以下、発明を実施するための最良の形態(実施形態とも称する)について説明する。なお、説明は以下の順序、すなわち、
1.第1実施形態(復帰処理をヨー方向およびピッチ方向に逐次行う例)、
2.第2実施形態(予備的な復帰処理を含めて合計3回の復帰処理を行う例)、
3.第3実施形態(予備的な復帰処理における許容範囲を変更する例)、
4.第4実施形態(別の駆動順序で3回の復帰処理を行う例)、
5.第5実施形態(2種類の駆動順序の一方を選択する例)、
6.変形例等
の順序で行う。
<1.第1実施形態>
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<1−1.構成概要>
図1および図2は、本発明の実施形態に係る撮像装置1の外観構成を示す図である。ここで、図1は、撮像装置1の正面外観図であり、図2は、撮像装置1の背面外観図である。この撮像装置1は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルカメラとして構成されている。
図1に示すように、撮像装置1は、カメラ本体部(カメラボディ)2を備えている。このカメラ本体部2に対して、交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)3が着脱可能である。
撮影レンズユニット3は、主として、鏡胴36、ならびに、鏡胴36の内部に設けられるレンズ群37(図3参照)及び絞り等によって構成される。レンズ群37(撮像光学系)には、光軸方向に移動することによって焦点位置を変更するフォーカスレンズ等が含まれている。
カメラ本体部2は、撮影レンズユニット3が装着される円環状のマウント部Mtを正面略中央に備え、撮影レンズユニット3を着脱するための着脱ボタン89を円環状のマウント部Mt付近に備えている。
また、カメラ本体部2は、正面左端部に撮影者が把持するためのグリップ部14を備えている。グリップ部14の上面には露光開始を指示するためのレリーズボタン11が設けられている。グリップ部14の内部には電池収納室とカード収納室とが設けられている。電池収納室にはカメラの電源として、例えばリチウムイオン電池などの電池が収納されており、カード収納室には撮影画像の画像データを記録するためのメモリカード90(図3参照)が着脱可能に収納される。
レリーズボタン11は、半押し状態S1と全押し状態S2との2つの状態を検出可能な2段階検出ボタンである。レリーズボタン11は、両状態S1,S2の検出結果に応じて、撮影準備指令D1と撮影開始指令D2とを受け付ける。
レリーズボタン11が半押しされ半押し状態S1になると、撮像装置1は、撮影準備指令(ないし露光準備指令とも称する)D1が操作者によって付与されたものと判定する。そして、撮影準備指令D1に応答して、被写体に関する記録用静止画像(本撮影画像)を取得するための準備動作(例えば、AF制御動作およびAE制御動作等)が行われる。
また、レリーズボタン11がさらに押し込まれて全押し状態S2になると、撮像装置1は、撮影開始指令(ないし露光開始指令とも称する)D2が付与されたものと判定する。そして、撮影開始指令D2に応答して、当該本撮影画像の撮影動作(撮像素子5(後述)を用いて被写体像(被写体の光像)に関する露光動作が行われ、その露光動作によって得られた画像信号に所定の画像処理を施す一連の動作)が行われる。
図2において、カメラ本体部2の背面略中央上部には、ファインダ窓(接眼窓)10が設けられている。撮影者は、ファインダ窓10を覗くことによって、撮影レンズユニット3から導かれた被写体の光像を視認して構図決定を行うことができる。すなわち、光学ファインダを用いて構図決めを行うことが可能である。
図2において、カメラ本体部2の背面の略中央には、背面モニタ12が設けられている。背面モニタ12は、例えばカラー液晶ディスプレイ(LCD)として構成される。背面モニタ12は、撮影条件等を設定するためのメニュー画面を表示すること、および再生モードにおいてメモリカード90に記録された撮影画像を再生表示することなどが可能である。
背面モニタ12の左上部にはメインスイッチ81が設けられている。メインスイッチ81は2点スライドスイッチからなり、接点を左方の「OFF」位置に設定すると、電源がオフになり、接点の右方の「ON」位置に設定すると、電源がオンになる。
背面モニタ12の右側には方向選択キー84が設けられている。この方向選択キー84は円形の操作ボタンを有し、この操作ボタンにおける上下左右の4方向の押圧操作と、右上、左上、右下及び左下の4方向の押圧操作とを、それぞれ検出できるように構成されている。なお、方向選択キー84は、上記8方向の押圧操作とは別に、中央部のプッシュボタンの押圧操作も検出できる。
<1−2.機能ブロック>
つぎに、図3を参照しながら、撮像装置1の機能の概要について説明する。図3は、撮像装置1の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、撮像装置1は、操作部80、全体制御部101、フォーカス制御部121、ミラー制御部122、シャッタ制御部123、タイミング制御回路124、およびデジタル信号処理回路50等を備える。
操作部80は、レリーズボタン11(図1参照)を含む各種ボタンおよびスイッチ等を備えて構成される。操作部80に対するユーザーの入力操作に応答して、全体制御部101が各種動作を実現する。
全体制御部101は、マイクロコンピュータとして構成され、主にCPU、メモリ、及びROM等を備える。全体制御部101は、ROM内に格納されるプログラムを読み出し、当該プログラムをCPUで実行することによって、各種の機能を実現する。
全体制御部101は、ブレ補正制御部21を含む各処理部を実現する。ブレ補正制御部21は、ブレ補正機構7(後述)を用いて撮像素子5を駆動し、角速度センサ(ジャイロセンサ)61等によって検出されたブレ(撮像装置1のブレ)を光学的に補正する機能を有している。ブレ補正機構7(図4参照)は、互いに異なる2つの方向(具体的には、光軸に垂直な平面内の直交2方向)における撮像素子5の各位置(X方向の位置およびY方向の位置)を検出する位置センサ69(図5参照)を有している。ブレ補正制御部21は、当該位置センサからの検出結果を用いて、フィードバック制御則等に従って撮像素子5の位置を制御する。なお、この実施形態では、ブレ補正制御部21およびブレ補正機構7等によって、ブレ補正装置が構成される。
また、全体制御部101は、AFモジュール20およびフォーカス制御部121等と協動して、フォーカスレンズの位置を制御する合焦制御動作を行う。全体制御部101は、AFモジュール20によって検出される被写体の合焦状態に応じて、フォーカス制御部121を用いて自動合焦動作(AF動作)を実現する。なお、AFモジュール20は、ミラー機構6を介して進入してきた光を用いて、位相差方式等の合焦状態検出手法により被写体の合焦状態を検出することが可能である。
フォーカス制御部121は、全体制御部101から入力される信号に基づいて制御信号を生成しモータM1を駆動することによって、撮影レンズユニット3のレンズ群37に含まれるフォーカスレンズを移動する。また、フォーカスレンズの位置は、撮影レンズユニット3のレンズ位置検出部39によって検出され、フォーカスレンズの位置を示すデータが全体制御部101に送られる。このように、フォーカス制御部121および全体制御部101等は、フォーカスレンズの光軸方向の動きを制御する。
ミラー制御部122は、ミラー機構6が光路から退避した状態(ミラーアップ状態)とミラー機構6が光路を遮断した状態(ミラーダウン状態)との状態切替を制御する。ミラー制御部122は、全体制御部101から入力される信号に基づいて制御信号を生成しモータM2を駆動することによって、ミラーアップ状態とミラーダウン状態とを切り替える。
なお、ミラー機構6は、主ミラー(主反射面)とサブミラー(副反射面)とを有している。ミラーダウン状態においては、ミラー機構6の主ミラーおよびサブミラーは、当該光束の光路上に配置される。そして、撮影レンズユニット3からの光束(被写体像)は、主ミラーでカメラ上部側に反射された後、カメラ本体部2の上部に配置されたペンタミラーによってさらに反射され、観察用光束としてファインダ窓10へと導かれる。また、撮影レンズユニット3からの光束の一部は、サブミラーで反射され、カメラ本体部2の下部に配置されたAFモジュール20に導かれ、AF動作に利用される。一方、ミラーアップ状態においては、主ミラーおよびサブミラーは、撮影レンズユニット3からの被写体像の光路から待避し、当該被写体像はシャッタ4および撮像素子5へ向けて進行する。
シャッタ制御部123は、全体制御部101から入力される信号に基づいて制御信号を生成しモータM3を駆動することによって、シャッタ4の開閉を制御する。なお、シャッタ4が開いた状態においては被写体像が撮像素子5に到達し、露光期間にわたる露光動作が実現される。
タイミング制御回路124は、撮像素子5等に対するタイミング制御を行う。
撮像素子5は、被写体の光像を光電変換して画像信号を生成する。詳細には、撮像素子(ここではCCDセンサ(単にCCDとも称する))5は、被写体の光像を光電変換作用により電気的信号に変換して、本撮影画像に係る画像信号(記録用の画像信号)を生成する。
撮像素子5は、タイミング制御回路124から入力される駆動制御信号(蓄積開始信号および蓄積終了信号)に応答して、受光面に結像された被写体像の露光(光電変換による電荷蓄積)を行い、当該被写体像に係る画像信号を生成する。また、撮像素子5は、タイミング制御回路124から入力される読出制御信号に応答して、当該画像信号を信号処理部51へ出力する。また、タイミング制御回路124からのタイミング信号(同期信号)は、信号処理部51及びA/D(アナログ/デジタル)変換回路52にも入力される。
撮像素子5で取得された画像信号は、信号処理部51によって所定のアナログ信号処理を施され、当該アナログ信号処理後の画像信号はA/D変換回路52によってデジタル画像データ(画像データ)に変換される。この画像データは、デジタル信号処理回路50に入力される。
デジタル信号処理回路50は、A/D変換回路52から入力される画像データに対してデジタル信号処理を行い、撮像画像に係る画像データを生成する。デジタル信号処理回路50は、黒レベル補正回路53、ホワイトバランス(WB)回路54、γ補正回路55及び画像メモリ56を備える。
黒レベル補正回路53は、A/D変換回路52が出力した画像データを構成する各画素データの黒レベルを基準の黒レベルに補正する。WB回路54は、画像のホワイトバランス調整を行う。γ補正回路55は、撮像画像の階調変換を行う。画像メモリ56は、生成された画像データを一時的に記憶するための、高速アクセス可能な画像メモリであり、複数フレーム分の画像データを記憶可能な容量を有する。
本撮影時には、画像メモリ56に一時記憶される画像データは、全体制御部101において適宜画像処理(圧縮処理等を含む)が施された後、メモリカード90に記憶される。
また、画像メモリ56に一時記憶される画像データは、全体制御部101によって適宜VRAM(不図示)に転送され、背面モニタ12に画像データに基づく画像が表示される。これによって、撮影画像を確認するための確認表示(アフタービュー)、および撮影済みの画像を再生する再生表示等が実現される。
また、撮像素子5は、ブレ補正制御部21およびブレ補正機構7によって駆動される。詳細には、撮像素子5は、角速度センサ61等によって検出されたブレを打ち消すように駆動される。これによって、撮像装置におけるブレが補正される。
<1−3.ブレ補正機構>
次に、ブレ補正機構7について説明する。ブレ補正機構7は、撮像素子5を駆動して、撮像装置1(撮像素子5)のブレを補正する機構である。
図4は、ブレ補正機構7の概略構成を示す図である。
ブレ補正機構7は、ベース部7aと第1移動部7bと第2移動部7cとを有している。
ベース部7aは、カメラ本体部2の内部の背面部付近に固定されている。また、第1移動部7bはベース部7aに対してX方向に移動可能であり、第2移動部7cは第1移動部7bに対してY方向に移動可能である。第2移動部7cには撮像素子5が固定されている。
ベース部7aは、アクチュエータ7xを有している。アクチュエータ7xは、SIDM(Smooth Impact Drive Mechanism:スムーズインパクト駆動機構)と呼ばれる駆動機構である。当該SIDMは圧電素子を備えて構成されている。当該圧電素子が高速周波数で伸縮動作を繰り返すことによって、アクチュエータ7xは第1移動部7bをベース部7aに対してX方向に駆動することが可能である。
また、第1移動部7bは、アクチュエータ7yを有している。アクチュエータ7yも、アクチュエータ7xと同様のSIDMで構成されている。アクチュエータ7yの圧電素子が高速周波数で伸縮動作を繰り返すことによって、アクチュエータ7yは第2移動部7cを第1移動部7bに対してY方向に駆動することが可能である。
以上のように、撮像素子5は、アクチュエータ7xによってX方向に駆動され、アクチュエータ7yによってY方向に駆動される。この結果、第2移動部7cに固定された撮像素子5は、アクチュエータ7x,7yによって、ベース部7aに対してX方向およびY方向において相対的に移動することが可能である。
そして、ブレ補正制御部21が、角速度センサ61等によって検出された信号(ブレ検出結果)に基づき、撮像素子5をベース部7aに対してアクチュエータ7x,7yを用いて駆動することによって、撮像装置1におけるブレが抑制される。すなわち、ブレ補正が実現される。
<1−4.ブレ補正制御系>
図5は、ブレ補正制御に関する制御系を示す概念図である。
撮像装置1は、互いに異なる方向に関する2系統の制御系6x,6yを有している。1つの制御系6xは、撮像装置1のヨー方向における角速度に基づいて撮像素子5のX方向におけるブレを検出し、当該X方向のブレを打ち消すように撮像素子5をX方向に駆動するものである。また、もう1つの制御系6yは、撮像装置1のピッチ方向における角速度に基づいて撮像素子5のY方向におけるブレを検出し、当該Y方向のブレを打ち消すように撮像素子5をY方向に駆動するものである。
以下では2系統の制御系6x,6yのうちの一方の制御系6xについて説明するが、他方の制御系6yも同様の構成等を有している。
制御系6xは、角速度センサ(ジャイロセンサ)61と増幅器62とA/D変換部63とハイパスフィルタ(HPF)64と積分部65とブレ演算部66とサーボ制御部68と位置センサ69とを備えている。
角速度センサ61は、カメラ本体部2に固定されており、カメラ本体部2の所定の回転方向(例えばヨー方向)における角速度に応じた信号を出力する。すなわち、角速度センサ61は、撮像装置1における角速度を検出する。角速度センサ61の出力信号(検出信号)は、増幅器62で増幅され、A/D変換部63でデジタル信号化される。デジタル信号化された角速度信号は、HPF64を通過した後、積分部65において積分されることによって、「ブレ角度」を示す信号(データ)として生成される。
また、積分部65から出力された「ブレ角度」は、ブレ演算部66において所定のゲインによる乗算処理が施されて、撮像素子5上におけるブレ量VB1に変換される。
このようにして、角速度センサ61による検出値(角速度)が積分され、ブレ量VB1が算出される。
その後、サーボ制御部68は、ブレ演算部66によって算出されたブレ量VB1と、位置センサ(ホール素子等)69によって検出された撮像素子5の所定方向(ここではX方向)における位置とに基づいて、所定方向の駆動量を決定する。そして、サーボ制御部68は、当該駆動量に応じた駆動信号によってブレ補正機構7(アクチュエータ7x)を駆動する。詳細には、サーボ制御部68は、本撮影画像取得用の露光期間中に上記のようなブレ補正動作を実行することによって、撮像素子5の受光面上における被写体像のブレを補正する。
また、撮像装置1は、所定のタイミングで(ここでは露光期間中のブレ補正動作の直後に)、撮像素子5の中心位置を基準位置(ここでは光軸位置CP(図4))に復帰させる動作(具体的には、センタリング動作)を行うものとする。なお、当該センタリング動作においては、位置センサ69による位置検出信号を用いたフィードバック制御則に基づいて、撮像素子5が所定の基準位置へと駆動される。
以下では、このセンタリング動作を中心に撮像装置1の動作について説明する。
<1−5.動作概要>
つぎに、図6〜図12を参照しながら、撮像装置1の動作について説明する。図6は、全体の流れを示すフローチャートである。図6においては、2種類のセンタリング動作(ステップSP11,SP17)が実行される。また、図7〜図9は電源投入直後の初期センタリング動作(ステップSP11)を示すフローチャートであり、図10〜図12は露光直後のセンタリング動作(ステップSP17)を示すフローチャートである。
図6に示すように、電源投入直後においては、第1のセンタリング動作、具体的には初期センタリング動作(ステップSP11)が実行される。
その後、撮影者による構図決め動作等が行われる。そして、レリーズボタン11が半押し状態S1にまで押下され撮影準備動作(AF動作等)が行われた後に、更にレリーズボタン11が全押し状態S2にまで押下されると、本撮影動作取得用の露光動作が行われる。当該本撮影動作取得用の露光動作の露光期間においては、ブレ補正駆動が実行される。
具体的には、レリーズボタン11が半押し状態S1にまで押下されたことがステップSP12で判定され、レリーズボタン11が全押し状態S2にまで押下されたことがステップSP13で判定されるとステップSP14に進む。そして、ブレ補正駆動が開始(ステップSP14)された後に本撮影動作取得用の露光動作が開始される。当該ブレ補正は、当該露光動作が終了(ステップSP15)するまで継続される。換言すれば、露光動作が終了(ステップSP15)するとブレ補正駆動も停止する(ステップSP16)。
その後、次の本撮影動作に備えて、第2のセンタリング動作、具体的には、「露光直後のセンタリング動作」が実行される(ステップSP17)。この第2のセンタリング動作によって、撮像素子5が所定の基準位置に復帰する。これにより、撮像素子5は、各方向において広い可動範囲を再び確保することが可能になる。また、この第2センタリング動作と並行して、撮像素子5からの画素データの読み出し動作が実行される。その後、当該読み出し動作が終了したと判定(ステップSP18)されると、再びステップSP12に戻り、同様の動作が繰り返し実行される。
この実施形態においては、上述の2種類のセンタリング動作のうち、第1のセンタリング動作(「初期センタリング動作」)においては、撮像装置1は、撮像素子を2つの方向に同時に駆動する「2軸同時駆動動作」を行う。一方、第2のセンタリング動作(「露光直後のセンタリング動作」)においては、撮像装置1は、撮像素子を2つの方向に逐次に駆動する「2軸逐次駆動動作」を行う。すなわち、露光直後のセンタリング動作は、2方向の復帰処理が逐次的に(換言すれば、排他的に)実行されることによって実現される。
後者の2軸逐次駆動動作によれば、前者の2軸同時駆動動作に比べて、センタリング動作での瞬間的な最大電流値を低減することができる。したがって、「露光直後のセンタリング動作」においては、センタリング動作における瞬間的な総消費電流が低減され、センタリング動作と当該センタリング動作以外の動作(具体的には、画素データ読出動作)との同時実行が許容され易くなる。
図13はレリーズボタン11が全押し状態S2にまで押下されたことに応じて実行される各種の動作を示す模式図である。図13に示すように、撮像装置1においては、レリーズボタン11が全押し状態S2にされると、絞り駆動動作およびミラーアップ動作等が行われ、更にその後に、露光動作がブレ補正動作を伴って実行される。また、当該露光動作の終了後には、ミラーダウン動作と画素データ読出動作(本撮影画像に関する画素データを撮像素子5から読み出す動作(電荷転送動作等))とが同時に実行される。そして、その後、当該画素データ読出動作と撮像素子5のセンタリング動作(「露光直後のセンタリング動作」)とが同時に実行される。
図13においては、上述のような諸事情により、電池からの供給電流の瞬間的な最大許容値が値Ih0から値Ihdへと低減された状況が示されている。なお、ここでは、低減前には、仮に「2軸同時駆動動作」を行っても、センタリング動作に要する電流Ict2(=2×Ict)(二点鎖線)と画素データ読出動作に要する電流Ie等との合計値は、低減前の最大許容値(Ih0)を超えていない。
しかしながら、図13に示すように、低減後の状況において「2軸同時駆動動作」を行う場合には、センタリング動作に要する電流Ict2と画素データ読出動作に要する電流Ie等との合計値が、低減後の最大許容値(Ihd)を超えてしまうことがある。そのため、このままでは、最大許容値の低減の影響を受けて、センタリング動作と画素データ読出動作とを安定的に実行することができない。なお、センタリング動作を画素データ読出動作の終了後に行うこと(すなわち両動作を逐次的に行うこと)は可能であるが、その場合には、両動作が完了するまでの時間が長くなる。
これに対して、この実施形態においては、センタリング動作が2つの軸方向に分離して逐次に実行される。詳細には、露光直後のセンタリング動作において、X方向に関する第1の復帰処理(ステップSP70)とY方向に関する第2の復帰処理(ステップSP90)とが逐次的に実行される(図10参照)。これによれば、センタリング動作における瞬間的な最大電流値を例えば値Ict2(=2×Ict)から値Ict(図13参照)へと抑制することができる。したがって、センタリング動作と画素データ読出動作とを同時に(並列的に)実行することが可能になる。すなわち、センタリング動作における瞬間的な総消費電流を低減して、ブレ補正装置におけるセンタリング動作と当該センタリング動作以外の動作との同時実行の許容性を高めることが可能である。また、センタリング動作を画素データ読出動作の終了後に行うことを要しないため、センタリング動作と画素データ読出動作との両動作が完了するまでの時間が長大化することを防止できる。
以下では、第1のセンタリング動作と第2のセンタリング動作とについて、それぞれ詳細に説明する。
<1−6.電源投入直後の初期センタリング動作>
まず、第1のセンタリング動作(電源投入直後の初期センタリング動作)について詳細に説明する。なお、この第1のセンタリング動作では、「2軸同時駆動動作」が行われ、「2軸逐次駆動動作」は行われない。
この「初期センタリング動作」においては、或る条件(開始条件とも称する)CS1が充足されると、ヨー方向とピッチ方向との2方向に関する同時駆動処理が開始される。また、別の条件(終了条件とも称する)CE1が充足されると、当該同時駆動動作が終了する。
ここでは、開始条件CS1として、撮像素子5の基準位置からの2方向に関するズレ量ΔX,ΔY(厳密にはその絶対値)の少なくとも一方が所定量Th1(例えば50マイクロメートル)を超えていること、を採用する。ズレ量ΔXは、撮像素子5の基準位置からのヨー方向(正確にはX方向)におけるズレ量を表し、ズレ量ΔYは、撮像素子5の基準位置からのピッチ方向(正確にはY方向)におけるズレ量を表す。
なお、厳密に言えば、X方向は並進方向でありヨー方向は回転方向であるため、X方向とヨー方向とは異なる。ただし、ヨー方向の回転移動に基づきX方向の位置変化が生じるため、ここでは、ヨー方向をX方向とも称するものとする。また、Y方向とピッチ方向との関係も同様である。ピッチ方向の回転移動に基づきY方向の位置変化が生じるため、ピッチ方向をY方向とも称する。
また、終了条件CE1としては、所定数(NB+1)(例えば、NB+1=3回)のサンプリング時点において当該ズレ量ΔX,ΔY(厳密にはその絶対値)の双方が所定量Th1以内であること、を採用する。このような終了条件CE1によれば、ズレ量ΔX,ΔYが所定範囲内に収束しつつあることを適切に判断することが可能である。
仮に、或る一の時点においてズレ量ΔX,ΔYの双方が所定範囲内に収まっていることのみを条件として駆動を直ちに停止すると、次のような問題が生じ得る。すなわち、撮像素子5が目標位置を通り過ぎ更に目標位置から離れようとしている場合(オーバーシュート時)に直ちに駆動を停止すると、慣性等の影響によって、撮像素子5の実際の停止位置が目標位置から大きくずれることがある。特に、撮像素子5が比較的大きな駆動力を伴って比較的速く移動しているときにはこのような現象が生じやすく、停止後の位置が所定の許容範囲を超えてしまうことも多い。端的に言えば、撮像素子5の現在位置が目標位置(基準位置)に対して大きくオーバーシュートしている状態などにおいては、撮像素子5を目標位置に対して正確に停止させることは容易ではない。
一方、上記のような終了条件CE1を採用すれば、複数回の時点でズレ量ΔX,ΔYが所定範囲内であることが確認されるため、撮像素子5を、より正確に目標位置の近傍に停止させることが可能である。換言すれば、ズレ量ΔXが所定範囲内に収束しつつあることを適切に判断することが可能である。
具体的には、図7に示すように、ヨー方向(X方向)の補正処理とピッチ方向(Y方向)の補正処理とが所定期間にわたって同時並列的に実行される。詳細には、両方向の補正処理に関する各終了フラグがいずれもオンに設定されるまでヨー方向の補正処理(ステップSP20)とピッチ方向の補正処理(ステップSP30)とが繰り返し実行される(ステップSP41,SP42)。そして、ステップSP20,SP30において両方向の補正処理に関する各終了フラグがいずれもオンに設定されると、初期センタリング動作が完了する(ステップSP41,SP42)。なお、各方向における補正処理に関する合計2つの終了フラグの少なくとも一方がオフである場合には、当該2つの終了フラグの双方がリセット(ステップSP43)された後に、再びステップSP20に戻る。
ステップSP20の処理について詳細に説明する。
図8のステップSP21において、ヨー位置(X位置)が取得されるとともに、当該ヨー位置と基準位置とのズレ量ΔXも算出される。そして、このズレ量ΔXが所定の許容範囲TL1内であるか否かが判定される(ステップSP22)。詳細には、ズレ量ΔXが−Th1以上且つ+Th1以下であれば、ズレ量ΔXが許容範囲TL1内であると判定される。
ズレ量ΔXが許容範囲TL1内であると判定されるときには、ステップSP23に進む。ステップSP23においては、カウント数CTXが所定数NBに到達したか否かが判定される。カウント数CTXが所定数NBに到達していない場合には、ステップSP24に進む。
なお、カウント数CTXは、ズレ量ΔXが許容範囲TL1内に収まっている回数を計数するパラメータである。ここでは、カウント数CTXは、後のステップSP26,SP27でインクリメントされる。そのため、ステップSP23,SP24,SP25におけるカウント数CTXは、ステップSP22でズレ量ΔXが許容範囲TL1内に収まっていると判定された累計回数よりも1回少ない。換言すれば、ステップSP23,SP24,SP25の各時点では、ステップSP22でズレ量ΔXが許容範囲TL1内に収まっていると判定された回数は、(インクリメント前の)カウント数CTXよりも1つ大きな値、すなわち(CTX+1)回である。
ステップSP24では、カウント数CTXがゼロであるか否かが判定される。カウント数CTXがゼロであるときには、終了フラグの値をオン(例えば「1」)に設定(ステップSP25)し、且つ、カウント数CTXを1つインクリメント(ステップSP26)した後に、ステップSP30(ステップSP31(図9))に進む。すなわち、ヨー方向の駆動が開始されていない状態においてズレ量ΔXが許容範囲TL1内である場合には、終了フラグの値をオンに設定(ステップSP25)し且つカウント数CTXを1に設定した後に、ステップSP30に進む。
一方、カウント数CTXがゼロでないときには、カウント数CTXを1つインクリメント(ステップSP27)して、ステップSP29に進む。
また、カウント数CTXが所定数NBに到達している場合には、ステップSP23からステップSP28に進む。ステップSP28では終了フラグの値がオンに設定される。その後、ステップSP29に進む。
さらに、上記のステップSP22において、ズレ量ΔXが許容範囲TL1内に収まっていないと判定されるときにも、ステップSP29に進む。
ステップSP29では、ズレ量ΔXに応じたヨー方向駆動用の駆動パラメータ(具体的には、アクチュエータ7xのPWM制御におけるデューティー比)が算出されるとともにヨー方向の駆動動作が実行され、その後ステップSP30(ステップSP31)に進む。
ステップSP30においても、ステップSP20と同様の動作が実行される。
具体的には、ステップSP31において、ピッチ位置(Y位置)が取得されるとともに、当該ピッチ位置と基準位置とのズレ量ΔYも算出される。そして、このズレ量ΔYが許容範囲TL1内であるか否かが判定される(ステップSP32)。詳細には、ズレ量ΔYが−Th1以上且つ+Th1以下であれば、ズレ量ΔYが許容範囲TL1内であると判定される。
ズレ量ΔYが許容範囲TL1内であると判定されるときには、ステップSP33に進む。ステップSP33においては、カウント数CTYが所定数NBに到達したか否かが判定される。カウント数CTYが所定数NBに到達していない場合には、ステップSP34に進む。
なお、カウント数CTYは、ズレ量ΔYが許容範囲TL1内に収まっている回数を計数するパラメータである。また、カウント数CTYは、後のステップSP36,SP37でインクリメントされる。そのため、ステップSP33,SP34,SP35におけるカウント数CTYは、ステップSP32でズレ量ΔYが許容範囲TL1内に収まっていると判定された累計回数よりも1回少ない。換言すれば、ステップSP33,SP34,SP35の各時点では、ステップSP32でズレ量ΔYが許容範囲TL1内に収まっていると判定された回数は、(インクリメント前の)カウント数CTYよりも1つ大きな値、すなわち(CTY+1)回である。
ステップSP34では、カウント数CTYがゼロであるか否かが判定される。カウント数CTYがゼロであるときには、終了フラグの値をオン(例えば「1」)に設定(ステップSP35)し、且つ、カウント数CTYを1つインクリメント(ステップSP36)した後に、ステップSP41(図7)に進む。すなわち、ピッチ方向の駆動が開始されていない状態においてズレ量ΔYが許容範囲TL1内である場合には、終了フラグの値をオンに設定(ステップSP35)し且つカウント数CTYを1に設定した後に、ステップSP41に進む。
一方、カウント数CTYがゼロでないときには、カウント数CTYを1つインクリメント(ステップSP37)して、ステップSP39に進む。
また、カウント数CTYが所定数NBに到達している場合には、ステップSP33からステップSP38に進む。ステップSP38では終了フラグの値がオンに設定される。その後、ステップSP39に進む。
さらに、上記のステップSP32において、ズレ量ΔYが許容範囲TL1内に収まっていないと判定されるときにも、ステップSP39に進む。
ステップSP39では、ズレ量ΔYに応じたピッチ方向駆動用の駆動パラメータ(具体的には、アクチュエータ7yのPWM制御におけるデューティー比)が算出されるとともにピッチ方向の駆動動作が実行され、その後ステップSP41(図7)に進む。
ステップSP41では、両方向の終了フラグがいずれもオンであるか否かが判定される。両方向の終了フラグの少なくとも一方がオンでない(オフである)ときには、ステップSP20に戻り、上記のような動作が繰り返される。一方、両方向の終了フラグがいずれもオンであるときには、ステップSP42に進む。ステップSP42では、初期センタリング動作が終了される。具体的には、実際の駆動動作が開始されているときには、両方向における駆動動作がいずれも停止される。また、実際の駆動動作が開始されていないときには、駆動を実際には実行しないまま初期センタリング動作が終了する。
例えば、両方向の駆動動作がいずれも開始されていない状態において、両方向のズレ量ΔX,ΔYがいずれも許容範囲TL1内である場合には、両方向の終了フラグの値がいずれもオンに設定(ステップSP25,SP35)され、ステップSP41に進む。そして、ステップSP41からステップSP42に進み、センタリング動作が終了する。この場合には、ステップSP20,SP30においていずれの方向における駆動動作も開始されないため、実際の駆動動作が開始されることなく、初期センタリング動作が終了する。
あるいは、両方向の駆動動作がいずれも開始されていない状態において、両方向のズレ量ΔX,ΔYの少なくとも一方が許容範囲TL1を超えている場合には、両方向の駆動動作が開始される。例えば、ヨー方向のズレ量ΔXは許容範囲TL1を超えていないがピッチ方向のズレ量ΔYが許容範囲TL1を超えている場合には、ステップSP21からステップSP22〜SP26,SP31,SP32を経てステップSP39に進む。そして、ステップSP39において、まずピッチ方向の駆動が開始される。なお、ステップSP26では、カウント数CTXが「1」にインクリメントされる。その後、ステップSP41からステップSP43を経て、ステップSP20に戻る。2回目のステップSP20では、ステップSP21からステップSP22〜SP24,SP27を経てステップSP29に進む。ステップSP29においては、ヨー方向の駆動も開始される。なお、ステップSP26では、カウント数CTXが「2」にインクリメントされる。2回目のステップSP30では、ステップSP31からステップSP32を経て再びステップSP39に進む。ステップSP39においては、ピッチ方向の駆動が継続される。このようにして、両方向の駆動が開始され、当該両方向における同軸駆動動作が実行される。
また、一旦駆動動作が開始された後においては、上記の終了条件CE1が充足されるときに両方向における同時駆動動作が終了する。
例えば、ズレ量ΔXが所定値Th1以内である旨が合計NB回にわたって判定されると、次回(例えば(NB+1)回目)以降のステップSP20の処理においては、ステップSP21〜SP23を経てステップSP28に進み、終了フラグがオンに設定される。同様に、ズレ量ΔYが所定値Th1以内である旨が合計NB回にわたって判定されると、次回以降のステップSP30の処理においては、ステップSP31,SP32,SP33を経てステップSP38に進み、終了フラグがオンに設定される。そして、ステップSP41において、ヨー方向の終了フラグとピッチ方向の終了フラグとの双方がオンであることが確認されると、センタリング駆動が停止される。
<1−7.露光直後のセンタリング動作>
次に、第2のセンタリング動作(「露光直後のセンタリング動作」)について図10〜図12を参照しながら詳細に説明する。
この「露光直後のセンタリング動作」においては、上述したように、ヨー方向における復帰処理(補正動作)とピッチ方向における復帰処理(補正動作)とが逐次的に(順次に)実行される(図10参照)。
より詳細には、ヨー方向の駆動動作に関する開始条件CS21が充足されるとヨー方向の駆動動作が開始される。そして、終了条件CE21が充足されると当該ヨー方向の駆動動作が終了する。ここでは、開始条件CS21として、撮像素子5の基準位置からのヨー方向に関するズレ量ΔX(厳密にはその絶対値)が所定量Th1(例えば50マイクロメートル)を超えていること、を採用する。また、終了条件CE21としては、所定数(NB+1)(例えば、NB+1=3回)のサンプリング時点において当該ズレ量ΔX(厳密にはその絶対値)が所定量Th1以内であること、を採用する。このような終了条件CE21によれば、ズレ量ΔXが所定範囲内に収束しつつあることを適切に判断することが可能である。
なお、ヨー方向における未駆動状態においてズレ量ΔXが既に所定範囲内であると判定されるときには、撮像装置1は、ヨー方向における駆動動作を開始することなく、当該ヨー方向における復帰処理(補正動作)を終了する。
また、同様に、ピッチ方向の駆動動作に関する開始条件CS22が充足されるとピッチ方向の駆動動作が開始され、終了条件CE22が充足されると当該ピッチ方向の駆動動作が終了する。ここでは、開始条件CS22として、撮像素子5の基準位置からのピッチ方向に関するズレ量ΔY(厳密にはその絶対値)が所定量Th1(例えば50マイクロメートル)を超えていること、を採用する。また、終了条件CE22としては、所定数(NB+1)(例えば、NB+1=3回)のサンプリング時点において当該ズレ量ΔY(厳密にはその絶対値)が所定量Th1以内であること、を採用する。このような終了条件CE22によれば、ズレ量ΔYが所定範囲内に収束しつつあることを適切に判断することが可能である。
なお、ピッチ方向における未駆動状態においてズレ量ΔYが既に所定範囲内であると判定されるときには、撮像装置1は、ピッチ方向における駆動動作を開始することなく、当該ピッチ方向における復帰処理(補正動作)を終了する。
まず、図11を参照しながら、ヨー方向における復帰処理(ステップSP70)について説明する。
ステップSP71において、撮像素子5のヨー位置(X位置)が取得されるとともに、当該ヨー位置と基準位置とのズレ量ΔXも算出される。そして、このズレ量ΔXが許容範囲TL1内であるか否かが判定される(ステップSP72)。詳細には、ズレ量ΔXが−Th1以上且つ+Th1以下であれば、ズレ量ΔXが許容範囲TL1内であると判定される。
ズレ量ΔXが許容範囲TL1を超えていると判定されるときには、ステップSP76に進む。ステップSP76では、ズレ量ΔXに応じたヨー方向駆動用の駆動パラメータ(具体的には、アクチュエータ7xのPWM制御におけるデューティー比)が算出されるとともにヨー方向の駆動動作が実行され、ステップSP71に戻る。
一方、ズレ量ΔXが許容範囲TL1内であると判定されるときには、ステップSP73に進む。ステップSP73においては、ヨー方向における駆動動作が既に開始されているか否かが判定される。
ヨー方向における駆動動作が未だ開始されていない場合には、ステップSP70の処理を終了する。すなわち、ヨー方向における未駆動状態においてズレ量ΔXが既に許容範囲TL1内であると判定されるときには、撮像装置1は、ヨー方向における駆動動作を開始することなく、当該ヨー方向における復帰処理(補正動作)を終了する。
ヨー方向における駆動動作が既に開始されている場合には、ステップSP73からステップSP74に進む。ステップSP74においては、カウント数CTXが所定数NBに到達したか否か判定される。
カウント数CTXが所定数NBに到達していない場合には、ステップSP74からステップSP75に進む。ステップSP75では、カウント数CTXを1つインクリメントした後に、ステップSP76に進む。ステップSP76では、ヨー方向駆動用の駆動パラメータが算出されるとともにヨー方向の駆動動作が実行され、ステップSP71に戻る。
カウント数CTXが所定数NBに到達している場合には、ステップSP74からステップSP78に進む。ステップSP78ではヨー方向における駆動動作が停止される。
このようにして、ヨー方向の駆動動作が開始されていない状態において、ズレ量ΔXが許容範囲TL1内である場合には、撮像装置1は、ヨー方向における駆動動作を実行することなくヨー方向における補正動作を終了する。また、ズレ量ΔXが許容範囲TL1を超えている場合には、撮像装置1はヨー方向における駆動動作を開始する。そして、ズレ量ΔXが許容範囲TL1に存在することが所定回数((NB+1)回)確認された後に、撮像装置1は当該ヨー方向における駆動動作を終了する。
換言すれば、撮像装置1は、第1の復帰処理(ステップSP70)の開始時点において撮像素子5のズレ量ΔXが許容範囲TL1内に収まっているときには、アクチュエータ7xによる駆動動作を開始せずに第1の復帰処理を終了する。また、撮像装置1は、第1の復帰処理(ステップSP70)の開始時点において撮像素子5のズレ量ΔXが当該許容範囲TL1を超えているときには、アクチュエータ7xによる駆動動作を開始する。そして、撮像装置1は、第1の復帰処理においてアクチュエータ7xによる駆動動作が開始された後、撮像素子5のズレ量ΔXが許容範囲TL1内に収まっていると所定数の複数の時点で判定されることを条件として、アクチュエータ7xによる駆動動作を停止する。
つぎに、図12を参照しながら、ピッチ方向における復帰処理(ステップSP90)について説明する。ピッチ方向における復帰処理は、方向が異なる点を除き、ヨー方向における復帰処理と同様である。
具体的には、ステップSP91において、撮像素子5のピッチ位置(Y位置)が取得されるとともに、当該ピッチ位置と基準位置とのズレ量ΔYも算出される。そして、このズレ量ΔYが許容範囲TL1内であるか否かが判定される(ステップSP92)。詳細には、ズレ量ΔYが−Th1以上且つ+Th1以下であれば、ズレ量ΔYが許容範囲TL1内であると判定される。
ズレ量ΔYが許容範囲TL1を超えていると判定されるときには、ステップSP96に進む。ステップSP96では、ズレ量ΔYに応じたピッチ方向駆動用の駆動パラメータ(具体的には、アクチュエータ7yのPWM制御におけるデューティー比)が算出されるとともにピッチ方向の駆動動作が実行され、ステップSP91に戻る。
一方、ズレ量ΔYが許容範囲TL1内であると判定されるときには、ステップSP93に進む。ステップSP93においては、ピッチ方向における駆動動作が既に開始されているか否かが判定される。
ピッチ方向における駆動動作が未だ開始されていない場合には、ステップSP90の処理を終了する。すなわち、ピッチ方向における未駆動状態においてズレ量ΔYが既に許容範囲TL1内であると判定されるときには、撮像装置1は、ピッチ方向における駆動動作を開始することなく、当該ピッチ方向における復帰処理(補正動作)を終了する。
ピッチ方向における駆動動作が既に開始されている場合には、ステップSP93からステップSP94に進む。ステップSP94においては、カウント数CTYが所定数NBに到達したか否か判定される。
カウント数CTYが所定数NBに到達していない場合には、ステップSP94からステップSP95に進む。ステップSP95では、カウント数CTYを1つインクリメントした後に、ステップSP96に進む。ステップSP96では、ピッチ方向駆動用の駆動パラメータが算出されるとともにピッチ方向の駆動動作が実行され、ステップSP91に戻る。
カウント数CTYが所定数NBに到達している場合には、ステップSP94からステップSP98に進む。ステップSP98ではピッチ方向における駆動動作が停止される。
このようにして、ピッチ方向の駆動動作が開始されていない状態においてズレ量ΔYが許容範囲TL1内である場合には、撮像装置1は、ピッチ方向における駆動動作を実行することなくピッチ方向における補正動作を終了する。また、ズレ量ΔYが許容範囲TL1を超えている場合には、撮像装置1はピッチ方向における駆動動作を開始する。そして、ズレ量ΔYが許容範囲TL1に存在することが所定回数((NB+1)回)確認された後に、撮像装置1は当該ピッチ方向における駆動動作を終了する。
換言すれば、撮像装置1は、第2の復帰処理(ステップSP90)の開始時点において撮像素子5のズレ量ΔYが許容範囲TL1内に収まっているときにはアクチュエータ7yによる駆動動作を開始せずに第2の復帰処理を終了する。また、撮像装置1は、第2の復帰処理(ステップSP90)の開始時点において撮像素子5のズレ量ΔYが当該許容範囲TL1を超えているときには、アクチュエータ7yによる駆動動作を開始する。そして、第2の復帰処理においてアクチュエータ7yによる駆動動作が開始された後、撮像素子5のズレ量ΔYが許容範囲TL1内に収まっていると所定数の複数の時点で判定されることを条件として、撮像装置1はアクチュエータ7yによる駆動動作を停止する。
以上のようにして、「露光直後のセンタリング動作」が実行される。
<2.第2実施形態>
上記第1実施形態においては、露光直後のセンタリング動作において、互いに異なる方向に関する2つの復帰処理(第1の復帰処理および第2の復帰処理)を逐次に実行する場合を例示した。この第2実施形態においては、3つの復帰処理を逐次に実行する場合、詳細には、上記の2つの復帰処理に加えて、当該2つの復帰処理の前に予備的な復帰処理を実行する場合を例示する。これによれば、後述するように、センシングにおける軸方向と実際の駆動方向とのズレ(図14参照)に起因する誤差を低減することが可能である。
図15は、第2実施形態における「露光直後のセンタリング動作」を示す図である。図15に示すように、この第2実施形態においては、ヨー方向(X方向)の復帰処理(ステップSP70)とピッチ方向(Y方向)の復帰処理(ステップSP90)とが第1実施形態と同様に実行される。ただし、この第2実施形態においては、ヨー方向の復帰処理(ステップSP70)の前に、ピッチ方向の復帰処理(ステップSP50b)がさらに実行される。この点において、第1実施形態と相違する。この第2実施形態では、アクチュエータ7yによるY方向に関する予備的な復帰処理(ステップSP50b)とX方向に関する第1の復帰処理(ステップSP70)とY方向に関する第2の復帰処理(ステップSP90)とがこの順序で実行される。
また、この第2実施形態では、ステップSP50で実行されるピッチ方向の復帰処理は、ステップSP90で実行されるピッチ方向の復帰処理と全く同様である。
さて、図14は、位置センサ(ホール素子等)69の位置検出方向とアクチュエータの駆動方向とのズレを示す図である。ブレ補正機構7が実際に組み立てられる際には、部品の寸法ばらつき等に起因して、位置センサ(ホール素子等)69による位置検出方向(センシング方向)とアクチュエータによる駆動方向とがずれることがある。なお、このようなズレは、センシング軸と駆動軸とのズレであることから、「軸ズレ」とも称される。
このような「軸ズレ」が存在する場合には、アクチュエータ7xによってX方向にのみ撮像素子5を駆動したとしても、位置センサ69によってY方向における微小量の移動が検出される。同様に、アクチュエータ7yによってY方向にのみ撮像素子5を駆動したとしても、位置センサ69によってX方向における微小量の移動が検出される。すなわち、直交2軸方向のうち一方の方向にのみ駆動しても、他方の方向にも移動してしまうことになる。
ここにおいて、初期センタリング動作(ステップSP11)のように2軸同時駆動動作を実行する場合には、一方の軸方向(例えばX方向)の駆動に応じて他方の軸方向(Y方向)の移動も生じるが、当該他方の軸方向の駆動も同時に行われる。そのため、当該他方の軸方向の移動による誤差も低減されていく。逆も同様である。すなわち、他方の軸方向(例えばY方向)の駆動に応じて一方の軸方向(X方向)の移動が生じても、当該一方の軸方向の駆動も同時に行われるため、当該一方の軸方向の移動による誤差は低減されていく。このように、2軸同時駆動動作においては、フィードバック制御によって撮像素子5の位置は所定の基準位置へと徐々に収束していく。したがって、上記のズレの影響は比較的小さい。
しかしながら、「2軸逐次駆動動作」においては、撮像素子5は、第1の復帰処理において第1の方向(例えばX方向)に駆動された後に、第2の復帰処理において第2の方向(例えばY方向)に駆動される。このとき、第2の復帰処理において第2の方向に駆動されると第1の方向(例えばX方向)の移動も生じる。そのため、第2の復帰処理後には第1の方向(例えばX方向)において誤差が残留する可能性が高い。特に、第2の方向における移動量が大きいときには、第2の復帰処理後の第1の方向における残留誤差が比較的大きくなる。
そこで、この第2実施形態においては、まず、第1の復帰処理の前に、予備的な復帰処理を実行する。この予備的な復帰処理は、第2の方向における復帰処理である。すなわち、予備的な復帰処理によって、第2の方向における基準位置とのズレ量を低減させる。そして、その後に、第1の方向に関する第1の復帰処理と第2の方向に関する第2の復帰処理とを行う。これによれば、予備的な復帰処理によって第2の方向におけるズレ量が低減されるので、第2の復帰処理時における第2の方向の移動量が低減される。したがって、第2の復帰処理後の第1の方向における残留誤差を低減することができる。
図16〜図19は、第2実施形態に係るセンタリング動作を示す図である。これらの図においては、撮像素子5の中心位置が黒点で示されている。なお、露光直後においては、撮像素子5の中心位置が図16の位置PG0に存在するものとする。
まず、図17に示すように、第2の方向(Y方向)における予備的な復帰処理によって、撮像素子5の中心位置が図16の位置PG0から図17の位置PG1へと移動する。これにより、Y方向のズレ量ΔYが許容範囲TL1内に収まる。なお、図17では撮像素子5の中心位置がX軸(センシング軸)上に移動しており、Y方向のズレ量が理想的にゼロに補正された状態が示されている。
次に、図18に示すように、第1の方向(ここではX方向)における第1の復帰処理によって、撮像素子5の中心位置が図17の位置PG1から図18の位置PG2へと移動する。これにより、X方向のズレ量ΔXが許容範囲TL1内に収まる。なお、図18では撮像素子5の中心位置がY軸(センシング軸)上に移動しており、X方向のズレ量が理想的にゼロに補正された状態が示されている。また、第1の復帰処理においては、軸ズレの影響によって、Y方向のズレが再び生じている。
さらに、図19に示すように、第2の方向(Y方向)における第2の復帰処理によって、撮像素子5の中心位置が図18の位置PG2から図19の位置PG3へと移動する。これにより、Y方向のズレ量が許容範囲TL1内に収まる。なお、図19ではY方向のズレ量が理想的にゼロに補正された状態が示されている。このとき、X方向にも誤差が残留しているが、この誤差は非常に小さな値になっている。
図20は、第1実施形態のセンタリング動作と第2実施形態のセンタリング動作とを比較する図である(ただし、いずれも露光直後のセンタリング動作)。図20では、第2実施形態のセンタリング動作における撮像素子5の中心位置の軌跡が、太い破線で示されている。また、第1実施形態のセンタリング動作における撮像素子5の中心位置の軌跡が、細い二点鎖線で示されている。
図20に示されるように、第1実施形態のセンタリング動作においては、第1の復帰処理においてX方向に駆動された後に、第2の復帰処理においてY方向に駆動される。このとき、X方向における最終的な残留誤差は、比較的大きくなっている。
一方、図20に示されるように、第2実施形態の露光直後のセンタリング動作においては、まず予備的な復帰処理においてY方向に一旦駆動される。その後に、第1の復帰処理においてX方向に駆動され、さらに第2の復帰処理においてY方向に駆動される。このとき、X方向における最終的な残留誤差は、比較的小さくなっている。
特に、予備的な復帰処理によってY方向のズレ量が低減されているため、第1の復帰処理によってY方向のズレ量が仮に再び生じたとしても、第2の復帰処理の前におけるY方向のズレ量は比較的小さい。したがって、第2の復帰処理におけるY方向の移動量が低減される。その結果、第2の復帰処理によって生じるX方向のズレ量を低減することができる。すなわち、X方向における残留誤差を低減することができる。
このように、予備的な復帰処理によってY方向におけるズレ量が低減されるので、第2の復帰処理時におけるY方向の移動量が低減され、ひいては第2の復帰処理後のX方向における残留誤差を低減することができる。
<3.第3実施形態>
第3実施形態は第2実施形態の変形例である。第3実施形態においては、第2実施形態と同様に予備的な復帰処理が実行される。ただし、この第3実施形態では、予備的な復帰処理にて駆動を開始するための条件等が異なっている。
図21および図22は、第3実施形態に係る「露光直後のセンタリング動作」を示す図である。図21に示すように、この第3実施形態においては、第2実施形態と同様に、ヨー方向の復帰処理(ステップSP70)の前に、アクチュエータ7yによるピッチ方向(Y方向)に関する予備的な復帰処理(ステップSP50c)がさらに実行される。また、図22は、このステップSP50cの詳細動作を示す図である。ただし、ステップSP50cにおいては、図22に示すように、ステップSP50b(図15)(すなわちステップSP90(図12))と異なる処理が実行される。
図22に示すように、ステップSP51において、撮像素子5のピッチ位置(Y位置)が取得されるとともに、当該ピッチ位置と基準位置とのズレ量ΔYも算出される。そして、このズレ量ΔYが許容範囲TL2内であるか否かが判定される(ステップSP52)。詳細には、ズレ量ΔYが−Th2以上且つ+Th2以下であれば、ズレ量ΔYが許容範囲TL2内であると判定される。ここで、値Th2は、上記の値Th1(例えば、50マイクロメートル)よりも大きな値(例えば、200マイクロメートル)である。すなわち、許容範囲TL2は、許容範囲TL1よりも広い範囲として設定される。
ズレ量ΔYが許容範囲TL2を超えていると判定されるときには、ステップSP56に進む。ステップSP56では、ズレ量ΔYに応じたピッチ方向駆動用の駆動パラメータ(具体的には、アクチュエータ7yのPWM制御におけるデューティー比)が算出されるとともにピッチ方向の駆動動作が実行され、ステップSP51に戻る。
一方、ズレ量ΔYが許容範囲TL2内であると判定されるときには、ステップSP52からステップSP53に進む。ステップSP53においては、ピッチ方向における駆動動作が既に開始されているか否かが判定される。
ピッチ方向における駆動動作が未だ開始されていない場合には、ステップSP50の処理を終了する。すなわち、ピッチ方向における未駆動状態においてズレ量ΔYが既に許容範囲TL2内であると判定されるときには、撮像装置1は、ピッチ方向における駆動動作を開始することなく、当該ピッチ方向における復帰処理(補正動作)を終了する。
ピッチ方向における駆動動作が既に開始されている場合には、ステップSP53からステップSP58に進む。ステップSP58においては、ピッチ方向における駆動動作が停止される。
このようにして、ピッチ方向の駆動動作が開始されていない状態においてズレ量ΔYが許容範囲TL2内である場合には、撮像装置1は、ピッチ方向における駆動動作を実行することなくピッチ方向における補正動作を終了する。また、ズレ量ΔYが許容範囲TL2を超えている場合には、撮像装置1はピッチ方向における駆動動作を実行する。そして、ズレ量ΔYが許容範囲TL2内に収まっていることが確認されると、撮像装置1は当該ピッチ方向における駆動動作を直ちに停止する。
換言すれば、撮像装置1は、予備的な復帰処理(ステップSP50c)の開始時点において撮像素子5のズレ量ΔYが許容範囲TL2内に収まっているときには、アクチュエータ7yによる駆動動作を開始せずに当該予備的な復帰処理を終了する。また、予備的な復帰処理(ステップSP50c)の開始時点において撮像素子5のズレ量ΔYが当該許容範囲TL2を超えているときには、撮像装置1はアクチュエータ7yによる駆動動作を開始する。そして、当該予備的な復帰処理においてアクチュエータ7yによる駆動動作が開始された後、撮像素子5のズレ量ΔYが許容範囲TL2内に収まっている旨が一の時点で判定されることに応答して、撮像装置1はアクチュエータ7yによる駆動動作を直ちに停止する。
以上のようにして、露光直後のセンタリング動作が実行される。
このような第3実施形態によれば、露光直後のセンタリング動作において、第2実施形態と同様に、3回のセンタリング駆動が行われるため、「軸ズレ」に起因する誤差を低減することが可能である。
また、第3実施形態においては、「露光直後のセンタリング動作」の開始直前の第2の方向(Y方向)におけるズレ量ΔYが許容範囲TL2内に収まっている場合には、予備的な復帰処理において実際の駆動動作が行われない。したがって、センタリングに要する時間を短縮することが可能である。すなわち、軸ズレに起因する誤差を低減しつつセンタリング時間を短縮することが可能である。
特に、許容範囲TL2は、許容範囲TL1よりも広い。したがって、予備的な復帰処理において実際の駆動動作が行われない可能性を高めることができるので、センタリングに要する時間を短縮することが可能である。すなわち、高速化を図ることが可能である。
また、第3実施形態においては、予備的な復帰処理にて駆動が開始された後、ズレ量ΔYが許容範囲TL2内に収まっていることが一の時点で確認されると、撮像装置1は当該ピッチ方向における駆動動作を直ちに停止する。したがって、複数の時点での確認を行う場合に比べて、および/または、ズレ量ΔYが許容範囲TL1内で収まっているか否かを判定する場合に比べて、予備的な復帰処理を比較的早期に終了することができる。この点においても高速化を図ることが可能である。
なお、予備的な復帰処理においては、許容範囲TL1よりも広い許容範囲TL2内にズレ量ΔYが納まるように駆動される。そのため、予備的な復帰処理後におけるY方向のズレ量ΔYは第2実施形態に比べると若干増大し、ひいては、最終的なX方向のズレ量ΔXも第2実施形態に比べると若干増大する。しかしながら、予備的な復帰処理においてY方向のズレ量を許容範囲TL2内に予め低減しておくことによれば、第2の復帰処理(ステップSP90)時におけるY方向の移動量を充分に低減することができる。したがって、第2の復帰処理後のX方向における残留誤差を充分に低減することができる。
<4.第4実施形態>
第4実施形態は、第3実施形態に係る変形例である。
第3実施形態においては、予備的な復帰処理がY方向に関するものであり、次に、X方向に関する復帰処理が行われ、最後にY方向に関する復帰処理が行われる場合を例示した。換言すれば、第1の方向としてX方向を採用し且つ第2の方向としてY方向を採用する場合を例示した。
この第4実施形態においては、第3実施形態と異なる順序で各方向に関する処理が行われる場合を例示する。すなわち、この第4実施形態では、第3実施形態における駆動順序とは別の駆動順序で3回の復帰処理が行われる。具体的には、第4実施形態においては、X方向に関する予備的な復帰処理が先ず行われ、次に、Y方向に関する復帰処理が行われ、最後にX方向に関する復帰処理が行われる場合を例示する。なお、このような態様は、第3実施形態とは逆に、第1の方向としてY方向を採用し且つ第2の方向としてX方向を採用する態様である、とも表現される。あるいは、当該態様は、アクチュエータ7xによるX方向に関する予備的な復帰処理と上記の第2の復帰処理(ステップSP90)と上記の第1の復帰処理(ステップSP70)とをこの順序で実行する態様である、とも表現される。
図23および図24は、第4実施形態に係る動作を示すフローチャートである。
図23に示されるように、まず、ステップSP60において、ヨー方向(X方向)に関する予備的な復帰処理が行われる。つぎに、ステップSP90の処理、すなわちピッチ方向(Y方向)に関する復帰処理が行われる。そして、最後に、ステップSP70の処理、すなわちヨー方向(X方向)に関する復帰処理が行われる。
図24は、ステップSP60(SP60d)の詳細動作を示している。ステップSP60dにおいては、上記のステップSP50c(図22)と同様の動作が実行される。ただし、ステップSP60dの動作は、ピッチ方向(Y方向)ではなくヨー方向(X方向)に関するものである点で、ステップSP50cと相違する。
詳細には、予備的な復帰処理(ステップSP60d)においては、その開始時点において撮像素子5のズレ量ΔXが許容範囲TL2内に収まっているときには、撮像装置1は、アクチュエータ7xによる駆動動作を開始せずに当該予備的な復帰処理を終了する。また、予備的な復帰処理(ステップSP60d)の開始時点において撮像素子5のズレ量ΔXが当該許容範囲TL2を超えているときには、撮像装置1はアクチュエータ7xによる駆動動作を開始する。そして、当該予備的な復帰処理においてアクチュエータ7xによる駆動動作が開始された後、撮像素子5のズレ量ΔXが許容範囲TL2内に収まっている旨が一の時点で判定されることに応答して、撮像装置1はアクチュエータ7xによる駆動動作を直ちに停止する。
また、図25〜図27は、第4実施形態に係るセンタリング動作を示す図である。図25〜図27を参照しながら、動作の一例について説明する。これらの図においては、撮像素子5の中心位置が黒点で示されている。なお、露光直後においては撮像素子5の中心位置が図16の位置PG0に存在するものとする。
まず、図25に示すように、X方向における予備的な復帰処理によって、X方向のズレ量が許容範囲TL2(TL4とも表記する)内に収まる。なお、図25ではX方向のズレ量が理想的にゼロに補正された状態が示されている。
次に、図26に示すように、Y方向における復帰処理(ステップSP90)によって、Y方向のズレ量が許容範囲TL1(TL3とも表記する)内に収まる。なお、図26ではY方向のズレ量が理想的にゼロに補正された状態が示されている。また、この復帰処理(ステップSP90)においては、軸ズレの影響によって、X方向のズレが再び生じている。
さらに、図27に示すように、X方向における復帰処理(ステップSP70)によって、X方向のズレ量が許容範囲TL1(TL3とも表記する)内に収まる。なお、図27ではX方向のズレ量が理想的にゼロに補正された状態が示されている。このとき、Y方向にも誤差が残留しているが、この誤差は非常に小さな値になる。
このような動作によれば、第3実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
なお、ここでは、ステップSP60として、ステップSP60d(図24)の処理を行う場合を例示したが、これに限定されない。例えば、ステップSP60としてステップSP70と同様の処理を行うようにしてもよい。これによれば、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
<5.第5実施形態>
第5実施形態は、第3実施形態および第4実施形態の変形例である。この第5実施形態においては、第3実施形態における駆動順序(Y方向→X方向→Y方向)によるセンタリング制御手法と、第4実施形態における駆動順序(X方向→Y方向→X方向)によるセンタリング制御手法との双方が予め準備される。そして、両センタリング制御手法のうち何れの制御手法を採用するかが所定の基準に基づいて決定される。具体的には、センタリング動作直前での撮像素子5の位置に基づいて、採用すべきセンタリング制御手法が決定される。より詳細には、センタリング動作直前での撮像素子5の位置に基づいて、X方向およびY方向に関する各ズレ量ΔX,ΔYが算出される。そして、両ズレ量ΔX,ΔYのうち比較的小さなズレ量に対応する方向を予備的な復帰処理での駆動方向とするセンタリング制御手法が、採用すべきセンタリング制御手法として決定される。
図28は、第5実施形態に係る「露光直後のセンタリング動作」を示すフローチャートである。
図28に示すように、この第5実施形態においては、まず、ステップSP101において、撮像素子5の現在位置と基準位置とが参照され、ヨー方向(X方向)のズレ量ΔXとピッチ方向(Y方向)のズレ量ΔYとがそれぞれ取得される。
つぎに、ステップSP102において、ピッチ方向のズレ量ΔYがヨー方向のズレ量ΔXよりも小さい場合には、第3実施形態と同様のセンタリング制御手法が採用される。すなわち、ステップSP50c,SP70,SP90の各処理がこの順序で実行される。一方、ピッチ方向のズレ量ΔYがヨー方向のズレ量ΔXよりも大きい場合には、第4実施形態と同様のセンタリング制御手法が採用される。すなわち、ステップSP60d,SP90,SP70の各処理がこの順序で実行される。
このような態様によれば、第3実施形態あるいは第4実施形態と同様の効果を得ることができる。たとえば、ピッチ方向のズレ量ΔYおよびヨー方向のズレ量ΔXがともに当初に許容範囲TL2外である場合には、3回の駆動動作によって、軸ズレに起因する誤差を低減することが可能である。すなわち、軸ズレが存在する場合でも、当該軸ズレに起因する誤差を低減して高精度にセンタリング動作を行うことが可能である。
また、この第5実施形態においては、2つのセンタリング制御手法のうちの一方の制御手法が適宜に選択されて実行される。したがって、より適切なセンタリング手法が実行され得る。
より具体的には、この第5実施形態においては、2つの駆動方向(X方向およびY方向)のうち比較的小さなズレ量に対応する方向が予備的な復帰処理の対象方向として採用される。その結果、センタリング動作開始直前における各方向のズレ量ΔX,ΔYのうち、一方の方向におけるズレ量が所定の許容範囲TL2に収まっている場合には、予備的な復帰処理において実際の駆動動作が行われない。したがって、センタリングに要する時間を特に短縮することが可能である。すなわち、高速化を図ることが可能である。
例えば、ピッチ方向のズレ量ΔYが当初から所定の許容範囲TL2外であり且つヨー方向のズレ量ΔXが当初から所定の許容範囲TL2内である場合を想定する。この場合には、ステップSP102からステップSP60dに進む。そして、予備的な復帰処理の対象方向としてヨー方向が採用されるとともに、当該予備的な復帰処理ではヨー方向における実際の駆動動作は実行されない。さらに、ピッチ方向の復帰処理とヨー方向の復帰処理とがこの順序で引き続き実行される。予備的な復帰処理ではヨー方向における実際の駆動動作は実行されないため、3回の復帰処理に要する合計時間を短縮することが可能である。なお、この場合には、結果的に第4実施形態と同様の動作が行われる。ただし、第3実施形態の動作が実行された場合と比較すると、予備的な復帰処理における駆動動作が実行されないため、センタリング動作に要する合計時間を短縮することが可能である。
このように、第5実施形態によれば、第3実施形態あるいは第4実施形態のように予備的な復帰処理における駆動方向が固定されている場合に比べて、予備的な復帰処理において実際の駆動動作が行われない可能性をさらに高めることができる。したがって、センタリングに要する時間を短縮することが可能である。
特に、ここでは、予備的な復帰処理におけるズレ量の許容範囲として、上記の許容範囲TL1(TL3)よりも広い許容範囲TL2(TL4)が採用されている。そのため、予備的な復帰処理において実際の駆動動作が行われない可能性をさらに高めることができる。ただし、これに限定されず、予備的な復帰処理におけるズレ量の許容範囲としても、上記の許容範囲TL1を採用するようにしてもよい。
<6.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
たとえば、上記各実施形態においては、露光直後のセンタリング動作に、本発明の思想を適用する場合を例示したが、これに限定されない。換言すれば、上記各実施形態とは異なるタイミングで行われるセンタリング動作等に上記の思想を適用してもよい。
具体的には、レリーズボタン11が半押し状態S1に押下されたことに応じて実行されるセンタリング動作(端的に言えばS1オン時のセンタリング動作)に対して、本発明の思想を適用するようにしてもよい。図29は、このような変形例に係る態様を示すタイミングチャートである。図29に示すように、レリーズボタン11が半押し状態S1にされるときには、AF動作(AFレンズの駆動動作)が実行される。このとき、AF動作に対してセンタリング動作が同時に実行される状況を想定する。
図29に示すように、電池からの供給電流の瞬間的な最大許容値が例えば値Ih0から値Ihdへと低減されると、従前のセンタリング動作に要する電流Ict2(=2×Ict)とAF動作に要する電流Iaf等との総和が当該値Ihdを超えることがある。この場合には、安定的にセンタリング動作を実行することができない。また、センタリング動作をAF動作の終了後に行うこと(すなわち両動作を逐次的に行うこと)も可能であるが、その場合には、両動作が完了するまでの時間が長くなる。
そこで、図29の変形例においては、センタリング動作を上記各実施形態と同様に2つの軸方向に分離して逐次に実行する。これによれば、センタリング動作における瞬間的な最大電流値を例えば値Ict2(=2×Ict)から値Ictへと約半分に抑制することができる。これにより、センタリング動作とAF駆動動作(自動合焦動作)とを同時に(並列的に)実行することが可能になる。すなわち、瞬間的な総消費電流を低減して、ブレ補正装置におけるセンタリング動作と当該センタリング動作以外の動作との同時実行の許容性を高めることが可能である。
あるいは、レリーズボタン11が全押し状態S2に押下された直後に行われる「露光直前のセンタリング動作」において、上記と同様の思想を適用するようにしてもよい。これによれば、ミラーアップ動作等とセンタリング動作との同時実行が許容され易くなる。
また、上記各実施形態においては、初期センタリング動作においては「2軸同時駆動動作」が実行され、「2軸逐次駆動動作」は実行されていないが、これに限定されない。例えば、初期センタリング動作においても、「2軸逐次駆動動作」が実行されるようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、ブレ補正制御部21がブレ補正機構7の外部に設けられる場合を例示したが、これに限定されない。例えば、ブレ補正制御部21と同様の制御部をブレ補正機構7に内蔵することによって、ブレ補正装置を構成するようにしてもよい。
また、上記各実施形態等においては、撮像素子5を駆動して撮像装置1のブレを補正する技術について例示したが、これに限定されず、撮像素子5以外の撮像要素を駆動して撮像装置1に関するブレを補正するようにしてもよい。例えば、撮影レンズユニット3におけるレンズ群37(図3)の一部のレンズを、光軸に垂直な平面内の2方向に駆動することによって、撮像装置1に関するブレを補正するようにしてもよい。より詳細には、ブレ補正ユニット(ブレ補正装置)内蔵の交換式撮影レンズ等において上記の思想を適用するようにしてもよい。