JP4047118B2 - 免疫学的構造を回復したウイルス抗原を使用した抗ウイルス抗体測定方法並びに測定キット - Google Patents

免疫学的構造を回復したウイルス抗原を使用した抗ウイルス抗体測定方法並びに測定キット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定対象となる血中の抗ウイルス抗体との反応性が向上したウイルス抗原を使用した抗ウイルス抗体測定試薬、好ましくは抗HIV−1抗体との結合性が向上したHIV−1抗原を使用した抗HIV−1抗体測定試薬に関する。
【0002】
【従来技術および発明が解決しようとする課題】
現在、HIV−1の感染の有無を知るためのHIVスクリーニング検査として、p24、gp41その他のHIVエンベロープタンパク質またはコアタンパク質等のウイルス構造タンパク抗原若しくは非構造タンパク抗原を用い、血液その他の体液中の抗HIV−1抗体を測定する抗体検査法が広く用いられている。しかし、HIVに対する抗体が血中に出現するまでには感染してから数週間を要するため、HIVに感染しているにもかかわらず、抗体検査では偽陰性を示す「ウインドウ」と呼ばれる期間が存在する。したがって、かかる偽陰性の可能性を低減するためにより高感度の検査法の確立が求められている。
【0003】
このようなウイルス抗体検査法は、体液中における、ウイルス抗原に特異的に結合する抗体の有無を確認する方法であるが、低コストで多量のタンパク質が得られることから、遺伝子操作による組換えタンパク質がウイルス抗原として広く使用されている。
【0004】
ところで、遺伝子操作によって大腸菌や酵母の菌体内で外来タンパク質を生産すると、タンパク質が凝集した封入体が産生される場合がある。このような封入体から組換えタンパク質を精製するために一般には封入体を尿素や界面活性剤などの変性剤で処理するが、変性剤で処理されたタンパク質は本来の立体構造とは異なった立体構造をとるために、本来の機能を喪失している場合が多い。このような場合、封入体を変性剤で処理した後、アンフォールディングされたタンパク質から透析あるいは限外ろ過膜を用いて変性剤を除去し、タンパク質をリフォールディングさせる方法が一般に用いられている。
【0005】
しかしながら、本発明者は、変性剤として界面活性剤を用いた場合には、透析等によるバッファー置換ではタンパク質に結合した界面活性剤を十分に除去することができないためにタンパク質が十分にリフォールディングされず、標的抗体と十分に結合し得ないとの仮説をたてた。本仮説に基づけば、組換えタンパク質に結合した界面活性剤を十分に除去し、タンパク質の立体構造が十分に再生されれば抗体検査法の検出感度が向上することが期待し得る。
【0006】
この点に関連する知見として、Rozemaらは変性した酵素を界面活性剤で処理した後にシクロデキストリンで処理することによりタンパク質に結合した界面活性剤が除去され、酵素がリフォールディングされることを報告している(非特許文献1)。
【0007】
更に、上記Rozemaらの報告の後、いくつかのグループによって、Rozemaらの方法が数種の酵素について応用可能であり、それら酵素が活性を有するようにリフォールディングされたことが報告されている(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、特許文献1および非特許文献7)。
【0008】
また、Rozemaらは、酵素以外にもホルモンやインターロイキン、DNA結合タンパク質、酵素阻害タンパク質、代謝物結合タンパク質、栄養素結合タンパク質、調節タンパク質等の全ての球状タンパク質(globular proteins)に該方法が適用し得る可能性を示唆している(特許文献2)。
【0009】
またシクロデキストリン類としてシクロアミロースを使用した、該タンパク質リフォールディング方法に関する試薬を集めたキットもタカラバイオから市販されている(Refolding CA kit,Code 7350)。
【0010】
しかしながら、Rozemaらの方法を抗体検出系に使用する抗原に応用し、界面活性剤によって変性したウィルス抗原の抗原活性を回復すること、またその抗原を用いて免疫診断薬を作製することにより、感度の上昇した抗体測定系を構築しえることを報告した例はない。これは、ウイルス抗体測定系において用いられる抗原タンパク質の多くは本来ウイルスの表面などの構造抗原として存在しており、抗原活性回復の標品たるべき立体構造を保持したまま抗原タンパク質をウイルスより分離、精製することが極めて困難であることに起因しているものと考えられる。即ち、本来の立体構造を有するウイルス抗原を得ることが困難であることから、従来抗体測定法で使用されていた組換えタンパク質が界面活性剤の影響により立体構造を回復していないために、ウイルス抗原が本来有している抗体に対する結合親和性が低下していることを当業者が知り得なかったことに起因しているものと考えられる。
【0011】
本発明の使用され得るウイルス抗原のうち酵素活性を有する非構造タンパクを界面活性剤およびシクロデキストリンで処理することにより酵素がリフォールディングされる可能性を前述の文献等においてRozemaらが開示しているが、該酵素を抗体検出系に使用する抗原に応用することは全く示唆していない。また、Rozemaらがリフォールディングの対象としている球状タンパク質とは、一般的に繊維状タンパク質と相対する言葉であって、繊維状タンパク質は多くの場合溶けにくく骨格構造をなす、構造タンパク質である。本発明で使用され得るウイルス抗原のうち、構造タンパク質は典型的な繊維状をなしているわけではないが、疎水的な性質を有しメンブレンや核などのウイルス構造体を形成するという意味で、Rozemaらの示唆するところの球状タンパク質には全く含まれないと考えられる。更には、Rozemaらの発明において、実施例で記されている方法は、すでに可溶化されているタンパク質について、界面活性剤、続いてシクロデキストリンを添加する方法である。Rozemaらが特許文献2に例示する全ての球状タンパク質(globular proteins)に、本発明のウイルス構造抗原などもともと溶けていないタンパク質が含まれないことは明白であることはいうまでもなく、またこのような先行文献をもってしても本発明を完成することは容易ではない。
【0012】
また、町田らの先行文献(特許文献1)およびRefolding CA kit(宝酒造(現タカラバイオ)社製Code 7350)添付文書(非特許文献7)には、該リフォールディング方法の適応としてタンパク質と一般化された記述が存在するが、実施例に用いられているタンパク質が酵素であることから、Rozemaらの示す球状タンパク質と同等のものを想定していると考えられ、またウイルス構造抗原などの免疫診断薬の抗体測定系に使用される抗原タンパク質に関しての記述があるわけではないことから、この先行文献をもってしても、該方法を用いて抗原活性の回復した抗原を使用して免疫診断薬を作製することにより、感度の上昇した抗体測定系を構築しえるという本発明を完成することは容易ではない。
【0013】
タンパク質折りたたみ因子を用いて免疫測定試薬の感度を上昇させる方法を、吉川ら、土居らが開示しているが(特許文献3および特許文献4)、界面活性剤により可溶化した抗原についての記載は無く、界面活性剤を使用して可溶化した抗原についての発明ではないと考えられる。抗体測定系免疫診断薬に使用する抗原は、構造タンパク質などもともと溶けていない抗原を使用することが多く、界面活性剤を用いて可溶化することはよく行われる手法であることから、界面活性剤処理を行った後にシクロデキストリンを添加することにより免疫学的活性を向上させる本発明は、免疫診断薬にとって非常に有用であると考える。
【0014】
本発明に関連する他の先行文献として、シクロデキストリンでタンパク質をリホールディングすることを報告しているSHARMAの文献がある(特許文献5および非特許文献8)。SHARMAは、可溶化に界面活性剤を用いないタンパク質においてシクロデキストリンを添加することによりリフォールドする方法を報告している。
【0015】
特許文献5において、リフォールドできるタンパク質の一例としてHIVなどのウイルス糖タンパクがあげられているが、この方法は変性剤として界面活性剤を用いないタンパク質にのみ適応できる方法であり、本発明のように変性剤として界面活性剤を用いる抗原に適用する方法ではないとしている。
【0016】
本発明の一部である免疫診断薬中にシクロデキストリンを添加することに関する先行文献としては石田(特許文献6)およびビアルエルカーナら(特許文献7)の報告がある。しかし、石田は難溶性抗原測定系において、ただ単に難溶性抗原を溶かすためのものであり、ビアルエルカーナらは、抗原および抗体の共存下において界面活性剤により抗原抗体反応を阻害しておき、アッセイ中にシクロデキストリンを添加することにより抗原抗体反応を再開するというものであり、感度上昇を期待しているわけではないしまたアッセイ中にシクロデキストリンを添加しているだけで、シクロデキストリンを抗原の処理に用いることにより感度の高い抗原および免疫抗体診断薬を提供している本発明とは本質的に異なる。佐々木らは、シクロデキストリンを抗原や抗体と共存させることにより非特異吸着を防いでいるが(特許文献8)、シクロデキストリンを抗原の処理に用いることにより活性の高い抗原および感度の高い免疫抗体診断薬を提供している本発明とは本質的に異なる。
【0017】
タンパク質中のSS結合を再結合させる方法としては、SS結合を含む物質と反応させる方法や、金属と反応させる方法等が知られているが、例えば非特許文献9に記載されているように、シスチンを含むジスルフィド酸化剤で酸化させることによりタンパク質中のSH基同士を結合させてSS結合を再生させることができる。
【0018】
タンパク質のリフォールディング時にシスチン処理を行う方法についても、界面活性剤およびシクロデキストリン類を用いた酵素のリフォールディング時にシスチン処理も併用する方法として町田ら(非特許文献6および特許文献1)および非特許文献7により開示されている。
【0019】
シスチンなど酸化剤を用いて抗原の処理を行うことにより抗原活性が上昇し、それを用いた免疫診断薬の製造に有用であることは、土居らにより開示されている(特許文献9および特許文献10)。本発明においてもシスチンとシクロデキストリンの併用処理により、免疫診断デバイスの感度が驚くほど上昇する検体も存在し、有用である。
【0020】
【特許文献1】
特開2001−261697号公報
【特許文献2】
米国特許第5563057号明細書
【特許文献3】
特開平11−287804号公報
【特許文献4】
特開平11−94834号公報
【特許文献5】
国際公開第96/38468号パンフレット
【特許文献6】
特許第2590983号明細書
【特許文献7】
特開平2−40559号公報
【特許文献8】
特開平11−248706号公報
【特許文献9】
特願平10−275209号公報
【特許文献10】
特願平11−272673号公報
【非特許文献1】
David Rozema他,Journal of the American Chemical Society 1995 117:2373−2374
【非特許文献2】
David Rozema他,The Journal of Biological Chemistry 1996 271:3478−3487
【非特許文献3】
David Rozema他,Biochemistry 1996 35:15760−15771
【非特許文献4】
Fabienne Couthon他,Biochem Biophys Res Commun 1996 Oct 23;227(3):854−860
【非特許文献5】
David Daugherty他,The Journal of Biological Chemistry 1998 273:33961−33971
【非特許文献6】
Sachiko Machida他,FEBS Lett 2000 Dec8;486(2):131−135
【非特許文献7】
Refolding CA kit(宝酒造(現タカラバイオ)社製 Code 7350)添付文書
【非特許文献8】
Karuppiah他,Biochemical and Biophysical Research Communications 1995 211:60−66)
【非特許文献9】
R.H.ペイン編 山竒山 文夫 監訳 後藤 祐児/河田 康志 訳「タンパク質のフォールディング」シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社 1995
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記仮説に基づき、HIV−1エンベロープタンパク質を界面活性剤で処理した後にシクロデキストリン水溶液で処理したところ、タンパク質の免疫学的抗原活性が上昇するとの知見を得、このことによってはじめて従来使用されていた組換えタンパク質が十分にリフォールディングされておらず、検出感度を低下させる要因となっていたことが明らかとなった。
【0022】
したがって、本発明は、界面活性剤で処理されたウイルス抗原をシクロデキストリンで処理することにより調製したウイルス抗原を使用し測定感度を上昇させた抗ウイルス抗体測定方法並びに抗ウイルス抗体測定試薬キットを提供するものである。
【0023】
また、本発明はより具体的な態様として界面活性剤で処理されたHIV−1抗原をシクロデキストリンで処理することを特徴とする抗ウイルス抗体測定試薬を提供するものである。
【0024】
HIV−1抗原をシクロデキストリンで処理することによってウイルス抗原−界面活性剤複合体から界面活性剤が除去され、HIV−1抗原は本来の立体構造にリフォールディングされる。このようにリフォールディングされたHIV−1抗原は、生体試料中に存在する抗HIV−1抗体との結合親和性が向上することから、該HIV−1抗原を使用することにより抗HIV−1抗体検出法における検出感度が改善される。
【0025】
HIV−1エンベロープ抗原においては免疫反応部位にジスルフィド結合(SS結合)が存在することが知られているが、このようなSS結合を有する組換えタンパク質は発現・可溶化・精製工程でSS結合がスルフヒドリル基(SH基)に還元されている場合がある。しかし、従来、組換えタンパク質を免疫診断薬に使用する場合においても、SS結合の再生は行われていなかった。したがって、HIV−1エンベロープタンパク質のように免疫反応部位にSS結合が存在する抗原を免疫診断薬に用いる場合には、発現・可溶化・精製の過程で生成されたSH基をSS結合させることにより更に検出感度を向上させることが可能となる。
【0026】
したがって、別の態様として、本発明はシクロデキストリン処理にSS結合を再生する処理、例えばシスチンによる処理を併用して調製したウイルス抗原を使用し測定感度を上昇させた抗ウイルス抗体測定方法並びに抗ウイルス抗体測定試薬キットを提供するものである。
【0027】
または本発明はより具体的な態様として、シクロデキストリン処理にSS結合を再生する処理、例えばシスチンによる処理を併用することにより抗原タンパク質を調製されたHIV−1抗原を含む抗HIV−1抗体検査薬を提供する。
【0028】
【発明の実施の形態】
(ウイルス抗原)
本発明のウイルス抗原は、ウイルス構造抗原、ウイルス非構造抗原が含まれる。ウイルスには、HIV−1、HCV、HBV等が含まれ、例えば核を欠如したウイルス粒子等も含まれる。ウイルス構造抗原は、ウイルス構造を形成するのに必要なタンパク質のうち酵素を除くものであって、例えば、表面抗原、エンベロープ抗原、コア抗原、キャプシッドタンパク質、マトリックスタンパク質などが含まれる。具体的な抗原の例としては、HIV−1 P41,HIV−1 P24,HBsAg,HBcAg,HCVコア抗原等が含まれるが、これはウイルスから可溶化により得られたものであっても、遺伝子組換え法で産生された抗原であっても、完全な分子であっっても、一部であっても、多量体を形成しているものであっても、融合しているものであっても、一部を融合しているものであっても、かまわない。
【0029】
ウイルス非構造抗原は、構造タンパク質以外のウイルス由来の抗原で、酵素などが含まれる。ノイラミニダーゼなど膜上に存在する酵素も含まれる。具体的な抗原の例としては、HCV非構造領域にコードされているヘリカーゼ、プロテアーゼ、レプリカーゼ、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼなどがあげられる。これはウイルスから可溶化により得られたものであっても、遺伝子組換え法で産生された抗原であっても、完全な分子であっっても、一部であっても、多量体を形成しているものであっても、融合しているものであっても、一部を融合しているものであっても、かまわない。
【0030】
(組換えタンパク質)
本発明で用いられる遺伝子組換え法で産生された抗原は、HIV−1、HCV、HBV等分子クローニングにより得られたDNA配列を原核生物あるいは真核生物から選択される適当な宿主細胞に導入、発現させることにより調製されたタンパク質である。宿主細胞には特に制限はなく、E.coli、B.subtilisあるいはS.cerevisiaeに代表される遺伝子工学手法において利用可能な下等細胞、昆虫細胞、COS7細胞、HeLa細胞、CHO細胞に代表される動物細胞など多くの細胞が、利用可能である。例えばHIV−1では、好ましくは、この組換え抗原はP24またはgp41である。
【0031】
(界面活性剤処理したタンパク質のリフォールディング)
界面活性剤で処理したウイルス抗原溶液にシクロデキストリンを添加し、室温に放置することによりタンパク質のリフォールディングを行う。Machidaらは、酵素のRe−foldに推奨するシクロデキストリンとして、αシクロデキストリン(グルコース6個よりなる環状分子)、βシクロデキストリン(同7個)、γシクロデキストリン(同8個)、の他に、さらに高重合度のもの(22−45個、50以上個のグルコースが環状に結合しているもの)についても報告している(FEBS Letters 486(2000)page 131−135)。
【0032】
本発明で使用するシクロデキストリンは、α、β、γ−シクロデキストリン、および上記した高重合度のもの、のいずれでもよいが、γ−シクロデキストリンおよびその誘導体が最も適している。
【0033】
ここで、シクロデキストリン誘導体とは、シクロデキストリン環状構造を骨格として、ヒドロキシプロピル、メチル等の官能基で修飾したものをいう(米国特許第3453258号明細書、米国特許第3453259号明細書、Polymer Journal, Vol.13, No.8, p.777−781(1981)、特開昭61−266401号公報、特開昭63−122701号公報、特開昭62−243602号公報)。シクロデキストリンの濃度は目的とするタンパク質およびその濃度に応じて適宜調整し得る。
【0034】
本発明でリフォールディングされるタンパク質は、界面活性剤で変性されたタンパク質であるが、この界面活性剤は一般にタンパク質の可溶化に使用されるものであれば、両性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤のいずれの界面活性剤であってもよい。陰イオン型界面活性剤としては、炭素数12〜18の高級脂肪酸のアルカリ金属塩、炭素数12〜18の高級脂肪酸のトリエタノールアミンなどの有機塩基塩、炭素数12〜18の高級脂肪酸又は高級アルコールの硫酸エステル、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩などが挙げられる。陽イオン型界面活性剤としては、アルキル基、アリール基、複素環基などを有する第四級アンモニウム化合物などが挙げられる。
【0035】
両性界面活性剤としては、ポリアミノモノカルボン酸、炭素数12〜18の高級アルキルアミノ酸、ラウリルジメチルベタインなどのアミノ酸のN−トリアルキル置換体などが挙げられる。非イオン型界面活性剤としては、モノステアリン酸グリセリンなどの炭素数12〜18の高級脂肪酸の多価アルコールエステル、高級脂肪酸のポリオキシエチレンエステル、高級脂肪酸のソルビタンエステル、高級脂肪酸とポリオキシエチレン及びソルビタンエーテルとのエステル、ポリオキシエチレンラウリルアルコールなどの高級アルコールとポリオキシエチレンとのエーテル、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのエーテルなどが挙げられる。好ましい界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン(代表的なものは、Tween 20などの商品名で入手しうる)、ポリオキシエチレンエーテル(代表的なものは、Triton X−100などの商品名で入手しうる)、オクチルフェノール・エチレンオキサイド縮合物(代表的なものは、Nonidet P−40などの商品名で入手しうる)、ドデシル硫酸ナトリウム、N−ラウリルザルコシンなどが挙げられる。
【0036】
(ジスルフィド結合再生工程を併行して行うタンパク質のリフォールディング)
タンパク質中のSS結合を再結合させる方法としては、SS結合を含む物質と反応させる方法や、金属と反応させる方法等が知られているが、例えば非特許文献9に記載されているように、シスチンを含むジスルフィド酸化剤で酸化させることによりタンパク質中のSH基同士を結合させてSS結合を再生させる方法がもっとも効果的である。
【0037】
具体的には、シクロデキストリンによる処理時に上記酸化剤を反応溶液中に並存させてタンパク質をリフォールディングさせる。シスチン処理はシクロデキストリン処理の前または後ろに行ってもまた同時でもかなわない。酸化剤の濃度は、目的とするタンパク質の量、SH基の数等により適宜調整する。
【0038】
(リフォールディングされたタンパク質を用いた抗体検査法)
本発明において試料中のウイルス抗原と免疫学的に反応性の抗体を測定するにあたっては、ラジオイムノアッセイ、酵素免疫測定法、螢光免疫測定法、化学又は生物発光免疫測定法、凝集反応免疫測定法および免疫クロマトグラフィーなどの方法によることができる。
【0039】
抗原抗体反応にあずかる抗原は、必要に応じて、例えば、寒天、アガロース、セルロース、紙、ニトロセルロース、デキストラン、ゼラチン、キチン、コラーゲン、綿などの生体由来高分子あるいは天然物由来高分子、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどのアクリル樹脂、イオン交換樹脂、光架橋樹脂、テフロン、ポリアセタールなどの合成高分子、ガラスビーズ、シリカゲル、アルミナ、セラミック、カーボン、硫酸マグネシウムなどの無機質材料などからなる微粒子、ビーズ、マイクロプレート、マイクロタイターウェル、マイクロチューブ、ストリップ、メンブレン、トレイ、ゲルなど、さらには赤血球、ラテックス粒子などの固定担体に固定しておき、この固定担体を、分析対象としての抗体等を含有する試料と接触させ、こうして固定担体に固定された抗原と、分析試料中の抗体等とを特異的に結合反応せしめ、この特異的に結合した分析対象物を検知することによりおこなうことができる。
【0040】
ラジオイムノアッセイ、酵素免疫測定法、化学又は生物発光免疫測定法、螢光免疫測定法などでは、125I、Hなどの放射性物質、西洋わさびペルオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼなどの酵素、フルオレッセインなどの螢光色素、金コロイド、セレンコロイドなどの発光又は発色物質などで標識された抗原あるいは二次抗体が試薬として用いられ、分析試料中の抗体、複合体等と特異的に結合反応せしめられ、その放射活性、酵素活性あるいは蛍光などを測定して、試料中の抗体等が存在していたか否かを判別することができる。
【0041】
凝集反応を利用した測定法では、一般には可溶性抗原を粒子状担体、例えば、赤血球、ポリスチレン粒子などのラテックス粒子などに結合させたいわゆる感作粒子抗原などの粒子状抗原と、それに対する抗体とが特異的に結合反応して観察できるような凝集塊をつくる反応を利用する。例えば、試料中の抗体を検知するため、上記したような粒子状抗原を試料と混合して反応させ、例えば、水性媒質の中で抗原抗体反応により生じた凝集反応が観察されるか否かにより、試料中に測定対象の抗体が存在しているか否かが判別される。この凝集反応を用いた測定法にあっては、一定量の抗原に対し、一定の希釈列にある既知濃度あるいは量の抗体を加え、反応の結果得られる溶液の凝集反応の程度を希釈倍数の逆数で表して評価されることがなされる。逆に一定量の抗体に対し、一定の希釈列にある既知濃度あるいは量の抗原を加え、反応の結果得られる溶液の凝集反応の程度を希釈倍数の逆数で表して評価されることもなされるし、更に抗体に対する抗体、すなわち二次抗体を用いて間接的な凝集反応を観察することもなされる。受身凝集反応免疫測定法は、本発明に従い、例えば、HIV−1に対する抗体の測定に用いられ、優れた作用効果が得られる。
【0042】
固体担体、粒子状担体あるいは標識などと抗原とを結合あるいは吸着させるには、当該分野で汎用されている方法を用いることができ、例えばイオン相互作用、疎水相互作用、共有結合などの物理的吸着や化学的結合により行うことができる。例えば、架橋剤としては、グルタルアルデヒド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート、スクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、スクシンイミジル 4−(1−マレイミドフェニル)ブチレートなどが挙げられる。
【0043】
固体担体、粒子状担体などの例としては、上記したようなものが挙げられ、例えば寒天、アガロース、架橋アガロース、架橋アルギン酸、架橋グアガム、ニトロセルロースやカルボキシルセルロースなどのセルロースエステルあるいは混合セルロースエステル、ゼラチン、架橋ゼラチン、ラテックス、ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、スチレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタクリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレート共重合体などのポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエポキシ樹脂などの天然あるいは合成の修飾あるいは非修飾の重合炭水化物、重合炭化水素など、それらの架橋誘導体など、ガラス、例えば活性化ガラス、シリカゲル、カオリン、タルク、シリカ−アルミナ、アルミナ、硫酸バリウムなどの無機材料などからなる群から選ばれたものを、多孔性のゲル、微粒子などにしたものが挙げられる。
【0044】
本発明においては、測定は競合アッセイ、中和アッセイ、固相アッセイ、クロマトグラフィーアッセイ、サンドイッチアッセイなどに適したようにしておこなうこともできる。本発明で用いられる測定対象試料としては、全血、血清、血漿、脳脊髄液、リンパ液、リンパ球、唾液、尿、汁、涙、糞便、生体粘液、生検組織、細胞培養上清液などの生物由来材料をあげることができる。これら測定対象試料は、必要に応じ濃縮したり、希釈して用いられる。本発明においては、検知用試薬として、4−ヒドロキシフェニル酢酸、1,2−フェニレンジアミン、テトラメチルベンジジンなどと西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ、ウンベリフェリルガラクトシド、ニトロフェニルガラクトシドなどとβ−D−ガラクトシダーゼ、ウンベリフェリルホスフェート、ニトロフェニルホスフェート、NADPなどとアルカリフォスファターゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼなどの酵素試薬、放射性物質試薬、フルオレッセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネートなどを用いている螢光試薬、発光試薬、化学発光試薬、金コロイド、銀コロイド、セレンコロイドなどのコロイド標識試薬、磁性体試薬、ビオチン標識抗ビオチン抗体などのハプテン標識抗ハプテン抗体検出系試薬などを用いることができる。
【0045】
本発明の測定系においては、界面活性剤、緩衝剤、希釈液又は希釈剤、ブロッキング剤、キレート化剤、保存剤などを用いることができる。界面活性剤としては、前記界面活性剤が使用し得る。これら界面活性剤は、約0.001%v/v〜約10%v/vの範囲で用いることができる。
【0046】
緩衝剤、希釈液又は希釈剤としては、水、リン酸稜衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)緩衝液、例えば生理食塩水などの塩化ナトリウム液、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)液、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)液、3−(シアノヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸液、3−(モルホリノ)プロパンスルホン酸液、アミノ酸液などが挙げられる。これらは単独でも、任意に配合しても用いることができる。キレート化剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−テトラ酢酸(EGTA)などが挙げられる。これらキレート化剤は、約0.01mM〜約20mMの範囲で用いることができる。保存剤としては、例えばナトリウムアジド、エチルパラベンなどが挙げられる。その他、本発明の測定系には、各種動物の血清、例えば牛血清、牛血清アルブミン(BSA)、牛胎児血清(FCS)、ヤギ血清、卵白アルブミン、ゼラチン、各種乳タンパク質、例えばスキムミルク、カゼイン、カゼイン分解物、ホエータンパク質など、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどからなる群から選ばれたものを添加することができる。これらは、約0.01%v/v〜約50%v/vの範囲で添加することができる。
【0047】
本発明においては、測定は好ましくは水性媒体中で行うことができるが、場合によっては免疫学的反応を一時的に水性媒体中で行うようにされていてもよい。水性媒体は、好ましくは約5.0〜9.0のpHに調整されて行うことができ、より好ましくは緩衝液中で行うこともできる。水性媒体の塩濃度は、比較的低いほうが好ましく、例えば生理的に等張化されているものが好ましい。本発明においては、もちろんリンパ球破砕物、例えばヒトT−リンパ球抽出液、大腸菌抽出液、酵母抽出液、マウス細胞培養抽出液などの細胞抽出物を添加することもできる。これらのものは、約0.001%v/v〜約20%v/vの範囲で添加することもできる。本発明においては、試薬は単一の容器あるいは複数の容器に入れてあり、使用にあたり配合されて用いるようになっていてもよい。
【0048】
【実施例】
以下の実施例により本発明を更に詳述するが、本発明はこれら実施例に限定して理解されるべきものではない。
【0049】
実施例1.
(1)ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理
精製水、トリス緩衝液 pH7.4、0.5M EDTA(pH8.0)、1% SDS、精製・透析されたHIV−1 p41およびHIV−1 p120の一部の配列を有するリコンビナント抗原溶液(0.17% 硫酸ドデシルナトリウム(SDS)を含む)をリコンビナント抗原 0.3125mg/ml、SDS 0.05%、EDTA 10mM、トリス 50mMとなるように混合し、一時間放置した。さらに精製水およびγ−シクロデキストリンの誘導体であるヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン(アルドリッチケミカル社製 カタログ番号39070−4)10%水溶液を添加し、よくかき混ぜた後一晩放置し、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理を完了した。これをヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理抗原とした。ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理時の各試薬の濃度は、リコンビナント抗原0.25mg/ml、SDS 0.04%、EDTA−2Na 8mM、トリス40mM、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン0.6%とした。また比較対照として、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン10%のかわりに精製水で同様に処理した溶液も作製した。これはヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン未添加処理抗原とした。(2)ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理抗原の免疫学的活性測定HIV−1抗体陽性検体に、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理前抗原(以後、未処理抗原)、またはヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン未添加処理抗原、またはヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理抗原を添加し、阻害されたHIV−1抗体活性の割合を用いて抗原の免疫学的活性を測定した。
【0050】
未処理抗原、またはヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン未添加処理抗原、またはヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理抗原を10ug/mlになるように0.1% SDS溶液で希釈をした。
【0051】
HIV−1抗体陽性検体をHIV陰性血漿を用いて256倍希釈した。上記抗原希釈溶液と上記希釈HIV−1抗体陽性検体を1:3の割合で混合し、1時間放置した後にアキシムHIV−1/HIV−2・ダイナパック(登録商標)(ダイナボット社製9A44−88)を用いて測定した。
【0052】
抗原未添加溶液すなわち0.1% SDS溶液と上記256倍希釈HIV−1抗体陽性検体を1:3の割合で混合し、1時間放置した後にアキシムHIV−1/HIV−2・ダイナパック(登録商標) 測定より得られた測定値(S/CO値)を基準として、抗原添加により低下した測定値の割合を抗体活性阻害%とした。詳しくは、以下の式を用いて抗体活性阻害%を求めた。
【0053】
抗体活性阻害%=(A−S)/(A−N)
S: 256倍希釈 HIV−1抗体陽性検体1体積に、測定対象である抗原を10 ug/mlに希釈した抗原溶液を1/3体積添加した後に1時間放置した溶液をサンプルとしてアキシム HIV−1/HIV−2・ダイナパック(登録商標)を測定したときに得られた測定値(S/CO値)。
【0054】
A: 256倍希釈 HIV−1抗体陽性検体 1体積に、0ug/ml 抗原溶液(0.1%SDS)を1/3体積添加した後に1時間放置した溶液をサンプルとしてアキシム HIV−1/HIV−2・ダイナパック(登録商標)測定をしたとき得られた測定値(S/CO値)。本実験では26.04であった。
【0055】
N: アキシム HIV−1/HIV−2・コントロール(ダイナボット社製9A4412)に含まれる陰性コントロールをアキシム HIV−1/HIV−2・ダイナパック(登録商標)を用いて測定したときに得られた測定値(S/CO値)。本実験では0.40であった。
【0056】
抗原の処理方法と抗体活性阻害%の関係を表1に示した。ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理を行うことにより、抗体活性阻害%の上昇が観察される。このことからヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理により、免疫学的抗原活性が上昇していることがわかる。
【0057】
【表1】
Figure 0004047118
【0058】
実施例2.
(1)ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理抗原を用いた免疫診断デバイスの作製
実施例1(1)に示した方法に従って作製されたヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理抗原を用いて免疫診断デバイスを作製した。また比較対照として未処理抗原、実施例1(1)に示した方法に従って作製されたヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン未添加処理抗原、についても免疫診断デバイスを作製した。
【0059】
未処理抗原またはヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン未添加処理抗原またはヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理抗原を、SDSを含むトリス緩衝液(pH7.4)に添加しさらにセレニウムコロイド(アボットラボラトリーズ社より入手)を添加し、抗原固相化反応を開始した。反応時の抗原濃度は6.7ug/ml、SDS濃度は0.013%、トリス濃度は29mM、セレニウムコロイドの550nmにおける吸光度は50とした。室温で20分撹拌した後に0.34%になるようカゼインを添加し、さらに20分間撹拌し、2%カゼインを含む10mMトリス緩衝液(pH7.4)で洗浄し、セレニウムコロイド標識抗原とした。
【0060】
セレニウムコロイド標識抗原を550nmにおける吸光度が7.5になるよう1%カゼイン、2%シュークロース、2%ラクトースを含む50mMトリス緩衝液(pH7.4)に添加し、セレニウムコロイド標識抗原懸濁液とした。この懸濁液中にガラス繊維(アールストローム社製)を浸し懸濁液を十分にしみ込ませた後、ガラス繊維を乾燥した。これを標識領域とした。
【0061】
ポリエチレンテレフタラートフィルムを貼付した幅4mm、長さ40mm、ポアサイズ5umのニトロセルロース膜(ミリポア社製)の下端から約1cmのところに、HIV−1エンベロープ抗原を4.65mg/mlとなるよう1%シュークロースを含む100mMトリス緩衝液(pH7.4)中に調製した溶液を線状に滴下した後に十分乾燥させ検出領域とした。
【0062】
検出領域の下に幅4mm 長さ4.3mmに切断した標識領域を、重なりが約1mmになるよう貼付した。さらにサンプル滴下領域すなわち幅4mm 長さ15.5mmに切断したガラス繊維(アールストローム社製)を標識領域の下に重なりが約1mmになるよう貼付した。さらにサンプル滴下領域の下側約1cmを残してストリップ全体を覆うようにポリエチレンテレルタラートフィルムを保護フィルムとして貼付し、免疫診断ストリップとした。また保護フィルムの貼付されなかったサンプル滴下領域をサンプル滴下部とした。
【0063】
(2)希釈感度の測定
ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理抗原を用いた免疫診断ストリップ、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン未添加処理抗原、未処理抗原を用いた免疫診断ストリップ、について、希釈感度を測定した。
【0064】
HIV−1陽性検体を、HIV陰性血漿を用いて2048倍、4096倍、8192倍希釈した。サンプル50ulを免疫診断ストリップのサンプル滴下部に滴下し、15分後に検出領域における赤色シグナルの強度を目視判定した。ある一定以上のシグナル強度を示したとき陽性と判定した。表2に10回重複測定の結果を示す。ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理を行うことにより、免疫診断ストリップの感度が上昇していることがわかる。
【0065】
【表2】
Figure 0004047118
【0066】
(3)セロコンバージョン検体の測定
ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理抗原を用いた免疫診断ストリップおよび未処理抗原を用いた免疫診断ストリップについて、BBI 社から購入したHIV−1セロコンバージョンパネル11シリーズを用いてセロコンバージョン検体の感度を測定した。サンプル50 ul を免疫診断ストリップのサンプル滴下部に滴下し、15分後に検出領域における赤色シグナルの強度を目視判定した。ある一定以上のシグナル強度を示したとき陽性と判定した。ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理抗原を用いた免疫診断ストリップは、未処理抗原を用いた免疫診断ストリップに比べて、9のシリーズで、よりセロコンバージョンの早い時期に陽性を確認することができた。
【0067】
実施例3
(1)ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理およびシスチン処理
精製水、トリス 緩衝液pH7.4、0.5M EDTA(pH8.0)、1%SDS、200mM シスチンL−Cystine(L(−)−シスチン、関東化学 07577−30)、精製・透析されたHIV−1 p41およびHIV−1 p120の一部の配列を有するリコンビナント抗原溶液(0.17%硫酸ドデシルナトリウム(SDS)を含む)をトリス50mM、EDTA−2Na10mM、SDS 0.05%、シスチン 2 mM、リコンビナント抗原 0.3125mg/mlとなるように混合し、良くかき混ぜた後1時間放置しシスチン処理を完了した。次に精製水、10%ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン水溶液を添加し、よくかき混ぜた後一晩放置し、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理を完了した。これをシスチン・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理抗原とした。ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理液中の各試薬の濃度は、リコンビナント抗原0.25mg/ml、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン0.6%、シスチン1.6mM、SDS 0.04%、EDTA−2Na 8mM、トリス40mMとした。また比較対照として、シスチン溶液の添加を行わなわず、ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン水溶液の添加も行わなかった溶液、シスチン溶液の添加を行わなかった溶液。ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン溶液の添加を行わなかった溶液も作製した(いずれも、他の試薬の反応濃度を合わせるために、精製水の量を調整した)。これらは、順番に、シスチン未添加・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン未添加処理抗原、シスチン未添加・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン添加処理抗原、シスチン添加・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリンン未添加抗原とした。
【0068】
(2)ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理およびシスチン処理抗原のSH基量測定
未処理抗原、シスチン未添加・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン未添加処理抗原、シスチン未添加・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン添加処理抗原、シスチン添加・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン未添加処理抗原、シスチン・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理抗原の スルホヒドリル基(SH 基)量をエルマン法により調べた。具体的には10ulの10mM 5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸(DTNB)溶液に1M トリス(pH 8.0)10ulを添加し、さらにサンプル90ul 添加後、2分後に波長412nmの吸光度から波長600nmの吸光度を引いた値を求めた。SH基濃度は別に測定したジチオスレイトール(DTT)溶液を用いて得られた測定値の検量線により算出された。また、抗原を含有しない溶液の測定値の1.15倍を測定系の感度とした。
【0069】
未処理抗原以外の処理抗原については、0.04% SDS 10mM EDTAを含有する溶液を用いて透析を行い、限外ろ過膜を用いて濃縮を行った後に上記測定を行った。この透析操作は測定値に影響を与えるシスチンを除くための操作である。抗原の分子量と濃度および一分子あたりのシステイン残基数より計算される全システイン残基数を100%としたときに測定値より求められたSH基の数を割合で示したのがSH基%である。SH基%が少ないほど、ジスルフィド(SS)再結合が起こっていることを示している。
【0070】
抗原の処理方法とSH基%の関係を表3に示す。この表内で、シスチン添加・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン未添加抗原およびシスチン・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理抗原のSH基%は感度以下であったが、タンパク質濃度が薄い状態で測定したため、測定感度がそれぞれ18%,23%と低い感度での測定であった。さらに詳細な検討を行うため、再度同様に処理した抗原を濃い状態で測定することにより、SH基%で6%の測定感度をもって測定することができ、測定値はいずれも感度以下であった。シスチン処理により、SH基%が低下していることから、シスチン処理によりSS再結合が起こっていることが示された。また、シスチン処理を行うことにより、未処理時に存在するSH基のほとんどをSS結合に回復させることができたと思われる。
【0071】
【表3】
Figure 0004047118
【0072】
(3)シスチン処理抗原のゲルろ過分析
未処理抗原、シスチン未添加・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン未添加処理抗原、シスチン添加・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン未添加処理抗原の分子間架橋の度合いをHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)ゲルろ過分析により測定した。より詳細な測定条件は以下のとおりである。カラム 東ソー G3000 Super SW、溶出緩衝液 0.1% SDS を含む 100 mM リン酸緩衝液(pH6.8)、サンプル量 5ul、溶出速度 0.35ml/分、溶出パターンの検出方法 280nmにおける吸光度。
【0073】
抗原処理測定結果を表4に示す。本リコンビナント抗原を用いた際、2つのピークが検出される。保持時間7.3−7.4分の箇所のメインピーク、および、保持時間6.6−6.7分の個所の小ピークである。ここでデータは示さないが、別の検討において抗原を200mM DTTと反応させたときに保持時間6.6−6.7分のピークは消失し、保持時間7.3−7.4分のピークは残ることから、保持時間7.3−7.4分のピークは本リコンビナント抗原の単量体のピーク、保持時間6.6−6.7分のピークは、分子間SS結合による二量体もしくは多量体のピークであることが結論づけられている。表4より、シスチン添加・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン未添加処理抗原に関して、保持時間6.6−6.7分のピークの割合が、シスチン未添加・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン未添加処理抗原より小さく、大きくはなっていないことから、シスチン添加により分子間架橋が増加していないことがわかる。すなわちシスチン添加により回復したSS結合のほとんどが分子間SS結合ではなく、分子内SS結合であると考えることができる。
【0074】
【表4】
Figure 0004047118
【0075】
上記SH基%測定結果およびゲルろ過測定結果より、シスチン処理により、分子間SS結合を作ることなく、ほとんどのSH基を分子内SS結合に回復させることができることがわかる。
【0076】
実施例4
(1)シスチン・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理抗原を用いた免疫診断デバイスの作製およびセロコンバージョン検体測定
未添加抗原および実施例3(1)で示した方法に従って作製されたシスチン未添加・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン添加処理抗原、シスチン添加・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン未添加処理抗原、およびシスチン・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理抗原を用いて、実施例2(1)と同様に免疫診断ストリップを作製した。
【0077】
HIV−1 セロコンバージョン検体を陰性血漿で10倍希釈したサンプルを測定した。サンプル50ulを免疫診断ストリップのサンプル滴下部に滴下し、15分後に検出領域における赤色シグナルの強度を目視判定した。シグナル強度に応じて、スコアをつけ感度の上昇度合いを測定した。表5に抗原処理方法と測定された免疫診断ストリップのシグナル強度の関係を記した。表5に示すように、シスチン・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン処理抗原を用いた際に、シスチン未添加・ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン添加処理抗原に比べて高い感度を得ることができた。
【0078】
【表5】
Figure 0004047118

Claims (10)

  1. 界面活性剤で処理後、シクロデキストリンまたはその誘導体で処理した構造タンパク質であるウイルス抗原を使用することにより測定感度を上昇させたことを特徴とする抗ウイルス抗体測定方法。
  2. 該ウイルス抗原が、シクロデキストリンまたはその誘導体で処理する前若しくは後又は、同時にジスルフィド酸化剤で処理されていることを特徴とする請求項1に記載の抗ウイルス抗体測定方法。
  3. 前記ジスルフィド酸化剤がシスチンである請求項2に記載の抗ウイルス抗体測定方法。
  4. 前記ウイルス抗原がHIV−1抗原である請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗ウイルス抗体測定方法。
  5. HIV−1抗原が24及び又はgp41である請求項4に記載の抗ウイルス抗体測定方法。
  6. 界面活性剤で処理後、シクロデキストリンまたはその誘導体で処理した構造タンパク質であるウイルス抗原を含む、測定感度を上昇させたことを特徴とする抗ウイルス抗体測定キット。
  7. 該ウイルス抗原が、シクロデキストリンまたはその誘導体で処理する前若しくは後又は、同時にジスルフィド酸化剤で処理されていることを特徴とする請求項に記載の抗ウイルス抗体測定キット。
  8. 前記ジスルフィド酸化剤がシスチンである請求項7に記載の抗ウイルス抗体測定キット。
  9. 前記ウイルス抗原がHIV−1抗原である請求項6〜8のいずれか1項に記載の抗ウイルス抗体測定キット。
  10. HIV−1抗原がp24及び又はgp41である請求項9に記載の抗ウイルス抗体測定キット。
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