JP4043630B2 - 継手金具 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、トンネルを構成するセグメント等の部材に設けられ、これらを接合する継手金具に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
例えば、多数のセグメントでトンネル壁体を構築する場合、従来においては、セグメントの接合端面に孔部を有する継手板を埋め込んでおき、セグメントの接合端面同士を互いに当接させて、互いに連通した継手板の孔部へボルトを挿通させ、このボルトにナットを螺着させることにより多数のセグメント同士を順次接合して構築している。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の接合構造では、セグメントの接合端面の継手板に形成された孔部にボルトを挿通させ、そのボルトにナットを螺着させて締め付けなければならず、その作業が極めて煩雑で手間がかかっていた。
このため、容易に接合可能でありかつ低コストにて製造可能な継手金具が要求されていた。
【０００４】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、極めて容易にセグメント等を接合させることが可能な安価な継手金具を提供することを目的としている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項１記載の継手金具は、部材同士を互いに接合させる継手金具であって、一方側の部材に設けられ、他方側の部材方向へ延在する接合棒を有する雄型継手金具と、他方側の部材に設けられ、前記雄型継手金具の接合棒が挿入され、この接合棒を係止する雌型継手金具とから構成されてなり、前記雄型継手金具は、前記接合棒の先端部に、大径に形成された係合部が形成され、前記雌型継手金具は、前記接合棒が挿入されるハウジングと、このハウジング内にて周方向へ設けられた複数の係止部材と、これら係止部材を内周側へ付勢する付勢部材と、前記係止部材を、前記付勢部材の付勢力に抗して外周側へ配置させ、これら係止部材の内径を、前記接合棒の係合部よりも大径に維持させる係止部材保持具とを有してなり、前記ハウジングは、前記係止部材が収納される空間を形成する大径部と、前記接合棒によって押し込まれる前記係止部材保持具が入り込む空間を形成する小径部とを有してなり、前記係止部材は、挿入される前記接合棒によって前記係止部材保持具が押し込まれて、前記係合部が前記係止部材の前記小径部側の端面を通過したときに、前記係止部材保持具による保持が解除されることにより、前記付勢部材の付勢力によって内周側へ付勢され、前記接合棒の係合部よりも後端側へ入り込むことを特徴としている。
【０００６】
このように、雌型継手金具へ雄型継手金具の接合棒を挿入し、この接合棒によって係止部材保持具を押し込ませることにより、極めて容易に、係止部材保持具による係止部材の保持を解除させ、この係止部材を接合棒の係合部よりも後端側に入り込ませて接合棒を係止させて、これら雄型継手金具と雌型継手金具とを接合させることができる。
また、接合時には、係止部材を保持している係止部材保持具を押し込むだけで良いので、必要な挿入力を極めて小さくすることができ、これにより、低挿入力により互いに接合させることができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の継手金具を図によって説明する。
図１及び図２に示すように、この継手金具は、それぞれセグメント等のコンクリート構造物（部材）に設けられる雄型継手金具１と雌型継手金具２とからなるものである。
【００１２】
雄型継手金具１は、継手板３と、この継手板３に固定された接合棒４とを有するもので、継手板３には、孔部５が形成され、その裏面側には、ナット６が溶接固定されている。
接合棒４は、その後端部におねじが形成された棒体からなるもので、ナット６へねじ込んで取り付けられている。この接合棒４は、その先端部に、大径に形成された係合部７が形成されており、この係合部７のさらに先端側には、テーパ部８が形成されている。
また、この接合棒４の先端面には、この接合棒４のナット６への着脱時に、六角レンチ等の工具が嵌合される工具穴４ａが形成されている。
この接合棒４には、その後端側に段部９が形成されており、この段部９が継手板２に係止することにより、この接合棒４のナット６へのねじ込み量が規制され、これにより、接合棒４の継手板２の突出寸法が所定寸法とされるようになっている。
【００１３】
次に、雌型継手金具２の構成について説明する。
この雌型継手金具２は、継手板１１と、この継手板１１の裏面側に固定された継手本体１２とを有するものである。継手板１１には、挿入孔１３が形成されており、この挿入孔１３に、前記接合棒４が挿入されるようになっている。
継手本体１２は、ハウジング１４と、このハウジング１４の開口部分に設けられた蓋体１５と、ハウジング１４内に配設された複数の係止部材１６とを有している。
【００１４】
ハウジング１４の開口部分に設けられた蓋体１５は、その外周をかしめることにより、ハウジング１４に固定されており、その中心には、前記挿入孔１３と連通する通過孔１７が形成されている。
ハウジング１４は、開口部側が大径部２１とされ、後端側が小径部２２とされたもので、前記係止部材１６は、大径部２１内に、周方向へ沿って収納されている。
【００１５】
また、これら係止部材１６とハウジング１４との間には、それぞれの係止部材１６を内周側へ付勢するバネ鋼等から形成された付勢部材２３が設けられている。この付勢部材２３は、その両端部２３ａがハウジング１４の内面に当接することにより、その中間部２３ｂが係止部材１６を内周側へ押圧するもので、その中間部２３ｂには、内方側へ突出する突起部２３ｃが形成されている。そして、この突起部２３ｃは、係止部材１６の外周側に形成された嵌合凹部１６ａに嵌合されており、これにより、この付勢部材２３の所定位置に係止部材１６が配置された状態となっている。
【００１６】
そして、図３及び図４に示すように、この付勢部材２３によって内周側へ付勢された係止部材１６が、雄型継手金具１の接合棒４の係合部７よりも後端側へ入り込んで、この接合棒４を係止するようになっている。
また、雌型継手金具２のハウジング１４の内部には、係止部材保持具３１が設けられている。この係止部材保持具３１は、図５及び図６に示すように、ベース板部３２と、このベース板部３２から、外周方向へ突出された３つの保持片３３とを有するもので、この保持片３３は、ベース板部３２から、前記接合棒４の先端のテーパ部８と略同一傾斜角度にて斜めに延在され、その先端部は、さらに屈曲されて後方へ向かって延在された保持部３４とされている。
【００１７】
このように形成された係止部材保持具３１は、雄型継手金具１の挿入前は、それぞれの保持片３３の保持部３４が、各係止部材１６同士の間に配設されている。
これにより、これら係止部材１６は、付勢部材２３の付勢力に抗して半径方向外方へ広げられて外周側に配置されている。
そして、このように係止部材保持具３１によって係止部材１６が外周側へ配置された状態にて、これら係止部材１６の内径が、接合棒４の係合部７よりも大径とされるようになっている。
【００１８】
そして、上記のように構成された継手本体１２は、前記ハウジング１４、蓋体１５及び係止部材保持具３１がそれぞれ打ち抜き加工によって形成されていてる。
なお、継手本体１２は、継手板１１の内面側に溶接固定されている。また、図において、符号３５は、コンクリート構造物へ雄型継手金具１及び雌型継手金具２をそれぞれ定着させるアンカーである。
【００１９】
次に、上記構成の継手金具を構成する雄型継手金具１及び雌型継手金具２を互いに接合させる場合について説明する。
これら雄型継手金具１及び雌型継手金具２を接合させる場合は、雌型継手金具２の継手板１１に形成された挿入孔１３へ雄型継手金具１の接合棒４を挿入する。このようにすると、この雄型継手金具１の接合棒４の先端部が、雌型継手金具２の継手本体１２内に設けられた係止部材保持具３１のベース板部３２に当接し、このベース板部３２を押圧する。
【００２０】
これにより、この係止部材保持具３１がハウジング１４の小径部２２内へ押し込まれる。ここで、係止部材１６は、ハウジング１４の大径部２１内に収納されているので、係止部材保持具３１が押し込まれた際に、係止部材１６は、ハウジング１４の大径部２１と小径部２２との間の段部１４ａに係止されるため、ハウジング１４の大径部２１内に収納された状態に維持される。
これにより、この係止部材保持具３１のみが接合棒４によってハウジング１４の小径部２２へ押し込まれ、各保持片３３の保持部３４が、係止部材１６同士の間から外される。
【００２１】
このように、この係止部材保持具３１の保持片３３の保持部３４が係止部材１６の間から外されると、図３及び図４に示したように、各係止部材１６が、その外周側に設けられた付勢部材２３の付勢力によって内周方向へ押圧される。そして、この状態にて、接合棒４の係合部７が、ハウジング１４の小径部２２側へ移動し、係止部材１６の小径部２２側の端面を通過すると、付勢部材２３によって内周側へ付勢されている各係止部材１６が接合棒４の係合部７よりも後端側へ入り込み、この時点にて、雄型継手板１の継手板３と雌型継手金具２の継手板１１とが互いに当接した状態となる。
【００２２】
これにより、この接合棒４が、係止部材１６によって係止され、その後端方向への移動が禁止され、雄型継手金具１と雌型継手金具２とが互いに接合された状態となり、これら雄型継手金具１及び雌型継手金具２が設けられた各コンクリート構造物同士が接合される。
【００２３】
以上、説明したように、上記構造の継手金具によれば、雌型継手金具２へ雄型継手金具１の接合棒４を挿入し、この接合棒４によって係止部材保持具３１を押し込ませることにより、極めて容易に、係止部材保持具３１による係止部材１６の保持を解除させ、この係止部材１６を接合棒４の係合部７よりも後端側に入り込ませて接合棒４を係止させて、これら雄型継手金具１と雌型継手金具２とを接合させることができる。
また、接合時には、係止部材１６を保持している係止部材保持具３１を押し込むだけで良いので、必要な挿入力を極めて小さくすることができ、これにより、低挿入力により互いに接合させることができる。
【００２４】
さらには、接合時に、係止部材保持具３１のみが確実にハウジング１４の小径部２２に入り込むことにより、ハウジング１４の大径部２１に収納された係止部材１６から確実に係止部材保持具３１を引き離して、この係止部材保持具３１による係止部材１６の保持を解除させることができる。
しかも、ハウジング１４、係止部材１６及び係止部材保持具３１等の雌型継手金具２を構成する構成部品が容易な加工である打ち抜き加工によって形成されているので、雌型継手金具２の低コスト化を図ることができる。
【００２５】
なお、上記雌型継手金具２の係止部材１６を、図７に示すように、複数枚の板材１６ｂから構成することも可能であり、この場合、これら板材１６ｂも容易な加工である打ち抜き加工によって形成することができ、さらなるコストの低減を図ることができる。
また、係止部材保持具３１とハウジング１４の底部との間に、挿入される接合棒４によって押し込まれる係止部材保持具３１により弾性変形あるいは塑性変形する弾性材料あるいは塑性材料からなる保持材４１を入れておくことにより、接合前における係止部材保持具３１の移動を禁止させることができる。
【００２６】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の継手金具によれば、下記の効果を得ることができる。
請求項１記載の継手金具によれば、雌型継手金具へ雄型継手金具の接合棒を挿入し、この接合棒によって係止部材保持具を押し込ませることにより、極めて容易に、係止部材保持具による係止部材の保持を解除させ、この係止部材を接合棒の係合部よりも後端側に入り込ませて接合棒を係止させて、これら雄型継手金具と雌型継手金具とを接合させることができる。
また、接合時には、係止部材を保持している係止部材保持具を押し込むだけで良いので、必要な挿入力を極めて小さくすることができ、これにより、低挿入力により互いに接合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の実施の形態の継手金具を説明する互いに接合される雄型継手金具及び雌型継手金具の側断面図である。
【図２】 本発明の実施の形態の継手金具を説明する互いに接合される雄型継手金具及び雌型継手金具の平断面図である。
【図３】 本発明の実施の形態の継手金具を説明する互いに接合された雄型継手金具及び雌型継手金具の側断面図である。
【図４】 本発明の実施の形態の継手金具を説明する互いに接合された雄型継手金具及び雌型継手金具の平断面図である。
【図５】 本発明の実施の形態の継手金具を説明する雌型継手金具に設けられた係止部材保持具の断面図である。
【図６】 本発明の実施の形態の継手金具を説明する雌型継手金具に設けられた係止部材保持具の平面図である。
【図７】 本発明の実施の形態の継手金具を説明する雄型継手金具及び他の構造の雌型継手金具の断面図である。
【符号の説明】
１ 雄型継手金具
２ 雌型継手金具
４ 接合棒
７ 係合部
１４ ハウジング
１６ 係止部材
２１ 大径部
２２ 小径部
２３ 付勢部材
３１ 係止部材保持具

Claims (1)

1. 部材同士を互いに接合させる継手金具であって、
   一方側の部材に設けられ、他方側の部材方向へ延在する接合棒を有する雄型継手金具と、
   他方側の部材に設けられ、前記雄型継手金具の接合棒が挿入され、この接合棒を係止する雌型継手金具とから構成されてなり、
   前記雄型継手金具は、前記接合棒の先端部に、大径に形成された係合部が形成され、
   前記雌型継手金具は、前記接合棒が挿入されるハウジングと、このハウジング内にて周方向へ設けられた複数の係止部材と、これら係止部材を内周側へ付勢する付勢部材と、前記係止部材を、前記付勢部材の付勢力に抗して外周側へ配置させ、これら係止部材の内径を、前記接合棒の係合部よりも大径に維持させる係止部材保持具とを有してなり、
   前記ハウジングは、前記係止部材が収納される空間を形成する大径部と、前記接合棒によって押し込まれる前記係止部材保持具が入り込む空間を形成する小径部とを有してなり、
   前記係止部材は、挿入される前記接合棒によって前記係止部材保持具が押し込まれて、前記係合部が前記係止部材の前記小径部側の端面を通過したときに、前記係止部材保持具による保持が解除されることにより、前記付勢部材の付勢力によって内周側へ付勢され、前記接合棒の係合部よりも後端側へ入り込むことを特徴とする継手金具。

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