフィルムの幅方向を等間隔に5ヶ所からサンプルを切り出し、その最大値を求めた。
熱収縮率=(A−B)/A×100(%)
【0033】
(実施例1)
ポリエステル樹脂層(A)として、融点が215℃のポリエチレンイソフタレート(固有粘度0.65dl/g)を用いた。ポリエステル樹脂層(B)として、ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.62dl/g)52重量%、ポリブチレンテレフタレート(固有粘度1.20dl/g)10重量%、及び、酸成分としてテレフタル酸100mol%、グリコール成分としてエチレングリコール70mol%およびネオペンチルグリコール30mol%を用いた共重合ポリエステルB(固有粘度1.30dl/g)38重量%の割合で混合した。該共重合ポリエステルBのガラス転移温度は69℃であった。
【0034】
ポリエステル樹脂(A)及び、ポリエステル樹脂混合物(B)を、おのおの285℃の温度で別々の押出機により溶融し、この溶融体を複合アダプターで合流させた後にTダイより押し出し、冷却ドラムで急冷して(B/A/B)構成の3層の未延伸積層フィルムを得た。
【0035】
前記未延伸積層フィルムをまず縦方向に95℃で3.5倍、次いで横方向に110℃で4.0倍に延伸した後、3%の弛緩を行ないつつ220℃の温度で熱処理を行い20μmのフィルムを得た。このフィルムのB/A/B各層の厚み比率は1/2/1の比率であった。
【0036】
得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0037】
(実施例2)
実施例1と同じ原料、方法でB/A/B各層の層比を1/6/1に変更した20μmのフィルムを得た。かくして得られたフィルムはひねり性に優れていた。
得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0038】
(実施例3)
実施例1と同じ原料、方法でB/A/B各層の層比を3/2/3に変更した20μmのフィルムを得た。かくして得られたフィルムはひねり性に優れていた。
得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0039】
(比較例1)
実施例1と同じ原料、方法でB/A/B各層の厚み比率のみ1/8/1に変更した20μmのフィルムを得た。かくして得られたフィルムは強度に劣り、ひねりテストの際にフィルムがちぎれる事があった。
【0040】
(比較例2)
実施例1と同じ原料、方法でB/A/B各層の厚み比率のみ2/1/2に変更した20μmのフィルムを得た。かくして得られたフィルムはひねり性に劣っていた。
【0041】
(比較例3)
ポリエチレンイソフタレート(A)の融点を245℃に変更した以外は全て実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μmのフィルムを得た。かくして得られたフィルムはひねっても元に戻り、ひねり固定性が無かった。
【0042】
(比較例4)
熱固定の温度を180℃に変更した以外は全て実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μmのフィルムを得た。かくして得られたフィルムはひねり性が無かった。
【0043】
(比較例5)
ポリエステル樹脂層(B)としてポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.62dl/g)を用いた以外は、実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μmのフィルムを得た。かくして得られたフィルムはひねり性が無かった。
【0044】
(実施例4)
ポリエステル樹脂層(B)として、ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.62dl/g)75重量%、ポリブチレンテレフタレート(固有粘度1.20dl/g)5重量%、共重合ポリエステルB(固有粘度1.30dl/g)20重量%の割合で用いた以外は、実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μmのフィルムを得た。かくして得られたフィルムはひねり性に優れていた。得られたフィルムの特性を表1に示す。
【0045】
(比較例6)
ポリエステル樹脂層(B)として、ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.62dl/g)80重量%、共重合ポリエステルB(固有粘度1.30dl/g)20重量%の割合で用いた以外は、実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で20μmのフィルムを得た。かくして得られたフィルムはひねり性に劣っていた。
【0046】
(比較例7)
ポリエステル樹脂層(B)として、ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.62dl/g)10重量%、ポリブチレンテレフタレート(固有粘度1.20dl/g)40重量%、共重合ポリエステルB(固有粘度1.30dl/g)50重量%の割合で用いた以外は、実施例1と同じ方法、条件、厚み比率で製膜を行ったが、熱固定ゾーンでフィルムが溶融し、サンプルが得られなかった。
【0047】
(比較例8)
熱固定温度を200℃とした以外は、比較例7と同じ方法、条件、厚み比率で20μmのフィルムを得た。かくして得られたフィルムは耐熱性に劣っていた。
【0048】
実施例および比較例で得られたフィルムの評価結果を表1、2に示す。
【0049】
【発明の効果】
以上の如く、ひねり性の良好なポリエステルフィルムが得られ、包装用として有効なことがわかる。
【表1】
Figure 2004181653
【表2】
Figure 2004181653

Claims (9)

  1. ポリエステル樹脂層(A)の少なくとも片面に、2種類以上の結晶性ポリエステル、及び1種類以上の非晶性ポリエステルからなるポリエステル樹脂層(B)が積層されてなることを特徴とするひねり性の優れた延伸ポリエステルフィルム
  2. 請求項1に記載のポリエステルフィルムに於いて、ポリエステル樹脂層(B)が、ポリエチレンテレフタレート30〜75重量%、ポリブチレンテレフタレート(PBT)5〜30重量%、35℃以上のガラス転移温度を有し、且つ結晶性を有しないポリエステルおよび/または共重合ポリエステル(PES−b)20〜40重量%(PBTとPES−bの合計が70〜25重量%とする)からなるポリエステル樹脂混合物である事を特徴とするひねり性の優れた延伸ポリエステルフィルム。
  3. 請求項1或いは2に記載のポリエステルフィルムに於いて、ポリエステル樹脂層(B)の融点が、ポリエステル樹脂層(A)の融点よりも10℃以上高い事を特徴とするひねり性の優れた延伸ポリエステルフィルム。
  4. 請求項1、2或いは3に記載のポリエステルフィルムに於いて、150℃に30分間放置した際のフィルム長手方向の熱収縮率が5%以下である事を特徴とするひねり性の優れた延伸ポリエステルフィルム。
  5. 請求項1、2、3或いは4に記載の延伸ポリステルフィルムであって、ポリエステル樹脂層(A)とポリエステル樹脂層(B)の層比がA/B=1/3〜3/1であることを特徴とするひねり性の優れた延伸ポリエステルフィルム。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の延伸ポリステルフィルムであって、ポリエステル樹脂層(A)を構成するポリエステル樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であり、該ポリエステル樹脂の酸成分中におけるテレフタル酸の含有量が75mol%以上であることを特徴とするひねり性の優れた延伸ポリエステルフィルム。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の延伸ポリステルフィルムであって、ひねり包装用に用いられることを特徴とする、延伸ポリエステルフィルム。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の延伸ポリステルフィルムであって、延伸ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に、シーラント層が積層されてなる事を特徴とするひねり性の優れた延伸ポリエステルフィルム。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の延伸ポリステルフィルムであって、DSCにて熱特性を測定した際に、発熱を表すピークが観察される事を特徴とする、ひねり性に優れたポリエステルフィルム。
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