JP2003253008A - 生分解性熱収縮材 - Google Patents
生分解性熱収縮材Info
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Abstract
縮性と、約90℃でも良好に第1の方向に収縮する高温
収縮性と、約60℃〜約90℃の任意の温度において第
1の方向と直交する方向には概ね収縮しない1軸収縮性
とを兼備する生分解性熱収縮材を提供する。また、優れ
た引張破断性を更に有する生分解性熱収縮材、及び優れ
た引張破断性と優れた透明性を更に有する生分解性熱収
縮材を提供する。 【解決手段】D−乳酸の含有率がA%の第1のポリ乳酸
X重量部及びD−乳酸の含有率がB%である第2のポリ
乳酸をX:Yの配合比(ただし、X+Y=100とする)で
含むポリ乳酸系樹脂(全体としてのD−乳酸の含有率が
C%)を主剤とする第1の樹脂層を備えた熱収縮材であ
って、第1の条件群(0<A<2,7≦B≦20,10≦X≦60,40
≦Y≦90,5≦C≦15)、第2の条件群(2≦A<7,7≦B≦2
0,5≦X≦95,5≦Y≦95,5≦C≦15)、第3の条件群(98<
A<100,80≦B≦93,10≦X≦60,40≦Y≦90,85≦C≦95)又
は第4の条件群(93<A≦98,80≦B≦93,5≦X≦95,5≦Y
≦95,85≦C≦95)を満たす構成とする。
Description
であって、ポリ乳酸系樹脂を主剤とする混合物質からな
り1軸収縮性を有する熱収縮材に関する。詳しくは、D
−乳酸とL−乳酸の含有率が異なる複数種のポリ乳酸を
含有するポリ乳酸系樹脂を主剤とする第1の樹脂層のみ
からなる単層熱収縮材に関する。また、本発明は、第1
のポリ乳酸系樹脂を主剤とする第1の樹脂層と、第2の
ポリ乳酸系樹脂を主剤として用いた、前記第1の樹脂層
よりも耐熱性の高い第2の樹脂層とが積層した積層熱収
縮材に関する。
装又は収縮ラベル等に利用される熱収縮材を構成する物
質として、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエン共重
合体、ポリエチレンテレフタレート等が知られており、
また、産業界で広く利用されている。しかし、これらの
熱収縮材は、自然環境下に廃棄されると、その安定性の
ため分解されることなく残留する。なお、本明細書にお
ける「熱収縮材」は、熱収縮性を有する糸、紐、フィル
ム、シート等を意味する。また、熱収縮材には単層構造
を有する単層熱収縮材や積層構造を有する積層熱収縮材
を含む。具体的には、「積層熱収縮材」は、構成物質の異
なる少なくとも2種類のフィルム若しくはシートを積層
してなる積層フィルム又は積層シート等であって、熱収
縮性を有するものを意味する。
れ、景観を損うとともに、魚、野鳥の生活環境を汚染す
る等の問題を引き起こす。これらの問題を生じない分解
性重合体からなる熱収縮材が要望されており、実際多く
の研究、開発が行われている。その分解性重合体とし
て、ポリエステルが例示できる。ポリエステルからなる
熱収縮材は、ポリエステルが本来的に有する加水分解性
によって、湿気又は水分を有する自然環境下において単
量体に分解される。更に、近年においては、加水分解後
に土壌中の微生物により無害な分解物となる生分解性重
合体からなる熱収縮材が熱望されている。その生分解性
重合体の一例としては、ポリ乳酸が挙げられる。ポリ乳
酸は、土壌中において加水分解が自然に進行するので土
壌中に原形が残らず、かつ、加水分解後には土壌中の微
生物により無害な分解物となることが知られている。し
かし、ポリ乳酸のみからなるフィルム等は、硬くかつ透
明性に優れるが、非常に脆くこのままでは熱収縮材を形
成することが極めて困難であった。
な熱収縮特性を付与するための従来技術について説明す
る。ポリ乳酸系重合体からなるフィルム等に対して2軸
延伸を行うことによって、ポリ乳酸系重合体からなるフ
ィルム等が本来的に有する脆さを改善したポリ乳酸系熱
収縮フィルムが、特開平9−187863号公報に開示
されている。ポリ乳酸系熱収縮フィルムは、未延伸フィ
ルムを第1の方向に延伸して得られた1軸延伸フィルム
を、1軸延伸フィルムの結晶化温度以上に予熱しかつ第
1の方向と垂直な方向に更に延伸を行うことにより形成
される。このポリ乳酸系熱収縮フィルムは、実質的に第
1の方向に熱収縮する特性を有する。しかしながら、こ
のポリ乳酸系熱収縮フィルムは、熱収縮方向と直交する
方向に対する引張破断伸度が小さく、収縮包装又は収縮
結束包装を行う熱収縮フィルムとして用いることは実用
上困難であった。また、このポリ乳酸系熱収縮フィルム
は、熱収縮方向と直交する方向に対する熱収縮率が比較
的高く、良好な1軸収縮性を発現させることは困難であ
った。
を造核剤としてポリ乳酸系重合体に混合することによっ
て熱収縮性を向上させたポリ乳酸系熱収縮フィルムが、
特開2000−226571号公報に開示されている。
しかしながら、80℃以上の高温域における主収縮方向
に直交する方向の熱収縮率を5%以下にすることは難し
かった。更に、このポリ乳酸系熱収縮フィルムは引張破
断伸度が10%程度であり、収縮包装又は収縮結束包装
を行う熱収縮フィルムとして用いることは実用上困難で
あった。
脂肪族系ポリエステルを混合することによって、ポリ乳
酸系重合体よりなるフィルム等の脆さを改善したポリ乳
酸系熱収縮フィルムが、特開2001−11214号公
報に開示されている。しかしながら、このポリ乳酸系熱
収縮フィルムは、全体的に熱収縮率が小さかった。
酸系熱収縮フィルム等を複数積層することによって耐熱
性を付与したポリ乳酸系熱収縮材が、特開2001−1
51907号公報、特開2001−219522号公報
等に開示されている。
る材料として、複数種のポリ乳酸を混合した混合樹脂を
用いてもよいとの記載が上記の公報等にも見られるが、
その混合樹脂におけるD−乳酸の含有率で、概ね性状が
決定されると認識されていた。つまり、D−乳酸(又
は、L−乳酸)の含有率が異なる複数種類のポリ乳酸を
混合したポリ乳酸系樹脂を用いた場合に熱収縮特性を向
上できることは知られていなかった。
されたものであり、その目的は、第1の方向に約60℃
の低温において収縮を開始する低温収縮性と、第1の方
向に約90℃の高温において良好に収縮する高温収縮性
と、第1の方向と直交する方向には約60℃〜約90℃
の範囲の任意の温度において概ね熱収縮しない(熱収縮
率が−5%以上かつ5%以下)1軸収縮性とを兼備する
熱収縮特性を有する生分解性の熱収縮材を提供すること
にある。また、上記熱収縮特性を有すると共に、優れた
引張破断性(引張破断伸度が200%以上)を有する生
分解性の熱収縮材を提供することを目的とする。更に、
上記熱収縮特性及び優れた引張破断性と共に、透明性に
優れる(ヘイズ値が10%以下)生分解性の熱収縮材を
提供することを目的とする。
酸の含有率がA%である1種のポリ乳酸からなるポリ乳
酸系樹脂を用いた組成物と、D−乳酸の含有率が全体と
してA%となるように、D−乳酸の含有率が異なる複数
種のポリ乳酸を混合したポリ乳酸系樹脂を用いた組成物
とでは、性状が異なることを見出した。組成物の性状
は、混合する複数種の種類やその配合比等によって異な
る。そこで、熱収縮特性を向上させることができる構成
を鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
る熱収縮材は、D−乳酸の含有率の異なる第1のポリ乳
酸と第2のポリ乳酸とを含有する第1のポリ乳酸系樹脂
を主剤とする第1の樹脂層を有し、加熱により一方向に
収縮する熱収縮材であって、第1のポリ乳酸系樹脂が、
第1のポリ乳酸及び第2のポリ乳酸におけるD−乳酸の
含有率をそれぞれA%及びB%とし、かつ第1のポリ乳
酸成分と第2のポリ乳酸成分の重量比をX:Yとする
と、下記条件式1〜6を満たすことを特徴とする。
明に係る熱収縮材は、D−乳酸の含有率の異なる第1の
ポリ乳酸と第2のポリ乳酸とを含有する第1のポリ乳酸
系樹脂を主剤とする第1の樹脂層を有し、加熱により一
方向に収縮する熱収縮材であって、第1のポリ乳酸系樹
脂が、第1のポリ乳酸及び第2のポリ乳酸におけるD−
乳酸の含有率をそれぞれA%及びB%とし、かつ第1の
ポリ乳酸成分と第2のポリ乳酸成分の重量比をX:Yと
すると、下記条件式7〜12を満たすことを特徴とす
る。
明に係る熱収縮材は、D−乳酸の含有率の異なる第1の
ポリ乳酸と第2のポリ乳酸とを含有する第1のポリ乳酸
系樹脂を主剤とする第1の樹脂層を有する加熱により一
方向に収縮する熱収縮材であって、ポリ乳酸系樹脂が、
第1のポリ乳酸及び第2のポリ乳酸におけるD−乳酸の
含有率をそれぞれA%及びB%とし、かつ第1のポリ乳
酸成分と第2のポリ乳酸成分の重量比をX:Yとする
と、下記条件式13〜18を満たすことを特徴とする。
明に係る熱収縮材は、D−乳酸の含有率の異なる第1の
ポリ乳酸と第2のポリ乳酸とを含有する第1のポリ乳酸
系樹脂を主剤とする第1の樹脂層を有し、加熱により一
方向に収縮する熱収縮材であって、第1のポリ乳酸系樹
脂が、第1のポリ乳酸及び第2のポリ乳酸におけるD−
乳酸の含有率をそれぞれA%及びB%とし、かつ第1の
ポリ乳酸成分と第2のポリ乳酸成分の重量比をX:Yと
すると、下記条件式19〜24を満たすことを特徴とす
る。
条件群とも称す)を満たす熱収縮材、条件式7〜12
(以下、第2の条件群とも称す)を満たす熱収縮材、条
件式13〜18(以下、第3の条件群とも称す)を満た
す熱収縮材、及び、条件式19〜24(以下、第4の条
件群とも称す)を満たす熱収縮材は、第1の方向に約6
0℃の低温において収縮を開始する低温収縮性と、第1
の方向に約90℃の高温においても良好に収縮する高温
収縮性と、第1の方向と直交する方向には約60℃〜約
90℃の範囲の任意の温度において概ね収縮しない1軸
収縮性とを兼備する熱収縮特性を有する生分解性の熱収
縮材となる。
条件群を満たす熱収縮材は、第1のポリ乳酸及び第2の
ポリ乳酸として、D−乳酸の含有率がL−乳酸の含有率
よりも小さいポリ乳酸(L−乳酸リッチなポリ乳酸とも
称す)を用いた構成である。一方、第3の条件群を満た
す熱収縮材及び第4の条件群を満たす熱収縮材は、第1
のポリ乳酸及び第2のポリ乳酸として、D−乳酸の含有
率がL−乳酸の含有率よりも大きいポリ乳酸(D−乳酸
リッチなポリ乳酸とも称す)を用いた構成である。
率とL−乳酸の含有率との含有率差が同じであるポリ乳
酸は略同一の物性を示すことが知られている。つまり、
D−乳酸とL−乳酸の含有率比がM%:N%(ただし、
M+N=100)であるポリ乳酸と、D−乳酸とL−乳
酸の含有率比がN%:M%であるポリ乳酸とは略同一の
物性を示す。この同等性を考慮すると、L−乳酸リッチ
なポリ乳酸を用いるかD−乳酸リッチなポリ乳酸を用い
るかの相違はあるが、第1の条件群と第3の条件群は略
同等の関係にある。つまり、第3の条件群をL−乳酸の
含有率を用いて表現すれば、下記の条件群になる。
のポリ乳酸におけるL−乳酸の含有率をそれぞれA’%
及びB’%とし、かつ第1のポリ乳酸と第2のポリ乳酸
の重量比をX:Yとした。また、同様に、第2の条件群
と第4の条件群との間にも略同等の関係が成り立つ。
層のみからなる単層熱収縮材であってもよし、本発明の
効果(熱収縮特性の向上)を奏する限りにおいて、第1
の樹脂層以外の他の層を有する積層熱収縮材であっても
よい。また、第1の樹脂層が、第1のポリ乳酸系樹脂の
みを含む構成であってよいし、本発明の効果(熱収縮特
性の向上)を奏する限りにおいて、他の物質を含む構成
であってもよい。
酸以外の脂肪族ポリエステルを含む構成であれば、熱収
縮特性を阻害することなく、熱収縮方向と直交する方向
に対する引張破断性を向上させることができる。これに
より、結束用或いは包装用の熱収縮材又はラベル用に適
した熱収縮材となる。
脂肪族ポリエステルと共にポリカルボジイミドを含む構
成であれば、更に、引張破断性及び透明性を向上させる
ことができる。これにより、包装用の熱収縮材又はラベ
ル用に特に適した熱収縮材となる。なお、ポリカルボジ
イミドを配合することにより引張破断性及び透明性を向
上できることについては、本願と同一発明者等によっ
て、特願2002−020528号に記されている。
脂層の少なくとも1面に積層された、第2のポリ乳酸系
樹脂を主剤とする第2の樹脂層を更に含む構成であれ
ば、耐熱性に優れた積層熱収縮材となる。第1の樹脂層
より耐熱性の高い第2の樹脂層としては、第1のポリ乳
酸系樹脂がL−乳酸リッチな第1のポリ乳酸及びL−乳
酸リッチな第2のポリ乳酸からなる場合には、第1のポ
リ乳酸系樹脂よりもD−乳酸の含有率の低い第2のポリ
乳酸系樹脂を用いて形成した第2の樹脂層が例示でき、
また、第1のポリ乳酸系樹脂がD−乳酸リッチな第1の
ポリ乳酸及びD−乳酸リッチな第2のポリ乳酸からなる
場合には、第1のポリ乳酸系樹脂よりもD−乳酸の含有
率の高い第2のポリ乳酸系樹脂を用いて形成された第2
の樹脂層が例示できる。
性に優れる限りにおいて、第2のポリ乳酸系樹脂以外の
成分を含む構成であってもよい。また、第2のポリ乳酸
系樹脂は、第1のポリ乳酸系樹脂より耐熱性に優れる限
りにおいて、D−乳酸の含有率が異なる複数種のポリ乳
酸を含有してもよいし、1種のポリ乳酸のみを含有して
いてもよい。
の差が大きいポリ乳酸は、結晶性が高いために融点も高
く、耐熱性に優れる。したがって、第2のポリ乳酸系樹
脂は、第1のポリ乳酸系樹脂と同一若しくはそれよりも
D−乳酸とL−乳酸との含有率の差が大きい1種のポリ
乳酸を主剤とすることが好ましい。この構成であれば、
第1の樹脂層よりも耐熱性の高い第2の樹脂層を簡便に
形成することができる。
みを含み、かつ第2のポリ乳酸系樹脂が第1のポリ乳酸
と同一ポリ乳酸のみを含む構成であれば、第2の樹脂層
の耐熱性は、確実に第1の樹脂層の耐熱性よりも優れ
る。また、少なくとも2種のポリ乳酸を材料として準備
すれば、本発明に係る積層熱収縮材を製造することがで
きるという製造上の利点もある。また、第1のポリ乳酸
と第1のポリ乳酸よりもD−乳酸とL−乳酸の含有率の
差が大きいポリ乳酸とを含有するポリ乳酸系樹脂のみを
用いて第2の樹脂層を形成しても、この第2の樹脂層は
確実に第1の樹脂層よりも耐熱性に優れる。更に、第1
のポリ乳酸の配合率が第1のポリ乳酸系樹脂よりも高く
なるように、第1のポリ乳酸と第2のポリ乳酸とが配合
されたポリ乳酸系樹脂のみを用いて第2の樹脂層を形成
しても、この第2の樹脂層は確実に第1の樹脂層よりも
耐熱性に優れる。
延伸方向に配向した構成であれば、延伸方向を収縮方向
とする1軸収縮性を発現する。したがって、良好な1軸
収縮性を有する熱収縮材を提供できる。単層熱収縮材に
おいては第1の樹脂層を構成する物質が延伸方向に配向
した構成であり、積層熱収縮材においては第1の樹脂層
を構成する物質と第2の樹脂層を構成する物質が延伸方
向に配向した構成である。
収縮率が5%以上であり、かつ、90℃に加熱した際の
延伸方向に対する熱収縮率が50%以上であり、かつ、
50℃から90℃の温度範囲における任意の温度に加熱
した際の延伸方向と直交する方向に対する熱収縮率が−
5%以上かつ5%以下であることを特徴とする熱収縮特
性に優れた熱収縮材を提供することもできる。この構成
であれば、特に結束用或いは包装用の熱収縮材又はラベ
ル用の熱収縮材として好ましい。
縮特性とともにポリ乳酸換算の結晶融解熱量が20J/
g以上かつ36J/g以下である熱収縮材を提供するこ
ともできる。一般的に、ポリ乳酸換算の結晶融解熱量が
20J/g以上かつ36J/g以下の熱収縮材は、熱収縮
率の高い熱収縮材となる。また、本発明に係る熱収縮材
として、熱収縮特性に優れるとともに熱収縮方向と直交
する方向に対する引張破断伸度が200%以上である引
張破断性に優れた熱収縮材や、熱収縮特性に優れるとと
もにヘイズ値が10%以下である透明性に優れた熱収縮
材を提供することができる。更に、熱収縮特性に優れる
とともに、上記の如く適正な範囲のポリ乳酸換算の結晶
融解熱量と優れた引張破断性と優れた透明性とを兼備し
た熱収縮材を提供することもできる。
好ましい実施の形態を記述する。まず、単層熱収縮材及
び積層熱収縮材を製造するために用いる材料物質につい
ての説明と、単層熱収縮材及び積層熱収縮材の物性値の
測定方法及び評価方法についての説明を行う。次に、下
記実施の形態1において単層熱収縮材について詳細に説
明し、また、下記実施の形態2において積層熱収縮材に
ついて詳細に説明する。
る樹脂である。なお、ポリ乳酸とは、構造単位がL−乳
酸のみであるポリL−乳酸、構造単位がD−乳酸のみで
あるポリD−乳酸若しくは構造単位がL−乳酸とD−乳
酸であるポリDL−乳酸を意味する。したがって、ポリ
乳酸系樹脂としては、ポリL−乳酸のみを含有する樹
脂、ポリL−乳酸と1種のポリDL−乳酸を含有する樹
脂とを含有する樹脂、D−乳酸の含有率が異なる複数種
のポリDL−乳酸を含有する樹脂等が挙げられる。
環重合法等の公知の方法を適用することによって、ポリ
乳酸系重合体を製造することができる。詳しくは、縮重
合法では、L−乳酸、D−乳酸又はこれらの混合物を直
接脱水縮重合することによって、ポリ乳酸が製造でき
る。また、開環重合法では、必要に応じて重合調整剤等
を用いて乳酸の環状二量体である乳酸ラクチドを所定の
触媒の存在下で開環重合することによって、ポリ乳酸が
製造できる。なお、乳酸ラクチドには、L−乳酸の二量
体であるL−ラクチド、D−乳酸の二量体であるD−ラ
クチド及びL−乳酸とD−乳酸との二量体であるLD−
ラクチドがあり、これら3種の乳酸ラクチドのいずれか
1種又は複数種を用いて所望のポリ乳酸を製造すること
ができる。
グリコール類と脂肪族多塩基酸(又はその無水物)とを
縮合して得られる脂肪族系ポリエステル、環状ラクトン
類を開環重合した脂肪族系ポリエステル、合成系脂肪族
系ポリエステル、菌体内で生合成される脂肪族系ポリエ
ステル等が挙げられる。最も透明性に優れる脂肪族系ポ
リエステルは、脂肪族グリコール類と脂肪族多塩基酸
(又はその無水物)とを縮合して得られるものである。
この透明性に優れる脂肪族系ポリエステルを用いた場合
には、極めて透明性の高いポリ乳酸系熱収縮材を製造す
ることができる。
(又はその無水物)とを触媒の存在下に反応させた脂肪
族系グリコール/多塩基酸ポリエステル樹脂、又は必要
に応じ少量のカップリング剤を使用して反応させた高分
子量の脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステル樹脂
を例示することができる。脂肪族系グリコール類として
は、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−へキサンジオール、デカメチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール等が挙げられる。また、脂肪族系グリコー
ル類としてエチレンオキシドを使用することもできる。
更に、複数種のグリコール類を併用して合成した脂肪族
系グリコール/多塩基酸ポリエステル樹脂であってもよ
い。一方、脂肪族多塩基酸及びその酸無水物としては、
コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデ
カン酸、無水コハク酸や無水アジピン酸等、一般的に市
販されているものを使用することができる。更に、複数
種の多塩基酸及び/又はその酸無水物を併用して合成し
た脂肪族系グリコール/多塩基酸ポリエステル樹脂であ
ってもよい。
脂肪族系多塩基酸のみからなる脂肪族系ポリエステルに
ついて説明したが、少量の他成分、例えば、芳香族系グ
リコール類及び無水トリメリット酸や無水ピロメリット
酸等の芳香族系多塩基酸、を併用することもできる。た
だし、これら芳香族系成分を導入するとポリ乳酸系熱収
縮材の生分解性が劣化することに注意を要する。
で製造したものを使用することができる。一般的には、
従来のポリカルボジイミドの製造方法(米国特許第29
41956号明細書、特公昭47−33279号公報、
J.0rg.Chem.28, 2069−2075
(1963)、Chemical Review l98
1,Vol.81 No.4、p619−621)によ
り製造したものを用いることができる。
である有機ジイソシアネートとしては、例えば芳香族ジ
イソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイ
ソシアネートやこれらの混合物を挙げることができ、具
体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,
4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジ
フェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フ
ェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソ
シアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,
6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイ
ソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混
合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサ
ン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシ
ルメタン−4,4'−ジイソシアネート、メチルシクロ
ヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジ
イソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソ
シアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−
2,4−ジイソシアネートを例示することができる。
て、本発明に係る熱収縮材には、更に、熱安定剤、光安
定剤、滑剤、可塑剤、無機充填剤、消臭剤、帯電防止剤
等の添加剤を有する熱収縮材を含むと解することに注意
を要する。また、透明性の高い熱収縮材を製造する目的
は、単純に透明性を追求するばかりでなく、光透過性を
有する色純度の高い着色熱収縮材を提供することにもあ
る。したがって、着色剤、顔料等を添加すると透明性は
劣化することとなるが、本発明に係る熱収縮材には、着
色剤、顔料等を有する熱収縮材を含むと解することに注
意を要する。また、遮光、隠蔽、耐熱性を付与するため
の無機フィラーを添加した熱収縮材であってもよい。
(評価方法)について説明する。まず、熱収縮特性は、
50℃〜100℃の範囲において、10℃毎に測定温度
における熱収縮率を測定することによって評価した。各
測定温度における熱収縮率は、一辺が10cmの正方形
の試験片を各測定温度に加熱された温水に10秒間浸漬
した際の寸法の変化によって測定した。なお、測定温度
100℃は沸騰水を意味する。
熱流速示差走査熱量計(DSC)(島津製作所製、DS
C−50)によって測定した。結晶融解熱量は、全体的
な熱収縮率の指標を与える物性値であって、結晶融解熱
量が大きいと熱収縮率は全体的に小さくなる。なお、ポ
リ乳酸換算の結晶融解熱量とは、ポリ乳酸系樹脂以外の
物質を含む熱収縮材に対しては、測定された結晶融解熱
量を熱収縮材に含まれるポリ乳酸系樹脂の重量含有率で
除した値(ΔHm2と称す)を意味する。なお、ポリ乳
酸系樹脂のみからなる熱収縮材においては、測定された
結晶融解熱量(ΔHm1と称す)がポリ乳酸換算の結晶
融解熱量に対応する。
82号に準じて測定した。ここに、ヘイズ値は透明性の
指標を与える物性値であって、ヘイズ値が小さいほど透
明性に優れる。次に、引張破断伸度は、日本工業規格K
−6732号に準じて測定した。ここに、引張破断伸度
は引張破断性の指標を与える物性値であって、引張破断
伸度が大きいほど引張破断性に優れる。
種類のポリ乳酸を含有した第1のポリ乳酸系樹脂を含む
混合物質からなる単層熱収縮材について説明する。
説明する。まず、少なくともD−乳酸の含有率が異なる
2種のポリ乳酸を混合した混合物質を除湿乾燥する。次
に、Tダイ押出し機を用いて混合物質を溶融混練した
後、冷却ロール上に押出して樹脂シート(原反)を形成
する。引き続き、テンター内で予熱した後、加熱された
樹脂シートを押出した方向(MD方向;長手方向)と直
交する方向(TD方向;幅方向)に1軸延伸して所望の
厚さの樹脂フィルムを形成する。ここに、延伸直後に一
定時間の間、樹脂フィルムを所定の温度に保持すること
によって熱固定を行う。
て、ペレットに加工された混合物質を用いることもでき
る。ここに、混合物質からなるペレットを形成する方法
について説明する。少なくともD−乳酸の含有率の異な
る複数種のポリ乳酸を混合した後、十分に除湿乾燥させ
る。除湿乾燥された樹脂を二軸押出機内で溶融混練した
後、ストランド形状に押出する。押出された樹脂をカッ
トしてペレットを形成した後、除湿乾燥機で除湿乾燥さ
せる。
いて、Tダイ押出し機のシリンダー温度及びダイス温度
や、冷却ロールの表面温度や、テンター内における予熱
温度及び延伸温度や熱固定における処理温度等は、混合
物質に応じて適宜最適化されるべきである。
℃に加熱した際の延伸方向に対する熱収縮率が5%以上
であり、かつ、90℃に加熱した際の延伸方向に対する
熱収縮率が50%以上であり、かつ、50℃から90℃
の温度範囲における任意の温度に加熱した際の延伸方向
と直交する方向に対する熱収縮率が−5%以上かつ5%
以下であることが好ましい。また、適度な熱収縮率を確
保するためには、単層熱収縮材のポリ乳酸換算の結晶融
解熱量は20J/g以上かつ36J/g以下であることが
好ましい。
性を有する単層熱収縮材を形成するためには、単層熱収
縮材を形成する混合物質に、ポリ乳酸以外の他の脂肪族
系ポリエステル樹脂を配合することが好ましい。第1の
樹脂層における他の脂肪族系ポリエステルの含有率が増
加するに伴い、第1の樹脂層の引張破断特性は向上す
る。一方、単層熱収縮材における他の脂肪族系ポリエス
テルの含有率が増加するに伴い、単層熱収縮材の透明性
は劣化する。したがって、更に好ましくは、単層熱収縮
材に含まれるポリ乳酸系樹脂と脂肪族系ポリエステル樹
脂の配合比が90重量%:10重量%〜75重量%:2
5重量%を満たす場合である。なお、単層熱収縮材の引
張破断伸度は、単に第1の樹脂層における脂肪族系ポリ
エステル樹脂の含有率ばかりでなく、ポリ乳酸系樹脂の
構成(第1のポリ乳酸のD−乳酸の含有率や第2のポリ
乳酸のD−乳酸の含有率やそれらの配合比等)によって
も変化する。したがって、脂肪族系ポリエステル樹脂の
配合率は、第1のポリ乳酸系樹脂に応じて適宜最適化す
ることが重要である。
性及び良好な透明性を有する熱収縮材を形成するために
は、単層熱収縮材を形成する混合物質にポリ乳酸以外の
他の脂肪族系ポリエステルとポリカルボジイミドを配合
することが好ましい。更に好ましくは、ポリ乳酸系樹脂
と脂肪族系ポリエステル樹脂の総和100重量部に対し
て、ポリカルボジイミド樹脂を0.1重量部以上かつ5
重量部以下で配合した場合である。ポリ乳系樹脂とポリ
乳酸以外の他の脂肪族系ポリエステル樹脂とを含む単層
熱収縮材に比べて、適量のポリカルボジイミドを更に配
合することによって、ポリカルボジイミドを含む単層熱
収縮材の引張破断性及び透明性は向上する。
施の形態に係るポリ乳酸系熱収縮フィルムの内容を具体
的に説明する。各実施例及び各比較例で製造したポリ乳
酸系熱収縮フィルムの物性値は、表1〜表3に表わす。
6%のポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシア)50重
量%、D−乳酸の含有率が10.4%のポリ乳酸(三井
化学株式会社製レイシア)50重量%を混合したポリ乳
酸系樹脂(以下、混合物質Aとも称す)を十分に除湿乾
燥させた。引き続き、除湿乾燥された樹脂を二軸押出機
内で溶融混練した後、ストランド形状に押出した。ここ
に、二軸押出機のシリンダー温度は190℃に設定し
た。押出された樹脂をカットして、直径が3mmであり
かつ長さが3mmであるペレットを形成した後、除湿乾
燥機で除湿乾燥させた。なお、この配合の場合、上記混
合物質AにおけるD−乳酸の含有率は6%である。
後、冷却ロール上に押出して、幅が240mmでありか
つ厚さが250μmの樹脂シートを形成した。ここに、
樹脂シートの形成において、シリンダー温度190℃、
ダイス温度185℃に設定されたTダイ押出機を用い
た。また、冷却ロールの表面温度は35℃に設定した。
引き続き、テンター内で90℃に予熱した後、80℃〜
70℃に加熱された樹脂シートを押出し方向と直交する
方向に5倍延伸して厚さが50μmの単層熱収縮フィル
ム(熱収縮材)を製造した。ここに、延伸直後に一定時
間の間、樹脂フィルムを70℃に保持することによって
熱固定を行った。
の熱収縮性は、優れた低温収縮性、優れた高温収縮性及
び1軸収縮性(TD方向に対するMD方向の熱収縮率が
十分に小さい)を兼備する。熱収縮率の測定値は表1に
示す。また、表1には示さないが、本実施例に係る単層
熱収縮フィルムはポリ乳酸系樹脂のみで構成されている
ため、透明性には極めて優れるが、引張破断伸度は小さ
い。
第1の条件群〜第4の条件群のいずれをも満たさない下
記比較例1〜4に記載の単層熱収縮フィルムとを比較す
れば、本実施例に係る単層熱収縮フィルムの方が熱収縮
特性に優れることがわかる。
温度で熱固定を行うことによって形成された熱収縮材に
ついて記述する。50℃から100℃の範囲における1
0℃ごとに測定したこの熱収縮材のTD方向及びMD方
向の熱収縮率(%)は、それぞれ、(0,1,1,1,
0,2)及び(0,3,18,27,44,56)であ
った。また、ポリ乳酸換算の結晶融解熱量は39J/g
であった。良好な1軸収縮性を示すが、ポリ乳酸換算の
結晶融解熱量が大きいことからも想定できるように全体
的に熱収縮率が悪いことがわかる。特に、熱収縮の開始
温度(60℃)における熱収縮率が小さい(3%)こと
がわかる。同一の材料で構成された熱収縮材であっても
その製造工程における各種の処理条件によって、物性が
異なることとなる。つまり、製造工程における様々な処
理条件は適宜最適化されるべきであって、また、最適化
された処理条件において所望の熱収縮材を製造すること
が重要である。
る混合物質Aに代えて、D−乳酸の含有率が4.7%の
ポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシア)60重量%、
D−乳酸の含有率が10.4%のポリ乳酸(三井化学株
式会社製レイシア)40重量%を混合したポリ乳酸系樹
脂を用いたこと以外は、上記実施例I−1と同じ製造方
法によって本実施例に係る単層熱収縮フィルム(熱収縮
材)を製造した。なお、この配合の場合、本実施例に係
るポリ乳酸系樹脂におけるD−乳酸の含有率は7%であ
る。
の熱収縮特性は、優れた低温収縮性、優れた高温収縮性
及び1軸収縮性を兼備する。この熱収縮材の物性に関す
る測定値は表1に示す。なお、表1には示さないが、本
実施例に係るポリ乳酸系樹脂フィルムはポリ乳酸系樹脂
のみで構成されているため、透明性には極めて優れる
が、引張破断伸度は小さい。
第1の条件群〜第4の条件群のいずれをも満たさない下
記比較例I−1〜I−4に記載の単層熱収縮フィルムと
を比較すれば、本実施例に係る単層熱収縮フィルムの方
が熱収縮特性に優れることがわかる。また、本実施例と
下記比較例I−3とを比較すれば、ポリ乳酸系樹脂全体
におけるD−乳酸の含有率が同一であっても、第1のポ
リ乳酸として用いるポリ乳酸や第2のポリ乳酸として用
いるポリ乳酸の種類によって熱収縮特性が大きくことな
ることがわかる。
る混合物質Aに代えて、D−乳酸の含有率が4.7%の
ポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシア)40重量%、
D−乳酸の含有率が10.4%のポリ乳酸(三井化学株
式会社製レイシア)60重量%を混合したポリ乳酸系樹
脂を用いたこと以外は、上記実施例I−1と同じ製造方
法によって本実施例に係る単層熱収縮フィルム(熱収縮
材)を製造した。なお、本実施例に係るポリ乳酸系樹脂
におけるD−乳酸の含有率は8%である。
の熱収縮特性は、優れた低温収縮性、優れた高温収縮性
及び1軸収縮性を兼備する。この熱収縮材の物性に関す
る測定値は表1に示す。なお、表1には示さないが、本
実施例に係るポリ乳酸系樹脂フィルムはポリ乳酸系樹脂
のみで構成されているため、透明性には極めて優れる
が、引張破断伸度は小さい。
第1の条件群〜第4の条件群のいずれをも満たさない下
記比較例I−1〜I−4に記載の単層熱収縮フィルムと
を比較すれば、本実施例に係る単層熱収縮フィルムの方
が熱収縮特性に優れることがわかる。
る混合物質Aに代えて、D−乳酸の含有率が4.7%の
ポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシア)57重量%、
D−乳酸の含有率が18%のポリ乳酸(三井化学株式会
社製レイシア)43重量%を混合したポリ乳酸系樹脂を
用いたこと以外は、上記実施例I−1と同じ製造方法に
よって本実施例に係る単層熱収縮フィルム(熱収縮材)
を製造した。本実施例に係るポリ乳酸系樹脂におけるD
−乳酸の含有率は10.4%である。
の熱収縮特性は、優れた低温収縮性、優れた高温収縮性
及び1軸収縮性を兼備する。この熱収縮材の物性に関す
る測定値は表1に示す。また、表1には示さないが、本
実施例に係る単層熱収縮フィルムはポリ乳酸系樹脂のみ
で構成されているため、透明性には極めて優れるが、引
張破断伸度は小さい。
第1の条件群〜第4の条件群のいずれをも満たさない下
記比較例I−1〜I−4に記載の単層熱収縮フィルムと
を比較すれば、本実施例に係る単層熱収縮フィルムの方
が熱収縮特性に優れることがわかる。
る混合物質Aに代えて、D−乳酸の含有率が4.7%の
ポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシア)48重量%
と、D−乳酸の含有率が10.4%のポリ乳酸(三井化
学株式会社製レイシア)32重量%からなるポリ乳酸系
樹脂(80重量%)、及び、脂肪族ポリエステル(昭和
高分子株式会社製、ビオノーレ#3003)20重量%
を混合した混合物質を用いたこと以外は、上記実施例I
−1と同じ製造方法によって本実施例に係る単層熱収縮
フィルム(熱収縮材)を製造した。なお、本実施例に係
るポリ乳酸系樹脂全体におけるD−乳酸の含有率は7%
である。
は、優れた低温収縮性、優れた高温収縮性及び優れた1
軸収縮性を兼備した熱収縮特性と良好な引張破断性と透
明性とを兼備する。この熱収縮材の物性に関する測定値
は表2に示す。
第1の条件群〜第4の条件群のいずれをも満たさない下
記比較例I−1〜I−4に記載の単層熱収縮フィルムと
を比較すれば、本実施例に係る単層熱収縮フィルムの方
が熱収縮特性に優れることがわかる。
と、ポリ乳酸系樹脂に対する脂肪族系ポリエステル樹脂
の配合比が本実施例と異なる上記実施例I−2及び下記
実施例I−6に係る単層熱収縮フィルムとを比較すれ
ば、所定の割合で脂肪族系ポリエステルを配合すること
によって、引張破断性を改善できることがわかる。更
に、下記実施例I−7に係るポリ乳酸系熱収縮材と比較
すれば、配合する脂肪族系ポリエステルの割合を大きく
しすぎると、引張破断性は極めて良好となるが、透明性
は劣化することとなる。なお、本実施例、上記実施例I
−2、下記実施例I−6、実施例I−7に係るポリ乳酸
系熱収縮材における第1のポリ乳酸と第2のポリ乳酸と
の配合比は全て同じ混合比である。更に、引張破断性を
改善する効果は、ポリ乳酸系樹脂の種類によっても相違
する。したがって、引張破断性を確実に改善するため、
又は所望の引張破断性及び透明性を両立させるために
は、ポリ乳酸系樹脂に対する脂肪族系ポリエステルの配
合割合を最適化することが重要となる。
る混合物質Aに代えて、D−乳酸の含有率が4.7%の
ポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシア)57重量%
と、D−乳酸の含有率が10.4%のポリ乳酸(三井化
学株式会社製レイシア)38重量%からなるポリ乳酸系
樹脂(95重量%)、及び、脂肪族ポリエステル(昭和
高分子株式会社製、ビオノーレ#3003)5重量%を
混合した混合物質を用いたこと以外は、上記実施例I−
1と同じ製造方法によって本実施例に係る単層熱収縮フ
ィルム(熱収縮材)を製造した。なお、本実施例に係る
ポリ乳酸系樹脂全体におけるD−乳酸の含有率は7%で
ある。
低温収縮性、優れた高温収縮性及び優れた1軸収縮性を
兼備した熱収縮特性と透明性とを兼備する。この熱収縮
材の物性に関する測定値は表2に示す。
第1の条件群〜第4の条件群のいずれをも満たさない下
記比較例I−1〜I−4に記載の単層熱収縮フィルムと
を比較すれば、本実施例に係る単層熱収縮フィルムの方
が熱収縮特性に優れることがわかる。なお、本実施例に
係るポリ乳酸系樹脂は、脂肪族系ポリエステル樹脂を配
合したことによって引張破断性も向上されているが、収
縮包装、収縮ラベル等に用いるためには十分ではない。
る混合物質Aに代えて、D−乳酸の含有率が4.7%の
ポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシア)42重量%
と、D−乳酸の含有率が10.4%のポリ乳酸(三井化
学株式会社製レイシア)28重量%からなるポリ乳酸系
樹脂(70重量%)、及び、脂肪族ポリエステル(昭和
高分子株式会社製、ビオノーレ#3003)30重量%
を混合した混合物質を用いたこと以外は、上記実施例I
−1と同じ製造方法によって本実施例に係る単層熱収縮
フィルム(熱収縮材)を製造した。なお、本実施例に係
るポリ乳酸系樹脂全体におけるD−乳酸の含有率は7%
である。
は、優れた低温収縮性、優れた高温収縮性及び優れた1
軸収縮性を兼備した熱収縮特性と優れた引張破断性とを
兼備する。この熱収縮材の物性に関する測定値は表2に
示す。
第1の条件群〜第4の条件群のいずれをも満たさない下
記比較例I−1〜I−4に記載の単層熱収縮フィルムと
を比較すれば、本実施例に係る単層熱収縮フィルムの方
が熱収縮特性に優れることがわかる。また、本実施例と
上記実施例I−5とを比較すれば、引張破断性は改善さ
れているが、透明性は劣化していることがわかる。
る混合物質Aに代えて、D−乳酸の含有率が4.7%の
ポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシア)35重量%
と、D−乳酸の含有率が10.4%のポリ乳酸(三井化
学株式会社製レイシア)50重量%からなるポリ乳酸系
樹脂(85重量%)、及び、脂肪族ポリエステル(昭和
高分子株式会社製、ビオノーレ#3003)15重量%
を混合した混合物質を用いたこと以外は、上記実施例I
−1と同じ製造方法によって本実施例に係る単層熱収縮
フィルム(熱収縮材)を製造した。なお、本実施例に係
るポリ乳酸系樹脂全体におけるD−乳酸の含有率は8%
である。
は、優れた低温収縮性、優れた高温収縮性及び優れた1
軸収縮性を兼備した熱収縮特性と優れた透明性とを兼備
する。この熱収縮材の物性に関する測定値は表2に示
す。
第1の条件群〜第4の条件群のいずれをも満たさない下
記比較例I−1〜I−4に記載の単層熱収縮フィルムと
を比較すれば、本実施例に係る単層熱収縮フィルムの方
が熱収縮特性に優れることがわかる。なお、本実施例に
係るポリ乳酸系樹脂は、脂肪族系ポリエステル樹脂を配
合したことによって引張破断性も向上されているが、収
縮包装、収縮ラベル等に用いるためには十分ではない。
る混合物質Aに代えて、D−乳酸の含有率が4.7%の
ポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシア)35重量%
と、D−乳酸の含有率が10.4%のポリ乳酸(三井化
学株式会社製レイシア)50重量%からなるポリ乳酸系
樹脂、及び、脂肪族系ポリエステル(昭和高分子株式会
社製、ビオノーレ#3003)15重量%、及び、ポリ
乳酸系樹脂及び脂肪族ポリエステルの総重量和100重
量部に対して2重量部のポリカルボジイミド(日清紡株
式会社製、カルボジライトHMV−8CA)を混合した
混合物質を用いたこと以外は、上記実施例I−1と同じ
製造方法によって本実施例に係る単層熱収縮フィルム
(熱収縮材)を製造した。なお、本実施例に係るポリ乳
酸系樹脂全体におけるD−乳酸の含有率は8%である。
は、優れた低温収縮性、優れた高温収縮性及び優れた1
軸収縮性を兼備した熱収縮特性と優れた引張破断性と優
れた透明性とを有する。この熱収縮材の物性に関する測
定値は表2に示す。
第1の条件群〜第4の条件群のいずれをも満たさない下
記比較例I−1〜I−4に記載の単層熱収縮フィルムと
を比較すれば、本実施例に係る単層熱収縮フィルムの方
が熱収縮特性に優れることがわかる。
と、ポリカルボジイミドを含まないことだけが本実施例
と異なる上記実施例I−8に係る単層熱収縮フィルムと
を比較すれば、所定の割合でポリカルボジイミドを配合
することによって、引張破断性及び透明性を改善できる
ことがわかる。ここに、ポリカルボジイミドの配合率
は、ポリ乳酸系樹脂や脂肪族系ポリエステルの種類、及
び/又は、それらの配合比等に応じて適宜最適化される
べきである。
る混合物質Aに代えて、D−乳酸の含有率が4.7%の
ポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシア)のみからなる
ポリ乳酸系樹脂を用いたこと以外は、上記実施例I−1
と同じ製造方法によって本比較例に係る単層熱収縮フィ
ルム(熱収縮材)を製造した。本比較例に係る単層熱収
縮フィルムの物性値等は表3に示されている。
る混合物質Aに代えて、D−乳酸の含有率が1.4%の
ポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシア)80重量%、
D−乳酸の含有率が18%のポリ乳酸(三井化学株式会
社製レイシア)20重量%を混合したポリ乳酸系樹脂を
用いたこと以外は、上記実施例I−1と同じ製造方法に
よって本比較例に係る単層熱収縮フィルム(熱収縮材)
を製造した。なお、本比較例に係るポリ乳酸系樹脂にお
けるD−乳酸の含有率は4.7%である。本比較例に係
る単層熱収縮フィルムの物性値等は表3に示されてい
る。
る混合物質Aに代えて、D−乳酸の含有率が1.4%の
ポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシア)66重量%、
D−乳酸の含有率が18%のポリ乳酸(三井化学株式会
社製レイシア)34重量%を混合したポリ乳酸系樹脂を
用いたこと以外は、上記実施例I−1と同じ製造方法に
よって本比較例に係る単層熱収縮フィルム(熱収縮材)
を製造した。なお、本比較例に係るポリ乳酸系樹脂にお
けるD−乳酸の含有率は7%である。本比較例に係る単
層熱収縮フィルムの物性値等は表3に示されている。
る混合物質Aに代えて、D−乳酸の含有率が10.4%
のポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシア)のみからな
るポリ乳酸系樹脂を用いたこと以外は、上記実施例I−
1と同じ製造方法によって本比較例に係る単層熱収縮フ
ィルム(熱収縮材)を製造した。本比較例に係る単層熱
収縮フィルムの物性値等は表3に示されている。
1のポリ乳酸と第2のポリ乳酸を含有した第1のポリ乳
酸系樹脂を含む混合物質からなる第1の樹脂層と、前記
第1の樹脂層の表面に形成された第2のポリ乳酸系樹脂
からなる第2の樹脂層とを備えた積層熱収縮材について
説明する。
説明する。まず、積層熱収縮材の各層を形成する材料を
準備する。第1の樹脂層を構成する材料として、D−乳
酸の含有率が異なる2種のポリ乳酸を含有する第1のポ
リ乳酸系樹脂を少なくとも含む混合物質を除湿乾燥す
る。また、第2の樹脂層を構成する材料として、第2の
ポリ乳酸系樹脂を除湿乾燥する。なお、第2の樹脂層に
第2のポリ乳酸系樹脂以外の物質を配合する場合におい
ては、除湿乾燥前に混合しておく。また、上記積層樹脂
シートの各層を形成する材料としてペレット状に加工さ
れた材料を用いることもできる。
によって共押出して、積層樹脂シート(原反)を形成す
る。ここに、共押出しに先だって、各層の材料は、それ
ぞれ、共押出し機において溶融混練される。
向)と直交する方向(TD方向;幅方向)に積層樹脂シ
ートを1軸延伸して所望の厚さの積層熱収縮フィルム
(熱収縮材)を形成する。なお、延伸直後に一定時間の
間、積層樹脂フィルムを所定の温度に保持することによ
って熱固定が行われる。
いて、共押出しに用いたTダイを備えた複数台の共押出
し機のシリンダー温度及びダイス温度や、冷却ロールの
表面温度や、テンター内における予熱温度及び延伸温度
や、熱固定における処理温度等は、混合物質に応じて適
宜最適化されるべきである。
℃に加熱した際の延伸方向に対する熱収縮率が5%以上
であり、かつ、90℃に加熱した際の延伸方向に対する
熱収縮率が50%以上であり、かつ、50℃から90℃
の温度範囲における任意の温度に加熱した際の延伸方向
と直交する方向に対する熱収縮率が−5%以上かつ5%
以下であることが好ましい。また、適度な熱収縮率を確
保するためには、積層熱収縮材のポリ乳酸換算の結晶融
解熱量は20J/g以上かつ36J/g以下であることが
好ましい。
施の形態に係る積層熱収縮フィルムの内容を具体的に説
明する。各実施例及び各比較例で製造した熱収縮フィル
ムの物性値は、まとめて表4に表わす。
は、インパルスシーラーで筒状に成形した熱収縮フィル
ム(単層熱収縮フィルム、積層熱収縮フィルム)を、水
を充填した350mlのPETボトル(ペットボトル)
に被覆した後、蒸気トンネル内を通過させた際の装着し
上がりの評価である。なお、上記蒸気トンネル内には8
0℃に設定された第1ゾーン、83℃に設定された第2
ゾーン及び93℃に設定された第3ゾーンが設けられて
おり、熱収縮フィルムで被覆されたPETボトルは第1
のゾーンから第3のゾーンまでの3つのゾーンを順次通
過する。装着性の評価としては、PETボトルの底部か
ら首部までの範囲において、熱収縮フィルムが完全に密
着しており、首部における不完全な密着や端部(首部若
しくは底部)における歪み等が視認されない場合には○
印を付した。
熱収縮フィルムで被覆されたPETボトルの表面を、1
30℃に加熱したホットプレートに10分間接触させた
際の装着状態の変化の評価である。耐熱性の評価として
は、熱収縮フィルムの浮きや破れ等の装着状態の変化が
まったく視認されない場合には○印を付した。
収縮材は、第1の樹脂層と第2の樹脂層とを備えた2層
構造の積層熱収縮フィルムである。第1の樹脂層は、D
体−乳酸の含有率が異なる複数種のポリ乳酸を含有する
第1のポリ乳酸系樹脂と脂肪族ポリエステルとポリカル
ボジイミドとを含み、第2の樹脂層は、第1の樹脂層に
含まれる複数種のポリ乳酸のうち最もD体−乳酸の含有
率が小さいポリ乳酸のみを含有する第2のポリ乳酸系樹
脂のみを含む。
(三井化学株式会社製レイシア)35重量%、D−乳酸
の含有率が10.4%のポリ乳酸(三井化学株式会社製
レイシア)50重量%からなる第1のポリ乳酸樹脂(8
5重量%)、及び、脂肪族ポリエステル(昭和高分子株
式会社製、ビオノーレ#3003)を混合した混合物質
(以下、混合物質Bとも称す)を十分に除湿乾燥させ
た。引き続き、除湿乾燥された樹脂を二軸押出機内で溶
融混練した後、ストランド形状に押出した。ここに、二
軸押出機のシリンダー温度は190℃に設定した。押出
された樹脂をカットして、直径が3mmでありかつ長さ
が3mmであるペレットを形成した後、除湿乾燥機で除
湿乾燥させた。これにより、第1の樹脂層の形成に用い
る材料物質が形成できる。一方、第2の樹脂層の形成に
用いる材料物質として、D−乳酸の含有率が4.7%の
ポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシア)のみからなる
第2のポリ乳酸系樹脂を別途用意した。なお、第2のポ
リ乳酸樹脂を予めペレットに加工しておいてもよい。次
に、シリンダー温度190℃、ダイス温度185℃に設
定された2台のTダイを備えた共押出機を用いて第1の
樹脂層及び第2の樹脂層を有する樹脂シートを冷却ロー
ル上に押出して、幅が240mmでありかつ厚さが25
0μmの積層樹脂シートを形成した。第1の樹脂層及び
第2の樹脂層の厚さは、それぞれ、225μm及び25
μmとなるように設定した。また、冷却ロールの表面温
度は35℃に設定した。引き続き、テンター内で90℃
に予熱した後、80℃〜70℃に加熱された樹脂シート
を押出し方向と直交する方向に5倍延伸して厚さが50
μmの積層熱収縮フィルム(熱収縮材)を製造した。こ
こに、延伸直後に一定時間の間、樹脂フィルムを70℃
に保持することによって熱固定を行った。
は、優れた低温収縮性、優れた高温収縮性及び優れた1
軸収縮性を有する熱収縮特性と優れた引張破断性と優れ
た透明性と兼備をする。また、装着性及び耐熱性も良好
であった。この熱収縮材の物性に関する測定値は表4に
示す。
同一の構成である上記実施例I−9に係る単層熱収縮フ
ィルムと比較すれば、本実施例に係る積層熱収縮フィル
ムの方が耐熱性に優れていた。なお、耐熱性の測定評価
においては、第2の樹脂層とホットプレートを接触させ
たことに注意を要する。
収縮材は、上記実施例II−1における第1の樹脂層に
含まれる複数種のポリ乳酸の配合比のみを異ならせたポ
リ乳酸系樹脂からなる第1の樹脂層を有する2層構造の
積層熱収縮フィルムである。
代えて、D−乳酸の含有率が4.7%のポリ乳酸(三井
化学株式会社製レイシア)50重量%と、D−乳酸の含
有率が10.4%のポリ乳酸(三井化学株式会社製レイ
シア)35重量%からなるポリ乳酸系樹脂(85重量
%)、及び、脂肪族ポリエステル(昭和高分子株式会社
製、ビオノーレ#3003)15重量%を混合した混合
物質を用いたこと以外は、上記実施例II−1と同じ製
造方法によって本実施例に係る積層熱収縮フィルム(熱
収縮材)を製造した。
は、優れた低温収縮性、優れた高温収縮性及び優れた1
軸収縮性を有する熱収縮特性と優れた引張破断性と優れ
た透明性と兼備をする。また、装着性及び耐熱性も良好
であった。この積層熱収縮フィルムの物性に関する測定
値は表4に示す。なお、耐熱性の測定評価においては、
第2の樹脂層とホットプレートを接触させたことに注意
を要する。
収縮材は、第1の樹脂層と第1の樹脂層の両面を覆う2
つの第2の樹脂層とを備えた3層構造の積層熱収縮フィ
ルムである。第1の樹脂層は、D体−乳酸の含有率が異
なる複数種のポリ乳酸を含有する第1のポリ乳酸系樹脂
と脂肪族ポリエステルとポリカルボジイミドとを含み、
また、第2の樹脂層は、第1の樹脂層に含まれる複数種
のポリ乳酸のうち最もD体−乳酸の含有率が小さいポリ
乳酸のみを含有する第2のポリ乳酸系樹脂のみを含む。
乳酸(三井化学株式会社製レイシア)、D−乳酸の含有
率が10.4%の第2のポリ乳酸(三井化学株式会社製
レイシア)及び脂肪族ポリエステル(昭和高分子株式会
社製、ビオノーレ#3003)を、それぞれ、30重量
%、50重量%及び20重量%で配合し、かつ、第1の
ポリ乳酸と第2のポリ乳酸と脂肪族ポリエステルとの総
和100重量部に対して2重量部の割合でポリカルボジ
イミドを配合した混合物質を十分に除湿乾燥させた。引
き続き、除湿乾燥された樹脂を二軸押出機内で溶融混練
した後、ストランド形状に押出した。ここに、二軸押出
機のシリンダー温度は190℃に設定した。押出された
樹脂をカットして、直径が3mmでありかつ長さが3m
mであるペレットを形成した後、除湿乾燥機で除湿乾燥
させた。これにより、第1の樹脂層の形成に用いる材料
物質が形成できる。一方、2つの第2の樹脂層の形成に
用いる材料物質として、D−乳酸の含有率が4.7%の
ポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシア)のみからなる
第2のポリ乳酸系樹脂を別途用意した。なお、第2のポ
リ乳酸樹脂を予めペレットに加工しておいてもよい。次
に、シリンダー温度190℃、ダイス温度185℃に設
定された3台のTダイを備えた共押出機を用いて第1の
樹脂層及び2つの第2の樹脂層を有する樹脂シートを冷
却ロール上に押出して、幅が240mmでありかつ厚さ
が250μmの積層樹脂シートを形成した。第1の樹脂
層(中間層)及び2つの第2の樹脂層(表層、裏層)の
厚さは、それぞれ、200μm及び25μmとなるよう
に設定した。また、冷却ロールの表面温度は35℃に設
定した。引き続き、テンター内で積層樹脂シートを90
℃に予熱した後、80℃〜70℃に加熱されている樹脂
シートを押出し方向と直交する方向に5倍延伸して、厚
さが50μmの積層熱収縮フィルム(熱収縮材)を製造
した。ここに、延伸直後に一定時間の間、樹脂フィルム
を70℃に保持することによって熱固定を行った。
は、優れた低温収縮性、優れた高温収縮性及び優れた1
軸収縮性を有する熱収縮特性と優れた引張破断性と優れ
た透明性と兼備をする。また、装着性及び耐熱性も良好
であった。この積層熱収縮材の物性に関する測定値は表
4に示す。
1の方向に約60℃の低温において収縮を開始する低温
収縮性と、第1の方向に約90℃の高温においても良好
に収縮する高温収縮性と、第1の方向と直交する方向に
は約60℃〜約90℃の範囲の任意の温度において概ね
収縮しない1軸収縮性とを兼備する熱収縮特性を有する
熱収縮材を提供することができる。また、本発明では、
上記熱収縮特性と共に優れた引張破断性を備えた生分解
性の熱収縮材、及び上記熱収縮特性と共に優れた引張破
断性と優れた透明性とを備えた熱収縮材を提供すること
ができる。なお、本発明に係る熱収縮材は、ポリ乳酸系
樹脂を主剤とするため良好な生分解性を有する。
Claims (14)
- 【請求項1】 D−乳酸の含有率の異なる第1のポリ乳
酸と第2のポリ乳酸とを含有する第1のポリ乳酸系樹脂
を主剤とする第1の樹脂層を有し、加熱により一方向に
収縮する熱収縮材であって、 前記第1のポリ乳酸系樹脂が、前記第1のポリ乳酸及び
前記第2のポリ乳酸におけるD−乳酸の含有率をそれぞ
れA%及びB%とし、かつ前記第1のポリ乳酸成分と前
記第2のポリ乳酸成分の重量比をX:Yとすると、条件
式1〜6を満たすことを特徴とする熱収縮材。 【数1】 0<A<2・・・(1) 【数2】 7≦B≦20・・・(2) 【数3】 10≦X≦60・・・(3) 【数4】 40≦Y≦90・・・(4) 【数5】 X+Y=100・・・(5) 【数6】 5≦(AX+BY)/(X+Y)≦15・・・(6) - 【請求項2】 D−乳酸の含有率の異なる第1のポリ乳
酸と第2のポリ乳酸とを含有する第1のポリ乳酸系樹脂
を主剤とする第1の樹脂層を有し、加熱により一方向に
収縮する熱収縮材であって、 前記第1のポリ乳酸系樹脂が、前記第1のポリ乳酸及び
前記第2のポリ乳酸におけるD−乳酸の含有率をそれぞ
れA%及びB%とし、かつ前記第1のポリ乳酸成分と前
記第2のポリ乳酸成分の重量比をX:Yとすると、条件
式7〜12を満たすことを特徴とする熱収縮材。 【数7】 2≦A<7・・・(7) 【数8】 7≦B≦20・・・(8) 【数9】 5≦X≦95・・・(9) 【数10】 5≦Y≦95・・・(10) 【数11】 X+Y=100・・・(11) 【数12】 5≦(AX+BY)/(X+Y)≦15・・・(12) - 【請求項3】 D−乳酸の含有率の異なる第1のポリ乳
酸と第2のポリ乳酸とを含有する第1のポリ乳酸系樹脂
を主剤とする第1の樹脂層を有し、加熱により一方向に
収縮する熱収縮材であって、 前記第1のポリ乳酸系樹脂が、前記第1のポリ乳酸及び
前記第2のポリ乳酸におけるD−乳酸の含有率をそれぞ
れA%及びB%とし、かつ前記第1のポリ乳酸成分と前
記第2のポリ乳酸成分の重量比をX:Yとすると、条件
式13〜18を満たすことを特徴とする熱収縮材。 【数13】 98<A<100・・・(13) 【数14】 80≦B≦93・・・(14) 【数15】 10≦X≦60・・・(15) 【数16】 40≦Y≦90・・・(16) 【数17】 X+Y=100・・・(17) 【数18】 85≦(AX+BY)/(X+Y)≦95・・・(18) - 【請求項4】 D−乳酸の含有率の異なる第1のポリ乳
酸と第2のポリ乳酸とを含有する第1のポリ乳酸系樹脂
を主剤とする第1の樹脂層を有し、加熱により一方向に
収縮する熱収縮材であって、 前記第1のポリ乳酸系樹脂が、前記第1のポリ乳酸及び
前記第2のポリ乳酸におけるD−乳酸の含有率をそれぞ
れA%及びB%とし、かつ前記第1のポリ乳酸成分と前
記第2のポリ乳酸成分の重量比をX:Yとすると、条件
式19〜24を満たすことを特徴とする熱収縮材。 【数19】 93<A≦98・・・(19) 【数20】 80≦B≦93・・・(20) 【数21】 5≦X≦95・・・(21) 【数22】 5≦Y≦95・・・(22) 【数23】 X+Y=100・・・(23) 【数24】 85≦(AX+BY)/(X+Y)≦95・・・(24) - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱
収縮材において、 前記第1の樹脂層を構成する物質が、1軸延伸により延
伸方向に配向していることを特徴とする熱収縮材。 - 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱
収縮材において、前記第1の樹脂層より耐熱性が高く、
前記第1の樹脂層の少なくとも1面に積層された、第2
のポリ乳酸系樹脂を主剤とする第2の樹脂層を更に含む
ことを特徴とする熱収縮材。 - 【請求項7】 請求項6に記載の熱収縮材において、 前記第2の樹脂層が、第2のポリ乳酸系樹脂のみを含
み、かつ、 前記第2のポリ乳酸系樹脂が、前記第1のポリ乳酸と同
じポリ乳酸のみを含有することを特徴とする熱収縮材。 - 【請求項8】 請求項6又は7に記載の熱収縮材におい
て、 前記第1の樹脂層及び前記第2の樹脂層を構成する物質
が、1軸延伸により延伸方向に配向していることを特徴
とする熱収縮材。 - 【請求項9】 請求項5又は8に記載の熱収縮材におい
て、 60℃に加熱した際の前記延伸方向に対する熱収縮率が
5%以上であり、かつ、 90℃に加熱した際の前記延伸方向に対する熱収縮率が
50%以上であり、かつ、 50℃から90℃の温度範囲における任意の温度に加熱
した際の前記延伸方向と直交する方向に対する熱収縮率
が、−5%以上かつ5%以下であることを特徴とする熱
収縮材。 - 【請求項10】 請求項5、8又は9に記載の熱収縮材
において、 ポリ乳酸換算の結晶融解熱量が20J/g以上かつ36J
/g以下であることを特徴とする熱収縮材。 - 【請求項11】 請求項9又は10に記載の熱収縮材に
おいて、 前記第1の樹脂層が、ポリ乳酸樹脂以外の脂肪族系ポリ
エステル樹脂を更に含み、かつ、 前記第1の樹脂層に含まれる前記ポリ乳酸系樹脂と前記
脂肪族系ポリエステル樹脂の配合比が、90重量%:1
0重量%〜75重量%:25重量%を満たすことを特徴
とする熱収縮材。 - 【請求項12】 請求項11に記載の熱収縮材におい
て、 前記延伸方向と直交する方向に対する引張破断伸度が2
00%以上であることを特徴とする熱収縮材。 - 【請求項13】 請求項11又は12に記載の熱収縮材
において、 前記第1の樹脂層が、ポリカルボジイミドを更に含み、
かつ、 前記ポリ乳酸系樹脂と前記脂肪族系ポリエステル樹脂の
総和100重量部に対して、前記ポリカルボジイミドを
0.1重量部以上かつ5重量部以下であることを特徴と
する熱収縮材。 - 【請求項14】 請求項13に記載の熱収縮材におい
て、 ヘイズ値が10%以下であることを特徴とする熱収縮
材。
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