JP4040754B2 - 歯ブラシおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯に付着したプラークの除去および歯茎のマッサージに好適な歯ブラシおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
普及型の歯ブラシは、棒状の柄の先端に多数本の毛状ブラシ材を植毛したものが基本型であり、毛状ブラシ材の形状や柄の曲がり等に工夫を加えてプラークの除去効果を高めるべく各種の歯ブラシが提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この種の歯ブラシは、何れも毛先が歯に沿うように左右あるいは上下に動かしてブラッシングするものであり、毛先が歯の奥部まで届くように磨くのは難かしかった。このため、隣接する歯相互の周面や歯の奥部に付着したプラークを除去しきれないという問題が残されていた。
また、単に直立した毛状ブラシ材の毛先では歯茎を充分に刺激し難く、歯槽膿漏等の歯周病になりやすいという欠点もあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、隣接する歯相互の周面や歯の奥部に付着したプラークの除去および歯茎のマッサージに効果的な歯ブラシを提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のうち請求項1に記載の発明は、歯ブラシ用の回転ブラシを作成する円形の集合体の製造方法であって、毛状ブラシ材を多数本束ねて集合体を形成し、この集合体の一端を加熱溶着することにより半球形の溶着部分を形成し、この溶着部分を平行な加圧面間に挟んで加圧することにより扇形にし、さらに加圧して半円形とし、この半円形の中心部分から軸孔となる部分を除去したのち、さらに加圧を加えることにより略円形とし、略円形の両端を溶着等により固着することを特徴とする、軸孔を有する環状部から径方向に毛状ブラシ材を備えた円形の集合体を作成する方法である。
また請求項2に記載の発明は、毛状ブラシ材を多数本束ねて集合体を形成し、この集合体の一端を加熱溶着することにより半球形の溶着部分を形成し、この溶着部分を平行な加圧面間に挟んで加圧することにより扇形にし、さらに加圧して半円形とし、この半円形の中心部分から軸孔となる部分を除去したのち、さらに加圧を加えることにより略円形とし、略円形の両端を溶着等により固着して、軸孔を有する環状部から径方向に毛状ブラシ材を備えた円形の集合体を作成し、この円形の集合体を、軸孔を一致させて数個連結することを特徴とする歯ブラシ用の回転ブラシの製造方法である。
また、請求項3に記載の発明は、毛状ブラシ材を多数本束ねて集合体を形成し、この集合体の一端を加熱溶着することにより半球形の溶着部分を形成し、この溶着部分を平行な加圧面間に挟んで加圧することにより扇形にし、さらに加圧して半円形とし、この半円形の中心部分から軸孔となる部分を除去したのち、さらに加圧を加えることにより略円形とし、略円形の両端を溶着等により固着して、軸孔を有する環状部から径方向に毛状ブラシ材を備えた円形の集合体を作成し、この円形の集合体を、軸孔が一致するようにして数個連結して回転ブラシを作成し、この回転ブラシを柄部材の一端側に回転自在に保持させたことを特徴とする歯ブラシの製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図示例を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る歯ブラシを示す斜視図、図2は、同歯ブラシを示す正面図、図3は、同歯ブラシを示す平面図、図4は、同歯ブラシを示す側面図、図5は、図3のV − V線に沿った縦断面図、図6は、図4のVI− VI 線に沿った横断面図である。
この歯ブラシは、人の口腔内に挿入しロールさせながら歯磨きするもので、柄部材1の先端側に回転ブラシ5を回転自在に保持した構成になっている。
【0006】
柄部材1は、自然の竹材あるいはプラスチック等の合成樹脂材により成形加工されている。この柄部材1は、後端側1aを把持部とし先端側1bに延出片2,3を形成している。
この延出片2,3は、回転ブラシ5を配置するために二股状としており、それぞれは先端側1bの裏面1dに形成した凹所1fの左右両側部から略三角形状に隆起させている。この延出片2,3は、彎曲形状にした柄部材1の最先端1eを始端として各外側面を略偏平にしている。
また、この左右の延出片2,3は、対向する頂部2a,3aの内壁にそれぞれ嵌合溝2b,3bを凹設し、支軸4の両端4a,4bを嵌合可能としている。
【0007】
この支軸4は、回転ブラシ5の中心に形成された軸孔7aに挿入して、両端4a,4bを前記嵌合溝2b,3bに嵌合することにより、回転ブラシ5を回転自在に保持するようになっている(図6参照)。なお、支軸4と柄部材1の凹所1fとの間隔は、回転ブラシ5を保持した状態で毛先5bが凹所1fに接しない程度にしてある。
このように形成される柄部材1は、裏面1dから二股状に突出した左右の延出片2,3が略三角形状に隆起し、各外側面も偏平になっているので、この回転ブラシ5を口腔内に挿入して歯磨きするとき、頬の内側に接しても頬内が傷つくことなくスムーズに歯磨きを行える。
【0008】
前記回転ブラシ5は、ナイロン等の合成樹脂製繊維からなる毛状ブラシ材6を多数本集合してローラ状に製作される。
この製作に際しては、多数の回転ブラシ5を効率的に製造するため、例えば、切断用具、加熱用具、加圧用具および接合用具等を用いる。
次に、回転ブラシの製作工程について、図7を参照しつつ説明する。 まず、毛状ブラシ材6を多数本束ね、図7(a)に示すように、エナメル線E等を数回巻いて結束し集合体7を形成する。そして、この集合体7の一端7aを加熱用具で加熱し、図7(b)に示す如く毛状ブラシ材6相互が離れないよう融着して一端7aを半球形にする。この後、集合体7の他端7bを適当な長さにカットし、揃えておく。
つぎに、半球形の一端7aを加圧用具で加圧する。この加圧用具は、平行な加圧面を有しており、この加圧面間に挟んだ半球形部分に紙面に垂直方向の圧力を加えると、図7(c)に示すような扇形となり、さらに加圧力を増してゆくと、図7(d)に示すように、半円形となる。
【0009】
この半円形状から軸孔となる部分7eを除去したのち、一端7aへの圧力をさらに加えると、円周方向に押し広げられる状態となり、集合体7が図7(e)に示すような略円形となる。この状態で環状となった一端7aの開いた両端7f,7fを溶着その他の手段によって固着して環状部7cを形成する。
続いて、このような略円形の集合体7を、図7(f)に示すように、各環状部7cの中心孔7dに細棒Sを通して数個を連結し、環状部7c相互を接着剤により接着する。
そして、集合体7を連結した回転ブラシ基材から細棒Sを抜いた後、ドリルの切り先を中心孔7dに通すなどして滑らかな貫通孔を形成しておく。また、この回転ブラシ基材の外周縁である他端7bは、毛状ブラシ材6の長さが不揃いなので、図7(h)に示す如く均等になるようカットして回転ブラシ5を形成する。
【0010】
このように製作された回転ブラシ5は、中心に円形の軸孔5cを有する環状部5aが設けられ、この環状部5aに多数本の毛状ブラシ材6が均等に植毛された外周部5bが略円盤形のロール状になっている。
そして、この回転ブラシ5を前記柄部材1に取り付けることにより、歯ブラシが構成される。この取り付けに際しては、回転ブラシ5の軸孔5cに支軸4を挿入しておき、左右の延出片2,3を外側に開いてから各嵌合溝2b,3bに支軸4の両端4a,4bを嵌合する。これにより、回転ブラシ5が柄部材1の先端側1bで回転自在に保持される。
【0011】
そして、この歯ブラシを使用する際は、把持部1aを把持して回転ブラシ5側を口腔10内に挿入し、図8に示すように、歯12に沿って回転させる。すると、歯と歯の間に回転ブラシ5の外周部5bである毛状ブラシ材6の毛先が入り込み、歯12の周面および歯12の奥部に付着したプラークや残存した異物等を除去することができる。
また、歯茎11の上で回転ブラシ5を回転させると、歯茎11のマッサージがなされるので、虫歯は勿論、歯槽膿漏といった歯12に特有の歯周病を予防ないし治療するのに効果的である。
さらに、一般普及の歯ブラシと異なり、歯磨き時に柄部材1を激しく前後動させる必要がなく、柄部材1を軽く把持して回転ブラシ5をゆっくり回転させるだけでよいから、日常の歯磨きが容易になる。
【0012】
次に、回転ブラシの他の実施の形態について説明する。
この回転ブラシは、基本的構成が上記実施の形態と同一であり、柄部材の形状のみ異ならせたものである。
この柄部材9は、図9および図10に示すように、回転ブラシ5の配置される凹所1fからその反対側の上面1cに向けて3箇所の貫通小孔9a,9b,9cを穿設している。これにより、空気が貫通小孔9a,9b,9cを通って流通するので、口腔10の内奥が乾燥され、不快感なく歯磨きができる。
【0013】
なお、上記各実施の形態においては、柄部材1に設けた左右の延出片2,3間に支軸4を支持して回転ブラシ5を保持したが、柄部材1の先端側1bに略L字状の支軸を一体形成し、これに回転ブラシ5を回転自在に保持してもよい。
この際は、支軸の先端に回転ブラシ5の軸孔5cよりも僅かに大きいストッパを設け、装着時にストッパ側から回転ブラシ5の軸孔5cを押し込んで保持すると、支軸に回転ブラシ5が回転自在に保持される。一方、強く引っ張るとストッパから抜き出せるので、着脱が容易であり、回転ブラシ5を交換したり掃除等を簡単に行えるものである。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による歯ブラシは、柄部材の一端側に突設した支軸に、多数本の毛状ブラシ材をローラ状にした回転ブラシを回転自在に支持して歯ブラシを構成したので、柄部材の他端側を把持して口腔内の歯および歯茎に回転ブラシを沿わせて回転させると、歯と歯の間に毛状ブラシ材の毛先が入り込み、歯に付着したプラークや残存した異物等を充分に除去することができるうえ、歯茎のマッサージがなされて虫歯や歯槽膿漏といった歯に特有の歯周病等を予防ないし治療可能となる効果がある。
また、柄部材の一側面から二股状に突出した左右の延出片間に支持した支軸に回転ブラシを保持することから、この回転ブラシを口腔内に挿入して歯磨きするとき、柄部材より隆起して回転ブラシの一部を覆う延出片の一方が頬の内側に接しても、頬内が傷つくことなくスムーズに歯磨きを行える利点がある。
また、柄部材が回転ブラシの配置される一側面からその反対側面に向けて貫通小孔を穿設しているので、歯磨き中には空気の流通がなされて口腔の内奥が乾燥状態に保たれ、不快感なく歯磨きができる利点がある。
また、本発明は、ナイロン等の毛状ブラシ材を多数本集合して中心に軸孔を有したローラ状の回転ブラシを形成し、この回転ブラシを柄部材の支軸に回転自在に支持して歯ブラシを製作するので、歯に付着したプラークや残存した異物等を除去することができるうえ、歯茎のマッサージがなされて歯に特有の歯周病等を予防ないし治療可能となる歯ブラシを提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る歯ブラシを示す斜視図である。
【図2】同歯ブラシを示す正面図である。
【図3】同歯ブラシを示す平面図である。
【図4】同歯ブラシを示す側面図である。
【図5】図3のV −V 線に沿った縦断面図である。
【図6】図4のVI− VI 線に沿った横断面図である。
【図7】回転ブラシの製作工程を説明する説明図であって、(a)は、回転ブラシの製作において毛状ブラシ材を集合した状態を示し、(b)は、同毛状ブラシ材の集合体を加熱する工程を示し、(c)は、同毛状ブラシ材の集合体を加圧する初期の工程を示し、(d)は、同毛状ブラシ材の集合体を加圧して扇形に広げる工程を示し、(e)は、同毛状ブラシ材の集合体を加圧してさらに広げて略円形に広げる工程を示し、(f)は、同毛状ブラシ材の集合体を相互に接着して連結する工程を示し、(g)は、接着された状態の断面を示し、(h)は、製作後の回転ブラシ完成品の周面を切り揃える状態を示す。
【図8】歯ブラシにより口腔内をブラッシングする状態を示す説明図である。
【図9】他の実施の形態に係る歯ブラシの柄部材の一部を示す平面図である。
【図10】同歯ブラシの一部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 柄部材
1b 一端側
4 支軸
5 回転ブラシ
5a 環状部
5c 軸孔
6 毛状ブラシ材
Claims (3)
- 歯ブラシ用の回転ブラシを作成する円形の集合体の製造方法であって、
毛状ブラシ材を多数本束ねて集合体を形成し、この集合体の一端を加熱溶着することにより半球形の溶着部分を形成し、
この溶着部分を平行な加圧面間に挟んで加圧することにより扇形にし、さらに加圧して半円形とし、この半円形の中心部分から軸孔となる部分を除去したのち、さらに加圧を加えることにより略円形とし、略円形の両端を溶着等により固着することを特徴とする、軸孔を有する環状部から径方向に毛状ブラシ材を備えた円形の集合体を作成する方法。 - 毛状ブラシ材を多数本束ねて集合体を形成し、この集合体の一端を加熱溶着することにより半球形の溶着部分を形成し、
この溶着部分を平行な加圧面間に挟んで加圧することにより扇形にし、さらに加圧して半円形とし、この半円形の中心部分から軸孔となる部分を除去したのち、さらに加圧を加えることにより略円形とし、略円形の両端を溶着等により固着して、軸孔を有する環状部から径方向に毛状ブラシ材を備えた円形の集合体を作成し、
この円形の集合体を、軸孔を一致させて数個連結することを特徴とする歯ブラシ用の回転ブラシの製造方法。 - 毛状ブラシ材を多数本束ねて集合体を形成し、この集合体の一端を加熱溶着することにより半球形の溶着部分を形成し、
この溶着部分を平行な加圧面間に挟んで加圧することにより扇形にし、さらに加圧して半円形とし、この半円形の中心部分から軸孔となる部分を除去したのち、さらに加圧を加えることにより略円形とし、略円形の両端を溶着等により固着して、軸孔を有する環状部から径方向に毛状ブラシ材を備えた円形の集合体を作成し、
この円形の集合体を、軸孔が一致するようにして数個連結して回転ブラシを作成し、この回転ブラシを柄部材の一端側に回転自在に保持させたことを特徴とする歯ブラシの製造方法。
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