JP4043833B2 - パネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、システムキッチンや各種収納庫等の主に収納扉等に用いられるパネルに関し、さらに詳しくは、高鮮映(鏡面仕上げ)であって深み、奥行き、立体感などを有する高意匠感のある主に収納扉等に用いられるパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、システムキッチンや各種収納庫等の収納扉等に用いられるパネルは意匠性や清潔感等の要望から表面を鏡面仕上げにしたものが多く用いられている。すなわち、絵柄が印刷された化粧紙が貼着されたパーチクルボード等の木質系基材の化粧紙上に不飽和ポリエステル系樹脂を積層・硬化した表面が平滑なポリエステル化粧板が広く採用されている。
【0003】
しかしながら、上記のようなポリエステル化粧板は表層に膜厚にして厚くても数百μm程度のポリエステル樹脂層を形成したものであり、高鮮映であると共に耐擦傷性や耐汚染性等の表面物性においては優れるものの、深み、奥行き、立体感に乏しいという不満の残るものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、上記不満を解決するためになされたものであって、高鮮映(鏡面仕上げ)であって、深み、奥行き、立体感のある高意匠表現された主に収納扉等に用いられるパネルを提供することにある。また、耐擦傷性や耐汚染性等の表面物性に優れると共に反りやねじれのない主に収納扉等に用いられるパネルを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、1.5〜3.0mm厚さの合成樹脂製透明板、隠蔽性着色塗膜層、防湿層、木質系基材層、防湿層、補強層を順に積層したパネルにおいて、前記合成樹脂製透明板の両面に透明ハードコート層が形成され、前記合成樹脂製透明板自体の反りを防止すると共に、前記補強層が前記パネル自体の反りを防止することを特徴とするものである。このように構成することにより、高鮮映で耐擦傷性や耐汚染性等の表面物性に優れたパネルとすることができると共に合成樹脂製透明板を通して隠蔽性着色塗膜層を見ることになり、深み、奥行き、立体感を有する高意匠感のあるパネルとすることができる。また、合成樹脂製透明板の両面に透明ハードコート層を形成したことにより合成樹脂製透明板自体の熱(温度)の影響による反りを防止することができると共に、収納扉等のパネルとしたときに表面側に合成樹脂製透明板を、裏面側に補強層を備えると共に木質系基材層の両面に防湿層を備えた構成とすることによりパネル自体の熱(温度)や水分の影響による反りを防止することができる。
【0006】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載のパネルにおいて、前記隠蔽性着色塗膜層の前記合成樹脂製透明板側に光輝性を有する透明塗膜層が形成されていることを特徴とするものである。このように構成することにより、より一層深み、奥行き、立体感を有する意匠性に優れたパネルとすることができる。
【0007】
また、請求項3記載の本発明は、請求項1、2のいずれかに記載のパネルにおいて、前記合成樹脂製透明板がアクリル系樹脂ないしエステル系樹脂であることを特徴とするものである。このように構成することにより、より光沢性や表面硬度に優れたパネルとすることができる。
【0008】
また、請求項4記載の本発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のパネルにおいて、前記補強層が両面にハードコート層を形成した合成樹脂板であることを特徴とするものである。このように構成することにより、収納扉等のパネルとしたときにパネル自体の熱(温度)の影響による反りをより確実に防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明にかかるパネルの一実施例を示す層構成図であり、図中の1はパネル、2は装飾層、3は防湿層、4は木質系基材、5は補強層、6は接着剤層、20は合成樹脂製透明板、21,51はハードコート層、22は光輝性透明塗膜層、23は隠蔽性着色塗膜、50は合成樹脂板をそれぞれ示す。
【0010】
図1は本発明にかかるパネルの一実施例を示す層構成図であって、パネル1は両面に透明なハードコート層21を設けた合成樹脂製透明板20の一方のハードコート層21面に光輝性透明塗膜層22、隠蔽性着色塗膜層23を順に設けた装飾層2と、防湿層3と、木質系基材層4と、防湿層3と、両面にハードコート層51を設けた合成樹脂板50からなる補強層5とを接着剤層6を介して積層したものである。このように構成したパネル1は高鮮映で耐擦傷性や耐汚染性等の表面物性に優れると共に合成樹脂製透明板を通して隠蔽性着色塗膜層を見ることになり、深み、奥行き、立体感を持たせたものとすることができる。また、合成樹脂製透明板および合成樹脂板のそれぞれの両面にハードコート層を形成したことにより合成樹脂製透明板自体および合成樹脂板自体の熱(温度)や水分の影響による反りを防止することができると共に、パネルとしたときに表裏に合成樹脂製透明板と合成樹脂板を備えると共に木質系基材層の両面に防湿層を備えた構成とすることによりパネル自体の熱(温度)や水分の影響による反りを防止することができる。
【0011】
次に、本発明のパネル1を構成する諸材料等について説明する。
まず、本発明の装飾層2を構成する合成樹脂製透明板20について説明する。前記合成樹脂製透明板20としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、耐熱性の高いポリアルキレンテレフタレート〔たとえばエチレングリコールの一部を1,4−シクロヘキサンジメタノールやジエチレングリコール等で置換したポリエチレンテレフタレートである、いわゆる商品名PET−G(イーストマン・ケミカル・プロダクツ社製)〕、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のエステル系樹脂などを挙げることができるが、光沢性や表面硬度に優れると共に加工適性においても優れるなどの理由からメチルメタクリレートないしこれを主体とするアクリル系樹脂ないしポリエチレンテレフタレートないし商品名PET−G(イーストマン・ケミカル・プロダクツ社製)が好ましい。また、前記合成樹脂製透明板20の厚さとしては1.5〜3.0mm、より好ましくは1.5〜2.0mmである。この理由としては1.5mmより薄いと深み、奥行き、立体感に乏しく、3.0mmより厚いとコスト高の割に深み、奥行き、立体感において顕著な効果が得られない。
【0012】
次に、前記合成樹脂製透明板20の両面に設ける透明なハードコート層21について説明する。このハードコート層21は前記合成樹脂製透明板20表面の硬度を高めて傷を付き難くするものであり、このハードコート層21は前記合成樹脂製透明板20の少なくとも表出面に形成すればよいのであるが、前記合成樹脂製透明板20の熱(温度)や水分の影響よる反りを防止してフラット性を確保してパネル1の生産性を高める意味からは前記合成樹脂製透明板20の両面に設けるのがより好ましい。このハードコート層21を形成する樹脂としては、たとえば、多官能性モノマーを主成分とするような重合して硬化する樹脂であればよく、具体的に例示するとするならば、紫外線、電子線等の活性化エネルギー線で重合して硬化するウレタン変性(メタ)アクリルオリゴマー、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリロイル基、メタクリロイル基を2つ以上含んだ多官能重合性化合物等の電離放射線硬化性樹脂、あるいは、熱によって架橋硬化するシリコン系、メラミン系、エポキシ系等の熱硬化性樹脂などを挙げることができる。このハードコート層21の形成方法としては、浸漬法、バーコート法、ドクターブレード法、ロールコート法、グラビアコート法、フローコート法、カーテンフローコート法で塗布することにより形成することができる。また、その厚さとしては重合硬化皮膜として1〜20μmが適当である。1μmより薄いと十分な硬度が得られず、20μmより厚いとコスト高の割に顕著な効果が得られないと共に重合硬化皮膜にひびが入る虞がある。なお、ハードコート層21は好ましくは硬度(鉛筆硬度:JIS K 5400に準拠して測定)が3H以上となるように形成される。
【0013】
次に、前記光輝性透明塗膜層22および前記隠蔽性着色塗膜層23について説明する。この光輝性透明塗膜層22および隠蔽性着色塗膜層23を形成する樹脂としては、前記ハードコート層21で説明した樹脂と同じ樹脂を用いて、前記光輝性透明塗膜層22には光輝性顔料を、そして、前記隠蔽性着色塗膜層23には周知の白色ないし有色の無機顔料を、それぞれ溶媒、各種補助剤等を加えて塗料化したものをバーコート法、ドクターブレード法、ロールコート法、グラビアコート法、フローコート法、カーテンフローコート法の塗布方法を用いて塗布して紫外線、電子線等の活性化エネルギー線ないし熱により硬化させることにより形成することができる。
【0014】
前記光輝性顔料としては、金属光沢顔料やパール顔料を使用することができ、金属光沢顔料としては金粉、銀粉、アルミニウム粉、銅粉、真鍮粉等の金属粉や金属片、あるいは、金属蒸着合成樹脂フィルムの裁断片等の金属光沢を有する顔料、また、パール顔料としては二酸化チタン被覆雲母、魚鱗片、酸塩化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する顔料を使用することができる。特に、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗片、酸塩化ビスマス等のパール顔料は意匠効果が優れている。前記光輝性顔料および無機顔料の樹脂に対する配合比は、意匠性を考慮して適宜決められるべきものである。なお、図1に示した実施例においては光輝性透明塗膜層22を設けた構成を示したが、この光輝性透明塗膜層22は設けなくてもよいものである。
【0015】
次に、前記防湿層3について説明する。前記防湿層3としては、後述する木質系基材4が使用環境下の湿度変化の影響を受けて反りやねじれを生じ、結果としてこれがパネル1に反りやねじれを生じさせることがないように設けるものであり、防湿性を有する合成樹脂製シートの両面に紙層を設けた構成からなる防湿シートが通常用いられる。そして、防湿性を有する合成樹脂製シートとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂からなる合成樹脂製シートが防湿性能、コスト、加工の行い易さ等から一般的に用いられ、紙層としては、薄葉紙、特に紙自体の吸放質を防止するということで紙間強化紙がより好適なものとして用いられる。前記防湿シートの製造方法としては、たとえば、Tダイ押出機を用いて加熱溶融したポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を押出して紙間強化紙同士をサンドイッチラミネーションすることにより製造される。そして、この時のポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂は、通常、透湿度が30g/m2・24hr(JISZ0208:カップ法による測定)以下、より好ましくは20g/m2・24hr(JISZ0208:カップ法による測定)以下となるように厚さが制御される。なお、前記防湿シートは防湿性の観点からするとポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂からなる合成樹脂製シートのみでもよいが、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂からなる合成樹脂製シートの両側に紙層を設けた構成とするのは、後述する接着剤層6を形成する接着剤の選択肢を広くするためである。具体的に前記防湿シートの構成を例示するならば、紙間強化紙15〜30g/m2/ポリエチレン20μm/紙間強化紙15〜30g/m2を挙げることができる。
【0016】
次に、前記木質系基材4について説明する。前記木質系基材4としては、木質合板、木質繊維板、パーチクルボードなどの木質系材料を用いることができ、単一板であっても複合板であってよいが、コストを考慮するとパーチクルボードが適当である。
【0017】
次に、前記補強層5について説明する。前記補強層5はパネル1としたときに前記合成樹脂製透明板20が、特に熱(温度)の影響により膨張、収縮した際に、この影響を受けて前記パネル1に反り等が生じるのを防止するために設けるものである。そのために、前記補強層5を構成する前記合成樹脂板50は前記合成樹脂製透明板20で説明した樹脂と同じ樹脂を用い、かつ、同じ厚さに構成したものを用いることが好ましい。さらに、前記合成樹脂板50の両面に形成する前記ハードコート層51についても前記ハードコート層21で説明した樹脂を用いて同様に形成するのが最も好ましいが、前記合成樹脂板50は前記合成樹脂製透明板20の0℃〜40℃の熱線膨張係数を考慮して、この熱線膨張係数に匹敵する熱線膨張係数を持つ樹脂板を適宜選択して用いることにより前記ハードコート層51を省略することもできる。なお、前記合成樹脂板50は必要に応じて着色されたものであってもよいものである。さらに、今までは、前記補強層5を前記合成樹脂板50ないし前記合成樹脂板50の両面に前記ハードコート層51を設けた構成で説明してきたが、前記補強層5はこれらに限ることはなく、たとえば、アルミニウム板やステンレス板等の金属板等で同様の効果を発揮させることとしても構わないものである。
【0018】
次に、前記接着剤層6について説明する。前記接着剤層6を形成する接着剤としては、被接着物により適宜選択して用いられるべきものであるが、たとえば、酢酸ビニル系樹脂、尿素樹脂、ウレタン系樹脂等の周知の接着剤から選択して用いることができる。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、以上縷々説明したように構成されているので、高鮮映(鏡面仕上げ)であって、深み、奥行き、立体感のある高意匠表現された収納扉等に用いられるパネルを提供することができる。また、耐擦傷性や耐汚染性等の表面物性に優れると共に反りやねじれのない収納扉等に用いられるパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるパネルの一実施例を示す層構成図である。
【符号の説明】
1 パネル
2 装飾層
3 防湿層
4 木質系基材
5 補強層
6 接着剤層
20 合成樹脂製透明板
21,51 ハードコート層
22 光輝性透明塗膜層
23 隠蔽性着色塗膜
50 合成樹脂板

Claims (4)

  1. 1.5〜3.0mm厚さの合成樹脂製透明板、隠蔽性着色塗膜層、防湿層、木質系基材層、防湿層、補強層を順に積層したパネルにおいて、前記合成樹脂製透明板の両面に透明ハードコート層が形成され、前記合成樹脂製透明板自体の反りを防止すると共に、前記補強層が前記パネル自体の反りを防止することを特徴とするパネル。
  2. 前記隠蔽性着色塗膜層の前記合成樹脂製透明板側に光輝性を有する透明塗膜層が形成されていることを特徴とする請求項1記載のパネル。
  3. 前記合成樹脂製透明板がアクリル系樹脂ないしエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載のパネル。
  4. 前記補強層が両面にハードコート層を形成した合成樹脂板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパネル。
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