以下図面に基づいて、本発明の実施形態につき説明する。
[回転機構としての実施形態の説明]
図1は、本発明の実施形態にかかる回転機構9の構成を概略的に示す構成図である。この回転機構9は、縦長の被駆動物90を所定の2軸(回転軸A、回転軸B)周りに回転駆動させるものであって、前記被駆動物90に対して回転駆動力を与える第1アクチュエータ91A及び第2アクチュエータ91Bと、被駆動物90の回動支持点となるピボット受け部(鋼球92)と、被駆動物90の回転姿勢を検出する第1位置検出センサ93A(第1位置検出手段)及び第2位置検出センサ93B(第2位置検出手段)と、姿勢制御部94とを備えて構成されている。
被駆動物90は、回転運動させるべき、任意の物品、部品、構造体等であり、特にその種別、用途等に制限はない。ここでは縦長の立方体を例示しているが、正立方体や円柱体、角錐体等であっても勿論良い。被駆動物90には、その縦長方向に伸びる第1側面901と、この第1側面901に平行に対向する第2側面902とが備えられている。前記第1側面901の上下端部付近には、第1アクチュエータ91A及び第2アクチュエータ91Bから与えられる駆動力を受ける第1作用部904A及び第2作用部904Bが設けられている。この第1、第2作用部904A、904Bは、例えば第1、第2アクチュエータ91A、91Bが備える移動片(ナット等)と干渉するように組み付けられる移動片受け(ナット受け等)からなる。一方、前記第2側面902の中央部付近には、ピボット受け部として機能する鋼球92の鋼球受け部(図略)が設けられている。
この被駆動物90は、図示省略の適宜な支持基板(固定基板)に対して実質的に3つの支持点で支持されている。これら支持点のうち2つの支持点は第1、第2アクチュエータ91A、91Bの第1、第2作用部904A、904Bによる支持点であり、残りの1つの支持点は、鋼球92によるピボット支持点である。これら3つの支持点は、被駆動物90中の任意点903(例えば被駆動物90の重心)を取り囲むように配置されている。
さらに詳述すると、前記任意点903を含む所定の平面上の軸であって任意点903を通過する軸をA軸(第1軸)とし、このA軸と前記平面上において直交する軸をB軸(第2軸)とし、前記平面と垂直な軸であって任意点903を通過する軸をC軸(第3軸)として定める場合に、被駆動物90を支持する2つの支持点である前記第1、第2アクチュエータ91A、91Bの第1、第2作用部904A、904Bは、前記第1側面901にA軸を挟んで略対称に配置されており、また残りの支持点である鋼球92のボール受け部は、前記第2側面902におけるA軸上に配置されている。なお、第1、第2アクチュエータ91A、91Bは前記支持基板に取り付けられ、鋼球92は前記支持基板に設けられた他方のボール受け部と被駆動物90側の鋼球受け部とで挟持されるよう組み付けられる。
第1、第2アクチュエータ91A、91Bは、例えばステッピングモータ等を備え、直線的な駆動力を発生するリニアアクチュエータである。このような第1、第2アクチュエータ91A、91Bからの直線的な駆動力は、前記第1、第2作用部904A、904Bに対して、前記C軸方向に与えられるようになっている。これにより、被駆動物90は、図略の支持基板等に対して、前記A軸方向に伸びる回転軸A(第1回転軸。この場合、A軸と回転軸Aとは同じ)及び/又は前記B軸方向に伸びる回転軸B(第2回転軸。鋼球92による支持点を通り、回転軸Aに直交する軸)の周りに回転駆動可能とされている。なお、このような構成では、当該被駆動物90は前記C軸周りにも揺動するが、このようなC軸周り回動は図略の運動拘束機構により規制されている。
このような構成に加え、本実施形態にかかる回転機構9には、原点位置への復帰動作のため、或いは所定の回転位置への位置決めのために、被駆動物90の回転姿勢を検出する位置検出機構が備えられている。具体的には、第1、第2アクチュエータ91A、91Bの第1、第2作用部904A、904Bを結ぶ直線L1上(直線L1の近傍)であって、前記第1アクチュエータ91Aの作用部904AのA軸側近傍に、被駆動物90の回転姿勢を検出する第1位置検出センサ93Aの検知部905Aが配置され、第2アクチュエータ91Bの作用部904BのA軸側近傍に、同様に被駆動物90の回転姿勢を検出する第2位置検出センサ93Bの検知部905Bが配置されている。
第1位置検出センサ93A及び第2位置検出センサ93Bとしては、二次元PSD(Position Sensitive Detector)や二次元ホール素子センサのような高度な位置センサを用いても良いが、接触式ならばメカ接点を備えたメカスイッチ、非接触式ならばPI(フォトインタラプタ)と遮光羽とからなるPIセンサ、発光素子と反射部材とからなる反射型センサのようなスイッチ手段で構成することが望ましい。このようなスイッチ手段を第1、第2位置検出センサ93A、93Bとして用いることで、被駆動物90の位置検出のための構成が簡素化でき、コストダウンを図ることができる。
上記検知部905A、905Bには、設置する位置検出センサに応じた部材が配置される。例えば位置検出センサが二次元PSDの場合は、発光素子若しくはPSD素子が検知部905A、905Bに取り付けられる。また二次元ホール素子センサの場合は、ホール素子若しくは磁石が取り付けられる。一方、スイッチ手段の場合、例えばメカスイッチならばメカ接点と干渉する突片が、PIセンサならば前記遮光羽が、また反射型センサの場合は前記反射部材が、検知部905A、905Bに設けられる。これらは、被駆動物90の外表面に設定された所定の位置検出ポイントとなり、該位置検出ポイントを基準位置(原点位置)として、被駆動物90の位置検出がなされる。
姿勢制御部94は、CPU(Central Processing Unit)等を備え、第1位置検出センサ93A及び第2位置検出センサ93Bによる被駆動物90の位置検出結果に基づき、第1、第2アクチュエータ91A、91Bを動作させて被駆動物90の姿勢を制御する。図2は、姿勢制御部94の機能構成を示すブロック図である。この姿勢制御部94は、センサ制御部941、H/L判定部942、閾値設定部943及びアクチュエータ駆動制御部944を備えている。ここでは、第1、第2位置検出センサ93A、93Bとして、発光素子、受光素子及び両者間の光路を遮光する遮光羽(位置検出ポイント)を備えるPIセンサ(スイッチ手段)が用いられている場合について説明する。
センサ制御部941は、第1、第2位置検出センサ93A、93Bによるセンシング動作を実行させ、該センシング動作で取得された位置情報に関する信号を受領する。この場合、PIセンサに備えられている発光素子を所定のタイミングで間欠的に若しくは連続的に点灯させ、そのときに受光素子で受光され光電変換された電気信号を位置情報に関する信号として受領する。前記電気信号は、図3(a)に示すように、受光量に応じた光電変換特性951を示すことになる。すなわち、前記遮光羽で発光素子と受光素子との間の光路が遮断されているとき(この状態が例えば原点位置となる)は受光量が少なく、被駆動物90の回転運動に従い徐々に遮光羽による遮光状態が解除されてゆくと受光量が漸増し、完全に遮光状態が解除されると受光素子の受光量はmaxとなる。
H/L判定部942は、図3(a)に示す光電変換特性951に対し、予め設定された所定の閾値thを用いて、図3(b)に示すように、第1、第2位置検出センサ93A、93Bからの出力値が、前記閾値thよりも低い低出力状態「L」であるか、閾値thよりも高い高出力状態「H」であるかを判定する。すなわち、光電変換特性951の傾斜部に定められた閾値thに相当する出力値952を基準として、高出力状態「H」である場合は第1信号Hを生成し、低出力状態「L」である場合は第2信号Lを生成して出力する。これにより、第1、第2位置検出センサ93A、93Bの出力値が、位置検出ポイントの検出(遮光羽による所定の部分遮光状態)を境にして変化する第1信号Hと第2信号Lとに変換されて出力されるようになる。
閾値設定部943は、前記光電変換特性951の傾斜部における、閾値thに相当する出力値952の値に関する設定を受け付ける機能部である。H/L判定部942は、この閾値設定部943に設定されている閾値を読み出して、前述の「H」又は「L」の判定を行う。
アクチュエータ駆動制御部944は、H/L判定部942から出力される信号(第1信号H及び第2信号L)を参照しつつ、第1、第2アクチュエータ91A、91Bを動作させて被駆動物90の姿勢を所定の位置に位置決めさせる制御を行う。具体的には、次の(1)〜(3)に示す第1動作〜第3動作を順次実行させる。
(1)第1動作
第1、第2位置検出センサ93A、93Bの出力として、いずれも第1信号H若しくは第2信号Lが出力されるように第1、第2アクチュエータ91A、91Bの少なくとも一方を動作させる。
(2)第2動作
第1、第2位置検出センサ93A、93Bの出力として、そのいずれか一方から第2信号L若しくは第1信号Hが出力されるように第1、第2アクチュエータ91A、91Bの少なくとも一方を動作させる。
(3)第3動作
前記第2動作で前記第2信号L若しくは第1信号Hが出力された検知部905A、905Bの配置位置(遮光羽の配置位置)或いはその近傍を回転中心として被駆動物90を回転させると共に、第1、第2位置検出センサ93A、93Bの出力として、いずれも第2信号L若しくは第1信号Hが出力されるように第1、第2アクチュエータ91A、91Bを動作させる。
以上の通り構成された回転機構9の動作について説明する。ここでは、第1、第2位置検出センサ93A、93Bの検出信号に基づく出力値がいずれも「L」(第2信号L)となる状態(所定の部分遮光状態に切り替わるポイント)が被駆動物90の原点位置であるものとし、原点ずれが生じている状態において原点復帰させる場合の動作について説明する。図4(a)〜(d)は、被駆動物90が原点ずれ状態から原点復帰されるプロセスを模式的に示す図であり、また図5は、姿勢制御部94による原点復帰の動作フローを示すフローチャートである。以下、図5のフローチャートに沿って、図4(a)〜(d)に示すプロセスを順次参照しながら動作を説明する。
原点復帰処理は、例えば被駆動物90を動作させる装置類の電源投入時、あるいは装置類の動作中において定期的に行なわれるセンタリング時などに実行される。原点復帰処理が開始されると、先ず第1、第2位置検出センサ93A、93Bの出力として、いずれも第1信号Hが出力されているか(図5ではH/Hと表記している)否かが確認される(ステップS11)。
原点復帰処理開始直前の被駆動物90の回転位置が、図4(a)に示すように、第1位置検出センサ93Aの出力が第2信号Lで、第2位置検出センサ93Bの出力が第1信号Hである場合(L/H状態;ステップS11でNO)、上述の第1動作として、アクチュエータ駆動制御部944は第1、第2アクチュエータ91A、91Bを互いに逆方向に駆動させる(ステップS12)。すなわち、被駆動物90の検知部905A、905Bの配置位置(遮光羽の配置位置)を結ぶ第1ラインL1に対し、適宜な支持基板に固定されている第1、第2位置検出センサ93A、93Bのセンシングエリア906A、906B(PIセンサの場合は発光・受光エリア)を結ぶ第2ラインL2が交差して傾いているとき、図4(a)に矢印で示すように、第1アクチュエータ91Aからは第1作用部904Aへ「+」方向の駆動力が与えられ、第2アクチュエータ91Bからは第2作用部904Bへ「−」方向の駆動力が与えられる。
アクチュエータ駆動制御部944は、このような第1、第2アクチュエータ91A、91Bの駆動を行いながらH/L判定部942から出力される信号(第1信号H及び第2信号L)を参照して適宜駆動量を制御し(図4(a)の状態では第2作用部904Bへは長い距離を移動させる駆動力は与えられない)、図4(b)に示すように、第1、第2位置検出センサ93A、93Bの出力として、いずれも第1信号Hが出力されるH/Hの状態になるように被駆動物90を回転移動させる。
このように、センサ出力がH/Hの状態になったならば(ステップS11でYES)、上述の第2動作として、図4(b)に矢印で示すように、第1作用部904A及び第2作用部904Bのいずれに対しても「−」方向の駆動力が与えられるように、アクチュエータ駆動制御部944は第1、第2アクチュエータ91A、91Bを駆動させる(ステップS13)。このとき、第1、第2アクチュエータ91A、91Bによる駆動速度は同速度とされる。つまり、被駆動物90は、2つのアクチュエータにより、等速で、同方向に駆動される。
ステップS13の駆動(第2動作)を行いながら、第1位置検出センサ93Aの出力として、第2信号Lが出力されているかが確認される(ステップS14)。そして、第2信号Lが出力される状態になったならば(ステップS14でYES)、上述の第3動作として、検知部905Aの配置位置(第1位置検出ポイント)を回転中心として被駆動物90が回動するよう、第1、第2アクチュエータ91A、91Bが駆動される(ステップS15)。この場合、検知部905Aにおいて先に原点が確認されたことになり、この原点をホールドしつつ、被駆動物90を回動させることで、もう一方の検知部905Bにおける原点合わせが行われる。
ステップS15の回転駆動(第3動作)を行いながら、第2位置検出センサ93Bの出力として、第2信号Lが出力されているかが確認される(ステップS16)。もし、第2信号Lが出力されているならば(ステップS16でYES)、検知部905Bにおいても原点が確認されたことになり、これにて被駆動物90が原点復帰されたことになるので、処理は完了する。第2信号Lが出力されていないならば(ステップS16でNO)、ステップS15の回転駆動が継続される。
一方、第1位置検出センサ93Aの出力として第2信号Lが出力されていない場合(ステップS14でNO)、続いて第2位置検出センサ93Bの出力として、第2信号Lが出力されているかが確認される(ステップS17)。第2信号Lが出力される状態になったならば(ステップS17でYES)、同様に上述の第3動作として、検知部905Bの配置位置(第2位置検出ポイント)を回転中心として被駆動物90が回動するよう、第1、第2アクチュエータ91A、91Bが駆動される(ステップS18)。この場合、検知部905Bにおいて先に原点が確認されたことになり、この原点をホールドしつつ、被駆動物90を回動させることで、もう一方の検知部905Aにおける原点合わせが行われる。
ステップS18の回転駆動(第3動作)を行いながら、第1位置検出センサ93Aの出力として、第2信号Lが出力されているかが確認される(ステップS19)。もし、第2信号Lが出力されているならば(ステップS19でYES)、検知部905Aにおいても原点が確認されたことになり、これにて被駆動物90が原点復帰されたことになるので、処理は完了する。第2信号Lが出力されていないならば(ステップS19でNO)、ステップS18の回転駆動が継続される。なお、ステップS17において第2信号Lが出力されていないならば(ステップS17でNO)、ステップS13の駆動(第2動作)が継続されることとなる。
図4(c)には、上記ステップS17〜S19に対応する状態が示されている。すなわち、図4(b)の状態からステップS13の駆動(第2動作)が行われた結果、検知部905Bとセンシングエリア906Bとが先に重なり、第1位置検出センサ93Aの出力は第1信号Hであるが、第2位置検出センサ93Bの出力として第2信号Lが出力されるようになったH/L状態が示されている。この状態においては、前記第1ラインL1と第2ラインL2とは、検知部905Bにおいて交差している状態である。
その後、第1、第2アクチュエータ91A、91Bの動作は、第3動作に移行する。つまり、前記検知部905Bにおける交差部を回転中心として、第1ラインL1が第2ラインL2に対して相対的に回転するよう被駆動物90が回転移動される。そして、図4(d)に示すように、第1位置検出センサ93Aの出力としても、第2信号Lが出力されるポイントに至れば、被駆動物90が原点復帰したものとして原点復帰動作が終了するものである。この状態では、第1、第2位置検出センサ93A、93Bのいずれの出力も第2信号LであるL/L状態となる。また、第1ラインL1と第2ラインL2とは重畳された状態となる。
以上説明した回転機構9において、第1、第2位置検出センサ93A、93Bの検知部905A、905Bの配置位置(遮光羽の配置位置)は、それぞれ第1アクチュエータ91Aの第1作用部904Aの近傍、及び第2アクチュエータ91Bの第2作用部904Bの近傍であればよい。従って、上記実施形態では、検知部905A、905Bが第1、第2作用部904A、904BのA軸側(内側)に配置されている例を挙げたが、図6(a)に示すように、検知部905A、905Bをそれぞれ第1、第2作用部904A、904Bの外側近傍に配置するようにしても良い。或いは、図6(b)に示すように、検知部905Aを第1作用部904Aの内側近傍に配置し、検知部905Bを第2作用部904Bの外側近傍に配置するようにしても良い。
また、上記実施形態では、被駆動物90を実質的に支持する3つの支持点のうち、2つをアクチュエータの作用部による支持点とした例を示したが、3つの支持点全てをアクチュエータの作用部による支持点としても良い。さらに、上述の第1動作でH/H状態、第2動作でH/L状態、第3動作でL/L状態とする例を示したが(図4(b)〜(d)参照)、これとは逆に、第1動作でL/L状態、第2動作でL/H状態、第3動作でH/H状態となるよう、第1、第2アクチュエータ91A、91Bを駆動させるようにしても良い。
本実施形態にかかる回転機構9によれば、回転軸A及び回転軸B周りに回転駆動される被駆動物90の位置を、簡単な構成で的確に検出することができるようになる。すなわち、第1、第2位置検出センサ93A、93Bの検知部905A、905Bを、第1、第2アクチュエータ91A、91Bの第1、第2作用部904A、904Bを結ぶ第1ラインL1若しくはその近傍に配置することで、2つの位置検出センサのみで回転軸A及び回転軸B周りの双方の位置ずれ(原点ずれ)を検知することが可能となる。また、検知部905A、905Bが、第1、第2作用部904A、904Bの近傍にそれぞれ配置されているので、第1、第2アクチュエータ91A、91Bによる被駆動物90の駆動ポイントと位置検出ポイントとが近くなり、図4及び図5で説明したようなアルゴリズムを用いて、原点復帰動作を迅速に行うことができる。
[撮像装置としての実施形態の説明]
以下図面に基づいて、本発明にかかる鏡胴ユニット(回転機構)が備えられた撮像装置の一実施態様である鏡胴内蔵型のデジタルカメラを例示して、具体的実施態様につき詳細に説明する。
(カメラ構造の説明)
図7は、本実施形態にかかるデジタルカメラ1の外観を示す図であって、図7(a)はその正面図、(b)は背面図をそれぞれ示している。この鏡胴内蔵型のデジタルカメラ1は、カメラ本体ボディ10の頂面にはレリーズボタン101等が、正面側には撮影窓部102や閃光部103等が、また背面側には各種の操作ボタン104や液晶モニタ(LCD)等からなる表示部105、ファインダー106等がそれぞれ配置されている。
そして本体ボディ10の内部には、前記撮影窓部102を通して対物レンズ21から被写体像を取り入れ、本体ボディ10の内部に配置されている固体撮像素子へ導くための撮影光学系を構成する屈曲型の鏡胴2(被駆動物)が内蔵されている。この屈曲型の鏡胴2は、ズーミングやフォーカシング駆動時においてもその長さが変動しない、つまり本体ボディ10から外部に突出することのない鏡筒であって、その像面側に固体撮像素子が一体的に組み付けられている。さらに、本体ボディ10の内部には、当該カメラ1に与えられる振れ量を検出する振れ検出手段としてのピッチ(P)振れ検出ジャイロ11と、ヨー(Ya)振れ検出ジャイロ12とが内蔵されている。なお、カメラ1の水平方向(幅方向)をX軸方向と、カメラ1の垂直方向(高さ方向)をY軸方向として、X軸周りの回転方向をピッチ(P)方向とし、Y軸周りの回転方向をヨー(Ya)方向として定めるものとする。
図8は上記屈曲型鏡胴2の内部構造の一例を示す断面図(広角動作状態)である。この屈曲型鏡胴2は、カメラ本体ボディ10の内部に縦型若しくは横型に内蔵される筒型を呈しており、外観的にはレンズ群が収納される筒部201と、カメラ本体ボディ10の撮影窓部102と位置合わせして配置され、被写体像を鏡胴内部へ入射させる開口部203を備えた屈曲部202とからなる。
この屈曲部202には、開口部203に固定される第1レンズ211、屈曲部202の傾斜辺に配置されるプリズム212、及び筒部201の入口側に配置される第2レンズ213からなる対物レンズ21が固定的に配置されている。また、筒部201の内部には,、光軸に沿って直列的に、第1ズームレンズブロック22、固定レンズブロック23、及び第2ズームレンズブロック24が配置されている。また、筒部201の出口側には、モアレ防止のためのローパスフィルタ25を介して、CCD等の固体撮像素子26が固定されている。すなわち、鏡胴2が揺動すると、固体撮像素子26もこれと一体的に揺動する。而して、前記開口部203から入射された被写体像の光線Oin(入射光)は、対物レンズ21のプリズム212で90°屈曲され、第1ズームレンズブロック22、固定レンズブロック23、第2ズームレンズブロック24、及びローパスフィルタ25を経由して固体撮像素子26の受光面へ導かれる。
この屈曲型の鏡胴2は、本体ボディ10に内蔵された状態において、後述する複数のアクチュエータにより振れ補正駆動力が与えられる構成とされている。すなわち、前記ピッチ振れ検出ジャイロ11及びヨー振れ検出ジャイロ12にて本体ボディ10の振れ振動が検出された場合に、鏡胴2は各アクチュエータからその移動軸方向の駆動力の作用を受けて、その振れを打ち消すように所定の振れ補正制御軸回りに(例えばピッチ方向及びヨー方向に)揺動駆動(回転駆動)される構成とされている。このアクチュエータの配置等については後記で詳述する。
図9は、本実施形態におけるデジタルカメラ1の構成を、本発明にかかわる電気的構成の要部についてのみ概略的に示したブロック図である。このデジタルカメラ1の本体ボディ10内には、レリーズボタン101、該カメラ1に与えられる手振れ等を検出する振れ検出手段としてのピッチ振れ検出ジャイロ11及びヨー振れ検出ジャイロ12、各種の回路基板ブロックからなる回路装置部13、撮像光学系を構成する鏡胴2、該鏡胴2を振れ補正駆動するステッピングモータからなる第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3B、鏡胴2の回転姿勢を検出する第1位置検出センサ51A及び第2位置検出センサ51Bが備えられている。また、前記回路装置部13は、制御目標位置演算部14、シーケンスコントロール回路15、制御回路4、原点復帰制御部5、駆動回路6及び積分回路61を備えて構成されている。なお、ここでは後述の図13に示す鏡胴ユニットの実施形態に合わせて、2個のアクチュエータが使用される場合について例示している。
レリーズボタン101は、ユーザが撮影動作を行う際に押下する操作スイッチであり、このレリーズボタン101が半押し状態とされると撮影準備状態となる。かかる撮影準備状態では、被写体に自動的にピントを合わせるオートフォーカス(AF)、露出を自動的に決定するオートエクスポージャー(AE)及び手振れによる画像乱れを防止するための振れ補正機能が動作する。この振れ補正機能は、フレーミングを容易にするためにレリーズボタン101の押下中は連続して動作し続ける。また、レリーズボタン101がユーザによって全押し状態にされると、撮影が行われる。すなわち、AEで決定された露出状態に従って、固体撮像素子が適正露出になるように露光制御が行われる。
ピッチ振れ検出ジャイロ11は、デジタルカメラ1のピッチ方向(図7参照)の振れを検出するジャイロセンサであり、ヨー振れ検出ジャイロ12は、デジタルカメラ1のヨー方向の振れを検出するジャイロセンサである。ここで用いられるジャイロセンサは、測定対象物(本実施形態ではカメラ本体ボディ10)が振れによって回転した場合における振れの角速度を検出するものである。このようなジャイロセンサとしては、例えば圧電素子に電圧を印加して振動状態とし、該圧電素子に回転運動による角速度が加わったときに生じるコリオリ力に起因する歪みを、電気信号として取り出すことで角速度を検出するタイプのものを用いることができる。
制御目標位置演算部14は、所定のサンプリング周期で設定される制御目標情報を生成する。すなわち、ピッチ振れ検出ジャイロ11が検出したピッチ振れ角速度信号及びヨー振れ検出ジャイロ12が検出したヨー振れ角速度信号を取得し、サーボ制御における制御目標値(この場合、駆動対象物である鏡胴2の位置情報)を設定する。この制御目標位置演算部14は、振れ検出回路141、振れ量検出回路142及び係数変換回路143を備えている。
振れ検出回路141は、ピッチ振れ検出ジャイロ11及びヨー振れ検出ジャイロ12によりそれぞれ検出された角速度信号から、ノイズ及びドリフトを低減するためのフィルタ回路(ローパスフィルタ及びハイパスフィルタ)及び角速度信号をそれぞれ増幅するための増幅回路などの処理回路を備えて構成される。これら処理回路による処理後の角速度信号は、振れ量検出回路142に入力される。
振れ量検出回路142は、検出された上記角速度信号を所定の時間間隔で取り込み、積分処理を施すことで、デジタルカメラ1のX軸方向の振れ量である角度信号θx、Y軸方向の振れ量である角度信号θyとして係数変換回路143に出力する。
係数変換回路143は、振れ量検出回路142から出力される各方向の振れ量(角度信号θx、θy)を、各方向の移動量(px,py)、つまり第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bにより、振れ補正制御軸周りに鏡胴2を移動させるべき移動量(位置決め目標値)に変換する。この位置決め目標値は、ピッチ方向及びヨー方向の振れ検出軸に対応する各振れ補正制御軸(第1制御軸、第2制御軸)回りの回転角度(θx、θyが相当)に、前記第1制御軸又は第2制御軸から第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bの鏡胴2に対する作用点までの距離を乗じて求められる。係数変換回路143から出力された各方向の移動量(px、py)を示す信号は、制御回路4に入力される。
制御回路4(駆動パルス発生制御部)は、ステッピングモータからなる第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bを駆動させるための駆動パルスの発生制御を行う。制御回路4は、後述する積分回路61からの位置情報、第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bの動作特性等を考慮して、各方向の移動量(px、py)を示す信号を実際の駆動パルス信号に変換する。すなわち制御回路4は、ピッチ振れ検出ジャイロ11及びヨー振れ検出ジャイロ12からの検知信号に基づいて上記制御目標位置演算部14にて生成される制御目標値に追従する振れ補正制御(サーボ制御)を行うべく、鏡胴2を前記制御目標値に追従揺動させるために必要な駆動パルスの発生条件を演算する演算手段として機能する。
原点復帰制御部5は、電源投入時やセンタリング時等の所定の原点復帰制御時に、第1位置検出センサ51A及び第2位置検出センサ51Bによる鏡胴2の位置検出結果に基づき、第1、第2アクチュエータ3A、3Bを動作させて被駆動物である鏡胴2の姿勢を原点位置に復帰させる制御(センタリング制御)を行う。この原点復帰制御部5の機能については、後記で詳述する。
駆動回路6(ドライバ)はパルス発生回路等を備え、第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bを実際に駆動する駆動パルスを生成する。この駆動パルスは、前記制御回路4から与えられる駆動パルス発生制御信号に基づいて生成される。
積分回路61は、第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bをオープンループ制御するために設けられるもので、前記駆動回路6により発生される駆動パルス数を積分し、ステッピングモータの現在位置情報、つまり鏡胴2の揺動位置情報を生成して制御回路4へ向けて出力するものである。
以上の振れ量検出回路142、係数変換回路143及び制御回路4の動作は、シーケンスコントロール回路15によって制御される。すなわち、シーケンスコントロール回路15は、レリーズボタン101が押下されると、振れ量検出回路142を制御することによって、前述した各方向の振れ量(角度信号θx、θy)に関するデータ信号を取り込ませる。次に、シーケンスコントロール回路15は、係数変換回路143を制御することによって、各方向の振れ量を各方向の移動量(px、py)に変換させる。そして、制御回路4を制御することにより、各方向の移動量に基づいて鏡胴2の補正移動量を所定のサンプリング周期毎に演算させる。このような動作が、鏡胴2の防振制御(手振れを補正)のために、レリーズボタン101が全押しされ露光が終了するまでの期間中、一定の時間間隔で繰り返し行われるものである。
上記第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bを構成するステッピングモータとしては、ステータコアとロータコアを備える通常の小型ステッピングモータを好適に適用可能であり、鏡胴2を直接的に防振駆動できるよう、前記ロータコアにスクリュー回転軸を直結し、該スクリュー回転軸上に移動片(ナット等)を取り付けた構成とすることが望ましい(後述の図13等で例示している)。なお、このような回転型のステッピングモータではなく、ロータがステータに対して直線的に移動するリニア型ステッピングモータを用いるようにしても良い。なお、このようなステッピングモータに代えて、直線的な駆動力を発生することができる各種のアクチュエータを用いることができる。
図10は、上記制御回路4の機能を説明するための機能ブロック図である。この制御回路4は、所定のサンプリング周期毎に、第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bを駆動させる駆動パルスの発生条件の設定を行うことを主な機能としている。前記制御回路4は、サンプリング周期設定部41、比較部42、駆動方向判別部43及び出力パルス数算出部44を備えている。また、鏡胴2の原点復帰動作のため、原点復帰駆動制御部45を備えている。この原点復帰駆動制御部45については、後出の図12に基づき説明するものとする。
サンプリング周期設定部41は、サーボ制御の制御目標値を前記制御目標位置演算部14から取得するサンプリング周期の設定を受け付ける。このサンプリング周期は任意に設定して良く、例えば0.1ms〜2ms程度の範囲から適宜選択することができる。一般に、サンプリング周期を短く設定すると、短い周期で制御目標値を取得することから追従性は良くなるが、制御演算能力やステッピングモータの性能を考慮して適正なサンプリング周期を設定すればよい。
比較部42は、前述の積分回路61から出力される積分値信号であるステッピングモータ(第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3B)のロータの現在位置情報、つまり鏡胴2の揺動位置情報と、取得された前記目標位置情報とを比較し、両者の位置偏差eを求める。この位置偏差eが可及的にゼロに近づくよう、第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bにより鏡胴2が各振れ補正制御軸周りに揺動駆動される。
駆動方向判別部43は、比較部42にて求められた位置偏差eがプラス方向の偏差であるか、マイナス方向の偏差であるかに基づいて、ステッピングモータの回転方向を判別する。また駆動方向判別部43は、前記回転方向の判別結果に基づいて、ステータコイルへの通電順序を変更しロータを正転又は逆転させるための制御信号を発生する。
出力パルス数算出部44は、比較部42にて求められた位置偏差eに応じて、サンプリング周期毎に、それまでの駆動パルスの発生条件をリセットすると共に、次のサンプリング周期までのサンプリング間隔内において発生させる駆動パルス発生条件(駆動パルスの数)を定める演算を行う。すなわち出力パルス数算出部44は、それぞれの振れ補正制御軸回りの移動量(px、py)に基づき、各振れ補正制御軸回りの駆動をステッピングモータに実行させるための駆動パルス数を求める。
上記駆動方向判別部43により生成されるロータの正転又は逆転に関する制御信号、及び出力パルス数算出部44により生成される駆動パルス数に関する制御信号は、駆動回路6へ出力される。駆動回路6はこのような制御信号を受けて、パルス発生回路により所定の駆動パルスを生成し、これを第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bに与えて駆動させるものである。
図11は、制御回路4により発生される駆動パルスの具体例を示すタイムチャートである。図示するように、所定のサンプリング間隔S1、S2、S3・・・毎に振れ補正駆動のために必要な駆動パルスが出力される。なお、サンプリング間隔内に発生させる駆動パルスの数は、要求される最高速度と位置決め分解能により決定される。但し、駆動パルス周波数は、極端に高くすると脱調が生じるので、脱調しない所定の駆動パルス周波数が選定される。
駆動パルスの発生条件は、サンプリング周期毎にリセットされ、サンプリング間隔毎に新たな駆動パルスの発生条件が求められる。すなわち、第1のサンプリング間隔S1において所定の駆動パルスP1が出力されている場合、第1サンプリング周期t1が到来すると、前記駆動パルスP1の発生条件がリセットされ、次の第2のサンプリング間隔S2において発生させる駆動パルスP2の発生条件が、制御回路4により求められる。以下同様にして、第2サンプリング周期t2で駆動パルスP2の発生条件がリセットされ、第3のサンプリング間隔S3において発生させる駆動パルスP3の発生条件が求められるものである。このような駆動パルスにより、第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3が駆動されるものである。
図12は、上記原点復帰制御部5及び制御回路4の原点復帰駆動制御部45の機能を説明するための機能ブロック図である。前記原点復帰制御部5は、センサ制御部52、H/L判定部53及び閾値設定部54を備えている。該原点復帰制御部5は、先に図2に示した姿勢制御部94の機能構成と略同一であるため、簡略に説明する。ここでも、第1、第2位置検出センサ51A、51Bとして、発光素子、受光素子及び両者間の光路を遮光する遮光羽(位置検出ポイント)を備えるPIセンサ(スイッチ手段;図3に示す動作を行うもの)が用いられている場合について説明する。
センサ制御部52は、第1、第2位置検出センサ51A、51Bによるセンシング動作を実行させ、該センシング動作で取得された位置情報に関する信号を受領する。この場合、PIセンサに備えられている発光素子を所定のタイミングで間欠的に若しくは連続的に点灯させ、そのときに受光素子で受光され光電変換された電気信号を位置情報に関する信号として受領する。
H/L判定部53は、図3(a)に示す光電変換特性951に対し、予め設定された所定の閾値thを用いて、図3(b)に示すように、第1、第2位置検出センサ51A、51Bからの出力値が、前記閾値thよりも低い低出力状態「L」であるか、閾値thよりも高い高出力状態「H」であるかを判定し、高出力状態「H」である場合は第1信号Hを生成し、低出力状態「L」である場合は第2信号Lを生成して出力する。閾値設定部54は、前記光電変換特性951の傾斜部における、閾値thに相当する出力値952の値に関する設定を受け付ける機能部である。H/L判定部53は、この閾値設定部54に設定されている閾値を読み出して、前述の「H」又は「L」の判定を行う。
制御回路4の原点復帰駆動制御部45は、原点復帰制御部5のH/L判定部53から出力される信号(第1信号H及び第2信号L)を参照しつつ、第1、第2アクチュエータ3A、3Bを動作させて鏡胴2の姿勢を原点位置に復帰させるために必要な駆動パルスの発生制御を行う。また、原点復帰駆動制御部45は、原点復帰動作が実行されると、それまで積分回路61においてカウントされていた駆動パルス数のカウント値をリセットさせるリセット信号を発生し、原点復帰後から新たに駆動パルス数のカウントを積分回路61に実行させる。
この原点復帰駆動制御部45は、具体的には、次の(i)〜(iii)に示す第1動作〜第3動作を順次実行させる。
(i)第1動作
第1、第2位置検出センサ51A、51Bの出力として、いずれも第1信号H若しくは第2信号Lが出力されるように第1、第2アクチュエータ3A、3Bの少なくとも一方を動作させる。
(ii)第2動作
第1、第2位置検出センサ51A、51Bの出力として、そのいずれか一方から第2信号L若しくは第1信号Hが出力されるように第1、第2アクチュエータ3A、3Bの少なくとも一方を動作させる。
(iii)第3動作
前記第2動作で前記第2信号L若しくは第1信号Hが出力されたPIセンサの配置位置(遮光羽の配置位置)或いはその近傍を回転中心として鏡胴2を回転させると共に、第1、第2位置検出センサ51A、51Bの出力として、いずれも第2信号L若しくは第1信号Hが出力されるように第1、第2アクチュエータ3A、3Bを動作させる。
以上のような、第1動作〜第3動作の具体例について、図19〜図24に基づいて後記で詳述する。
(鏡胴ユニットの実施形態の説明)
以上説明した通りの基本構成を備えるデジタルカメラ1に対して搭載可能な、鏡胴ユニットの実施形態について説明する。図13は、第1実施形態にかかる鏡胴ユニットU1の構成を簡略的に示す構成図、図14は、図13の側面図、図15は、図13の慣性主軸Aに沿った断面図、図16は、当該鏡胴ユニットU1の分解斜視図である。なお、図14、図15では、支持基板7を省略して描いている。
この鏡胴ユニットU1は、撮像素子とズーム光学系(撮影光学系)が内蔵された鏡胴2と、該鏡胴2を揺動可能に支持する支持基板7と、前記鏡胴2と支持基板7との間に介在されピボット受け部として機能する鋼球8と、鏡胴2に対して振れ補正のための駆動力を与える第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bと、鏡胴2の回転姿勢を検出する第1位置検出センサ51A(第1位置検出手段)及び第2位置検出センサ51B(第2位置検出手段)とを備えて構成されている。
第1アクチュエータ3Aは、ステッピングモータからなり、磁極等が内蔵されたモータ本体部31A、スクリュー回転軸32A及び円盤状のナット33Aを備えている。前記ナット33Aはスクリュー回転軸32Aにねじ係合されており、スクリュー回転軸32Aの回転に伴いナット33Aはスクリュー回転軸32Aの延伸方向に直線的に移動する。すなわち、第1アクチュエータ3Aは、ナット33Aと係合する被駆動部材に前後方向の直線的な駆動力を与えることが可能なリニアアクチュエータである。第2アクチュエータ3Bも同様に、モータ本体部31B、スクリュー回転軸32B及び円盤状のナット33Bを備え、ナット33Bと係合する被駆動部材に前後方向の直線的な駆動力を与えることが可能なリニアアクチュエータである。
鏡胴2は、正面視で概ね縦長の長方形を呈する筐体からなり、図8で説明したような内部構造を備え、開口部203から入射される入射光の光軸(撮影光軸Oz)を略90度折り曲げる屈曲型の鏡胴である。鏡胴2における2つの縦長側胴部のうち、片方の側胴部(第1側面204)の中央には、鋼球8の一部を収容する凹部2041が設けられている。また、もう一方の側胴部(第2側面205)の上下両端部には、前記第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bからの駆動力が与えられる第1作用部27A、第2作用部27Bが設けられている。
ここで鏡胴2の重心G(任意点)は、図13に示すように、該鏡胴2の高さ方向(図13の上下方向)で見るとその中間点であるが、幅方向(図13の左右方向)で見ると少し第1側面204に寄った位置にあるものとする。すなわち、鏡胴2の第1側面204は重心Gに比較的近い側面であり、第2側面205は重心Gからは比較的遠い側面である。また、重心Gを通る3つの慣性主軸のうち、当該鏡胴2に入射する被写体光の撮影光軸Ozと直交する慣性主軸であって、その軸周りの慣性が比較的大きい慣性主軸を慣性主軸A(第1軸)とし、同様に撮影光軸Ozと直交する慣性主軸であると共に、その軸周りの慣性が前記慣性主軸Aに比べて比較的小さい慣性主軸を慣性主軸B(第2軸)とし、さらに撮影光軸Ozと平行な方向の慣性主軸を慣性主軸C(第3軸)と定義する(図16参照)。
かかる定義に基づいて鏡胴2の構成を説明すると、前記第1側面204及び第2側面205は前記慣性主軸Bと平行な面である。ピボット受け部である鋼球8を受ける凹部2041は、前記慣性主軸A上であって前記第1側面204に配置されている。また、前記第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bから与えられる駆動力の作用部である第1作用部27A及び第2作用部27Bは、前記第2側面205の上端及び下端であって、前記慣性主軸Aを挟んだ対称位置に配置されている。このように、当該鏡胴2は、その重心Gを取り囲むように配置された、3つの支持点を構成する第1作用部27A、第2作用部27B及び鋼球8により支持されている。そして、鏡胴2の第1作用部27A、第2作用部27Bには、リニアアクチュエータである前記第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bから、それぞれ前記慣性主軸C方向の直線的な駆動力が与えられる(後述するように、この結果として、鋼球8を回転支点として鏡胴2が回転揺動される)。
鏡胴2の第1作用部27Aは、図16に示すように、第2側面205から突出する一対のナット受け271Aが備えられている。このナット受け271Aには、第1アクチュエータ3Aのスクリュー回転軸32Aを回動可能に支持する軸受け孔272Aが穿孔されている。また、一対のナット受け271A間には、前記ナット33Aを密に受け入れ可能なスリット273Aが設けられている。すなわち、ナット33Aは一対のナット受け271A間に介装され互いに干渉するように組み付けられ、前記ナット受け271Aは第1アクチュエータ3Aの動作に伴うナット33Aの進退力の作用を受けるようになっている。第2作用部27Bも同様であり、一対のナット受け271B、軸受け孔272B及びスリット273Bを備え、前記ナット受け271Bが第2アクチュエータ3Bの動作に伴うナット33Bの進退力の作用を受けるものとされている。
鏡胴2の第2側面205には、ガイドピン28が突設されている。このガイドピン28は、前記慣性主軸Aに沿って突設されており、後述する支持基板7のガイド支持部74と係合されるものである。
このような構成に加え、本実施形態にかかる鏡胴ユニットU1には、鏡胴2の原点位置(ホームポジション)への復帰動作のために、鏡胴2の回転姿勢を検出する位置検出機構が備えられている。具体的には、第1、第2アクチュエータ3A、3Bの第1、第2作用部27A、27Bを結ぶ直線L10上(又は直線L10の近傍)であって、前記第1アクチュエータ3Aの作用部27Aの慣性主軸A側近傍に第1位置検出センサ51Aが配置され、また前記直線L10上(又は直線L10の近傍)であって、前記第2アクチュエータ3Bの作用部27Bの慣性主軸A側近傍に第2位置検出センサ51Bが配置されている。
第1位置検出センサ51Aは、発光素子と受光素子とが所定の検知空間を置いて対向配置されたPI(フォトインタラプタ)511Aと、前記検知空間を横切るように配置される遮光羽512A(位置検出ポイント)とからなるPIセンサである。前記遮光羽512Aは、鏡胴2の第2側面205の第1作用部27A近傍に突設される平板部材である。また、前記PI511Aは、後述する支持基板7の第1PI支持部75に取り付けられる。従って、鏡胴2の回転に従って、PI511Aに対して遮光羽512Aが相対移動する関係となる。そして、PI511Aの前記検知空間における、前記発光素子と受光素子とを結ぶ線上が第1検知部513Aとなり、この第1検知部513Aにおいて遮光羽512Aにて所定の部分遮光が行われたか否かにより、第1信号H若しくは第2信号Lが第1位置検出センサ51Aから出力される(図3参照)。
第2位置検出センサ51Bも同様なPI511B、遮光羽512Bを有するPIセンサからなる。前記遮光羽512Bは、鏡胴2の第2側面205の第2作用部27B近傍に突設され、また前記PI511Bは、後述する支持基板7の第2PI支持部76に取り付けられる。このPI511Bが備える検知空間における、発光素子と受光素子とを結ぶ線上が第2検知部513Bとなり、この第2検知部513Bにおいて遮光羽512Bにて所定の部分遮光が行われたか否かにより、第1信号H若しくは第2信号Lが第2位置検出センサ51Bから出力されるようになっている。
第1、第2位置検出センサ51A、51Bの出力が第1信号Hから第2信号Lへ切り替わるポイントが、位置検出センサの原点位置(PIセンタ)となる。かかるPIセンタと鏡胴2の本来の原点位置(メカセンタ)とは通常一致しないことから、実際上は第1、第2位置検出センサ51A、51Bを用いてPIセンタを求めた後、工場出荷時等に予め求められた調整値だけ鏡胴2を回動させることで原点復帰が為される。
次に支持基板7は、鏡胴2の背面側(開口部203の裏面側)に配置される金属平板からなり、鏡胴2を抱きかかえるような態様の6つの折り曲げ部を有して構成されている。すなわち支持基板7は、図16に示すように、平板状の基板本体部70と、該基板本体部70の幅方向の両端縁部からそれぞれ略90度の折り曲げ加工により形成された、鋼球支持部71、第1アクチュエータ支持部72、第2アクチュエータ支持部73、ガイド支持部74、第1PI支持部75、第2PI支持部76とから構成されている。
鋼球支持部71は、鏡胴2の第1側面204の側に立設され、鋼球8の一部を収納可能な絞り凹部711が備えられている。この絞り凹部711と、鏡胴2の第1側面204に備えられている凹部2041との間に、鋼球8が挟み込まれる態様で、鏡胴2と支持基板7とが組み付けられる。
一方、第1アクチュエータ支持部72及び第2アクチュエータ支持部73は、鏡胴2の第2側面205の側であって、前記鏡胴2の第1作用部27A及び第2作用部27Bの位置に対応するよう、上端側及び下端側にそれぞれ立設されている。ねじ孔等の詳細な部分は記載を省略しているが、適宜な固定機構により、第1アクチュエータ支持部72及び第2アクチュエータ支持部73には、それぞれ前記第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bが固定される。
また、ガイド支持部74は、同じく鏡胴2の第2側面205の側であって、前記鋼球支持部71と対向する中央部に立設されている。このガイド支持部74は、第1突設片741及び第2突設片742と、これらの間に形成されたスリット部743とからなる。前記スリット部743は、慣性主軸C方向に延びる直線スリットであり、鏡胴2のガイドピン28の外径と略同一のスリット幅を有している。つまり、スリット部743にガイドピン28が嵌入されるのであるが、該スリット部743内においてガイドピン28は、実質的に抵抗なく慣性主軸C方向にスライド可能であると共にガイドピン28の中心軸周り(この場合は慣性主軸A周りでもある)に回動可能である一方で、慣性主軸B方向に実質的なガタつきが生じないようなサイズに、ガイドピン28の外径とスリット部743のスリット幅とが選ばれている。
第1PI支持部75及び第2PI支持部76は、それぞれ第1位置検出センサ51A、第2位置検出センサ51Bを支持するためのもので、前記第1アクチュエータ支持部72及び第2アクチュエータ支持部73の内側に設けられている。なお、支持基板7の形態は任意であり、当該鏡胴ユニットU1を組み込むデジタルカメラ1の内部構造に合わせて適宜な形態で鋼球支持部71、第1アクチュエータ支持部72、第2アクチュエータ支持部73及びガイド支持部74を設ければ良い。また、第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bを鏡胴2側に搭載するようにしても良い。
以上の通り構成された鏡胴ユニットU1の振れ補正動作について説明する。図17及び図18は、鏡胴2の振れ補正駆動の状態を説明するための模式的な斜視図である。当該鏡胴ユニットU1は、鋼球8でピボット支持されていることから、鋼球8による支持点が鏡胴2の回転中心となる。そして、前記支持点を通る3つの軸であるA軸、B軸、C軸周りの3方向に回転可能となる。ここで、図7で定義した方向を当てはめると、それぞれA軸がピッチ方向の回転軸A、B軸がヨー方向の回転軸Bとなり、C軸は光軸方向の回転軸となる。なお、前記C軸周りの回転は、ガイドピン28とガイド支持部74とからなる運動拘束機構により規制されている。ここで、前記A軸は、図16に示した重心Gを通る前記慣性主軸Aと略一致する。一方、前記B軸とC軸は、回転中心が鏡胴2の外側に設定されていることから、慣性主軸B,Cとは一致していない。
先ず、鏡胴2をピッチ方向に振れ補正駆動する場合について、図17に基づいて説明する。ピッチ方向駆動の場合、前記A軸周りに鏡胴2を揺動させるために、図中矢印で示すように、第1アクチュエータ3Aの駆動方向と第2アクチュエータ3Bの駆動方向とは逆方向とされる。すなわち、第1アクチュエータ3Aのナット33Aは前進駆動(+駆動)される一方で、第2アクチュエータ3Bのナット33Bは後進駆動(−駆動)される。或いは、ナット33Aが後進駆動(−駆動)、ナット33Bが前進駆動(+駆動)される。このような駆動力が第1作用部27A、第2作用部27Bに与えられることで、鏡胴2は鋼球8による支点を回転中心としてA軸周りに回動される。このピッチ方向駆動のとき、ガイドピン28は、図14に矢印Axで示すように、ガイド支持部74のスリット部743内において回動することになる。
次に、ヨー方向駆動の場合、図18に示すように、第1アクチュエータ3Aの駆動方向と第2アクチュエータ3Bの駆動方向とは同方向とされる。すなわち、第1アクチュエータ3Aのナット33Aは前進駆動(+駆動)されると共に、第2アクチュエータ3Bのナット33Bも前進駆動(+駆動)される。或いは、ナット33A、ナット33Bの双方共、後進駆動(−駆動)される。このような駆動力が第1作用部27A、第2作用部27Bに与えられることで、鏡胴2は鋼球8による支持点を回転中心としてB軸周りに回動される。このヨー方向駆動のとき、ガイドピン28は、図15に矢印Byで示すように、ガイド支持部74のスリット部743内においてスライド移動する(厳密には、鋼球8による支持点を中心とする円弧軌跡に沿って移動する)ことになる。
このような鏡胴ユニットU1によれば、第1アクチュエータ3A、第2アクチュエータ3Bから駆動力を受ける第1作用部27A、第2作用部27Bが、鏡胴2の重心Gから比較的遠い第2側面205であって、A軸から実質的に最も遠く、またB軸からも遠い位置に配置されていることから、慣性負荷が実質的に最小となり、小型で低トルク(低消費電力)のアクチュエータで鏡胴2の振れ補正駆動が行える。また、A軸を挟んだ対称位置に第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bを配置しているので、両者から同じ駆動力を発生させて(同じアクチュエータを用いて)振れ補正駆動が行える。従って、各アクチュエータから発生させねばならない駆動力を実質的に極小化できると共に、ピボット受け部を鏡胴の外部に配置しながらも力学的に対称性の高い駆動系が構築されることから、力学的不安定要素が排除され、鏡胴2を安定的に振れ補正駆動することができるという利点がある。
さらに、第1アクチュエータ3A、第2アクチュエータ3Bの第1作用部27A、第2作用部27Bと、回転中心である鋼球8による支持点との距離が実質的に最も長くなる配置であることから、鏡胴2を移動させる分解能が高くなり、高精度に鏡胴2を振れ補正駆動させることができる。
(鏡胴の原点復帰動作の説明)
以上の通り構成されたデジタルカメラ1の原点復帰動作について説明する。ここでは、第1、第2位置検出センサ51A、51Bの検出信号に基づく出力値が、先に図3に基づき説明したように、いずれも「H」(第1信号H)から「L」(第2信号L)へ切り替わるポイント(所定の部分遮光状態)が前述のPIセンタであるものとし、原点ずれが生じている状態において原点復帰させる場合の動作について説明する。
図19及び図20は、本実施形態にかかる原点復帰動作を説明するためのフローチャートであり、図21〜図24は、鏡胴2が原点ずれ状態から原点復帰されるプロセスを模式的に示す図である。これらの図において、第1、第2位置検出センサ51A、51Bは、それぞれ第1PI、第2PIとして記載している。また、「出力が“H”」、「H出力」とは、第1、第2位置検出センサ51A、51Bの出力として第1信号Hが出力される状態を、「出力が“L”」、「L出力」とは、第1、第2位置検出センサ51A、51Bの出力として第2信号Lが出力される状態をそれぞれ意味する。
鏡胴2の原点復帰処理は、デジタルカメラ1の電源投入時、あるいはデジタルカメラ1の動作中において所定のタイミング(振れ補正を一定時間実行した後など)で実行される。原点復帰処理が開始されると、原点復帰制御部5のセンサ制御部52(図12参照)により、第1、第2位置検出センサ51A、51Bが動作されて鏡胴2の位置検出が可能な状態とされる。ここでは、第1位置検出センサ51Aの出力が“H”であるか否かが、H/L判定部53により判定される(ステップS21)。
第1位置検出センサ51Aの出力が“H”であった場合(ステップS21でYES)、原点復帰駆動制御部45は、第1位置検出センサ51Aの出力が“H”となる方向へ鏡胴2を僅かに移動させる駆動力を、第1アクチュエータ3Aのナット33Aから第1作用部27Aへ与えるために、所定の少数駆動パルス(数十パルス程度)を発生させる制御信号を生成する。これにより、鏡胴2は第1アクチュエータ3Aにより、第1位置検出センサ51Aの出力が“H”となる方向へ微小距離だけ移動される(ステップS22)。この動作は、第1位置検出センサ51A(PI511A)による第1検知点513Aにおいて、遮光羽512AがH出力とL出力との境界付近に位置している場合を想定し、確実に第1検知点513AからH出力が得られる位置に鏡胴2を退避させるためである。
一方、第1位置検出センサ51Aの出力が“H”でない場合(ステップS21でNO)、原点復帰駆動制御部45は、第1位置検出センサ51Aの出力が“H”となる方向へ鏡胴2(ナット33A)を所定距離だけ移動させるために、所定数の駆動パルス(千数百パルス程度)を発生させる制御信号を生成する。これにより、鏡胴2を第1アクチュエータ3Aにより、第1位置検出センサ51Aの出力が“H”となる方向へ向けて、所定距離だけ移動させる動作が開始される(ステップS23)。
そして、前記ステップS23で与えられた所定数の駆動パルス分の移動が完了したか否か(所定距離の移動が完了したか否か)を確認しつつ(ステップS24)、第1位置検出センサ51Aの出力が“H”であるか否かを確認する(ステップS25)ループが実行される。すなわち、所定距離の移動が未了で(ステップS24でNO)、且つ第1位置検出センサ51Aの出力が“H”でない場合(ステップS25でNO)、第1アクチュエータ3Aにより、鏡胴2が第1位置検出センサ51Aの出力が“H”となる方向へ移動されつつ、第1位置検出センサ51Aによる位置検出が行われるループが実行される。
前記ループの実行後、第1位置検出センサ51Aの出力が“H”となった場合(ステップS25でYES)、第1アクチュエータ3Aは停止される(ステップS26)。これに続き、先のステップS22と同様に、確実に第1検知点513AからH出力が得られる位置に鏡胴2を退避させるため、第1アクチュエータ3Aにより鏡胴2が、第1位置検出センサ51Aの出力が“H”となる方向へ微小距離だけ移動される(ステップS27)。
一方、ステップS23で与えられた所定数の駆動パルス分の移動が完了したにも拘わらず、未だ第1位置検出センサ51Aの出力として“H”が得られていない場合(ステップS24でYES)、結局ステップS23で与えられた第1アクチュエータ3Aの駆動条件が適当でなかったか、或いは外力の作用等で鏡胴2を所期の目標通りに移動できなかったことになるので、この場合はエラー信号が出力される(ステップS28)。
以上が、第1位置検出センサ51Aによる第1検知点513Aに関しての、上掲(i)の第1動作となる。図21は、このような第1動作(上記ステップS23〜ステップS27の動作)の一例を、第1アクチュエータ3Aのナット33Aの動きに関連付けて表した模式図である。ここでは、原点復帰処理が開始された時点での鏡胴2の姿勢が、図中の直線L11で示すように、第2位置検出センサ51Bの出力がH出力であるが、第1位置検出センサ51Aの出力がL出力である状態を例示している。なお、前記直線L11は、鏡胴2の第1作用部27Aと第2作用部27Bとを結ぶ直線L10(図13参照)と平行な直線(遮光羽512A、512Bの配置位置を結ぶ直線)であって、支持基板7に対する姿勢(傾き)を表す直線である。また、図21において、鏡胴2の原点位置は、第1検知点513Aと第2検知点513Bとを結ぶ直線上となる。
このような状態において、第1アクチュエータ3Aのナット33Aが、第1位置検出センサ51Aの出力が“H”となる方向(図中矢印e1の方向)へ直線移動される(ステップS23)。そして、第1位置検出センサ51Aの出力が“H”となる状態、すなわち、第1検知点513Aを通過するポイントまでナット33Aが移動されたら、第1アクチュエータ3Aの駆動が停止される(ステップS26)。このとき、鏡胴2の姿勢を示す直線L12は、第1、第2位置検出センサ51A、51Bの出力がいずれも“H”となる位置とされている。この状態が、前記第1動作が完了した状態である。
図19に戻って、続いて第2位置検出センサ51Bの出力が“H”であるか否かが、H/L判定部53により判定され(ステップS31)、先にステップS21〜ステップS28で説明した動作と同様な動作が、第2検出部513Bについて行われる。すなわち、第2位置検出センサ51Bの出力が“H”であった場合(ステップS31でYES)、鏡胴2は第2アクチュエータ3Bにより、第2位置検出センサ51Bの出力が“H”となる方向へ微小距離だけ移動され(ステップS32)、第2位置検出センサ51B(PI511B)による第2検知点513Bにおいて、確実にH出力が得られる位置に鏡胴2が退避される。
一方、第2位置検出センサ51Bの出力が“H”でない場合(ステップS31でNO)、原点復帰駆動制御部45は、第2位置検出センサ51Bの出力が“H”となる方向へ鏡胴2を所定距離だけ移動させるために、所定数の駆動パルスを発生させる制御信号を生成する。これにより、鏡胴2を第2アクチュエータ3Bにより、第2位置検出センサ51Bの出力が“H”となる方向へ向けて、所定距離だけ移動させる動作が開始される(ステップS33)。
そして、前記ステップS33で与えられた所定数の駆動パルス分の移動が完了したか否か(所定距離の移動が完了したか否か)を確認しつつ(ステップS34)、第2位置検出センサ51Bの出力が“H”であるか否かを確認する(ステップS35)ループが実行される。すなわち、所定距離の移動が未了で(ステップS34でNO)、且つ第2位置検出センサ51Bの出力が“H”でない場合(ステップS35でNO)、第2アクチュエータ3Bにより、鏡胴2が第2位置検出センサ51Bの出力が“H”となる方向へ移動されつつ、第2位置検出センサ51Bによる位置検出が行われるループが実行される。
前記ループの実行後、第2位置検出センサ51Bの出力が“H”となった場合(ステップS35でYES)、第2アクチュエータ3Bは停止される(ステップS36)。これに続き、先のステップS32と同様に、確実に第2検知点513BからH出力が得られる位置に鏡胴2を退避させるため、第2アクチュエータ3Bにより鏡胴2が、第2位置検出センサ51Bの出力が“H”となる方向へ微小距離だけ移動される(ステップS37)。
一方、ステップS33で与えられた所定数の駆動パルス分の移動が完了したにも拘わらず、未だ第2位置検出センサ51Bの出力として“H”が得られていない場合(ステップS34でYES)、先のステップS28と同様に、エラー信号が出力される(ステップS38)。
以上が、第2位置検出センサ51Bによる第2検知点513Bに関しての、上掲(i)の第1動作となる。図22は、このような第1動作(上記ステップS33〜ステップS37の動作)の一例を、第2アクチュエータ3Bのナット33Bの動きに関連付けて表した模式図である。ここでは、原点復帰処理が開始された時点での鏡胴2の姿勢が、図中の直線L13で示すように、第1位置検出センサ51Aの出力がH出力であるが、第2位置検出センサ51Bの出力がL出力である状態を例示している。
このような状態において、第2アクチュエータ3Bのナット33Bが、第2位置検出センサ51Bの出力が“H”となる方向(図中矢印e2の方向)へ直線移動される(ステップS33)。そして、第2位置検出センサ51Bの出力が“H”となる状態、すなわち、第2検知点513Bを通過するポイントまでナット33Bが移動されたら、第2アクチュエータ3Bの駆動が停止される(ステップS36)。このとき、鏡胴2の姿勢を示す直線L14は、第1、第2位置検出センサ51A、51Bの出力がいずれも“H”となる位置とされている。この状態が、前記第1動作が完了した状態となる。
なお、図示は省略するが、原点復帰処理が開始された時点での鏡胴2の姿勢が、第1位置検出センサ51A及び第2位置検出センサ51Bの出力がいずれもL出力である場合は、第1アクチュエータ3Aのナット33A及び第2アクチュエータ3Bのナット33Bの双方が、図21、図22で示した矢印e1、e2へ移動される。
次に、図20のフローチャートに基づいて、上掲(ii)の第2動作及び上掲(iii)の第3動作について説明する。図21又は図22に示すように、第1、第2位置検出センサ51A、51Bの出力がいずれも“H”と確定されている状態において、第2動作として原点復帰駆動制御部45は、第2アクチュエータ3Bのナット33Bを、第2位置検出センサ51Bの出力が“L”となる方向へ所定距離だけ移動させるために、所定数の駆動パルス(千数百パルス程度)を発生させる制御信号を生成する。これにより、ナット33Bの移動が開始され、鏡胴2は第2位置検出センサ51Bの出力が“L”となる方向へ向けて移動される(ステップS41)。
そして、前記ステップS41で与えられた所定数の駆動パルス分の移動が完了したか否か(所定距離の移動が完了したか否か)を確認しつつ(ステップS42)、第2位置検出センサ51Bの出力が“L”であるか否かを確認する(ステップS43)ループが実行される。すなわち、所定距離の移動が未了で(ステップS42でNO)、且つ第2位置検出センサ51Bの出力が“L”でない場合(ステップS43でNO)、第2アクチュエータ3Bにより、鏡胴2が第2位置検出センサ51Bの出力が“L”となる方向へ移動されつつ、第2位置検出センサ51Bによる位置検出が行われるループが実行される。
このループの実行後、第2位置検出センサ51Bの出力が“L”となった場合(ステップS43でYES)、第2アクチュエータ3Bは停止される(ステップS44)。一方、ステップS41で与えられた所定数の駆動パルス分の移動が完了したにも拘わらず、未だ第2位置検出センサ51Bの出力として“L”が得られていない場合(ステップS42でYES)、先のステップS28と同様に、エラー信号が出力される(ステップS45)。
以上が、第2位置検出センサ51Bによる第2検知点513Bに関しての、上掲(ii)の第2動作となる。図23は、このような第2動作(上記ステップS41〜ステップS44の動作)の一例を、第2アクチュエータ3Bのナット33Bの動きに関連付けて表した模式図である。ここでは、上記第1動作が完了した時点での鏡胴2の姿勢を、図中の直線L15で示している。
このような状態において、第2アクチュエータ3Bのナット33Bが、第2位置検出センサ51Bの出力が“L”となる方向(図中矢印e3の方向)へ直線移動される(ステップS41)。そして、第2位置検出センサ51Bの出力が“L”となる状態、すなわち、第2検知点513Bまで戻るポイントまでナット33Bが移動されたら、第2アクチュエータ3Bの駆動が停止される(ステップS44)。このとき、鏡胴2の姿勢を示す直線L16は、第1位置検出センサ51Aの出力がH出力であるが、第2位置検出センサ51Bの出力がL出力である状態(H出力からL出力へ切り替わった直後の状態)となる。すなわち、第2検知点513Bにおいて、原点合わせが行われた状態となる。
なお、ここでは第2アクチュエータ3Bのナット33Bを第2動作として移動させ、第2検知点513Bにおいて先ず原点合わせを行う例を示したが、第1アクチュエータ3Aのナット33Aを第2動作として移動させ、第1検知点513Aにおいて先ず原点合わせを行うようにしても勿論良い。
続いて、第3動作に移行する。ここでは、原点復帰駆動制御部45により、原点合わせされた第2検知点513Bを回転中心として、鏡胴2を回転させる駆動を行いつつ、第1、第2位置検出センサ51A、51Bの出力がいずれも“L”となるようなポイントを求めるループが実行される。すなわち、第1位置検出センサ51Aの出力が“L”であるか否かを確認し(ステップS51)、“L”でない場合(ステップS51でNO)は、続いて第2位置検出センサ51Bの出力が“L” であるか否かを確認する(ステップS52)。なお、ここで改めて第2位置検出センサ51Bの出力を確認するのは、当該第3動作を実行する途中で、第2検知点513Bにおいて原点合わせが行われた状態からずれが生じることがあり得るからである。
第2位置検出センサ51Bの出力が“L” に維持されている場合(ステップS52でYES)、第2アクチュエータ3Bのナット33Bが、第2位置検出センサ51Bの出力が“H”となる方向へ第1の距離だけ移動される(ステップS53)。続いて、第1アクチュエータ3Aのナット33Aが、第1位置検出センサ51Aの出力が“L”となる方向へ第2の距離だけ移動される(ステップS54)。
かかる動作を、図24に基づき説明する。図24は、第3動作(上記ステップS53、S54の動作)の一例を、第1アクチュエータ3Aのナット33A及び第2アクチュエータ3Bのナット33Bの動きに関連付けて表した模式図である。ここでは、上記第2動作が完了した時点での鏡胴2の姿勢を、図中の直線L17で示している。このような状態において、第2アクチュエータ3Bのナット33Bが、第2位置検出センサ51Bの出力が“H”となる方向(図中矢印e4の方向)へ所定の第1の距離だけ僅かに直線移動される(ステップS53)。続いて、第1アクチュエータ3Aのナット33Aが、第1位置検出センサ51Aの出力が“L”となる方向(図中矢印e5の方向)へ所定の第2の距離だけ僅かに移動される(ステップS54)。これにより、先に原点合わせが為された第2検知点513Bを回転中心として、鏡胴2が回転されることとなる。
上記第1の距離及び第2の距離は、回転中心としての第2検知点513Bから、各ナット33A、33B(第1、第2作用点27A、27B)までの距離d1、d2(図24参照)に応じて定められる。すなわち、第2検知点513Bを回転中心として鏡胴2を回転させるため、d1:d2の比率に応じて各ナット33A、33Bが移動される。例えば、d1:d2=2:1の比率ならば、第2アクチュエータ3Bに対しては駆動パルスが2パルス与えられ、第1アクチュエータ3Aに対しては駆動パルスが4パルス与えられる。原点復帰駆動制御部45は、このようにd1:d2の長さ比に応じた駆動パルス発生信号を生成する。
なお、上記ステップS52において、第2位置検出センサ51Bの出力が“L” に維持されていなかった場合は(ステップS52でNO)、ステップS53を実行せず、ステップS54のみが実行される(ナット33Aのみを第2の距離だけ移動させる)。しかる後、ステップS51に戻り、同様なループが繰り返される。このようなループ毎に、鏡胴2は前記第2検知点513Bを回転中心として僅かずつ回転される。
そして、第1位置検出センサ51Aの出力が“L”となった場合(ステップS51でYES)、原点復帰駆動制御部45は、第1検知点513A及び第2検知点513Bの双方において原点合わせが完了したものとして、つまりPIセンタへの復帰が完了したものとして、第3動作を終了させる(ステップS61)。図24に示す直線L18は、このようにしてPIセンタが取れた状態を示している。その後、鏡胴2のメカセンタに合わせるため、第1、第2アクチュエータ3A、3Bが駆動され、予め調整値として記憶されている距離だけ、ナット33A、33Bが移動される(ステップS62)。これにて原点復帰動作は完了する。
なお、上記第1動作若しくは第2動作においてエラー信号が出力された場合(ステップS28、ステップS38、ステップS45)、所定のリトライ設定がなされる(ステップS71)。例えば、第1、第2アクチュエータ3A、3Bに与える駆動パルスのパルスレートを変更したり、加速駆動セッティングを変更したり、或いは電流値を変更したりして、第1、第2アクチュエータ3A、3Bのパワー(トルク)をアップする設定変更を行う。そして、改めて図19に示すステップS21に戻って、パワーアップした状態で同様な処理が繰り返されるものである。
(鏡胴ユニットの変形実施形態の説明)
図25は、第2実施形態にかかる鏡胴ユニットU2の構成を簡略的に示す構成図、図26は、図25の側面図をそれぞれ示している。なお図25においては、図13とは異なり支持基板7を省略して描いている。
この鏡胴ユニットU2は、図13に示した鏡胴ユニットU1と基本的に同じ構造を有しており、鏡胴2、該鏡胴2を揺動可能に支持する支持基板(図略)と、前記鏡胴2と支持基板との間に介在されピボット受け部として機能する鋼球8、鏡胴2に対して振れ補正のための駆動力を与える第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bと、鏡胴2の回転姿勢を検出する第1位置検出センサ510A及び第2位置検出センサ510Bとを備えて構成されている。
図13に示した鏡胴ユニットU1と相違している点は、第1位置検出センサ51A及び第2位置検出センサ51Bの配置箇所である。すなわち、この鏡胴ユニットU2では、第1、第2アクチュエータ3A、3Bの第1、第2作用部27A、27Bを結ぶ直線L10上(直線L10の近傍)であって、前記第1アクチュエータ3Aの作用部27Aの外側(慣性主軸A側とは反対側)近傍に第1位置検出センサ510Aが配置され、また前記直線L10上(直線L10の近傍)であって、前記第2アクチュエータ3Bの作用部27Bの外側(慣性主軸A側とは反対側)近傍に第2位置検出センサ510Bが配置されている。
第1位置検出センサ510Aは、鏡胴ユニットU1と同様にPI511A1、遮光羽512A1を有するPIセンサからなる。前記遮光羽512A1は、鏡胴2の第2側面205における第2作用部27Aの外側近傍(鏡胴2の下端部)に突設されている。またPI511A1は、図略の支持基板にて、前記遮光羽512A1の配置位置に合わせて支持され、PI511A1に備えられている発光素子と受光素子とを結ぶ線上に第1検知部513A1を有している。第2位置検出センサ510Bも、同様なPI511B1、遮光羽512B1を有するPIセンサからなる。前記遮光羽512B1は、鏡胴2の第2側面205における第2作用部27Bの外側近傍(鏡胴2の上端部)に突設され、PI511B1は第2検知部513B1を有している。
このような鏡胴ユニットU2にあっても、原点復帰駆動制御部45により、先に図21〜図24に基づき説明した動作と実質的に同様にして原点復帰動作を実行させることができる。すなわち、この鏡胴ユニットU2の場合、図27に示すように、第1、第2アクチュエータ3A、3Bのナット33A、33Bと、第1検知部513A1及び第2検知部513B1との位置関係が内外逆になるだけで、鏡胴2の姿勢を示す直線L19の第1検知部513A1及び第2検知部513B1への原点合わせ動作としては変わりなく、上記第1動作〜第3動作を実行させれば良い。
図28は、第3実施形態にかかる鏡胴ユニットU3の構成を簡略的に示す構成図である。この鏡胴ユニットU3は、図13に示した鏡胴ユニットU1と異なる点は、鋼球8を用いず、鏡胴2Aが3つのアクチュエータで支持されている点である。すなわち、この鏡胴ユニットU3は、第1、第2アクチュエータ3A、3Bに加え、鋼球8に代えて配置された第3アクチュエータ3Cの3つのアクチュエータにて、鏡胴2Aの重心Gを取り囲むように3点支持されている点で相違する。
第1〜第3アクチュエータ3A〜3Cは、鏡胴ユニットU1と同じくステッピングモータからなるリニアアクチュエータである。なお、本実施形態で追加された第3アクチュエータ3Cも、上記と同様なモータ本体部31C、スクリュー回転軸32C及び円盤状のナット33Cを備えている。この鏡胴2Aの第2側面205には、第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bからの駆動力が与えられる第1作用部27A、第2作用部27Bが備えられ、これに加えて、第1側面204の中央には、第3アクチュエータ3Cからの駆動力が与えられる第3作用部27Cが設けられている。なお、支持基板7には、第3アクチュエータ支持部710及び第3PI支持部77が備えられている。
そして位置検出センサとして、第1位置検出センサ51A、第2位置検出センサ51Bに加え、第3アクチュエータ3Cの作用部27Cの近傍に配置された第3位置検出センサ51Cが備えられている。この第3位置検出センサ51Cは、PI511C、遮光羽512Cを有するPIセンサからなる。前記遮光羽512Cは、作用部27Cを構成するナット受け271Cから突設されている。また前記PI511Cは、支持基板7の第3PI支持部77に取り付けられている。このPI511Cが備える検知空間における、発光素子と受光素子とを結ぶ線上が第3検知部513Cとなり、この第3検知部513Cにおいて遮光羽512Cにて所定の部分遮光が行われたか否かにより、第1信号H若しくは第2信号Lが第3位置検出センサ51Cから出力されるようになっている。
なお、この鏡胴2Aには、運動拘束のために、2つのガイドピン(第1ガイドピン28、第2ガイドピン29)が備えられている。第1ガイドピン28は、鏡胴2Aの第2側面205に、前記慣性主軸Aに沿って突設されている。一方、第2ガイドピン29は、鏡胴2Aの下面206に、前記慣性主軸Bに沿って突設されている。これら第1、第2ガイドピン28、29は、それぞれ支持基板7Aの第1ガイド支持部74、第2ガイド支持部75と係合される。これは、鋼球8に代えて第3アクチュエータ3Cを配置したことに伴い、第1ガイドピン28を支点とする慣性主軸Aの振れ(通常、アクチュエータには遊びがある)を専ら規制するためのものである。
このような鏡胴ユニットU3にあっても、原点復帰駆動制御部45により、先に図21〜図24に基づき説明した動作と実質的に同様にして原点復帰動作を実行させることができる。すなわち、先に図21〜図24に基づき説明した動作に加えて、第3アクチュエータ3Cによる駆動及び第3位置検出センサ51Cによる位置検出動作を実行させるようにすることで、原点復帰動作を行わせることができる。
(その他変形実施形態の説明)
本発明においては、以下の変形実施形態を採用することができる。
(1)上記実施形態では、アクチュエータとしてステッピングモータを用いる態様について説明したが、この他に各種のアクチュエータが適用可能であり、例えばムービングコイルを用いたアクチュエータ、小型電動モータとギア機構若しくはボールネジ機構等を組み合わせたアクチュエータ、圧電素子を用いたアクチュエータ(インパクト型圧電アクチュエータ等)も適用することができる。また、このような各種アクチュエータを組み合わせて用いても良く、さらに引っ張りバネや圧縮バネ、板バネ、皿バネ等のバイアスバネを併用することもできる。
(2)上記実施形態では、アクチュエータから鏡胴の作用部に直接駆動力が与えられる構成(図13の場合では、第1アクチュエータ3Aのナット33Aから第1作用部27Aに直接駆動力が与えられる構成)について例示したが、ウオーム等の動力伝達機構を介して間接的に駆動力が与えられる構成としても良い。
(3)図13に示した鏡胴ユニットU1では第1、第2アクチュエータ3A、3Bの第1、第2作用部27A、27Bの内側近傍に第1、第2位置検出センサ51A、51Bを配置した例、図25に示した鏡胴ユニットU2では第1、第2作用部27A、27Bの外側近傍に第1、第2位置検出センサ510A、510Bを配置した例を示したが、一方の位置検出センサを第1作用部27A若しくは第2作用部27Bの内側に配置し、他方の位置検出センサを第1作用部27A若しくは第2作用部27Bの外側に配置するようにしても良い。
(4)上記実施形態では、原点復帰動作が、デジタルカメラ1の電源投入時、あるいはデジタルカメラ1の動作中において所定のタイミング(振れ補正を一定時間実行した後など)で実行される場合について説明したが、デジタルカメラ1の電源OFF時に、電源OFFルーチンの一つとして鏡胴2の原点復帰動作を行わせるようにしても良い。これにより、次のデジタルカメラ1の電源投入時に、素早く原点位置を検出できる可能性が高くなるので好ましい。
(5)上記実施形態で説明したような原点復帰動作を終えた後、これに続けて同様な原点復帰動作を繰り返し行う(図20のフーチャートにおけるステップS62の処理終了後、図19のフーチャートのステップS21に戻って処理を繰り返す)ようにしても良い。すなわち、原点復帰動作を連続して2回以上繰り返し行うようにしても良い。これにより原点位置検出の精度を一層向上させることができる。例えば、デジタルカメラ1の電源投入時に鏡胴2が原点位置から大きくずれているような場合、1回の原点復帰動作だけでは正確に原点復帰が行えない場合がある。ただ、原点復帰動作を1回行えば少なくとも原点位置近傍までは鏡胴2の姿勢を復帰させることが可能となるので、これに続けて同様な原点復帰動作をもう1回乃至は複数回行えば、より正確に鏡胴2を原点復帰させることができる。
(6)レリーズボタン101が半押し状態とされ撮影準備状態となって鏡胴2の防振制御(手振れ補正動作)が開始された後、所定時間内にレリーズ操作が行われないような場合に、原点復帰動作を繰り返し行わせるようにすることが望ましい。これにより、手振れ補正精度を確保できるようになる。