JP4041287B2 - 内燃機関におけるブローバイガス還流装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車などの車両用内燃機関の吸気系において、内燃機関の運転により発生するブローバイガスを、その吸気系に還流させるための内燃機関におけるブローバイガス還流装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車用内燃機関の吸気系において、その内燃機関のクランクケースと、空気・燃料混合気の生成装置すなわち気化器より上流の吸気路との間にそれらの内部を連通するブローバイガス還流通路を設け、内燃機関の運転により発生するブローバイガスを吸気系に還流させて、該ブローバイガスを内燃機関内で再燃焼させ、その大気への放出による大気汚染を抑制するようにした、ブローバイガス還流装置は、従来よりよく知られている(実公昭55−60438号公報参照)。
【0003】
また、自動二輪車用の内燃機関では、吸気系の、構造の簡素化、コンパクト化、短縮化などを図るべく、気化器と、その上流に配置されるエアクリーナ装置とをコネクティングチューブにより直接連結し、そのコネクティングチューブに、内燃機関のブローバイガス発生部に連通するブローバイガス還流通路の上流部を開口するようにしたブローバイガス還流装置も既に知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかる内燃機関におけるブローバイガス還流装置において、エアクリーナと気化器とを連通する連通路に、ブローバイガス還流手段を支持させるとともにその連通路にブローバイガス還流手段の出口を連通させるようにしたものでは、その支持構造およびそれらの連通構造を簡素化するとともにその支持および連通操作が簡単であることが要求される。
【0005】
そこで、本発明は、前後方向に直列配置されるエアクリーナと気化器とをエルボ状に湾曲するコネクティングチューブにより連通接続し、そのコネクティングチューブにブローバイガス還流通路の上流部を支持すると共にその還流通路をコネクティングチューブ内に連通させるようにしたものにおいて、コネクティングチューブの湾曲接続部の外側湾曲壁の湾曲状外面に、ブローバイガス還流通路の上流部に位置する気液分離チャンバを、構造簡単な支持構造により容易に支持することができると共にその支持部をコネクティングチューブとブローバイガス還流通路との連通路に兼用できるようにして前記要求を満足させるようにし、加えて、コネクティングチューブ内では、そこに流入するブローバイと吸入空気とのミキシングを促進して空気・燃料混合比(A/F)の一定化を図ることができるようにした、新規な内燃機関におけるブローバイガス還流装置を提供することを主な目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的達成のため、本請求項1記載の発明は、空気・燃料混合気の生成器と、その上流側に配置されるエアクリーナとをコネクティングチューブにより接続してなる内燃機関の吸気系において、前記コネクティングチューブはゴムなどの弾性体よりなり、そのエアクリーナ側の接続部がエルボ状に湾曲されて、その湾曲接続部の外側湾曲壁の外面に複数の支持部が一体成形されて外方に突出し、該複数の支持部は、ブローバイガスの還流手段の上流部に位置する気液分離チャンバを、前記コネクティングチューブの湾曲接続部における外側湾曲壁の湾曲状外面に直接弾性支持すると共に、コネクティングチューブの最も上流側に位置する支持部は、ブローバイガス還流手段とコネクティングチューブ内とを連通する連通路に兼用されて前記気液分離チャンバの出口を支持しており、該連通路のコネクティングチューブ側の開口端は、前記湾曲接続部の外側湾曲壁の内壁面に沿わせるとともにその上流に指向して開口していることを特徴としており、かかる特徴によれば、コネクティングチューブによるブローバイガス還流手段の上流部に位置する気液分離チャンバの支持構造およびそれらの連通路の構造を簡素化することができ、気液分離チャンバを支持するのに、別の支持部材を必要とすることなく、しかもその支持操作が簡単である。さらに、前記コネクティングチューブは、ゴムなどの弾性体よりなり、複数の支持部が一体成形されており、前記複数の支持部は、ブローバイガスの還流手段の上流部に位置する気液分離チャンバを、前記コネクティングチューブの湾曲接続部における外側湾曲壁の湾曲状外面に直接弾性支持する。さらにまた、コネクティングチューブの最も上流側に位置する支持部は、ブローバイガス還流手段とコネクティングチューブ内とを連通する連通路に兼用されて前記気液分離チャンバの出口を支持し、該連通路のコネクティングチューブ側の開口端は、前記湾曲接続部の外側湾曲壁の内壁面に沿わせるとともにその上流に指向して開口しているから、コネクティングチューブ内の吸入空気の流速が速くなるところに、ブローバイガスが噴出され、その結果吸入空気とブローバイガスとのミキシングが促進され、空気・燃料混合気比の一定化に寄与し得る。
【0007】
また、前記目的達成のため、本請求項2記載の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記エアクリーナの出口における前記コネクティングチューブの通路は、湾曲する前記コネクティングチューブの中心線を含む平面に関して通路断面積が大きい側と小さい側とで構成され、前記気液分離チャンバが、該コネクティングチューブの通路断面積の小さい側に隣接して設けられていることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0009】
以下の実施例は、本発明にかかる内燃機関におけるブローバイガス還流装置を自動二輪車に搭載の内燃機関に実施した場合であり、以下の説明において、「上、下」「左、右」および「前、後」は、自動二輪車の進行方向を基準にしていう。
【0010】
図1は、本発明ブローバイガス還流装置を備えた内燃機関を搭載した自動二輪車の全体側面図、図2は、ブローバイガス還流装置の側面図、図3は、図2の3−3線に沿う断面図、図4は、図2の4−4線に沿う断面図、図5は、図2の5−5線に沿う断面図、図6は、図3の6−6線に沿う断面図である。
【0011】
図1において、自動二輪車の骨格となる車体フレームF前端のヘッドパイプ1には、フロントフォーク2が操向可能に支承され、該フロントフォーク2の下端に前輪WFが軸支され、フロントフォーク2の上端に操向ハンドル3が設けられる。また、車体フレームFの後部には、リアクッション4を介して後輪WRが懸架される。
【0012】
車体フレームFの前後方向中間部には、内燃機関Eを備えた駆動ユニットUDが搭載され、この駆動ユニットUDの出力軸5は、チエン伝動機構6を介して後輪WRに連動連結される。前記駆動ユニットUD上方の車体フレームF上に燃料タンクTが搭載され、さらに、後輪WR上方の車体フレームFにシートSが搭載されている。
【0013】
前記内燃機関Eのシリンダ部8は、前傾姿勢であって、その後面に開口される吸気ポート10に、本発明にかかるブローバイガス還流装置を備えた吸気系INが接続され、また、その前面に開口される排気ポート11に排気系EXが接続されている。
【0014】
前記吸気系INは、前記吸気ポート10に接続される空気・燃料混合気の生成装置としての気化器CAと、その上流側の、エアクリーナACとが、車体フレームFの前後方向に直列に配置され、これらはエルボ状に湾曲されるコネクティングチューブTCにより連結されている。
【0015】
次に、図2〜6に示すように、前記エアクリーナACのクリーナケース13は、ケース本体13aと、その開口面を閉じる蓋体13bとより密閉中空状に形成され、その内部に環状のクリーナエレメント14が収容されている。このクリーナエレメント14は、環状の多孔発泡体14aの内周面に環状のパンチングプレートよりなる保形部材14bを纏着して構成されている。そして、このクリーナエレメント14は、クリーナケース13内を、その外側のダーティーサイド15と、その内側のクリーンサイド16とに区画している。クリーナケース13の後壁に開口した入口には、エアダクト20が接続され、このエアダクト20によりダーティーサイド15は大気に連通される。また、クリーナケース13の一側壁すなわちその蓋体13bの中間部には出口18が開口され、この出口18にはコネクティングチューブTCの上流側端部が着脱可能に嵌合され、その出口18は、コネクティングチューブTCに連通され、その連通部には、メッシュ板よりなるストレーナ21が設けられる。
【0016】
前記コネクティングチューブTCは、弾性体すなわちゴムにより形成され、図2,4に示すように、その全体形状がエルボ状をなして、その上流側端部すなわちクリーナケース13の入口17への接続側の上流側端部が湾曲状に形成されて、そこから前記気化器CAに向けて前方に直線状に延びており、その下流側端部が、該気化器CAの入口にバンド22をもって連結されている。図3に示すように、前記エアクリーナACの出口における前記コネクティングチューブTCの通路は、湾曲する前記コネクティングチューブTCの中心線を含む平面に関して通路断面積が大きい側と小さい側とで構成されている。
【0017】
前記ゴム製のコネクティングチューブTCの上流側の端部には、ブローバイガス還流手段RBの上流部に位置する気液分離チャンバ29を支持するための支持部24が設けられる。すなわち図4,5に示すように、ゴム製のコネクティングチューブTCの上流側端部の外側湾曲壁には、第1および第2の支持部25,26が前後に間隔をあけて一体に突設されている。前記第1の支持部25は、端部開放のパイプ状に形成されていてその内部にブローバイガスの連通路25aが形成されており、また、前記第2の支持部26は、ボス状の中実の突起部26aの外端に環状溝26bを有するポペット状の撮み部26cが一体に形成されている。そして、前記第1および第2の支持部25,26は、前記ブローバイガス還流手段RBの支持部24を構成する。
【0018】
前記ブローバイガス還流手段RBは、ブローバイガス還流通路28の下流端に密閉状の気液分離チャンバ29の入口29aを連通接続して構成されており、この気液分離チャンバ29の上部には出口29bが設けられ、さらにその一側には取付舌片29cが一体に突設され、その取付舌片29cに差込孔29dが開口されている。そして、前記出口29bを第1の支持部25に差し込み、また、前記取付舌片29cの差込孔29dを、前記第2の支持部26の環状溝26bに差し込めば、ブローバイガス還流手段RBの上流部に位置する気液分離チャンバ29をコネクティングチューブTCの外側湾曲壁の湾曲状外面に着脱可能に弾性的に直接支持することができると共にその気液分離チャンバ29をコネクティングチューブTCに連通させることができる。ブローバイガス還流通路28の下流端は、内燃機関Eのブローバイガスの放出口である、そのクランクケースの上部に連通接続される(図1参照)。また、気液分離チャンバ29は、図3,4に示すように、前記エアクリーナの出口における前記コネクティングチューブの、通路断面積の小さい側に隣接して設けられている。
【0019】
コネクティングチューブTCの下流側端部は、前記気化器CAの入口に接続される。前記気化器CAは従来公知の構造のものであるので、その詳細な説明を省略する。
【0020】
つぎに、この実施例の作用について説明すると、いま、内燃機関Eが運転されると、その吸気系IN内に発生する吸気負圧により、大気がエアダクト20よりエアクリーナAC内に吸入される。図3〜5に矢印で示すように、エアクリーナAC内の吸入エアは、ダーティーサイド15からクリーナエレメント14を通過して濾過されたのち、クリーンサイド16に入り、そこからストレーナ21を通って二次的に濾過されたのち、コネクティングチューブTCを経て気化器CAに入り、ここで生成された空気・燃料混合気は、内燃機関Eの燃焼室へと吸引されて燃焼され、内燃機関Eの運転が行われる。
【0021】
ところで、内燃機関Eの運転により生成されるブローバイガスは、そのクランク室からブローバイガス還流通路28を通って気液分離チャンバ29に入り、ここで滴状燃料を分離されたブローバイガスはコネクティングチューブTCに還流され、そこから気化器CAに吸入される。
【0022】
しかして、ブローバイガス還流手段RBの上流部の気液分離チャンバは、ゴム製のコネクティングチューブTCの湾曲接続部の外側湾曲壁の外面に一体に突設した第1および第2の支持部25,26により、外側湾曲壁の湾曲状外面に直接弾性支持され、しかも第1の支持部25はブローバイガスの連通路25aに兼用されるので、コネクティングチューブTCによるブローバイガス還流手段RBの支持構造およびそれらの連通路25aの構造を簡素化することができ、また、コネクティングチューブTCにブローバイガス還流手段RBを支持する操作を別の支持部材を必要とすることなく簡単に行うことができる。また、コネクティングチューブTCの第1の支持部25により形成されるブローバイガスの連通路25aのコネクティングチューブTC内への開口端は、その外側湾曲壁の内壁面に沿わせると共にその上流へ指向させることにより、コネクティングチューブTC内の吸入空気の流速が速くなるところに、ブローバイガスが噴出され、その結果吸入空気とブローバイガスとのミキシングが促進され、空気・燃料混合気比(A/F)の一定化に寄与し得る。
【0023】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はそれらの実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0024】
たとえば、前記実施例では、ブローバイガス還流装置を、自動二輪車用の内燃機関に実施した場合を説明したが、これを他の車両用などの内燃機関にも実施できることは勿論であり、またコネクティングチューブに一体に突設される、ブローバイガス還流手段の支持部は、第1および第2支持部により構成されるが、これを第1ないし第3以上の支持部により構成してもよく、その場合にその最も上流側に位置する一つが、ブローバイガスの連通路に兼用される。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、本請求項1記載の発明によれば、内燃機関におけるブローバイガス還流装置において、コネクティングチューブによるブローバイガス還流手段の上流部に位置する気液分離チャンバの支持構造およびそれらの連通路の構造を簡素化することができ、気液分離チャンバを支持するのに、別の支持部材を必要とすることなく、しかもその支持操作が簡単である。さらに、前記コネクティングチューブは、ゴムなどの弾性体よりなり、複数の支持部が一体成形されており、前記複数の支持部は、ブローバイガスの還流手段の上流部に位置する気液分離チャンバを、前記コネクティングチューブの湾曲接続部における外側湾曲壁の湾曲状外面に直接弾性支持する。さらにまた、コネクティングチューブの最も上流側に位置する支持部は、ブローバイガス還流手段とコネクティングチューブ内とを連通する連通路に兼用されて前記気液分離チャンバの出口を支持し、該連通路のコネクティングチューブ側の開口端は、前記湾曲接続部の外側湾曲壁の内壁面に沿わせるとともにその上流に指向して開口しているから、コネクティングチューブ内の吸入空気の流速が速くなるところに、ブローバイガスが噴出され、その結果吸入空気とブローバイガスとのミキシングが促進され、空気・燃料混合気比の一定化に寄与し得る。
【0026】
また、本請求項2記載の発明によれば、前記エアクリーナの出口における前記コネクティングチューブの通路は、湾曲する前記コネクティングチューブの中心線を含む平面に関して通路断面積が大きい側と小さい側とで構成され、前記気液分離チャンバが、該コネクティングチューブの通路断面積の小さい側に隣接して設けられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明ブローバイガス還流装置を備えた内燃機関を搭載した自動二輪車の全体側面図
【図2】 ブローバイガス還流装置の側面図
【図3】 図2の3−3線に沿う断面図
【図4】 図2の4−4線に沿う断面図
【図5】 図2の5−5線に沿う断面図
【図6】 図3の6−6線に沿う断面図
【符号の説明】
25・・・・・・・支持部(第1の支持部)
25a・・・・・・連通路
26・・・・・・・支持部(第2の支持部)
29・・・・・・・気液分離チャンバ
AC・・・・・・・エアクリーナ
CA・・・・・・・空気・燃料混合気の生成器(気化器)
TC・・・・・・・コネクティングチューブ
RB・・・・・・・ブローバイガス還流手段
Claims (2)
- 空気・燃料混合気の生成器(CA)と、その上流側に配置されるエアクリーナ(AC)とをコネクティングチューブ(TC)により接続してなる内燃機関の吸気系において、
前記コネクティングチューブ(TC)はゴムなどの弾性体よりなり、そのエアクリーナ(AC)側の接続部がエルボ状に湾曲されて、その湾曲接続部の外側湾曲壁の外面に複数の支持部(25,26)が一体成形されて外方に突出し、該複数の支持部(25,26)は、ブローバイガスの還流手段(RB)の上流部に位置する気液分離チャンバ(29)を、前記コネクティングチューブ(TC)の湾曲接続部における外側湾曲壁の湾曲状外面に直接弾性支持すると共に、前記コネクティングチューブ(TC)の最も上流側に位置する支持部(25)は、ブローバイガス還流手段(RB)とコネクティングチューブ(TC)内とを連通する連通路(25a)に兼用されて前記気液分離チャンバ(29)の出口(29b)を支持しており、該連通路(25a)のコネクティングチューブ(TC)側の開口端は、前記湾曲接続部の外側湾曲壁の内壁面に沿わせるとともにその上流に指向して開口していることを特徴とする、内燃機関におけるブローバイガス還流装置。 - 前記エアクリーナ(AC)の出口における前記コネクティングチューブ(TC)の通路は、湾曲する前記コネクティングチューブ(TC)の中心線を含む平面に関して通路断面積が大きい側と小さい側とで構成され、前記気液分離チャンバ(29)が、該コネクティングチューブ(TC)の通路断面積の小さい側に隣接して設けられていることを特徴とする、前記請求項1記載の内燃機関におけるブローバイガス還流装置。
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