JP4039003B2 - プルリング付口栓 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体用紙容器の頂部に、超音波シール法により内付けで突設するスパウトと、そのスパウトに装着するキャップとからなり、プルリングでスパウトを開口するプルリング付口栓に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、食品や非食品の液体内容物に使用される液体用紙容器には、使用時の使い易さを考慮して、例えば、図3に示すように、胴部(21)が四角筒状で、切り妻屋根形の頂部の傾斜板(22)にスパウト(100)とキャップ(200)とからなる口栓(10)を突設した液体用紙容器(20)が、広い用途範囲にわたって使用されていた。この口栓は、容器の口栓取付孔から突出するスパウトの注出筒にキャップを螺着したものであるが、流通時の密封性の完全さやバージン性の確保、または、使用時の易開封性を兼ね備えるために、例えば図4(a)に示すように、スパウト(100)の注出筒(120)の内側の下方内面に封鎖板(130)を設けて封止し、使用時に開口するため、この封鎖板の下面の所定位置に垂直断面逆V字状の環状切込み(131)を設けて、上面の開口予定位置に環状薄肉脆弱線(132)を形成し、この環状薄肉脆弱線の内側近傍の上面の所定の一側に、先端にプルリング(134)をもつ支柱(133)を立設したものであり、容器を開封するために口栓を開口するときには、キャップ(200)を取り外し、スパウト(100)の注出筒(120)の内側に収容されているプルリング(134)に指先を掛けて上方へ引っ張って、封鎖板(130)の環状薄肉脆弱線(132)を引き裂いて開口していた。なお、開口したスパウトは、使用したのちに、キャップを注出筒に螺合して装着して再封止していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来のプルリング付口栓(10)は、図4(b)に示すように、容器(20)の口栓取付孔(21)にスパウト(100)の注出筒(120)を突出させて、台座リング(110)の下端外周面に周設するフランジ(140)の上面と、容器の内面とを超音波シール法で溶着するときに、ホーン(30)から発生する超音波の振動エネルギーによって、注出筒の内側に設けられた封鎖板(130)の環状薄肉脆弱線(132)にクラックを生じて密封性が損なわれることがあった。また、ホーン(30)が当たった所のみ溶着するため、フランジ(140)の外周縁部は溶着せずに容器(20)下面との間に隙間ができ、この隙間には殺菌剤が入りにくいため、二次汚染した場合には、殺菌できないことがあった。また、封鎖板(130)の環状薄肉脆弱線(132)を形成する垂直断面逆V字状の環状切込み(131)が、封鎖板の下面であり、この環状切込みも殺菌しにくいことがあった。
【0004】
本発明は、上述の従来のプルリング付口栓の問題を解決したものであり、口栓を容器に超音波シール法で溶着するときに、スパウトの封鎖板の環状薄肉脆弱線にクラックを発生することがなく、内面殺菌の問題がなく、また、プルリングによるスパウトの開口性が良好なプルリング付口栓を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第1の発明は、スパウトとこのスパウトに装着するキャップとからなり、前記スパウトが、台座リングの上面内周縁部に注出筒を立設し、この注出筒の内側下方を封鎖板を設けて封止し、この封鎖板の開口予定位置に環状薄肉脆弱線を形成し、この環状薄肉脆弱線の内側近傍の上面の一側に、先端にプルリングを接続する支柱を立設し、超音波シール法で容器の口栓取付孔に内付けで突設するプルリング付口栓において、前記スパウトの台座リングの下端外周に、外周縁部の上面に溶着用凸状リングをもつフランジを設け、前記環状薄肉脆弱線を、前記封鎖板の上面より環状切込みを設けて下面に形成し、この環状薄肉脆弱線の位置を、前記台座リングの下面より2mm以上の上方位置に設け、前記封鎖板の前記環状薄肉脆弱線より外側の肉厚を、前記環状薄肉脆弱線より内側の前記封鎖板の肉厚より薄く形成したことを特徴とするプルリング付口栓である。
【0006】
次に、本発明の第2の発明は、前記封鎖板の前記環状薄肉脆弱線より外側の肉厚を、前記環状薄肉脆弱線より内側の前記封鎖板の肉厚の50%±20%にしたことを特徴とする第1の発明に記載のプルリング付口栓である。
【0007】
次に、本発明の第3の発明は、前記フランジの外周縁部の上面に設けた溶着用凸状リングの内側に連設して溝状リングを設けて、前記溶着用凸状リングの高さを、溝状リングの底から少なくとも0.3mm以上にしたことを特徴とする第1又は第2の発明に記載のプルリング付口栓である。
【0008】
次に、本発明の第4の発明は、前記支柱の裏側中央位置に、前記封鎖板上面に至る背面が屈折線で鈍角に屈折する傾斜面である補強リブを設けたことを特徴とする第1乃至第3の発明に記載のプルリング付口栓である。
【0009】
次に、本発明の第5の発明は、前記補強リブの傾斜面の屈折線の位置が、前記封鎖板の上面よりほぼ0.8mmであることを特徴とする第1乃至第4の発明に記載のプルリング付口栓である。
【0010】
次に、本発明の第6の発明は、前記支柱が、先端部をV字状に形成し、その両側の先端にプルリングを接続したことを特徴とする第1乃至第5の発明に記載のプルリング付口栓である。
【0011】
そして、本発明の第7の発明は、外径が前記フランジの外径よりほぼ8mm大きく、内径が前記フランジの外径よりほぼ10mm小さい超音波シール用ホーンを用いて、前記容器の口栓取付孔に内付けで突設したことを特徴とする第1乃至第6の発明に記載のプルリング付口栓である。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のプルリング付キャップの実施の形態について、図を用いて詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の一実施形態のプルリング付口栓の構造を示す断面図であり、図1(b)は、そのスパウトの拡大断面図であり、鎖線は、超音波シール法で容器の口栓取付孔に溶着するときのホーンの位置を示す説明図である。図2は、本発明のプルリング付口栓の支柱の先端部の一実施形態の形状を示す部分断面図であり、図3は、一例の液体用紙容器の斜視図である。
【0013】
本発明の一実施形態のプルリング付キャップ(10)は、図3に示すように、液体用紙容器(20)の頂部傾斜板に超音波シール法で突設させるスパウトとこのスパウトに螺合させて装着するキャップ(200)とからなり、スパウトは、図1(a)に示すように、台座リング(110)の上面内周縁部に、外周面にキャップとの螺合部(121)をもつ注出筒(120)を立設し、この注出筒の内側下方を封鎖板(130)を設けて封止し、この封鎖板の開口予定位置に環状薄肉脆弱線(132)を形成し、この環状薄肉脆弱線の内側近傍の上面の一側に、先端にプルリング(134)を接続する支柱(133)を立設するものであり、キャップ(200)は、周壁(220)の内周面にスパウトとの螺合部(221)をもち、天板(210)の下面にスパウトを封止するコンタクト封止リング(211)(先端をスパウト口部天面に密接)やインナー封止リング(212)(外周面をスパウト口部内周面に密接)を垂設するものである。スパウトは、通常、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を用い、キャップは、通常、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を用いて、射出成形法により作製するものである。
【0014】
そして、図1(a)又は(b)に示すように、スパウト(100)の台座リング(110)の下端外周に、外周縁部の上面に断面が台形状の溶着用凸状リング(141)(ダイレクター)をもつフランジ(140)を設け、環状薄肉脆弱線(132)を、封鎖板(130)の上面より垂直断面V字状の環状切込み(131)を設けて下面に形成し、この環状薄肉脆弱線の位置を、台座リングの下面より2mm以上の上方位置に設け、封鎖板の環状薄肉脆弱線より外側の肉厚(h2)を、環状薄肉脆弱線より内側の封鎖板の肉厚(h1 )より薄く形成するものである。また、支柱(133)の裏側中央位置に、封鎖板上面に至る背面が屈折線(136)で鈍角に屈折する傾斜面である補強リブ(135)を設けるものである。
【0015】
上述した封鎖板の環状薄肉脆弱線より外側の肉厚(h2 )は、環状薄肉脆弱線より内側の封鎖板の肉厚(h1 )の50%±20%にするものである。環状薄肉脆弱線より外側の封鎖板の肉厚を、環状薄肉脆弱線より内側の封鎖板の肉厚より30%以下にすると強度が弱く、環状薄肉脆弱線より内側の封鎖板の肉厚より70%以上では、超音波により環状薄肉脆弱線にクラックを発生することがある。
【0016】
また、フランジの外周縁部の上面に設けた溶着用凸状リングの内側に連設して溝状リングを設けて、溶着用凸状リングの高さを少なくとも0.3mm以上にするものであり、補強リブの傾斜面の屈折線の位置は、封鎖板の上面よりほぼ0.8mmに設けるものであり、支柱(133)の先端部は、図2に示すように、V字状に形成し、その両側の先端にプルリング(134)を接続するものである。また、図1(b)に示すように、台座リング(110)の容器(20)外面位置の外周面に、容器へ取り付けるときに必要となる仮止め突起(111)を設けるものである。
【0017】
また、容器(20)へのスパウト(100)の取り付けは、図1(b)に示すように、容器の口栓取付孔(21)から注出筒(120)と台座リング(110)の上方部を突出させて、外径がフランジ(140)の外径よりほぼ8mm大きく、内径がフランジの外径よりほぼ10mm小さい超音波シール用ホーン(30)を用いて、容器の口栓取付孔に、容器の内面とフランジの上面とを、超音波シール法で溶着させて突設するものである。
【0018】
本発明のプルリング付口栓は、図1(b)に示すように、容器(20)の口栓取付孔(21)にスパウトを超音波シール法で内付けで溶着するときに、従来のプルリング付口栓のスパウトと異なり、封鎖板(130)の環状薄肉脆弱線(132)が、台座リングの下面より2mm以上の上方位置に設けてあるため、超音波の振動源より遠くに位置し、また、封鎖板の環状薄肉脆弱線より外側の肉厚(h2 )を、環状薄肉脆弱線より内側の封鎖板の肉厚(h1 )より薄くしてあるため、超音波の振動エネルギーが吸収され減衰し、環状薄肉脆弱線にクラックを発生することがない。
【0019】
また、本発明のプルリング付口栓のスパウト(100)は、図1(b)に示すように、フランジ(140)の外周縁部の上面に溶着用凸状リング(141)が設けてあり、また、フランジを容器(20)に取り付けるときに、外径がフランジの外径よりほぼ1mm大きく、内径がフランジの外径よりほぼ10mm小さい超音波シール用ホーン(30)を用いて溶着するため、フランジの溶着用凸状リングが完全に容器の内面に溶着しており、フランジの外周縁部と容器内面との間に隙間がない。また、スパウトの注出筒(120)の内側の封鎖板(130)に設けられた環状薄肉脆弱線(132)は、封鎖板の上面より垂直断面V字状の環状切込み(131)を設けて下面に形成されているため、封鎖板の下面が平坦である。このため、従来のプルリング付口栓のスパウトとは異なり、内面殺菌上の問題がない。なお、スパウトの封鎖板の上面の環状切込みは、電子線殺菌法などで容易に無菌状態にできる。
【0020】
また、本発明のプルリング付口栓のスパウトの環状薄肉脆弱線は、封鎖板の上面より環状切込みを設けて下面に形成しており、容器を開封するためにプルリングを引っ張ったときに、封鎖板の下面より環状切込みを設けて上面に環状薄肉脆弱線を形成したものよりも、環状薄肉脆弱線を引き裂くのに強い力を必要とするが、支柱の裏側中央位置に、封鎖板上面に至る背面が屈折線で鈍角に屈折する傾斜面である補強リブを設けてあるため、プルリングを引っ張ったときの支点が後方で封鎖板より上方にあり、梃子の原理で環状薄肉脆弱線を引き裂き易く、さらに、支柱の先端部がV字状に形成され、その両側の先端にプルリングを接続しているため、封鎖板の環状薄肉脆弱線を引き裂きが容易となる。
【0021】
【発明の効果】
本発明のプルリング付口栓は、スパウトを容器に超音波シール法で取り付けるときに、ホーンから発生する振動エネルギーによって、スパウトの封鎖板の環状薄肉脆弱線に、クラックを発生することがない。また、フランジの外周縁部が容器内面に隙間なく溶着し、封鎖板の下面に環状薄肉脆弱線を形成する環状切込みもないので、内面殺菌の問題がない。また、容器を開封するときに、スパウトの注出筒の内側に収容されているプルリングを指に引っかけて上方へ引っ張ることにより、封鎖板の環状薄肉脆弱線を引き裂いて、容易にスパウトを開口することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態のプルリング付口栓の構造を示す断面図であり、(b)は、そのスパウトの拡大断面図である。また、鎖線は、超音波シール法で容器の口栓取付孔に溶着するときのホーンの位置を示す説明図である。
【図2】本発明のプルリング付口栓の支柱の先端部の一実施形態の形状を示す部分断面図である。
【図3】一例の液体用紙容器の斜視図である。
【図4】(a)は、従来の一例のプルリング付口栓の構造を示す断面図であり、(b)は、そのスパウトの拡大断面図である。また、鎖線は、超音波シール法で容器の口栓取付孔に溶着するときのホーンの位置を示す説明図である。
【符号の説明】
10……口栓
20……容器
21……口栓取付孔
22……傾斜板
23……胴部
30……ホーン
100……スパウト
110……台座リング
111……仮止め突起
120……注出筒
121,221……螺合部
130……閉鎖板
131……環状切込み
132……環状薄肉脆弱線
133……支柱
134……プルリング
135……補強リブ
136……屈折線
140……フランジ
141……溶着用凸状リング
142……溝状リング
200……キャップ
210……天板
211……コンタクト封止リング
212……インナー封止リング
220……周壁
h1 ,h2 ……肉厚

Claims (7)

  1. スパウトと該スパウトに装着するキャップとからなり、前記スパウトが、台座リングの上面内周縁部に注出筒を立設し、該注出筒の内側下方を封鎖板を設けて封止し、該封鎖板の開口予定位置に環状薄肉脆弱線を形成し、該環状薄肉脆弱線の内側近傍の上面の一側に、先端にプルリングを接続する支柱を立設し、超音波シール法で容器の口栓取付孔に内付けで突設するプルリング付口栓において、前記スパウトの台座リングの下端外周に、外周縁部の上面に溶着用凸状リングをもつフランジを設け、前記環状薄肉脆弱線を、前記封鎖板の上面より環状切込みを設けて下面に形成し、該環状薄肉脆弱線の位置を、前記台座リングの下面より2mm以上の上方位置に設け、前記封鎖板の前記環状薄肉脆弱線より外側の肉厚を、前記環状薄肉脆弱線より内側の前記封鎖板の肉厚より薄く形成したことを特徴とするプルリング付口栓。
  2. 前記封鎖板の前記環状薄肉脆弱線より外側の肉厚を、前記環状薄肉脆弱線より内側の前記封鎖板の肉厚の50%±20%にしたことを特徴とする請求項1記載のプルリング付口栓。
  3. 前記フランジの外周縁部の上面に設けた溶着用凸状リングの内側に連設して溝状リングを設けて、前記溶着リング用凸状の高さを、溝状リングの底から少なくとも0.3mm以上にしたことを特徴とする請求項1又は2記載のプルリング付口栓。
  4. 前記支柱の裏側中央位置に、前記封鎖板上面に至る背面が屈折線で鈍角に屈折する傾斜面である補強リブを設けたことを特徴とする請求項1乃至3記載のプルリング付口栓。
  5. 前記補強リブの傾斜面の屈折線の位置が、前記封鎖板の上面よりほぼ0.8mmであることを特徴とする請求項1乃至4記載のプルリング付口栓。
  6. 前記支柱が、先端部をV字状に形成し、その両側の先端にプルリングを接続したことを特徴とする請求項1乃至5記載のプルリング付口栓。
  7. 外径が前記フランジの外径よりほぼ8mm大きく、内径が前記フランジの外径よりほぼ10mm小さい超音波シール用ホーンを用いて、前記容器の口栓取付孔に内付けで突設したことを特徴とする請求項1乃至6記載のプルリング付口栓。
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