JP4045610B2 - 自動変速機の潤滑装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に搭載される自動変速機の潤滑装置とその組み付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車に搭載される自動変速機は、トルクコンバータと遊星歯車機構とを組み合わせ、この遊星歯車機構の動力伝達経路をクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素の選択的作動により切り換えて、エンジン側から駆動車輪側への動力伝達の変速比を自動的に切り換えるように構成したものであるが、この種の自動変速機においては、例えば特開昭63−275854号公報に開示されているように、上記遊星歯車機構や摩擦要素に潤滑油を供給するための油路が設けられる。
【0003】
その場合に、上記公報に開示された自動変速機においては、図5に示すように、当該変速機の軸心に配置されたシャフトAに軸方向に延びるメイン油路Bを形成すると共に、このメイン油路Bから該シャフトAの半径方向に延びる孔C…Cを分岐させ、コントロールバルブユニット等の潤滑油源から上記メイン油路Bおよび各孔C…Cを介してシャフトA上に配置された遊星歯車機構や摩擦要素の各構成部材等に潤滑油を供給するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように当該変速機の軸心のシャフトから各部に潤滑油を供給する場合、図5に示すワンウェイクラッチDのように、シャフトAから半径方向に離れた位置で変速機ケースEに支持された構成部材に対しては、潤滑油をシャフトA等の回転に伴う遠心力によって供給することになるが、この場合、該構成部材に対する潤滑油の供給量が不安定となり易く、潤滑油量が不足する可能性が生じる。
【0005】
これに対しては、図6に示すように、変速機ケースE′にワンウェイクラッチD′を支持する支持部F′が設けられている場合に、この支持部F′の肉厚内に該ワンウェイクラッチDの専用の潤滑油路G′を穿設し、変速機ケースE′の外部から該油路G′を介してワンウェイクラッチD′に所要量の潤滑油を確実に供給するように構成することが考えられる。
【0006】
しかし、この場合、上記支持部F′における当該変速機の軸方向に厚みを有する壁状部F1′内を上記油路G′が通過することになって、該壁状部F1′の肉厚寸法として、油路G′の直径分aと、その両側部分の肉厚分b,cを加えた寸法が必要となり、そのため該壁状部F1′の肉圧が厚くなり、それだけ当該変速機の軸方向寸法が増大することになる。
【0007】
そして、この問題は、図例のように、上記壁状部F1′の一方の面に沿って摩擦要素締結用のピストンH′が配置される場合に特に顕著となる。
【0008】
つまり、この場合、上記壁状部F1′とピストンH′との間の空間が油圧室I′とされることになり、この油圧室I′の所要の寸法精度を確保する必要上、該壁状部F1′の油圧室I′側の面が機械加工されることになるが、この場合、鋳造製の変速機ケースE′の素材面が切削されて、この種の鋳造品の内部に一般的に発生する鋳物巣が該面に露出し易くなる。また、壁状部F1′内に設けられる油路G′もドリル等によって穿設されるから、その内周面にも鋳物巣が露出し易くなる。その結果、壁状部F1′における油圧室I′と油路G′の間の部分には両面に鋳物巣が露出する場合が生じ、この場合、この鋳物巣を介して上記油圧室I′と油路G′とが連通し、摩擦要素締結用の作動油が油路G′にリークして摩擦要素の締結圧が低下したり、該油路G′から油圧室I′に潤滑油が流入して、解放状態の摩擦要素の引き摺りを生じさせる等の不具合が発生することになる。
【0009】
したがって、このような不具合を回避するために、上記壁状部F1′の肉圧をさらに厚くしなければならないことになり、その結果、当該変速機の軸方向寸法が一層増大することになるのである。
【0010】
そこで、本発明は、上記のワンウェイクラッチ等の変速機ケースに設けられた支持部に支持される所定構成部材に対する潤滑油の供給を、当該変速機の軸方向寸法の増大を抑制しながら確実に行い得るようにすることを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0012】
まず、本願の請求項1に係る発明(以下、第1発明という)は、変速機構と、該変速機構を内包する鋳造製のケース部材とを有し、該ケース部材の内部に上記変速機構を構成するワンウェイクラッチを支持する支持部が設けられていると共に、該支持部の当該自動変速機の軸方向に厚みを有する壁状部の一方の面に沿って上記変速機構を構成する摩擦要素の締結用ピストンが配設された自動変速機の潤滑装置に関するものであって、上記壁状部の他方の面に沿ってケース部材の内方に延び、該ケース部材外部の潤滑油源から上記ワンウェイクラッチに潤滑油を供給するパイプ部材が設けられていると共に、上記ピストンに沿う壁状部の一方の面は機械加工による切削により形成されており、かつ上記パイプ部材が沿う壁状部の他方の面には溝が設けられ、パイプ部材が該溝内に収納されて、壁状部の当該面から突出しないように配設されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に係る発明(以下、第2発明という)は、上記第1発明において、パイプ部材を、その上流側および下流側の端部をケース部材側に設けられた孔に同方向から挿通することにより、該ケース部材に取り付ける構成としたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に係る発明(以下、第3発明という)は、同じく第1発明において、パイプ部材を、その上流側および下流側の端部をケース部材側に設けられた孔に圧入することにより、該ケース部材に取り付ける構成としたことを特徴とする。
【0015】
さらに、請求項4に係る発明(以下、第4発明という)は、上記第1発明において、パイプ部材の上流側の端部を、ケース部材に設けられて潤滑油源から所定の部位に潤滑油を供給する油路に接続する構成としたことを特徴とする。
【0018】
上記の各発明によれば、それぞれ次の作用が得られる。
【0019】
まず、第1発明によれば、ケース部材の内部にワンウェイクラッチを支持する支持部が設けられ、かつ該支持部の当該自動変速機の軸方向に厚みを有する壁状部の一方の面に沿って摩擦要素の締結用ピストンが配設された構成において、上記ワンウェイクラッチに潤滑油を供給するに際し、上記壁状部の他方の面に沿ってケース部材の内方に延びるパイプ部材を備え、このパイプ部材を介してケース部材外部の潤滑油源から上記ワンウェイクラッチに潤滑油を供給するようにしたから、該ワンウェイクラッチに所要量の潤滑油を確実に供給することができると共に、上記壁状部はパイプ部材の片側にのみ肉部が存在すればよいことになるから、該壁状部内に油路を形成する場合より、その肉圧を薄くすることが可能となる。しかも、パイプ部材は壁状部の他方の面に設けられた溝内に収納されて該面から突出しないように配設されているから、パイプ部材を配設することによる軸方向寸法の増加が抑制される。また、この発明は、上記支持部の壁状部の一方の面に沿って摩擦要素の締結用ピストンが配設された構成、即ち該壁状部の少なくとも一方の面が機械加工により切削されて鋳物巣が露出し易くなっている構成を前提とするが、壁状部内に油路を穿設しないので、これを穿設する場合に比較して、該壁状部の肉厚寸法ないし軸方向寸法が効果的に短縮されることになる。
【0020】
そして、第2発明によれば、上記パイプ部材は、その上流側および下流側の端部がケース部材側に設けられた孔に同方向から挿通されることにより、該ケース部材に取り付けられるので、その取り付け作業が、パイプ部材を無理に屈曲させたり、複雑に取り回したりする等の困難を伴うことなく、容易に行い得るようになる。
【0021】
また、第3発明によれば、上記パイプ部材は、その上流側および下流側の端部がケース部材側に設けられた孔に圧入されることにより、該ケース部材に取り付けられるので、該パイプ部材を取り付けるためのボルト等が不要となり、当該潤滑装置が少ない部品点数で構成されることになる。
【0022】
さらに、第4発明によれば、壁状部に沿って延びるパイプ部材の上流側の端部がケース部材に設けられて潤滑油源から所定の部位に潤滑油を供給する油路に接続されているから、この油路の上流部がパイプ部材を用いる当該所定構成部材への潤滑油供給通路としても用いられることになり、該潤滑油供給通路の全体をコントロールバルブユニット等の潤滑油源から導く場合より構成が簡素化されることになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
まず、図1の骨子図により本実施の形態に係る自動変速機1の全体の概略構成を説明する。
【0027】
この自動変速機1は、主たる構成要素として、変速機ケース10内に、トルクコンバータ20と、該コンバータ20の出力により駆動されるフロント(トルクコンバータに近い側)およびリヤ(トルクコンバータから遠い側)の遊星歯車機構30,40と、これらの遊星歯車機構30,40でなる動力伝達経路を切り換える多板クラッチやワンウェイクラッチでなる複数の摩擦要素50〜100とを収納した構成で、これらによりDレンジにおける1〜4速、Sレンジにおける1〜3速およびLレンジにおける1〜2速と、Rレンジにおける後退速とが得られるようになっている。
【0028】
上記トルクコンバータ20は、エンジン出力軸2に連結されたケース21内に固設されたポンプ22と、該ポンプ22に対向状に配置されて該ポンプ22により作動油を介して駆動されるタービン23と、該ポンプ22とタービン23との間に介設され、かつ、変速機ケース10にワンウェイクラッチ24を介して支持されてトルク増大作用を行うステータ25と、上記ケース21とタービン23との間に設けられ、該ケース21を介してエンジン出力軸2とタービン23とを直結するロックアップクラッチ26とで構成されている。そして、上記タービン23の回転がタービンシャフト27を介して遊星歯車機構30,40側に出力されるようになっている。
【0029】
ここで、このトルクコンバータ20の反エンジン側には、該トルクコンバータ20のケース21を介してエンジン出力軸2に駆動されるオイルポンプ111が配置されている。
【0030】
一方、上記フロントおよびリヤ遊星歯車機構30,40は、いずれも、サンギヤ31,41と、このサンギヤ31,41に噛み合った複数のピニオン32…32,42…42と、これらのピニオン32…32,42…42を支持するピニオンキャリヤ33,43と、ピニオン32…32,42…42に噛み合ったインターナルギヤ34,44とで構成されている。
【0031】
そして、上記タービンシャフト27とフロント遊星歯車機構30のサンギヤ31との間にフォワードクラッチ50が、同じくタービンシャフト27とリヤ遊星歯車機構40のサンギヤ41との間にリバースクラッチ60が、また、タービンシャフト27とリヤ遊星歯車機構40のキャリヤ43との間に3−4クラッチ70がそれぞれ介設されていると共に、リヤ遊星歯車機構40のサンギヤ41を固定する2−4ブレーキ80が備えられている。
【0032】
さらに、フロント遊星歯車機構30のインターナルギヤ34とリヤ遊星歯車機構40のキャリヤ43とが連結されて、これらと変速機ケース10との間にローリバースブレーキ90とワンウェイクラッチ100とが並列に配置されていると共に、フロント遊星歯車機構30のキャリヤ33とリヤ遊星歯車機構40のインターナルギヤ44とが連結されて、これらに出力ギヤ112が接続されている。
【0033】
そして、この出力ギヤ112が、中間伝動機構120を構成するアイドルシャフト121上の第1中間ギヤ122に噛み合わされていると共に、該アイドルシャフト121上の第2中間ギヤ123と差動装置130の入力ギヤ131とが噛み合わされて、上記出力ギヤ112の回転が差動装置130のデフケース132に入力され、該差動装置130を介して左右の車軸133,134が駆動されるようになっている。
【0034】
ここで、上記各クラッチ、ブレーキおよびワンウェイクラッチ等の摩擦要素50〜100の作動状態と変速段との関係をまとめると、次の表1に示すようになる。
【0035】
なお、図2は図1の構成を具体的に記載したものであるが、この図2に示すように、変速機ケース10には、タービンシャフト27と一体的に回転するフォワードクラッチ50のドラム部材51の回転速度を検出するタービン回転数センサ113や、該ケース10内を外部に連通させるためのエアブリーザ用パイプ114等が設けられている。
【0036】
【表1】
次に、図2〜図4により、この自動変速機1における本案の特徴部、即ちワンウェイクラッチ100に潤滑油を供給する潤滑装置140の構成を詳しく説明する。
【0037】
まず、この潤滑装置140が設けられた変速機ケース10の概略の構成を説明すると、図2に示すように、該変速機ケース10における遊星歯車機構30,40や摩擦要素50〜100等でなる変速機構を収納する変速機構収納部11内には、該収納部11内を前後(エンジン側、反エンジン側)に仕切る隔壁部12が設けられ、この隔壁部12の内周部に設けられて後方へ延びる円筒状のボス部13の外側にワンウェイクラッチ100が支持されている。
【0038】
また、この変速機ケース10の前部には、図1に示す中間伝動機構120および差動装置130を収納する差動装置収納部14が連設されており、該収納部14の後壁部15が上記変速機構収納部11における隔壁部12と当該変速機1の軸方向のほぼ同一位置に配置されている。
【0039】
したがって、図3に示すように、上記隔壁部12と後壁部15とがほぼ連続して共通の壁面を構成しており、この壁面に、上記変速機構における出力ギヤ112やタービンシャフト27等が貫通するボス部13内の軸受孔16と、中間伝動機構120におけるアイドルシャフト121の後方の軸受孔17と、差動装置130における車軸133の軸受孔18とが、三角形の各頂点にそれぞれ位置するように配置され、鎖線で示すように、上記ボス部13の内側に支持された出力ギヤ112が中間伝動機構120の第1中間ギヤ122に噛み合わされると共に、該ギヤ122と同軸上の第2中間ギヤ123が差動装置130の入力ギヤ131に噛み合わされるようになっている。
【0040】
そして、この変速機ケース10における差動装置収納部14の後部壁15には、該変速機ケース10の下面におけるコントロールバルブユニット(図示せず)の取り付け面10aから上方に延びて、中間伝動機構120の軸受孔17に通じる油路19が穿設されていると共に、この油路19に、上記ワンウェイクラッチ100に潤滑油を供給する潤滑装置140が連設されている。
【0041】
ここで、ワンウェイクラッチ100の構成を説明すると、図2および図4に示すように、このワンウェイクラッチ100は、ローリバースブレーキ55のハブ部材を兼ねるフロント遊星歯車機構30のインターナルギヤ34を前方に延長してなるアウターレース101と、その内側に配置されたインナーレース102と、該アウターレース101の内周面とインナーレース102の外周面との間に配置された複数のロック部材103…103と、これらのロック部材103…103を前後から保持する断面コ字状の一対のリング部材104,104とで構成されている。
【0042】
そして、上記インナーレース102は上記変速機ケース10のボス部13の外周面にスプライン嵌合されて、スナップリング105により固定されていると共に、ロック部材103…103はリング部材104,104に挟持された状態で、アウターレース101の先端部に取り付けられたリテーナ部材106と該アウターレース101の後部に装着されたスナップリング107との間に保持されており、これにより、アウターレース101側から所定方向のトルクが作用したときに、ロック部材103…103が該アウターレース101とインナーレース102との間でロックして、アウターレース101、即ちフロント遊星歯車機構30のインターナルギヤ34を固定するようになっている。
【0043】
このワンウェイクラッチ100に潤滑油を供給する潤滑装置140は、上記後部壁15に設けられたアイドルシャフト121の軸受孔17に通じる油路19に直交するように、前方から当該自動変速機1の軸方向に穿設された上流側油孔141と、ワンウェイクラッチ100を支持するボス部13に同じく前方から当該変速機1の軸方向に穿設されて、後部が該ボス部13の外周のインナーレース102が嵌合されるスプライン面13aに開口する下流側油孔142と、後方に屈曲された両端部143a,143bが上記両油孔141,142にそれぞれ前方から挿入されたパイプ部材143とで構成されており、また、上記インナーレース102には、上記ボス部13のスプライン面13aに嵌合される内周側のスプライン面からロック部材103…103が嵌合された外周面にかけて半径方向に貫通する油孔102aが設けられている。
【0044】
ここで、上記パイプ部材143は、図3および図4に示すように、変速機ケース10における変速機構収納部11の外部の油路19から該変速機構収納部11内における隔壁部12の前面側に沿って該変速機構収納部11の内方に向って延びるように配設されているが、上記隔壁部12の前面側には溝12aが設けられて、パイプ部材143が該溝12a内に収納されており、これにより、該パイプ部材143が隔壁部12に沿う部分でその前面より前方に突出しないように図られている。
【0045】
また、図示の実施の形態においては、パイプ部材143は、変速機ケース10における差動装置収納部14の後部壁15に設けられたパーキング機構の取り付け部10bを回避するために屈曲された形状とされている。さらに、該パイプ部材143は、両端部143a,143bが油孔141,142にそれぞれ圧入されることにより嵌合された状態で保持されるようになっていると共に、上流側の端部143aには鍔143cが設けられて、油孔141ないし142への端部143a,143bの挿入量を所定量で規制するようになっている。なお、この鍔143cは他方の端部143bにも設けてもよく、また、不要な場合は省略してもよい。
【0046】
上記の構成によれば、コントロールバルブユニットから送り出される潤滑油は、変速機ケース10における差動装置収納部14の後部壁15に設けられた油路19を通って中間伝動機構120におけるアイドルシャフト121の後方の軸受孔17に供給されると共に、一部の潤滑油は上記油路19から分岐され、潤滑装置140を構成する上流側油孔141、パイプ部材143および下流側油孔142、並びにワンウェイクラッチ100におけるインナーレース102の油孔102aを通って該ワンウェイクラッチ100のインナーレース102とロック部材103…103との嵌合面、さらに該ロック部材103…103とアウターレース101との嵌合面に供給される。その場合に、この潤滑油は、上記のように油孔141,142とパイプ部材143とで構成される通路を通って供給されるから、ワンウェイクラッチ100に所要量の潤滑油が確実に供給されることになる。
【0047】
そして、特にこの潤滑油供給通路中の隔壁部12を介して変速機構収納部11の外部からその内部に導かれる部分は、該隔壁部12内に油路を穿設するのではなく、該隔壁部12の前面に沿って配設されたパイプ部材143によって構成されているので、それだけ該隔壁部143の肉圧が薄くされている。
【0048】
つまり、この隔壁部12の肉圧は、図4に示すように、パイプ部材143の前方に肉部が不要であるから、該パイプ部材143が配設された溝部12aの深さと、該溝部12aと後面12bとの間の肉部12cの厚さとに相当する寸法だけで足りることになる。
【0049】
また、該隔壁部12の後面12b側は、ローリバースブレーキ90のピストン91との間に油圧室92が設けられる関係で機械加工により切削され、したがって鋳物巣が露出し易い状態にあるが、前面側は上記パイプ部材143が収納される溝12aの内面を含めて素材面のままで使用することができ、鋳物巣の露出を回避することができるのである。したがって、該溝12aと後面12bとの間の上記肉部12cの肉厚寸法自体も、両面とも切削される場合より薄くできるのである。その結果、この隔壁部12の肉厚、即ち当該変速機1の軸方向寸法が抑制されることになる。
【0050】
なお、この実施の形態においては、上記パイプ部材143の両端部143a,143bは後方に屈曲され、いずれも当該変速機1の軸方向に穿設された上流側および下流側の油孔141,142に前方から挿入されるようになっているから、該パイプ部材143の変速機ケース10への組み付けが、該パイプ部材143の無理な変形や複雑な取り回し等を要することなく、両端部143a,143bの上記両油孔141,142への差し込み作業だけで行われることになる。
【0051】
また、パイプ部材143は、両端部143a,143bを上記油孔141,142にそれぞれ圧入することにより変速機ケース10に取り付ける構成とすることにより、両端部を油孔に挿入した後ボルト等で固定するといった作業が不要となり、また、その固定用ボルト等の部品が不要となる。
【0052】
さらに、このパイプ部材143の変速機ケース10への組み付けを、該変速機ケース10への各部品の組み込み前に行うようにすれば、上記のような作業を、スペースに余裕がある状態で他の部品に邪魔されることなく、一層容易に行い得ることになる。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る自動変速機の潤滑装置によれば、変速機構と、該変速機構を内包する鋳造製のケース部材とを有し、このケース部材の内部に上記変速機構を構成するワンウェイクラッチを支持する支持部が設けられ、かつ該支持部の当該自動変速機の軸方向に厚みを有する壁状部の一方の面に沿って摩擦要素の締結用ピストンが配設された自動変速機において、上記ワンウェイクラッチに潤滑油を供給するに際し、上記壁状部の他方の面に沿って配設されたパイプ部材を用いるようにしたから、上記ワンウェイクラッチに対する潤滑が確実に行われるようになると共に、壁状部内に油路を穿設する場合より、該壁状部の肉圧を薄くすることが可能となる。しかも、パイプ部材は壁状部の他方の面に設けられた溝内に収納されて該面から突出しないように配設されているから、パイプ部材を配設することによる軸方向寸法の増加が回避されることになる。
【0054】
また、本発明は、上記支持部の壁状部の一方の面に沿って摩擦要素の締結用ピストンが配設された構成、即ち該壁状部の少なくとも一方の面が機械加工により切削されて鋳物巣が露出し易くなっている構成を前提とするが、壁状部内に油路を穿設しないので、これを穿設する場合に比較して、該壁状部の肉厚寸法ないし軸方向寸法が効果的に短縮されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る自動変速機の全体構成を示す骨子図である。
【図2】 同自動変速機の断面図である。
【図3】 図2のx−x線で切断した変速機ケースの要部正面図である。
【図4】 図3のy−y線に沿って切断した潤滑装置周辺の断面図である。
【図5】 従来の潤滑構造を示す断面図である。
【図6】 従来の問題点を示す断面図である。
【符号の説明】
1 自動変速機
11 ケース部材(変速機構収納部)
12,13 支持部(隔壁部,ボス部)
19 油路
100 所定構成部材(ワンウェイクラッチ)
140 潤滑装置
141,142 孔(上流側油孔、下流側油孔)
143 パイプ部材
Claims (4)
- 変速機構と、該変速機構を内包する鋳造製のケース部材とを有し、該ケース部材の内部に上記変速機構を構成するワンウェイクラッチを支持する支持部が設けられていると共に、該支持部の当該自動変速機の軸方向に厚みを有する壁状部の一方の面に沿って上記変速機構を構成する摩擦要素の締結用ピストンが配設された自動変速機の潤滑装置であって、上記壁状部の他方の面に沿ってケース部材の内方に延び、該ケース部材外部の潤滑油源から上記ワンウェイクラッチに潤滑油を供給するパイプ部材が設けられていると共に、上記ピストンに沿う壁状部の一方の面は機械加工による切削により形成されており、かつ上記パイプ部材が沿う壁状部の他方の面には溝が設けられ、パイプ部材が該溝内に収納されて、壁状部の当該面から突出しないように配設されていることを特徴とする自動変速機の潤滑装置。
- パイプ部材は、その上流側および下流側の端部がケース部材側に設けられた孔に同方向から挿通されることにより、該ケース部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の潤滑装置。
- パイプ部材は、その上流側および下流側の端部がケース部材側に設けられた孔に圧入されることにより、該ケース部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の潤滑装置。
- パイプ部材の上流側の端部は、ケース部材に設けられて潤滑油源から所定の部位に潤滑油を供給する油路に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の潤滑装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03296997A JP4045610B2 (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 自動変速機の潤滑装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03296997A JP4045610B2 (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 自動変速機の潤滑装置 |
Publications (2)
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