JP4045790B2 - インクジェット記録システムおよびインクジェット記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療におけるX線画像診断の産業分野に関する。とくにX線画像を診断目的にプリントするインクジェット記録システムおよびインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線発見以来この百年間、蛍光増感紙とX線フィルムとを組み合わせたスクリーン・フィルムシステム(SFシステム)がX線画像形成に用いられてきている。
【0003】
すなわち、X線が蛍光増感紙に照射されると、青色もしくは緑色の可視光をX線強度に比例して発光し、その光でハロゲン化銀写真フィルムが感光し、現像処理後に銀画像としてX線画像を得るものである。しかしながらSFシステムの画質は極めて良好であるが、画像を得るためには水を用いた現像処理が必要であって、その現像液や定着液が廃液として生じる。これは環境上好ましいものではない。また、水を扱う現像処理は極めて煩雑で、厄介な仕事である。
【0004】
近年X線画像撮影において、SFシステムに代わってコンピューテッド・ラジオグラフィ(CR)やフラットパネルX線ディテクタ(FPD)など、X線画像のデジタル電気信号を取り出すシステムが登場している。また、X線CTやMRIなどの新しいモダリティはデジタル画像として画像診断に供せられる(図4参照)。
【0005】
これらのデジタル医用画像システムでは、画像の撮影のために従来のようなX線フィルムを用いないので、現像処理など煩雑はプロセスがなく、迅速に陰極管(CRT)ディスプレイ上や液晶表示パネルなどのモニター上にX線画像を得ることができる。
【0006】
しかしCRTディスプレイ上では描出できる画像濃度領域に限界があり、そしてCRTディスプレイの発光輝度が1年足らずで大きく低下するなどの不都合があるため、X線画像を精査したりカンファランスやインフォームドコンセント等に使用する場合には、X線画像のハードコピーを得る必要がある。また医用画像を表示するには大型液晶表示パネルを必要とするが、これは大変高価である。
【0007】
そこで、このハードコピーを得る方法には従来のハロゲン化銀フィルム上に、CRやFPDから得たX線画像の電気信号をレーザ光強度に置き換えて焼き付け、現像処理を行って画像形成する方法がある。また、近年は有機酸銀塩を使用して、従来のウエット処理を必要としない銀塩ドライフィルムが使用されるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これは従来のSFシステム同様に高価な銀を用い、製造工程が煩雑でかつ製造コストが高い。
【0009】
一方、銀資源を必要とせずに染料で画像を形成する方法としては、感熱転写方式や昇華型プリンタがある。
しかしながら、上記感熱転写の場合は、記録された画像のインクがインクリボンからフィルム最表面に転写されており、取り扱いによってはインクがはがれるなどの不具合がある。
【0010】
また、昇華プリンタの場合は医用診断画像として十分な濃度がのらないという不具合があり、また、感熱転写同様に画像形成後にインクリボンなどの廃棄物が生ずるという問題もある。
【0011】
そこで、以上の感熱転写や昇華型プリンタの欠点を解消するものとして、インクジェットプリンタの存在が挙げられる。
インクジェットプリンタでは入力電気信号に従って、例えば結晶のピエゾ効果などを利用して、微量の液状インクを連続的に噴出し、インクジェット記録媒体に着弾することにより画像を形成するものである。従って感熱転写方式や昇華型プリンタのように、使用後のインクリボンの廃棄する必要はない。さらに銀塩写真のような階調性のよい画像得るためには複数の濃度のインクを用い、さらに媒体のインク吸収量を増すためにインク吸収層をもつインクジェット記録媒体が使用される。とくに空隙型インク受容層をもつ媒体に記録するとき、画像は空隙型インク受容層内部のインク吸収層(受像層)で形成されるために、インクの転写などの不都合は起こらない。
【0012】
このインクジェットプリンタでは高価な銀資源を使用しない。そして現像処理剤などを使用していないために、ランニングコストがかからない。また画像の使用目的に最適な画像を描くために、最適なインク及び記録媒体を使用し、またインク受容層をもつ適切な記録媒体を用いることによって、CRやFPDから得られるデジタル画像信号を用いて良好な画質のX線画像を描くことができる。
【0013】
ここで、インクジェット画像は水に染料を溶かしたインクジェット記録液が用いられる。水を用いない非水溶媒のインクジェット記録液は、溶媒の臭いや材料コストが高いなどの欠点がある。この水に染料を溶解したインクジェット記録液は、インクジェットプリンタのインクヘッドから所定量の液滴としてインク受容層をもつ記録媒体に噴射して画像が描かれる。この画像形成後もインクジェット記録液の溶媒である水などが存在し、とくにこの溶媒が蒸発しづらい湿度の高い環境でこのインクジェット画像を保存すると、いわゆる“インク滲み”が生じてしまう欠点がある。この欠点は染料を含有するインクジェット記録液を用いるインクジェット記録画像の最大の欠点である。
【0014】
一方、診断に用いられる医用画像は、日本では少なくとも5年間の保存義務が法令で定められており、また症例によっては5年以上の長期保存が行なわれる。この保存期間にインク滲みによる画像劣化が生ずると、画像の鮮鋭性が劣化してボケた画像に変質してしまい、プリント直後に診断した画像を再度読影することができず、画像保存の目的を達することができない。
【0015】
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであって、医療、特に、X線画像を診断目的にプリントするに適したインクジェット記録システムおよびインクジェット記録媒体を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
すなわち、以下の(1)〜(12)に述べるそれぞれの解決手段によって解決されるものである。
【0017】
(1)の発明は、透明なシート状のインクジェット記録媒体に対してインクジェット記録液をノズルより噴出させてインクジェット記録を行うインクジェット記録システムであって、前記インクジェット記録液は、一般式(1)、(2)、(3)で表される色素の少なくとも一つを含む黒色を呈するポリマー粒子の水分散体のインクジェット記録液である、ことを特徴とする
【0018】
【化2】
Figure 0004045790
【0019】
〔一般式の式中X1はカプラー残基を表し、Yは5員もしくは6員の芳香族炭素環または複素環を形成する原子の集まりを表す。式中のR1,R2,R3は水素原子、ハロゲン原子又は1価の置換基を表し、nは0、1又は2を表す。〕
(2)請求項記載の発明は、透明なシート状のインクジェット記録媒体に対してインクジェット記録液をノズルより噴出させてインクジェット記録を行うインクジェット記録システムであって、前記インクジェット記録液は、一般式(4)で表される色素を含む黒色を呈するポリマー粒子の水分散体のインクジェット記録液である、ことを特徴とするインクジェット記録システムである。
【0020】
【化3】
Figure 0004045790
【0021】
〔式中X2・X3は置換基を表すが、X2及びX3の少なくとも一方は、上記一般式(5)〜(15)で表される基であり、X2及びX3は互いにに同じであっても異なっていてもよい。式中R10〜R24は水素原子又は1価の置換基を表す。Zは5〜6員の各々置換基を有してもよい含窒素複素環を形成する原子の集まりを表し、該複素環は更に別の環と縮合環を形成しても良い。mは0〜4、nは0〜2、qは0〜3を表す。〕
(3)の発明は、透明なシート状のインクジェット記録媒体に対してインクジェット記録液をノズルより噴出させてインクジェット記録を行うインクジェット記録システムであって、前記インクジェット記録液は、一般式(16)で表される色素を含む黒色を呈するポリマー粒子の水分散体のインクジェット記録液である、ことを特徴とする
【0022】
【化4】
Figure 0004045790
【0023】
〔式中X1はカプラー残基を表し、Dは窒素原子または=CR5−を表す。R5は水素原子、ハロゲン原子又は一価の置換基を表し、Bは上記一般式(17)〜(26)で表される基である。式中R25は各々水素原子、ハロゲン原子、各々置換基を有しても良いアルキル基、アリール基、−OR6、−SR6、−NR7R8(R6は水素原子、各々置換基を有しても良いアルキル基、またはアリール基を表し、R7は各々置換基を有しても良いアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基をあらわし、R8はR7と同義である。R7はR8と互いに結合して窒素原子とともに環を形成してもよく、R7、R8は互いに同じであっても異なっていても良い)又は水酸基の塩を表し、mは0〜4、nは0〜2、qは0〜3を表す。m、n、qがそれぞれ2以上の時複数あるR25はそれぞれ同じでも異なっていても良く、また環を形成しても良い。〕
(4)また、他の発明は、透明なシート状のインクジェット記録媒体に対してインクジェット記録液をノズルより噴出させてインクジェット記録を行うインクジェット記録システムであって、前記インクジェット記録液は、一般式(27)で表される色素を含む黒色を呈するポリマー粒子の水分散体のインクジェット記録液である、ことを特徴とする
【0024】
【化5】
Figure 0004045790
【0025】
〔式中X1はカプラー残基を表し、Dは窒素原子又は=CR5−を表す。Y1、Y2は各々CR4又は窒素原子を表し、且つYl、Y2の少なくとも一つは窒素原子である。R4、R5は各々は水素原子ハロゲン原子又は各々置換基を有しても良いアルキル基、シクロアルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ甚、アラルキル基、アルキルスルフィニル基、アシルアミノ基、スルフォニルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基、アミノ基、アルキルスルフォニル基、スルファモイル基、アルキルカルボニル基を表す。AはNR7R8基(R7、R8は同じであっても異なっていても良い。R7は各々置換されていても良いアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基をあらわし、R8はR7と同義である。R7はR8と互いに結合して窒素原子とともに環を形成してもよく、またR4と結合して環を形成しても良い)、OH基または水酸基の塩をあらわす。qは0〜3を表す。qが2又は3の時、R4は同じであっても異なっていても良い。〕
(5)また、他の発明は、透明なシート状のインクジェット記録媒体に対してインクジェット記録液をノズルより噴出させてインクジェット記録を行うインクジェット記録システムであって、前記インクジェット記録液は、一般式(28)で表される色素を含む黒色を呈するポリマー粒子の水分散体のインクジェット記録液である、ことを特徴とする
【0026】
【化6】
Figure 0004045790
【0027】
〔式中AはNR7R8基(R7、R8は同じであっても異なっていても良い。R7は各々置換されていても良いアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基をあらわし、R8はR7と同義である。R7はR8と互いに結合して窒素原子とともに環を形成してもよく、またR6と結合して環を形成しても良い)、OH基または水酸基の塩をあらわす。Y1、Y2は各々CR6または窒素原子を表し、かつY1、Y2の少なくとも1つは窒素原子である。Zは5,6員の各々置換基を有しても良い含窒素複素環を形成する原子群を表し、該複素環は更に別の環と縮合環を形成しても良い。R6は水素原子、ハロゲン原子、または各々置換基を有しても良いアルキル基、シクロアルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アルキルスルフィニル基、アシルアミノ基、スルフォニルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基、アミノ基、アルキルスルフォニル基、スルファモイル基を表し、R5は各々置換基を有しても良いアルキル基、シクロアルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アルキルスルフィニル基、アシルアミノ基、スルフォニルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基、アミノ基、アルキルスルフォニル基、スルファモニル基を表す。qは0〜3を表す。qが2又は3の時、R6は同じであっても異なっていても良い。〕
(6)請求項記載の発明は、前記インクジェット記録液は、ポリマー粒子の平均粒径が20〜200nmであるインクジェット記録用水系インクである、ことを特徴とする請求項記載のインクジェット記録システムである。
【0028】
(7)請求項記載の発明は、透過画像最高濃度が2.60以上4.00以下のモノクロ画像を記録する、ことを特徴とする請求項1または請求項に記載のインクジェット記録システムである。
【0029】
(8)請求項記載の発明は、使用するインクジェット記録液の濃度の種類が、3種類以上6種類以下である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のインクジェット記録システムである。
【0030】
(9)請求項記載の発明は、X線画像の形成に用いられる、ことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のインクジェット記録システムである。
【0031】
(10)請求項記載の発明は、請求項1乃至請求項に記載のインクジェット記録システムに使用されるインクジェット記録媒体であって、前記インクジェット記録媒体は、透明な樹脂で構成された支持体を有し、前記支持体の非記録面には微粒子を分散させたバッキング層が形成され、前記支持体の記録面には空隙を有するインク受容層が形成されている、ことを特徴とするインクジェット記録媒体である。
【0032】
(11)請求項記載の発明は、前記インク受容層は、像を担持するための受像層と、インクジェット記録液の溶媒を吸収するための溶媒吸収層と、で構成される、ことを特徴とする請求項記載のインクジェット記録媒体である。
【0033】
(12)請求項記載の発明は、角丸を4つの角にもち、75μm以上250μm以下の厚さを有する無色もしくは青く着色した樹脂よりなり、少なくとも1面に空隙型インク受容層を少なくとも1層有する、ことを特徴とする請求項6または請求項に記載のインクジェット記録媒体である。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、インクジェット記録システムおよびインクジェット記録媒体に関する本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は、実施の形態の説明文に示した具体例に限定されるものではない。
【0035】
〈インクジェット記録システム〉
本発明の実施の形態例におけるインクジェット記録システムについて、図2にその基本構成を示す。すなわち、本実施の形態例の「インクジェット記録システム」は、「インクジェット記録液」、「インクジェット記録装置」そして「インクジェット記録媒体」の三者で構成される。
【0036】
〈インクジェット記録装置〉
図1は医用インクジェット記録装置の画像記録に関する機能ブロックを説明するブロック図である。このインクジェット記録装置は、入力画像信号を受けて、必要あれば画像処理を行なう。すなわち入力画像の画素サイズと出力画像の画素サイズがずれたときの画像補間や、画像を任意の大きさにプリントするための処理などである。画像処理後にそのデータ信号にもとづき、インク供給、記録ヘッドからのインクの吐出、そしてインクジェット記録媒体の搬送等のコントロールが行なわれる。
【0037】
具体的には、この実施の形態例の医用インクジェット記録装置100は、インクの吐出により画像記録を行う記録手段として、記録ヘッドユニット120を有している。
【0038】
制御手段101は本実施の形態例の医用インクジェット記録装置100の各部を制御する。また、制御手段101は、本実施の形態例の特徴である制御として、インクジェット記録媒体へのインク付着量の制御も行う。
【0039】
110は外部の医用撮影装置やストレージ装置からの画像信号が入力され、必要な画像処理を実行する画像処理手段である。なお、外部からの画像信号の入力は、各種ネットワークを介したものであってもよい。この画像処理手段110で処理された画像信号が制御手段101に送られる。
【0040】
記録ヘッドユニット120には、濃度の異なる複数種類(この図1では、一例として4種類)の黒インクK1〜K4の記録ヘッド120a〜120dが一列に設けられており、制御手段101がら画像信号に応じた記録ヘッド制御信号が供給されている。これらの記録ヘッド120a〜120dは、一体化されていてもよいし、個別に設けられていてもよい。このように、複数種類の異なる黒インクを用いて画像を形成することで、医療用診断を目的とする画像として、高画質、多階調の画像を得ることができる。インクジェット記録ヘッドのインク吐出機構はピエゾ効果を用いたものでも、瞬時にインクを加熱したとき生ずる気泡(バブル)形成の力を用いたインクジェット方式でもよい。なお、好ましいインクの種類については、後述する。
【0041】
また、後述するように、インクジェット記録液として、金属イオンと2座以上で配位結合可能な水溶性染料を含有する第1のインクジェット記録液と、染料と反応して黒色を呈する錯体形成可能な金属イオンを含有化合物を含有する第2のインクジェット記録液と、を用いる場合には、この2種類のインクジェット記録液を噴出可能な記録ヘッドであるとする。
【0042】
131はインクジェット記録媒体4を主走査方向に搬送する搬送ローラである。140は、記録ヘッドを副走査方向に搬送する記録ヘッド搬送手段である。ここで、搬送ローラ131は、インクジェット記録媒体搬送信号に基づき、インクジェット記録媒体4を矢印A方向へ搬送する。また、このインクジェット記録媒体4の搬送方向に対して直行する方向Bに移動可能に、記録ヘッドユニット120を移動させる記録ヘッド搬送手段140が配置されている。
【0043】
ここで、記録ヘッド搬送手段140は記録ヘッド搬送信号に基づき記録ヘッドユニット120を有を矢印B方向へ移動させ、各記録ヘッド120a〜120dは記録ヘッド制御信号に基づきインクジェット記録媒体4上に画像を形成する。制御手段101には、画像処理手段110から画像信号が送られ、この画像処理手段110には、外部の撮影装置やストレージ装置からの画像信号が入力される。なお、画像処理の入力はネットワークを介したものであってもよい。
【0044】
〈インクジェット記録液〉
なお、本実施の形態例のインクジェット記録システムでは、以下の(a)〜(i)のような特徴を有している。
【0045】
(a)透明なシート状のインクジェット記録媒体に対してインクジェット記録液をノズルより噴出させてインクジェット記録を行うインクジェット記録システムであって、前記インクジェット記録液は、前述した、一般式(1)、(2)、(3)で表される色素の少なくとも一つを含む黒色を呈するポリマー粒子の水分散体のインクジェット記録液である、ことを特徴とするインクジェット記録システムである。
【0046】
(b)透明なシート状のインクジェット記録媒体に対してインクジェット記録液をノズルより噴出させてインクジェット記録を行うインクジェット記録システムであって、前記インクジェット記録液は、前述した、一般式(4)で表される色素を含む黒色を呈するポリマー粒子の水分散体のインクジェット記録液である、ことを特徴とするインクジェット記録システムである。
【0047】
(c)透明なシート状のインクジェット記録媒体に対してインクジェット記録液をノズルより噴出させてインクジェット記録を行うインクジェット記録システムであって、前記インクジェット記録液は、前述した、一般式(16)で表される色素を含む黒色を呈するポリマー粒子の水分散体のインクジェット記録液である、ことを特徴とするインクジェット記録システムである。
【0048】
(d)透明なシート状のインクジェット記録媒体に対してインクジェット記録液をノズルより噴出させてインクジェット記録を行うインクジェット記録システムであって、前記インクジェット記録液は、前述した、一般式(27)で表される色素を含む黒色を呈するポリマー粒子の水分散体のインクジェット記録液である、ことを特徴とするインクジェット記録システムである。
【0049】
(e)透明なシート状のインクジェット記録媒体に対してインクジェット記録液をノズルより噴出させてインクジェット記録を行うインクジェット記録システムであって、前記インクジェット記録液は、前述した、一般式(28)で表される色素を含む黒色を呈するポリマー粒子の水分散体のインクジェット記録液である、ことを特徴とするインクジェット記録システムである。
【0050】
(f)上記(a)〜(e)において、前記インクジェット記録液は、ポリマー粒子の平均粒径が20〜200nmであるインクジェット記録用水系インクである。
(g)上記(a)〜(f)において、透過画像最高濃度が2.60以上4.00以下のモノクロ画像を記録する、ことを特徴とする。
【0051】
(h)上記(a)〜(g)において、使用するインクジェット記録液の濃度の種類が、3種類以上6種類以下である、ことを特徴とする。
(i)上記(a)〜(h)において、X線画像の形成に用いられる、ことを特徴とする。
【0052】
また、本発明の実施の形態例で使用されるインクジェット記録液については、以下のようになっている。
本発明の実施の形態例の一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(16)及び一般式(27)において、X1は、カプラー残基を表し、具体的には、5−ピラゾロオン、イミダゾール、ピラゾロビロール、ピラゾロイミダゾール、ピラゾロトリアゾール、ピラゾロテトラゾール、ピラゾロピリミジン−7−オン、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ローダニン、ヒダントイン、チオヒダントイン、オキサゾロン、イソオキサゾロン、インダンジオン、ピラゾリジンジオン、オキサゾリジンジオン、ヒドロキシピリドン、ピラゾロピリドン、シクロヘキサジエノンなどの各残基が挙げられる。
【0053】
好ましい例としては、下記の一般式(29)〜(39)が挙げられる。
【0054】
【化7】
Figure 0004045790
【0055】
式中R10〜R24は水素原子又は1価の置換基を表す。Zは5〜6員の各々置換基を有してもよい含窒素複素環を形成する原子の集まりを表し、該複素環は更に別の環と縮合環を形成しても良い。mは0〜4、nは0〜2、qは0〜3を表す。
【0056】
1価の置換基とは、アルキル基(炭素数1〜12のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アラルキル基(例えばベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(例えばフェニル基、P−トリル基、P−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基、m−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基等)、ヘテロ環式基(例えば2−ピリジル基、2−チエニル基、2−フリル基等)、アルコキシ基(炭素数1〜12のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、3−カルボキシプロポキシ基等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、p−メトキシフェニル基、o−メトキシフェノキシ基等)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3.5−ジスルホベンゾイルアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基、3−カルボキシベンゼンスルホニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば3−メチルウレイド基、3.3−ジメチルウレイド基、3−フェニルウレイド基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えばエトキシカルボニルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基、p−トリルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、カルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えばジメチルスルファモイル基、ジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基等)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、フェニルスルファモイル基等)、アシル基(アセチル基、ベンゾイル基等)およぴアミノ基(例えばメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等)が挙げられる。
【0057】
一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)において、Yで表される5員もしくは6員の芳香族炭素環又は複素環を形成する原子の集まりとして、好ましい具体例としては、ベンゼン環、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ナフタレン環、ベンゾフラン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンズオキサゾール環、プリン環、キノリン環、イソキノリン環、クマリン環、クロモン環、3H−ピロール環、3H−ピロリジン環、オキサゾリジン環、イミダゾリジン環、チアゾリジン環、3H−インドール環、インダンジオン環等を挙げることができる。
【0058】
これらの環は更に他の炭素環(例えばベンゼン環)や複素環(例えばピリジン環)と宿合環を形成してもよい。環上の置換基としてはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等であり、それらの基は更に置換されていても良い。
【0059】
水酸基の塩とは、好ましくは、以下の一般式(29)で表される。
一般式(29)
−O-+
式中M+は、1価の有機又は無機のカチオンを表し、無機のカチオンとして好ましくはナトリウム、カリウムのカチオンが挙げられる。有機のカチオンとしては有機塩基のプロトン付加体もしくは4級アンモニウムカチオンが好ましく、有機塩基として好ましくはアルキルアミン(例えば、メチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなど)、アリールアミン(例えば、アニリン、ジフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリンなど)、アミジン類(ベンズアミジン、アセトアミジン、1,5−ジアゾビシクロ(4,3,0)−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセンなど)、グアニジン類(例えばテトラメチルグアニジン、ジフェニルグアニジンジメチルジフェニルグアニジン、ジピペリドグアニジン、ビスグアニジンなど)、含窒素複素環化合物(例えば、ピリジン、キノリン、イミダゾール、ピロリジン、モルホリン、4−N,N−ジメチルアミノピリジンなど)が挙げられる。4級アンモニウムカチオンとしては例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムなどのカチオンが挙げられる。
【0060】
本発明の実施の形態例のインクジェット記録用水系インクに含有される色素は、実質的に水不溶性、且つ有機溶剤に可溶性であることが好ましい。本発明の実施の形態例において実質的に水不溶性とは、水に対する溶解度が0.1w%以下を表し、0.01w%以下であることがより好ましい。実質的に有機溶剤可溶性とは、有機溶剤に対する溶解度が1.0w%以上であることを表す。有機溶剤としては具体的に、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフランなどが挙げられ、好ましくは酢酸エチルが挙げられる。
【0061】
本発明の実施の形態例に係わるポリマーとしては、その数平均分子旦が500〜100000であることが、印刷後のインクの耐久性及びサスペンションの形成性の点から好ましい。該ポリマーのガラス転移点(Tg)は、各種用いることが可能であるが、用いるポリマーのうち、少なくとも1種はTgが10℃以上であることが好ましい。
【0062】
本発明の実施の形態例に係わるポリマーについては、その種類、物性などが例えば、POLYMER HANDBOOK第4版(JOHN WILEY&SONS,INC.)に記載されている。
【0063】
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリステレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸(メタクリル酸)エステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルプチラール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、アルキド樹脂、マレイン酸樹脂、ウレタンゴム、ポリカーボネート、ナイロン、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリホルムアルデヒド、エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0064】
これらのポリマーは置換基を有していてもよく、その置換基は直鎖状、分岐、或いは環状構造をとっていてもよい。
上記特定の官能基を有するポリマーは、各種のものが市販されているが、常法によって合成することもできる。又、これらの共重合体は、例えば1つのポリマー分子中にエポキシ基を導入しておき、後に他のポリマーと縮重合させたり、光や放射線を用いてグラフト重合を行っても得られる.
本発明の実施の形態例に係るインクジェット記録用水系インクにおいては、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、従来公知の各種添加剤、例えば多価アルコール類の様な湿潤剤、シリコーン系等の消泡剤、粘度調製剤、表面張力調製剤、比抵抗調製剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、クロロメチルフェノール系等の防黴剤及び/又はEDTA等のキレート剤、又、亜硫酸塩等の酸素吸収剤等、防錆剤等を添加することもできる。
【0065】
湿潤剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール及びそのエーテル、アセテート類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、トリエタノールアミン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物類、ジメチルサルフォキサイドの一種又は二種以上を使用することができる。これらの湿潤剤の配合量に特に制限はないが、上記インク中に好ましくは0.1〜50質量%配合することができ、更に好ましくは0.1〜30質量%配合することができる。
【0066】
分散剤としては、特に制限されるものではないが、そのHLB値が8〜18であることが、分敢剤としての効果が発現し、サスペンションの粒子径の増大抑制効果がある点から好ましい。分敢剤として市販品も使用することができ、例えば花王株式会社製の分敢剤デモールSNB,MS,N,SSL,ST,P(商品名)が挙げられる。
【0067】
分散剤の配合主に特に制限はないが、本発明の実施の形態例のインクジェット記録用水系インク中に、0.01〜10質量%配合されることが好ましい。該化合物の配合量が0.01質量%に満たないとサスペンションの小粒径化が困難であり、10質量%を超えるとサスペンションの粒径が増大したりサスペンション安定性が低下し、ゲル化するおそれがあるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0068】
消泡剤としては、特に制限なく、市販品を使用することができ、例えば信越シリコーン株式会社製のKF96、66、69、KS68、604、607A、602、603、KM73、73A、73E、72、72A、72C、72F、82F、70、71、75、80、83A、85、89、90、68−1F、68−2F(それぞれ商品名)等が挙げられる.これら化合物の配合量に特に制限はないが、本発明の実施の形態例に係る水系インク中に、0.001〜2質量%配合されることが好ましい。該化合物の配合量が0.001質量%に満たないとインク調製時に泡が発生し易く、又、インク内での小泡の除去が難しく、2質量%を超えると泡の発生は抑えられるものの、印字の際、インク内でハジキが発生し印字品質の低下が起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0069】
本発明の実施の形態例に係わるポリマー粒子の水分散体は、上記色素を含有するポリマーのサスペンションからなり、該サスペンションは各種の乳化法で製造することができる。
【0070】
乳化法としては、各種の方法を用いることができる。それらの例は、例えば「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開シーエムシー」の86ページの記載にまとめられている。本発明の実施の形態例においては、特に、超音波、高速回転せん断、高圧による乳化分散装置を使用することが好ましい。
【0071】
超音波による乳化分散では、いわゆるバッチ式と連続式の2通りが使用可能である.バッチ式は比較的少量の作製に適し、連続式は大量の作製に適する。連続式では、たとえば、UH−600SR(株式会社エスエムテー製)のような装置を用いることが可能である。このような連続式の場合、超音波の照射時間は、(分散室容積/流速×循環回数)で求められることができる。超音波照射装置が複数ある場合は、それぞれの照射時間の合計として求められる。超音波の照射時間は実際上3秒以上必要であり、それ以内で乳化が完了するのであれば、超音波乳化分散装置を必要としない。また、10000秒以上必要であると、工程の負荷が大きく、実際上は乳化剤の再選択などにより乳化分散時間を短くする必要がある。そのため10000秒以上は必要でない。更に好ましくは、10秒以上2000秒以内である。
【0072】
高速回転せん断による乳化分散装置としては、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開シーエムシー」の255〜256ページに記載されているようなディスパーミキサーや、251ページに記載されているようなホモミキサー、256ページに記載されているようなウルトラミキサーなどが使用できる。これらの型式は、乳化分散時の液粘度によって使いわけることができる。これらの高速回転せん断による乳化分散機では、撹拌翼の回転数が重要である。ステーターとのクリアランスは通常0.5mm程度で、極端に狭くはできないので、せん断力は主として撹拌翼の周速に依存する。周速が5m/s〜150m/sであれば本発明の実施の形態例の乳化・分散に使用できる。周速が遅い場合、乳化時間を延ばしても小粒径化が達成できない場合が多く、150m/sにするにはモーターの性能を極端に上げる必要がある。更に好ましくは20〜100m/sである。
【0073】
高圧による乳化分敢では、LAB2000(株式会社エスエムテー製)などが使用できるが、その乳化・分散能力は、試料にかけられる圧力に依存する。圧力は100kg/cm〜5000kg/cm以下が好ましい。また必要に応じて数回乳化・分散を行い、目的の粒径を得ることができる。圧力が低すぎる場合、何度乳化分散を行っても目的の粒径は達成できない場合が多く、一方圧力を5000kg/cmにするためには、装置に大きな負荷がかかり実用的ではない。更に好ましくは500kg/cm〜2000kg/cmである。これらの乳化・分散装置は単独で用いてもよいが、必要に応じて組合せて使用することも可能である。
【0074】
コロイドミルや、フォロージェットミキサなども単独では本発明の実施の形態例の目的を達成できないが、本発明の実施の形態例の装置との組合せにより、短時間で乳化・分敢を可能にするなど本発明の実施の形態例の効果を高めることが可能である。
【0075】
また、本発明の実施の形態例のインクジェット記録用水系インクは、上記の装置を用いるほか、いわゆる転相乳化によって製造することが可能でる。ここで、転相乳化、上記ポリマーを、上記染料と共にエステル、ケトンなどの有機溶剤に溶解させ、必要に応じて中和剤を加えて該ポリマー中のカルボキシル基をイオン化し、次いで水相を加えた後、上記有機溶剤を留去して水系に転相することからなる。転相が完了した後、系を減圧下に加熱することにより、上記エステル、ケトン系溶剤を除去すると共に、所定量の水を除去して、所望の濃度を有する本発明の実施の形態例に係わる水系インクが得られる。本発明の実施の形態例に係わる水系インクは、インクジェット記録用のインクとして以外に、例えば、一般の万年筆、ボールペン、サインペン等の筆記具用のインクとしても使用可能である。本発明の実施の形態例のサスペンションを乾燥し、微粒の粉体を得ることもできる。
【0076】
なお、本実施の形態例で使用可能な色素(染料)としてのD1〜D40の構成は以下のようになっている。
【0077】
【化8】
Figure 0004045790
【0078】
【化9】
Figure 0004045790
【0079】
【化10】
Figure 0004045790
【0080】
【化11】
Figure 0004045790
【0081】
【化12】
Figure 0004045790
【0082】
本実施の形態例のインクジェット記録液の飛翔時の粘度は40cps以下が好ましく、30cps以下であることがより好ましい。また飛翔時の表面張力としては20dyn/cm以上が好ましく、25〜80dyn/cmであることがより好ましい。
【0083】
〈インクジェット記録媒体〉
ここで、インクジェット記録媒体の説明を行う。
本実施の形態例のインクジェット記録システムで使用されるインクジェット記録媒体は、以下の(j)〜(l)のような特徴を有している。
【0084】
(j)上記(a)〜(i)のインクジェット記録システムに使用されるインクジェット記録媒体であって、前記インクジェット記録媒体は、透明な樹脂で構成された支持体を有し、前記支持体の非記録面には微粒子を分散させたバッキング層が形成され、前記支持体の記録面には空隙を有するインク受容層が形成されている。
【0085】
(k)上記(j)のインクジェット記録システムにおいて、前記インク受容層は、像を担持するための受像層と、インクジェット記録液の溶媒を吸収するための溶媒吸収層と、で構成される。
【0086】
(l)上記(j)〜(k)のインクジェット記録システムにおいて、角丸を4つの角にもち、75μm以上250μm以下の厚さを有する無色もしくは青く着色した樹脂よりなり、少なくとも1面に空隙型インク受容層を少なくとも1層有する。
【0087】
以下、記録シートについて、図3を参照して記述する。
本実施の形態例で使用するインクジェット記録媒体は、インクジェット記録液を用いて実質的に黒色画像を描くことを特徴とする、角丸を4つの角にもち、75μm以上250μm以下の厚さを有する無色もしくは青く着色した樹脂(透明支持体401)よりなる、少なくとも1面に空隙型インク受容層402を少なくとも1層有するインクジェット記録媒体である(図3(a)参照)。
【0088】
本実施の形態例に用いられるインクジェット記録媒体は15cm×10cm以上の面積をもつシート状であり、シートの角がとがっていると安全性に若干の問題を有する可能性があるので、角丸を4つの角に持たせている。また厚さが75μmより薄いとシートが垂れ曲がり取り扱いが難しく、逆に250μmより厚くなると、重ねて持ち歩く時など、かなりの重量となってしまう。従来用いられているX線フィルムは無色透明もしくは青色着色フィルムであるので、使用者が違和感をもたないように無色もしくは青く着色した樹脂よりなるものが好ましい。
【0089】
またこのインクジェット記録媒体には少なくとも1面に空隙型インク受容層を少なくとも1層有し、そしてインク受容層を塗布していない面は、プリンタでの機械搬送性や重ねて置いたときにフィルム同士が互いにくっつかないようにするために、マット加工を施す面としてのバッキング層403をもつことは好ましい態様である。
【0090】
本実施の形態例で用いるインクジェット記録媒体は、インク受容層402の空隙率をできるだけ大きくし、また表面をマット加工などして凹凸を生じせしめることにより達成できる。また酸化チタンや酸化鉛のような白色の金属酸化物をインク受容層内あるいはその下部の層に添加することができる。またインク受容層のない裏側に層を設け、そこに酸化チタンや酸化鉛のような金属酸化物を分散させること、またインク受容層402を支持体401の両面に設けることもできる。
【0091】
このインクジェット記録媒体の支持体401の材質はポリエチレンフタレート等のポリエステル類、ニトロセルロース、セルロースアセテート等のセルロースエステル類、さらにポリスルホン、ポリイミド、ポリカーボネイド等を用いることができる。
【0092】
また、このシート状インクジェット記録媒体は青色に着色されていることが好ましい。この青い着色は、画像を透過光で観察するときに画像のない部分からの過剰な透過光で目を眩惑させないようにするためや、黒い画像をより好ましくみえる効果も得られる。そしてこのシート状インクジェット記録媒体の少なくとも1面にインク受容層402を設ける必要がある。
【0093】
このために、インクジェット記録媒体の支持体401はコロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理などを施して、インク受容層402の接着性を向上させておく必要がある。
【0094】
インク受容層402は空隙率40〜90%を有する三次元網目構造の層である。その三次元網目構造が、平均粒径が20nm以下のシリカ微粒子あるいは有機物微粒子と水溶性樹脂とから形成されており、且つシリカ微粒子あるいは有機物微粒子と水溶性樹脂との重量比が1.2:1〜12:1の範囲であることがこのましい。三次元網目構造の空隙を形成する細孔が5〜40nmの平均直径であり、空隙を形成する細孔が0.3〜1ml/gの細孔容量を有する。シリカ微粒子が無機珪酸であり、その表面1nmあたり2〜3個のシラロール基を有し、三次元網目構造がシリカ微粒子が凝集した10〜100nmの粒径を有する二次粒子の連結により形成される鎖からなることが好ましい。ここでの微粒子は例えばコロイダルシリカ、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロサイト、白雲母、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム等をあげることができる。水溶性樹脂がポリビニルアルコールであることが好ましい。好ましい水溶性樹脂の例としては、ゼラチンほか特開平7−276789号公報などに開示されている。インク受容層が50〜500m/gの比表面積を有することがこのましい。インク吸収量は20cc/m〜50cc/mが好ましい。またシートを重ねた時にシートどうしがくっつかないようにするために、平均粒径が5〜100μmのマット粒子を表面に分散することができる。そして帯電防止のために界面活性剤を添加することもできる。
【0095】
インク受容層402のない面においては、カールを防止するためにゼラチンほか水溶性樹脂を塗布することができる。この層には帯電防止加工、くっつきを防止するマット加工、青色に着色すること、また酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子など酸化金属粒子を添加することができる。
【0096】
本実施の形態例のインクジェット記録用フィルムの空隙層中には、画像の耐水性、耐滲み性を改良する目的で、カチオン性ポリマーを含有させることが好ましい。本実施の形態例に用いられるカチオン性ポリマーとしては、例えば1級〜3級アミノ基及び4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーを用いることが出来るが、画像保存中での変色や耐光性の劣化が少ないこと、染料の定着性が高いこと等から、4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが好ましい。
【0097】
さらに必要に応じて、特開昭57−36692号公報の塩基性ラテックスポリマー、特公平4−15744号、特開昭61−58788号、同62−174184号等各公報記載のポリアリルアミン、特開昭61−47290号公報記載のアルカリ金属弱酸塩等を併用することができる。
【0098】
本実施の形態例に好ましく用いられるカチオン性ポリマーは、以下のような4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの共重合体として得られる。次に好ましく用いられる4級アンモニウム塩基を有するモノマーの具体例を挙げる。
【0099】
【化13】
Figure 0004045790
【0100】
【化14】
Figure 0004045790
【0101】
次に上記モノマーと共重合しうるモノマーの具体例を挙げるが、本実施の形態例はこれらに限定されるものではない。
【0102】
【化15】
Figure 0004045790
【0103】
【化16】
Figure 0004045790
【0104】
以下に好ましく用いられる4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーの具体例を挙げるが、本実施の形態例はこれらに限定されるものではない。数字はモノマーのモル百分率を示す。
【0105】
【化17】
Figure 0004045790
【0106】
【化18】
Figure 0004045790
【0107】
【化19】
Figure 0004045790
【0108】
カチオン性ポリマーは水溶性でも乳化重合によるラテックス粒子でもよいが、本実施の形態例では、水溶性のカチオン性ポリマーを用いる方が好ましい。
また、水溶性カチオン性ポリマーの中でも、平均分子量が5万以下であるカチオン性ポリマーが、無機微粒子との凝集が少なく、光沢性が劣化しにくいため好ましい。より好ましくは平均分子量が3万以下である。平均分子量の下限は特に制約はないが、耐水性、耐湿性からおおよそ2000以上である。
【0109】
ここでの平均分子量とは、数平均分子量であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーから求めたポリスチレン換算値をいう。上記カチオンポリマーは記録層中に使用する親水性バインダーに対し質量比で0.5倍以上であることが十分な耐水性、耐湿性を得ることができる点で好ましい。また、空隙層の造膜性等のために、2倍以下が好ましい。使用量の上限は特に限定されないが、インクの吸収性や、記録用フィルムのカール等の点から3g/m以下が好ましい。
【0110】
透過X線画像を読影するとき、短時間に多数のフィルムを扱うことが多い。この時、画像の表裏が一目でわかれば、煩雑さから開放される。このためには例えばシート上右肩にノッチをいれて、表裏を簡単に識別することができる。
【0111】
本実施の形態例におけるインクジェット記録媒体のインク受容層は、図3(b)に示す如く、受像層402aと、溶媒吸収層402bとで構成することは好ましい態様である。
【0112】
受像層402aとは画像形成をする染料ポリマー粒子が多く染着される層(インク吸収層、あるいは、染料吸収層とも言う)であり、溶媒吸収層402bとは着弾したインクの溶媒が選択的に吸蔵される層であって、この二つの層が隣接して存在することによって、プリント記録直後にインクジェット記録媒体内で染料ポリマー粒子とその溶媒を分離するものである。この二つの層の構成は、使用する微粒子の種類やその粒径、そしてカチオンポリマーなどの媒染剤などの含有料をそれぞれ変えることにより実現することができる。
【0113】
本実施の形態例で用いられるインクジェット記録液のポリマー粒子に含有する染料は、数種類の組み合わせもしくは単独種で黒色に発色するインクジェット記録液を調合することができる。
【0114】
さらに、特開平7−132680号公報に開示されている黒色染料を更に混合することもでき、また、単独でも差し支えない。
本実施の形態例での黒色とは、従来の銀塩写真のX線写真で通常見られる銀塩画像の黒色もしくは、それに近い黒色である。すなわち、青色がかった冷黒調色から、やや黄色がかった温黒調色などをふくみ、かならずしも色味のない黒色である必要はない。少なくとも濃度変化に対して、色調が変化しない黒色を呈する単色画像が本実施の形態例で好ましい態様である。
【0115】
本実施の形態例で使用するインクジェット記録液の濃度の種類は、滑らかな画像の階調を得るために、3種類以上6種以下であることが好ましい。3種類より少ないと、充分になめらかな濃度階調を得ることが難しい。6種類を越えると、濃度階調の滑らかの向上は少なくて却って装置が肥大化するなどの不具合が生じる。ここで画像部分で滑らかな階調を持たすために、たとえばこの部分で4種濃度のインクを用いるとき、最低濃度の染料濃度で得られる画像濃度を1とすると1:2:4:8あるいは1:1.5:3:9などの比率の画像濃度が得られる染料濃度のインクジェット記録液を用いることが好ましい。これらのインクを用いて画像階調部では誤差拡散などの方法により、より滑らかな画像の階調を得ることができる。
【0116】
本実施の形態例におけるインクジェット記録システムで得られる画像最高濃度は2.60以上で4.00以下である。これは通常の拡散濃度計で測定することができる。医用診断画像で充分に広い階調を得るには、画像の最高濃度は2.60を必要とする。診断すべき対象が1mm以下の小さいものを識別するには、より広い階調が必要となる。しかしながら、画像最高濃度を4.00より高くしても、いかに強い光の透過光で観察しても、その識別能には限界があり、インクジェット記録システムに不必要な負荷を与えるのみである。
【0117】
本実施の形態例におけるインクジェット記録方式としてはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わないが、オンデマンド方式のインクジェット記録方法をより好ましく用いることができる。
【0118】
インクの吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブル(気泡)形成の力を利用するインクジェット方式等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができる。ノズル数は64個以上512個程度が医療用インクジェットとして適切である。インク滴速度は2m/sより大きく20m/sが好ましい。射出1滴のインク量は1ピコリットル〜50ピコリットルが適切である。
【0119】
本実施の形態例におけるX線画像とは、通常医療施設の放射線科でX線管を用いて撮影される胸部、腹部、四肢骨などの、いわゆる単純撮影画像、そして拡大撮影、造影撮影、さらには立体撮影などである。
【0120】
これらのX線画像は一旦スクリーン・フィルムシステムで撮影した画像を、いわゆるフィルムデジタイザでデジタル画像信号として取りだし、本実施の形態例のインクジェット記録システムで画像を記録しなおすことができる。またコンピューテッドラジオグラフィやフラットパネルX線ディテクターからの画像信号を記録することで、得ることができる。
【0121】
またインターネットなどを利用して、離れた場所からデジタルX線画像信号を受けて、その画像を得ることもできる。さらに、本システムで、X線を用いない、マグネティック・レゾナンス・イメージング(MRI)画像もX線画像と並べてプリントすることができる。これら、プリントされた医用画像は、画像診断、コンファランス、教育、そしてインフォームドコンセント等に使用される。
【0122】
【実施例】
以下、上述した実施の形態例についての具体的な実施例について説明する。
〈1.インクジェット記録媒体の作成〉
可視光濃度0.18の青色に着色した厚さ175μmのポリエステルベースを透明支持体401として、その両面にコロナ放電処理をおこなった。まず、カーリング防止及び帯電防止のために、ゼラチン膜に界面活性剤を含有するバッキング層403を塗設した。そして以下に示す組成の液を用いて、もう一方の支持体の面にインク受容層402を形成した。
【0123】
ここで、インク受容層の塗布液組成を以下に示す。
〈1.1:媒体試料▲1▼〉
・乾式シリカ微粒子(平均粒径:7nm、シラロール基2〜3/nm:エアロジルA300)を1kg、
・ポリビニルアルコール(鹸化度88%,重合度3500:PVA235 クラレ製)を0.5kg、
用意する。上記組成を水15kg中に添加して分散したあと、pHを4.0に調整して塗布液を得た。そして上記フィルムに,湿潤膜厚350μで塗布して乾燥後に媒体試料▲1▼得た。
【0124】
〈1.2:媒体試料▲2▼〉
・塩化ニッケルを0.5kg、
・アルミナ微粒子(平均粒径:13nm, Aluminum Oxide C)を1kg、
・ポリビニルアルコール(鹸化度88%,重合度3500:PVA235 クラレ製)を0.5kg、
用意する。上記組成を水14kg中に添加し、分散したあとpHを4.0に調整して塗布液を得た。そして、上記塗布液を、上記の青色透明ベースのフィルムに、湿潤膜厚350μm の塗布を行ない、乾燥後に媒体試料▲2▼を得た。
【0125】
〈1.3:媒体試料▲3▼〉
・乾式シリカ微粒子(平均粒径:7nm、シラロール基2〜3/nm:エアロジルA300)を1kg、
・ポリビニルアルコール(鹸化度88%,重合度3500:PVA235 クラレ製)を0.5kg、
用意する。上記の組成を水15kg中に添加して分散したあと、pHを4.0に調整して塗布液Aを得た。
・乾式シリカ微粒子(平均粒径:7nm、シラロール基2〜3/nm:エアロジルA300)を1kg、
・ポリビニルアルコール(鹸化度88%,重合度3500:PVA235 クラレ製)を0.5kg、
・Mor-1(東京化成製)を0.2kg、
用意する。上記組成を水15kg中に添加して分散したあと、pHを4.0に調整して塗布液Bを得た。
【0126】
塗布液Aをバッキング層塗布済みの青色ベース支持体に湿潤膜厚200μ塗布・乾燥を行ない、さらにその上に塗布液Bを湿潤膜厚150μ塗布し乾燥させ、インク受容層と溶媒吸収層の2層構造の媒体試料▲3▼を得た。
【0127】
上記のインクジェット記録媒体の吸水量は35g/mであった。これはバッキング層を剥ぎ取ったインク受容層のみの媒体を約15℃の水に浸漬し、1分後に引き上げ、その浸漬前後の重さから、吸水量を求めた。
【0128】
〈2.インクジェット記録液の作製〉
〈2.1:インクジェット記録液▲1▼〉
・色素D−23を10g、
・色素D−27を15g、
・色素D−15を15g、
・グリセリンを250g、
・エマルゲン911(花王株式会社製)を3g、
をイオン交換水で1000g仕上げする。
【0129】
上記インク組成の染料を添加しない液で希釈して5%の濃度の黒色インクを濃度比1の基準とした。この濃度を基準として各種濃度のインクを作製し、インクジェット記録液▲1▼を得た。
【0130】
〈2.2:インクジェット記録液▲2▼〉
・色素D−4を10g、
・色素D−18を15g、
・色素D−15を15g、
・グリセリンを250g、
・エマルゲン911(花王株式会社製)を3g、
をイオン交換水で1000g仕上げする。
【0131】
上記インク組成の染料を添加しない液で希釈して5%の濃度の黒色インクを濃度比1の基準とした。この濃度を基準として各種濃度のインクを作製し、インクジェット記録液▲2▼を得た。
【0132】
〈2.3:インクジェット記録液▲3▼〉
・色素D−17を10g、
・色素D−12を15g、
・色素D−20を15g、
・グリセリンを250g、
・エマルゲン911(花王株式会社製)を3g、
をイオン交換水で1000g仕上げする。
【0133】
上記インク組成の染料を添加しない液で希釈して5%の濃度の黒色インクを濃度比1の基準とした。この濃度を基準として各種濃度のインクを作製し、インクジェット記録液▲3▼を得た。
【0134】
〈2.4:インクジェット記録液▲4▼〉
・色素D−36を10g、
・色素D−13を15g、
・色素D−3を15g、
・グリセリンを250g、
・エマルゲン911(花王株式会社製)を3g、
をイオン交換水で1000g仕上げする。
【0135】
上記インク組成の染料を添加しない液で希釈して5%の濃度の黒色インクを濃度比1の基準とした。この濃度を基準として各種濃度のインクを作製し、インクジェット記録液▲4▼を得た。
【0136】
〈2.5:インクジェット記録液▲5▼〉
・ポリマーとして、ポリビニルブチラール(積水化学製 BL-S、平均重合度350)15g、
・色素D−23を2g、
・色素D−27を3g、
・色素D−3を3g、
・酢酸エチルを150g、
をセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、攪拌して上記ポリマー及び色素を完全に溶解させた。引き続き更に分散剤として、ラウリル硫酸ナトリウム6g、水溶性ポリマーMP-203(クラレ製)2gを含む水溶液150gを滴下して攪拌した後、超音波(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて300秒乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、色素を含浸するポリマー粒子の水分散体を得た。得られたポリマー分散液750gにグリセリン250gとエマルゲン31を3g添加して、インクジェット記録液の原液を得た。グリセリン250、エマルゲン31を3gを1000gのイオン交換水に溶解した希釈液で原液5%の濃度を1として、各種の濃度のインクジェット記録液▲5▼を得た。
【0137】
〈2.6:インクジェット記録液▲6▼〉
・ポリマーとして、ポリカーボネイト樹脂(ユーピロンS-3000,三菱エンジニアリングプラスチック製)5gとBSLを15gの混合物、
・色素D−4を2g、
・色素D−18を3g、
・色素D−15を3g、
・酢酸エチルを150g、
をセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、攪拌して上記ポリマー及び色素を完全に溶解させた。引き続き更に分散剤として、ラウリル硫酸ナトリウム6g、水溶性ポリマーMP-203(クラレ製)2gを含む水溶液150gを滴下して攪拌した後、超音波(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて300秒乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、色素を含浸するポリマー粒子の水分散体を得た。得られたポリマー分散液750gにグリセリン250gとエマルゲン31を3g添加して、インクジェット記録液の原液を得た。グリセリン250、エマルゲン31を3gを1000gのイオン交換水に溶解した希釈液で原液5%の濃度を1として、各種の濃度のインクジェット記録液▲6▼を得た。
【0138】
〈2.7:インクジェット記録液▲7▼〉
・ポリマーとして、ポリビニルアルコール(MP-203,クラレ製)1gとBSLを14gの混合物、
・色素D−17を2g、
・色素D−12を3g、
・色素D−20を3g、
・酢酸エチルを150g、
をセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、攪拌して上記ポリマー及び色素を完全に溶解させた。引き続き更に分散剤として、ラウリル硫酸ナトリウム6g、水溶性ポリマーMP-203(クラレ製)2gを含む水溶液150gを滴下して攪拌した後、超音波(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて300秒乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、色素を含浸するポリマー粒子の水分散体を得た。得られたポリマー分散液750gにグリセリン250gとエマルゲン31を3g添加して、インクジェット記録液の原液を得た。グリセリン250、エマルゲン31を3gを1000gのイオン交換水に溶解した希釈液で原液5%の濃度を1として、各種の濃度のインクジェット記録液▲7▼を得た。
【0139】
〈2.8:インクジェット記録液▲8▼〉
・ポリマーとして、PMMA樹脂(デルペット560F,旭化成製)1gとBSLを14gの混合物、
・色素D−36を2g、
・色素D−13を3g、
・色素D−3を3g、
・酢酸エチルを150g、
をセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を窒素置換後、攪拌して上記ポリマー及び色素を完全に溶解させた。引き続き更に分散剤として、ラウリル硫酸ナトリウム6g、水溶性ポリマーMP-203(クラレ製)2gを含む水溶液150gを滴下して攪拌した後、超音波(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて300秒乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、色素を含浸するポリマー粒子の水分散体を得た。得られたポリマー分散液750gにグリセリン250gとエマルゲン31を3g添加して、インクジェット記録液の原液を得た。グリセリン250、エマルゲン31を3gを1000gのイオン交換水に溶解した希釈液で原液5%の濃度を1として、各種の濃度のインクジェット記録液▲8▼を得た。
【0140】
〈3.インクジェット記録装置(プリンタ)〉
ノズル孔径が24μmで256個ノズルヘッドを用い、駆動周波数12kHzでインク射出速度6m/sec、7ピコリットル液滴、360ドット/25.4mmのオンデマンド型インクジェットプリンタを使用した。画像階調部分については誤差拡散法を用いた。
【0141】
〈4.テスト画像の撮影〉
回転アノードがタングステンである株式会社東芝製X線管球DRX-29031HDを用いて、焦点サイズ2mm、X管電圧125kV設定で、京都科学製胸部ファントムを用いて撮影を行った。コニカ株式会社製Regius150を用いて撮影後に、読取サイズ175μmで画像信号を読み取った。画像に適した階調補正をおこなった後、この12ビット階調の画像信号を得た。
【0142】
〈5.医用画像のプリント〉
上記プリンタ、インクジェット記録液(インク)▲1▼〜▲8▼、そしてインクジェット記録媒体として媒体試料▲1▼〜▲3▼を用いて、上記画像信号をプリンタに入力してテスト画像No.1〜24の胸部モノクロ画像を得た。肺野部の画像濃度は1.5であり、非画像部での最高濃度は2.8が得られた。
【0143】
〈6.テスト画像プリント試料の画像保存性の評価〉
上記プリント画像2組を作製した。一組は21±2℃で30±5%RHの環境で保存した。この環境は2、3ヶ月では一般に画像に滲みが殆ど発生しない条件である。もう一組については、80±2℃で70±5%RHで7日間保存し、画像の滲み発生をテストした。通常では、こうした画像保存条件は殆どない。この条件が実際の時間経過との対応は科学的に明確にはなってないが、滲み発生の加速テストとして用いられる条件である。
【0144】
7日間の上記2つの条件下で保存した試料の左肺野上部の模擬血管像を中心に画像滲みに起因する画像のボケを観察した。21℃保存のものを基準として80℃保存の画像の比較で、画像のボケ(画像の滲み)が全くなく2者同等のものを◎、ややボケが生じている感じではあるが、すぐには気付かないものを〇、少しボケが始まるが、画像の劣化とは感じさせないものを△、画像の劣化のボケが明瞭なものを×とした。観察は8000lxのライトボックス上で行なわれた。
【0145】
【表1】
Figure 0004045790
【0146】
この表1に示したように、比較例に比べて、本発明の実施例により良好な結果を得ることができた。
【0147】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、医用画像診断に供せられる透明記録シートに形成した黒色を呈する画像の保存性は極めて良好となり、医療、特に、X線画像を診断目的にプリントするに適したインクジェット記録システムおよびインクジェット記録媒体を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態のインクジェット記録システムを構成するインクジェット記録装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の実施の形態例のインクジェット記録システムの一例を示すシステム説明図である。
【図3】 本発明の実施の形態例のインクジェット記録システムを構成するインクジェット記録媒体の構成を示す構成図である。
【図4】 医用デジタル画像診断システムのシステム構成を示す構成図である。
【符号の説明】
4 インクジェット記録媒体
100 医用インクジェット記録装置
101 制御手段
110 画像処理手段
120 記録ヘッドユニット
131 搬送ローラ

Claims (8)

  1. 透明なシート状のインクジェット記録媒体に対してインクジェット記録液をノズルより噴出させてインクジェット記録を行うインクジェット記録システムであって、
    前記インクジェット記録液は、一般式(4)で表される色素を含む黒色を呈するポリマー粒子の水分散体のインクジェット記録液である、
    ことを特徴とするインクジェット記録システム。
    Figure 0004045790
    〔式中X2・X3は置換基を表すが、X2及びX3の少なくとも一方は、下記一般式(5)〜(15)で表される基であり、X2及びX3は互いにに同じであっても異なっていてもよい。式中R10〜R24は水素原子又は1価の置換基を表す。Zは5〜6員の各々置換基を有してもよい含窒素複素環を形成する原子の集まりを表し、該複素環は更に別の環と縮合環を形成しても良い。mは0〜4、nは0〜2、qは0〜3を表す。〕
  2. 前記インクジェット記録液は、ポリマー粒子の平均粒径が20〜200nmであるインクジェット記録用水系インクである、
    ことを特徴とする請求項記載のインクジェット記録システム。
  3. 透過画像最高濃度が2.60以上4.00以下のモノクロ画像を記録する、
    ことを特徴とする請求項1または請求項に記載のインクジェット記録システム。
  4. 使用するインクジェット記録液の濃度の種類が、3種類以上6種類以下である、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のインクジェット記録システム。
  5. X線画像の形成に用いられる、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のインクジェット記録システム。
  6. 請求項1乃至請求項に記載のインクジェット記録システムに使用されるインクジェット記録媒体であって、
    前記インクジェット記録媒体は、透明な樹脂で構成された支持体を有し、前記支持体の非記録面には微粒子を分散させたバッキング層が形成され、前記支持体の記録面には空隙を有するインク受容層が形成されている、
    ことを特徴とするインクジェット記録媒体。
  7. 前記インク受容層は、像を担持するための受像層と、インクジェット記録液の溶媒を吸収するための溶媒吸収層と、で構成される、
    ことを特徴とする請求項記載のインクジェット記録媒体。
  8. 角丸を4つの角にもち、75μm以上250μm以下の厚さを有する無色もしくは青く着色した樹脂よりなり、少なくとも1面に空隙型インク受容層を少なくとも1層有する、
    ことを特徴とする請求項6または請求項に記載のインクジェット記録媒体。
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